JP5103212B2 - 伸縮性結束バンド - Google Patents
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さらに、アクリル繊維でカバリングしたスパンデックス繊維を地糸として経糸に用い、アクリル系繊維を緯糸に用いて形成される伸縮性織物テープの片末端に雄面ファスナーと、当該伸縮性経糸を用いパイル織により構成した雌面ファスナーとを設けた伸縮性テープが提案されている(特許文献2)。
すなわち、本発明は、
(1)熱可塑性エラストマーからなる樹脂テープの一端にフック面ファスナーを、他端にループ面ファスナーを、又は該樹脂テープの両端に、一表面にフック状係合素子とループ状係合素子の両方を有する面ファスナーを連結一体化したことを特徴とする伸縮性結束バンド、
(2)前記熱可塑性エラストマーが、スチレン系エラストマーである前記(1)に記載の伸縮性結束バンド、
(3)前記スチレン系エラストマーが、ポリスチレン/水添ポリイソプレン/ポリスチレンからなるトリブロック共重合体である前記(2)に記載の伸縮性結束バンド、
(4)フック面ファスナーが、織物基布に織り込んだモノフィラメントを基布表面にループ状に存在させ、そのループの側部を切断して鉤としたフック面ファスナーであり、ループ面ファスナーが、織物基布に織り込んだマルチフィラメントを基布表面にループ状に存在させたループ面ファスナーである前記(1)〜(3)のいずれかに記載の伸縮性結束バンド、
(5)樹脂テープの端部と面ファスナーの連結部が、面ファスナーの係合素子が存在しない耳部の上下両面を、樹脂テープから延設された熱可塑性エラストマーで挟み一体化した構造を有している前記(1)〜(4)のいずれかに記載の伸縮性結束バンド、
(6)樹脂テープの端部と面ファスナーとの連結部において、面ファスナーの係合素子が存在しない耳部と熱可塑性エラストマーの間に、熱可塑性エラストマーと接着性を有する熱可塑性樹脂からなる挟着材を介在させてなる前記(5)に記載の伸縮性結束バンド、
(7)樹脂テープの端部と面ファスナーの連結部において、面ファスナーの係合素子が存在しない耳部の両面が該熱可塑性樹脂からなる挟着材により覆われ、かつ、該耳部にあけられた孔を該挟着材に設けられた突起物が貫通し、その先端部が反対面に存在する挟着材に設けられた穴に嵌入しており、さらに該挟着材の外側表面を該熱可塑性エラストマー樹脂で覆っている前記(6)に記載の伸縮性結束バンド、
(8)面ファスナーの基材部及び耳部がポリエステル系繊維で形成されており、該挟着材の熱可塑性樹脂がポリオレフィン系樹脂であり、さらに熱可塑性エラストマーがポリスチレン/水添ポリイソプレン/ポリスチレンからなるトリブロック共重合体である前記(6)又は(7)に記載の伸縮性結束バンド、及び
(9)両端に連結一体化された面ファスナーのフック面と面ファスナーのループ面とが、樹脂テープの厚み方向に対して互いに逆面となすように一体化されている前記(1)〜(8)のいずれかに記載の伸縮性結束バンド、
を提供する。
さらに、伸縮部としてエラストマー系ポリマーを使用していることから、従来のゴム糸使用の伸縮性織物に比して優れた耐久性を有する。
図1は、本発明による伸縮性結束バンドの1例を示す平面図であり、図2はその立面図である。図3は、熱可塑性エラストマーと接着性を有する熱可塑性樹脂からなる挟着材を面ファスナーの耳部と一体化する前の広げた状態の平面図であり、図4は、そのX−Y横断面図である。図5は、図1の一点鎖線円で囲った部分のA−A'断面拡大図である。
本発明の伸縮性結束バンド10は、図1に示すように、伸縮性を有する熱可塑性エラストマーからなる樹脂テープ1とその両端に連結されたフック面ファスナー2とループ面ファスナー3、又は熱可塑性エラストマーからなる樹脂テープ1とその両端に連結されたフック・ループ混在の面ファスナーから構成される。
なお、本発明において、熱可塑性エラストマーの密着性とは、結束する対象物体への追随変形性(フィット性)及び当該物体との表面接触における摩擦抵抗を合わせた性質をいう。
このことが、熱可塑性エラストマー、特にスチレン系熱可塑性エラストマーが優れた密着性を有することを現すものと考えられる。
なお、表1において、熱可塑性エラストマーとして、イソプレン重合体の水素添加物からなるブロックを中央にして、その両端にスチレン重合体ブロックを存在させたスチレン系熱可塑性エラストマーであるポリスチレン/水添ポリイソプレン/ポリスチレンからなるトリブロック共重合体〔クラレプラスチックス(株)製「セプトン:品番 JH40N」〕を使用し、JIS K 7125に準じた熱可塑性エラストマーの摩擦係数の測定は、接触面積18.9cm2、滑り片の質量200g、一方、比較対象品のゴムの摩擦係数の測定は、接触面積31.5cm2、滑り片の質量333gで行った。
摩擦係数の測定において接触面積、滑り片の質量を変えたのは、測定に供した熱可塑性エラストマー片とゴム片とで接触面積が相違したことから、単位面積当たりの質量を10.6g/cm2に統一するためである。
また、樹脂テープ1を構成する熱可塑性エラストマーには、着色顔料、耐候剤、耐光安定剤、耐熱剤、各種充填剤等を適宜添加してもよい。
本発明に使用できるフック面ファスナーとしては、布製の基布に鉤状係合素子を立設したフック面ファスナーや、プラスチックの基板に鉤状、キノコ状、矢じり状などの係合素子を成形立設したものを挙げることができる。なかでも、基布に鉤状係合素子を立設したフック面ファスナーが、繰り返し使用に耐え得ること、エラストマー樹脂テープとの接着性に優れていることや面ファスナーが柔軟で可撓性に富み、更に耐久性にも優れていることから好ましい。
特に、フック面ファスナーが、織物基布に織り込んだモノフィラメントを面ファスナー表面にループ状に存在させ、そのループの側部を切断して鉤としたフック面ファスナーである場合が、係合力が高く、形態が崩れ難く、さらに繰り返し使用に耐え得ることからもっとも好ましい。
具体的な連結方法としては、面ファスナーの係合素子が存在しない基材のみの個所である耳部の上下両面を樹脂テープ1から延設された熱可塑性エラストマーで挟み一体化した構造を採用することができる。
より具体的には、図5に図1のA−A'断面として示すように、樹脂テープ1の端部と面ファスナーの連結部4において、面ファスナーの係合素子が存在しない耳部3aの両面が熱可塑性エラストマーと接着性を有する熱可塑性樹脂シートからなる挟着材5により挟持され、耳部にあけられた約5〜100mm2の面積の孔3hに、該挟着材に設けられた突起物5aを貫通させ、該突起物の先端部を反対面に存在する挟着材に設けられた穴5bに嵌入させ、さらに挟着材の外側表面を該熱可塑性エラストマー樹脂1aにより覆った構造とすることができる。このようにすれば、より高い結合強度を保持できるので好ましい。
また、挟着材を構成する熱可塑性エラストマーと接着性を有する熱可塑性樹脂としては、熱可塑性非エラストマー樹脂であって、低融点性、物性、経済性などの観点から、熱可塑性エラストマーがスチレン系エラストマーである場合には、ポリプロピレンで代表されるポリオレフィン系樹脂が挙げられる。なお、本発明において、「熱可塑性エラストマーと接着性を有する熱可塑性樹脂」とは、各種の変性成分により接着性が付与された樹脂のみならず、熱可塑性エラストマーと溶融接着が可能な相溶性を有している熱可塑性樹脂も含むものである。
図5は、既に説明したように、このような挟着材5を用いて、面ファスナー基布3aと樹脂テープ1を結合した場合に得られる結束バンドの長さ方向の、特に図1における連結部付近のA−A'断面を模式的に示したものである。
樹脂テープ伸縮部の表面は結束物との滑りを少なくするために、表面が凹凸面や梨地等のようになっていてもよい。
また、伸縮部(テープ部)の破断強度、破断伸度、収縮時応力残存率、弾性回復率、緩和応力保持率、初期ヤング率を次のようにして測定した。
破断強伸度の測定は次のように行った。即ち、断面積14.6mm2、チャック間長30mmの試料を引張速度100mm/minで伸長させ、破断時の強度及び伸度を求めた。
この際の荷重−伸長曲線の初期勾配より初期ヤング率を算出した。
収縮時応力残存率は、断面積14.6mm2、チャック間長さ30mmの試料に初期荷重0.2kg/mm2を加え伸長させた後、伸長時の試料全長の5%に相当する長さだけ試料を収縮させ、このとき試料にかかる応力を測定して初期荷重に対する割合を求め、5%収縮時応力残存率とした。
弾性回復率は、チャック間長さ30mm、断面積14.6mm2の試料に初期荷重0.2kg/mm2を加えた時の伸び(Δl1)を測定し、次に試料を応力零になるまで収縮させた時の残留伸び(Δl2)を測定し、次式により算出した。
弾性回復率=〔(Δl1−Δl2 )/Δl1〕×100(%)
緩和応力保持率は、チャック間長さ30mm、断面積14.6mm2の試料を0.2kg/mm2の荷重(初期荷重σ0)を示すまで伸長させ、この時の伸長度を一定に保った状態で30℃、1時間経過した時の応力(σ1)を測定し、次式によって算出した。
緩和応力保持率=(σ1/σ0)×100 (%)
なお、上記測定のうち、引張速度を一定にする必要のある測定においては、引張り速度10mm/minを採用した。
耳部幅が20mmに拡張された、素子密度40ケ/平方センチの織製鉤状フック面ファスナー(クラレファスニング社製、A8693Y ポリエチレンテレフタレート繊維製)の長手方向と垂直な方向に、耳部20mmを含めた長さが50mmで、長手方向に25mmの大きさで打ち抜いた面ファスナーフック、及び耳部巾が20mmに拡張された、素子密度40ケ/平方センチの織製ループ面ファスナー(クラレファスニング社製、B2790Y ポリエチレンテレフタレート繊維製)を同様の大きさで打ち抜いたファスナーを準備し、これら面ファスナーの耳部端部から5mmの位置を中心とした直径5mmの孔2h、3hを開けた。
作製した伸縮性結束バンド10について、市販されているコピー用紙(A4版10枚を円筒状に丸めたもの)、段ボール箱(大きさ25cm×33cm×31cm)の角での滑り性、ボールペン(直径9.5mm×15本)の束、皮製手帳(大きさ11cm×19cm×2.5cm)表面の滑り性、アルミ棒(直径8mm×24本)、ポリエステル織物布帛の滑り性を比較例1で挙げたゴム紐を伸縮部に使用した伸縮性結束バンドと比較した。
本発明による伸縮性結束バンドは、表2に示すように、ゴム糸を織り込んだ伸縮性の織物を使用した下記の比較例1の伸縮性バンドより滑り難いものであった。
実施例1と同一のフック面ファスナー及びループ面ファスナーを実施例1と同様の大きさで打ち抜いた面ファスナーを準備した。一方、25mm巾のゴム糸を織り込んだ伸縮性の織物を使用した伸縮テープと上記面ファスナーとを縫製により一体化し、伸縮バンドを作製した。なお、伸縮テープに対するフック係合素子の面とループ係合素子の面の位置は実施例1と同様に逆位置とした。
2: フック面ファスナー
2a: 耳部
3: ループ面ファスナー
3a: 耳部
3h: 孔
4: 連結部
5: 挟着材
5a: 突起部
5b: 穴
5c: 折返し部
10: 伸縮性結束バンド
Claims (8)
- 熱可塑性エラストマーからなる樹脂テープの一端にフック面ファスナーを、他端にループ面ファスナーを、又は該樹脂テープの両端に、一表面にフック状係合素子とループ状係合素子の両方を有する面ファスナーを連結一体化した伸縮性結束バンドであって、樹脂テープの端部と面ファスナーの連結部が、面ファスナーの係合素子が存在しない耳部の上下両面を、樹脂テープから延設された熱可塑性エラストマーで挟み一体化した構造を有していることを特徴とする伸縮性結束バンド。
- 前記熱可塑性エラストマーが、スチレン系エラストマーである請求項1に記載の伸縮性結束バンド。
- 前記スチレン系エラストマーが、ポリスチレン/水添ポリイソプレン/ポリスチレンからなるトリブロック共重合体である請求項2に記載の伸縮性結束バンド。
- フック面ファスナーが、織物基布に織り込んだモノフィラメントを基布表面にループ状に存在させ、そのループの側部を切断して鉤としたフック面ファスナーであり、ループ面ファスナーが、織物基布に織り込んだマルチフィラメントを基布表面にループ状に存在させたループ面ファスナーである請求項1〜3のいずれかに記載の伸縮性結束バンド。
- 樹脂テープの端部と面ファスナーとの連結部において、面ファスナーの係合素子が存在しない耳部と熱可塑性エラストマーの間に、熱可塑性エラストマーと接着性を有する熱可塑性樹脂からなる挟着材を介在させてなる請求項1〜4のいずれかに記載の伸縮性結束バンド。
- 樹脂テープの端部と面ファスナーの連結部において、面ファスナーの係合素子が存在しない耳部の両面が該熱可塑性樹脂からなる挟着材により覆われ、かつ、該耳部にあけられた孔を該挟着材に設けられた突起物が貫通し、その先端部が反対面に存在する挟着材に設けられた穴に嵌入しており、さらに該挟着材の外側表面を該熱可塑性エラストマー樹脂で覆っている請求項5に記載の伸縮性結束バンド。
- 面ファスナーの基材部及び耳部がポリエステル系繊維で形成されており、該挟着材の熱可塑性樹脂がポリオレフィン系樹脂であり、さらに熱可塑性エラストマーがポリスチレン/水添ポリイソプレン/ポリスチレンからなるトリブロック共重合体である請求項5又は6に記載の伸縮性結束バンド。
- 両端に連結一体化された面ファスナーのフック面と面ファスナーのループ面とが、樹脂テープの厚み方向に対して互いに逆面となすように一体化されている請求項1〜7のいずれかに記載の伸縮性結束バンド。
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