JP5285363B2 - スープ用油脂組成物 - Google Patents

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Description

本発明は、スープ用の油脂組成物に関する。
従来、中華スープやラーメンスープなどのスープに加える油脂に乳化剤を添加し、油脂がスープ表面で適度な大きさの油滴となるようにする試みが提案されている。
それらは例えば、融点40℃以下の食用油脂と乳化剤として(イ)ソルビタン脂肪酸トリエステル、(ロ)ソルビタン脂肪酸トリエステルまたはヨウ素価20以下のグリセリン脂肪酸部分エステルとソルビタン脂肪酸モノ−およびジーエステル、HLB1〜4の蔗糖脂肪酸部分エステル、及びプロピレングリコール脂肪酸部分エステルからなる群から選ばれた1種以上、または(ハ)ソルビタン脂肪酸トリエステルとヨウ素価20以下のグリセリン脂肪酸部分エステルを上記食用油脂に対して0.1〜3重量%含有するスープ用油脂組成物(特許文献1)、油脂、HLB1〜2の蔗糖脂肪酸エステル、各種調味料を含むスープ素材であって、上記ショ糖脂肪酸エステルが油脂に対して3〜30重量%の割合で含有されていることを特徴とするスープ素材(特許文献2)などである。
また、本出願人は水相への分散性が改善され、且つ室温で乳化剤に起因する濁りの発生を抑制する油脂の提供を課題として、下記のA成分とB成分とを含有することを特徴とする香味油組成物、A成分:トリグリセリン不飽和脂肪酸エステルおよび/またはテトラグリセリン不飽和脂肪酸エステル;B成分:ポリグリセリン縮合リシノール酸エステルおよび/またはプロピレングリコール脂肪酸エステル;(特許文献3)を完成させている。
しかし上記方法はいずれも油脂同士が集まり大きな油滴を作らないということが主たる目的であり、油脂で効率よくスープ表面を覆い、それによりスープの温度低下を防ぐことに関しては何ら考慮されていない。
特開昭53−86069号公報 特開2001−54372号公報 特願2007−246534号明細書
本発明の目的は、スープに添加した際効率よくスープの表面を覆うことによりスープの温度低下を防ぐスープ用油脂組成物を提供することである。
本発明者は、上記課題を解決する為に鋭意研究を重ねた結果、油脂にポリグリセリン縮合リシノール酸エステルを配合する事により上記課題を解決すること見出した。本発明者は、これらの知見に基づきさらに研究を重ね、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明は、油脂とポリグリセリン縮合リシノール酸エステルとを含有し、かつトリグリセリン不飽和脂肪酸エステルおよび/またはテトラグリセリン不飽和脂肪酸エステルを含有しないことを特徴とするスープ用油脂組成物、からなっている。
本発明のスープ用油脂組成物は、スープに添加した際スープ表面に適度な大きさの油滴がスープ表面を覆いスープの温度低下を防ぐことができる。
本発明で用いられる油脂は、食用に適した油脂が用いられ、例えば、牛脂、豚脂、鶏脂、魚油などの動物性油脂、およびこれらの硬化油;大豆油、ゴマ油、ピーナッツ油、コーン油、なたね油、ヤシ油、パーム油などの植物性油、およびこれらの硬化油;香味野菜、香辛料、畜肉類、魚介類などの香りを付与した香味油などが挙げられる。これらは1種類又は2種類以上の混合物として使用することができる。油脂の融点は特に制限はないが、スープ喫食時の味やテクスチャーを考慮すると融点40℃以下が好ましい。
本発明の油脂組成物100質量%中に含まれる油脂は、約96〜99.5質量%、好ましくは約98〜99質量%である。
本発明で用いられるポリグリセリン縮合リシノール酸エステルは、ポリグリセリンと縮合リシノール酸とのエステル化生成物であり、エステル化反応など自体公知の方法で製造される。
ポリグリセリン縮合リシノール酸エステルの原料として用いられるポリグリセリンとしては、グリセリンの平均重合度が約2〜15のポリグリセリンが挙げられ、好ましくは平均重合度が約4〜10のものである。ポリグリセリン縮合リシノール酸エステルの原料として用いられる縮合リシノール酸としては、通常ひまし油から分解・精製したひまし油脂肪酸(リシノール酸約90%以上)に少量のアルカリを触媒として添加し、窒素または二酸化炭素などの任意の不活性ガス雰囲気下で、例えば約180〜210℃の温度で加熱し、重縮合反応させて得られる混合物であれば特に制限はなく、通常リシノール酸の平均縮合度が約2〜10のものが挙げられ、好ましくは平均縮合度が約3〜6のものである。
ポリグリセリン縮合リシノール酸エステルとしては、例えば、ポエムPR−100(製品名;理研ビタミン社製)、ポエムPR−300(商品名;理研ビタミン社製)、SYグリスターCR−310(商品名;阪本薬品工業社製)、SYグリスターCR−500(商品名;阪本薬品工業社製)、SYグリスターCR−ED(商品名;阪本薬品工業社製)、SYグリスターCRS−75(商品名;阪本薬品工業社製)、サンソフト818SK(商品名;太陽化学社製)、NIKKOL Decaglyn PR−20(商品名;日光ケミカルズ社製)などが商業的に製造・販売されており、本発明ではこれらを用いることができる。
本発明の油脂組成物100質量%中に含まれるポリグリセリン縮合リシノール酸エステルは、約0.25〜2.5質量%、好ましくは約0.5〜2質量%である。約0.25質量%より少ないと効率よくスープ表面を覆うことができない。約2.5質量%より多いと、風味に影響し好ましくない。
本発明でいうトリグリセリン不飽和脂肪酸エステルは、トリグリセリンと不飽和脂肪酸とのエステル化生成物であり、エステル化反応など自体は公知の方法で製造される。
トリグリセリン脂肪酸エステルの原料として用いられるトリグリセリンとしては、通常グリセリンに少量の酸またはアルカリを触媒として添加し、窒素または二酸化炭素などの任意の不活性ガス雰囲気下で、例えば約180℃以上の温度で加熱し、重縮合反応させて得られるグリセリンの平均重合度が平均重合度注1)が約2.5〜3.4のトリグリセリン混合物が挙げられる。
注1)グリセリン1分子の重合度を1と数える
トリグリセリン脂肪酸エステルの原料として用いられる不飽和脂肪酸としては、食用可能な動植物油脂を起源とする不飽和脂肪酸であり、例えば、パルミトオレイン酸、オレイン酸、エライジン酸、リノール酸、γ−リノレン酸、α−リノレン酸などが挙げられる。
本発明でいうテトラグリセリン不飽和脂肪酸エステルは、テトラグリセリンと不飽和脂肪酸とのエステル化生成物であり、エステル化反応など自体は公知の方法で製造される。
テトラグリセリン脂肪酸エステルの原料として用いられるテトラグリセリンとしては、通常グリセリンに少量の酸またはアルカリを触媒として添加し、窒素または二酸化炭素などの任意の不活性ガス雰囲気下で、例えば約180℃以上の温度で加熱し、重縮合反応させて得られるグリセリンの平均重合度が平均重合度が約3.5〜4.4のテトラグリセリン混合物が挙げられる。
テトラグリセリン脂肪酸エステルの原料として用いられる不飽和脂肪酸としては、食用可能な動植物油脂を起源とする不飽和脂肪酸であり、例えば、パルミトオレイン酸、オレイン酸、エライジン酸、リノール酸、γ−リノレン酸、α−リノレン酸などが挙げられる。
本発明の油脂組成物は、上記した油脂、ポリグリセリン縮合リシノール酸エステルの他に、本発明の機能を阻害しない範囲内で例えばプロピレングリコール脂肪酸エステルなどの乳化剤、酸化防止剤、色素、香料などを添加することができる。
本発明の油脂組成物の製造方法は特に制限はなく、例えば、油脂にポリグリセリン縮合リシノール酸エステルを添加し約20〜110℃、好ましくは40〜80℃で溶解する方法や、香辛料類、調合香辛料類および香味野菜類などと油脂とを接触させて香味油脂を得る際に、ポリグリセリン縮合リシノール酸エステルを含有する油脂を使用し、香辛料や香味野菜に含まれる香味成分や色素類をポリグリセリン縮合リシノール酸エステルを含有する油脂に移行させる方法などが挙げられる。
本発明の油脂組成物はスープに用いられ、例えばラーメンスープ、中華スープなどが挙げられる。スープに添加する本発明のスープ用油脂組成物の量はスープの種類により適宜特定すればよいが、例えば、ラーメン用スープの場合、スープ300質量部に対して約1〜10質量部、好ましくは約3〜5質量部である。
以下に本発明を実施例で説明するが、これは本発明を単に説明するだけのものであって、本発明を限定するものではない。
[実施例1]
[油脂組成物の作製]
(1) 原材料
・豚脂(商品名:ポークオイルG;理研ビタミン社製)
・鶏脂(商品名:CPRオイル;理研ビタミン社製)
・香味油(商品名:シャン油;理研ビタミン社製)
・ポリグリセリン縮合リシノール酸エステル(商品名:ポエムPR−300;理研ビタミン社製)
・プロピレングリコール脂肪酸エステル(商品名:リケマールPO−100V;理研ビタミン社製)
(2)油脂組成物の配合
上記原材料を用いて作成した油脂組成物(試料1〜3)の配合組成を表1に示した。この内、試料1〜2は本発明に係る実施例であり、試料3はそれらに対する比較例である。
Figure 0005285363
(3)油脂組成物の作製
表1に示した配合に基づいて配合し、約50℃に加熱して溶解し油脂組成物(試料1〜3)を作製した。なお、各試料に1回の作製量は100gとした。
[油脂組成物(試料1〜3)の評価]
口径20cmのラーメン丼に熱湯を約300ml加えて丼を2分間温めた後湯を捨て、次に丼に油脂組成物3gと95℃に加温されたラーメンスープを300g入れ、ホイッパー(ステンレス製:全長20cm)で10回かき混ぜた。
ここでラーメンスープの組成は表2に記載した。
Figure 0005285363
(1)スープ表面の油脂の状態評価
ホイッパーで10回かき混ぜ終えた時点を0分とし、以降経時的にスープ表面の状態を観察した。結果を表3に示す。
記号の説明
○:適度な大きさの油滴がスープ表面全体を覆っている。
△:適度な大きさの油滴がスープ表面の一部を覆っている。
×:不均一な大きさの油滴がスープ表面の一部を覆っている。
Figure 0005285363
(2)スープの温度測定
ホイッパーで10回かき混ぜ終えた時点を0分とし、スープの温度を経時的に測定した。結果を表4に示す。
Figure 0005285363
結果より、実施例である試料1、2を加えたスープの温度は、約10分を過ぎても60℃以上を保っていた。一方、比較例である試料3を加えたスープの温度は、実施例と比較して相対的に低かった。

Claims (1)

  1. 油脂を96〜99.5質量%とポリグリセリン縮合リシノール酸エステルを0.25〜2.5質量%とを含有し、かつトリグリセリン不飽和脂肪酸エステルおよび/またはテトラグリセリン不飽和脂肪酸エステルを含有しないスープ用油脂組成物を、スープに配合することを特徴とするスープの温度低下を防ぐ方法。
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