JP5282203B2 - 機能性繊維及び機能性繊維製品 - Google Patents
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熱電素子1対では熱起電力が小さいので、半導体薄膜の製造法を利用した複数個の熱電素子を直列接続した複合熱電素子も一部製造され、センサー以外に時計用発電素子としても利用されているが、製造コストが高いので、製造コストが安く、しかも、室温付近で大きな熱起電力の得られる素子が要求されている。
英国科学誌「ネイチャー」 マテリアル 2007.1.21(JST研 究グループ 大田、細野,幾原)
また、薄膜法で作られる熱電素子は、ソリッドで柔軟性がなく、面積の大きいものは作りにくいので、人体に密着して使用する生体応用の機能素子又は機能製品に適用することは難しい場合もある。
図1に、トルマリン50wt%と本発明に使用されたナノダイヤ半導体10wt%配合のPP高分子配合品の赤外線放射特性を示す。ナノダイヤは通常SP3ダイヤ層の周りをSP2グラファイト層で覆われた構造をとるが、SP3単体及び複合体で波長4−10μmでのナノダイヤ半導体の赤外線放射能が大きいことを示している。
Thermoelectric figure of merit of a one-dimensional conductor L.D.Hicks PHYSICAL REVIEW VOLUME 47.NO 24 1993
Wa > 1 (1)
-1>Wa>1 (2)
Wa<−1 (3)
の3条件が生じ、これにより半導体粒子の分布が決定されることを利用した改良発明を特願2007−269894で出願した。
(1)と(3)の場合は、半導体粒子はA又はB高分子の中にのみ優先的に分布し、(2)の場合は、高分子界面に分布する(非特許文献3参照。)。図3に半導体粒子分布の模式図を示す。ダブルパーコレーション配列の場合、半導体粒子の最適配合量は2wt%位まで下げられる。
Polymer Bulletin 25. P265-271 1991 Masao Sumita
繊維表面に接着剤を使用して塗布又はスプレイ法で付着させた半導体粒子は、洗濯等ではがれ易く、実用上商品寿命に問題があり、また、半導体粒子が2次元的に広がり易く、材料の使用効率が下がる。
ナノダイヤ10wt%近傍配合のPP高分子複合体の温度による電気伝導度の電界強度依存性を図4及び図5に示す。図4は生体温度上昇特性が1.7℃と優れた場合で、図5は0.1−0.2℃と劣る場合である。
最適配列された試料では、電気伝導度がほぼ電界強度の2乗に比例し、ナノダイヤからの荷電粒子が近接した粒子間での印加電界により加速される空間電荷律則の伝導度特性をしており、粒子間では電気的にほぼ接続されていることが判る。ダイヤ内での電荷の移動度は1800cm2/V.secと大きく、電気伝導度の電界強度依存性には余り寄与しない。
最適配列されてない粒子間の開いた試料では、発生した電荷が高分子内に充満しており、印加電界で消滅した後は電気的な接続が不充分であるため、電気伝導度は下がる。印加電圧が低い場合は消滅までに時間がかかるので、見掛け上の電気伝導度は大きい。印加電圧が500Vになると、図4ではナノダイヤからの荷電粒子の供給量が不足するので、電界強度依存性は逆の傾向を示すようになる。図5では、絶縁破壊が起こり始め、同様電界強度依存性は逆になる。
図4の場合は、ナノダイヤ粒子が充分接近しており、発生した電荷が高分子マトリクスの中を減衰することなく移動できる空間電荷律則型の伝導特性を示している。図5の場合は、粒子間の距離が離れているため電荷が高分子マトリクスの中で再結合により消滅する。このため、電荷が人体に浸透する割合が減少するため、体温上昇効果が減ることを示している。半導体粒子混入繊維を製造する場合、紡糸工程では延伸効果を利用して繊維の結晶配列等を制御して繊維が作成されるため、混入された半導体粒子の間隔が開きやすく、製品歩留まりが悪く粒子間距離を制御しながら製品を作成するには問題が残った。
また、織布及び不織布等を人体に接して使用する場合、構成する繊維の人体表面側にある半導体粒子からの荷電粒子及び赤外線放射が特に有効であり、必ずしも繊維内部にまで半導体粒子が存在する必要はない。
本発明の第2の目的は、半導体粉末と高分子繊維の複合体の巨大熱起電力を利用した機能性繊維及び機能性繊維製品を低コストで実現することを目的とする。
本発明の第3の目的は、半導体粉末と高分子繊維の複合体の巨大熱起電力を利用し、かつ、人体への赤外線及び荷電粒子浸透能力の性能を損なうことのない機能性繊維及び機能性繊維製品を低コストで実現することを目的とする。
すなわち、本発明が解決しようとする課題は、半導体粒子の少ない配合量で温度により励起されて常に荷電粒子を多量に発生する半導体熱電能を利用して、繊維又は繊維製品等の荷電粒子発生体を安定に、歩留まり良く提供することにある。
すなわち、本発明は、分散型染料を繊維中に浸透させて染色する技法(染色法)を応用して、半導体粒子の表面を改質するか又は粒子表面に染色キャリアーとしての活性基を付けた半導体粒子を溶液中に分散させ、繊維を浸漬することにより、半導体粒子を繊維に浸透させたことを特色とする。さらに詳述すると、本発明は、半導体粒子の表面を改質して所定の官能基を持たせるか又は特定の官能基を有する有機分子を染色キャリアーとした半導体粒子を溶液中に分散させ、繊維との間のイオン交換力、ファンデルワールス力等を使い、分散型染料を使用する染色法を適用し、繊維の結晶質部分及び非結晶質部分に半導体粒子を拡散浸透させ、半導体粒子の直列配列構造を持たせることによって、所定の熱電能を繊維又は繊維製品に持たせて機能性を付加したものである。
衝撃法で作成されたナノダイヤモンドは、基本粒子サイズが4−20nmと小さく、表面がSP2炭素膜で覆われているため、OH基、NH基、COOH基等の官能基が付加し易いので、染色法で繊維中に電気力を利用して拡散し易い。
一般に、溶液中に浸漬された繊維は液中で膨張し、繊維の結晶及び非結晶間隔が広がる。繊維の結晶部分より非結晶部分の方が膨張し易いので、分散液中に分散された半導体粒子は最初非結晶部分に浸透する。膨張が充分でなく、間隔が狭い場合は、分散液を加熱して半導体粒子が浸透し易くする。繊維の結晶部分及び非結晶部分は、繊維加工時の延伸作用により直線状に配列しており、膨張した繊維の結晶及び非結晶領域の隙間も直線状になる。この隙間に浸透した半導体粒子も、隙間に沿って直列状に配列され易いため、1次元熱電素子としての構造が容易に構成される。
半導体粒子と高分子繊維素材の混入品の紡糸加工等で直列配列された場合は、繊維内部の半導体粒子から放射される赤外線及び荷電粒子放射能は、繊維表面に到達するまでにかなり減衰される。また、延伸加工で粒子間隙が増えやすいので、個々の粒子の熱電積算能が落ちやすく、起電力が下がる。粒子間隙を下げるため、粒子の配合量を増やすと、1次元配列が崩れやすく、電荷が周辺に拡散し、電気伝導度が上がると共に、発生する電位は急激に減少する。しかし、本発明の場合は、繊維素材表面より半導体粒子が繊維の結晶界面に沿って拡散するため、粒子は表面部分に集中しており、体温程度の加熱による半導体粒子よりの赤外線及び荷電粒子は、効率よく外部に放射される。このため、半導体粒子の最低必要量が0.01wt%と一桁下げられる。
半導体粒子が繊維素材の非結晶部分に選択的に浸透した段階で作業を中断すれば、繊維の長手方向に断続した1次元熱電素子が連なった状態が作成でき、一層の材料の節約ができる。
一般に、天然繊維及び一部の化成繊維は、結晶連鎖の重合度も高く、結晶の質及び配列が良いので、半導体粒子の浸透は常温では難しく、加工時間短縮のため加熱作業が行われる。
本発明の実施の形態に係る機能性繊維又は機能性繊維製品は、電気絶縁性の繊維又は繊維製品に対して活性化エネルギーレベル0.1−0.5eVを有する半導体粉末を0.01−10wt%、染色法により拡散浸透して作成されたものである。図6に繊維結晶と浸透粒子の模式図を示す。使用される繊維の種類によって、半導体粒子分散液の水の硬度、PH、温度、助剤等が調整される。
サーモエレメント 日刊工業新聞社 ヨッフェ著 坂田訳P58 図2.11
大澤映二 Japan Nanonet Bulletin 108 2006.03.08 住友石炭鉱業kk クラスター技術研究会 2006.03.27
繊維素材:ポリエステル系繊維布 0.9g/100cm2
半導体粒子:ナノダイヤ半導体粒子(住友石炭鉱業製 商品名「クラスターダイヤ」、基本粒子サイズ…4−20nm、活性化エネルギ−…0.37eV、
SP2層…CH3官能基(図7参照)
染色法:分散液;浴温…100−130℃、液濃度…ナノダイヤ100mg/L、PH…3−4、染色キャリアー…アニオン
浸漬時間;4〜60分
ナノダイヤ有機高分子混入直列配列の最適配合量10wt%と比較して、本発明の染色法による機能性繊維及び機能性繊維製品のナノダイヤ配合量の効率が良いことが判る。さらに、染色法では、ナノダイヤ粒子が個別に浸透拡散するので、塊状になることがなく、粒子がナノオーダーである場合、可視光線の波長以下であるため、製品の着色が観測されにくく、後の染色加工が容易になるメリットもある。
Claims (13)
- 活性化エネルギーレベル0.1−0.5eVを有する半導体粒子を分散液中に分散させ、その分散された前記半導体粒子を繊維高分子の結晶界面領域又は非結晶領域に選択的に浸透させ、かつ、直列配列させて1次元熱電素子を構成してなることを特徴とする赤外線及び荷電粒子放射特性を有する機能性繊維又は機能性繊維製品。
- 請求項1記載の機能性繊維又は機能性繊維製品において、前記半導体粒子の原料として、室温付近で荷電粒子を発生させる活性化エネルギーレベルが0.1−0.5eVである半導体を用い、その半導体粒子を前記分散液中に分散させ、その半導体粒子を染色法により絶縁体繊維マトリクスに0.01−10wt%拡散浸透させることにより、前記繊維中で直列配列させて、荷電粒子及び赤外線の放射量を増大させたことを特徴とする機能性繊維又は機能性繊維製品。
- 請求項1又は2記載の機能性繊維又は機能性繊維製品において、シート抵抗が10E12Ω以下である電気特性を有することを特徴とする機能性繊維又は機能性繊維製品。
- 請求項1、2又は3記載の機能性繊維又は機能性繊維製品において、直列配列された半導体粒子は、加熱されることにより発生する荷電粒子の量子効果に基づく巨大熱起電力を有することを特徴とする機能性繊維又は機能性繊維製品。
- 請求項1、2、3又は4記載の機能性繊維又は機能性繊維製品において、前記半導体粒子が生体温度により活性化されて人体に浸透させ得る荷電粒子及び赤外線を発生することを特徴とする機能性繊維又は機能性繊維製品。
- 請求項5記載の機能性繊維又は機能性繊維製品において、室温付近で荷電粒子を発生させる活性化エネルギーレベルが0.1−0.5eVである半導体粒子として、衝撃波法により作成されたナノダイヤモンドを用い、これを繊維高分子絶縁体マトリクスに0.01−10wt%配合することにより、荷電粒子及び赤外線の放射量を増大させたことを特徴とする機能性繊維又は機能性繊維製品。
- 請求項6記載の機能性繊維又は機能性繊維製品において、室温付近で荷電粒子を発生させる活性化エネルギーレベルが0.1−0.5eVである半導体粒子の原料として、単元素半導体であるGe,Si、化合物半導体であるInSb.InAs,Bi−Te系等熱電半導体、Ti−O系等酸化物半導体の一種又は複合体を使用していることを特徴とする機能性繊維又は機能性繊維製品。
- 請求項1ないし7のいずれか1項記載の機能性繊維又は機能性繊維製品において、前記半導体粒子として、単元素半導体に属する衝撃波で形成された半導体ダイヤモンド粒子に,単元素半導体であるGe,Si、化合物半導体であるInSb,BiTe,PbTe、酸化物半導体であるCa−Mn,Ca−Cr,Zn,Tiの酸化物、珪化物半導体であるFeSi2,CoSi等のいずれか1種又は複数種の半導体粉末を混合して使用していることを特徴とする機能性繊維又は機能性繊維製品。
- 請求項1ないし8のいずれか1項記載の機能性繊維又は機能性繊維製品において、機能性繊維素材として、木綿等に代表されるセルロース系天然繊維,羊毛等に代表される蛋白質系繊維、及び、ナイロン、ビニロン、ポリアクリルニトリル、ポリエステル等化学繊維を使用していることを特徴とする機能性繊維又は機能性繊維製品。
- 請求項1ないし9のいずれか1項記載の機能性繊維製品は、請求項1ないし9のいずれか1項記載の機能性繊維で作られた不織布、糸、織物又は編み物などであることを特徴とする機能性繊維製品。
- 請求項10記載の機能性繊維製品において、人体に放射された荷電粒子の運動に影響を及ぼす100−1200Gの磁場が付与されていることを特徴とする機能性繊維製品。
- 請求項1ないし11のいずれか1項記載の機能性繊維又は機能性繊維製品は、平均粒径が3nm−1μmの半導体粒子を用いていることを特徴とする機能性繊維又は機能性繊維製品。
- 半導体粒子の粒径が3−10nmであることを特徴とする請求項12記載の機能性繊維又は機能性繊維製品。
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