JP5103212B2 - 伸縮性結束バンド - Google Patents

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Description

本発明は、物を結束又は一体化するための伸縮性結束バンドに関するものである。
従来から、伸縮性のバンドを用いて複数の物体を結束や一体化することは公知である。また、荷くずれ防止用シート(バンド)として、中間にゴム糸を編み込んだ伸縮部をもち、一端にフック面ファスナーとループ面ファスナーを有し、他端に通しリングを有し、一端の面ファスナーを他端の通しリングに通して折り返し、両面ファスナーを係合するバンドも提案されている(特許文献1)。
さらに、アクリル繊維でカバリングしたスパンデックス繊維を地糸として経糸に用い、アクリル系繊維を緯糸に用いて形成される伸縮性織物テープの片末端に雄面ファスナーと、当該伸縮性経糸を用いパイル織により構成した雌面ファスナーとを設けた伸縮性テープが提案されている(特許文献2)。
しかし、従来の結束バンド(以下、バンドということがある)は、結束した物品が抜けないようにするには、きつく巻くか、特許文献1に開示されるように中間に伸縮部を設けて、その伸縮力を利用して、物品の結束力を維持しようとするものであった。かかるバンドは、構造が複雑となり製造が煩雑であり、また壊れやすい物品や柔らかい物品に使用するには適していない。また、特許文献2に記載の面ファスナーのように、伸縮性織物テープを用いた場合には、引締弾力性が十分でなく、結束物との間で滑り易く、結束物が結束構造を保てない場合が多いという欠点も有している。さらに、これらの特許文献に記載の伸縮性結束バンドは、その伸縮部として、ゴム糸を織り込んだ伸縮性の織物を使用するものであり、耐久性に問題があり、更に伸縮性テープに面ファスナーを取り付ける方法として一般に縫製して取り付けられているが、縫製した場合には伸縮性テープに傷を付けることとなり、十分な伸長力や長期の使用に耐えない場合が多い。
実用新案登録第3092778号公報 特開平3‐215204号公報
本発明は、上記従来の伸縮性結束バンドの問題点を解決するためになされたものであって、その目的は、強い緊縛力(引締力)を用いないでも、強力な結束力を得ることができ、また必要に応じて、強い緊縛力で結束することもできる伸縮性結束バンドを提供するものである。更に、面ファスナーと伸縮性テープとの結合を、それらの強度低下を来たすような損傷を伴う方法を用いることなく連結一体化した、耐久性に優れた結束等用の伸縮性結束バンドを提供することを目的とするものである。
本発明者らは、上記従来技術の問題点を解決するため鋭意研究した結果、熱可塑性エラストマーからなる樹脂テープの一端にフック面ファスナーを、他端にループ面ファスナーを、又は該樹脂テープの両端に、一表面にフック状係合素子とループ状係合素子の両方を有する面ファスナーを連結一体化した伸縮性結束バンドとすることで上記目的が達成されることを見出した。
すなわち、本発明は、
(1)熱可塑性エラストマーからなる樹脂テープの一端にフック面ファスナーを、他端にループ面ファスナーを、又は該樹脂テープの両端に、一表面にフック状係合素子とループ状係合素子の両方を有する面ファスナーを連結一体化したことを特徴とする伸縮性結束バンド、
(2)前記熱可塑性エラストマーが、スチレン系エラストマーである前記(1)に記載の伸縮性結束バンド、
(3)前記スチレン系エラストマーが、ポリスチレン/水添ポリイソプレン/ポリスチレンからなるトリブロック共重合体である前記(2)に記載の伸縮性結束バンド、
(4)フック面ファスナーが、織物基布に織り込んだモノフィラメントを基布表面にループ状に存在させ、そのループの側部を切断して鉤としたフック面ファスナーであり、ループ面ファスナーが、織物基布に織り込んだマルチフィラメントを基布表面にループ状に存在させたループ面ファスナーである前記(1)〜(3)のいずれかに記載の伸縮性結束バンド、
(5)樹脂テープの端部と面ファスナーの連結部が、面ファスナーの係合素子が存在しない耳部の上下両面を、樹脂テープから延設された熱可塑性エラストマーで挟み一体化した構造を有している前記(1)〜(4)のいずれかに記載の伸縮性結束バンド、
(6)樹脂テープの端部と面ファスナーとの連結部において、面ファスナーの係合素子が存在しない耳部と熱可塑性エラストマーの間に、熱可塑性エラストマーと接着性を有する熱可塑性樹脂からなる挟着材を介在させてなる前記(5)に記載の伸縮性結束バンド、
(7)樹脂テープの端部と面ファスナーの連結部において、面ファスナーの係合素子が存在しない耳部の両面が該熱可塑性樹脂からなる挟着材により覆われ、かつ、該耳部にあけられた孔を該挟着材に設けられた突起物が貫通し、その先端部が反対面に存在する挟着材に設けられた穴に嵌入しており、さらに該挟着材の外側表面を該熱可塑性エラストマー樹脂で覆っている前記(6)に記載の伸縮性結束バンド、
(8)面ファスナーの基材部及び耳部がポリエステル系繊維で形成されており、該挟着材の熱可塑性樹脂がポリオレフィン系樹脂であり、さらに熱可塑性エラストマーがポリスチレン/水添ポリイソプレン/ポリスチレンからなるトリブロック共重合体である前記(6)又は(7)に記載の伸縮性結束バンド、及び
(9)両端に連結一体化された面ファスナーのフック面と面ファスナーのループ面とが、樹脂テープの厚み方向に対して互いに逆面となすように一体化されている前記(1)〜(8)のいずれかに記載の伸縮性結束バンド、
を提供する。
本発明によれば、テープを構成する熱可塑性エラストマーが伸縮性を持つとともに、適度な密着性(粘着性)も持つため、伸縮自在の状態で面ファスナーを係合することにより結束でき、例えば、弱い緊縛(引締め)力であってもその摩擦力によって結束した部品が脱落し難く、またバンドを強く伸長して部品を結束すれば、強い緊縛(引締め)力により部品を結束することができるなど、使用範囲の広い伸縮性結束バンドを提供することができる。
さらに、伸縮部としてエラストマー系ポリマーを使用していることから、従来のゴム糸使用の伸縮性織物に比して優れた耐久性を有する。
本発明は、熱可塑性エラストマーからなる樹脂テープの一端にフック面ファスナーを、他端にループ面ファスナーを、又は該樹脂テープの両端に、一表面にフック状係合素子とループ状係合素子の両方を有する面ファスナーを連結一体化したことを特徴とする伸縮性結束バンドである。
以下、本発明の実施態様について図面を用いて説明する。
図1は、本発明による伸縮性結束バンドの1例を示す平面図であり、図2はその立面図である。図3は、熱可塑性エラストマーと接着性を有する熱可塑性樹脂からなる挟着材を面ファスナーの耳部と一体化する前の広げた状態の平面図であり、図4は、そのX−Y横断面図である。図5は、図1の一点鎖線円で囲った部分のA−A'断面拡大図である。
本発明の伸縮性結束バンド10は、図1に示すように、伸縮性を有する熱可塑性エラストマーからなる樹脂テープ1とその両端に連結されたフック面ファスナー2とループ面ファスナー3、又は熱可塑性エラストマーからなる樹脂テープ1とその両端に連結されたフック・ループ混在の面ファスナーから構成される。
本発明の伸縮性結束バンド10の樹脂テープ1及び連結部4の被覆に使用できる熱可塑性エラストマーとしては、市販される各種樹脂から任意に選んで使用することができ、例えば、スチレン系エラストマー、オレフィン系熱可塑性エラストマー、ウレタン系熱可塑性エラストマー、ポリエステル系エラストマー、ニトリル系エラストマー、ポリアミド系エラストマー、ポリブタジエン系エラストマー、塩ビ系熱可塑性エラストマー等が挙げられる。これらのうち、スチレン系熱可塑性エラストマーが好ましく、さらに、スチレン重合体からなるブロックを少なくとも2個と、共役ジエン単量体重合体(例えばブタジエンやイソプレンの重合体)の水素添加物からなるブロックを少なくとも1個有するブロック共重合体であるスチレン系エラストマーが密着性(粘着性)の点で好ましい。なかでも、特にイソプレン重合体の水素添加物からなるブロックを中央に置いて、その両端にスチレン重合体ブロックを存在させた、ポリスチレン/水添ポリイソプレン/ポリスチレンからなるトリブロック共重合体が、高いゴム弾性を有し、面ファスナー基布との優れた接着性、さらに結束物への密着性の点でもっとも優れており、好ましい。
なお、本発明において、熱可塑性エラストマーの密着性とは、結束する対象物体への追随変形性(フィット性)及び当該物体との表面接触における摩擦抵抗を合わせた性質をいう。
本発明を構成する素材である熱可塑性エラストマーが、ゴムと比べて優れた密着性を有している理由については必ずしも明確ではないが、表1に示す如く、本発明において好適な熱可塑性エラストマーの代表であるスチレン系熱可塑性エラストマーと他の材料との摩擦係数、及び天然ゴムと他の材料との摩擦係数を測定すると、熱可塑性エラストマーの方が、はるかに静摩擦係数及び動摩擦係数が高いことが判明した。
このことが、熱可塑性エラストマー、特にスチレン系熱可塑性エラストマーが優れた密着性を有することを現すものと考えられる。
なお、表1において、熱可塑性エラストマーとして、イソプレン重合体の水素添加物からなるブロックを中央にして、その両端にスチレン重合体ブロックを存在させたスチレン系熱可塑性エラストマーであるポリスチレン/水添ポリイソプレン/ポリスチレンからなるトリブロック共重合体〔クラレプラスチックス(株)製「セプトン:品番 JH40N」〕を使用し、JIS K 7125に準じた熱可塑性エラストマーの摩擦係数の測定は、接触面積18.9cm2、滑り片の質量200g、一方、比較対象品のゴムの摩擦係数の測定は、接触面積31.5cm2、滑り片の質量333gで行った。
摩擦係数の測定において接触面積、滑り片の質量を変えたのは、測定に供した熱可塑性エラストマー片とゴム片とで接触面積が相違したことから、単位面積当たりの質量を10.6g/cm2に統一するためである。
Figure 0005103212
なお、樹脂テープ1の中間部に、伸縮性の調整、補強等の観点から繊維布帛や、非伸縮性のプラスチックテープなどを挿入することも考えられるが、製造コストが増加するのに対して、その効果は限定的なものである。本発明のバンドは、簡単な構造で従来にない優れた効果を与えることができる。
また、樹脂テープ1を構成する熱可塑性エラストマーには、着色顔料、耐候剤、耐光安定剤、耐熱剤、各種充填剤等を適宜添加してもよい。
本発明においては、樹脂テープ1の一端にフック面ファスナー2を、他端にループ面ファスナー3を、又は該樹脂テープ1の両端に、一表面にフック状係合素子とループ状係合素子の両方を有する面ファスナーとを連結部4で連結して一体化される。
本発明に使用できるフック面ファスナーとしては、布製の基布に鉤状係合素子を立設したフック面ファスナーや、プラスチックの基板に鉤状、キノコ状、矢じり状などの係合素子を成形立設したものを挙げることができる。なかでも、基布に鉤状係合素子を立設したフック面ファスナーが、繰り返し使用に耐え得ること、エラストマー樹脂テープとの接着性に優れていることや面ファスナーが柔軟で可撓性に富み、更に耐久性にも優れていることから好ましい。
特に、フック面ファスナーが、織物基布に織り込んだモノフィラメントを面ファスナー表面にループ状に存在させ、そのループの側部を切断して鉤としたフック面ファスナーである場合が、係合力が高く、形態が崩れ難く、さらに繰り返し使用に耐え得ることからもっとも好ましい。
ループ面ファスナー3の基布を構成する繊維としては、ポリエステル系、ポリアミド系、ポリオレフィン系等が熱可塑性エラストマーとの接着性等の点から好適例として挙げられる。なかでも、ポリエステル系の繊維、例えばポリエチレンテレフタレート系の繊維(マルチフィラメント繊維)を基布およびループ係合素子用繊維として用いたものが、ループが倒れ難く、いつまでも高い係合力が得られ、また熱可塑性エラストマーとの接着性に優れる点から好ましい。
フック面ファスナー2のフック密度、ループ面ファスナー3のループ密度、フック面ファスナーとループ面ファスナーとの係合力としては、通常、一般的に、クラレファスニング株式会社から販売されている織面ファスナーが有している程度のものを用いることができる。
フック面ファスナー2の基布を構成する繊維としては、ポリエステル系、ポリアミド系、ポリオレフィン系等が熱可塑性エラストマーとの接着性等の点から好適例として挙げられる。なかでも、ポリエステル系の繊維、例えばポリエチレンテレフタレート系の繊維を基布およびフック係合素子用繊維として用いたものが、フックが倒れ難く、いつまでも高い係合力が得られ、さらに熱可塑性エラストマーとの接着性に優れる点から好ましい。
また、ループ面ファスナー3としては、布製の基布にマルチフィラメントのループを立設したループ面ファスナーや、起毛状態の不織布や繊維絡合体などである。なかでも、布製の基布にマルチフィラメントのループを立設したループ面ファスナーが、織物基布に織り込んだマルチフィラメントを面ファスナー表面にループ状に立設させたループ面ファスナーである場合には、繰り返し使用に耐え得ることおよびエラストマー樹脂テープとの接着性に優れていることから最も好ましい。
また特別の場合、面ファスナーとして、一表面にフック状係合素子とループ状係合素子の両方を有するフック・ループ混在型面ファスナーを使用することもできる。これは、1種類の面ファスナーの使用で事足りることより面ファスナーの誤用を避けることができる。しかし、その反面、係合力が低いという欠点を有しており、上記のフックとループが別々の面ファスナーを使用する場合と比べて必ずしも優れたものとは言えない。
図2に示すように樹脂テープ1の端部と面ファスナー2,3の耳部2a、3aとは、連結部4で連結一体化される。そして、樹脂テープ1と面ファスナー2,3の連結は、面ファスナーの端部がエラストマー樹脂テープ1の連結部4の厚さ方向のほぼ中央部に嵌入する構造が強度および耐久性の点から好ましい。基布上に立設された面ファスナーの係合素子と樹脂テープとの連結は、係合素子が存在しない基布のみからなる耳部2a、3aで行われる。
具体的な連結方法としては、面ファスナーの係合素子が存在しない基材のみの個所である耳部の上下両面を樹脂テープ1から延設された熱可塑性エラストマーで挟み一体化した構造を採用することができる。
さらに、好ましくは、樹脂テープ1の端部と面ファスナー2,3の連結部において、面ファスナーの係合素子が存在しない耳部2a、3aと熱可塑性エラストマーの間に、熱可塑性エラストマーと接着性を有する熱可塑性樹脂からなるシートからなる挟着材5を介在させることができる。
より具体的には、図5に図1のA−A'断面として示すように、樹脂テープ1の端部と面ファスナーの連結部4において、面ファスナーの係合素子が存在しない耳部3aの両面が熱可塑性エラストマーと接着性を有する熱可塑性樹脂シートからなる挟着材5により挟持され、耳部にあけられた約5〜100mm2の面積の孔3hに、該挟着材に設けられた突起物5aを貫通させ、該突起物の先端部を反対面に存在する挟着材に設けられた穴5bに嵌入させ、さらに挟着材の外側表面を該熱可塑性エラストマー樹脂1aにより覆った構造とすることができる。このようにすれば、より高い結合強度を保持できるので好ましい。
熱可塑性樹脂からなるシート状挟着材5の厚さ(二つ折りする前の厚さ)としては、0.3〜3mmの範囲、特に0.5〜2mmの範囲が結合強度の点で好ましい。もちろん挟着材5の表面には、熱可塑性エラストマーや基布とのアンカー効果による強固な一体化結合のために、凹凸が設けられていても良い。
また、挟着材を構成する熱可塑性エラストマーと接着性を有する熱可塑性樹脂としては、熱可塑性非エラストマー樹脂であって、低融点性、物性、経済性などの観点から、熱可塑性エラストマーがスチレン系エラストマーである場合には、ポリプロピレンで代表されるポリオレフィン系樹脂が挙げられる。なお、本発明において、「熱可塑性エラストマーと接着性を有する熱可塑性樹脂」とは、各種の変性成分により接着性が付与された樹脂のみならず、熱可塑性エラストマーと溶融接着が可能な相溶性を有している熱可塑性樹脂も含むものである。
樹脂テープと面ファスナー基布との結合力を高めるための挟着材5について更に詳しく説明する。図3は、挟着材5を展開状態で示している。すなわち、熱可塑性樹脂からなるシート面上に突起部5aが存在しており、シートを中間5cで折り曲げると、該突起部5aがそれに対応する場所のシート面に設けられた穴5bに嵌入するようになっている。
図4は、図3の挟着材5のX−Y部分での断面図を示す。図4の挟着材5を中央5cで二つ折りにした場合に、右部に存在する突起部5aが左部に存在する穴(凹)部5bに嵌入するような構造となっていることを示している。
図5は、既に説明したように、このような挟着材5を用いて、面ファスナー基布3aと樹脂テープ1を結合した場合に得られる結束バンドの長さ方向の、特に図1における連結部付近のA−A'断面を模式的に示したものである。
樹脂テープと面ファスナーの連結部で両者間の剥離が生じ難くするためには、これら両者の連結部の熱可塑性エラストマー層厚さ(面ファスナーの表面側および裏面側に存在する熱可塑性エラストマー層の合計厚さ)が結束バンドのテープ1(伸縮部)の厚さに比べて3〜10倍厚いのが好ましい。
樹脂テープおよび面ファスナーの長さ、形状などはその使用目的により任意に変更できる。日用的に家庭等で用いられる結束バンドとしては、結束バンドの全体の長さとして、10〜50cmの長さが好ましく、この長さの内の、40〜75%がエラストマー樹脂テープ1からなる伸縮部であり、10〜45%が面ファスナー部であり、10〜25%が熱可塑性エラストマーと面ファスナー基布との連結部4であるのが好ましい。また熱可塑性エラストマー樹脂テープ1の両端に一体化するフック面ファスナーの長さは、ループ面ファスナーとほぼ同一、すなわちループ面ファスナーの長さの95%から105%の範囲であることが、結束した場合に面ファスナーの一部が、厚さが厚くなっている面ファスナーとエラストマー樹脂テープ端部の連結部4にオーバーラップすることがなく、見栄え上から好ましい。
また樹脂テープ1の伸縮部の厚さとしては、0.4〜4mm、特に0.5〜2mmの範囲が好ましく、また幅としては5mm〜50mm、特に10〜20mmの範囲が好ましい。
樹脂テープ伸縮部の表面は結束物との滑りを少なくするために、表面が凹凸面や梨地等のようになっていてもよい。
また、面ファスナーは、図2に示すように、樹脂テープ1の厚み方向に対してフック係合素子面2とループ係合素子面3を逆位置に配置することにより、部品の周りにバンドを巻回して、その両端を係止できる。樹脂テープ1に対してフック係合素子面2とループ係合素子面3を同一向きとすると、部品の周りにバンドを巻回して、その両端を係止するためには、バンドをねじって面ファスナー係合しなければないので、これを避けるには、フック係合素子面2とループ係合素子面3を逆向きとすることが好ましい。
また、樹脂テープに輪環や延長バンドなどを付設して、第2の部品との連結に適した構造とすることも可能である。例えば、ペットボトルといわれる飲料容器を本発明の結束バンドで緊縛し、ペットボトルと連結した本結束バンドに付設したバンドでベルトなどに連結すれば、散歩、ジョギングなどの運動時に飲料容器の携帯に便利なバンドを提供することができる。
以下実施例により本発明を説明するが、本発明はこの実施例に限定されるものではない。
また、伸縮部(テープ部)の破断強度、破断伸度、収縮時応力残存率、弾性回復率、緩和応力保持率、初期ヤング率を次のようにして測定した。
破断強伸度の測定は次のように行った。即ち、断面積14.6mm2、チャック間長30mmの試料を引張速度100mm/minで伸長させ、破断時の強度及び伸度を求めた。
この際の荷重−伸長曲線の初期勾配より初期ヤング率を算出した。
収縮時応力残存率は、断面積14.6mm2、チャック間長さ30mmの試料に初期荷重0.2kg/mm2を加え伸長させた後、伸長時の試料全長の5%に相当する長さだけ試料を収縮させ、このとき試料にかかる応力を測定して初期荷重に対する割合を求め、5%収縮時応力残存率とした。
弾性回復率は、チャック間長さ30mm、断面積14.6mm2の試料に初期荷重0.2kg/mm2を加えた時の伸び(Δl1)を測定し、次に試料を応力零になるまで収縮させた時の残留伸び(Δl2)を測定し、次式により算出した。
弾性回復率=〔(Δl1−Δl2 )/Δl1〕×100(%)
緩和応力保持率は、チャック間長さ30mm、断面積14.6mm2の試料を0.2kg/mm2の荷重(初期荷重σ0)を示すまで伸長させ、この時の伸長度を一定に保った状態で30℃、1時間経過した時の応力(σ1)を測定し、次式によって算出した。
緩和応力保持率=(σ1/σ0)×100 (%)
なお、上記測定のうち、引張速度を一定にする必要のある測定においては、引張り速度10mm/minを採用した。
実施例1
耳部幅が20mmに拡張された、素子密度40ケ/平方センチの織製鉤状フック面ファスナー(クラレファスニング社製、A8693Y ポリエチレンテレフタレート繊維製)の長手方向と垂直な方向に、耳部20mmを含めた長さが50mmで、長手方向に25mmの大きさで打ち抜いた面ファスナーフック、及び耳部巾が20mmに拡張された、素子密度40ケ/平方センチの織製ループ面ファスナー(クラレファスニング社製、B2790Y ポリエチレンテレフタレート繊維製)を同様の大きさで打ち抜いたファスナーを準備し、これら面ファスナーの耳部端部から5mmの位置を中心とした直径5mmの孔2h、3hを開けた。
この面ファスナーに開けた孔2h、3hを貫通し、機械的に嵌合する凸部5a(突起部:直径2mm)と凹部を備えるポリプロピレン製のシート状の挟着材5(厚さ1.5mm)を準備した。挟着材5は面ファスナーの穴2h、3hを介して圧力1〜3kg/箇所を加え、面ファスナーに装着された。結束バンドの形状に対応した所定の射出成形金型に、挟着材5が装着された面ファスナーを所定の部位に嵌め込み準備した。次いで、金型温度40℃の当該金型に、ポリスチレン/水添ポリイソプレン/ポリスチレンからなるトリブロック共重合体であるクラレプラスチック(株)製のスチレン系熱可塑性エラストマー(商品名「セプトン」、品番 JH40N)を230℃で射出して、挟着材5が装着された面ファスナーの耳部2a,3aを挟み込み一体化された伸縮性結束バンドを得た。得られた伸縮性結束バンド10の伸縮部テープ厚みが1mm、伸縮部テープ長が100mm、伸縮部テープ巾が15mm、連結部の長さが15mm、連結部の厚さ4mmのものである。樹脂テープに対するフック係合素子の面とループ係合素子の面の位置は、図2に示すように逆位置とした。
得られた伸縮性結束バンドの伸縮部(テープ部)の破断強度は48N/mm2、破断伸度850%、収縮時応力残存率52.8%、弾性回復率84.1%、緩和応力保持率58.7%、初期ヤング率は3.96N/mm2であった。
作製した伸縮性結束バンド10について、市販されているコピー用紙(A4版10枚を円筒状に丸めたもの)、段ボール箱(大きさ25cm×33cm×31cm)の角での滑り性、ボールペン(直径9.5mm×15本)の束、皮製手帳(大きさ11cm×19cm×2.5cm)表面の滑り性、アルミ棒(直径8mm×24本)、ポリエステル織物布帛の滑り性を比較例1で挙げたゴム紐を伸縮部に使用した伸縮性結束バンドと比較した。
本発明による伸縮性結束バンドは、表2に示すように、ゴム糸を織り込んだ伸縮性の織物を使用した下記の比較例1の伸縮性バンドより滑り難いものであった。
比較例1
実施例1と同一のフック面ファスナー及びループ面ファスナーを実施例1と同様の大きさで打ち抜いた面ファスナーを準備した。一方、25mm巾のゴム糸を織り込んだ伸縮性の織物を使用した伸縮テープと上記面ファスナーとを縫製により一体化し、伸縮バンドを作製した。なお、伸縮テープに対するフック係合素子の面とループ係合素子の面の位置は実施例1と同様に逆位置とした。
この比較例1のゴム紐使用伸縮バンドを、実施例1と同じ市販されているコピー用紙、段ボール、プラスチックス、皮革、アルミ棒、ステンレスチューブ、織物布帛についてすべり抵抗を上記実施例と同様の方法で測定し、上記実施例1の伸縮テープの場合と比較した。その結果を表2に示す。
Figure 0005103212
本発明によれば、伸縮性結束バンドを構成する熱可塑性エラストマーテープが伸縮性を持つとともに、密着性(粘着性)を持つため、弱い緊縛力であっても結束部品が脱落せず、さらにバンドを強く伸長して強い緊縛力で部品を結束する際には強い結束力が得られることから、緩く縛りつける場合からきつく縛り付ける場合まで、広範囲にわたる物品の結束等に利用できる。
本発明の伸縮性結束バンドの一例を示す平面図である。 図1の側面図である。 挟着材の説明図である。 挟着材のX−Y断面図である。 ループ面ファスナー連結部のA−A'断面図である。
符号の説明
1: 樹脂テープ
2: フック面ファスナー
2a: 耳部
3: ループ面ファスナー
3a: 耳部
3h: 孔
4: 連結部
5: 挟着材
5a: 突起部
5b: 穴
5c: 折返し部
10: 伸縮性結束バンド

Claims (8)

  1. 熱可塑性エラストマーからなる樹脂テープの一端にフック面ファスナーを、他端にループ面ファスナーを、又は該樹脂テープの両端に、一表面にフック状係合素子とループ状係合素子の両方を有する面ファスナーを連結一体化した伸縮性結束バンドであって、樹脂テープの端部と面ファスナーの連結部が、面ファスナーの係合素子が存在しない耳部の上下両面を、樹脂テープから延設された熱可塑性エラストマーで挟み一体化した構造を有していることを特徴とする伸縮性結束バンド。
  2. 前記熱可塑性エラストマーが、スチレン系エラストマーである請求項1に記載の伸縮性結束バンド。
  3. 前記スチレン系エラストマーが、ポリスチレン/水添ポリイソプレン/ポリスチレンからなるトリブロック共重合体である請求項2に記載の伸縮性結束バンド。
  4. フック面ファスナーが、織物基布に織り込んだモノフィラメントを基布表面にループ状に存在させ、そのループの側部を切断して鉤としたフック面ファスナーであり、ループ面ファスナーが、織物基布に織り込んだマルチフィラメントを基布表面にループ状に存在させたループ面ファスナーである請求項1〜3のいずれかに記載の伸縮性結束バンド。
  5. 樹脂テープの端部と面ファスナーとの連結部において、面ファスナーの係合素子が存在しない耳部と熱可塑性エラストマーの間に、熱可塑性エラストマーと接着性を有する熱可塑性樹脂からなる挟着材を介在させてなる請求項1〜4のいずれかに記載の伸縮性結束バンド。
  6. 樹脂テープの端部と面ファスナーの連結部において、面ファスナーの係合素子が存在しない耳部の両面が該熱可塑性樹脂からなる挟着材により覆われ、かつ、該耳部にあけられた孔を該挟着材に設けられた突起物が貫通し、その先端部が反対面に存在する挟着材に設けられた穴に嵌入しており、さらに該挟着材の外側表面を該熱可塑性エラストマー樹脂で覆っている請求項に記載の伸縮性結束バンド。
  7. 面ファスナーの基材部及び耳部がポリエステル系繊維で形成されており、該挟着材の熱可塑性樹脂がポリオレフィン系樹脂であり、さらに熱可塑性エラストマーがポリスチレン/水添ポリイソプレン/ポリスチレンからなるトリブロック共重合体である請求項5又は6に記載の伸縮性結束バンド。
  8. 両端に連結一体化された面ファスナーのフック面と面ファスナーのループ面とが、樹脂テープの厚み方向に対して互いに逆面となすように一体化されている請求項1〜7のいずれかに記載の伸縮性結束バンド。
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