JP5283603B2 - 電動ステアリングロック装置 - Google Patents

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Description

本発明は、車両の駐車時にステアリングホイールの回動を電動でロックするための電動ステアリングロック装置に関するものである。
近年、車両には盗難防止の目的で駐車時にステアリングホイールの回動を電動でロックするための電動ステアリングロック装置を備えたものがある。この電動ステアリングロック装置は、車両のステアリングシャフトに係合するロック位置とその係合が解除されるアンロック位置との間を移動可能なロック部材と、該ロック部材を作動させる電動モータと、該電動モータの出力軸の回転力を前記ロック部材の進退力に変換する駆動機構と、
を備えている。
斯かる電動ステアリングロック装置は、エンジン作動状態でドライバがエンジンスタートスイッチをOFF操作すると、これを検知して電動モータを駆動し、該電動モータによってロック部材を移動させてステアリングシャフトに係合させることによってステアリングホイールの回動をロックし、エンジン停止状態でドライバがエンジンスタートスイッチをON操作すると、これを検知して電動モータを駆動し、該電動モータによってロック部材を移動させて該ロック部材のステアリングシャフトへの係合を解除し、ステアリングホイールをアンロックしてステアリング操作を可能とするものである。
ところで、電動ステアリングロック装置の駆動機構として、特許文献1には、電動モータによって回転するねじ付きスピンドルと、ガイド内を直線移動するとともに前記ねじ付きスピンドルのねじ山に嵌合する内ねじ山を有するドライバを備えた構造のものが開示されている。
上記駆動機構によれば、電動モータによってスピンドルが一方向に回転すると、該スピンドルのネジ山に沿ってドライバがステアリングシャフトに向かって移動し、ドライバに連結された阻止エレメント(ロック部材)がステアリングシャフトに係合するロック位置に移動する。そして、電動モータによってスピンドルが逆転すると、該スピンドルのねじ山に沿ってドライバがステアリングシャフトから離脱する方向へ移動し、該ドライバに連結された阻止エレメントがステアリングシャフトとの係合が解除されるアンロック位置に移動する。
斯かる駆動機構を備えた電動ステアリングロック装置においては、車両の走行時の振動等によってスピンドルが不意に回転してしまうと、ドライバが移動して阻止エレメントがアンロック位置からロック位置へと移動してしまい、ステアリングがロックされてしまう可能性がある。
上記問題を解決するため、特許文献1には、阻止エレメントがアンロック位置にあるときに、固定レバーを阻止エレメントに係合させて阻止エレメントのロック位置への移動を阻止するようにした機構が提案されている(図2参照)。又、特許文献1には、スピンドルの回転に応じて固定レバーを作動させるシャフトを備えた機構が提案されている(図3参照)。
特開2000−233717号公報
しかしながら、特許文献1の図2に開示された機構においては、固定レバーを専用の電動モータによって作動させる構成が採用されているために製造コストが高くなるという問題がある。
又、特許文献1の図3に開示された機構においては、シャフトをスピンドルから阻止エレメントまで長く設ける必要があるため、電動ステアリングロック装置が大型化するという問題がある。
本発明は上記問題に鑑みてなされたもので、その目的とする処は、簡単な構成でロック部材をアンロック位置に保持して安全性を高めることができる電動ステアリングロック装置を提供することにある。
上記目的を達成するため、請求項1記載の発明は、
車両のステアリングシャフトに係合するロック位置とその係合が解除されるアンロック位置との間を移動可能なロック部材と、
該ロック部材を作動させる電動モータと、
該電動モータの出力軸の回転力を前記ロック部材の進退力に変換する駆動機構と、
前記ロック部材の作動位置を検出する作動位置検出機構と、
を備えた電動ステアリングロック装置において、
前記ロック部材に設けられた係合部に係合してロック部材のアンロック位置からロック位置への移動を阻止するとともに、前記ロック部材にアンロック位置からロック位置に向かう所定値以上の作動力が付加されると、ロック部材に形成された係合部との係合が解除される位置まで弾性変形可能なバネ部材を設け
前記ロック部材に設けられた磁石と該磁石の磁力を検出可能な磁気検出素子とによって前記作動位置検出機構を構成し、
端部に前記磁石を収納し、前記ロック部材から前記磁気検出素子に向かって突設されたアームをロック部材の前記係合部としたことを特徴とする。
請求項2記載の発明は、請求項1記載の発明において、前記バネ部材を非磁性材料によって構成したことを特徴とする。
請求項記載の発明は、請求項1又は2記載の発明において、モ前記磁気検出素子を有する基板を収容する基板収納部と、前記ロック部材、前記電動モータ及び前記駆動機構を収容するロック部材収納部を内部に形成して成るケースと、
該ケースの前記基板収納部と前記ロック部材収納部との間に形成された連通部を閉塞するカバーとを設け、
前記カバーに前記バネ部材を収容する凹部を設けたことを特徴とする。
請求項1記載の発明によれば、アンロック位置にあるロック部材のロック位置への移動をバネ部材によって阻止するようにしたため、簡単な構成でロック部材をアンロック位置に保持することができ、アンロック位置にあるロック部材が車両の走行時の振動等によって不意にロック位置へと移動してステアリングがロックするという不具合の発生を確実に防ぐことができ、車両に高い安全性が確保される。そして、車両の駐車時等においてステアリングをロックする必要がある場合には、電動モータが駆動されてロック部材にアンロック位置からロック位置に向かう所定値以上(バネ部材によるロック部材の拘束力以上)の作動力が付加され、バネ部材がロック部材に形成された係合部との係合が解除される位置まで弾性変形するため、ロック部材がロック位置へと移動してステアリングシャフトの回動を確実にロックし、車両を盗難から防ぐ。又、作動位置検出機構の磁石が設けられたロック部材のアームを、バネ部材に係合する係合部としたため、係合部及び該係合部が移動する空間を別途設ける必要がなく、部品点数の削減と省スペース化によって電動ステアリングロック装置のコストダウンと小型化を図ることができる。
請求項2記載の発明によれば、バネ部材を非磁性材料によって構成したため、磁石を保持するアーム(係合部)をバネ部材に係合させる構成を採用しても、バネ部材が磁石の磁気に影響を与えることがなく、作動位置検出機構によるロック部材(アーム)の位置を常に正確に検出することができ、この検出によって電動モータを駆動制御してロック部材をロック位置/アンロック位置に確実に移動させてステアリングをロック/アンロックすることができる。
請求項3記載の発明によれば、磁石と基板との対向空間を形成するケースの連通部をカバーで閉塞したため、駆動機構に塗布されたグリスが連通部を経て基板に飛び散ることがない。又、車両走行時の振動による磁石のロック部材からの脱落がカバーによって防がれる。
本発明に係る電動ステアリングロック装置のロック状態を示す縦断面図である。 本発明に係る電動ステアリングロック装置のアンロック状態を示す縦断面図である。 本発明に係る電動ステアリングロック装置の分解斜視図である。 本発明に係る電動ステアリングロック装置のバネ部材の斜視図である。 本発明に係る電動ステアリングロック装置のバネ部材の作用を説明する図である。 本発明に係る電動ステアリングロック装置のケースの底面図である。 本発明に係る電動ステアリングロック装置のケースを底面側から見た斜視図である。 本発明に係る電動ステアリングロック装置のカバー組付前の状態をリッドを取り外して示す底面図である。 本発明に係る電動ステアリングロック装置のカバー組付後の状態をリッドを取り外して示す底面図である。
以下に本発明の実施の形態を添付図面に基づいて説明する。
図1は本発明に係る電動ステアリングロック装置のロック状態を示す縦断面図、図2は同電動ステアリングロック装置のアンロック状態を示す縦断面図、図3は同電動ステアリングロック装置の分解斜視図、図4はバネ部材の斜視図、図5は同バネ部材の作用を説明する図、図6はケースの底面図、図7は同ケースを底面側から見た斜視図、図8は電動ステアリングロック装置のカバー組付前の状態をリッドを取り外して示す底面図、図9は同電動ステアリングロック装置のカバー組付後の状態をリッドを取り外して示す底面図である。
本発明に係る電動ステアリングロック装置1は、電動によって不図示のステアリングシャフト(ステアリングホイール)の回動をロック/アンロックするものであって、そのハウジング2は、金属製(例えば、マグネシウム合金)のケース3と該ケース3の下面開口部を覆う樹脂製のリッド4によって構成されている。
上記ケース3は矩形ボックス状に成形されており、その上部には円弧状の凹部3aが形成されており、この凹部3aには不図示のコラムチューブが嵌め込まれ、このコラムチューブはケース3に結着される不図示の円弧状のブラケットによってケース3に固定される。尚、図示しないが、コラムチューブ内には前記ステアリングシャフトが挿通しており、該ステアリングシャフトの上端にはステアリングホイールが結着され、ステアリングシャフトの下端はステアリングギヤボックスに連結されている。そして、ドライバがステアリングホイールを回動操作すれば、その回転はステアリングシャフトを経てステアリングギヤボックスに伝達され、操舵機構が駆動されて前輪が転舵されて所要の操舵がなされる。
又、図3に示すように、ケース3の側部には矩形のコネクタ配設部3bが開口しており、このコネクタ配設部3bが形成された側面以外の他の3つの側面にはピン5が圧入される円孔状のピン孔3c(図3には2つのみ図示)が形成されている。
他方、前記リッド4は矩形平板状に成形されており、その内面(上面)には3つのブロック状のピン留め部4Aと3つの円柱状のカバー押さえ部4B及び有底筒状のギヤ保持筒部4Cが一体に立設されている。ここで、3つのピン留め部4Aはケース3の前記ピン孔3cの位置に対応する箇所に形成されており、これらには前記ピン5が圧入される円孔状のピン挿通孔4a(図3には1つのみ図示)が形成されている。
而して、リッド4は、図1及び図2に示すように、ケース3の下面開口部を下方から覆うようにケース3の下端部内周に嵌め込まれ、ケース3の側部に形成された3つの前記ピン孔3c(図3参照)に挿通するピン5を該リッド4に立設された3つのピン留め部4Aに形成されたピン挿通孔4aに圧入することによってケース3に固定される。
ところで、ハウジング2には、図6及び図7に示すように、ロック部材収納部2Aと基板収納部2Bが形成されており、これらのロック部材収納部2Aと基板収納部2Bとは上下方向に延びる細長い連通部2Cによって互いに連通している。
図1及び図2に示すように、上記ロック部材収納部2Aにはロック部材6が収納されており、このロック部材6は、下端部外周に雄ネジ部7aが刻設された略円筒状のドライバ7と、該ドライバ7内に上下動可能に収容されたプレート状のロックボルト8とで構成されている。ここで、ロックボルト8には上下方向に長い長孔8aが形成されており、ロックボルト8は長孔8aに横方向に挿通するピン9によってドライバ7に連結されている。尚、ピン9は、ドライバ7に横方向に貫設されたピン挿通孔7bに圧入によって挿通保持されている。
そして、ロックボルト8は、ケース3に形成された矩形の挿通孔3d内に上下動可能に嵌合しており、これとドライバ7の隔壁7c間に縮装されたスプリング10によって常時上方に付勢され、通常はロックボルト8の長孔8aの下部がピン9に係合することによって該ロックボルト8はドライバ7と共に上下動する。
又、ドライバ7の上部外周の相対向する箇所には水平に延びる係合部としてのアーム7Aと上下方向に長い回り止め部7Bが一体に形成されており、アーム7Aは、ハウジング2(ケース3)に形成された前記連通部2Cに上下動可能に収容され、回り止め部7Bは、ケース3に形成された係合溝3eに係合してドライバ7の回転を阻止する。そして、アーム7Aの先端部には横断面矩形の磁石収納部7dが形成されており、この磁石収納部7dには四角柱状の磁石11が圧入によって収納されている。
更に、図1及び図2に示すように、ハウジング2内に形成された前記ロック部材収納部2Aには円筒状のギヤ部材12が回転可能に収容されており、該ギヤ部材12の下部外周はリッド4の内面(上面)に立設された前記ギヤ保持筒部4Cによって回転可能に保持されている。そして、このギヤ部材12の下部外周にはウォームギヤ12aが形成され、内周には雌ネジ部12bが形成されている。
上記ギヤ部材12の内部には前記ドライバ7の下部が挿入されており、このドライバ7の下部外周に形成された前記雄ネジ部7aは、ギヤ部材12の内周に形成された前記雌ネジ部12bが噛合している。そして、リッド4のギヤ保持筒部4Cの中心部に形成された円柱状のスプリング受け4bとドライバ7の隔壁7cの間にはスプリング13が縮装されており、ロック部材6(ドライバ7とロックボルト8)はスプリング13によって常時上方に付勢されている。
又、図8に示すように、ハウジング2内には電動モータ14が横置き状態で収納されており、この電動モータ14の出力軸14aには小径のウォーム15が形成されている。このウォーム15は、ハウジング2に形成された前記ロック部材収納部2A内に収納され、ギヤ部材12の外周に形成された前記ウォームギヤ12aに噛合している。ここで、ウォーム15とウォームギヤ12aは、電動モータ14の出力軸14aの回転力をロック部材6の進退力に変換する駆動機構を構成している。尚、図8に示すように、電動モータ14の出力軸14aの自由端は、ケース3に形成された軸受凹部3fによって回転可能に支持されている。
一方、図1、図2、図8及び図9に示すように、ハウジング2に形成された前記基板収納部2Bには基板16が収納されており、この基板16は、ケース3の内面の相対向する箇所に形成された基板保持溝3g(図6及び図7参照)にその両端縁を差し込むことによってケース3に固定保持されている。
ここで、図3に示すように、基板16の内面上下のロック及びアンロック位置に対応する位置には磁気検出素子である第1及び第2のホール素子17,18が設けられており、これらのホール素子17,18と前記磁石11によって作動位置検出機構が構成され、この作動位置検出機構によって後述のようにロック部材6(アーム7A)の位置(ロック/アンロック位置)が検出される。
又、基板16にはコネクタ19が取り付けられており、このコネクタ19には、車体に内臓された不図示のECUから延びる不図示のコネクタが接続され、第1及び第2のホール素子17,18はECUに電気的に接続されている。尚、コネクタ19には上下2つのモータ給電端子20ガ突設されており、これらのモータ給電端子20は前記電動モータ14に接続され、電動モータ14には不図示のバッテリからモータ給電端子20を経て電力が供給される。又、図8及び図9に示すように、コネクタ19は、ケース3の側部に形成された前記コネクタ配設部3bに組み込まれている。
ところで、本実施の形態では、ハウジング2に形成された前記ロック部材収納部2Aと前記基板収納部2Bとを連通させる連通部2Cは、ドライバ7のアーム7Aに取り付けられた前記磁石11と基板収納部2Bに収納された前記基板16との対向空間を形成している。そして、図1及び図2に示すように、ロック部材6と基板16との間の位置(アーム7Aの磁石収納部7dの開口部に対向して磁石11の磁石収納部7dからの脱落を阻止する位置)には樹脂製のカバー21が配設されており、このカバー21によって連通部2Cが閉塞されるとともに、磁石11の磁石収納部7dからの脱落が阻止されている。
ここで、カバー21は、図3に示すように、水平なベース部21Aと該ベース部21Aから垂直に起立する遮蔽部21Bとで構成されており、ベース部21Aには前記ギヤ部材12との干渉を避けるための円弧状の切欠き21aが形成されるとともに、前記電動モータ14の出力軸14aの端部を押さえるための凸部21bが一体に形成されている。
又、カバー21の遮蔽部21Bには、前記ドライバ7の水平なアーム7Aの上下動を許容する袋状の凹部21cが形成されており、この凹部21c内にアーム7Aの先端部及び該アーム7Aの磁石収納部7dに収納された磁石11が挿入されている。
而して、カバー21は、遮蔽部21Bの両側端縁が図6に示すケース3に相対向して形成された一対のカバー挿入溝3hに嵌め込まれ、ベース部21Aがリッド4に形成された前記カバー押さえ部4B上に載置されることによって、図1及び図2に示すようにロック部材6と基板16との間に配設されている。
ところで、本実施の形態では、カバー21の凹部21c内にはバネ部材22が嵌合保持されている。このバネ部材22は、ステンレス等の非磁性材料によって構成され、図4に示すように、上方が開口する二股状(略U字状)に成形され、その高さ方向中間部には内方に向かって対向する山形の一対の係合凸部22aが形成されている。ここで、一対の係合凸部22aの間隔はドライバ7に形成された前記アーム7Aの幅寸法よりも小さく設定されている。
次に、以上のように構成された電動ステアリングロック装置1の動作(ロック/アンロック動作)を図1及び図2に基づいて説明する。
不図示のエンジンが停止している状態では、図1に示すように、ロック部材6のロックボルト8は上限のロック位置にあって、その上端部がケース3のロックボルト挿通孔3dから凹部3aに突出して不図示のステアリングシャフトに係合して該ステアリングシャフトの回動をロックしており、このロック状態においては不図示のステアリングホイールを回動操作することができず、これによって車両の盗難が防がれる。尚、このとき、アーム7Aに収容された磁石11は、基板16に設けられた上方の第1のホール素子17の近傍に位置している。
上記状態からドライバが不図示のエンジンスタートスイッチをON操作すると、ECUがこれを検知して電動ステアリングロック装置1に対してアンロック信号を送信する。すると、電動ステアリングロック装置1の基板16に設けられた制御部は、電動モータ14に給電してこれを起動する。
上述のように電動モータ14が起動されると、その出力軸14aの回転はウォーム15とウォームギヤ12aによって減速されつつ方向が直角に変換されてギヤ部材12に伝達され、該ギヤ部材12が回転されるため、該ギヤ部材12の内周に刻設された雌ネジ部12bに螺合する雄ネジ部7aが形成されたドライバ7がスプリング13の付勢力に抗して下動する。このようにドライバ7が下動すると、該ドライバ7に一体に形成されたアーム7Aとピン9によってドライバ7に連結されたロックボルト8が下動する。
上述のようにドライバ7のアーム7Aが下動する際、該アーム7Aがバネ部材22の係合突起22aに係合するためにアーム7Aにはその下動を規制する力が作用するが、この規制力(拘束力)は電動モータ14によってアーム7Aに付加される作動力よりも小さいため、アーム7Aは、バネ部材22をその係合凸部22aを押し開くように弾性変形させ、係合凸部22aを乗り越えて図5に実線にて示す位置から鎖線位置へと移動することができる。
而して、上述のようにドライバ7のアーム7Aが下動してロックボルト8が図2に示すように下限のアンロック位置に達すると、該ロックボルト8の上端部がケース3のロックボルト挿通孔3dの内部に退避するため、ロックボルト8のステアリングシャフトへの係合が解除され、ステアリングシャフトのロックが解除されてアンロック状態となり、ドライバによるステアリングホイールの回動操作が可能となる。
又、ドライバ7のアーム7Aが下動すると、その先端部に収容された磁石11が図2に示すように基板16の下方の第2のホール素子18に近づき、該第2のホール素子18によって磁石11の磁力が検出される。これによってロックボルト8がアンロック位置に移動したことが検出され、基板16の制御部が電動モータ14の駆動を停止するとともに、車体側のECUにアンロック完了信号を送信するため、図2に示すアンロック状態が維持され、車両の走行が可能となる。
而して、図2に示すように、ロック部材6がアンロック位置にある状態においては、ドライバ7のアーム7Aがバネ部材22の係合凸部22aに係合するためにロック部材6のロック位置への移動が阻止され、バネ部材22を設けるだけの簡単な構成でロック部材6をアンロック位置に保持することができ、アンロック位置にあるロック部材6のロックボルト8が車両の走行時の振動等によって不意にロック位置へと移動してステアリングがロックするという不具合の発生が確実に防がれ、車両に高い安全性が確保される。
そして、車両が停止し、ドライバがエンジンスタートスイッチをOFF操作してエンジンを切ると、ECUがこれを検知して電動ステアリングロック装置1に対してロック信号を送信する。すると、電動ステアリングロック装置1の基板16に設けられた制御部は、電動モータ14に通電して該電動モータ14の出力軸14aを逆転させる。
上述のように電動モータ14の出力軸14aが逆転されると、その回転はウォーム15とウォームギヤ12aを経てギヤ部材12に伝達され、該ギヤ部材12が逆転されるためにドライバ7が上動し、該ドライバ7に一体に形成されたアーム7Aとピン9によってドライバ7に連結されたロックボルト8が上動する。
上述のようにドライバ7のアーム7Aが上動する際、該アーム7Aがバネ部材22の係合突起22aに係合するためにアーム7Aにはその上動を規制する力が作用するが、この規制力(拘束力)は電動モータ14によってアーム7Aに付加される作動力よりも小さい(作動力の方が規制力よりも大きい)ため、アーム7Aは、バネ部材22をその係合凸部22aがアーム7Aとの係合が解除される位置まで弾性変形させ、係合凸部22aを乗り越えて図5に鎖線にて示す位置から実線位置へと移動することができる。
而して、上述のようにドライバ7のアーム7Aが上動してロックボルト8が図1に示すように上限のロック位置に達すると、該ロックボルト8の上端部がステアリングシャフトに係合するため、ステアリングシャフトの回動がロックされるロック状態となり、駐車時における車両の盗難が防がれる。尚、ロックボルト8のステアリングシャフトの係合溝への係合が良好に行われない場合には、該ロックボルト8に形成された長孔8a内をピン9が相対移動することができる範囲でロックボルト8がスプリング10の付勢力に抗して下動するため、ロックボルト8に過大な負荷が作用することがない。
又、ドライバ7のアーム7Aが上動すると、その先端部に収容された磁石11が図1に示すように基板16の上方の第1のホール素子17に近づき、該第1のホール素子17によって磁石の磁力11が検出される。これによってロックボルト8がロック位置に移動したことが検出され、基板16の制御部が電動モータ14の駆動を停止するとともに、車体側のECUにロック完了信号を送信するため、図1に示すロック状態が維持される。尚、本実施の形態では、第1及び第2のホール素子17,18をロック位置及びアンロック位置において磁石11と対向する位置に設けず、これらのロック位置及びアンロック位置から多少外れた位置に配置したが、これは両ホール素子17,18を所定距離以上離すことによって、磁石11がロック位置又はアンロック位置に達した際に両ホール素子17,18が磁石11の磁力を同時に検出するという不具合の発生を防ぐためである。
而して、本発明に係る電動ステアリングロック装置1によれば、アンロック位置にあるロック部材6のロック位置への移動をバネ部材22によって阻止するようにしたため、簡単な構成でロック部材6をアンロック位置に保持することができ、アンロック位置にあるロック部材6のロックボルト8が車両の走行時の振動等によって不意にロック位置へと移動してステアリングがロックするという不具合の発生を確実に防ぐことができ、車両に高い安全性が確保される。そして、車両の駐車時等においてステアリングをロックする必要がある場合には、電動モータ14が駆動されてロック部材6にアンロック位置からロック位置に向かう所定値以上(バネ部材22によるロック部材6の拘束力以上)の作動力が付加され、バネ部材22がドライバ7に形成されたアーム7Aとの係合が解除される位置まで弾性変形するため、ロックボルト8がロック位置へと移動してステアリングシャフトの回動を確実にロックし、車両を盗難から防ぐ。
又、本実施の形態では、作動位置検出機構の磁石11が設けられたドライバ7のアーム7Aを、バネ部材22に係合する係合部としたため、係合部及び該係合部が移動する空間を別途設ける必要がなく、部品点数の削減と省スペース化によって電動ステアリングロック装置1のコストダウンと小型化を図ることができる。
更に、本実施の形態では、バネ部材22をステンレス等の非磁性材料によって構成したため、磁石11を保持するアーム(係合部)7Aをバネ部材22に係合させる構成を採用しても、バネ部材22が磁石11の磁気に影響を与えることがなく、作動位置検出機構によるロック部材6(アーム7A)の位置を常に正確に検出することができ、この検出によって電動モータ14を駆動制御してロック部材6(ロックボルト8)をロック位置/アンロック位置に確実に移動させてステアリングをロック/アンロックすることができる。
その他、本実施の形態によれば、以下のような効果が得られる。
即ち、本実施の形態では、ハウジング2に形成されたロック部材収納部2Aと基板収納部2Bとを連通させて磁石11と基板16との対向空間を形成する連通部2Cをカバー21で閉塞したため、駆動機構を構成するウォーム15とウォームギヤ12aに塗布されたグリスが連通部2Cを経て基板16に飛び散ることがなく、又、カバー21は非磁性体の樹脂で構成されているため、このカバー21が磁石11とホール素子17,18との間に介在しても、ホール素子17,18による磁石11の磁気検出に支障を来すことがない。そして、カバー21が磁石11のロック部材6(アーム7A)からの脱落を阻止する位置に配置されているため、車両走行時の振動によっても磁石11がロック部材6(アーム7A)から脱落することがない。
以上のように、グリスの基板16への飛び散りがカバー21によって防がれるために基板16の電気的な不具合が解消されるとともに、磁石11のロック部材6(アーム7A)からの脱落がカバー21によって確実に防がれるため、ロック部材6(磁石11)の位置(ロック/アンロック位置)を常に正確に検出することができる。
又、グリスの基板16への飛び散りを防ぐためのカバー21を磁石11の脱落防止用としても兼用するため、磁石11をアーム7Aの磁石収納部7dに固定する手段として簡易な固定手段(例えば、圧入のみ、或いは接着剤や粘着剤を塗布しての挿入等)を採用することができ、専用の固定部材を省略して部品点数と製造コストの削減を図ることができるという効果も得られる。
1 電動ステアリングロック装置
2 ハウジング
2A ハウジングのロック部材収納部
2B ハウジングの基板収納部
2C ハウジングの連通部
3 ケース
3a ケースの凹部
3b ケースのコネクタ配設部
3c ケースのピン孔
3d ケースのロックボルト挿通孔
3e ケースの係合溝
3f ケースの軸受凹部
3g ケースの基板保持溝
3h ケースのカバー挿入溝
4 リッド
4A リッドのピン留め部
4B リッドのカバー押さえ部
4C リッドのギヤ保持筒部
4a リッドのピン挿通孔
4b リッドのスプリング受け
5 ピン
6 ロック部材
7 ドライバ
7A ドライバのアーム
7B ドライバの回り止め部
7a ドライバの雄ネジ部
7b ドライバのピン挿通孔
7c ドライバの隔壁
7d アームの磁石収納部
8 ロックボルト
8a ロックボルトの長孔
9 ピン
10 スプリング
11 磁石
12 ギヤ部材
12a ウォームギヤ
12b ギヤ部材の雌ネジ部
13 スプリング
14 電動モータ
14a 電動モータの出力軸
15 ウォーム
16 基板
17 第1のホール素子(磁気検出素子)
18 第2のホール素子(磁気検出素子)
19 コネクタ
20 モータ給電端子
21 カバー
21A カバーのベース部
21B カバーの遮蔽部
21a カバーの切欠き
21b カバーの凸部
21c カバーの凹部
22 バネ部材
22a バネ部材の係合凸部

Claims (3)

  1. 車両のステアリングシャフトに係合するロック位置とその係合が解除されるアンロック位置との間を移動可能なロック部材と、
    該ロック部材を作動させる電動モータと、
    該電動モータの出力軸の回転力を前記ロック部材の進退力に変換する駆動機構と、
    前記ロック部材の作動位置を検出する作動位置検出機構と、
    を備えた電動ステアリングロック装置において、
    前記ロック部材に設けられた係合部に係合してロック部材のアンロック位置からロック位置への移動を阻止するとともに、前記ロック部材にアンロック位置からロック位置に向かう所定値以上の作動力が付加されると、ロック部材に形成された係合部との係合が解除される位置まで弾性変形可能なバネ部材を設け
    前記ロック部材に設けられた磁石と該磁石の磁力を検出可能な磁気検出素子とによって前記作動位置検出機構を構成し、
    端部に前記磁石を収納し、前記ロック部材から前記磁気検出素子に向かって突設されたアームをロック部材の前記係合部としたことを特徴とする電動ステアリングロック装置。
  2. 前記バネ部材を非磁性材料によって構成したことを特徴とする請求項1記載の電動ステアリングロック装置。
  3. 前記磁気検出素子を有する基板を収容する基板収納部と、前記ロック部材、前記電動モータ及び前記駆動機構を収容するロック部材収納部を内部に形成して成るケースと、
    該ケースの前記基板収納部と前記ロック部材収納部との間に形成された連通部を閉塞するカバーとを設け、
    前記カバーに前記バネ部材を収容する凹部を設けたことを特徴とする請求項1又は2記載の電動ステアリングロック装置。
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