しかしながら、特許文献1に記載の釣竿携帯用保持具においては、ベルトの一端に釣竿係止用凹溝を有する係止部材を設ける必要があり、ベルトとこの係止部材とを一体に成形することができず、製造コストが嵩むほか、比較的硬い合成樹脂材で形成された係止部材に柔軟な発泡ゴム製のベルトを取り付けると、その取付部分に応力が集中し、切断し易くて耐久性に乏しく、商品化が困難であった。
また、特許文献2に記載の釣り竿収束バンドにおいては、第一釣竿締付環を形成するためにバンド主体の他端部をバンド主体の一端部に形成したスリット部内に挿入し、形成された第一釣竿締付環で予備の釣り竿にしっかりと固定し、その後に第二釣竿締付環を形成してその日に使う釣り竿を予備の釣り竿と一緒に固定するものであるから、その取扱操作釣り竿の締付操作が面倒であると共に、複数本に分割されて互いに接続可能な釣竿部材からなる釣竿体の結束用としては不向きである。
更に、特許文献3〜5に記載の釣り具用ベルトでは、いずれも、柔軟性及び伸縮性を有する発泡ゴム製のベルト本体の外面全面に止め具を構成する面ファスナー雌部が設けられているので、複数の釣竿体に巻き付けて結束する際に、ベルト本体の一端部を2本又は3本以上の複数の釣竿体間に挟み込んで巻き付けようとした際に、このベルト本体の一端部外面に位置する面ファスナー雌部が何本かの釣竿体の表面と接することになる。
しかるに、この何本かの釣竿体の表面と不可避的に接するベルト本体外面の面ファスナー雌部は、その表面全面が、面ファスナー雄部に設けられたフック片が容易に係脱可能なようにナイロン、ポリエステル等の合成繊維でループ状に形成されたループ繊維で覆われており、この面ファスナー雌部は全体として非常に滑り易い性質を持っている。
このため、たとえベルト本体が柔軟性及び伸縮性を有して釣竿体表面の塗装面等に対して比較的滑り難い材質を有していたとしても、ベルト本体の一端部外面の面ファスナー雌部に接する何本かの釣竿体が滑り易い状態にあり、その位置決めが安定しないため、複数の釣竿体を釣り具用ベルトで結束する際には、ベルト本体の一端部を複数の釣竿体間に挟み込んでしっかりと握り、この握り締めた複数の釣竿体の周りにベルト本体を始めはゆっくりと注意深く巻き付け、次第に強く巻き付けるようにする必要があり、使用時の操作性に問題があり、特に雨の日等で釣竿体が水で濡れていると更に滑り易くなって、使用時の操作性が更に悪化するという問題があった。
また、このように面ファスナー雌部に接する何本かの釣竿体が滑り易い状態にあると、必然的にこれらの釣竿体の結束性が不十分になり易く、例えば、複数の釣竿体が複数本に分割されて互いに接続可能な釣竿部材からなる場合、外径が小さく接触面積の小さい穂先部の釣竿体では、時として、抜け落ちたり、結束ベルトの中で遊んでこれを傷めてしまう等の問題が生じる。
更に、複数本に分割されて互いに接続可能な釣竿部材からなる釣竿体の場合、使用の際には分割された複数の釣竿体を雄雌式に嵌合し連結して使用するが、使用後には複数の各釣竿体に分解して結束ベルトで結束する。そして、このような釣竿体の雄雌式の嵌合連結部は、使用時にはしっかりと連結されている必要があることから、この分解操作に際して、時として雄雌式の嵌合連結部が固着して緩め難くなることがあり、特に釣竿の使用環境が雨降り等の水に濡れた環境で使用される場合にはこの傾向が顕著になる。このような場合、通常は、釣竿体をしっかりと滑らずに握ることができる何か滑り止め効果の高いゴム製のもの、例えば幅広の大きな輪ゴム等を釣竿体に巻き付け、この輪ゴム等を介して嵌合連結部を緩めることが行われるが、このような何か滑り止め効果の高いゴム製のものが無い場合には、結束ベルトを用いてもよいが、従来の結束ベルトではその滑り止め機能が不足し、特に水に濡れた環境での使用には十分に対応できない。
そこで、本発明者は、上記従来の釣竿結束ベルトにおける問題点を解決すべく鋭意検討した結果、意外にも、複数の釣竿体の間に挟み込まれて巻き始め端側となる巻付開始部を有する帯状のベルト本体の、少なくともその巻付開始部の外側面及び内側面の両面に、釣竿体の表面に対する滑り止め機能を持たせることにより、複数の釣竿や複数本に分割されて互いに接続可能な釣竿部材からなる複数の釣竿体を一纏めにして結束する際に、これら複数の釣竿体を一纏めに束ね、これら複数の釣竿体に巻き付けて結束し、固定する、いわゆる「巻付け操作性」に優れ、たとえ水に濡れた状態でも容易に巻き付けて結束することができ、しかも、釣竿体の表面に対する滑り止め機能を生かして、複数本に分割されて互いに接続可能な釣竿部材からなる釣竿体の場合に、使用後にその釣竿体の雄雌式の嵌合連結部を分解する際の分解補助具として使用する、いわゆる「嵌合連結部の分解補助機能」をも発揮することを見出し、本発明を完成した。
従って、本発明の目的は、複数の釣竿又は複数本に分割されて互いに接続可能な釣竿部材からなる複数の釣竿体を一纏めにし、これに巻き付けて複数の釣竿体を結束するための釣竿結束ベルトであって、たとえ水に濡れた状態でも容易に巻き付けて結束することができる優れた巻付け操作性を有するだけでなく、優れた釣竿体嵌合連結部の分解補助機能をも備えた釣竿結束ベルトを提供することにある。
すなわち、本発明は、複数の釣竿又は複数本に分割された釣竿部材からなる複数の釣竿体に巻き付けてこれら複数の釣竿体を結束するための釣竿結束ベルトであり、互いに結束される複数の釣竿体の間に挟み込まれて巻き始め端側となる巻付開始部及び巻き終り端側となる終端部を有すると共に、複数の釣竿体に巻き付けた際に外側に位置する外側面及び内側に位置する内側面を有する帯状のベルト本体と、このベルト本体の終端部とベルト本体の外側面との間を係脱可能に係止する係止部材とを備え、上記ベルト本体には、少なくともその巻付開始部の外側面及び内側面の両面に、釣竿体の表面に対する滑り止め機能を持たせたことを特徴とする釣竿結束ベルトである。
本発明において、ベルト本体は、その基本的な大きさが厚さ0.5mm以上6mm以下、幅10mm以上100mm以下、長さ100mm以上500mm程度の帯状に形成されており、複数の釣竿体に巻き付けて結束し固定するという本来の機能を発揮できれば、製品価値の向上等を目的としてその形状、模様等に種々のデザインを施すことができる。
また、本発明において、ベルト本体に設けられる巻付開始部の長さは、互いに結束される複数の釣竿体の間に挟み込まれて巻き始めるのに必要な長さであって、好ましくは2本の釣竿体の表面にS字状に巻き付けるだけの長さ以上を有するのがよく、適用される釣竿体の太さ等によっても異なるが、通常1cm以上15cm以下、好ましくは2cm以上12cm以下であり、ベルト本体全長の略1/20以上1/2以下の長さ、好ましくは1/15以上1/3以下の長さがよい。
ここで、滑り止め機能が付与されるベルト本体の内側面及び外側面の領域については特に制限されないが、巻付け操作性を確保するために少なくとも上記巻付開始部の内側面及び外側面の両面については滑り止め機能を有していることが必要であり、また、複数本に分割されて互いに接続可能な釣竿部材からなる複数の釣竿体の結束ベルトとして用いる場合において、使用後の嵌合連結部を分解する際の嵌合連結部の分解補助機能を発現させるためには、ベルト本体の内側面及び/又は外側面において、好ましくは4cm以上、より好ましくは5cm以上の長さの滑り止め機能を有する領域が存在するのがよく、好ましくはベルト本体の終端部を除く内側面全面に滑り止め機能を付与するのがよい。
更に、本発明において、ベルト本体の終端部とベルト本体の外側面との間を係脱可能に係止する係止部材については、例えばベルト本体の外側面に形成された係止溝とベルト本体の終端部に形成されて上記係止溝に係脱可能に係止する鉤状部とからなる構成等のものであってもよいが、巻付け操作性等の観点から、好ましくは、ベルト本体の外側面に設けられた雌部面ファスナーとベルト本体の終端部の内側面に設けられた雄部面ファスナーとからなる面ファスナーであるのがよく、束ねる釣竿体の本数や外径にかかわらず自由な位置でベルト本体の終端部を係止できることから、より好ましくは、上記雌部面ファスナーが、ベルト本体の少なくとも巻付開始部を除く、ベルト本体の外側面全面に設けられているのがよい。
このような目的で係止部材として用いられる面ファスナーとしては、例えば、雄部面ファスナーが、雄部面ファスナーの基材の表面にフック状の係止片が複数設けられたものが好ましく、また、雌部面ファスナーが、雌部面ファスナーの基材の表面に合成繊維がループ状に複数形成されて、雄部面ファスナーのフック片と係脱可能に係止できるものがよい。更に、雌部面ファスナーは、例えば織布状、ニット布状、不織布状等の布状で全体が伸縮性を有するものが好ましい。これらの面ファスナーは、例えば、ナイロン、ポリエステル、ポリプロピレン等による公知の面ファスナーが使用できる。
また、上記の雌部面ファスナーは、ベルト本体の外側面に設けられて、ベルト本体を釣竿体に巻き付けた時に、ベルト本体の終端部に設けられた雄部面ファスナーが係止可能な部位又は範囲に設けられていればよい。例えば、ベルト本体の巻付開始部を除く外側面の略全長に設けたり、ベルト本体の巻付開始部及び/又は終端部の端から一定長さ部分を除く領域に設けたり、あるいは、ベルト本体の幅寸法より狭い寸法で設けたり、長さ方向又は幅方向に分離分割して設けたりすることができる。
ここで、雌部面ファスナーはベルト本体の外側面でベルト本体の略全長に設けて構成することもできる。この場合には、ベルト本体の巻付開始部の領域の雌部面ファスナーに対しては、例えば、滑り止め機能に優れた樹脂による材料を接着又は縫着等の手段で積層したり、あるいは、これらの樹脂を含浸若しくは塗布したりして滑り止め機能を付与してもよい。このようにして、ベルト本体の少なくとも巻付開始部の内側面と外側面の両面で滑り止め機能を有するように構成することもできる。
そして、上記の雄部面ファスナーについては、ベルト本体の終端部の端に接して取付けられてもよいし、この端から一定の間隔をあけて取付けられていてもよい。更に、幅方向の両端に接して取付けてもよく、或いはこれら両端から一定の間隔をあけて取付けるようにしてもよい。また、雄部面ファスナーの大きさは、ベルト本体を釣竿体に巻き付けてこの終端部付近で係止固定できる大きさであればよく、例えば、終端部付近に1cm2以上20cm2以下の大きさで設けられる。また、長さ方向には5mm以上100mm以下の長さで、好ましくは5mm以上80mm以下の長さで設けるのがよい。また、このような雄部面ファスナーは、ベルト本体終端部の内側面に縫着、接着等の手段で取り付けることができ、接着手段としては感圧型の接着剤等が使用できる。
ここで、雄部面ファスナーは、全体が樹脂の成型品であったり、樹脂の単繊維(モノフィラメント)によって織物に多数のフック状の係止片を織り込んだ構造になっており、繰返しの係脱操作によって簡単にフック片が変形したり、外れたりすることがないように、比較的強靭な材料で形成されて必然的に強固な構造を持ち、柔軟な布状の雌部面ファスナーと比較して高い剛性を有している。このため、ベルト本体の終端部付近は、そこに設けられた雄部面ファスナーによって曲げ剛性が必然的に大きくなっている。その結果、ベルト本体を複数の釣竿体に略円形状に巻き付けてこのベルト本体の終端部を係止する際に、特に係止部分が曲率半径の小さい部分であると、ベルト本体の終端部が係止部分の円形状に倣った曲率の円形状態を維持するのが困難になり、巻き付けて係止された終端部の端がスプリングバックし、この終端部に設けられた雄部面ファスナーのフック片が伸びきって雌部面ファスナーのループ片から離脱し、最後には終端部の端側が部分的に浮き上がってくる浮上り現象を引き起こす。この終端部端部の浮上り現象は、その後の釣竿体の取扱いにおいて引っ掛かる等の障害の原因になり、ひいては釣竿体の結束が外れる結果へと繋がり、係止部材の係止機能を不完全なものとする。
以上のような観点から、ベルト本体の終端部の内側面に設けられる雄部面ファスナーについては、ベルト本体の長さ方向に互いに若干の隙間を維持して設けられる複数の分割構成片で構成し、ベルト本体の終端部を曲げ易く柔軟にすることが好ましい。このように雄部面ファスナーを複数に分割して構成することによって、1片1個の雄部面ファスナーで構成したものと比較して、ベルト本体終端部の曲げ剛性を低下させることができるので、上記のようなスプリングバックを解消して終端部端部の浮上り現象を可及的に防止して、係止部材による係止をより確実なものとすることができる。
このように構成される雄部面ファスナーは、例えば、0.1mm以上50mm以下の間隔が設けられた複数の分割構成片で構成するのがよく、より好ましくは0.5mm以上10mm以下、さらに好ましくは1mm以上5mm以下の間隔を設けた複数の雄部面ファスナーで構成するのがよい。各分割構成片間の間隔が小さすぎると、ベルト本体終端部をその内側面方向に曲げたときに雄部面ファスナーの互いに対向する対向縁部が衝合して終端部を内側面側に柔軟に曲げることができなくなり、また、間隔が大きすぎると、雌部面ファスナーとの間で所望の接合力が確保できなくなったり、この接合力を確保するために終端部が必要以上に大きくなるという問題が生じる。
更に、このような雄部面ファスナーは、例えば、2個以上10個以下、好ましく2個以上5個以下の複数の分割構成片で構成することが好ましい。ここで、分割構成片の構成数(分割構成数)が比較的多ければベルト本体の終端部をスムーズに曲げることができるが、この分割構成数が少ないと終端部は多角的に曲がることになる。
ここで、複数に分割構成される雄部面ファスナーの各分割構成片の個々の長さは、例えば5mm以上30mm以下の長さ、より好ましくは5mm以上20mm以下の長さ、さらに好ましくは5mm以上15mm以下の長さで構成することが例示できる。個々の長さが短いほどベルト本体の終端部をスムーズな曲率にできると共にスプリングバックを減少でき、個々の長さが長すぎるとスプリングバックを助長する。また、ベルト本体の終端部の端に最も近い分割構成片を少なくともこのような長さで構成し、他の分割構成片をこれより長く構成してもよく、この場合にもベルト本体終端部の端の浮上り現象を有効に防止できる。
そして、本発明においては、ベルト本体の巻付開始部の外側面及び内側面の両面に釣竿体の表面に対する滑り止め機能を持たせる必要があることから、好ましくは、このベルト本体を形成する材料として優れた滑り止め機能を有するものを用いるか、あるいは、ベルト本体の表面に優れた滑り止め機能を発現させるための表面形状構造を容易に設けることができる材料であることが好ましい。
本発明のベルト本体を形成する上で好適な優れた滑り止め機能を有する材料としては、例えば、エチレン・酢酸ビニル共重合体、エチレン・エチルアクリレート共重合体、軟質ポリ塩化ビニル、軟質アクリル、ポリウレタン、軟質エポキシ、部分架橋アクリル酸エステル共重合体、等の軟質のプラスチック樹脂、更に、スチレン系エラストマー、ウレタン系エラストマー、ポリエステル系エラストマー、ポリアミド系エラストマー、オレフィン系エラストマー、塩化ビニル系エラストマー、塩素化ポリエチレン、シリコンゴム、クロロプレンゴム、ネオプレンゴム、合成ゴム、天然ゴム等のエラストマー樹脂等による材料、これら樹脂による発泡体材料、及びこれらの積層体等が例示でき、熱可塑性、熱硬化性の樹脂を問わず使用できる。また、これらの樹脂を別体の材料に積層したり、含浸したり、塗布することによって滑り止め機能に優れた材料とすることもできる。
また、ベルト本体の表面に優れた滑り止め機能を発現させるための表面形状構造を設ける上で好適な材料としては、好ましくはデュロメータA硬度40〜70の柔軟なエラストマー樹脂であるのがよく、これにより、ベルト本体の滑り止め機能をより一層高めることができる。エラストマー樹脂は柔軟であることが好ましいが、デュロメータA硬度40以下では軟らか過ぎて滑り止め機能の耐力が低下すると共に、巻付け操作の際の伸びが大きく耐久性を低下させる。また、デュロメータA硬度70以上では硬すぎて釣竿体の表面の凹凸に対する密着性が低下して所望の滑り止め機能を発現させるのが難しくなると共に、巻付け操作の際に伸長させるのが困難になり、結束して固定するための張力が不足する。
このようなエラストマー樹脂としては、例えば、スチレン系エラストマー、ウレタン系エラストマー、ポリエステル系エラストマー、ポリアミド系エラストマー、オレフィン系エラストマー、塩化ビニル系エラストマー、塩素化ポリエチレン、シリコンゴム、フッ素ゴム、合成ゴム、天然ゴム、等のエラストマー樹脂及びこれら樹脂の混合樹脂が例示でき、熱可塑性、熱硬化性の樹脂を問わず使用できる。とりわけ、スチレン系、ウレタン系、オレフィン系、塩化ビニル系等の熱可塑性エラストマー樹脂、若しくは、これら樹脂による混合樹脂が好ましく適用できる。これらの樹脂によるベルト本体は、熱可塑性のため加工性よく成形できると共に、柔軟性と機械的強度及び耐摩耗性にも優れるものとなる。
また、これらのエラストマー樹脂は適度な粘着性を持たせることで滑り止め耐力を向上させることができるので、これらのエラストマー樹脂に適宜な粘着付与材を配合することが好ましい。粘着付与材としては、ロジン、ロジン誘導体、ポリテルペン、テルペンフェノール樹脂、その他石油留分から合成される石油樹脂等が例示できる。
更に、ベルト本体は、複数層で構成することもできるので、例えば、ベルト本体において、その外側面及び/又は内側面に露出する表面層部分を硬度の小さいエラストマー樹脂で形成してその下層部分を硬度の大きいエラストマー樹脂で構成したり、外側面及び/又は内側面に露出するベルト本体の滑り止め機能を高めつつ全体の弾性力を調整することもできる等、異なる物性の材料を複数積層して構成するようにしてもよい。
そして、このようにベルト本体を複数層で構成する場合、例えば、蛍光色カラー層と隠蔽性を有する裏打層の2層以上で構成することができ、屋外環境で使用される釣竿体に対しての視認性を向上させることができる。ここで、上記のエラストマー樹脂に蛍光顔料を配合して蛍光色カラーとすることができるが、この蛍光色カラー層の下側に、白色又は白色を配合した蛍光色の裏打層を設けた2層構造とすれば、更に蛍光色の蛍光感を向上させることができる。
本発明において、滑り止め機能を発現させるためにベルト本体の表面に形成される表面形状構造については、ベルト本体の露出する外側面及び/又は内側面に形成される種々の凹凸模様であるのがよく、その形状、大きさ及び深さについては特に限定されず、例えば、布目模様、砂目模様、角錐模様、円錐模様、角柱模様、円柱模様、格子模様、縞模様、線状模様等や、これらの組合模様等を例示することができる。更に、凹凸は、全体に凹み部分を形成したもの、或いは、全体に柱状突起部を形成したもの、これらを適宜組み合わせたもの等の凹凸も例示できる。
本発明において、ベルト本体の外側面及び/又は内側面に形成される滑り止め機能発現のための表面形状構造として特に好ましいのは、ベルト本体の表面から互いに独立して突設された多数の柱状突起で構成されており、各柱状突起にはその頂上に互いに略同一平面状に位置する平滑な頂上面が形成されていると共に、各柱状突起の周方向側面と上記頂上面とで角部が形成されている構造である。これによって、ベルト本体に付与される滑り止め機能をより一層向上させることができ、特に釣竿の使用環境が雨降り等の水に濡れた環境で使用される場合でも、その優れた滑り止め機能を発揮でき、使用時における巻付け操作性が顕著に向上し、巻付け操作が極めて容易になると共に結束性能も向上し、しかも、複数本に分割されて互いに接続可能な釣竿部材からなる釣竿体における嵌合連結部の分解補助具としても好適に使用することができる。
ここで、ベルト本体の外側面及び/又は内側面に形成される柱状突起は、ベルト本体の表面からそれぞれ独立して柱状に立設されているので、ベルト本体を釣竿体に巻き付けたときの張力が柱状突起を介して釣竿体に対する押しつけ応力として作用する。この際、ベルト本体に設けられた柱状突起は、柱状突起の頂上が平滑な面に形成された頂上面を有しているため、この押しつけ応力の作用によって、柱状突起先端の柔軟な樹脂が釣竿体の表面に真空状態を形成しながら密着し、釣竿体の表面に対して優れた滑り止め機能を発揮する。
更に、柱状突起は、その頂上面とその周方向側面とが明確に角付けされているため、この明確に角付けされた頂上面の輪郭が水平方向の応力に対する抗力となって、更に滑り止め機能を向上させる。このため、雨天時等の水に濡れた環境での使用においても十分な滑り止め機能を発揮させることができる。
そして、柱状突起の頂上面はできる限り平滑な面に形成されているのがよく、釣竿体表面とより密着し易くなって滑り止め機能が向上する。例えば、柱状突起の頂上面はその表面に光沢を有するほどに形成されるのがよく、好ましくは鏡面状に形成されているのがよい。そして、この柱状突起の頂上面は、算術平均粗さRaが5μm以下の表面粗さ(JIS B0601)に形成するのがよく、より好ましくは3μm以下であり、更に好ましくは2μm以下の表面粗さである。
更に、柱状突起は、その頂上面とその周方向側面とが成形上可能な限り明確に角付けされていることが好ましく、角付けが明確であるほど水平方向の抗力を向上させ滑り止め機能が高まり、角付けが不足して角部が明らかに丸まっていると水平方向の抗力が不足する。そのため、柱状突起の頂上面と周方向側面との角付けは、例えば、角部の形状が半径500μm以下、好ましくは300μm以下、より好ましくは200μm以下、更に好ましくは100μm以下のR形状に形成するのがよい。
ここで、柱状突起の形状については、その横断面形状について、円形、楕円形、半円形、矩形、方形、多角形、模様形等、及びこれらを組み合わせた形状等が例示できる。長尺的に長く延在する横断面形状よりも単一的に独立した横断面形状を複数配設するのがよく、滑り止めの方向性をより少なくする観点から、円形の横断面形状を持つ柱状突起を複数均一的に配設することが例示できる。また、その縦断面形状については、矩形、方形、台形、円弧形等、及びこれらを組み合わせた形状等が例示される。そして、この柱状突起は、その全体が略々台形に近似した縦断面形状を有していてもよく、柱状突起先端の上底よりもベルト本体に接する下底が大きくなるように形成することにより、柱状突起の成形がより容易になる。
更に、柱状突起の高さについては、ベルト本体の表面から概ね0.1mm以上3mm以下、好ましくは0.3mm以上2mm以下の高さに形成されているのがよく、高さが小さすぎると柱状突起の形成が困難となり、また高さが大きすぎると、柱状突起の変形が大きくなり滑り止め機能の耐力が失われる。なお、柱状突起の高さはベルト本体の表面から柱状突起の頂上面までの垂直距離である。
そして、柱状突起は、個々の頂上面の面積が1mm2以上20mm2以下の大きさでベルト本体に均一的に配列されて形成されるのがよく、頂上面の面積が大きすぎると釣竿体に接する柱状突起の数量が減って好ましくなく、頂上面の面積が小さすぎると成形が困難となる上、柱状突起自体が変形して好ましい滑り止め機能が得られない。
更に、柱状突起は、ベルト本体の平面の面積に対する頂上面の合計面積の比率が概ね20%以上50%以下、好ましくは25%以上45%以下の割合で形成されているのがよく、これによって、釣竿体に対して数多くの柱状突起が当接することができ、有効に滑り止め機能を発現させることができる。頂上面の形成割合が低すぎると滑り止めが有効に機能せず、頂上面の形成割合が高すぎると柱状突起が密集してこれの成形が困難となる。
また、このような柱状突起が形成されたベルト本体は、例えば、静摩擦係数が0.5以上の滑り止め機能を有しているのがよく、好ましくは、0.8以上の静摩擦係数であり、更に好ましくは1以上の静摩擦係数であるのがよい。なお、静摩擦係数は、試験方法として、JIS K7125(プラスチック-フィルム及びシート-摩擦係数試験方法)に準じて行なわれる試験により得られた静摩擦係数である。ここで、静摩擦力は摩擦面が接触する時間と共に増加するため、接触時間を30秒と規定する。
上記の通り、本発明においては、ベルト本体に付与される滑り止め機能を、ベルト本体を形成する材料それ自体の材質に由来して発現させても、また、ベルト本体の表面に滑り止め機能発現のための表面形状構造を設けることにより発現させてもよいが、勿論、材料それ自体の材質に由来する滑り止め機能とベルト本体の表面形状構造に由来する滑り止め機能とを併用させてもよい。
なお、本発明においては、ベルト本体の巻付開始部にこのベルト本体の一般面より突出した始端突起を形成してもよく、これによって、巻付け操作の際に複数の釣竿体を握り損ねても、2本の釣竿体間に挟み込まれた巻付開始部が簡単に抜け落ちるのを防止することができる。
なお、本発明の釣竿結束ベルトは、ゴムやプラスチックの射出成形、プレス成形、押出成形等の公知の成形手段又はこれらの成形手段を組み合わせることにより、容易に製造することができる。
本発明の釣竿結束ベルトは、その使用に際しての巻付け操作が極めて容易であると共に、複数の釣竿体に対する結束性を向上させることができるので、たとえ釣竿体が水に濡れた状態でも容易に巻き付けて結束することができ、しかも、釣竿体の表面に対する滑り止め機能を生かして、複数本に分割されて互いに接続可能な釣竿部材からなる釣竿体の場合に、使用後にその釣竿体の雄雌式の嵌合連結部を分解する際の分解補助具としても使用できる。
以下、添付図面に示す実施例に基づいて、本発明の好適な実施の形態を具体的に説明する。
[実施例1]
図1に、本発明の実施例1に係る釣竿結束ベルトB1が示されており、図1(a)はこの実施例1の釣竿結束ベルトB1の外側面側を示す平面図であり、また、図1(b)は側面図であり、図1(c)は、3本に分割された釣竿部材R1〜R3からなる複数の釣竿体Rにこの実施例1の釣竿結束ベルトB1を巻き付けた使用状態を示す側面説明図である。
この実施例1の釣竿結束ベルトB1は、互いに結束される3本の釣竿体Rの間に挟み込まれて巻き始め端側となる巻付開始部1a及び巻き終り端側となる終端部1bを有すると共に、3本の釣竿体に巻き付けた際に外側に位置する外側面2a及び内側に位置する内側面2bを有する帯状のベルト本体1と、このベルト本体1の終端部1bの内側面2bに設けられた雄部面ファスナー3a及び上記ベルト本体1の巻付開始部1aを除く外側面2a全面に設けられた伸縮可能な雌部面ファスナー3bからなる係脱可能な面ファスナー(係止部材)3とで構成されている。
そして、ベルト本体1は、デュロメータA硬度50の柔軟で伸縮性のある滑り止め機能に優れたスチレン系のエラストマー樹脂で形成され、また、その全表面には図示外の角錐模様による凹凸が形成されており、これによって、ベルト本体1の巻付開始部1aの外側面2a及び内側面2bの両面を含む、上記雄部面ファスナー3a及び雌部面ファスナー3bで覆われていないベルト本体1の全ての表面に滑り止め機能が発揮されるようになっている。
この実施例1の釣竿結束ベルトB1においては、ベルト本体1が厚さ2.5mm×幅3cm×長さ30cmの大きさに形成されており、また、ベルト本体1の巻付開始部1aの長さがベルト本体1全長の略1/4の長さになっており、更に、ベルト本体1のこの巻付開始部1aの長さ部分を除く全領域に雌部面ファスナー3bが取付けられている。
また、雌部面ファスナー3bは、ナイロン製のループ片が複数形成された伸縮性を有する布状の面ファスナーであり、ベルト本体1に対して加熱融着して取付けられている。そして、雄部面ファスナー3aはナイロン製のフック片が複数形成された面ファスナーであり、ベルト本体1に対して粘着剤により接着固定されている。なお、ベルト本体1の材質については、従来技術の結束ベルトと同様のクロロプレンゴム等の発泡体を採用することもでき、また、取付ける面ファスナーは接着剤により接着したり、縫着で取付けるようにしてもよい。
また、ベルト本体1の終端部1bの外側面2aには、商標等がデザインされたタグ、ワッペン、シール等を接着又は縫着等の手段によって取付けることもできる。更に、ベルト本体1の任意の部分に適宜な大きさのスリットを形成して、釣竿に固定される釣糸ガイドリングを挿通できる部分を形成してもよい。
従って、この実施例1に係る釣竿結束ベルトB1によれば、使用時には、図1(c)に示すように、3本に分割された釣竿部材R1〜R3からなる3本の釣竿体Rの間にベルト本体1の巻付開始部1aを挟み込み、ベルト本体1の内側面2b側を内側にして引張りながら釣竿体R全体に巻き付け、最後にベルト本体1の終端部1bに設けられた雄部面ファスナー3aをベルト本体1の外側面2aに設けられた雌部面ファスナー3bに係止して固定すればよい。
このとき、実施例1の釣竿結束ベルトB1は、その巻付開始部1aの滑り止め機能を有する外側面2a及び内側面2bが3本の釣竿部材R1〜R3(釣竿体R)のいずれの表面にも接し、そこで優れた滑り止め機能を発揮するので、3本の釣竿体Rに巻き付ける際に、3本の釣竿体Rの間に挟みこまれたベルト本体1の巻付開始部1aが滑り抜けることがなく、その巻付け操作が極めて容易になり、しかも、釣竿体Rに対する結束性が確実になる。
加えて、この実施例1の釣竿結束ベルトB1においては、各釣竿体Rを連結して使用した後に、たとえ雨天等の水に濡れた状態であっても、この釣竿結束ベルトB1のベルト本体1の内側面2bの滑り止め機能を利用し、嵌合連結部を分解する際の分解補助具として活用することができ(嵌合連結部の分解補助機能)、手が滑らず、少ない握力で釣竿体Rの嵌合連結部を容易に分解することができる。
[第2実施例]
図2に、本発明の実施例2に係る釣竿結束ベルトB2が示されている。図2(a)はこの実施例2の釣竿結束ベルトB2の外側面側を示す平面図であり、また、図2(b)は側面図であり、上記実施例1の釣竿結束ベルトB1と同じ部分には同じ符号を付している。
この実施例2の釣竿結束ベルトB2は、上記実施例1の場合と同様に、巻付開始部1a及び終端部1bを有すると共に外側面2a及び内側面2bを有する帯状のベルト本体1と、ベルト本体1の終端部1bの内側面2bに設けられた雄部面ファスナー3a及びベルト本体1の外側面2aに設けられた伸縮可能な雌部面ファスナー3bからなる係脱可能な面ファスナー(係止部材)3とで構成されているが、上記実施例1の場合と異なり、雌部面ファスナー3bがベルト本体1の巻付開始部1a(ベルト本体1の略1/4の長さ)及び終端部1b(ベルト本体1の略1/4の長さ)を除く外側面2aに設けられており、ベルト本体1の巻付開始部1a及び終端部1bの外側面2aが外部に露出して滑り止め機能を発揮するようになっている。
この実施例2の釣竿結束ベルトB2も、実施例1の場合と同様に優れた巻付け操作性を発揮すると共に、その釣竿体の表面に対する滑り止め機能を生かして、使用後の釣竿体の嵌合連結部を分解する際の分解補助具として使用でき(嵌合連結部の分解補助機能)、この際に巻付開始部1a及び終端部1bの両部分に滑り止め機能が設けられているので、嵌合連結部の両側でそれぞれ釣竿体を把持して分解操作を行うことができ、嵌合連結部の分解作業をより一層容易に行うことができる。
[第3実施例]
図3に、本発明の実施例3に係る釣竿結束ベルトB3が示されている。図3(a)はこの実施例3の釣竿結束ベルトB3の外側面側を示す平面図であり、また、図3(b)は側面図であり、更に、実施例2の場合と同様に、上記実施例1の釣竿結束ベルトB1と同じ部分には同じ符号を付している。
この実施例3の釣竿結束ベルトB3は、上記実施例1の場合と全く同様に、巻付開始部1a及び終端部1bと外側面2a及び内側面2bとを有する帯状のベルト本体1と、ベルト本体1の終端部1bの内側面2bに設けられた雄部面ファスナー3a及びベルト本体1の外側面2aに設けられた伸縮可能な雌部面ファスナー3bからなる係脱可能な面ファスナー(係止部材)3とで構成されているが、上記実施例1の場合と異なり、ベルト本体1の巻付開始部1aの先端の外側面2a及び内側面2bにそれぞれその一般面から概ねベルト本体1の厚さ分だけ突出した対の始端突起4が設けられている。
それ故、この実施例3の釣竿結束ベルトB3は、実施例1の場合と同様に優れた巻付け操作性を有すると共に優れた嵌合連結部の分解補助機能を発揮するほか、巻付け操作の際に複数の釣竿体Rを握り損ねても、2本の釣竿体Rの間に挟み込まれた巻付開始部1aの対の始端突起4が2本の釣竿体R間に引っ掛かり、不用意にベルト本体1が抜け落ちることがない。
[実施例4]
図4に、本発明の実施例4に係る釣竿結束ベルトB4が示されている。図4(a)はこの実施例4の釣竿結束ベルトB4の外側面側を示す平面図であり、また、図4(b)は側面図であり、更に、図4(c)はこの実施例4の釣竿結束ベルトB4の内側面側を示す底面図であって、図4(d)はこの実施例4の釣竿結束ベルトB4の要部を示す部分断面拡大側面図であり、実施例2や実施例3の場合と同様に、上記実施例1の釣竿結束ベルトB1と同じ部分には同じ符号を付している。
この実施例4の釣竿結束ベルトB4は、上記実施例1の場合と同様に、巻付開始部1a及び終端部1bと外側面2a及び内側面2bとを有する帯状のベルト本体1と、ベルト本体1の終端部1bの内側面2bに設けられた雄部面ファスナー3a及びベルト本体1の外側面2aに設けられた伸縮可能な雌部面ファスナー3bからなる係脱可能な面ファスナー(係止部材)3とで構成されているが、ベルト本体1の終端部1bを除く内側面2bの全面に、ベルト本体1の表面から互いに独立して突出し、頂上には互いに略同一平面状に位置する平滑な頂上面5aが形成されていると共にこの頂上面5aと周方向側面5bとで角部5cが明確に形成されている多数の柱状突起5が設けられている。
この実施例4において、各柱状突起5は、デュロメータA硬度53の熱可塑性スチレン系エラストマー樹脂製の柔軟なベルト本体1の成形時にこのベルト本体1と一体に成形されており、直径3mm及び高さ0.8mmの円柱形状に形成されている。そして、各柱状突起5の頂上面5aは、光沢を有する程の鏡面状の平滑な面に形成され、表面粗さ形状測定器(東京精密(株)製サーフコム)を用いて測定した表面粗さRaが0.2μmであり、また、柱状突起5の頂上面5aとその周方向側面5bとの間には、50倍の拡大映像で観察した際のR形状が概略半径80μm程度の角部5cに角付けされている。更に、多数の柱状突起5は、厚さ2mmのベルト本体1に対して略均一に配列されており、多数の柱状突起5の個々の頂上面5aの面積は約7mm2であって、この柱状突起5の頂上面5aの合計面積はベルト本体1の平面の面積(投影平面の面積)に対して概ね36%の割合になっている。
また、この実施例4においては、ベルト本体1の巻付開始部1aの先端の左右両角部が切り欠かれて平面台形状に形成され、更にその先端縁の外側面2aにはその一般面から突出した始端突起4が設けられている。そして、雄部面ファスナー3aはベルト本体1の終端部1bの内側面2bの全面に設けられており、また、雌部面ファスナー3bはベルト本体1の略1/4の長さを有してベルト本体1の巻付開始部1aを除く外側面2a全面に設けられている。
更に、この実施例4においては、ベルト本体1がその内側面2b側を形成すると共に上記多数の柱状突起5を有する蛍光色カラー層6aと、隠蔽性を有する白色の裏打層6bと、上記蛍光色カラー層6aとは異なる蛍光色を有すると共に外側面2a側を形成する蛍光色カラー層6cとで構成されており、夕暮れ時や夜間であっても、ベルト本体1の蛍光色カラー層6a及び6cの蛍光色が鮮やかに発色し、外側面2a側及び内側面2b側を容易に区別することができ、その優れた巻付け操作性を確保することができる。なお、これらの蛍光色カラー層6a及び6cと裏打層6bは、上記の熱可塑性スチレン系エラストマー樹脂に蛍光顔料等を配合して加工されたもので、互いに一体的に加熱融着されている。
この実施例4の釣竿結束ベルトB4においても、上記各実施例の場合と同様に、優れた巻付け操作性を有すると共に優れた嵌合連結部の分解補助機能を備えているものであるが、ベルト本体1の終端部1bを除く内側面2b全面に設けられた多数の柱状突起5に基づいて、より優れた巻付け操作性及び釣竿体の嵌合連結部の分解補助具としての機能を発揮するものであり、また、ベルト本体1を構成する蛍光色カラー層6a及び6cと裏打層6bに基づいて、夕暮れ時や夜間での優れた巻付け操作性及び嵌合連結部の分解補助機能を発揮する。
[実施例5]
図5に、本発明の実施例5に係る釣竿結束ベルトB5が示されている。図5(a)はこの実施例5の釣竿結束ベルトB5の外側面側を示す平面図であり、また、図5(b)は側面図であり、更に、実施例2や実施例3の場合と同様に、上記実施例1の釣竿結束ベルトB1と同じ部分には同じ符号を付している。
この実施例5の釣竿結束ベルトB5は、上記実施例1の場合と同様に、巻付開始部1a及び終端部1bと外側面2a及び内側面2bとを有する帯状のベルト本体1と、ベルト本体1の終端部1bの内側面2bに設けられた雄部面ファスナー3a及びベルト本体1の外側面2aに設けられた伸縮可能な雌部面ファスナー3bからなる係脱可能な面ファスナー(係止部材)3とで構成されている。そして、この実施例5の釣竿結束ベルトB5においては、上記実施例1の場合と異なり、製造時にベルト本体1の外側面2a全面に雌部面ファスナー3bを設け、その一端部において雌部面ファスナー3b側を内側にして折り返し、相対向する雌部面ファスナー3b部分を接着して一体化し、これによって、ベルト本体1の一端部に、外側面2a及び内側面2bが共に滑り止め機能を有する巻付開始部1aを形成している。
それ故、この実施例5の釣竿結束ベルトB5は、実施例1の場合と同様に優れた巻付け操作性を有すると共に優れた嵌合連結部の分解補助機能を発揮するほか、巻付開始部1aの厚さが他の部分の厚さの略2倍になるので、滑り止め機能を持たせる上で必要な厚さを例えば半分の厚さの発泡ゴムで確保できるようになり、材料を大幅に低減することができる。
[実施例6]
図6に、本発明の実施例6に係る釣竿結束ベルトB6が示されている。図6(a)はこの実施例6の釣竿結束ベルトB6の外側面側を示す平面図であり、また、図6(b)は側面図であり、更に、実施例2や実施例3の場合と同様に、上記実施例1の釣竿結束ベルトB1と同じ部分には同じ符号を付している。
この実施例6の釣竿結束ベルトB6は、上記実施例1の場合と同様に、巻付開始部1a及び終端部1bと外側面2a及び内側面2bとを有する帯状のベルト本体1と、ベルト本体1の終端部1bの内側面2bに設けられた雄部面ファスナー3a及びベルト本体1の外側面2aに設けられた伸縮可能な雌部面ファスナー3bからなる係脱可能な面ファスナー(係止部材)3とで構成されている。そして、この実施例6の釣竿結束ベルトB6においては、上記実施例1の場合と異なり、製造時にベルト本体1の外側面2a全面に雌部面ファスナー3bを設け、その一端部の外側面2aに滑り止め部材7を積層して接着し、これによって、このベルト本体1の一端部に、外側面2a及び内側面2bが共に滑り止め機能を有する巻付開始部1aを形成している。
それ故、この実施例6の釣竿結束ベルトB6は、実施例1の場合と同様に優れた巻付け操作性を有すると共に優れた嵌合連結部の分解補助機能を発揮するほか、従来の製造工程を変更することなく一部の工程を追加するだけで、容易に釣竿結束ベルトの製造が可能である。
[実施例7]
図7に、本発明の実施例7に係る釣竿結束ベルトB7が示されており、図7(a)はこの実施例7の釣竿結束ベルトB7の外側面側を示す平面図であり、また、図7(b)は側面図であり、図7(c)は、3本に分割された釣竿部材R1〜R3からなる複数の釣竿体Rにこの実施例7の釣竿結束ベルトB7を巻き付けた使用状態を示す側面説明図である。更に、図7(d)は、比較例としての釣竿結束ベルトB7'を複数の釣竿体Rに巻き付けた使用状態を示す側面説明図である。更に、実施例2や実施例3の場合と同様に、上記実施例1の釣竿結束ベルトB1と同じ部分には同じ符号を付している。
この実施例7の釣竿結束ベルトB7は、上記実施例1の場合と同様に、互いに結束される3本の釣竿体Rの間に挟み込まれて巻き始め端側となる巻付開始部1a及び巻き終り端側となる終端部1bを有すると共に、3本の釣竿体Rに巻き付けた際に外側に位置する外側面2a及び内側に位置する内側面2bを有する帯状のベルト本体1と、このベルト本体1の終端部1bの内側面2bに設けられた雄部面ファスナー3a(3a1、3a2、3a3)及び上記ベルト本体1の巻付開始部1aを除く外側面2a全面に設けられた伸縮可能な雌部面ファスナー3bからなる係脱可能な面ファスナー(係止部材)3とで構成されているが、上記実施例1の場合と異なり、雄部面ファスナー3aが3個の分割構成片3a1、3a2、3a3から構成されており、釣竿結束ベルトB7の終端部1bが柔軟になるよう構成されている。
本実施例7の雄部面ファスナー3aはナイロン製のフック片が複数形成された面ファスナー(係止部材)3であり、ベルト本体1の幅方向の両端から引っ込んで取付けられ、また、分割構成片3a1、3a2、3a3の各々は10mmの長さに形成され、互いに2mmの間隔を維持してベルト本体1の終端部1bの内側面2bに取付けられている。
従って、本実施例7の釣竿結束ベルトB7によれば、ベルト本体1の終端部1bに設けられた雄部面ファスナー3aが分割構成片3a1、3a2、3a3の3個で構成され、それぞれ一定の間隔を有して取付けられているため、各分割構成片3a1、3a2、3a3の間で雄部面ファスナーに基づく曲げ剛性が失われて終端部1bが柔軟になり、釣竿体Rに巻き付けられたベルト本体1の終端部1bが曲率の小さい部分で係止する場合でも、この係止部分の円形状に倣ってスムーズに係止されるため、図7(d)の比較例の如く1片1個で形成される雄部面ファスナー3a'を取付けた釣竿結束ベルトB7'と比較して、ベルト本体1の終端部1bが浮き上がる浮上り現象を可及的に防止することができる。
ここで、本実施例7の如く、ベルト本体1の終端部1bに取付けられる雄部面ファスナー3aを3個の分割構成片3a1、3a2、3a3で構成することによりベルト本体1の終端部1bを柔軟にする手段については、例えば、従来公知の雌部面ファスナーがベルト本体1の外側面2aの全面に構成した釣竿結束ベルト等においても採用することができる。
[実施例8]
図8に、本発明の実施例8に係る釣竿結束ベルトB8が示されている。図8(a)はこの実施例8の釣竿結束ベルトB8の外側面側を示す平面図であり、また、図8(b)は側面図であり、更に、図8(c)はこの実施例8の釣竿結束ベルトB8の内側面側を示す底面図であり、実施例2や実施例3の場合と同様に、上記実施例1の釣竿結束ベルトB1と同じ部分には同じ符号を付している。
この実施例8の釣竿結束ベルトB8は、上記実施例1の場合と同様に、巻付開始部1a及び終端部1bと外側面2a及び内側面2bとを有する帯状のベルト本体1と、ベルト本体1の終端部1bの内側面2bに設けられた雄部面ファスナー3a(3a1、3a2、3a3)及びベルト本体1の外側面2aに設けられた伸縮可能な雌部面ファスナー3bからなる係脱可能な面ファスナー(係止部材)3とで構成されているが、上記実施例1の場合と異なり、雄部面ファスナー3aが3個の分割構成片3a1、3a2、3a3から構成されており、釣竿結束ベルトB8の終端部1bが柔軟になるよう構成されている。更に、上記実施例4の場合と同様に、ベルト本体1の終端部1bを除く内側面2bの全面に、ベルト本体1の表面から互いに独立して突出する多数の柱状突起5が設けられて滑り止め機能に優れている。
また、この実施例8の釣竿結束ベルトB8では、上記実施例1の場合と異なり、雌部面ファスナー3bがベルト本体1の巻付開始部1a及び終端部1bを除く外側面2aに設けられており、更にベルト本体1の終端部1bの外側面2aには、商標マーク9が印刷された人工皮革製のタグ片8が雌部面ファスナー3bとその一端部の一部分が重ねられて接着され取付けられている。
従って、この実施例8の釣竿結束ベルトB8は、上記実施例4の場合と同様の優れた巻付け操作性を有すると共に、優れた嵌合連結部の分解補助機能を備えているばかりでなく、上記実施例7と同様に終端部1bが柔軟になるよう構成されるので、使用の際にはベルト本体1の終端部1bの浮上り現象が防止できる。
[実施例9]
図9は、本発明の実施例9に係る釣竿結束ベルトB9が示されている。図9(a)はこの実施例9の釣竿結束ベルトB9の外側面側を示す平面図であり、また、図9(b)は側面図であり、更に、図9(c)はこの実施例9の釣竿結束ベルトB9の内側面側を示す底面図であって、図9(d)はこの実施例9の釣竿結束ベルトB9の要部を示す部分断面拡大側面図であり、実施例2や実施例3の場合と同様に、上記実施例1の釣竿結束ベルトB1と同じ部分には同じ符号を付している。
この実施例9の釣竿結束ベルトB9は、ベルト本体1の終端部1bを除く内側面2b全面に、滑り止め機能発現のための表面形状構造として、実施例4の場合と同様の"互いに独立して突設された多数の柱状突起"を設けたものであり、この場合には、たとえベルト本体1の巻付開始部1aの外側面2a側が滑り止め機能を有していなくとも、多数の柱状突起に基づいて優れた巻付け操作と嵌合連結部の分解補助機能とを発揮し得るものである。
すなわち、この第9実施例の釣竿結束ベルトB9は、巻付開始部1a及び終端部1bと外側面2a及び内側面2bとを有する帯状のベルト本体1と、ベルト本体1の終端部1bの内側面2bに設けられた雄部面ファスナー3a及びベルト本体1の外側面2a全面に設けられた伸縮可能な雌部面ファスナー3bからなる係脱可能な面ファスナー(係止部材)3とで構成されている。
そして、上記ベルト本体1の終端部1bを除く内側面2b全面には、実施例4の場合と同様に、ベルト本体1の表面から互いに独立して突出し、頂上には互いに略同一平面状に位置する平滑な頂上面5aが形成されていると共にこの頂上面5aと周方向側面5bとで角部5cが明確に形成されている多数の柱状突起5が設けられている。
また、この実施例9においても、実施例4の場合と同様に、各柱状突起5は、デュロメータA硬度53の熱可塑性スチレン系エラストマー樹脂製の柔軟なベルト本体1の成形時にこのベルト本体1と一体に成形されており、直径3mm及び高さ0.8mmの円柱形状に形成されている。そして、各柱状突起5の頂上面5aは、光沢を有する程の鏡面状の平滑な面に形成され、表面粗さ形状測定器(東京精密(株)製サーフコム)を用いて測定した表面粗さRaが0.2μmであり、また、柱状突起5の頂上面5aとその周方向側面5bとの間には、50倍の拡大映像で観察した際のR形状が概略半径80μm程度の角部5cに角付けされている。更に、多数の柱状突起5は、厚さ2mmのベルト本体1に対して略均一に配列されており、多数の柱状突起5の個々の頂上面5aの面積は約7mm2であって、この柱状突起5の頂上面5aの合計面積はベルト本体1の平面の面積(投影平面の面積)に対して概ね36%の割合になっている。
また、本実施例9の釣竿結束ベルトB9は、雄部面ファスナー3aが2個の分割構成片3a1、3a2から構成されて釣竿結束ベルトB9の終端部1bが柔軟になるように構成されている。そして、ベルト本体1の終端部1bの端部に最も近い分割構成片3a2は長さ10mmに形成され、2mmの間隔をあけて長さ20mmの分割構成片3a1が取付けられ、この場合にも、巻き付け使用時の終端部1bでの浮き上がりが防止でき係止をより確実なものにできる。
B1〜B9…釣竿結束ベルト、1…ベルト本体、1a…巻付開始部、1b…終端部、2a…外側面、2b…内側面、3…面ファスナー、3a,3a'…雄部面ファスナー、3a1,3a2,3a3…分割構成片、3b…雌部面ファスナー、4…始端突起、5…柱状突起、5a…頂上面、5b…周方向側面、5c…角部、6a,6c…蛍光色カラー層、6b…裏打層、7…滑り止め部材、8…タグ片、9…商標マーク。