JP5285644B2 - 過電流保護回路、スイッチングレギュレータ、スイッチングアンプ - Google Patents

過電流保護回路、スイッチングレギュレータ、スイッチングアンプ Download PDF

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Description

本発明は、過電流保護回路、スイッチングレギュレータ、スイッチングアンプに係り、特に、電源電圧が固定されていない被保護回路の過電流保護回路、スイッチングレギュレータ、スイッチングアンプに関する。
一般に、被保護回路に発生した過電流を検出し、被保護回路を停止させて被保護回路を過電流から保護する保護回路(以降、過電流保護回路と記す)が知られている。このような過電流保護回路の従来技術としては、例えば、特許文献1、特許文献2が挙げられる。
特許文献1に記載されているスイッチングレギュレータでは、スイッチングレギュレータのドライバトランジスタの出力電圧を基準電圧と比較し、ドライバトランジスタの出力電圧が基準電圧を下回った場合に過電流が発生したと判断し、ドライバトランジスタをオフしている。特許文献1に記載されたスイッチングレギュレータは、MOSトランジスタのオン抵抗の電源電圧や温度に対するばらつき、あるいはMOSトランジスタの製造上のばらつきによって検出電圧がばらつく。このため、過電流の検出精度を充分高めることができないという課題があった。
特許文献2に記載されたスイッチングレギュレータは、過電流の検出精度が電源電圧や温度によって低下することを防ぐため、温度依存性や電源電圧への依存性が少ない基準電流とドライバトランジスタの出力電流を比較して過電流を検出するものである。
特開2002−171749号公報 特開2007−252161号公報
しかしながら、特許文献2に記載された発明は、1つのドライバトランジスタの過電流を検出するにあたって、1つのオペアンプが必要になる。このため、被保護回路のドライバトランジスタに対応する数のオペアンプを過電流保護回路に設けなければならず、過電流保護回路の回路規模が大きくなるという欠点がある。
さらに、特許文献1に記載された発明、特許文献2に記載された発明のいずれにあっても、過電流の発生を検出するために設定された基準値が固定されている。しかしながら、過電流保護回路を様々な被保護回路に適用する場合、過電流であると判定される電流のしきい値(以降、基準電流値と記す)は被保護回路に供給される電源電圧値によって相違する。この点を、以下に説明する。
図8は、基準電流値が固定の過電流保護回路において、基準電流値を決定する一般的な考え方を説明するための図である。図8に示した横軸は電源電圧、縦軸はPMOSトランジスタに流れる電流の観測値(図中にMON_Pと記す)を示している。図中に示した電源電圧aに対応する基準電流値をIa、基準電圧bに対応する基準電流値をIb、電源電圧cに対応する基準電流値をIcとする。
被保護回路において、グランドまたは低インピーダンスの電流供給源にある一定の抵抗値でショートしたときに、過電流として判定すべき基準電流値は、被保護回路に供給されている電源電圧に応じて変化する。このため、過電流保護回路が適用される被保護回路の、電源電圧の電圧値の範囲を予想して回路設計が行われている。そして、この範囲の最大の電圧値に合わせて設定された基準電流値(以降、最大基準電流値と記す)と、最小の電圧値に合わせて設定された基準電流値(以降、最小基準電流値と記す)を考慮して、仕様に適した基準電流値を設定する。
より具体的には、図8において、基準電流値Icが最大基準電流値であり、基準電流値Iaが最小基準電流値であるとする。このとき、基準電流値をIcとすれば、被保護回路の最大出力が得られるものの、中、低レベルの電圧降下として観測されるショート(ハーフショート)から被保護回路を保護することが難しくなる。一方、基準電流値をIaとすれば、被保護回路のショートをより確実に検出し、ハーフショートが起こった場合にも被保護回路を停止して被保護回路を保護することができる。ただし、基準電流値をIaとすると、比較的高い電圧値の電源電圧を使用する被保護回路では、大電力出力が可能であるにもかかわらず、保護回路によって出力が制限される、または、大電力出力時に信号品質が劣化するなど動作に支障が出る可能性が高くなる。
そこで、従来では、一般的に、ハーフショートへの対応を犠牲にして、仕様の電力を出力できるように、基準電流値Icを基準電流値する場合が多かった。このような手法によって決定された基準電流値Icによれば、ハーフショートが生じた場合に被保護回路を停止させることが難しかった。
本発明は、このような点に鑑みて行われたものであって、被保護回路の出力レベル(電源電圧)に応じて適正な基準電流値を設定し、被保護回路の最大出力レベルの動作を確保しながら、中、低レベルのショートをも確実に検出して被保護回路を停止させることにより、被保護回路の動作を阻害することなく、被保護回路を保護できる過電流保護回路、スイッチングレギュレータ、スイッチングアンプを提供することを目的とするものである。
以上の課題を解決するため、請求項1に記載の過電流保護回路は、任意の電圧値の電源電圧が供給されて動作する被保護回路(例えば図1に示した被保護回路2)を保護する過電流保護回路であって、前記被保護回路に供給されている電源電圧の電圧値に追従して変化する基準電圧を生成する基準電圧生成手段(例えば、図2に示したNMOSトランジスタ46、PMOSトランジスタ43、定電流生成部6、図3に示したPMOSトランジスタ460、NMOSトランジスタ430、定電流生成部60)と、前記被保護回路に流れている電流によって変化する電圧値を、前記基準電圧と比較する比較手段(例えば図2、図3に示した比較器41)と、前記比較手段の比較結果に応じて前記被保護回路の動作を停止させる動作停止手段(例えば図1に示したラッチ回路33、34、ゲート回路35、ゲート回路12)と、を備え、前記基準電圧生成手段は、一定の電流を生成する定電流生成手段(例えば、図2に示した定電流生成部6、図3に示した定電流生成部60)と、前記定電流生成手段が生成した前記定電流がミラーされる基準電流生成MOSトランジスタ(例えば、図2に示したNMOSトランジスタ46、図3に示したPMOSトランジスタ460)と、前記基準電流生成MOSトランジスタによって生成された基準電流を電圧に変換して前記基準電圧を生成する電流・電圧変換手段(例えば、図2に示したPMOSトランジスタ43、図3に示したNMOSトランジスタ430)と、を備え、前記基準電流生成MOSトランジスタは、ソース、ドレイン間電圧が電源電圧の電圧値に追従して変化することを特徴とする。
請求項に記載の過電流保護回路は、請求項において、前記基準電流生成MOSトランジスタは、前記被保護回路の電源電圧に対応する電圧値がソース、ドレイン間に印加され、前記定電流生成手段によって生成された前記定電流を前記ソース、ドレイン間に流すことにより、前記電源電圧に応じた値の基準電流を生成することを特徴とする。
請求項に記載の過電流保護回路は、請求項またはのいずれか1項において、前記電流・電圧変換手段は、前記基準電流がソース、ドレイン間に流される基準電圧生成MOSトランジスタ(例えば、図2に示したPMOSトランジスタ43、図3に示したNMOSトランジスタ430)であることを特徴とする。
請求項に記載の過電流保護回路は、請求項1〜のいずれか1項において、前記動作停止手段が、前記被保護回路を駆動するドライバに対し、前記被保護回路を停止するように指示する保護信号の出力を保持するラッチ回路(例えば図1に示したラッチ回路33、34)を含み、前記ラッチ回路は、その保持状態が所定周期でリセットされることを特徴とする。
請求項に記載のスイッチングレギュレータは、請求項1〜のいずれか1項に記載の過電流保護回路を備えることを特徴とする。
請求項に記載のスイッチングアンプは、請求項1〜のいずれか1項に記載の過電流保護回路を備えることを特徴とする。
請求項1、2に記載の発明によれば、被保護回路に電力を供給する電源電圧の値に応じて基準電流値を設定することができる。このため、電源電圧が高い被保護回路にあっては最大出力時に動作を停止させることを回避し、電源電圧が低い被保護回路にあっても、低、中位レベルのショートを検出して被保護回路を保護することができる。このため、被保護回路の動作を阻害することなく、被保護回路を保護できる過電流保護回路を提供することができる。
また、過電流を検出する基準電流に1つのMOSトランジスタだけを使って被保護回路の動作を阻害することなく、被保護回路を保護できる過電流保護回路を提供することができる。
請求項に記載の発明によれば、電流・電圧変換手段として被保護回路と同じMOSトランジスタを用いているので、被保護回路の温度特性に合わせて基準電流を変換した基準電圧値を設定することができる。
請求項に記載の発明によれば、保護信号を所定の周期でリセットしているので、ショートが解消した場合には直ちに被保護回路を動作させ、ショートが解消しない場合には、解消するまで被保護回路を停止させておくことができる。
請求項に記載の発明によれば、高出力の動作が阻害されることなく、被保護回路を保護できるスイッチングレギュレータを提供することができる。
請求項に記載の発明によれば、高出力の動作が阻害されることなく、被保護回路を保護できるスイッチングアンプを提供することができる。
本発明の一実施形態の過電流保護回路と被保護回路とを含む回路の全体を示した図である。 図1に示したPMOS用検出回路31をより詳細に説明するための図である。 図1に示したNMOS用検出回路32をより詳細に説明するための図である。 図2に示したNMOSトランジスタ46のチャネル長変調効果を説明するための図である。 図1、図2に示したPMOS用検出回路、NMOS用検出回路の動作を説明するための図である。 本発明の一実施形態の過電流保護回路によって得られる効果を説明するための図である。 本発明の一実施形態の過電流保護回路が適用された機器を示した図である。 基準電流値が一定の過電流保護回路において、基準電流値を決定する一般的な考え方を説明するための図である。
以下、本発明の一実施形態の過電流保護回路について、図面を参照しながら説明する。なお、本実施形態では、P型、N型の2通りのMOSトランジスタが用いられていて、電流、電圧の極性が互いに逆になっている。このため、本実施形態では、PMOSトランジスタの電圧については電源電圧VDDを基準にして上昇する、あるいは低下する等と記す。また、NMOSトランジスタの電圧については負電源電圧VSSを基準にして上昇する、あるいは低下する等と記す。
(全体構成)
図1は、本実施形態の過電流保護回路と被保護回路とを含む回路の全体を示した図である。図示した回路は、駆動回路1と、この駆動回路1によって駆動される被保護回路2と、被保護回路2に過電流が発生したことを検出し、駆動回路1に通知する過電流検出回路3を含んでいる。被保護回路2は、スイッチング回路を構成するPMOSトランジスタ21、NMOSトランジスタ22を有し、被保護回路2に接続される負荷を動作させるために間欠的にスイッチオン、オフを繰り返す。
PMOSトランジスタ21がオンしている間、PMOSトランジスタ21には電流Ipが流れる。また、NMOSトランジスタ22がオンしている間、NMOSトランジスタ22には電流Inが流れる。なお、被保護回路2に接続される負荷(図1中には図示せず)としては、スピーカ等が考えられる。PMOSトランジスタ21、NMOSトランジスタ22としては、パワーMOSトランジスタが考えられる。
また、図1に示した例の場合、駆動回路1が、PWM(Pulse Width Modulation)回路11、ゲート回路12、ドライバ回路13によって構成されている。ドライバ回路13は、PMOSトランジスタ21のゲートに電圧PGATEを出力し、NMOSトランジスタ22のゲートに電圧NGATEを出力してPMOSトランジスタ21、NMOSトランジスタ22を停止、あるいは動作させる。PGATE、NGATEには、PMOSトランジスタ21、NMOSトランジスタ22が同時にオンにならないように、PMOSトランジスタ21、NMOSトランジスタ22が同時にオフするタイミングを設けている。
負荷としてのスピーカをこのような被保護回路2で駆動する場合、図1に示した回路はスイッチングアンプを構成する。スイッチングアンプでは、PWM回路11に入力された信号をPWM変調し、PWM信号によって生成されたPGATEまたは、NGATEのオンデューティの期間にPMOSトランジスタ21、またはNMOSトランジスタ22をオンさせて負荷に電力を供給または、負荷の電力を放出する。なお、電流Ip、電流Inは、それぞれ間欠的に流された電流値(瞬時値)であって、出力電流(平均値)は電流Ip、または電流Inを時間積分することによって得られる。
過電流検出回路3は、PMOSトランジスタ用過電流検出回路(以降、PMOS用検出回路と記す)31、NMOSトランジスタ用過電流検出回路(以降、NMOS用検出回路と記す)32、ラッチ回路33、34、ゲート回路35によって構成されている。なお、本実施形態では、ラッチ回路33、34に代えてF/F(flip-flop)回路を使用することも可能である。
PMOS用検出回路31、NMOS用検出回路32は、PMOSトランジスタ21、またはNMOSトランジスタ22の端子間の電圧を観測し、図中に示したノードOUTについて過電流発生の有無を判定する。この結果、過電流が発生したと判定された場合には、過電流検出信号を出力する。PMOS用検出回路31にはラッチ回路33が接続され、NMOS用検出回路32にはラッチ回路34が接続されている。ラッチ回路33、34は、いずれも接続された検出回路から出力される過電流検出信号をトリガとして過電流状態信号DETP、DETNを保持し、保持内容は所定の周期でリセットされる。
ラッチ回路33、34にラッチされた過電流状態信号DETP、DETNは、ゲート回路35に出力される。ゲート回路35は、ラッチ回路33またはラッチ回路34から過電流状態信号DETP、DETNが入力された場合、過電流保護信号をゲート回路12に出力する。このため、過電流検出回路3からは、クロック周期ごとに過電流の発生の有無が駆動回路1に通知されることになる。つまり、ラッチ回路33、ラッチ回路34の少なくとも一方が過電流を検出すれば、過電流保護信号がゲート回路12に入力される。
駆動回路1では、過電流保護信号が入力されると、ドライバ回路13によってPMOSトランジスタ21、NMOSトランジスタ22を停止させる。PMOSトランジスタ21、NMOSトランジスタ22が停止すると、被保護回路2にこれ以上過電流が流れることがなくなって、PMOSトランジスタ21、NMOSトランジスタ22を過電流状態から解消することができる。
なお、クロック周期ごとに過電流保護信号をリセットする本実施形態によれば、ノイズ等に起因する誤作動等による過電流の検出によって被保護回路2を連続して停止させてしまうことがない。また、過電流保護信号が繰返し出力される場合には、過電流が流れる被保護回路2のPMOSトランジスタ21、またはNMOSトランジスタ22のオン期間を連続して制限し、被保護回路2のショート等の過電流による温度上昇等を回避することができる。
(過電流検出回路)
(1)PMOS用検出回路の構成
図2は、図1に示したPMOS用検出回路31をより詳細に説明するための図である。PMOS用検出回路31は、過電流検出部4、制御部5、電流発生部6によって構成されている。過電流検出部4、制御部5、電流発生部6は、いずれも被保護回路2の正電源電圧VDDと負電源電圧VSSとに接続されている。
電流発生部6は、電流源61、NMOSトランジスタ62、63を有し、一定の電流値の電流を生成する。なお、本実施形態では、電流発生部6によって発生される一定の値の電流を定電流Irefと記す。
過電流検出部4は、比較器41、PMOSトランジスタ42,43、NMOSトランジスタ44、45、46を備えている。図2に示した回路では、正電源電圧VDDが変化すると、当然のことながら、正電源電圧VDDと負電源電圧VSSとの間の電圧が変化する。電圧の変化により、NMOSトランジスタ46のソース、ドレイン間にかかる電圧が変化する。このとき、NMOSトランジスタ46は、ソース、ドレイン間の電位差によって空乏層がドレイン側からソース側に伸び、実効的なチャネル長が変化する、いわゆるチャネル長変調効果が発生する。
NMOSトランジスタ46には、正電源電圧VDDの変化に依存しないカスコード構成の電流発生部6のNMOSトランジスタ63から定電流Irefがミラーされるが、正電源電圧VDDの変化に追従して変化するNMOSトランジスタ46のソース、ドレイン間電圧の変化分だけ定電流Irefから増減した電流Idsnが流れることになる。チャネル長変調効果については後述する。
PMOSトランジスタ43は、電流Idsnを電圧Vdspに変換する電流・電圧変換手段として機能する。PMOSトランジスタ43によって変換された電圧(以降、基準電圧VREFと記す)は、比較器41の一方に入力される。比較器41には、図1に示したノードOUTの電位(以降、観測電圧VMONと記す)が入力され、基準電圧VREFと比較される。そして、観測電圧VMONが基準電圧VREFを下回った場合、比較器41から過電流検出信号が出力される。なお、過電流検出信号は、通常ローレベルの信号が、ハイレベルに切り替えられることによって出力されるものであってもよい。
PMOSトランジスタ42は、正電源電圧VDDを基準とした一定の値の固定電圧を生成し、固定電圧をPMOSトランジスタ43のゲートに印加している。このような構成により、本実施形態では、PMOSトランジスタ43には、電源電圧によらず、常に一定のゲート−ソース間電圧が印加され、電流Idsnの変化に追従した電圧Vdspを生成することができる。
なお、PMOSトランジスタ43は、MOSトランジスタに限定されるものではなく、順抵抗として構成することも可能であるが、本実施形態のように、MOSトランジスタを用いた場合には、被保護回路2のPMOSトランジスタ21と同様の温度特性を示す。温度特性により、PMOSトランジスタ21において発生するノードOUT電圧が低めに観測される場合、基準電圧VREFも低くなる。また、PMOSトランジスタ21において発生するノードOUT電圧が高めに観測される場合、基準電圧VREFも高くなる。
以上のことから、本実施形態は、電流・電圧変換手段として保護すべきMOSトランジスタと同じ極性のMOSトランジスタを使用することにより、温度特性によらず適正に過電流の発生を検出することができる。なお、このような効果を得るためには、PMOSトランジスタ43、PMOSトランジスタ21を、特性が近いMOSトランジスタとすることが有効である。具体的には、PMOSトランジスタ43を、PMOSトランジスタ21と同じ基板上で製造された線形領域で動作するPMOSトランジスタとすることが考えられる。
制御部5は、PMOSトランジスタ51、52、インバータ53を有し、図1に示した駆動回路13の出力するPGATEに制御されるPMOSトランジスタ21のオン、オフに連動して動作する回路である。PMOSトランジスタ51は、PMOSトランジスタ21がオンのときに比較器41の入力であるVMONにノードOUTの電位変動を入力する。また、PMOSトランジスタ52は、PMOSトランジスタ21がオフのときに比較器41に入力されたVMONを正電源電圧VDDに初期化する。
インバータ53は、PMOSトランジスタ51に印加されるゲート電圧を反転させてPMOSトランジスタ52に印加する。
(2)NMOS用保護回路
図3は、図1に示したNMOS用保護回路32をより詳細に説明するための図である。図3において、図2に示した構成と同様の構成については同様の符号を付し、その説明を一部略すものとする。
NMOS用保護回路32は、過電流検出部40、制御部50、電流発生部60によって構成されている。過電流検出部40、制御部50、電流発生部60は、いずれも被保護回路2の正電源電圧VDDと負電源電圧VSSとに接続されている。
電流発生部60は、電流源61、PMOSトランジスタ620、630を有し、定電流Irefを生成する。
過電流検出部40は、比較器41、PMOSトランジスタ420、460、NMOSトランジスタ430を備えている。PMOSトランジスタ460においても、チャネル長変調効果を生じ、電流発生部6のPMOSトランジスタ620に流れる定電流Irefからミラーされた電流として、PMOSトランジスタ460のソース、ドレイン間電圧の変化分だけ増減した電流Idspが流れることになる。
NMOSトランジスタ430は、電流Idspを電圧Vdsnに変換する電流・電圧変換手段として機能する。NMOSトランジスタ430によって変換された基準電圧VREFは、比較器41の一方に入力される。比較器41には、図1に示したノードOUTの観測電圧VMONが入力され、基準電圧VREFと比較される。そして、観測電圧VMONが基準電圧VREFを上回った場合、比較器41から過電流検出信号が出力される。NMOSトランジスタ430のゲートには安定化電源の電圧が供給されている。この電圧は、負電源電圧VSSを基準に固定されている。このため、NMOSトランジスタ430は、電源電圧に依存しない常に一定のゲート−ソース間電圧が印加され、電流Idspの変化に追従した電圧Vdsnを生成することができる。
なお、NMOSトランジスタ430は、順抵抗として構成することも可能であるが、本実施形態のように、MOSトランジスタを用いれば、NMOSトランジスタ430が被保護回路2のNMOSトランジスタ22と同様の温度特性を示す。温度特性により、NMOSトランジスタ22において発生するノードOUT電圧が低めに観測される場合、基準電圧VREFも低くなる。また、NMOSトランジスタ22において発生するノードOUT電圧が高めに観測される場合、基準電圧VREFも高くなる。
制御部50は、NMOSトランジスタ510、520、インバータ53を有し、図1に示した駆動回路13の出力するNGATEに制御されるNMOSトランジスタ22のオン、オフに連動して動作する回路である。NMOSトランジスタ510は、NMOSトランジスタ22がオンのときに比較器41の入力であるVMONにノードOUTの電位変動を入力する。また、NMOSトランジスタ520は、NMOSトランジスタ22がオフのときに比較器41に入力されたVMONを負電源電圧Vssに初期化する。
(3)チャネル長変調効果
図4は、NMOSトランジスタ46のチャネル長変調効果を説明するための図である。図4において、縦軸はソース、ドレイン間に流れる電流Idsnを示している。また、横軸は、NMOSトランジスタ46のソース、ドレイン間にかかる電圧Vdsnを示している。図中に示すp1は正電源電圧VDDが2.5Vのときの電流Idsn、p2は電源電圧VDDが3.6Vのときの電流Idsn、p3は正電源電圧VDDが5.2Vのときの電流Idsnである。
このように、本実施形態によれば、正電源電圧VDDの大きさに比例して、NMOSトランジスタ46のソース、ドレイン間の電圧Vdsnが変化する。そして、電圧Vdsnの変化に応じて、基準電流であるNMOSトランジスタ46の電流Idsnが変化する。図4中に、正電源電圧VDDが3.6Vを基準にし、正電源電圧VDDが2.5V、5.2VのときのVdsn、Idsnの変化を、それぞれ+ΔVdsn、−ΔVdsn、+ΔIdsn、−ΔIdsnとして記す。
このような本実施形態によれば、被保護回路の正電源電圧VDDが大きい場合には比較的大きな電流の発生を許容して被保護回路を最大出力で動作させることができる。また、被保護回路の正電源電圧VDDが小さい場合には比較的小さな電流の発生を確実に検出し、ハーフショートから被保護回路を確実に保護することができる。
(4)動作
図5(a)〜(j)は、図1、図2に示したPMOS用検出回路31、NMOS用検出回路32の動作を説明するための図である。図5(a)は図1に示したドライバ回路13によって印加されるPMOSトランジスタ21のゲート電圧(PGATE)を示している。過電流が検出されると、PGATEがハイレベルになり(図5(a)中に矢線で示す)、PMOSトランジスタ21が停止される。
また、図5(b)は図1に示したドライバ回路13によって印加されるNMOSトランジスタ22のゲート電圧(NGATE)を示している。過電流が検出されると、NGATEがローレベルになり(図5(b)中に矢線で示す)、NMOSトランジスタ22が停止される。
図5(c)は、図1に示したノードOUTに出力される電圧値を示している。PMOSトランジスタ21で過電流が発生すると、ノードOUTに出力される電圧値が、電源電圧VDDを基準にして大きく低下する。そして、過電流が検出されるとPGATEがローレベルからハイレベルになったことにより、図5(c)に示した通常オン期間であるタイミングt1の間、PMOSトランジスタ21がオフする。一方、NMOSトランジスタ22で過電流が発生すると、ノードOUTに出力される電圧値が基準電圧VSSを基準にして大きく上昇する。そして、NGATEがハイレベルからローレベルになったことにより、図5(c)に示した通常オン期間であるタイミングt2の間、NMOSトランジスタ22がオフする。
図5(d)は、図2に示したPMOSトランジスタ21の観測電圧VMON_Pを示している。PMOSトランジスタの観測電圧VMON_Pが、図5(e)に示す基準電圧VREF_Pに達すると、過電流が発生したと判定される。
図5(g)は、図2に示したNMOSトランジスタ22の観測電圧VMON_Nを示している。NMOSトランジスタ22の観測電圧VMON_Nが、図5(f)に示す基準電圧VREF_Nに達すると、過電流が発生したと判定される。図5(h)は図1に示した過電流状態信号DETPを示し、図5(i)は図1に示した過電流状態信号DETNを示している。図5(j)は、ラッチ回路33、34をリセットするリセット信号RSTを示す。図5(j)によれば、ラッチ回路33、34の信号の保持状態は、リセット信号RSTの遷移のタイミングでリセットされることが分かる。
(効果)
図6(a)、(b)は、以上説明した本実施形態の過電流保護回路によって得られる効果を説明するための図である。図6(a)は、PMOSトランジスタ21のPGATE、ノードOUTに出力される電圧値を示している。図6(a)の縦軸は基準電流を示し、横軸は被保護回路の電源電圧を示している。
電源電圧が2.5V(横軸にdで示す)に対応する基準電流値はIdである。電源電圧が3.6V(横軸にeで示す)に対応する基準電流値はIeである。電源電圧が5.2V(横軸にfで示す)に対応する基準電流値はIfである。
本実施形態によれば、電源電圧に応じて基準電流を設定することができるので、比較的高い電源電圧が適用される場合にも、出力制限されることなく最大出力で被保護回路を動作させることができる。また、比較的低い電源電圧が適用される場合にも、ハーフショートのような低レベルのショートから被保護回路を保護することができる。
図6(b)は、本実施形態の過電流保護回路の設計例を示している。この例では、ショート抵抗値が2Ω以下の場合、確実に被保護回路を停止させる。また、ショート抵抗が4Ω以上の場合、確実に被保護回路を動作させるように設計されている。すなわち、本実施形態によれば、過電流の検出がなされるか否かが不確定であるショート抵抗の範囲(図中、マージン領域と記す)は2Ω〜4Ωであることになる。本実施形態によれば、従来技術に比べ、マージン領域を充分狭くし、過電流保護回路の信頼性を高めることができる。
(適用例)
図7(a)、(b)は、以上述べた本実施形態の過電流保護回路が適用された機器を示した図である。図7(a)は、被保護回路であるPMOSトランジスタ21、NMOSトランジスタ22を含むスイッチングアンプ72を示している。本実施形態のPMOS用検出回路31、NMOS用検出回路32は、スイッチングアンプ72に含まれるPMOSトランジスタ21、NMOSトランジスタ22の保護回路に適用されている。また、スイッチングアンプ72は、スピーカ71と接続されて、スピーカ71を駆動している。
図7(b)は、被保護回路であるPMOSトランジスタ21、NMOSトランジスタ22を含むスイッチングレギュレータ73を示している。本実施形態のPMOS用保護回路31、NMOS用保護回路32は、スイッチングレギュレータ73に含まれるPMOSトランジスタ21、NMOSトランジスタ22の保護回路に適用されている。
また、本適用例では、電源電圧の電圧値の増加対して基準電流も増加の関係にあったが、目的に応じて検出した基準電流値を演算して、電源電圧の電圧値の増加に対して基準電流値を減少の関係などに設定してもよい。
本発明は、過電流保護回路全般に適用することができるが、特に、電源電圧値が予想し難い被保護回路に適用した場合に効果を奏する。
1 駆動回路
2 被保護回路
3 過電流検出回路
4、40 過電流検出部
5、50 制御部
6、60 電流発生部
11 PWM回路
12、35 ゲート回路
13 ドライバ回路
21、42、43、51、52、420、460、620、630 PMOSトランジスタ
22、44、45、46、47、62、63、430、510、520 NMOSトランジスタ
31 PMOS用検出回路
32 NMOS用検出回路
33、34 ラッチ回路
41 比較器
53 インバータ
61 電流源
72 スイッチングアンプ
73 スイッチングレギュレータ

Claims (6)

  1. 任意の電圧値の電源電圧が供給されて動作する被保護回路を保護する過電流保護回路であって、
    前記被保護回路に供給されている電源電圧の電圧値に追従して変化する基準電圧を生成する基準電圧生成手段と、
    前記被保護回路に流れている電流によって変化する電圧値を、前記基準電圧と比較する比較手段と、
    前記比較手段の比較結果に応じて前記被保護回路の動作を停止させる動作停止手段と、
    を備え
    前記基準電圧生成手段は、
    一定の電流を生成する定電流生成手段と、
    前記定電流生成手段が生成した前記定電流がミラーされる基準電流生成MOSトランジスタと、
    前記基準電流生成MOSトランジスタによって生成された基準電流を電圧に変換して前記基準電圧を生成する電流・電圧変換手段と、を備え、
    前記基準電流生成MOSトランジスタは、ソース、ドレイン間電圧が電源電圧の電圧値に追従して変化することを特徴とする過電流保護回路。
  2. 前記基準電流生成MOSトランジスタは、前記被保護回路の電源電圧に対応する電圧値がソース、ドレイン間に印加され、前記定電流生成手段によって生成された前記定電流を前記ソース、ドレイン間に流すことにより、前記電源電圧に応じた値の基準電流を生成することを特徴とする請求項に記載の過電流保護回路。
  3. 前記電流・電圧変換手段は、前記基準電流がソース、ドレイン間に流される基準電圧生成MOSトランジスタであることを特徴とする請求項1または2に記載の過電流保護回路。
  4. 前記動作停止手段は、前記被保護回路を駆動するドライバに対し、前記被保護回路を停止するように指示する保護信号の出力を保持するラッチ回路を含み、
    前記ラッチ回路は、その保持状態が所定周期でリセットされることを特徴とする請求項1〜のいずれか1項に記載の過電流保護回路。
  5. 請求項1〜のいずれか1項に記載の過電流保護回路を備えることを特徴とするスイッチングレギュレータ。
  6. 請求項1〜のいずれか1項に記載の過電流保護回路を備えることを特徴とするスイッチングアンプ。
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