<第1の実施の形態>
以下、本発明に係る第1の実施の形態を図1及び図2に沿って説明する。図1は本発明に係る変速機の油圧制御装置が適用されるハイブリッド駆動装置の概略構成を示すスケルトン図、図2は本発明の第1の実施の形態に係る変速機の油圧制御装置を示す図である。
まず、本発明に係る変速機の油圧制御装置1(図2参照)を適用し得るハイブリッド駆動装置について図1に沿って説明する。なお、以下に説明するハイブリッド駆動装置10は、FR(フロントエンジン・リヤドライブ)タイプの車両に用いて好適であり、図1中の矢印F方向が車両の前側(エンジン側)、また矢印R方向が車両の後側(ディファレンシャル装置側)となっている。
図1に示すように、ハイブリッド駆動装置10は、前側から後側にかけて順に第1の電気モータ(第1モータ)11、動力分配用プラネタリギヤ12、第2の電気モータ(第2モータ)13、変速装置14が配設されている。これらは、いずれもケース15の内側に収納されるとともに、軸16(入力軸17及び出力軸18の軸心)の周囲に配設されている。なお、ケース15は、複数の分割ケースを軸方向(軸16に沿った方向)に前後に接合させることで一体に構成されている。なお、以下の説明で単に「軸方向」といった場合には、軸16に沿った方向のことをいうものとする。この軸方向は、入力軸17、出力軸18の軸方向とも一致する。
第1の電気モータ11は、ケース15に固定されたステータ20と、このステータ20の内径側(なお、以下の説明では、ケース15の径方向の位置について、軸16に近い側を内径側、遠い側を外径側という。)において回転自在に支持されたロータ21と、を有している。この第1の電気モータ11は、そのロータ21が、後述の動力分配用プラネタリギヤ12のサンギヤS0に連結されている。このような第1の電気モータ11は、主に、サンギヤS0を介して入力される動力に基づいて発電を行い、インバータ(不図示)を介して第2の電気モータ13を駆動したり、HVバッテリ(ハイブリッド駆動用バッテリ:不図示)に対して充電を行ったりするものである。
動力分配用プラネタリギヤ12は、入力軸17に対して同軸状に配置されたシングルピニオンプラネタリギヤによって構成されている。動力分配用プラネタリギヤ12は、複数のピニオンP0を支持するキャリヤ(回転要素)CR0と、このピニオンP0に噛合するサンギヤ(回転要素)S0と、ピニオンP0に噛合するリングギヤ(回転要素)R0と、を有している。この動力分配用プラネタリギヤ12は、そのキャリヤCR0が入力軸17に連結され、またサンギヤS0が第1の電気モータ11のロータ21に連結され、さらにリングギヤR0が出力軸18に連結されている。このような動力分配用プラネタリギヤ12は、入力軸17を介してキャリヤCR0に入力された動力を、第1の電気モータ11の回転制御に基づいて、サンギヤS0を介して第1の電気モータ11側と、リングギヤR0を介して出力軸18側とに分配するものである。なお、第1の電気モータ11に分配された動力は発電用に、一方、出力軸18に分配された動力は自動車の駆動用に供される。
第2の電気モータ13は、ケース15に固定されたステータ22と、このステータ22の内径側において回転自在に支持されたロータ23と、を有している。この第2の電気モータ13は、そのロータ23が、後述の変速装置14のサンギヤS1に連結されている。この第2の電気モータ13は、前述の第1の電気モータ11と同様、インバータを介してHVバッテリに接続されている。しかし、その主たる機能は異なる。すなわち、第2の電気モータ13は、第1の電気モータ11が主に発電用に使用されるのとは異なり、主に自動車の動力(駆動力)をアシストするように駆動モータとして機能する。ただし、ブレーキ時等にはジェネレータとして機能して、車輌慣性力を電気エネルギとして回生するようになっている。
変速装置(変速機)14は、1個のダブルピニオンプラネタリギヤと、その1個のピニオンを共通とするシングルピニオンプラネタリギヤとからなる、いわゆるラビニョタイプのプラネタリギヤユニット24を有しており、さらに第1のブレーキB1(摩擦係合要素)と、第2のブレーキB2(摩擦係合要素)とを有している。
このうちプラネタリギヤユニット24は、2個のサンギヤS1,S2と、ピニオンP1及び共通のロングピニオンであるピニオンP2を支持するキャリヤCR1と、リングギヤR1とによって構成されており、2個のピニオンP1,P2のうち、ピニオンP1はサンギヤS1とリングギヤR1とに噛合し、またピニオンP2はサンギヤS2とピニオンP1とに噛合している。このプラネタリギヤユニット24は、そのリングギヤR1が第2のブレーキB2に連結され、またサンギヤS2が第1のブレーキB1に連結されている。変速装置14全体としては、入力部材となるサンギヤS1が、上述の第2の電気モータ13のロータ23に連結され、また出力部材となるキャリヤCR1が、出力軸18に連結されている。
この変速装置14は、第1,第2のブレーキB1,B2のうちの一方を係合しかつ他方を開放し、またこの逆に一方を開放しかつ他方を係合することにより、減速比の異なる2段の減速段に切換えられるようになっている。つまり、変速装置14は、上述の第2の電気モータ13からサンギヤS1を介して入力された動力の大きさを変更して、キャリヤCR1を介して出力軸18に伝達するようになっている。本実施の形態では、第1のブレーキB1を係合し、第2のブレーキB2を開放したときにハイ(Hi)のギヤ段となり、この逆に第2のブレーキB2を係合し、第1のブレーキB1を開放することでロー(Lo)のギヤ段となる。このローのギヤ段からハイのギヤ段に、或いはハイのギヤ段からローのギヤ段に変速する際に、第1のブレーキB1と第2のブレーキB2との(摩擦係合要素同士の)掴み換えによる変速を行うことになる。
上述構成のハイブリッド駆動装置10においては、エンジンから入力軸17に入力された動力は、動力分配用プラネタリギヤ12によって第1の電気モータ11と、出力軸18とに分配される。そして、出力軸18には、変速装置14を介して第2の電気モータ13からの駆動力が伝達される。すなわち出力軸18には、エンジンからの駆動力と、第2の電気モータ13の駆動力とが合成されて出力されるようになっている。
また、エンジンを停止して走行する、いわゆるEV走行時においては、主に第2の電気モータ13からの駆動力が変速装置14を介して出力軸18に伝達されて出力されるようになっている。この際は、エンジンが停止しており、即ち入力軸17及びキャリヤCR0の回転が停止しているので、出力軸18及びリングギヤR0の回転が、回転が停止しているキャリヤCRを介してサンギヤS0に伝達されるが、第1の電気モータ11が空転回転することになる。
そして、上記エンジンを停止している走行状態から該エンジンを再始動する場合には、上記第1のブレーキB1又は第2のブレーキB2を係合したまま、変速装置14、出力軸18を介して上記リングギヤR0に第2の電気モータ13に駆動力を反力として付与すると共に、第1の電気モータ11によりサンギヤS0を駆動回転し、それによってキャリヤCR0を介して入力軸17の回転を上昇させて、該入力軸17に接続されているエンジン回転数を上昇させ、エンジンの再始動を行う。
つづいて、本発明の第1の実施の形態に係る変速機の油圧制御装置11について、図2に沿って説明する。なお、本明細書中において、各種ソレノイドバルブの「ノーマルオープン」とは、非通電時に入力ポートと出力ポートとが連通されて入力された油圧が略そのまま出力ポートより出力されることを意味し、反対に「ノーマルクローズ」とは、非通電時に入力ポートと出力ポートとが遮断されて入力された油圧が出力ポートより出力されないことを意味するものである。
図2に示すように、変速機の油圧制御装置11は、エンジンの回転に連動して駆動される機械式オイルポンプ31と、電動モータ35によりエンジンの駆動状態に拘らず駆動される電動オイルポンプ30とを備えており、それら機械式オイルポンプ31と電動オイルポンプ30とにより不図示のオイルパンからストレーナ37を介してオイルを吸上げる形で油圧を発生させている。また、それら機械式オイルポンプ31と電動オイルポンプ30とには、それぞれチェックバルブ33,32が接続されて備えられており、発生させた油圧をチェックバルブ33,32に接続された油路a1,a2よりそれぞれ供給すると共に、それらチェックバルブ33,32によって、互いに他方のオイルポンプが停止している際にオイルが逆流することを防止している。
上記機械式オイルポンプ31と電動オイルポンプ30とにより発生された油圧は、油路a1,a2を介して油路a3,a4,a5,a6,a7に供給される。油路a4に供給された油圧は、チェックバルブ36に供給されており、発生された油圧が高過ぎる際に、ドレーン(排出)して調圧するようになっている。油路a5に供給された油圧は、ソレノイドバルブS2(ノーマルオープン)の入力ポートS2aに供給されており、該ソレノイドバルブS2の非通電時には出力ポートS2bより油路c1,c2,c3,c4に略そのまま油圧が供給される。油路c3,c4は、それぞれ変速機構前部の潤滑油路53とモータの潤滑油路52とに接続されており、油路c3,c4に供給された油圧に基づき潤滑油がそれら変速機構前部の潤滑油路53とモータの潤滑油路52とに供給される。油路a6,a7に供給された油圧は、後述するプレッシャレギュレータバルブ40の油室40a及び入力ポート40dに供給されている。
プレッシャレギュレータバルブ(ライン圧調圧手段、調圧バルブ)40は、スプール40pと、該スプール40pを上方に付勢するスプリング40sとを備えていると共に、該スプール40pの上方に油室40aと、該スプール40pの下方に油室40bと、入力ポート40dと、出力ポート40cと、出力ポート40eと、出力ポート40fとを備えている。該プレッシャレギュレータバルブ40は、スプール40pが左半分で示す状態(以下、「左半位置」という)となると、入力ポート40dと出力ポート40fとだけが連通し(即ち入力ポート40dと出力ポート40cとは遮断され)、油路a7に供給される油圧を油路e1にそのまま出力する。これによりライン圧PLは、後述の低圧状態に比して油圧が高い高圧状態PLHIとなる。
一方、スプール40pが右半分で示す状態(以下、「右半位置」という)となると、入力ポート40dと、3つの出力ポート40c、出力ポート40e、及び出力ポート40fとが連通し、油路a7に供給される油圧を40f、40c、40eへ分配する。これによりライン圧PLは、上述の高圧状態PLHIに比して油圧が低い低圧状態PLLOとなる。該出力ポート40cより出力された油圧は、油路b1を介して上記機械式オイルポンプ31及び電動オイルポンプ30に戻され、それら機械式オイルポンプ31及び電動オイルポンプ30の元圧となるため、結果的にそれら機械式オイルポンプ31及び電動オイルポンプ30が必要な駆動力を下げることとになり、無駄なエネルギを消費することを防ぐことができ、変速機の油圧制御装置1を備える車両の燃費向上に寄与することが可能となる。
また、出力ポート40eより出力された油圧は、油路d1,d2,d3,d4,d5,d6,d7に供給される。油路d2に供給された油圧は、上記ソレノイドバルブS2の出力ポートS2bより油路c1に出力される油圧と合流し、上述の変速機構前部の潤滑油路53とモータの潤滑油路52とに潤滑油として供給される。なお、変速機構前部の潤滑油路53とモータの潤滑油路52とが潤滑不足となる場合は、該ソレノイドバルブS2を電気的に制御して出力ポートS2bを遮断し、必要な潤滑油量を確保する。
油路d1,d3,d4,d5,d6,d7に供給された油圧は、それぞれ変速機構後部の潤滑油路51と、オイルクーラ50と、チェックバルブ54とに供給され、該変速機構後部の潤滑油路51に潤滑油として供給されると共に、油温を冷やすオイルクーラ50に供給され、かつ油圧が高過ぎる際にチェックバルブ54によりドレーンして調圧するようになっている。
一方、プレッシャレギュレータバルブ40の出力ポート40fより油路e1に出力されたライン圧PLは、油路e2,e3,e4,e5,e6、及びオイルストレーナ64を介して油路e7に供給される。そのうち油路e3,e5に供給されたライン圧PLは、詳しくは後述する第1調圧バルブ81の入力ポート81cと第2調圧バルブ83の入力ポート83cに供給される。油路e2に供給されたライン圧PLは、油温センサ70に供給されて油温が検出される。また、油路e6、及びオイルストレーナ64を介して油路e7に供給されたライン圧PLは、モジュレータバルブ41の入力ポート41cに供給される。
そして、油路e4には、油路m3を介して本発明の要部となる第3油圧スイッチ(高圧状態検出手段)631が接続されており、該第3油圧スイッチ631は、プレッシャレギュレータバルブ40の出力ポート40fに、(他のバルブ等が介在することなく)直接連通している。この第3油圧スイッチ631は、プレッシャレギュレータバルブ40の出力ポート40fから高圧状態のライン圧PLHIが出力されるとONとなり、低圧状態のライン圧PLLOが出力されるとOFFとなるような閾値に設定されている。この第3油圧スイッチ631のON/OFFは、図示を省略したハイブリッド駆動装置10の制御部に信号出力され、制御部の制御として、詳しくは後述する変速装置14の動作の作動時に用いられる。
一方、モジュレータバルブ41は、スプール41pと、該スプール41pを下方に付勢するスプリング41sとを備えていると共に、該スプール41pの下方にフィードバック油室41aと、入力ポート41cと、出力ポート41dと、入力ポート41cの上方にドレーンポートEXとを備えている。モジュレータバルブ41が左半位置の際に、上述のようにライン圧PLが入力ポート41cに供給されると、出力ポート41dより略そのままライン圧PLが出力され、油路f1に供給される。油路f1に供給されたライン圧PLは、油路f2を介してフィードバック油室41aに入力される。ここで、油室41aに入力されるライン圧PLがスプリング41sの付勢力より大きな圧になると、モジュレータバルブ41のスプール41pが右半位置となり、入力ポート41cと出力ポート41dとの間が連通状態が半開となって出力油圧を減圧すると共に、更にフィードバック油室41aの油圧が高い場合は出力ポート41cとドレーンポートEXと連通して出力油圧を減圧し、これによって入力されるライン圧PLが減圧される形で調圧されたモジュレータ圧PMODとして出力ポート41dより出力される。
このモジュレータ圧PMODは、油路f1,f2,f3,f4,f5,f6,f7,f8にそれぞれ供給される。このうち油路f8,f7に供給されたモジュレータ圧PMODは、詳しくは後述するリニアソレノイドバルブSLB1の入力ポート80aとリニアソレノイドバルブSLB2の入力ポート82aにそれぞれ供給され、また、油路f6,f5に供給されたモジュレータ圧PMODは、詳しくは後述するB1アプライコントロールバルブ42の油室42aとB2アプライコントロールバルブ43の油室43aに供給される。
また、油路f3を介して油路f4に供給されたモジュレータ圧PMODは、ソレノイドバルブ(ライン圧調圧手段)S1(ノーマルオープン)の入力ポートS1aに供給され、出力ポートS1bより信号圧PS1として油路f9を介して上述のプレッシャレギュレータバルブ40の油室40bに供給される。すると、プレッシャレギュレータバルブ40のスプール40pは、スプリング40sの付勢力と油室40bに供給されたモジュレータ圧PMODとが相俟って油室40aに供給される油圧が大きくなる。これにより、上述したようにライン圧PLは高圧状態PLHIに制御される。また、ソレノイドバルブS1が電気的に制御され、出力ポートS1bを遮断し、信号圧PS1を出力しないと、油室40aに供給される油圧が小さくなり、これによって、上述したようにライン圧PLは低圧状態PLLOに制御される。
このライン圧PLは高圧状態PLHIに制御される場合とは、第1のブレーキB1と第2のブレーキB2との掴み換えにより変速制御を行う場合や、加速中など変速機への入力トルクが大きな走行状態の場合や、第2の電気モータ13の駆動力を反力として第1の電気モータ11によりエンジンを再始動する場合等であり、特に第2の電気モータ13の出力が小さい状態であって、第1のブレーキB1又は第2のブレーキB2を係合して車両を走行している場合には、ソレノイドバルブS1が遮断するように電気的に制御され、ライン圧PLが低圧状態PLLOに制御されて、つまり変速中以外は無駄なエネルギを消費することを防ぐことになる。
一方、ノーマルオープンであるリニアソレノイドバルブSLB1は、リニア駆動部80Aと調圧バルブ部80Bとにより構成されている。リニア駆動部80Aは、供給(通電)される電流に応じて下方に駆動されるスプール80Apを有して構成されており、一方の調圧バルブ部80Bは、スプール80Bpと、該スプール80Bpを上方に付勢するスプリング80sとを備えていると共に、入力ポート80aと出力ポート80bと入力ポート80aの下方にドレーンポートEXとを備えて構成されている。
即ち、リニアソレノイドバルブSLB1は、供給される電流に応じてスプール80Ap及びスプール80Bpを下方に駆動するように構成されており、非通電時において該スプール80Ap及びスプール80Bpは、スプリング80sにより上方に駆動される。これにより、リニアソレノイドバルブSLB1のリニア駆動部80Aに電流が供給されない非通電時には、スプール80Bpが上方の位置に制御されて、入力ポート80aと出力ポート80bとの間が最も開いた連通状態となって、入力ポート80aに供給されるモジュレータ圧PMODに基づきSLB1圧PSLB1を最も高い圧で出力する。
また、リニアソレノイドバルブSLB1のリニア駆動部80Aに徐々に電流が供給されていくと、スプール80Ap及びスプール80Bpが徐々に下方に駆動制御されて、入力ポート80aと出力ポート80bとの間を徐々に遮断して閉じていくと共に出力ポート80bとドレーンポートEXとが開いていく状態となり、出力するSLB1圧PSLB1が徐々に低圧に減圧されていき、最終的にリニア駆動部80Aに最大電流が供給されると、リニアソレノイドバルブSLB1はSLB1圧PSLB1を略出力しない状態あるいは僅かに出力される状態となる。
第1調圧バルブ81は、上記リニアソレノイドバルブSLB1の直下に接続される形で配置されており、スプール81pと、該スプール81pを上方に付勢するスプリング81sと、該スプール81pの上方に上記SLB1圧PSLB1を入力する油室81aと、該スプール81pの下方にフィードバック油室81bと、入力ポート81cと、出力ポート81dと、入力ポート81cの上方にドレーンポートEXとを備えている。なお、該第1調圧バルブ81は、特にリニアソレノイドバルブSLB1の直下に接続されて配置される必要はなく、別体に他の位置に配置されていても構わない。
該第1調圧バルブ81は、上記ノーマルオープンのリニアソレノイドバルブSLB1から油室81aにSLB1圧PSLB1を最も高い圧で入力すると、スプール81pがスプリング81sの付勢力に反して右半位置となり、入力ポート81cと出力ポート81dとの間が最も開いた連通状態となって、入力ポート81cに入力されているライン圧PLが最も高い圧のB1供給圧(係合圧)PB1として出力ポート81dより油路i1に出力される。
また、上記リニアソレノイドバルブSLB1に電流が徐々に供給され、油室81aに入力されるSLB1圧PSLB1が徐々に低圧に調圧されると、該第1調圧バルブ81は、スプリング81sの付勢力によってスプール81pが徐々に右半位置から左半位置に制御されて入力ポート81cと出力ポート81dとの間を徐々に遮断して閉じていく状態となり、B1供給圧PB1を低圧に調圧していき、最終的に入力ポート81cと出力ポート81dとの間を遮断すると共に、出力ポート81dとドレーンポートEXとを連通し、B1供給圧PB1をドレーンする。
なお、油路i1に出力されたB1供給圧PB1の一部は、油路i2を介してフィードバック81bに供給されており、例えばB1供給圧PB1が急激に大きな圧を出力した場合にスプール81pを上方に押し戻してB1供給圧PB1を低下させたり、B1供給圧PB1が脈動した場合に該B1供給圧PB1を安定させたりするようになっている。
一方、ノーマルクローズであるリニアソレノイドバルブSLB2は、リニア駆動部82Aと調圧バルブ部82Bとにより構成されている。リニア駆動部82Aは、供給(通電)される電流に応じて下方に駆動されるスプール82Apを有して構成されており、一方の調圧バルブ部82Bは、スプール82Bpと、該スプール82Bpを上方に付勢するスプリング82sとを備えていると共に、入力ポート82aと出力ポート82bと入力ポート82aの上方にドレーンポートEXとを備えて構成されている。
即ち、リニアソレノイドバルブSLB2は、供給される電流に応じてスプール82Ap及びスプール82Bpを下方に駆動するように構成されており、非通電時において該スプール82Ap及びスプール82Bpは、スプリング82sにより上方に駆動される。これにより、リニアソレノイドバルブSLB2のリニア駆動部82Aに電流が供給されない非通電時には、スプール82Bpが上方の位置に制御されて、入力ポート82aと出力ポート82bとの間が遮断されると共に出力ポート82bとドレーンポートEXとが開いた状態となって、SLB2圧PSLB2が出力されない。
また、リニアソレノイドバルブSLB2のリニア駆動部82Aに徐々に電流が供給されていくと、スプール82Ap及びスプール82Bpが徐々に下方に駆動制御されて、入力ポート82aと出力ポート82bとの間を徐々に連通して開いていくと共に出力ポート82bとドレーンポートEXとが徐々に閉じていく状態となり、出力するSLB2圧PSLB2が徐々に高圧に増圧されていき、最終的にリニア駆動部82Aに最大電流が供給されると、リニアソレノイドバルブSLB2はSLB2圧PSLB2を最も高い圧で出力する。
第2調圧バルブ83は、上記リニアソレノイドバルブSLB2の直下に接続される形で配置されており、スプール83pと、該スプール83pを上方に付勢するスプリング83sと、該スプール83pの上方に上記SLB2圧PSLB2を入力する油室83aと、該スプール83pの下方にフィードバック油室83bと、入力ポート83cと、出力ポート83dと、入力ポート83cの上方にドレーンポートEXとを備えている。なお、該第2調圧バルブ83は、特にリニアソレノイドバルブSLB2の直下に接続されて配置される必要はなく、別体に他の位置に配置されていても構わない。
該第2調圧バルブ83は、上記ノーマルクローズのリニアソレノイドバルブSLB2によってSLB2圧PSLB2が0圧にされ、即ち油室83aに油圧が入力されていないとスプール83pがスプリング83sの付勢力により右半位置となり、入力ポート83cと出力ポート83dとの間が遮断された状態になると共に出力ポート83dとドレーンポートEXとが連通し、B2供給圧(係合圧)PB2をドレーンする。
また、上記リニアソレノイドバルブSLB2に電流が徐々に供給され、油室82aに入力されるSLB2圧PSLB2が徐々に高圧に調圧されると、該第2調圧バルブ83は、スプリング83sの付勢力に反してスプール83pが徐々に右半位置から左半位置に制御されて入力ポート83cと出力ポート83dとの間を徐々に連通して開いていく状態なると共に出力ポート83dとドレーンポートEXとが徐々に遮断されていく状態となって、B2供給圧PB2を高圧に調圧していき、最終的に入力ポート83cと出力ポート83dとの間を連通する状態にすると共に、出力ポート83dとドレーンポートEXとを遮断し、入力ポート83cに入力されているライン圧PLが最も高い圧のB2供給圧PB2として出力ポート83dより油路j1に出力される。
なお、油路j1に出力されたB2供給圧PB2の一部は、油路j2及びj3を介してフィードバック83bに供給されており、例えばB2供給圧PB2が急激に大きな圧を出力した場合にスプール83pを上方に押し戻してB2供給圧PB2を低下させたり、B2供給圧PB2が脈動した場合に該B2供給圧PB2を安定させたりするようになっている。
B1アプライコントロールバルブ42は、スプール42pと、該スプール42pを下方に付勢するスプリング42sと、該スプール42pの下方に上記モジュレータ圧PMODを入力する油室42aと、該スプール42pの上方に上記B2供給圧PB2を入力する油室42bと、上記B1供給圧PB1を入力する入力ポート42cと、出力ポート42eと、入力ポート42cの下方にドレーンポートEXと、詳しくは後述する入力ポート42dと、出力ポート42fとを備えている。
該B1アプライコントロールバルブ42は、上記油室42aにモジュレータ圧PMODを入力しており、上記リニアソレノイドバルブSLB2よりB2供給圧PB2が出力されていない際は、スプリング42sの付勢力に反してスプール42pが右半位置となり、入力ポート42cと出力ポート42eとが連通して、第1調圧バルブ81から出力されたB1供給圧PB1をそのまま油路k1,k2,k3,k4に供給し、つまり第1調圧バルブ81から出力されたB1供給圧PB1を第1のブレーキB1の油圧サーボ45にそのまま供給して、第1のブレーキB1が係合される。
また、上記B1供給圧PB1の一部は、油路k2を介して後述するB2アプライコントロールバルブ43の入力ポート43dに供給されており、更に、油路k3を介してアキュムレータ46の入力ポート46aに供給される。なお、アキュムレータ46は、油圧サーボ45に給排されるB1供給圧PB1の脈動の防止、サージ圧(急激な変動圧)の吸収等を行っている。また、油路k1にはチェックボール65が配設されており、B1供給圧PB1を油圧サーボ45に供給する際は比較的緩やかに油圧を供給し、かつ油圧サーボ45からB1供給圧PB1を排出する際は比較的急に油圧を排出するようになっている。
上記リニアソレノイドバルブSLB2が制御され、上述のように第2調圧バルブ83の出力ポート83dよりB2供給圧PB2が出力されると、該B1アプライコントロールバルブ42は、油路j4を介して油室42bに該B2供給圧PB2を入力し、スプリング42sの付勢力と油室42bのB2供給圧PB2とが相俟って油室42aのモジュレータ圧PMODに打勝ち、スプール42pが左半位置に切換えられる。
すると、入力ポート42cと出力ポート42eとの間が遮断されると共に、出力ポート42eとドレーンポートEXとが連通し、油圧サーボ45のB1供給圧PB1が排出されて、第1のブレーキB1は解放される。またこの際、後述するB2アプライコントロールバルブ43よりB2供給圧PB2が出力されていると、油路l2を介して入力ポート42dにB2供給圧PB2を入力し、該入力ポート42dと出力ポート42fとが連通しているので、油路m1を介して第2油圧スイッチ(係合圧用油圧スイッチ)62にB2供給圧PB2が供給されて、特にライン圧が高圧状態PLHIであると、該第2油圧スイッチ62により第2のブレーキB2の油圧サーボ47にB2供給圧PB2が供給されていることが検出される。
一方、B2アプライコントロールバルブ43は、スプール43pと、該スプール43pを下方に付勢するスプリング43sと、該スプール43pの下方に上記モジュレータ圧PMODを入力する油室43aと、該スプール43pの上方に上記B1供給圧PB1を入力する油室43bと、上記B2供給圧PB2を入力する入力ポート43cと、出力ポート43eと、入力ポート43cの下方にドレーンポートEXと、上記B1アプライコントロールバルブ42からのB1供給圧PB1を入力する入力ポート43dと、出力ポート43fとを備えている。
該B2アプライコントロールバルブ43は、上記油室43aにモジュレータ圧PMODを入力しており、上記リニアソレノイドバルブSLB1よりB1供給圧PB1が出力されていない際は、スプリング43sの付勢力に反してスプール43pが右半位置となり、入力ポート43cと出力ポート43eとが連通して、第2調圧バルブ83から出力されたB2供給圧PB2をそのまま油路l1,l2,l3,l4に供給し、つまり第2調圧バルブ83から出力されたB2供給圧PB2を第2のブレーキB2の(第2)油圧サーボ47にそのまま供給して、第2のブレーキB2が係合される。
また、上記B2供給圧PB2の一部は、油路l2を介して上記B1アプライコントロールバルブ42の入力ポート42dに供給されており、更に、油路l3を介してアキュムレータ48の入力ポート48aに供給される。なお、アキュムレータ48は、油圧サーボ47に給排されるB2供給圧PB2の脈動の防止、サージ圧(急激な変動圧)の吸収等を行っている。また、油路l1にはチェックボール66が配設されており、B2供給圧PB2を油圧サーボ47に供給する際は比較的緩やかに油圧を供給し、かつ油圧サーボ47からB2供給圧PB2を排出する際は比較的急に油圧を排出するようになっている。
上記リニアソレノイドバルブSLB1が制御され、上述のように第1調圧バルブ81の出力ポート81dよりB1供給圧PB1が出力されると、該B2アプライコントロールバルブ43は、油路i4を介して油室43bに該B1供給圧PB1を入力し、スプリング43sの付勢力と油室43bのB1供給圧PB1とが相俟って油室43aのモジュレータ圧PMODに打勝ち、スプール43pが左半位置に切換えられる。
すると、入力ポート43cと出力ポート43eとの間が遮断されると共に、出力ポート43eとドレーンポートEXとが連通し、油圧サーボ47のB2供給圧PB2が排出されて第2のブレーキB2は解放される。またこの際、上記B1アプライコントロールバルブ42よりB1供給圧PB1が出力されていると、油路k2を介して入力ポート43dにB1供給圧PB1を入力し、該入力ポート43dと出力ポート43fとが連通しているので、油路m2を介して第1油圧スイッチ(係合圧用油圧スイッチ)61にB1供給圧PB1が供給されて、特にライン圧が高圧状態PLHIであると、該第1油圧スイッチ61により第1のブレーキB1の油圧サーボ45にB1供給圧PB1が供給されていることが検出される。
以上のように本発明に係る変速機の油圧制御装置11によると、プレッシャレギュレータバルブ40が高圧状態のライン圧PLHIを出力していることを検出する第3油圧スイッチ631を備えたので、プレッシャレギュレータバルブ40及びソレノイドバルブS1によりライン圧が高圧状態PLHIに調圧制御されたか否かを検出することができる。これにより、例えばハイブリッド駆動装置10の制御部の制御に基づく、本来ライン圧の高圧状態PLHIで行う変速機の動作を、ライン圧が低圧状態PLLOであるまま誤作動させてしまうことを防止することができる。
また特に、第3油圧スイッチ631が高圧状態のライン圧PLHIの出力を検出した後に、第1のブレーキB1と第2のブレーキB2との掴み換えを開始するので、ライン圧の低圧状態PLLOでそれら第1のブレーキB1と第2のブレーキB2との掴み換えを行って、スリップや急係合が生じることを防止することができ、変速ショックが生じることを防ぐことができる。
更に、第3油圧スイッチ631が高圧状態のライン圧PLHIの出力を検出した後に、エンジンの再始動を行うので、例えばライン圧の低圧状態PLLOでエンジンの再始動を行って第2モータの反力が伝達できずに該第2の電気モータ13が空回りしてしまうことを防止することができる。
また、ライン圧の低圧状態と高圧状態との変更は、ソレノイドバルブS1の信号圧PS1を出力しないことで、ライン圧を低圧状態PLLOにすることができ、ソレノイドバルブS1の信号圧PS1を出力することで、ライン圧を高圧状態PLHIにすることができる。
更に、第3油圧スイッチ631は、プレッシャレギュレータバルブ40の出力ポート40fに直接連通しているので、例えば他のバルブのバルブスティック等の影響を受けることなく、ライン圧の高圧状態PLHIを検出することができる。
また、第1のブレーキB1の油圧サーボ45に連通する第1油圧スイッチ61と第2のブレーキB2の油圧サーボ47に連通する第2油圧スイッチ62とを備えているので、上記第3油圧スイッチ631とそれら第1及び第2油圧スイッチ61、62とのオンオフ状態に基づきフェール状態を正確に判断することが可能となる。詳細には、第3油圧スイッチ631がONで高圧状態のライン圧PLHIを検出しているにも拘らず、第1油圧スイッチ61及び第2油圧スイッチ62が共にOFFの場合にフェール状態として判断することが可能となり、反対に第3油圧スイッチ631がOFFでライン圧が低圧状態PLLOである際には、第1油圧スイッチ61及び第2油圧スイッチ62が共にOFFであってもフェール状態(油圧スイッチの故障)ではないことを判断することが可能となる。なお、本実施の形態における変速装置14は、正常状態において第1のブレーキB1と第2のブレーキB2との同時係合もありえないので、第1油圧スイッチ61及び第2油圧スイッチ62が共にONの場合にもフェール状態として判断することが可能である。
<第2の実施の形態>
ついで、上記第1の実施の形態を一部変更した第2の実施の形態について、図3及び図4に沿って説明する。図3は本発明の第2の実施の形態に係る変速機の油圧制御装置を示す図、図4は入力回転に基づく高圧状態及び低圧状態のライン圧と油圧スイッチの検出誤差範囲との関係を示す説明図である。なお、本第2の実施の形態においては、一部の変更部分を除き、上記第1の実施の形態と同様の部分に同符号を付して、その説明を省略する。
本第2の実施の形態に係る変速機の油圧制御装置12は、上記第1の実施の形態に係る変速機の油圧制御装置11に比して、第3油圧スイッチの配置を変更し、ソレノイドバルブS1の出力ポートS1bとプレッシャレギュレータバルブ40の油室40bとを連通する油路f9に油路m3を介して第3油圧スイッチ632を配設したものである。
なお、その他の部分において変速機の油圧制御装置12は、ソレノイドバルブS2を無くして、油路a5を油路c2にそのまま接続し、機械式オイルポンプ31或いは電動オイルポンプ30より常時潤滑油が変速機構前部の潤滑油路53とモータの潤滑油路52とに供給されるように構成されている。
また、B1アプライコントロールバルブ42のポート42gが、油路n1,n2,n3を介して第1調圧バルブ81のポート81e,81fに接続されると共に、油路n4を介してチェックバルブ67に接続されて構成されている。このため、リニアソレノイドバルブSLB2の駆動に伴い第2調圧バルブ83からB1アプライコントロールバルブ42の油室42bにライン圧PLが入力され、該B1アプライコントロールバルブ42が左半位置に制御された際に、ポート42eとポート42gとが連通し、第1のブレーキB1の油圧サーボ45の油圧が第1調圧バルブ81のポート81e及びポート81fに入力されると共に、不要な圧がチェックバルブ67よりドレーンされる。これにより、第1のブレーキB1を解放して第2のブレーキB2を係合する掴み換え変速時に、油圧サーボ45及び油路k1、k2、k3、k4内の油が完全にドレーンされてしまうことを防ぎ、次回の第1のブレーキB1を係合する際における油圧サーボ45の制御性を向上している。また、第1のブレーキB1を解放することにより第1調圧バルブ81にエアが溜まることを抑制し、次回の第1のブレーキB1を係合する際における油圧サーボ45の制御性を向上している。
なお、これ以外の変速機の油圧制御装置12における構成、作用、効果は、第1の実施の形態に係る変速機の油圧制御装置11と同様であるので、説明を省略する。
ところで、上記第1の実施の形態に係る変速機の油圧制御装置11で用いた第3油圧スイッチ631は、プレッシャレギュレータバルブ40の出力ポート40fよりライン圧PLが出力されている限り、低圧状態であっても高圧状態であっても、ライン圧PLが入力されている(図2参照)。
一般に油圧スイッチは、図4に示すように、スイッチがONからOFFになる閾値が製品誤差により図中の油圧Aから油圧Bの範囲でばらつきがある。このため、例えば油圧A近辺の閾値を有する油圧スイッチを第3油圧スイッチ631として用いた場合は、低圧状態のライン圧PLLOはOFF、高圧状態のライン圧PLHIでONとなって良好であるが、例えば油圧B近辺の閾値を有する油圧スイッチを第3油圧スイッチ631として用いた場合は、エンジン回転数の上昇に伴い入力軸17の回転(インプット回転)が上昇し、機械式オイルポンプ31の回転数が上昇して排出される元圧が上昇すると、低圧状態のライン圧PLLOであっても、ONとなってしまう虞がある。また、例えば油圧A近辺の閾値を有する油圧スイッチを選定して用いたとしても、経時劣化等により閾値が下がり、閾値が油圧B近辺になってしまう虞もある。
このように用いた油圧スイッチの閾値が油圧B近辺となってしまった場合、正確にライン圧PLの高圧状態PLHIを検出できないだけでなく、オイルポンプからの油圧の脈動等に起因して、ライン圧PLも図4中波線で示すように脈動するため、上記閾値近辺でスイッチのON/OFFを繰り返す、いわゆるハンチングを起こしてしまう。これにより、第3油圧スイッチ631の耐久性に悪影響を与えてしまう虞があった。
そこで本第2の実施の形態に係る変速機の油圧制御装置12は、上述のように油路f9に油路m3を介して第3油圧スイッチ632を配設し、ソレノイドバルブS1の信号圧PS1のON/OFFを検出する。近年、プレッシャレギュレータバルブ40(ライン圧を調圧する調圧バルブ)がバルブスティックを起こすことは略皆無であるので、必然的にソレノイドバルブS1より信号圧PS1が出力された状態であれば、ライン圧PLは高圧状態PLHIに調圧され、つまり第3油圧スイッチ632がONを検出することによって、ライン圧PLの高圧状態PLHIを検出することができる。
以上のように本発明の第2の実施の形態に係る変速機の油圧制御装置12によると、第3油圧スイッチ632が、ソレノイドバルブS1の出力ポートS1bに連通しているので、ソレノイドバルブS1の信号圧PS1が出力されていることを検出することができ、それによって、ソレノイドバルブS1が正常に制御されてライン圧PLが高圧状態PLHIになることを検出することができる。また、ライン圧の低圧状態PLLOにあっては、ソレノイドバルブS1より信号圧PS1が出力されず、該第3油圧スイッチ632に油圧が生じないので、機械式オイルポンプ31からの油圧が上昇してライン圧PLが上昇する状態にあって、該第3油圧スイッチ632がハンチングすることを防止することができる。これにより、第3油圧スイッチ632の耐久性を向上することができる。
また、第1のブレーキB1の油圧サーボ45に連通する第1油圧スイッチ61と第2のブレーキB2の油圧サーボ47に連通する第2油圧スイッチ62とを備えているので、上記第3油圧スイッチ632とそれら第1及び第2油圧スイッチ61、62とのオンオフ状態に基づきフェール状態を更に正確に判断することが可能となる。詳細には、第3油圧スイッチ632がONで高圧状態のライン圧PLHIを検出しているにも拘らず、第1油圧スイッチ61及び第2油圧スイッチ62が共にOFFの場合にフェール状態として判断することが可能となり、反対に第3油圧スイッチ632がOFFでライン圧が低圧状態PLLOである際には、第1油圧スイッチ61及び第2油圧スイッチ62が共にOFFであってもフェール状態(油圧スイッチの故障)ではないことを判断することが可能となる。
そして、本第2の実施の形態においては、特にライン圧が低圧状態PLLOである際にライン圧のライジングにより第3油圧スイッチ632がハンチングすることがないため、第3油圧スイッチ632がONであれば必然的にライン圧が高圧状態PLHIであるので、第3油圧スイッチ632がOFFであれば第1及び第2油圧スイッチ61、62のONを無効とすることができ(第1及び第2油圧スイッチ61、62の検出を行わず)、ライン圧が低圧状態PLLOである際にライン圧のライジングにより第1及び第2油圧スイッチ61、62がONとなっても、フェール状態(油圧スイッチの故障)ではない、とすることが可能となる。
なお、第1の実施の形態と同様に、本実施の形態における変速装置14は、正常状態において第1のブレーキB1と第2のブレーキB2との同時係合もありえないので、第1油圧スイッチ61及び第2油圧スイッチ62が共にONの場合にもフェール状態として判断することが可能である。
なお、以上説明した第1及び第2の実施の形態においては、ハイブリッド駆動装置10にあって、第2の電気モータ13の回転をロー・ハイの2段に変速して出力軸18に伝達する変速機の油圧制御装置として説明したが、これに限らず、ライン圧を低圧状態又は高圧状態に調圧するものであれば、有段式の変速機、無段式の変速機に拘らず、どのような変速機にあっても本発明を適用し得る。