第1の態様の表示装置は、マトリクス状に配置された複数の発光画素を有する表示装置であって、発光画素列ごとに設けられた出力線に、固定電圧と発光画素の輝度を決定する信号電圧とを選択的に出力する信号線駆動回路と、発光画素列ごとに配置され、前記固定電圧又は前記信号電圧を前記発光画素に与える第1信号線及び第2信号線と、前記出力線から出力される前記固定電圧又は前記信号電圧を、前記第1信号線及び第2信号線のいずれかに選択的に供給するために発光画素列ごとに配置されたセレクタと、第1電源線及び第2電源線と、発光画素行ごとに配置された走査線とを備え、前記複数の発光画素は、複数の発光画素行を一駆動ブロックとした2以上の駆動ブロックを構成し、前記複数の発光画素のそれぞれは、一方の端子が前記第2電源線に接続され、前記信号電圧に応じた信号電流が流れることにより発光する発光素子と、前記第1電源線及び前記発光素子の他方の端子に接続され、前記信号電圧が印加されることにより前記信号電圧を前記信号電流に変換し、前記固定電圧が印加されることにより閾値電圧に応じた電圧又は初期化するための電圧である初期化電圧を保持する電流制御部と、k(kは自然数)番目の駆動ブロックに属する前記発光画素は、さらに、ゲートが前記走査線に接続され、ソース及びドレインの一方が前記第1信号線に接続され、ソース及びドレインの他方が前記電流制御部に接続され、前記第1信号線と前記電流制御部との導通及び非導通を切り換える第1スイッチングトランジスタを備え、(k+1)番目の駆動ブロックに属する前記発光画素は、さらに、ゲートが前記走査線に接続され、ソース及びドレインの一方が前記第2信号線に接続され、ソース及びドレインの他方が前記電流制御部に接続され、前記第2信号線と前記電流制御部との導通及び非導通を切り換える第2スイッチングトランジスタを備え、同一の前記駆動ブロック内の全発光画素では、前記電流制御部に前記固定電圧が印加されることにより前記閾値電圧が検出される閾値検出期間及び前記電流制御部が初期化される初期化期間の少なくとも一方が共通化されており、異なる前記駆動ブロック間では、前記駆動ブロック内で共通化された前記閾値検出期間及び前記初期化期間の少なくとも一方が独立しており、前記表示装置は、さらに、1フレーム期間内において、前記k番目の駆動ブロックに属する前記発光画素に前記第1信号線を介して前記信号電圧を与えた後、前記第1信号線に前記固定電圧を与え、前記(k+1)番目の駆動ブロックに属する前記発光画素に前記第2信号線を介して前記信号電圧を与えた後、前記第2信号線に前記固定電圧を与えるよう前記セレクタを制御するセレクタ制御部を備える。
本態様によれば、駆動トランジスタの閾値電圧補正期間及び/又は初期化期間とタイミングを駆動ブロック内で一致させることが可能となるので、走査線、信号線及び電源線から画素回路への信号レベルのオンからオフもしくはオフからオンへの切替え回数を減らすことができ、発光画素の回路を駆動する駆動回路の負荷が低減する。また、上記駆動ブロック化及び発光画素列ごとに配置された2本の信号線により、駆動トランジスタの閾値電圧補正期間及び/又は初期化期間を1フレーム期間に対して大きくとることができるので、高精度な駆動電流が発光素子に流れ、画像表示品質が向上する。
さらに、1発光画素列に対して配置された2本の信号線に対し、信号線駆動回路の出力線が1本とされているため、信号線駆動回路を小型化することができ、出力線の減少に伴う駆動回路のコストの低減及びパネル実装歩留まりの向上を図ることができる。
加えて、閾値検出などのための固定電圧の発光画素への供給を、例えば信号線の寄生容量を利用して行うことにより、バネル周縁部に固定電圧の供給用の回路を別途設ける必要がない。そのため、パネルの狭額縁化、パネル実装歩留まりの向上を図ることができる。
また、本発明の一態様に係る表示装置は、前記セレクタ制御部は、前記第1信号線及び前記第2信号線に前記固定電圧を与えた際、前記第1信号線及び前記第2信号線がそれぞれ有する寄生容量に前記固定電圧を保持させるとしてもよい。
本態様によれば、閾値検出などのための固定電圧の発光画素への供給を、信号線の寄生容量を利用して行なうので、バネル周縁部に固定電圧の供給用の回路を別途設ける必要がなく、パネルの狭額縁化、パネル実装歩留まりの向上を図ることができる。
また、本発明の一態様に係る表示装置は、さらに、発光画素行ごとに配置され、前記電流制御部に接続された第1制御線を備え、前記第1制御線は、同一の前記駆動ブロック内の全発光画素では共通化されており、異なる前記駆動ブロック間では独立しているとしてもよい。
本態様によれば、第1制御線信号のタイミングを駆動ブロック内で一致させることが可能となる。よって、発光素子に流れる駆動電流を制御する信号を出力する駆動回路の負荷が低減する。また、上記駆動ブロック化及び発光画素列ごとに配置された2本の信号線により、第1制御線による電流制御部の制御動作期間を1フレーム期間の中で長くとることができるので、高精度な駆動電流が発光素子に流れ、画像表示品質を向上させることが可能となる。
また、本発明の一態様に係る表示装置は、さらに、発光画素行ごとに配置され、前記電流制御部に接続された第2制御線を備え、前記電流制御部は、ソース及びドレインの一方が前記発光素子の他方の端子に接続され、ゲート−ソース間に印加される前記信号電圧を、ドレイン電流である前記信号電流に変換する駆動トランジスタと、一方の端子が前記駆動トランジスタのゲートに接続され、他方の端子が前記駆動トランジスタのソースに接続された第1容量素子と、一方の端子が前記駆動トランジスタのソースに接続され、他方の端子が前記第1制御線に接続された第2容量素子と、ゲートが前記第2制御線に接続され、ソース及びドレインが前記第1電源線と前記発光素子の他方の端子との間に挿入され、前記駆動トランジスタのドレイン電流のオンオフを切り換える第3スイッチングトランジスタとを備え、前記第1スイッチングトランジスタは、ゲートが前記走査線に接続され、ソース及びドレインの一方が前記第1信号線に接続され、ソース及びドレインの他方が前記駆動トランジスタのゲートに接続され、前記第2スイッチングトランジスタは、ゲートが前記走査線に接続され、ソース及びドレインの一方が前記第2信号線に接続され、ソース及びドレインの他方が前記駆動トランジスタのゲートに接続されているとしてもよい。
本態様によれば、電流制御部は、信号電圧を信号電流に変換する駆動トランジスタと、信号電圧及び固定電圧に対応した電圧を保持する第1容量素子と、駆動トランジスタのゲート及びソース電位を安定化する第2容量素子と、ドレイン電流のオンオフを切り換える第3スイッチングトランジスタとで構成される。上記電流制御部の回路構成、駆動ブロック化された各発光画素への制御線、走査線及び信号線の配置により、駆動トランジスタの閾値電圧補正期間及びそのタイミングを同一駆動ブロック内で一致させることが可能となる。よって、電流パスを制御する信号を出力し信号電圧を制御する駆動回路の負荷が低減する。また、さらに、上記駆動ブロック化及び発光画素列ごとに配置された2本の信号線により、駆動トランジスタの閾値電圧補正期間を、全発光画素を書き換える時間である1フレーム期間Tfのなかで大きくとることができる。これは、k番目の駆動ブロックにおいて輝度信号がサンプリングされている期間に、(k+1)番目の駆動ブロックにおいて閾値電圧補正期間が設けられることによるものである。よって、閾値電圧補正期間は、発光画素行ごとに分割されるのではなく、駆動ブロックごとに分割される。よって、表示領域が大面積化されるほど、発光デューティを減少させることなく、1フレーム期間に対する相対的な閾値電圧補正期間を長く設定することが可能となる。これにより、高精度に補正された信号電圧に基づいた駆動電流が発光素子に流れ、画像表示品質が向上する。さらに、第3スイッチングトランジスタにより、駆動トランジスタへの信号電圧印加タイミングと独立して発光素子の発光動作を制御することが可能となる。
また、本発明の一態様に係る表示装置は、前記第2制御線は、同一駆動ブロック内の全発光画素では共通化されており、異なる駆動ブロック間では独立しているとしてもよい。
これにより、第2制御線により第3スイッチングトランジスタを同一ブロック内で同時制御することにより、同一ブロック内での同時発光を実現することが可能となり、第2制御線からの信号を出力する駆動回路の負荷が低減する。
また、本発明の一態様に係る表示装置は、さらに、発光画素行ごとに配置された第2制御線を備え、前記電流制御部は、ソース及びドレインの一方が前記発光素子の他方の端子に接続され、ゲート−ソース間に印加される前記信号電圧を、ドレイン電流である前記信号電流に変換する駆動トランジスタと、一方の端子が前記駆動トランジスタのゲートに接続され、他方の端子が前記駆動トランジスタのソースに接続された第3容量素子と、一方の端子が前記駆動トランジスタのソースに接続され、他方の端子が前記第1制御線に接続された第4容量素子と、ゲートが前記第2制御線に接続され、ソース及びドレインの一方が前記第3容量素子の他方の端子に接続され、ソース及びドレインの他方が前記駆動トランジスタのソースに接続された第4スイッチングトランジスタとを備え、前記第1スイッチングトランジスタは、ゲートが前記走査線に接続され、ソース及びドレインの一方が前記第1信号線に接続され、ソース及びドレインの他方が前記駆動トランジスタのゲートに接続され、前記第2スイッチングトランジスタは、ゲートが前記走査線に接続され、ソース及びドレインの一方が前記第2信号線に接続され、ソース及びドレインの他方が前記駆動トランジスタのゲートに接続されているとしてもよい。
本態様によれば、電流制御部は、信号電圧を信号電流に変換する駆動トランジスタと、信号電圧及び固定電圧に対応した電圧を保持する第3容量素子と、駆動トランジスタのゲート及びソース電位を安定化する第4容量素子と、駆動トランジスタのソースと第3容量素子との導通及び非導通を切り換える第4スイッチングトランジスタとで構成される。上記電流制御部の回路構成、駆動ブロック化された各発光画素への制御線、走査線及び信号線の配置により、駆動トランジスタの閾値電圧補正期間及びそのタイミングを同一駆動ブロック内で一致させることが可能となる。よって、電流パスを制御する信号を出力し信号電圧を制御する駆動回路の負荷が低減する。また、さらに、上記駆動ブロック化及び発光画素列ごとに配置された2本の信号線により、駆動トランジスタの閾値電圧補正期間を、全発光画素を書き換える時間である1フレーム期間Tfのなかで大きくとることができる。これにより、高精度に補正された信号電圧に基づいた駆動電流が発光素子に流れ、画像表示品質が向上する。また、第4スイッチングトランジスタの配置により、第3容量素子に正確な信号電圧に対応した電圧を保持させることが可能となる。
また、本発明の一態様に係る表示装置において、前記電流制御部は、ソース及びドレインの一方が第1電源線に接続され、ソース及びドレインの他方が前記発光素子の他方の端子に接続され、ゲート−ソース間に印加される前記信号電圧を前記信号電流に変換する駆動トランジスタと、一方の端子が前記駆動トランジスタのゲートに接続された第5容量素子と、ゲートが前記走査線に接続され、ソース及びドレインの一方が前記第5容量素子の一方の端子に接続され、ソース及びドレインの他方が参照電源線に接続された第5スイッチングトランジスタと、ゲートが前記第1制御線に接続され、ソース及びドレインの一方が前記第5容量素子の他方の端子に接続され、ソース及びドレインの他方が前記駆動トランジスタのソースに接続された第6スイッチングトランジスタとを備え、前記第1スイッチングトランジスタは、ゲートが前記走査線に接続され、ソース及びドレインの一方が前記第5容量素子の他方の端子に接続され、ソース及びドレインの他方が前記第1信号線に接続され、前記第2スイッチングトランジスタは、ゲートが前記走査線に接続され、ソース及びドレインの一方が前記第5容量素子の他方の端子に接続され、ソース及びドレインの他方が前記第2信号線に接続されているとしてもよい。
本態様によれば、電流制御部は、信号電圧を信号電流に変換する駆動トランジスタと、信号電圧及び固定電圧に対応した電圧を保持する第5容量素子と、駆動トランジスタのゲートに参照電位を与えるための第5スイッチングトランジスタと、駆動トランジスタのソースと第5容量素子との導通及び非導通を切り換える第6スイッチングトランジスタとで構成される。上記電流制御部の回路構成、駆動ブロック化された各発光画素への制御線、走査線及び信号線の配置により、駆動トランジスタの初期化期間及びそのタイミングを同一駆動ブロック内で一致させることが可能となる。よって、電流パスを制御する信号を出力し信号電圧を制御する駆動回路の負荷が低減する。また、さらに、上記駆動ブロック化及び発光画素列ごとに配置された2本の信号線により、駆動トランジスタのリセット期間を、全発光画素を書き換える時間である1フレーム期間Tfのなかで大きくとることができる。これにより、高精度に補正された信号電圧に基づいた駆動電流が発光素子に流れ、画像表示品質が向上する。また、第6スイッチングトランジスタの配置により、第5容量素子に正確な信号電圧に対応した電圧を保持させることが可能となる。
また、本発明の一態様に係る表示装置において、前記第1電源線は、発光画素行ごとに配置され、前記固定電圧よりも低い電圧である第1電圧と、前記固定電圧よりも高い電圧である第2電圧とを供給し、前記電流制御部は、ソース及びドレインの一方が前記発光素子の他方の端子に接続され、ソース及びドレインの他方が前記第1電源線に接続され、ゲート−ソース間に印加される前記信号電圧を、ドレイン電流である前記信号電流に変換する駆動トランジスタと、一方の端子が前記駆動トランジスタのゲートに接続され、他方の端子が前記駆動トランジスタのソース及びドレインの一方に接続され、少なくとも前記信号電圧あるいは前記固定電圧に対応した電圧を保持する第6容量素子とを備え、前記第1スイッチングトランジスタは、ゲートが前記走査線に接続され、ソース及びドレインの一方が前記第1信号線に接続され、ソース及びドレインの他方が前記駆動トランジスタのゲートに接続され、前記第2スイッチングトランジスタは、ゲートが前記走査線に接続され、ソース及びドレインの一方が前記第2信号線に接続され、ソース及びドレインの他方が前記駆動トランジスタのゲートに接続され、同一の前記駆動ブロック内の全発光画素に対し、前記閾値検出期間及び前記初期化期間の少なくとも一方においては前記第1電圧及び前記第2電圧の供給を同じタイミングで制御し、異なる前記駆動ブロック間では、前記タイミングと異なるタイミングで前記第1電圧及び前記第2電圧の供給を制御する制御部を備えるとしてもよい。
本態様によれば、電流制御部は、信号電圧を信号電流に変換する駆動トランジスタと、信号電圧及び固定電圧に対応した電圧を保持する第6容量素子とで構成される。上記電流制御部の回路構成、駆動ブロック化された各発光画素への制御線、走査線、信号線及び電源線の配置により、駆動トランジスタの閾値電圧補正期間及びそのタイミングを同一駆動ブロック内で一致させることが可能となる。よって、電流パスを制御する信号を出力し信号電圧を制御する駆動回路の負荷が低減する。また、さらに、上記駆動ブロック化及び発光画素列ごとに配置された2本の信号線により、駆動トランジスタの閾値電圧補正期間を、全発光画素を書き換える時間である1フレーム期間Tfのなかで大きくとることができる。これにより、高精度に補正された信号電圧に基づいた駆動電流が発光素子に流れ、画像表示品質が向上する。
また、本発明の一態様に係る表示装置において、前記発光素子は、前記信号電圧に応じて発光する有機EL(Electro Luminescence)素子であるとしてもよい。
本態様によれば、アクティブマトリクス型の有機EL表示パネルにおいて、駆動ブロック化及びセレクタ回路の配置により、初期化期間及び閾値電圧補正期間を1フレーム期間の中で大きくとることができ、駆動回路の出力負荷及びコストの低減、ならびに実装歩留まりの向上が図られる。
また、本発明は、このような特徴的な手段を備える表示装置として実現することができるだけでなく、表示装置に含まれる特徴的な手段をステップとする表示装置の制御方法として実現することができる。
(実施の形態1)
以下、本発明の実施の形態1について、図面を参照しながら説明する。
図1は、本発明の実施の形態1に係る表示装置の電気的な構成を示すブロック図である。同図における表示装置1は、マトリクス状に配置された複数の発光画素を有する表示装置であって、表示パネル10と、制御回路20とを備える。表示パネル10は、複数の発光画素11A及び11Bと、信号線群12と制御線群13と、走査/制御線駆動回路14と、信号線駆動回路15と、セレクタ回路16とを備える。
発光画素11A及び11Bは、表示パネル10上に、マトリクス状に配置されている。ここで、発光画素11A及び11Bは、複数の発光画素行を一駆動ブロックとする2以上の駆動ブロックを構成している。具体的には、発光画素11Aは、k(kは自然数)番目の駆動ブロックを構成し、また、発光画素11Bは(k+1)番目の駆動ブロックを構成する。これは、例えば、発光画素11Aは奇数番目の駆動ブロックを構成し、発光画素11Bは偶数番目の駆動ブロックを構成するということを意味する。但し、表示パネル10をN個の駆動ブロックに分割したとすると、(k+1)はN以下の自然数である。
信号線群12は、発光画素列ごとに配置された複数の信号線からなる。ここで、各発光画素列につき2本の信号線(第1信号線151及び第2信号線152)が配置されており、奇数番目の駆動ブロックの発光画素は第1信号線に接続され、偶数番目の駆動ブロックの発光画素は第1信号線と異なる第2信号線に接続されている。このように、この2本の信号線(第1信号線151及び第2信号線152)は、発光画素列ごとに配置され、駆動トランジスタの閾値電圧を検出するため及び駆動トランジスタを初期化するための固定電圧(基準電圧)及び発光画素の輝度を決定する信号電圧を対応する発光画素11A及び11Bに与えるためのものである。
制御線群13は、発光画素行ごとに配置された走査線及び制御線からなる。
走査/制御線駆動回路14は、制御線群13の各走査線へ走査信号を制御線群13の各制御線へ制御信号を出力することにより、発光画素の有する回路素子を駆動する。
信号線駆動回路15は、発光画素列ごとに設けられた出力線に、固定電圧及び発光画素の輝度を決定する信号電圧を選択的に出力する。具体的には、信号線駆動回路15は、信号線群12の各信号線へセレクタ回路16を介して発光輝度を決定する信号電圧を出力することにより、発光画素の有する回路素子を駆動する。
セレクタ回路16は、選択した第1信号線151及び第2信号線152のいずれかに信号電圧及び基準電圧を排他的に供給する機能を有する。具体的には、セレクタ回路16は、出力線から出力される固定電圧(基準電圧)又は信号電圧を、第1信号線及び第2信号線のいずれかに選択的に供給する、発光画素列ごとに配置されたセレクタを制御する。詳細は後述するためここでの説明は省略する。
制御回路20は、走査/制御線駆動回路14から出力される走査信号及び制御信号の出力タイミング及び電圧レベルを制御する。また、制御回路20は、信号線駆動回路15から出力される信号電圧又は基準電圧を出力するタイミングを制御する。
さらに、制御回路20は、走査/制御線駆動回路14から出力される制御信号により、第1信号線及び第2信号線に信号電圧及び基準電圧(固定電圧)が互いに排他的に供給されるよう、セレクタ回路16の信号線選択動作を制御するセレクタ制御部でもある。
なお、制御回路20、走査/制御線駆動回路14及び信号線駆動回路15は、各発光画素の動作を制御する制御部を構成する。制御回路20は、同一の駆動ブロック内の全発光画素では、各発光画素に基準電圧を印加して画素回路の閾値電圧を検出する閾値検出期間及び画素回路を初期化する初期化期間の少なくとも一方を共通化し、異なる駆動ブロック間では、駆動ブロック内で共通化された閾値検出期間及び初期化期間の少なくとも一方を異ならせる。ここで、同一の駆動ブロック内において、上記閾値検出期間及び上記初期化期間の少なくとも一方を共通化するとは、当該期間の開始時刻及び終了時刻を同一の駆動ブロック内における各発光画素において一致させることをいう。また、異なる駆動ブロック間では、駆動ブロック内で共通化された上記閾値検出期間及び上記初期化期間の少なくとも一方を異ならせとは、当該期間の開始時刻及び終了時刻を異なる駆動ブロック間における各発光画素において異ならせ、かつ、異なる駆動ブロック間において当該期間を重複させないことをいう。
図2Aは、本発明の実施の形態1に係る表示装置における奇数駆動ブロックの発光画素の具体的な回路構成図であり、図2Bは、本発明の実施の形態1に係る表示装置における偶数駆動ブロックの発光画素の具体的な回路構成図である。図2A及び図2Bに記載された発光画素11A及び11Bは、いずれも、有機EL(Electro Luminescence)素子113と、駆動トランジスタ114と、スイッチングトランジスタ115及び116と、静電保持容量117及び118と、第2制御線131と、第1制御線132と、走査線133と、第1信号線151と、第2信号線152とを備える。ここで、駆動トランジスタ114と、スイッチングトランジスタ116と、静電保持容量117及び118とは、電流制御部100を構成している。
電流制御部100は、第1電源線(電源線112)及び、発光素子(有機EL素子113)の他方の端子及び第1制御線に接続され、信号電圧を信号電流に変換する。具体的には、電流制御部100は、第1電源線である電源線110、有機EL素子113のアノード、第2制御線131、第1制御線132及びスイッチングトランジスタ115のソース及びドレインの一方の端子に接続されている。この構成により、電流制御部100は、第1信号線151又は第2信号線152から供給される信号電圧を駆動トランジスタ114のソースドレイン電流である信号電流に変換する機能を有する。
有機EL素子113は、一方の端子が第2電源線に接続され、信号電圧に応じた信号電流が流れることにより発光する。具体的には、カソードが第2電源線である電源線112に接続されアノードが駆動トランジスタ114のソースに接続された発光素子であり、駆動トランジスタ114の駆動電流が流れることにより発光する。
駆動トランジスタ114は、本発明の電流制御部に含まれ、ソース及びドレインの一方が前記発光素子の他方の端子に接続され、ゲート−ソース間に印加される前記信号電圧を、ドレイン電流である前記信号電流に変換する。具体的には、ゲート−ソース間に信号電圧に対応した電圧が印加されることにより、当該電圧に対応したソース−ドレイン間電流を変換する。そして、このソース−ドレイン間電流は、駆動電流として有機EL素子113に供給される。駆動トランジスタ114は、例えば、n型の薄膜トランジスタ(n型TFT)で構成される。
スイッチングトランジスタ115は、走査線133がゲート電極に接続され、ソース及びドレインの一方が第1信号線151に接続された第3スイッチングトランジスタであり、ソース及びドレインの他方が電流制御部に接続され、第1信号線151と電流制御部との導通及び非導通を切り換える。具体的には、ゲートが走査線133に接続され、ソース及びドレインの一方が駆動トランジスタ114のゲートに接続されている。また、そのソース及びドレインの他方は、奇数駆動ブロックの発光画素11Aにおいては、第1信号線151に接続され、第1スイッチングトランジスタとして機能し、偶数駆動ブロックの発光画素11Bにおいては、第2信号線152に接続され、第2スイッチングトランジスタとして機能する。
スイッチングトランジスタ116は、ゲートが第2制御線131に接続され、ソース及びドレインの他方が正電源線である電源線110に接続された第3スイッチングトランジスタである。スイッチングトランジスタ116は、駆動トランジスタ114のソース−ドレイン間電流をオンオフさせる機能を有する。
なお、スイッチングトランジスタ116は、そのソース及びドレインが電源線110と有機EL素子のアノードとの間に接続されていればよい。この配置により、駆動トランジスタ114のソース−ドレイン間電流をオンオフさせることが可能となる。スイッチングトランジスタ115及び116は、例えば、n型の薄膜トランジスタ(n型TFT)で構成される。
静電保持容量117は、一方の端子が駆動トランジスタ114のゲートに接続され、他方の端子が駆動トランジスタ114のソースに接続された第1容量素子である。静電保持容量117は、第1信号線151又は第2信号線152から供給された信号電圧に対応した電荷を保持し、例えば、スイッチングトランジスタ115がオフ状態となった後に、駆動トランジスタ114から有機EL素子113へ供給する信号電流を制御する機能を有する。
静電保持容量118は、静電保持容量117の他方の端子と第1制御線132との間に接続された第2容量素子である。静電保持容量118は、まず、定常状態において駆動トランジスタ114のソース電位を記憶し、信号電圧がスイッチングトランジスタ115から印加された場合でもそのソース電位の情報は静電保持容量117と静電保持容量118との間のノードに残る。なお、このタイミングでのソース電位とは駆動トランジスタ114の閾値電圧である。その後、上記信号電圧の保持から発光までのタイミングが発光画素行ごとに異なっても、静電保持容量117の他方の端子の電位が確定されるので駆動トランジスタ114のゲート電圧が確定される。一方、駆動トランジスタ114のソース電位は既に定常状態であるので、静電保持容量118は、結果的に駆動トランジスタ114のソース電位を保持する機能を有する。
第2制御線131は、発光画素行ごとに配置され、同一の前記駆動ブロック内の全発光画素では共通化されており、異なる前記駆動ブロック間では独立している。ここで、第2制御線131が同一の駆動ブロック内の全発光画素で共通化されているとは、走査/制御線駆動回路14から出力される一の制御信号が、同一の駆動ブロック内の第2制御線131に同時に供給されることをいう。例えば、同一の駆動ブロック内では、走査/制御線駆動回路14に接続された一本の制御線が、発光画素行ごとに配置された第2制御線131に分岐している。また、第2制御線131が、異なる駆動ブロック間では独立しているとは、走査/制御線駆動回路14から出力される個別の制御信号が、複数の駆動ブロックに対して供給されることをいう。例えば、第2制御線131が、走査/制御線駆動回路14に駆動ブロックごとに、個別に接続されている。具体的には、第2制御線131は、走査/制御線駆動回路14に接続され、発光画素11A及び11Bを含む画素行に属する各発光画素に接続されている。これにより、第2制御線131は、駆動トランジスタ114のソース−ドレイン間電流をオンオフするタイミングを供給する機能を有する。
第1制御線132は、発光画素行ごとに配置され、同一の前記駆動ブロック内の全発光画素では共通化されており、異なる前記駆動ブロック間では独立している。具体的には、第1制御線132は、走査/制御線駆動回路14に接続され、発光画素11A及び11Bを含む画素行に属する各発光画素に接続されている。これにより、第1制御線132は、電圧レベルを切り換えることにより、駆動トランジスタ114の閾値電圧を検出する環境を整える機能を有する。
走査線133は、発光画素11A及び11Bを含む画素行に属する各発光画素へ信号電圧又は駆動トランジスタ114の閾値電圧を検出するための基準電圧(固定電圧)を書き込むタイミングを供給する機能を有する。
第1信号線151及び第2信号線152は、セレクタ回路16に接続され、それぞれ、発光画素11A及び11Bを含む画素列に属する各発光画素へ接続され、駆動トランジスタ114の閾値電圧を検出するための基準電圧と、発光強度を決定する信号電圧とを供給する機能を有する。
なお、図2A及び図2Bには記載されていないが、電源線110及び電源線112は、それぞれ、他の発光画素にも接続されており電圧源に接続されている。
次に、セレクタ回路16の回路構成及びその機能を詳細に説明する。図3は、本発明の実施の形態に係る表示装置の有するセレクタ回路及びその周辺回路の回路構成図である。
セレクタ回路16は、発光画素列ごとに配置されたセレクタである選択トランジスタ161及び選択トランジスタ162を備える。セレクタ回路16では、選択トランジスタ161又は選択トランジスタ162が制御されることにより、信号線駆動回路15が備えるデータドライバ150の出力線に出力される固定電圧又は信号電圧を、第1信号線151及び第2信号線152のいずれかに選択的に供給する。具体的には、第1セレクタ制御線141により選択トランジスタ161が制御され、第2セレクタ制御線142により選択トランジスタ162が制御される。
また、信号線駆動回路15は、発光画素列ごとにデータドライバ150を備える。データドライバ150は、制御回路20からの入力信号に対応した信号電圧を、接続された発光画素列に出力するICである。
選択トランジスタ161は、本願のセレクタに相当し、ソース及びドレインの一方が第1信号線151に接続されており、ソース及びドレインの他方がデータドライバ150の出力線に接続されており、さらに、ゲートが第1セレクタ制御線141と接続されている。選択トランジスタ161は、第1セレクタ制御線141によりゲートがオンオフされることにより、データドライバ150より出力される基準電圧(固定電圧)又は信号電圧を、第1信号線151に選択的に供給する。例えば、第1セレクタ制御線141の電圧レベルがHIGHのとき、選択トランジスタ161がオン状態となり、データドライバ150が供給する信号電圧又は基準電圧を第1信号線151に供給する。また例えば、第1セレクタ制御線141の電圧レベルがLOWのとき、選択トランジスタ161はオフ状態となり、データドライバ150の出力線とは切断される。
同様に、選択トランジスタ162は、本願のセレクタに相当しソース及びドレインの一方が第2信号線152に接続されており、ソース及びドレインの他方がデータドライバ150の出力線に接続されており、さらに、ゲートが第2セレクタ制御線142と接続されている。選択トランジスタ162は、第2セレクタ制御線142によりゲートがオンオフされることにより、データドライバ150より出力される基準電圧(固定電圧)又は信号電圧を、第2信号線152に選択的に供給する。例えば、第2セレクタ制御線142の電圧レベルがHIGHのとき、選択トランジスタ162がオン状態となり、データドライバ150が供給する信号電圧又は基準電圧を第2信号線152に供給する。また例えば、第2セレクタ制御線142の電圧レベルがLOWのとき、選択トランジスタ162はオフ状態となり、データドライバ150の出力線とは切断される。
第1セレクタ制御線141及び第2セレクタ制御線142は、例えば、図3に示すように、走査/制御線駆動回路14に接続され、選択トランジスタ161及び選択トランジスタ161のソース−ドレイン間電流をオンオフするタイミングを供給する機能を有する。具体的には、第1セレクタ制御線141及び第2セレクタ制御線142とは、その電圧レベル(例えばHIGHとLOW)が排他的に制御される。これにより、データドライバ150の出力線に出力される基準電圧(固定電圧)又は信号電圧を、第1信号線151及び第2信号線152のいずれかに選択的に供給することができる。
なお、従来の信号線駆動回路では、信号線の本数と同数のデータドライバIC及び出力線を配置し、信号線ごとに独立して信号電圧を駆動する必要があった。本発明では、信号線駆動回路15と信号線群12との間に、セレクタ回路16が配置されていることにより、1発光画素列に対して配置された2本の信号線に対し、信号線駆動回路15の出力線が1本とされているため、信号線駆動回路15を小型化することができ、データドライバ150の実装数及び出力線の減少に伴う駆動回路実装のためのコスト低減及び実装歩留まりの向上が図られる。
また、第1セレクタ制御線141及び第2セレクタ制御線142は、上記機能を有するならば、走査/制御線駆動回路14に接続されていなくてもよく、例えば、制御回路20に直接接続されていてもよい。
次に、第2制御線131、第1制御線132、走査線133、第1信号線151及び第2信号線152の発光画素間における接続関係について説明する。
図4は、本発明の実施の形態1に係る表示装置の有する表示パネルの一部を示す回路構成図である。同図には、2つの隣接する駆動ブロック及び各制御線、各走査線及び各信号線が記載されている。図面及び以下の説明では、各制御線、各走査線及び各信号線を“符号(ブロック番号、当該ブロックにおける行番号)”又は“符号(ブロック番号)”で表している。
前述したように、駆動ブロックとは、複数の発光画素行で構成されており、表示パネル10の中には2以上の駆動ブロックが存在する。例えば、図4に記載された各駆動ブロックは、m行の発光画素行で構成されている。
図4の上段に記載されたk番目の駆動ブロックでは、第2制御線131(k)が当該駆動ブロック内の全発光画素11Aの有するスイッチングトランジスタ116のゲートに共通して接続されている。また、第1制御線132(k)が当該駆動ブロック内の全発光画素11Aの有する静電保持容量118に共通して接続されている。一方、走査線133(k、1)〜走査線133(k、m)は、それぞれ、発光画素行ごとに個別に接続されている。また、図4の下段に記載された(k+1)番目の駆動ブロックでも、k番目の駆動ブロックと同様の接続がなされている。ただし、k番目の駆動ブロックに接続された第2制御線131(k)と(k+1)番目の駆動ブロックに接続された第2制御線131(k+1)とは、異なる制御線であり、走査/制御線駆動回路14から個別の制御信号が出力される。また、k番目の駆動ブロックに接続された第1制御線132(k)と(k+1)番目の駆動ブロックに接続された第1制御線132(k+1)とは、異なる制御線であり、走査/制御線駆動回路14から個別の制御信号が出力される。
また、k番目の駆動ブロックでは、第1信号線151が当該駆動ブロック内の全発光画素11Aの有するスイッチングトランジスタ115のソース及びドレインの他方に接続されている。一方、(k+1)番目の駆動ブロックでは、第2信号線152が当該駆動ブロック内の全発光画素11Bの有するスイッチングトランジスタ115のソース及びドレインの他方に接続されている。
上述したように、駆動ブロック化を行うことにより、駆動トランジスタ114のドレインへの電圧印加のオンオフを制御する第2制御線131の本数が削減される。また、駆動トランジスタ114の閾値電圧Vthを検出するVth検出回路を制御する第1制御線132の本数が削減される。よって、これらの制御線に駆動信号を出力する走査/制御線駆動回路14の出力本数が低減し、回路規模の削減を可能にする。
次に、本実施の形態に係る表示装置1の駆動方法について図5を用いて説明する。なお、ここでは、図2A及び図2Bに記載された具体的回路構成を有する表示装置についての駆動方法を詳細に説明する。
図5は、本発明の実施の形態1に係る表示装置の駆動方法の動作タイミングチャートである。同図において、横軸は時間を表している。また縦方向には、上から順に、k番目の駆動ブロックの走査線133(k、1)、133(k、2)及び133(k、m)、第1信号線151、第2制御線131(k)及び第1制御線132(k)に発生する電圧の波形図が示されている。また、これらに続き、(k+1)番目の駆動ブロックの走査線133(k+1、1)、133(k+1、2)及び133(k+1、m)、第2信号線152、第2制御線131(k+1)及び第1制御線132(k+1)に発生する電圧の波形図が示されている。また、図6は、本発明の実施の形態1に係る表示装置の有する発光画素の状態遷移図である。また、図7は、本発明の実施の形態1に係る表示装置の動作フローチャートである。
まず、時刻t0の直前では、走査線133(k、1)〜133(k、m)の電圧レベルは全てLOWであり、第1制御線132(k)及び第2制御線131(k)もLOWである。図6(a)のように、第2制御線131(k)をLOWとした瞬間から、スイッチングトランジスタ116はオフ状態となる。これにより、有機EL素子113は消光し、kブロックにおける発光画素の一斉発光が終了する。同時に、kブロックにおける非発光期間が開始する。
次に、時刻t0において、走査/制御線駆動回路14は、走査線133(k、1)〜133(k、m)の電圧レベルを同時にLOWからHIGHに変化させ、スイッチングトランジスタ115をオン状態とする。ただし、この時、既に第2制御線131(k)はLOWとなってスイッチングトランジスタ116はオフとなっている(図7のS11)。
また、この時、第1信号線151の電圧レベルは、信号電圧から駆動トランジスタ114がオフとなる基準電圧に変化される(図7のS12)。
具体的には、この第1信号線151は、時刻t0以前において、信号線駆動回路15より、セレクタ回路16を介して、信号電圧が与えられており、時刻t0から一定期間、セレクタ回路16を介して、基準電圧が与えられる。その後、第1信号線151は、セレクタ回路16より、信号線駆動回路15との接続が切断されるものの、第1信号線151が有する寄生容量により、この基準電圧を保持する。そのため、第1信号線151は、その後、セレクタ回路16を介して信号線駆動回路15と接続され、信号電圧が与えられるまで、その基準電圧を保持することになる。なお、信号線駆動回路15は、時刻t0において、セレクタ回路16を介して、一定期間、基準電圧を第1信号線151に出力した後、セレクタ回路16を介して、第2信号線152に信号電圧を出力する。
ここで、セレクタ回路16を用いて、第1信号線151の電圧を基準電圧から信号電圧に変化させる方法について説明する。
図8は、本発明の実施の形態1に係る表示装置の有するセレクタ回路を駆動するための動作タイミングチャートである。
図8(a)において、縦軸は、表示パネルの行数を模式的に示しており、横軸は時間を表している。図8(a)では、勾配のある直線が、1フレーム期間において、k番目〜k+3の4つの駆動ブロックに順に印加される信号電圧の様子を示している。また、勾配のないフラットな直線が、データドライバ150が基準電圧を出力する期間、かつ、いずれの駆動ブロックにも信号電圧が印加されない期間であることを示している。
また、図8(b)において、横軸は時間を表している。縦方向には、上から順に、k番目〜k+3の4つの駆動ブロックの走査線に発生する電圧の波形図と、第1信号線151、第2信号線152、第1セレクタ制御線141、第2セレクタ制御線142、及びデータドライバ150に発生する電圧の波形図が示されている。図8(b)には、4つの駆動ブロックの走査線として、例えば、発光画素11Bの有する回路素子を駆動するためのk番目の駆動ブロックの走査線133(k、1)、・・・133(k、m)、発光画素11Aの有する回路素子を駆動するためのk+1番目の駆動ブロックの走査線133(k+1、1)、・・・133(k+1、m)、発光画素11Bの有する回路素子を駆動するためのk+2番目の駆動ブロックの走査線133(k+2、1)、・・・133(k+2、m)、発光画素11Aの有する回路素子を駆動するためのk+3番目の駆動ブロックの走査線133(k+3、1)、・・・133(k+3、m)が示されている。
図9Aは、信号線駆動回路15より基準電圧が第1信号線151に供給される一定期間の状態について説明するための図である。図9Bは、信号線駆動回路15より信号電圧が第2信号線152に供給されている状態について説明するための図である。図9Cは、信号線駆動回路15より基準電圧が第2信号線152に供給される一定期間の状態について説明するための図である。図9Dは、信号線駆動回路15より信号電圧が第1信号線151に供給されている状態について説明するための図である。
図8(b)に示すように、信号線駆動回路15が有するデータドライバ150は、信号電圧及び基準電圧を排他的に供給(出力)している。データドライバ150は、1フレーム期間において、例えば期間T1−1及び期間T2−1と示される一定期間のみ基準電圧を供給し、例えば期間T1−2及び期間T2−2と示されるその他の期間で信号電圧を供給している。
例えば期間T1−1と示される一定期間では、第1セレクタ制御線141の電圧レベルがHIGHであり、第2セレクタ制御線142の電圧レベルがLOWであり、さらに、データドライバ150より第1信号線151に基準電圧が供給されている。この時、期間T1−1に対応するk+2番目の駆動ブロック内では、走査/制御線駆動回路14により、走査線133(k+2、1)〜133(k+2、m)の電圧レベルが同時にLOWからHIGHに変化され、スイッチングトランジスタ115がオン状態となっている。
そのため、期間T1−1では、図9Aに示されるように、基準電圧がデータドライバ150より供給されて、第1信号線151が有する寄生容量に充電(SAMPLE)されることになる。
次に、期間T1−2と示される期間では、第1セレクタ制御線141の電圧レベルがLOWであり、第2セレクタ制御線142の電圧レベルがHIGHであるので、データドライバ150より第2信号線152に信号電圧が供給されている。この時、k+1番目の駆動ブロック内では、発光画素11Aの有する有機EL素子113の発光がなされている。
そのため、期間T1−2において、図9Bに示されるように、信号電圧がデータドライバ150より第2信号線152に供給されて、第2信号線152に属する発光画素(ここでは、(k+1)番目の駆動ブロック内の全発光画素11A)では、供給された信号電圧に応じて発光することになる。一方、第1信号線151は、信号線駆動回路15との接続が切断されているものの、第1信号線151が有する寄生容量により、データドライバ150よりT1−1で供給された基準電圧を保持している(Hold)。
次に、期間T2−1と示される一定期間では、第1セレクタ制御線141の電圧レベルがLOWであり、第2セレクタ制御線142の電圧レベルがHIGHである。そして、第2信号線152には、データドライバ150より基準電圧が供給される。この時、期間T2−1に対応するk+3番目の駆動ブロック内では、走査/制御線駆動回路14により、走査線133(k+3、1)〜133(k+3、m)の電圧レベルが同時にLOWからHIGHに変化され、スイッチングトランジスタ115がオン状態となっている。
そのため、期間T2−1では、図9Cに示されるように、基準電圧がデータドライバ150より供給されて、第2信号線152が有する寄生容量に充電(SAMPLE)されることになる。
次に、期間T2−2と示される期間では、第1セレクタ制御線141の電圧レベルがHIGHであり、第2セレクタ制御線142の電圧レベルがLOWであり、データドライバ150より第1信号線151に信号電圧が供給されている。この時、k+2番目の駆動ブロック内では、発光画素11Bの有する有機EL素子113の発光がなされている。
そのため、期間T2−2において、図9Dに示されるように、信号電圧がデータドライバ150より第1信号線151に供給されて、第1信号線151に属する発光画素(ここでは、(k+2)番目の駆動ブロック内の全発光画素11B)では、供給された信号電圧に応じて発光することになる。一方、第2信号線152は、信号線駆動回路15との接続が切断されているものの、第2信号線152が有する寄生容量により、データドライバ150よりT2−1で供給された基準電圧を保持している(Hold)。
このように駆動させることで、基準信号電圧を供給する専用の基準信号線がなくとも、第1信号線151及び第2信号線152が有する寄生容量を利用し、第1信号線151及び第2信号線152それぞれに基準電圧を保持させることができる。
以下、再び、本実施の形態に係る表示装置1の駆動方法について説明する。
本時刻すなわち図5に示した時刻t0においては、図9Aに示されるように、基準電圧がデータドライバ150より供給されて、第1信号線151が有する寄生容量に充電(SAMPLE)される。そして、時刻t5aまでの間に、第1信号線151は、図9Bに示されるように、その基準電圧を保持(Hold)している。一方、時刻t5までの間、信号電圧がデータドライバ150より第2信号線152に供給されて、第2信号線152に属する発光画素が、供給された信号電圧に応じて発光開始することになる。すなわち、時刻t0から時刻t1の間に、期間T1−1と一部の期間T1−2とが含まれている。なお、t5とt8とは同時刻とすることができる。
このように、基準電圧が第1信号線151に保持され、第1信号線151に保持されている基準信号電圧が、オン状態のスイッチングトランジスタ115を介して、駆動トランジスタ114のゲートに印加される。
次に、時刻t1において、走査/制御線駆動回路14は、第1制御線132(k)の電圧レベルをLOWからHIGHに変化させ、一定期間経った後、時刻t2においてLOWに変化させる(図7のS13)。ただし、この時、第2制御線131(k)の電圧レベルはLOWに維持されているので、駆動トランジスタ114のソース電極S(M)と有機EL素子113のカソード電極との間の電位差は、有機EL素子113の閾値電圧に漸近していく。ここで、例えば、基準信号電圧及び電源線112電位を0Vとし、第1制御線132(k)のHIGH電圧レベル(VgH)とLOW電圧レベル(VgL)の電位差(VgH−VgL)をΔVreset、静電保持容量118の静電容量値をC2、有機EL素子113の静電容量及び閾値電圧を、それぞれCEL及びVT(EL)とする。このとき、第1制御線132(k)の電圧レベルをLOWからHIGHにした瞬間、駆動トランジスタ114のソース電極S(M)の電位Vsは、C2とCELとで分配される電圧と、VT(EL)との和とほぼ等しく、
となる。その後、図6(b)に示すように、有機EL素子113の自己放電がなされることにより、上記Vsは、定常状態では、V
T(EL)に漸近していく。すなわち、Vs→V
T(EL)となる。
その後、時刻t2において、走査/制御線駆動回路14が第1制御線132(k)の電圧レベルをHIGHからLOWに変化させることにより、Vsがバイアスされ、
となる。ここで、この第1制御線132(k)のHIGHからLOWへの変化により、駆動トランジスタ114のゲートソース間電圧であるVgsには、駆動トランジスタ114の閾値電圧V
thよりも大きな電圧が発生するように、ΔV
resetを設定している。つまり、静電保持容量117に発生する電位差を駆動トランジスタ114の閾値電圧が検出できる電位差としている。このようにして、閾値電圧の検出過程への準備が完了する。
次に、時刻t3において、走査/制御線駆動回路14は、第2制御線131(k)の電圧レベルをLOWからHIGHに変化させてスイッチングトランジスタ116をオン状態とする。これにより、図6(c)に示すように、駆動トランジスタ114はオン状態となり、ドレイン電流を、静電保持容量117、118及びオフ状態となっている有機EL素子113へと流す。このとき、式2で規定されたVsは、−Vthに漸近していく。これにより、静電保持容量117、118及び有機EL素子113には駆動トランジスタ114のゲート−ソース間電圧が記録される。なお、このとき、有機EL素子113のアノード電極電位すなわち駆動トランジスタ114のソース電極電位は−Vth(<0)よりも低い電位であり、有機EL素子113のカソード電位は0Vであるので逆バイアス状態となり、有機EL素子113は発光せず、静電容量CELとして機能する。
そして、時刻t3〜時刻t4の期間、発光画素11Aの回路は定常状態となり、静電保持容量117及び118には駆動トランジスタ114の閾値電圧Vthに相当する電圧が保持される。なお、閾値電圧Vthに相当する電圧を静電保持容量117及び118に保持させるために流れる電流は微少であるため、定常状態となるまでには時間を要する。よって、この期間が長いほど、静電保持容量117に保持される電圧は安定し、この期間を十分長く確保することにより、高精度な電圧補償が実現される。
次に、時刻t4において、走査/制御線駆動回路14は、第2制御線131(k)の電圧レベルをHIGHからLOWに変化させる(図7のS14)。これにより、駆動トランジスタ114への電流供給が停止される。このとき、k番目の駆動ブロックの全発光画素11Aの有する静電保持容量117及び118には駆動トランジスタ114の閾値電圧Vthに相当する電圧が同時に保持される。
次に、時刻t5において、走査/制御線駆動回路14は、走査線133(k、1)〜133(k、m)の電圧レベルを同時にHIGHからLOWに変化させ、スイッチングトランジスタ115をオフ状態とする。
以上、時刻t0〜時刻t5の期間では、駆動トランジスタ114の閾値電圧Vthの補正が、k番目の駆動ブロック内において同時に実行されている。なお、時刻t0〜時刻t5の期間は、上述した図8における、期間T1−1と期間T1−2とを合算した期間に相当する。
次に、時刻t5〜時刻t7の期間において、走査/制御線駆動回路14は、走査線133(k、1)〜133(k、m)の電圧レベルを、順次、LOW→HIGH→LOWに変化させ、スイッチングトランジスタ115を、発光画素行ごとに順次オン状態とする。
また、この時、第1信号線151の電圧レベルは、基準電圧から信号電圧Vdataに変化される(図7のS15)。
具体的には、第1信号線151は、時刻t5以前において、図9A及び図9Bで説明したように、信号線駆動回路15との接続が切断されているものの、第1信号線151が有する寄生容量により、基準電圧を保持している。その後、第1信号線151は、一定期間経過後(すなわち、時刻t5から一定期間経過後)、セレクタ回路16を介して信号線駆動回路15と接続され、信号電圧Vdataが与えられる。なお、信号線駆動回路15は、時刻t5において、セレクタ回路16を介して、図9Cに示すように、一定期間、基準電圧を第2信号線152に出力しており、その後、セレクタ回路16を介して、第1信号線151に信号電圧Vdataを出力する。
これにより、図6(d)に示すように、駆動トランジスタ114のゲートに信号電圧Vdataが印加される。このとき、静電保持容量117及び118の接点Mにおける電位VM(=Vs)は、信号電圧の変化量ΔVdataがC1及びC2で分配された電圧と、時刻t4におけるVs電位である−Vthとの和となり、
つまり、静電保持容量117に保持される電位差Vgsは、Vdataと上記式3で規定された電位との差分であり、
つまり、静電保持容量117には、この信号電圧Vdataに応じた電圧と、先に保持された駆動トランジスタ114の閾値電圧Vthに相当する電圧とが加算された加算電圧が書き込まれる。
以上、時刻t5〜時刻t7の期間では、補正された信号電圧の書き込みが、k番目の駆動ブロック内で発光画素行ごとに、順次実行されている。
次に、時刻t7以降において、第2制御線131(k)の電圧レベルをLOWからHIGHに変化させる(図7のS16)。これにより、上記加算電圧に応じた駆動電流が有機EL素子113に流れる。つまり、k番目の駆動ブロック内の全発光画素11Aでは、同時に発光が開始される。
以上、時刻t7以降の期間では、有機EL素子113の発光が、k番目の駆動ブロック内において同時に実行されている。ここで、駆動トランジスタ114を流れるドレイン電流idは、式4で規定されたVgsから、駆動トランジスタ114の閾値電圧Vthを減じた電圧値を用いて、
と表される。ここで、βは移動度に関する特性パラメータである。式5から、有機EL素子113を発光させるためのドレイン電流i
dは、駆動トランジスタ114の閾値電圧V
thに依存しない電流となっていることが解る。
以上、発光画素行を駆動ブロック化することにより、駆動ブロック内では、駆動トランジスタ114の閾値電圧Vth補償が同時に実行される。また、有機EL素子113の発光も駆動ブロック内で同時に実行される。これにより、駆動トランジスタ114の駆動電流のオンオフの制御を駆動ブロック内で同期でき、また、当該駆動電流のソース以降の電流経路の制御を駆動ブロック内で同期できる。よって、第1制御線132及び第2制御線131を駆動ブロック内で共通化できる。
また、走査線133(k、1)〜133(k、m)においては、走査/制御線駆動回路14とは個別に接続されているが、閾値電圧補償期間においては、駆動パルスのタイミングが同一である。よって、走査/制御線駆動回路14は、出力するパルス信号の高周波化を抑制することができるので、駆動回路の出力負荷を低減できる。さらに、セレクタ回路16を備えることによりデータドライバ150の数を低減できるので制御回路20の出力数の削減が可能となる。
一方、上述した、駆動回路の出力負荷の小さい駆動方法は、特許文献1に記載された従来の表示装置500では実現困難である。図32に記載された画素回路図においても、駆動トランジスタ512の閾値電圧Vthを補償しているが、当該閾値電圧に相当する電圧が保持容量513に保持された後、駆動トランジスタ512のソース電位は変動し確定しない。このため、表示装置500では、閾値電圧Vthを保持した後、続いて信号電圧が加算された加算電圧の書き込みを即座に実行しなければならない。また、上記加算電圧もソース電位の変動の影響を受けるため、続いて発光動作を即座に実行しなければならない。つまり、従来の表示装置500では、発光画素行ごとに、上述した閾値電圧補償、信号電圧書き込み及び発光を実行しなければならず、図32に記載された発光画素501では駆動ブロック化はできない。
これに対し、本発明の表示装置1の有する発光画素11A及び11Bは、前述したように、駆動トランジスタ114のドレインにスイッチングトランジスタ116が付加されている。これにより、駆動トランジスタ114のゲート及びソース電位が安定化されるので、閾値電圧補正による電圧の書き込みから信号電圧の加算書き込みまでの時間、又は、当該加算書き込みから発光までの時間を、発光画素行ごとに任意に設定することが可能となる。この回路構成により、駆動ブロック化が可能となり、同一駆動ブロック内での閾値電圧補正期間及び発光期間を一致させることが可能となる。
ここで、特許文献1に記載された、2本の信号線を用いた従来の表示装置と、本発明の駆動ブロック化された表示装置とで、閾値電圧検出期間により規定される発光デューティの比較を行う。
図10は、走査線及び信号線の波形特性を説明する図である。同図において、各画素行の1水平期間t1Hにおける閾値電圧Vthの検出期間は、走査線がオン状態の期間であるPWSに相当する。また、信号線においては、1水平期間t1Hは、信号電圧を供給する期間であるPWDと、基準電圧を供給する期間であるtDとを含む。また、PWSの立ち上がり時間及び立ち下がり時間を、それぞれ、tR(S)及びtF(S)とし、PWDの立ち上がり時間及び立ち下がり時間を、それぞれ、tR(D)及びtF(D)とすると、1水平期間t1Hは以下のように表される。
さらに、PW
D=t
Dと仮定すると、
となる。式6及び式7より、
また、Vth検出期間は基準電圧発生期間内に開始し終了しなければならないので、Vth検出時間を最大で確保したとして、
上記式10に対して、例として、走査線本数が1080本(+ブランキング30本)の垂直解像度を有し、120Hz駆動するパネルの発光デューティを比較する。
従来の表示装置500において、2本の信号線を有する場合の1水平期間t1Hは、1本の信号線を有する場合の2倍であるから、
t1H={1秒/(120Hz×1110本)}×2=7.5μS×2=15μS
となる。ここで、tR(D)=tF(D)= 2μS、tR(S)=tF(S)=1.5μSとする。これらを式10に代入すると、Vthの検出期間であるPWSは、2.5μSとなる。
ここで、十分な精度を有するためのVth検出期間が1000μS必要であるとすると、当該Vth検出に必要な水平期間は、1000μS/2.5μS=400水平期間、が少なくとも非発光期間として必要となる。よって、2本の信号線を用いた従来の表示装置500の発光デューティは、(1110水平期間−400水平期間)/1110水平期間=64%以下となる。
次に、本発明の駆動ブロック化された表示装置の発光デューティを求める。上記条件と同様に、十分な精度を有するためのVth検出期間が1000μS必要であるとすると、ブロック駆動の場合には、図6Aに記載された期間A(閾値検出準備期間+閾値検出期間)が上記1000μSに相当する。この場合、1フレームの非発光期間は、上記期間Aと書き込み期間とを含むことから、少なくとも1000μS×2=2000μSとなる。よって、本発明の駆動ブロック化された表示装置1の発光デューティは、(1フレーム時間−2000μS)/1フレーム時間であり、1フレーム時間として(1秒/120Hz)を代入して、76%以下となる。
以上の比較結果より、2本の信号線を用いた従来の表示装置に対して、本発明のようにブロック駆動を組み合わせることにより、同じ閾値検出期間を設定したとしても発光デューティをより長く確保することができる。よって、発光輝度が十分確保され、かつ、駆動回路の出力負荷が低減された長寿命の表示装置を実現することが可能となる。
逆に言えば、2本の信号線を用いた従来の表示装置と、本発明のようにブロック駆動を組み合わせた表示装置とを同じ発光デューティに設定した場合、本発明の表示装置の方が、閾値検出期間を長く確保することが解る。
再び、本実施の形態に係る表示装置1の駆動方法について説明する。
時刻t8では、(k+1)番目の駆動ブロックにおける駆動トランジスタ114の閾値電圧補正が開始される。
具体的には、まず、時刻t8の直前では、走査線133(k+1、1)〜133(k+1、m)の電圧レベルは全てLOWであり、第1制御線132(k+1)及び第2制御線131(k+1)もLOWである。第2制御線131(k+1)をLOWとした瞬間から、スイッチングトランジスタ116はオフ状態となる。これにより、有機EL素子113は消光し、(k+1)ブロックにおける発光画素の一斉発光が終了する。同時に、(k+1)ブロックにおける非発光期間が開始する。
そして、時刻t5とほぼ同時期である時刻t8において、走査/制御線駆動回路14は、走査線133(k+1、1)〜133(k+1、m)の電圧レベルを同時にLOWからHIGHに変化させ、スイッチングトランジスタ115をオン状態とする。ただし、この時、既に第2制御線131(k+1)はLOWとなってスイッチングトランジスタ116はオフとなっている(図7のS21)。また、この時、第2信号線152の電圧レベルは、信号電圧から基準電圧に変化される(図7のS22)。
具体的には、この第2信号線152は、時刻t8以前において、信号線駆動回路15より、セレクタ回路16を介して、信号電圧が与えられており、時刻t8から一定期間、セレクタ回路16を介して、基準電圧が与えられる。その後、第2信号線152は、セレクタ回路16より、信号線駆動回路15との接続が切断されるものの、第2信号線152が有する寄生容量により、基準電圧を保持する。そのため、第2信号線152は、その後、セレクタ回路16を介して信号線駆動回路15と接続され、信号電圧が与えられるまで、その基準電圧を保持することになる。なお、信号線駆動回路15は、時刻t8において、セレクタ回路16を介して、一定期間、基準電圧を第2信号線152に出力した後、セレクタ回路16を介して、第2信号線152に信号電圧を出力する。
つまり、本時刻おいては、図9Cに示されるように、基準電圧がデータドライバ150より供給されて、第2信号線152が有する寄生容量に充電(SAMPLE)する。そして、時刻t9までの間、第2信号線152は、図9Dに示されるように、その基準電圧を保持(Hold)している。一方、時刻t9までの間、信号電圧がデータドライバ150より第1信号線151に供給されて、第1信号線151に属する発光画素が、供給された信号電圧に応じて発光開始することになる。
このように、基準電圧が第2信号線152に保持され、第2信号線152に保持されている基準信号電圧が、オン状態のスイッチングトランジスタ115を介して、駆動トランジスタ114のゲートに印加される。
次に、時刻t9において、走査/制御線駆動回路14は、第1制御線132(k+1)の電圧レベルをLOWからHIGHに変化させ、一定期間経った後、時刻t10においてLOWに変化させる(図7のS23)。なお、この時、第2制御線131(k+1)の電圧レベルはLOWに維持されているので、駆動トランジスタ114のソース電極S(M)と有機EL素子113のカソード電極との間の電位差は、有機EL素子113の閾値電圧に漸近していく。これにより、電流制御部100の静電保持容量117に蓄えられる電位差を、駆動トランジスタ114の閾値電圧が検出できる電位差とする。このようにして、閾値電圧の検出過程への準備が完了する。
次に、時刻t11において、走査/制御線駆動回路14は、第2制御線131(k+1)の電圧レベルをLOWからHIGHに変化させてスイッチングトランジスタ116をオン状態とする。これにより、駆動トランジスタ114はオン状態となり、ドレイン電流を、静電保持容量117、118及びオフ状態となっている有機EL素子へと流す。このとき、静電保持容量117、118及び有機EL素子113には駆動トランジスタ114のゲート−ソース間電圧が記録される。なお、このとき、有機EL素子113のアノード電極電位すなわち駆動トランジスタのソース電極電位は−Vth(<0)よりも低い電位であり、有機EL素子113のカソード電位は0Vであるので逆バイアス状態となり、有機EL素子113は発光せず、静電容量CELとして機能する。
そして、時刻t11〜時刻t12の期間、発光画素11Bの回路は定常状態となり、静電保持容量117及び118には駆動トランジスタ114の閾値電圧Vthに相当する電圧が保持される。なお、この期間が長いほど、静電保持容量117及び118に保持される閾値電圧Vthの検出精度が向上する。よって、この期間を十分長く確保することにより、高精度な電圧補償が実現される。
次に、時刻t12において、走査/制御線駆動回路14は、走査線133(k+1、1)〜133(k+1、m)の電圧レベルを同時にHIGHからLOWに変化させ、スイッチングトランジスタ115をオフ状態とする(図7のS24)。これにより、駆動トランジスタ114はオフ状態となる。このとき、(k+1)番目の駆動ブロックの全発光画素11Bの有する静電保持容量117には駆動トランジスタ114の閾値電圧Vthに相当する電圧が同時に保持される。
次に、時刻t13において、走査/制御線駆動回路14は、第2制御線131(k+1)の電圧レベルをHIGHからLOWに変化させる。
以上、時刻t11〜時刻t12の期間では、駆動トランジスタ114の閾値電圧Vthの補正が、(k+1)番目の駆動ブロック内において同時に実行されている。
次に、時刻t13以降において、走査/制御線駆動回路14は、走査線133(k+1、1)〜133(k+1、m)の電圧レベルを、順次、LOW→HIGH→LOWに変化させ、スイッチングトランジスタ115を、発光画素行ごとに順次オン状態とすることを開始する。また、この時、第2信号線152は、基準電圧から信号電圧に変化される(図7のS25)。
具体的には、第2信号線152は、時刻t13以前において、図9C及び図9Dで説明したように、信号線駆動回路15との接続が切断されているものの、第2信号線152が有する寄生容量により、基準電圧を保持している。その後、第2信号線152は、一定期間経過後(すなわち、時刻t13から一定期間経過後)、セレクタ回路16を介して信号線駆動回路15と接続され、信号電圧Vdataが与えられる。なお、信号線駆動回路15は、時刻t13において、セレクタ回路16を介して、図9Aに示すように、一定期間、基準電圧を第1信号線151に出力しており、その後、セレクタ回路16を介して、第2信号線152に信号電圧Vdataを出力する。
これにより、駆動トランジスタ114のゲートに信号電圧が印加される。このとき、静電保持容量117には、この信号電圧Vdataに応じた電圧と、先に保持された駆動トランジスタ114の閾値電圧Vthに相当する電圧とが加算された加算電圧が書き込まれる。
以上、時刻t13以降の期間では、補正された信号電圧の書き込みが、(k+1)番目の駆動ブロック内で発光画素行ごとに、順次実行されている。
次に、時刻t15以降において、第2制御線131(k+1)の電圧レベルをLOWからHIGHに変化させる(図7のS26)。これにより、上記加算電圧に応じた駆動電流が有機EL素子113に流れる。つまり、(k+1)番目の駆動ブロック内の全発光画素11Bでは、一斉に発光が開始される。
以上、時刻t15以降の期間では、有機EL素子113の発光が、(k+1)番目の駆動ブロック内において同時に実行されている。
以上の動作が、表示パネル10内の(k+2)番目の駆動ブロック以降においても順次実行される。
以上の動作が、表示パネル10内の(k+2)番目の駆動ブロック以降においても順次実行される。
図11は、本発明の実施の形態1に係る駆動方法により発光した駆動ブロックの状態遷移図である。同図には、ある発光画素列における、駆動ブロックごとの発光期間及び非発光期間が表されている。縦方向は複数の駆動ブロックを、また、横軸は経過時間を示す。ここで、非発光期間とは、上述した閾値電圧補正期間及び信号電圧の書き込み期間を含む。
本発明の実施の形態1に係る表示装置の駆動方法によれば、発光期間は、同一駆動ブロックで一斉に設定される。よって、駆動ブロック間では、行走査方向に対して発光期間が階段状に現れる。
以上、スイッチングトランジスタ116及び静電保持容量118が配置された発光画素回路、信号線駆動回路15と信号線群12との間に配置されたセレクタ回路、駆動ブロック化された各発光画素及びセレクタ回路への制御線、走査線及び信号線の配置、及び上記駆動方法により、駆動トランジスタ114の閾値電圧補正期間及びそのタイミングを同一駆動ブロック内で一致させることが可能となる。また、さらに、発光期間及びそのタイミングも同一駆動ブロック内で一致させることが可能となる。さらにセレクタ回路により、信号線駆動回路15からの出力本数を低減できる。よって、各スイッチ素子の導通及び非導通を制御する信号や電流パスを制御する信号を出力する走査/制御線駆動回路14や信号電圧を制御する信号線駆動回路15の負荷が低減するとともに駆動回路のコスト低減、ならびにパネル実装歩留まりの向上が図られる。また、さらに、上記駆動ブロック化及び発光画素列ごとに配置された2本の信号線により、駆動トランジスタ114の閾値電圧補正期間を、全発光画素を書き換える時間である1フレーム期間Tfのなかで大きくとることができる。これは、k番目の駆動ブロックにおいて輝度信号がサンプリングされている期間に、(k+1)番目の駆動ブロックにおいて閾値電圧補正期間が設けられることによるものである。よって、閾値電圧補正期間は、発光画素行ごとに分割されるのではなく、駆動ブロックごと分割される。よって、表示領域が大面積化されても走査/制御線駆動回路14の出力数をさほど増大させることなく、かつ、発光デューティを減少させることなく、1フレーム期間に対する相対的な閾値電圧補正期間を長く設定することが可能となる。これにより、高精度に補正された信号電圧に基づいた駆動電流が発光素子に流れ、画像表示品質が向上する。
例えば、表示パネル10をN個の駆動ブロックに分割した場合、各発光画素に与えられる閾値補正期間は、最大Tf/Nとなる。これに対し、発光画素行ごとに異なるタイミングで閾値電圧補正期間を設定する場合、発光画素行がM行(M>>N)であるとすると、最大Tf/Mとなる。また、特許文献1に記載されたような信号線を発光画素列ごとに2本配置した場合でも、最大2Tf/Mである。
また、駆動ブロック化により、駆動トランジスタ114のドレインへの電圧印加のオンオフを制御する第2制御線、また、当該駆動電流のソース以降の電流経路を制御する第1制御線を駆動ブロック内で共通化できる。よって、走査/制御線駆動回路14から出力される制御線の本数が削減される。よって、駆動回路の負荷が低減する。
例えば、特許文献1に記載された従来の表示装置500では、発光画素行あたり2本の制御線(給電線及び走査線)が配置されている。表示装置500がM行の発光画素行から構成されているとすると、制御線は合計2M本となる。
これに対し、本発明の実施の形態1に係る表示装置1では、走査/制御線駆動回路14から、発光画素行あたり1本の走査線、駆動ブロックごとに2本の制御線が出力される。よって、表示装置1がM行の発光画素行から構成されているとすると、制御線(走査線を含む)の合計は(M+2N)本となる。
大面積化がなされ、発光画素の行数が大きい場合、M>>Nが実現されるので、この場合には、本発明に係る表示装置1の制御線本数は、従来の表示装置500の制御線本数に比べ、約1/2に削減することができる。
(実施の形態2)
次に、本発明の実施の形態2について、図面を参照しながら説明する。
図12は、本発明の実施の形態2に係る表示装置の有する表示パネルの一部を示す回路構成図である。同図には、2つの隣接する駆動ブロック及び各制御線、各走査線及び各信号線が記載されている。図面及び以下の説明では、各制御線、各走査線及び各信号線を“符号(ブロック番号、当該ブロックにおける行番号)”又は“符号(ブロック番号)”で表している。
同図に記載された表示装置は、実施の形態1に係る表示装置1と比較して、各発光画素の回路構成は同様であるが、第2制御線131が駆動ブロックごとに共通化されておらず、発光画素行ごとに走査/制御線駆動回路14(不図示)に接続されている点のみが異なる。以下、実施の形態2に係る表示装置1と同じ点は説明を省略し、異なる点のみ説明する。
図12の上段に記載されたk番目の駆動ブロックでは、第2制御線131(k、1)〜131(k、m)が当該駆動ブロック内の発光画素行ごとに配置されており、各発光画素11Aの有するスイッチングトランジスタ116のゲートに個別に接続されている。また、第1制御線132(k)が当該駆動ブロック内の全発光画素11Aの有する静電保持容量118に共通して接続されている。一方、走査線133(k、1)〜走査線133(k、m)は、それぞれ、発光画素行ごとに個別に接続されている。また、図12の下段に記載された(k+1)番目の駆動ブロックでも、k番目の駆動ブロックと同様の接続がなされている。ただし、k番目の駆動ブロックに接続された第1制御線132(k)と(k+1)番目の駆動ブロックに接続された第1制御線132(k+1)とは、異なる制御線であり、走査/制御線駆動回路14から個別の制御信号が出力される。
また、k番目の駆動ブロックでは、第1信号線151が当該駆動ブロック内の全発光画素11Aの有するスイッチングトランジスタ115のソース及びドレインの他方に接続されている。一方、(k+1)番目の駆動ブロックでは、第2信号線152が当該駆動ブロック内の全発光画素11Bの有するスイッチングトランジスタ115のソース及びドレインの他方に接続されている。
上述したように、駆動ブロック化を行うことにより、Vth検出回路を制御する第1制御線132の本数が削減される。よって、これらの制御線に駆動信号を出力する走査/制御線駆動回路14の負荷が低減する。
また、本実施の形態においても、図1と同様に、セレクタ回路16を介して、信号線駆動回路15の出力線と第1信号線151及び第2信号線152が接続されている。
次に、本実施の形態に係る表示装置の駆動方法について図13を用いて説明する。
図13は、本発明の実施の形態2に係る表示装置の駆動方法の動作タイミングチャートである。同図において、横軸は時間を表している。また縦方向には、上から順に、k番目の駆動ブロックの走査線133(k、1)、133(k、2)及び133(k、m)、第1信号線151、第2制御線131(k、1)及び131(k、m)、及び第1制御線132(k)に発生する電圧の波形図が示されている。また、これらに続き、(k+1)番目の駆動ブロックの走査線133(k+1、1)、133(k+1、2)及び133(k+1、m)、第2信号線152、第2制御線131(k+1、1)及び131(k+1、m)、及び第1制御線132(k+1)に発生する電圧の波形図が示されている。
本実施の形態に係る駆動方法では、図5に記載された実施の形態1に係る駆動方法と比較して、駆動ブロック内での発光期間を一致させず、発光画素行ごとに信号電圧の書き込み期間と発光期間を設定している点のみが異なる。
まず、時刻t20の直前では、走査線133(k、1)〜133(k、m)の電圧レベルは全てLOWであり、第1制御線132(k)及び第2制御線131(k、1)〜131(k、m)もLOWである。図6(a)のように、第2制御線131(k、1)〜131(k、m)をLOWとした瞬間から、スイッチングトランジスタ116はオフ状態となる。これにより、有機EL素子113は消光し、kブロックにおける発光画素の画素行ごとの発光が終了する。同時に、kブロックにおける非発光期間が開始する。
次に、時刻t20において、走査/制御線駆動回路14は、走査線133(k、1)〜133(k、m)の電圧レベルを同時にLOWからHIGHに変化させ、スイッチングトランジスタ115をオン状態とする。ただし、この時、既に第2制御線131(k、1)〜131(k、m)はLOWとなってスイッチングトランジスタ116はオフ状態となっている(図7のS11)。また、この時、第1信号線151の電圧レベルは、信号電圧から基準電圧に変化させる(図7のS12)。
ここで、本実施の形態に係るセレクタ回路を駆動するための動作タイミングチャートは、実施の形態1で説明した図8の動作タイミングチャートと同様である。すなわち、図13に示した時刻t20においては、図9Aに示されるように、基準電圧がデータドライバ150より供給されて、第1信号線151が有する寄生容量に充電(SAMPLE)する。そして、時刻t25aまでの間、第1信号線151は、図9Bに示されるように、その基準電圧を保持(Hold)している。一方、時刻t25までの間、信号電圧がデータドライバ150より第2信号線152に供給されて、第2信号線152に属する発光画素が、供給された信号電圧に応じて発光開始することになる。つまり、時刻t20から時刻t21の間に、期間T1−1と一部の期間T1−2とが含まれている。なお、t25とt28とは同時刻とすることができる。
このように、第1信号線151に保持され、第1信号線151に保持されている基準信号電圧が、オン状態のスイッチングトランジスタ115を介して、基準電圧が駆動トランジスタ114のゲートに印加される。
次に、時刻t21において、走査/制御線駆動回路14は、第1制御線132(k)の電圧レベルをLOWからHIGHに変化させ、一定期間経った後、時刻t22においてLOWに変化させる(図7のS13)。ただし、この時、第2制御線131(k、1)〜131(k、m)の電圧レベルはLOWに維持されているので、駆動トランジスタ114のソース電極S(M)と有機EL素子113のカソード電極との間の電位差は、有機EL素子113の閾値電圧に漸近していく。時刻t22において、駆動トランジスタ114のソース電極S(M)の電位Vsは、実施の形態1で記載した式2で規定される。これにより、電流制御部100の静電保持容量117に発生する電位差を、駆動トランジスタの閾値電圧が検出できる電位差としている。このようにして、閾値電圧の検出過程への準備が完了する。
次に、時刻t23において、走査/制御線駆動回路14は、第2制御線131(k、1)〜131(k、m)の電圧レベルを一斉にLOWからHIGHに変化させてスイッチングトランジスタ116をオン状態とする。これにより、駆動トランジスタ114はオン状態となり、ドレイン電流を、静電保持容量117、118及びオフ状態となっている有機EL素子113へと流す。このとき、式2で規定されたVsは、−Vthに漸近していく。これにより、静電保持容量117、118及び有機EL素子113には駆動トランジスタ114のゲート−ソース間電圧が記録される。なお、有機EL素子113のアノード電極電位すなわち駆動トランジスタのソース電極電位は−Vth(<0)よりも低い電位であり、有機EL素子113のカソード電位は0Vであるので逆バイアス状態となり、有機EL素子113は発光せず、静電容量CELとして機能する。
そして、時刻t23〜時刻t24の期間、発光画素11Aの回路は定常状態となり、静電保持容量117及び118には駆動トランジスタ114の閾値電圧Vthに相当する電圧が保持される。なお、閾値電圧Vthに相当する電圧を静電保持容量117及び118に保持させるために流れる電流は微少であるため、定常状態となるまでには時間を要する。よって、この期間が長いほど、静電保持容量117及び118に保持される電圧は安定し、この期間を十分長く確保することにより、高精度な電圧補償が実現される。
次に、時刻t24において、走査/制御線駆動回路14は、第2制御線131(k、1)〜131(k、m)の電圧レベルを一斉にHIGHからLOWに変化させる(図7のS14)。これにより、駆動トランジスタ114への電流供給が停止される。このとき、k番目の駆動ブロックの全発光画素11Aの有する静電保持容量117及び118には駆動トランジスタ114の閾値電圧Vthに相当する電圧が同時に保持される。
次に、時刻t25において、走査/制御線駆動回路14は、走査線133(k、1)〜133(k、m)の電圧レベルを同時にHIGHからLOWに変化させ、スイッチングトランジスタ115をオフ状態とする。
以上、時刻t20〜時刻t25の期間では、駆動トランジスタ114の閾値電圧Vthの補正が、k番目の駆動ブロック内において同時に実行されている。なお、時刻t0〜時刻t5の期間は、上述した図8における、期間T1−1と期間T1−2とを合算した期間に相当する。
次に、時刻t25以降では、走査/制御線駆動回路14は、走査線133(k、1)〜133(k、m)の電圧レベルを、順次、LOW→HIGH→LOWに変化させ、スイッチングトランジスタ115を、発光画素行ごとに順次オン状態とする。また、この時、信号線駆動回路15は、セレクタ回路16を介して、第1信号線151に信号電圧Vdataを供給する。つまり、第1信号線151の電圧レベルは、基準電圧から信号電圧に変化される(図7のS15)。
具体的には、第1信号線151は、時刻t25以前において、図9A及び図9Bで説明したように、信号線駆動回路15との接続が切断されているものの、第1信号線151が有する寄生容量により、基準電圧を保持している。その後、第1信号線151は、一定期間経過後(すなわち、時刻t25から一定期間経過後)、セレクタ回路16を介して信号線駆動回路15と接続され、信号電圧Vdataが与えられる。なお、信号線駆動回路15は、時刻t25において、セレクタ回路16を介して、図9Cに示すように、一定期間、基準電圧を第2信号線152に出力しており、その後、セレクタ回路16を介して、第1信号線151に信号電圧Vdataを出力する。
これにより、駆動トランジスタ114のゲートに信号電圧Vdataが印加される。このとき、静電保持容量117に保持される電位差Vgsは、Vdataと実施の形態1で記載した式3で規定された電位との差分となり、式4の関係で規定される。つまり、静電保持容量117には、この信号電圧Vdataに応じた電圧と、先に保持された駆動トランジスタ114の閾値電圧Vthに相当する電圧とが加算された加算電圧が書き込まれる。
また、走査/制御線駆動回路14は、走査線133(k、1)の電圧レベルが上記LOW→HIGH→LOWと変化した後、つづいて第2制御線131(k、1)の電圧レベルをLOWからHIGHへ変化させる。この動作を、順次、発光画素行ごとに繰り返す。
以上、時刻t25以降では、補正された信号電圧の書き込み及び発光が、k番目の駆動ブロック内で発光画素行ごとに、順次実行されている。
以上、時刻t26以降の期間では、有機EL素子113の発光が、k番目の駆動ブロック内において発光画素行ごとに実行されている。ここで、駆動トランジスタ114を流れるドレイン電流idは、実施の形態1で記載した式4で規定されたVgsから、駆動トランジスタ114の閾値電圧Vthを減じた電圧値を用いて、式5で規定される。式5から、有機EL素子113を発光させるためのドレイン電流idは、駆動トランジスタ114の閾値電圧Vthに依存しない電流となっていることがわかる。
以上、上述したように、発光画素行を駆動ブロック化することにより、駆動ブロック内では、駆動トランジスタ114の閾値電圧Vth補償が同時に実行される。これにより、当該駆動電流のソース以降の電流経路の制御を駆動ブロック内で同期できる。よって、第1制御線132を駆動ブロック内で共通化できる。
また、走査線133(k、1)〜133(k、m)においては、走査/制御線駆動回路14とは個別に接続されているが、閾値電圧補償期間においては、駆動パルスのタイミングが同一である。よって、走査/制御線駆動回路14は、出力するパルス信号の高周波化を抑制することができるので、駆動回路の出力負荷を低減できる。
本実施の形態においても、実施の形態1と同様の観点から、特許文献1に記載された、2本の信号線を用いた従来の表示装置と比較して、発光デューティをより長く確保することができるという利点がある。
よって、発光輝度が十分確保され、かつ、駆動回路の出力負荷が低減された長寿命の表示装置を実現することが可能となる。
また、2本の信号線を用いた従来の表示装置と、本発明のようにブロック駆動を組み合わせた表示装置とを同じ発光デューティに設定した場合、本発明の表示装置の方が、閾値検出期間を長く確保することが解る。
なお、時刻t28〜時刻t35における(k+1)番目の駆動ブロックの動作は、上述したk番目の駆動ブロックの動作と同様のため説明を省略する。
図14は、本発明の実施の形態2に係る駆動方法により発光した駆動ブロックの状態遷移図である。同図には、ある発光画素列における、駆動ブロックごとの発光期間及び非発光期間が表されている。縦方向は複数の駆動ブロックを、また、横軸は経過時間を示す。ここで、非発光期間とは、上述した閾値電圧補正期間を含む。
本発明の実施の形態2に係る表示装置の駆動方法によれば、発光期間は、同一駆動ブロック内でも発光画素行ごとに順次設定される。よって、駆動ブロック内においても、行走査方向に対して発光期間が連続的に現れる。
以上、実施の形態2においても、スイッチングトランジスタ116及び静電保持容量118が配置された発光画素回路、信号線駆動回路15と信号線群12との間に配置されたセレクタ回路、駆動ブロック化された各発光画素への制御線、走査線及び信号線の配置、及び上記駆動方法により、駆動トランジスタ114の閾値電圧補正期間及びそのタイミングを同一駆動ブロック内で一致させることが可能となる。さらにセレクタ回路により、信号線駆動回路15からの出力本数を低減できる。よって、電流パスを制御する信号を出力する走査/制御線駆動回路14や信号電圧を制御する信号線駆動回路15の負荷が低減するとともに駆動回路のコスト低減、ならびにパネル実装歩留まりの向上が図られる。また、さらに、上記駆動ブロック化及び発光画素列ごとに配置された2本の信号線により、駆動トランジスタ114の閾値電圧補正期間を、全発光画素を書き換える時間である1フレーム期間Tfのなかで大きくとることができる。これは、k番目の駆動ブロックにおいて輝度信号がサンプリングされている期間に、(k+1)番目の駆動ブロックにおいて閾値電圧補正期間が設けられることによるものである。よって、閾値電圧補正期間は、発光画素行ごとに分割されるのではなく、駆動ブロックごと分割される。よって、表示領域が大面積化されるほど、発光デューティを減少させることなく、1フレーム期間に対する相対的な閾値電圧補正期間を長く設定することが可能となる。これにより、高精度に補正された信号電圧に基づいた駆動電流が発光素子に流れ、画像表示品質が向上する。
例えば、表示パネル10をN個の駆動ブロックに分割した場合、各発光画素に与えられる閾値補正期間は、最大Tf/Nとなる。
(実施の形態3)
以下、本発明の実施の形態3について、図面を参照しながら説明する。
本実施の形態に係る表示装置の電気的な構成は、発光画素の回路構成を除き、図1に記載された構成と同様である。つまり、本実施の形態に係る表示装置は、表示パネル10と、制御回路20とを備える。表示パネル10は、後述する複数の発光画素21A及び21Bと、信号線群12と制御線群13と走査/制御線駆動回路14と、信号線駆動回路15とセレクタ回路16とを備える。
以下、実施の形態1及び2と重複する構成については、説明を省略し、発光画素21A及び21Bに関連する構成のみ説明を行う。
発光画素21A及び21Bは、表示パネル10上に、マトリクス状に配置されている。ここで、発光画素21A及び21Bは、複数の発光画素行を一駆動ブロックとする2以上の駆動ブロックを構成している。発光画素21Aは、奇数番目の駆動ブロックを構成し、また、発光画素21Bは偶数番目の駆動ブロックを構成する。
図15Aは、本発明の実施の形態3に係る表示装置における奇数駆動ブロックの発光画素の具体的な回路構成図であり、図15Bは、本発明の実施の形態3に係る表示装置における偶数駆動ブロックの発光画素の具体的な回路構成図である。図15A及び図15Bに記載された画素回路は、実施の形態1における図2A及び図2Bに記載された画素回路と比較して、スイッチングトランジスタ116の代わりに、スイッチングトランジスタ216が付加されている点が異なる。同様に、電流制御部200は、実施の形態1における電流制御部100とは、スイッチングトランジスタ116の代わりに、スイッチングトランジスタ216が付加されている点で構成が異なる。以下、図2A及び図2Bに記載された表示装置の構成と重複する点は説明を省略する。
図15A及び図15Bにおいて、有機EL素子213は、例えば、カソードが負電源線である電源線112に接続されアノードが駆動トランジスタ214のソースに接続された発光素子であり、駆動トランジスタ214の駆動電流が流れることにより発光する。
スイッチングトランジスタ216は、ゲートが第2制御線231に接続され、ソース及びドレインの一方が静電保持容量217の他方の端子に接続され、ソース及びドレインの他方が駆動トランジスタ214のソースに接続されていた第4スイッチングトランジスタである。スイッチングトランジスタ216は、信号線からの信号電圧書き込み期間においてはオフ状態となることにより、静電保持容量217に正確な信号電圧に対応した電圧を保持させる機能を有する。一方、閾値電圧検出期間及び発光期間においてはオン状態となることにより、駆動トランジスタ214のソースを第3容量素子である静電保持容量217及び第4容量素子である静電保持容量218に接続し、正確に静電保持容量217に閾値電圧と信号電圧に対応した電荷を保持させ、駆動トランジスタ214が静電保持容量217に保持された電圧を反映した駆動電流を発光素子に供給させる機能を有する。
第2制御線231は、走査/制御線駆動回路14に接続され、発光画素21A及び21Bを含む画素行に属する各発光画素に接続されている。これにより、第2制御線231は、駆動トランジスタ214のソースと静電保持容量217及び静電保持容量218間のノードとを導通又は非導通とする状態を発生する機能を有する。
第1制御線232は、走査/制御線駆動回路14に接続され、発光画素21A及び21Bを含む画素行に属する各発光画素に接続されている。これにより、第1制御線232は、電圧レベルを切り換えることにより、駆動トランジスタ214の閾値電圧を検出する環境を整える機能を有する。
次に、第2制御線231、第1制御線232、走査線233、第1信号線251及び第2信号線252の発光画素間における接続関係について説明する。
図16は、本発明の実施の形態3に係る表示装置の有する表示パネルの一部を示す回路構成図である。同図には、2つの隣接する駆動ブロック及び各制御線、各走査線及び各信号線が記載されている。図面及び以下の説明では、各制御線、各走査線及び各信号線を“符号(ブロック番号、当該ブロックにおける行番号)”又は“符号(ブロック番号)”で表している。
前述したように、駆動ブロックとは、複数の発光画素行で構成され、表示パネル10の中には2以上の駆動ブロックが存在する。例えば、図16に記載された各駆動ブロックは、m行の発光画素行で構成されている。
図16の上段に記載されたk番目の駆動ブロックでは、第2制御線231(k、1)〜231(k、m)が当該駆動ブロック内の発光画素行ごとに配置されており、各発光画素21Aの有するスイッチングトランジスタ216のゲートに個別に接続されている。また、第1制御線232(k)が当該駆動ブロック内の全発光画素21Aの有する静電保持容量218に共通して接続されている。一方、走査線233(k、1)〜走査線233(k、m)は、それぞれ、発光画素行ごとに個別に接続されている。
また、図16の下段に記載された(k+1)番目の駆動ブロックでも、k番目の駆動ブロックと同様の接続がなされている。ただし、k番目の駆動ブロックに接続された第1制御線232(k)と(k+1)番目の駆動ブロックに接続された第1制御線232(k+1)とは、異なる制御線であり、走査/制御線駆動回路14から個別の制御信号が出力される。
また、k番目の駆動ブロックでは、第1信号線251が当該駆動ブロック内の全発光画素21Aの有するスイッチングトランジスタ215のソース及びドレインの他方に接続されている。一方、(k+1)番目の駆動ブロックでは、第2信号線252が当該駆動ブロック内の全発光画素21Bの有するスイッチングトランジスタ215のソース及びドレインの他方に接続されている。
上述したように、駆動ブロック化を行うことにより、Vth検出回路を制御する第1制御線232の本数が削減される。よって、これらの制御線に駆動信号を出力する走査/制御線駆動回路14の回路規模が低減する。またVthの検出時間を長く確保することができ、Vthの検出精度が高くなり、結果表示品位が向上する。
また、本実施の形態においても、図1と同様に、セレクタ回路16を備え、セレクタ回路を介して、信号線駆動回路15の出力線と第1信号線151及び第2信号線152が接続されている。
次に、本実施の形態に係る表示装置の駆動方法について図17を用いて説明する。なお、ここでは、図15A及び図15Bに記載された具体的回路構成を有する表示装置についての駆動方法を詳細に説明する。
図17は、本発明の実施の形態3に係る表示装置の駆動方法の動作タイミングチャートである。同図において、横軸は時間を表している。また縦方向には、上から順に、k番目の駆動ブロックの走査線233(k、1)、233(k、2)及び233(k、m)、第2制御線231(k、1)、231(k、2)及び231(k、m)、第1制御線232(k)及び第1信号線251に発生する電圧の波形図が示されている。また、これらに続き、(k+1)番目の駆動ブロックの走査線233(k+1、1)、233(k+1、2)及び233(k+1、m)、第2制御線231(k+1、1)、231(k+1、2)及び231(k+1、m)、第1制御線232(k+1)及び第2信号線252に発生する電圧の波形図が示されている。図17では、第1信号線251に、左からk−4番目、k−2番目及びk番目の駆動ブロックの発光期間に対する信号電圧が発生している様子を示している。同様に、第2信号線252に、左からk−3番目、k−1番目及びk+1番目の駆動ブロックの発光期間に対する信号電圧が発生している様子を示している。つまり、第1信号線251と第2信号線252とには、交互に基準電圧と信号電圧とが発生している様子が示されている。
また、図18は、本発明の実施の形態3に係る表示装置の有する発光画素の状態遷移図である。また、図19は、本発明の実施の形態3に係る表示装置の動作フローチャートである。
まず、時刻t40において、走査線233(k、1)の電圧レベルをHIGHに変化させ、第1信号線251から基準電圧を、駆動トランジスタ214のゲートに印加する(図19のS31)。また、この時、第1信号線251の電圧レベルは、信号電圧から基準定電圧に変化される。
ここで、セレクタ回路16を用いて、第1信号線251の電圧を信号電圧から固定電圧(基準電圧)に変化させる方法について説明する。図20は、本発明の実施の形態3に係る表示装置の有するセレクタ回路を駆動するための動作タイミングチャートである。図20は、図8に対して、異なる点は以下の通りである。すなわち、k番目〜k+3番目の4つの駆動ブロックそれぞれにおいて、信号電圧が印加された後の非発光期間に、対応する駆動ブロックにおける走査線233の電圧レベルを順次一定期間HIGHにしている。それにより、基準電位を駆動トランジスタ214のゲートに印加して、駆動トランジスタ214をオフ状態にしている。その他の点においては、図8で説明した内容と同様のため説明を省略する。
具体的には、時刻t40から一定期間以前の時刻においては、第1信号線251は、信号線駆動回路15より、セレクタ回路16を介して、信号電圧が与えられており、時刻t40から一定期間以前には、セレクタ回路16を介して、基準電圧が与えられる。その後、時刻t40において、第1信号線251は、セレクタ回路16より、信号線駆動回路15との接続が切断されるものの、第1信号線251が有する寄生容量により、この基準電圧を保持する。そのため、第1信号線251は、その後、セレクタ回路16を介して信号線駆動回路15と接続され、信号電圧が与えられるまで、その基準電圧を保持することになる。
言い換えると、時刻t40以前の一定期間においては、図9Aに示されるように、基準電圧がデータドライバ150より供給されて、第1信号線251が有する寄生容量に充電(SAMPLE)される。そして、第1信号線251は、その後、セレクタ回路16を介して信号線駆動回路15と接続され、信号電圧が与えられるまで、図9Bに示されるように、その基準電圧を保持(Hold)している。一方、その間、第2信号線252は、信号電圧がデータドライバ150より供給され、第2信号線252に属するk−2番目の駆動ブロックの発光画素が、供給された信号電圧に応じて発光する。
このとき、図18(a)に示すように、基準電圧は、例えば0Vである。また、時刻t40の直前においては発光モードであったので、この定常状態における駆動トランジスタ214のソース電位Vsを、VELとする。これと、第2制御線231(k、1)の電圧レベルがHIGH状態でありスイッチングトランジスタ216が導通状態であることから、Vgs=−VEL<VT(TFT)となり、駆動トランジスタ214はオフ状態へと変化する。
その後、時刻t41において、走査線233(k、1)の電圧レベルをLOWに変化させ、以下、kブロック内において第1信号線251を基準電圧に維持したまま、走査線233の電圧レベルを、画素行順にLOW→HIGH→LOWとすることにより、有機EL素子213は画素行順に消光する。つまり、kブロックにおける発光画素の発光が画素行順に終了する。同時に、kブロックにおける非発光期間が画素行順に開始する。
次に、時刻t42において、走査/制御線駆動回路14は、第1制御線232(k)の電圧レベルをLOWからHIGHに変化させ、一定期間経った後、LOWに変化させる(図19のS32)。また、このとき、第2制御線231(k、1)〜231(k、m)の電圧レベルはHIGHに維持されている。ここで、スイッチングトランジスタ215がオフ状態で、第1制御線232(k)をΔVreset(>0)だけ変化させ、静電保持容量218の静電容量値をC2、有機EL素子213の静電容量及び閾値電圧を、それぞれCEL及びVT(EL)とする。このとき、第1制御線232(k)の電圧レベルをHIGHにした瞬間、駆動トランジスタ214のソース電極S(M)の電位Vsは、C2とCELとで分配される電圧と、VT(EL)との和となり、
となる。その後、図18(b)に示すように、有機EL素子213の自己放電がなされることにより、上記V
sは、定常状態では、V
T(EL)に漸近していく。
次に、時刻t43において、走査/制御線駆動回路14は、走査線233(k、1)〜233(k、m)の電圧レベルを一斉にHIGHに変化させる。また、この時、信号線駆動回路15により、第1信号線251の電圧レベルが信号電圧から基準電圧に変化される。なお、セレクタ回路16を用いて、第1信号線251の電圧を信号電圧から基準電圧に変化させる方法は、時刻t40において第1信号線251の電圧を信号電圧から基準電圧に変化させる方法と同様であるので、ここではその説明を省略する。
続いて、走査/制御線駆動回路14が第1制御線232(k)の電圧レベルをHIGHからLOWに変化させることにより、Vsがバイアスされ、
となる。この第1制御線232(k)のHIGHからLOWへの変化により、駆動トランジスタ214のゲートソース間電圧であるV
gsには、駆動トランジスタ214の閾値電圧V
thよりも大きな電圧を発生させている。つまり、静電保持容量217に発生する電位差を駆動トランジスタの閾値電圧が検出できる電位差とし、閾値電圧の検出過程への準備が完了する。これと同時に、図18(c)に示すように、駆動トランジスタ214はオン状態となり、ドレイン−ソース間電流を、静電保持容量217、218及び有機EL素子213へと流す。このとき、式2で規定されたV
sは、−V
thに漸近していく。これにより、静電保持容量217、218には駆動トランジスタ214のV
thが記録される。なお、このとき、有機EL素子213へ流れる電流は、アノード電極電位が−V
thよりも低電位であり、カソード電位が0Vであるので有機EL素子213は逆バイアス状態となっているため、有機EL素子213を発光させるための電流とはならない。
時刻t43〜時刻t44の期間、発光画素21Aの回路は定常状態となり、静電保持容量217及び218には駆動トランジスタ214の閾値電圧Vthに相当する電圧が保持される。なお、閾値電圧Vthに相当する電圧を静電保持容量217及び218に保持させるために流れる電流は微少であるため、定常状態となるまでには時間を要する。よって、この期間が長いほど、静電保持容量217に保持される電圧は安定し、この期間を十分長く確保することにより、高精度な電圧補償が実現される。
次に、時刻t44において、走査/制御線駆動回路14は、走査線233(k、1)〜233(k、m)の電圧レベルを、一斉にHIGHからLOWに変化させる(図19のS33)。これにより、静電保持容量217、218への駆動トランジスタ214のVthの記録が完了する。このとき、k番目の駆動ブロックの全発光画素21Aの有する静電保持容量217及び218には駆動トランジスタ214の閾値電圧Vthに相当する電圧が同時に保持される。なお、時刻t44の直前において、第2制御線231(k、1)〜231(k、m)も一斉にLOWレベルとされており、スイッチングトランジスタ216はオフ状態となっている。これによりVth検出後の駆動トランジスタ214のリーク電流が静電保持容量217、218へ流れ込み、静電保持容量217、218に記録された駆動トランジスタ214の閾値電圧Vthの値がずれることを抑制している。
以上、時刻t43〜時刻t44の期間では、駆動トランジスタ214の閾値電圧Vthの補正が、k番目の駆動ブロック内において同時に実行されている。
次に、時刻t44以降の期間において、走査/制御線駆動回路14は、走査線233(k、1)〜233(k、m)の電圧レベルを、順次、LOW→HIGH→LOWに変化させ、スイッチングトランジスタ215を、発光画素行ごとに順次オン状態とする。また、この時、信号線駆動回路15は、第1信号線251の電圧レベルを各画素の輝度値に応じた信号電圧Vdataに変化させる(図19のS34)。
図17に示した時刻t43以前の一定期間においては、図9Aに示されるように、基準電圧がデータドライバ150より供給されて、第1信号線251が有する寄生容量に充電(SAMPLE)される。その後、時刻t53まで、すなわち、セレクタ回路16を介して信号線駆動回路15と接続され、信号電圧が与えられるまで、第1信号線251は、図9Bに示されるように、その基準電圧を保持(Hold)している。一方、時刻t44までの間、信号電圧がデータドライバ150より第2信号線252に供給されて、第2信号線252に属する発光画素が、供給された信号電圧に応じて発光開始することになる。
そして、時刻t44では、図9Cに示されるように、基準電圧が一定期間、データドライバ150より供給されて、第2信号線252が有する寄生容量に充電(SAMPLE)され、第2信号線252は、図9Dに示されるように、その基準電圧を保持(HOLD)する。一方、時刻t44から一定期間の後、信号電圧がデータドライバ150より第1信号線251に供給されて、第1信号線251に属する発光画素が、供給された信号電圧に応じて発光開始することになる。これにより、図18(d)に示すように、駆動トランジスタ214のゲートに信号電圧Vdataが印加される。このとき、静電保持容量217及び218の接点Mにおける電位VMは、VdataがC1及びC2で分配された電圧と、時刻t44におけるVs電位である−Vthとの和となり、
つまり、静電保持容量217に保持される電位差VgMは、Vdataと上記式13で規定された電位との差分であり、
つまり、静電保持容量217には、この信号電圧Vdataに応じた電圧と、先に保持された駆動トランジスタ214の閾値電圧Vthに相当する電圧とが加算された加算電圧が書き込まれる。
また、時刻t46以降の期間において、走査/制御線駆動回路14は、第2制御線231(k、1)〜231(k、m)の電圧レベルを、順次、LOW→HIGHに変化させ、スイッチングトランジスタ216を、発光画素行ごとに順次オン状態とする(図19のS35)。これにより、駆動トランジスタ214のゲート−ソース間に式13で示された電圧が印加され、図18(e)に示されたドレイン電流が流れることにより、閾値補正された信号電圧に対応した発光が、画素行ごとになされる。
以上、時刻t46以降の期間では、補正された信号電圧の書き込み及び発光、k番目の駆動ブロック内で発光画素行ごとに、順次実行されている。
ここで、駆動トランジスタ214を流れるドレイン電流idは、式4で規定されたVgMから、駆動トランジスタ214の閾値電圧Vthを減じた電圧値を用いて、
と表される。ここで、βは移動度に関する特性パラメータである。式15から、有機EL素子213を発光させるためのドレイン電流idは、駆動トランジスタ214の閾値電圧V
thに依存せず、さらに有機EL素子213の容量成分に関係しない電流となっていることが解る。
以上、上述したように、発光画素行を駆動ブロック化することにより、駆動ブロック内では、駆動トランジスタ214の閾値電圧Vth補償が同時に実行される。これにより、当該駆動電流のソース以降の電流経路の制御を駆動ブロック内で同期できる。よって、第1制御線232を駆動ブロック内で共通化できる。
また、走査線233(k、1)〜233(k、m)においては、走査/制御線駆動回路14とは個別に接続されているが、閾値電圧補償期間においては、駆動パルスのタイミングが同一である。よって、走査/制御線駆動回路14は、出力するパルス信号の高周波化を抑制することができるので、駆動回路の出力負荷を低減できる。
さらに、1発光画素列に対して配置された2本の信号線に対し、信号線駆動回路15の出力線を1本とできるため、信号線駆動回路15を小型化することができ、データドライバ153の実装数及び出力線の減少に伴う駆動回路実装のためのコスト低減及びパネル実装歩留まりの向上が図られる。
本実施の形態においても、実施の形態1と同様の観点から、特許文献1に記載された、2本の信号線を用いた従来の表示装置と比較して、発光デューティをより長く確保することができるという利点がある。
よって、発光輝度が十分確保され、かつ、駆動回路の出力負荷が低減された長寿命の表示装置を実現することが可能となる。
また、2本の信号線を用いた従来の表示装置と、本発明のようにブロック駆動を組み合わせた表示装置とを同じ発光デューティに設定した場合、本発明の表示装置の方が、閾値検出期間を長く確保することが解る。
なお、時刻t50以降における(k+1)番目の駆動ブロックの動作は、上述したk番目の駆動ブロックの動作と同様のため説明を省略する。また、上述した駆動ブロックの状態遷移は、図14に示したのと同様のため、説明を省略する。
以上の動作が、表示パネル10内の(k+2)番目の駆動ブロック以降においても順次実行される。
本発明の実施の形態3に係る表示装置の駆動方法によれば、発光期間は、同一駆動ブロック内でも発光画素行ごとに順次設定される。よって、駆動ブロック内においても、行走査方向に対して発光期間が連続的に現れる。
以上、実施の形態3においても、スイッチングトランジスタ216及び静電保持容量218が配置された発光画素回路、信号線駆動回路15と信号線群12との間に配置されたセレクタ回路、駆動ブロック化された各発光画素への制御線、走査線及び信号線の配置、及び上記駆動方法により、駆動トランジスタ214の閾値電圧補正期間及びそのタイミングを同一駆動ブロック内で一致させることが可能となる。さらにセレクタ回路により、信号線駆動回路15からの出力本数を低減できる。よって、電流パスを制御する信号を出力する走査/制御線駆動回路14や信号電圧を制御する信号線駆動回路15の負荷が低減するとともに駆動回路のコスト低減、ならびにパネル実装歩留まりの向上が図られる。また、さらに、上記駆動ブロック化及び発光画素列ごとに配置された2本の信号線により、駆動トランジスタ214の閾値電圧補正期間を、全発光画素を書き換える時間である1フレーム期間Tfのなかで大きくとることができる。これは、k番目の駆動ブロックにおいて輝度信号がサンプリングされている期間に、(k+1)番目の駆動ブロックにおいて閾値電圧補正期間が設けられることによるものである。よって、閾値電圧補正期間は、発光画素行ごとに分割されるのではなく、駆動ブロックごとに分割される。よって、表示領域が大面積化されるほど、発光デューティを減少させることなく、1フレーム期間に対する相対的な閾値電圧補正期間を長く設定することが可能となる。これにより、高精度に補正された信号電圧に基づいた駆動電流が発光素子に流れ、画像表示品質が向上する。
例えば、表示パネル10をN個の駆動ブロックに分割した場合、各発光画素に与えられる閾値補正期間は、最大Tf/Nとなる。
(実施の形態4)
本実施の形態に係る表示装置の電気的な構成は、発光画素の回路構成を除き、図1に記載された構成と同様である。つまり、本実施の形態に係る表示装置は、表示パネル10と、制御回路20とを備える。表示パネル10は、後述する複数の発光画素31A及び31Bと、信号線群12と制御線群13と走査/制御線駆動回路14と、信号線駆動回路15とセレクタ回路16とを備える。
制御線群13は、発光画素ごとに配置された走査線、制御線及び電源線からなる。
走査/制御線駆動回路14は、制御線群13の各走査線へ走査信号を、制御線群13の各制御線へ制御信号を、また、各電源線へ可変電圧を出力することにより、発光画素の有する回路素子を駆動する。
発光画素31A及び31Bは、表示パネル10上に、マトリクス状に配置されている。ここで、発光画素31A及び31Bは、複数の発光画素行を一駆動ブロックとする2以上の駆動ブロックを構成している。発光画素31Aは、奇数番目の駆動ブロックを構成し、また、発光画素31Bは偶数番目の駆動ブロックを構成する。
以下、実施の形態1〜3と重複する構成については、説明を省略し、発光画素31A及び31Bに関連する構成のみ説明を行う。
図21Aは、本発明の実施の形態4に係る表示装置における奇数駆動ブロックの発光画素の具体的な回路構成図であり、図21Bは、本発明の実施の形態4に係る表示装置における偶数駆動ブロックの発光画素の具体的な回路構成図である。図21A及び図21Bに記載された発光画素31A及び31Bは、いずれも、有機EL素子312と、駆動トランジスタ314と、静電保持容量316及び317と、スイッチングトランジスタ315と、走査線333と、第1信号線351と、第2信号線352とを備える。また、発光画素31Aと発光画素Bはそれぞれ、さらに、選択トランジスタ315を備える。図21A及び図21Bに記載された画素回路は、図2A及び図2Bに記載された画素回路と比較して、スイッチングトランジスタ116がない点が異なる。また、駆動トランジスタ314と、静電保持容量316及び317とは、電流制御部300を構成している。以下、図2A及び図2Bに記載された表示装置の構成と重複する点は説明を省略する。
有機EL素子313は、例えば、カソードが第2電源線である電源線312に接続されアノードが駆動トランジスタ314のソースに接続された発光素子であり、駆動トランジスタ314の駆動電流が流れることにより発光する。
駆動トランジスタ314は、ドレインが第1電源線である電源線310に接続され、ゲートが静電保持容量316の第1電極に接続されている。駆動トランジスタ314は、ゲートに、信号電圧に対応した電圧が印加されることにより、当該電圧に対応したドレイン電流に変換する。そして、このドレイン電流は、駆動電流として有機EL素子313に供給される。駆動トランジスタ314は、例えば、n型の薄膜トランジスタ(n型TFT)で構成される。
スイッチングトランジスタ115は、ゲートが走査線333に接続され、ソース及びドレインの一方が駆動トランジスタ314のゲートに接続されている。また、そのソース及びドレインの他方は、奇数駆動ブロックの発光画素31Aにおいては、第1信号線351に接続され、第1スイッチ素子として機能し、偶数駆動ブロックの発光画素31Bにおいては、第2信号線352に接続され、第2スイッチ素子として機能する。
静電保持容量316は、一方の端子が駆動トランジスタ314のゲートに接続され、他方の端子が駆動トランジスタ314のソースに接続された第6容量素子である。静電保持容量316は、第1信号線351又は第2信号線352から供給された信号電圧に対応した電荷を保持し、例えば、スイッチングトランジスタ115がオフ状態となった後に、駆動トランジスタ314から有機EL素子313へ供給する駆動電流を制御する機能を有する。
また、静電保持容量316は、駆動トランジスタ314のゲート及びスイッチングトランジスタ115に接続され、駆動トランジスタ314の閾値電圧を検出する機能を有する。
静電保持容量317は、静電保持容量316の他方の端子と参照電圧源(図21A及び図21Bには参照電圧Vrefと記すが電源線312であっても良い)との間に接続された保持容量素子である。静電保持容量317は、まず、定常状態において駆動トランジスタ314のソース電位を記憶し、信号電圧がスイッチングトランジスタ115から印加された場合でもそのソース電位の情報は静電保持容量316と静電保持容量317との間のノードに残る。なおこのタイミングでのソース電位とは駆動トランジスタ314の閾値電圧である。その後、上記閾値電圧の保持から発光までのタイミングが発光画素行ごとに異なっても、静電保持容量316の他方の端子の電位が確定されるので駆動トランジスタ314のゲート電圧が確定される。一方、駆動トランジスタ314のソース電位は既に定常状態であるので、静電保持容量317は、結果的に駆動トランジスタ314のソース電位を保持する機能を有する。
なお、静電保持容量317は、独立した回路素子として付加される必要はなく、有機EL素子313が有する寄生容量であってもよい。
電源線310は、駆動トランジスタ314のドレインに第1電圧又は第2電圧を供給する。第1電圧は、第1信号線351及び第2信号線352から供給される基準電圧よりも低い電圧であり、当該電圧が駆動トランジスタ314のドレインに印加されることにより、前記駆動トランジスタ314のソース電位をリセットすることが可能となる。また、第2電圧は、上記基準電圧よりも高い電圧であり、当該電圧が駆動トランジスタ314のドレインに印加されることにより、静電保持容量316に、閾値電圧に対応した電圧を保持させ、又は信号電圧に対応した駆動電流により有機EL素子313を発光させることが可能となる。制御回路20は、走査/制御線駆動回路14及び信号線駆動回路15とともに、各発光画素の動作を制御する制御部を構成し、セレクタ回路16の選択トランジスタをオンオフするタイミングを制御する。
さらに、制御回路20は、上記第1電圧及び第2電圧の供給タイミングを制御する。
また、本実施の形態においても、図1と同様に、セレクタ回路16を備え、セレクタ回路を介して、信号線駆動回路15の出力線と第1信号線351及び第2信号線352が接続されている。
次に、本実施の形態に係る表示装置の駆動方法について図22を用いて説明する。なお、ここでは、図21A及び図21Bに記載された具体的回路構成を有する表示装置についての駆動方法を詳細に説明する。なお、各駆動ブロックはm行の発光画素行から構成されているとする。
図22は、本発明の実施の形態4に係る表示装置の駆動方法の動作タイミングチャートである。同図において、横軸は時間を表している。また縦方向には、上から順に、k番目の駆動ブロックの1行目に配置された走査線333(k、1)、2行目に配置された走査線333(k、2)及びm行目に配置された走査線333(k、m)、第1信号線351、k番目の駆動ブロックの1行目に配置された電源線310(k、1)、2行目に配置された電源線310(k、2)及びm行目に配置された電源線310(k、m)に発生する電圧の波形図が示されている。また、これらに続き、(k+1)番目の駆動ブロックの1行目に配置された走査線333(k+1、1)、2行目に配置された走査線333(k+1、2)及びm行目に配置された走査線333(k+1、m)、第2信号線352、(k+1)番目の駆動ブロックの1行目に配置された電源線110(k+1、1)、2行目に配置された電源線310(k+1、2)及びm行目に配置された電源線310(k+1、m)に発生する電圧の波形図が示されている。また、図23は、本発明の実施の形態4に係る表示装置の動作フローチャートである。
まず、時刻t61までに、制御回路20は、電源線310(k、1)〜310(k、m)の電圧レベルを、基準電圧よりも低い第1電圧であるLOWに順次設定し、駆動トランジスタ314のソース電位をリセットする(図23のS51)。このとき、第1電圧は、例えば、−10Vであり、駆動トランジスタ314のソース電位は−10Vにリセットされる。
次に、時刻t62において、制御回路20は、走査線333(k、1)〜333(k、m)の電圧レベルを同時にLOWからHIGHに変化させ、選択トランジスタ315をオン状態とする(図23のS52)。また、この時、制御回路20により、第1信号線351の電圧レベルが、信号電圧から基準電圧に変化される。
ここで、本実施の形態に係るセレクタ回路を駆動するための動作タイミングチャートは、実施の形態1で説明した図8の動作タイミングチャートと同様である。
すなわち、時刻t62においては、図9Aに示されるように、基準電圧がデータドライバ150より一定期間供給されて、第1信号線351が有する寄生容量に充電(SAMPLE)される。そして、時刻t65までの間、第1信号線351は、図9Bに示されるように、その基準電圧を保持(Hold)している。一方、時刻t64までの間、信号電圧がデータドライバ150より第2信号線352に供給されて、第2信号線352に属する発光画素が、供給された信号電圧に応じて発光開始することになる。このように、第1信号線351に保持されている基準信号電圧が、オン状態の選択トランジスタ315を介して、駆動トランジスタ314のゲートに印加される。このとき、基準電圧は、例えば、0Vである。
次に、時刻t63において、制御回路20は、電源線310(k、1)〜310(k、m)の電圧レベルを、第1電圧から基準電圧よりも高い第2電圧に変化させる(図23のS53)。このとき、第2電圧は、例えば、10Vである。これにより、閾値電圧の検出過程への準備が完了する。
時刻t63〜時刻t64の期間、発光画素31Aの回路は定常状態となり、時刻t64までに静電保持容量316には駆動トランジスタ314の閾値電圧Vthに相当する電圧が保持される。なお、閾値電圧Vthに相当する電圧を静電保持容量316に保持させるために流れる電流は微少であるため、定常状態となるまでには時間を要する。よって、この期間が長いほど、静電保持容量316に保持される電圧は安定し、この期間を十分長く確保することにより、高精度な電圧補償が実現される。
次に、時刻t64において、制御回路20は、走査線333(k、1)〜333(k、m)の電圧レベルを同時にHIGHからLOWに変化させ、選択トランジスタ315をオフ状態とする(図23のS14)。これにより、駆動トランジスタ314への基準電圧印加が停止される。このとき、k番目の駆動ブロックの全発光画素31Aの有する静電保持容量316には駆動トランジスタ314の閾値電圧Vthに相当する電圧が同時に保持され、補償されるべき駆動トランジスタ314の閾値電圧Vthが確定する。
以上、時刻t61〜時刻t64の期間では、駆動トランジスタ314の閾値電圧Vthの補正が、k番目の駆動ブロック内において同時に実行される。
次に、時刻t65において、制御回路20により、第1信号線351の電圧レベルが、基準電圧から信号電圧に変化される。
具体的には、時刻t65前の一定期間において、図9Cに示されるように、基準電圧がデータドライバ150より供給されて、第2信号線352が有する寄生容量に充電(SAMPLE)される。そして、時刻t65以降、第2信号線352は、図9Dに示されるように、その基準電圧を保持(Hold)している。一方、時刻t65以降、信号電圧がデータドライバ150より第1信号線351に供給されて、第1信号線351に属する発光画素が、供給された信号電圧に応じて発光開始することになる。このようにして、信号電圧が駆動トランジスタ314のゲートに印加される。このとき、信号電圧は、例えば、0V〜5Vである。
また、時刻t65〜時刻t66の期間において、制御回路20は、走査線333(k、1)〜333(k、m)の電圧レベルを、順次、LOW→HIGH→LOWに変化させ、選択トランジスタ315を、発光画素行ごとに順次オン状態とする(図23のS55)。これにより、駆動トランジスタ314のゲートには、信号電圧が印加される。このとき、静電保持容量316には、この信号電圧に応じた電圧と、先に保持された駆動トランジスタ314の閾値電圧Vthに相当する電圧とが加算された加算電圧が書き込まれる。またこれと同時に、駆動トランジスタ314の駆動電流が有機EL素子313に流れ、発光画素行順に有機EL素子313が発光する。
以上、時刻t65〜時刻t66の期間では、高精度に補正された信号電圧の書き込み及び発光が、k番目の駆動ブロック内で発光画素行順に実行されている。
また、t66以降において、制御回路20は、k番目の駆動ブロック内の電源線310(k、1)〜310(k、m)の電圧レベルを、発光画素行順に第2電圧から第1電圧へ変化させることにより、発光画素行順に消光させる。
以上、発光画素行を駆動ブロック化することにより、駆動トランジスタ314の閾値電圧を検出する期間を駆動ブロック内で一致させることが可能となり、最大で1フレーム期間を駆動ブロック数で分割した期間を閾値電圧検出期間として割り当てることが可能となる。よって、高精度に補正された駆動電流が有機EL素子313に流れ、画像表示品質を向上させることが可能となる。また、制御回路20は、閾値電圧検出期間において駆動ブロック内で同時制御する、つまり、同一の駆動ブロックに対し同一の制御信号を出力できる。さらに、セレクタ回路16を備えることにより、1発光画素列に対して配置された2本の信号線に対し、信号線駆動回路15の出力線を1本とできるため、信号線駆動回路15を小型化することができ、データドライバ153の実装数及び出力線の減少に伴う駆動回路実装のためのコスト低減及びパネル実装歩留まりの向上が図られる。
本実施の形態においても、実施の形態1と同様の観点から、特許文献1に記載された、2本の信号線を用いた従来の表示装置と比較して、発光デューティをより長く確保することができるという利点がある。
よって、発光輝度が十分確保され、かつ、駆動回路の出力負荷が低減された長寿命の表示装置を実現することが可能となる。
また、2本の信号線を用いた従来の表示装置と、本発明のようにブロック駆動を組み合わせた表示装置とを同じ発光デューティに設定した場合、本発明の表示装置の方が、閾値検出期間を長く確保することが解る。
なお、時刻t71〜時刻t76における(k+1)番目の駆動ブロックの動作は、上述したk番目の駆動ブロックの動作と同様のため説明を省略する。
以上の動作が、表示パネル10内の(k+2)番目の駆動ブロック以降においても順次実行される。
なお、本実施の形態に係る駆動方法により発光した駆動ブロックの状態遷移図は、図14に示された状態遷移図と同様のため、説明を省略する。
本発明の実施の形態4に係る表示装置の駆動方法によれば、発光期間は、同一駆動ブロック内でも発光画素行順に設定される。よって、駆動ブロック内においても、行走査方向に対して発光期間が連続的に現れる。
以上、実施の形態4においても、静電保持容量316が配置された発光画素回路、信号線駆動回路15と信号線群12との間に配置されたセレクタ回路16、駆動ブロック化された各発光画素への走査線、電源線及び信号線の配置、及び上記駆動方法により、駆動トランジスタ314の閾値電圧補正期間及びそのタイミングを同一駆動ブロック内で一致させることが可能となる。さらにセレクタ回路により、信号線駆動回路15からの出力本数を低減できる。よって、電流パスを制御する信号を出力する走査/制御線駆動回路14や信号電圧を制御する信号線駆動回路15の負荷が低減するとともに駆動回路のコスト低減、ならびにパネル実装歩留まりの向上が図られる。また、さらに、上記駆動ブロック化及び発光画素列ごとに配置された2本の信号線により、駆動トランジスタ314の閾値電圧補正期間を、全発光画素を書き換える時間である1フレーム期間Tfのなかで大きくとることができる。これは、k番目の駆動ブロックにおいて輝度信号がサンプリングされている期間に、(k+1)番目の駆動ブロックにおいて閾値電圧補正期間が設けられることによるものである。よって、閾値電圧補正期間は、発光画素行ごとに分割されるのではなく、駆動ブロックごとに分割される。よって、表示領域が大面積化されるほど、発光デューティを減少させることなく、1フレーム期間に対する相対的な閾値電圧補正期間を長く設定することが可能となる。これにより、高精度に補正された輝度信号電圧に基づいた駆動電流が発光素子に流れ、画像表示品質が向上する。
例えば、表示パネル10をN個の駆動ブロックに分割した場合、各発光画素に与えられる閾値補正期間は、最大Tf/Nとなる。
(実施の形態5)
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照しながら説明する。
本実施の形態に係る表示装置の電気的な構成は、発光画素の回路構成を除き、図1に記載された構成と同様である。つまり、本実施の形態に係る表示装置は、表示パネル10と、制御回路20とを備える。表示パネル10は、後述する複数の発光画素41A及び41Bと、信号線群12と制御線群13と走査/制御線駆動回路14と、信号線駆動回路15と、セレクタ回路16とを備える。
発光画素41A及び41Bは、表示パネル10上に、マトリクス状に配置されている。ここで、発光画素41A及び41Bは、複数の発光画素行を一駆動ブロックとする2以上の駆動ブロックを構成している。発光画素41Aは、奇数番目の駆動ブロックを構成し、また、発光画素41Bは偶数番目の駆動ブロックを構成する。
以下、実施の形態1〜3と重複する構成については、説明を省略し、発光画素41A及び41Bに関連する構成のみ説明を行う。
図24Aは、本発明の実施の形態5に係る表示装置における奇数駆動ブロックの発光画素の具体的な回路構成図であり、図24Bは、本発明の実施の形態5に係る表示装置における偶数駆動ブロックの発光画素の具体的な回路構成図である。図24A及び図24Bに記載された発光画素41A及び41Bは、いずれも、有機EL素子413と、駆動トランジスタ414と、スイッチングトランジスタ415、416及び417と、静電保持容量418と、制御線431と、走査線433と、第1信号線451と、第2信号線452とを備える。ここで、駆動トランジスタ414と、スイッチングトランジスタ416、417及び418と、静電保持容量418とは、電流制御部400を構成している。電流制御部400は、第1信号線451又は第2信号線452から供給される信号電圧を駆動トランジスタ414のソースドレイン電流である信号電流に変換する機能を有する。
図24A及び図24Bにおいて、スイッチングトランジスタ416は、ゲートが走査線433に接続され、ソース及びドレインの一方が駆動トランジスタ414のゲート及び静電保持容量418の一方の端子である第1電極に接続され、ソース及びドレインの他方が参照電源線419に接続された第5スイッチングトランジスタである。スイッチングトランジスタ416は、参照電源線419の参照電圧VREFを駆動トランジスタ414のゲートに印加するタイミングを決定する機能を有する。
スイッチングトランジスタ417は、ゲートが制御線431に接続され、ソース及びドレインの一方が第5容量素子である静電保持容量418の他方の端子に接続され、ソース及びドレインの他方が駆動トランジスタ414のソースに接続された第6スイッチングトランジスタである。スイッチングトランジスタ417は、信号線からの信号電圧書き込み期間においてはオフ状態となることにより、当該期間において静電保持容量418から駆動トランジスタ414のソースへのリーク電流が発生しないので、静電保持容量418に正確な信号電圧に対応した電圧を保持させる機能を有する。一方、初期化期間においてオン状態となることにより、駆動トランジスタ414のソースを初期化電位に設定する機能を有し、駆動トランジスタ414と有機EL素子413とを瞬時にリセット状態とすることができる。スイッチングトランジスタ415、416及び417は、例えば、n型の薄膜トランジスタ(n型TFT)で構成される。
ここで、上記初期化期間とは、信号電圧に対応した電圧が静電保持容量418に書き込まれる前に、駆動トランジスタ414のゲート電位及びソース電位を初期化電位にリセットしておくための期間である。また、初期化期間は、実施の形態1〜4で説明した閾値電圧検出期間の前であって閾値電圧検出期間と連続的に、又は、閾値電圧検出期間に代わって設定される。
制御線431は、走査/制御線駆動回路14に接続され、発光画素41A及び41Bを含む画素行に属する各発光画素に接続されている。これにより、制御線431は、駆動トランジスタ414のソースと静電保持容量418の第2電極とを導通又は非導通とする状態を発生する機能を有する。
第1信号線451及び第2信号線452は、信号線駆動回路15に接続され、それぞれ、発光画素41A及び41Bを含む画素列に属する各発光画素へ接続され、駆動トランジスタをリセットするための基準電圧と、発光強度を決定する信号電圧とを供給する機能を有する。
なお、図24A及び図24Bには記載されていないが、電源線110及び電源線112は、それぞれ、正電源線及び負電源線であり、他の発光画素にも接続されており電圧源に接続されている。また、参照電源線419は、他の発光画素にも接続されておりVREFの電位の電圧源に接続されている。
次に、制御線431、走査線433、第1信号線451及び第2信号線452の発光画素間における接続関係について説明する。
図25は、本発明の実施の形態5に係る表示装置の有する表示パネルの一部を示す回路構成図である。同図には、2つの隣接する駆動ブロック及び各制御線、各走査線及び各信号線が記載されている。図面及び以下の説明では、各制御線、各走査線及び各信号線を“符号(ブロック番号、当該ブロックにおける行番号)”、又は、“符号(ブロック番号)”で表している。
前述したように、駆動ブロックとは、複数の発光画素行で構成され、表示パネル10の中には2以上の駆動ブロックが存在する。例えば、図25に記載された各駆動ブロックは、m行の発光画素行で構成されている。
図25の上段に記載されたk番目の駆動ブロックでは、制御線431(k)が当該駆動ブロック内の全発光画素41Aの有するスイッチングトランジスタ417のゲートに共通して接続されている。一方、走査線433(k、1)〜走査線433(k、m)は、それぞれ、発光画素行ごとに個別に接続されている。
また、図25の下段に記載された(k+1)番目の駆動ブロックでも、k番目の駆動ブロックと同様の接続がなされている。ただし、k番目の駆動ブロックに接続された制御線431(k)と(k+1)番目の駆動ブロックに接続された制御線431(k+1)とは、異なる制御線であり、走査/制御線駆動回路14から個別の制御信号が出力される。
また、k番目の駆動ブロックでは、第1信号線451が当該駆動ブロック内の全ての発光画素41Aの有するスイッチングトランジスタ415のソース及びドレインの他方に接続されている。一方、(k+1)番目の駆動ブロックでは、第2信号線452が当該駆動ブロック内の全発光画素41Bの有するスイッチングトランジスタ415のソース及びドレインの他方に接続されている。
上記駆動ブロック化により、駆動トランジスタ114のソースと静電保持容量418の第2電極との接続を制御する制御線431の本数が削減される。よって、これらの制御線に駆動信号を出力する走査/制御線駆動回路14の出力本数が低減し、回路規模の削減を可能にする。
次に、本実施の形態に係る表示装置の駆動方法について図26を用いて説明する。なお、ここでは、図24A及び図24Bに記載された具体的回路構成を有する表示装置についての駆動方法を詳細に説明する。
図26は、本発明の実施の形態1に係る表示装置の駆動方法の動作タイミングチャートである。同図において、横軸は時間を表している。また縦方向には、上から順に、k番目の駆動ブロックの走査線433(k、1)、433(k、2)及び433(k、m)、第1信号線451及び制御線431(k)に発生する電圧の波形図が示されている。また、これらに続き、(k+1)番目の駆動ブロックの走査線433(k+1、1)、433(k+1、2)及び433(k+1、m)、第2信号線452及び制御線431(k+1)に発生する電圧の波形図が示されている。また、図27は、本発明の実施の形態に係る表示装置の動作フローチャートである。
まず、時刻t81において、走査/制御線駆動回路14は、走査線433(k、1)〜433(k、m)の電圧レベルを同時にLOWからHIGHに変化させ、k番目の駆動ブロックに属する発光画素41Aの有するスイッチングトランジスタ415をオン状態とする。また、走査線433(k、1)〜433(k、m)の電圧レベルの上記変化により、同時に、スイッチングトランジスタ416をオン状態とする(図27のS71)。このとき、既に制御線431(k)の電圧レベルはHIGHでありスイッチングトランジスタ417はオン状態となっている。また、時刻t81において、第1信号線451の電圧レベルは、信号電圧から基準電圧VR1に変化される。
ここで、本実施の形態に係るセレクタ回路を駆動するための動作タイミングチャートは、実施の形態1で説明した図8の動作タイミングチャートと同様である。
すなわち、時刻t81から一定期間においては、図9Aに示されるように、基準電圧がデータドライバ150より供給されて、第1信号線451が有する寄生容量に充電(SAMPLE)する。そして、第1信号線451は、その後、セレクタ回路16を介して信号線駆動回路15と接続され、信号電圧が与えられるまで、図9Bに示されるように、その基準電圧を保持(Hold)している。一方、その間、第2信号線452は、信号電圧がデータドライバ150より供給されている。
これにより、駆動トランジスタ414のゲート及び静電保持容量418の第1電極には、参照電源線419の参照電圧VREFが印加され、スイッチングトランジスタ417の導通により、駆動トランジスタ414のソース及び静電保持容量418の第2電極には、第1信号線451の基準電圧VR1が印加される。つまり、駆動トランジスタ141のゲート電位及びソース電位が、それぞれ、VREF及びVR1で初期化(リセット)される。上述した駆動トランジスタ414のゲート及びソースに、それぞれ、参照電圧VREF及び基準電圧VR1を印加する動作は、第1リセット電圧印加ステップに相当する。
また、時刻t81において、有機EL素子413の発光を停止させるため、参照電圧VREF及び基準電圧VR1は、それぞれ、式16及び式17で表される関係を満たすように予め設定されている。
VREF−VCAT<Vth+Vt(EL) (式16)
VR1−VCAT<Vt(EL) (式17)
上記式16及び式17を満たす数値例として、例えば、VREF=VCAT=VR1=0Vである。
ここで、Vth及びVt(EL)は、それぞれ、駆動トランジスタ414及び有機EL素子413の閾値電圧であり、VCATは、有機EL素子413のカソード電圧である。上記式1は、時刻t81において、参照電源線419→駆動トランジスタ414→有機EL素子413→電源線412という電流パスで電流が流れない条件である。一方、上記式2は、第1信号線451→スイッチングトランジスタ415→スイッチングトランジスタ417→有機EL素子413→電源線412という電流パスで電流が流れない条件である。
以上、時刻t81では、k番目の駆動ブロックに属する発光画素41Aの有する有機EL素子413の発光を停止し、駆動トランジスタ414の初期化動作を開始する。
次に、時刻t82において、走査/制御線駆動回路14は、走査線433(k、1)〜433(k、m)の電圧レベルを同時にHIGHからLOWに変化させ、k番目の駆動ブロックに属する発光画素41Aの有するスイッチングトランジスタ415をオフ状態とする(図27のS72)。また、走査線433(k、1)〜433(k、m)の電圧レベルの上記変化により、同時に、スイッチングトランジスタ416をオフ状態とする。これにより、時刻t81から開始された駆動トランジスタ414のリセット動作が終了する。時刻t82におけるスイッチングトランジスタ415及び416を非導通とする動作は、第1非導通ステップに相当する。
上述した第1初期化電圧印加ステップ及び第1非導通ステップは、第1初期化ステップに相当する。
なお、駆動トランジスタ414に印加されるゲート−ソース電圧とドレイン電流との特性は、ヒステリシスを有するため、上述したリセット期間を十分に確保して当該ゲート電位及びソース電位を精度よく初期化しておく必要がある。初期化期間が不十分のまま閾値補正又は書き込み動作が実行されると、上記ヒステリシス等により発光画素ごとの閾値電圧又は移動度の変動履歴が長時間残留することとなり、画像の輝度ムラが十分に抑制されず、残像などの表示劣化を抑制できない。また、この初期化期間を十分長く確保することにより、駆動トランジスタ414のゲート電位及びソース電位は安定し、高精度な初期化動作が実現される。
以上、時刻t81〜時刻t82の期間では、駆動トランジスタ414の初期化動作が、k番目の駆動ブロック内において同時に実行され、k番目の駆動ブロックの全ての発光画素41Aの有する駆動トランジスタ414のゲート及びソースには、安定した初期化電圧であるVREF及びVR1が設定される。
次に、時刻t83において、走査/制御線駆動回路14は、制御線431(k)の電圧レベルをHIGHからLOWに変化させ、k番目の駆動ブロックに属する発光画素41Aの有するスイッチングトランジスタ417をオフ状態とする。これにより、時刻t84から開始される信号電圧の書き込み期間において、スイッチングトランジスタ417が非導通状態となることにより、当該期間において静電保持容量418から駆動トランジスタ414のソースへのリーク電流が発生しないので、静電保持容量418に正確な信号電圧に対応した電圧を保持させることが可能となる。また、スイッチングトランジスタ417により、上記期間は上記リーク電流を抑制するための高速書き込みに制約されないので、正確な信号電圧の書き込みに必要な本来の書き込み期間を確保することが可能となる。
次に、時刻t84〜時刻t85の間に、走査/制御線駆動回路14は、走査線433(k、1)の電圧レベルを、LOW→HIGH→LOWに変化させ、1行目の発光画素の有するスイッチングトランジスタ415を、オン状態とする(図27のS73)。また、走査線433(k、1)の電圧レベルの上記変化により、同時に、スイッチングトランジスタ416をオン状態とする。また、この時、第1信号線451の電圧レベルは、基準電圧から信号電圧Vdataに変化されている。
具体的には、時刻t84から一定期間においては、図9Cに示されるように、基準電圧がデータドライバ150より供給されて、第2信号線452が有する寄生容量に充電(SAMPLE)される。そして、第2信号線452は、その後、セレクタ回路16を介して信号線駆動回路15と接続され、信号電圧が与えられるまで、図9Dに示されるように、その基準電圧を保持(Hold)している。一方、時刻t84から一定期間後、第1信号線451は、信号電圧がデータドライバ150より供給されている。
これにより、静電保持容量418の第2電極に信号電圧Vdataが印加され、駆動トランジスタ414のゲートには、参照電源線419の参照電圧VREFが印加される。Vdataの数値例として、例えば、Vdata=−5V〜0Vである。
なお、時刻t84〜時刻t85においては、スイッチングトランジスタ417が非導通となっており、駆動トランジスタ414のソース電位は、リセット期間での電位であるVR1を維持していることから、有機EL素子413の順方向に発光電流は流れない。
よって、静電保持容量418には、両電極が高精度にリセットされた後、信号電圧Vdataに応じた電圧が書き込まれる。上記電圧の書き込み動作は、第1輝度保持ステップに相当する。
次に、時刻t86までの期間において、上述した時刻t84〜時刻t85の書き込み動作を、k番目の駆動ブロックに属する2行目からm行目の発光画素について、行順次に実行する。
次に、時刻t87において、走査/制御線駆動回路14は、制御線431(k)の電圧レベルを、LOWからHIGHに変化させ、k番目の駆動ブロックに属する発光画素41Aの有するスイッチングトランジスタ417をオン状態とする(図27のS74)。このとき、既に、走査線433(k、1)〜433(k、m)の電圧レベルは同時にHIGHからLOWに変化しているので、スイッチングトランジスタ415及び416は非導通状態である。よって、時刻t84〜時刻t86の書き込み期間において静電保持容量418に保持された電圧が駆動トランジスタ414のゲート−ソース間電圧であるVgsとなり、式18で表される。
Vgs=(VREF−Vdata) (式18)
ここで、Vgsは、例えば、0V〜5Vとなるため、駆動トランジスタ414はオン状態となり、ドレイン電流が有機EL素子413へと流れ込む。k番目の駆動ブロックに属する発光画素41Aでは、上記式18に規定されたVgsに応じて一斉に発光する。この一斉発光動作は、第1発光ステップに相当する。
このとき、駆動トランジスタ414のソース電位は、有機EL素子413のカソード電位VCATからVt(EL)だけ高い電位となり、式19で表される。
VS=Vt(EL)+VCAT (式19)
また、上記式18で規定されるVgs及び式19で規定されるソース電位から、駆動トランジスタ414のゲート電位は、式20で表される。
VG=(VREF−Vdata)+Vt(EL)+VCAT (式20)
以上、発光画素行を駆動ブロック化することにより、駆動ブロック内では、駆動トランジスタ414の初期化動作が同時に実行される。また、発光画素行を駆動ブロック化することにより、制御線431を駆動ブロック内で共通化できる。
また、走査線433(k、1)〜433(k、m)においては、走査/制御線駆動回路14とは個別に接続されているが、リセット期間においては、駆動パルスのタイミングが同一である。よって、走査/制御線駆動回路14は、出力するパルス信号の高周波化を抑制することができるので、駆動回路の出力負荷を低減できる。
上述したように、本発明の表示装置の有する発光画素41A及び41Bは、駆動トランジスタ414のゲートと参照電源線419との間にスイッチングトランジスタ416が付加され、駆動トランジスタ414のソースと静電保持容量418の第2電極との間にスイッチングトランジスタ417が付加されている。これにより、駆動トランジスタ414のゲート及びソース電位が安定化されるので、初期化完了から信号電圧の書き込みまでの時間、及び、当該書き込みから発光までの時間を、発光画素行ごとに任意に設定することが可能となる。この回路構成により、駆動ブロック化が可能となり、同一駆動ブロック内での閾値電圧補正期間及び発光期間を一致させることが可能となる。
さらに、セレクタ回路16を備えることにより、信号電圧及び基準電圧は、第1信号線451及び第2信号線452へ排他的に供給される。これにより、1発光画素列に対して配置された2本の信号線に対し、信号線駆動回路15の出力線を1本とできるため、信号線駆動回路15を小型化することができ、データドライバ150の実装数及び出力線の減少に伴う駆動回路実装のためのコスト低減及びパネル実装歩留まりの向上が図られる。
本実施の形態においても、実施の形態1と同様の観点から、特許文献1に記載された、2本の信号線を用いた従来の表示装置と比較して、発光デューティをより長く確保することができるという利点がある。
よって、発光輝度が十分確保され、かつ、駆動回路の出力負荷が低減された長寿命の表示装置を実現することが可能となる。
また、2本の信号線を用いた従来の表示装置と、本発明のようにブロック駆動を組み合わせた表示装置とを同じ発光デューティに設定した場合、本発明の表示装置の方が、駆動トランジスタ414のゲート電位及びソース電位を初期化するための初期化期間を長く確保することが解る。
なお、時刻t91〜時刻t97における(k+1)番目の駆動ブロックの動作は、上述したk番目の駆動ブロックの動作と同様のため説明を省略する。
まず、時刻t11において、走査/制御線駆動回路14は、走査線133(k+1、1)〜133(k+1、m)の電圧レベルを同時にLOWからHIGHに変化させ、(k+1)番目の駆動ブロックに属する発光画素11Bの有するスイッチングトランジスタ115をオン状態とする。また、走査線133(k+1、1)〜133(k+1、m)の電圧レベルの上記変化により、同時に、スイッチングトランジスタ116をオン状態とする(図6のS21)。このとき、既に制御線131(k+1)の電圧レベルはHIGHでありスイッチングトランジスタ117はオン状態となっている。また、信号線駆動回路15は、第2信号線152の信号電圧を、輝度信号電圧から基準電圧VR1に変化させる。これにより、駆動トランジスタ114のゲート及び静電保持容量118の第1電極には、固定電位線119の固定電圧VREFが印加され、スイッチングトランジスタ117の導通により、駆動トランジスタ114のソース及び静電保持容量118の第2電極には、第2信号線152の基準電圧VR1が印加される。つまり、駆動トランジスタ114のゲート電位及びソース電位が、それぞれ、VREF及びVR1でリセットされる。上述した駆動トランジスタ114のゲート及びソースに、それぞれ、固定電圧VREF及び基準電圧VR1を印加する動作は、第2リセット電圧印加ステップに相当する。
また、時刻t11において、有機EL素子113の発光を停止させるため、固定電圧VREF及び基準電圧VR1は、それぞれ、上記式1及び上記式2で表される関係を満たすように予め設定されている。
以上、時刻t11では、(k+1)番目の駆動ブロックに属する発光画素11Bの有する有機EL素子113の発光を停止し、駆動トランジスタ114のリセット動作を開始する。
次に、時刻t12において、走査/制御線駆動回路14は、走査線133(k+1、1)〜133(k+1、m)の電圧レベルを同時にHIGHからLOWに変化させ、(k+1)番目の駆動ブロックに属する発光画素11Bの有するスイッチングトランジスタ115をオフ状態とする(図6のS22)。また、走査線133(k+1、1)〜133(k+1、m)の電圧レベルの上記変化により、同時に、スイッチングトランジスタ116をオフ状態とする。これにより、時刻t11から開始された駆動トランジスタ114のリセット動作が終了する。時刻t12におけるスイッチングトランジスタ115及び116を非導通とする動作は、第2非導通ステップに相当する。
上述した第2リセット電圧印加ステップ及び第2非導通ステップは、第2リセットステップに相当する。
なお、駆動トランジスタ114に印加されるゲート−ソース電圧とドレイン電流との特性は、ヒステリシスを有するため、上述したリセット期間を十分に確保して当該ゲート及びソース電位を精度よく初期化しておく必要がある。リセット期間が不十分のまま閾値補正及び書き込み動作が実行されると、上記ヒステリシス等により発光画素ごとの閾値電圧及び移動度のばらつきがキャンセルされず、また、輝度信号電圧の書き込み精度が低下し、画像の輝度ムラが十分に抑制されない。また、駆動トランジスタのゲート及びソースに印加すべき初期化電圧により、駆動トランジスタ114のゲート電位及びソース電位を定常状態とするまでには時間を要する。よって、このリセット期間を十分長く確保することにより、駆動トランジスタ114のゲート電位及びソース電位は安定し、高精度なリセット動作が実現される。
以上、時刻t11〜時刻t12の期間では、駆動トランジスタ114のリセット動作が、(k+1)番目の駆動ブロック内において同時に実行され、(k+1)番目の駆動ブロックの全ての発光画素11Bの有する駆動トランジスタ114のゲート及びソースには、安定したリセット電圧であるVREF及びVR1が設定される。
次に、時刻t13において、走査/制御線駆動回路14は、制御線131(k+1)の電圧レベルをHIGHからLOWに変化させ、(k+1)番目の駆動ブロックに属する発光画素11Bの有するスイッチングトランジスタ117をオフ状態とする。これにより、時刻t14から開始される輝度信号電圧の書き込み期間において、スイッチングトランジスタ117が非導通状態となることにより、当該期間において静電保持容量118から駆動トランジスタ114のソースへのリーク電流が発生しないので、静電保持容量118に正確な信号電圧に対応した電圧を保持させることが可能となる。また、スイッチングトランジスタ117により、上記期間は上記リーク電流を抑制するための高速書き込みに制約されないので、正確な輝度信号電圧の書き込みに必要な本来の書き込み期間を確保することが可能となる。
次に、時刻t14〜時刻t15の間に、走査/制御線駆動回路14は、走査線133(k+1、1)の電圧レベルを、LOW→HIGH→LOWに変化させ、1行目の発光画素の有するスイッチングトランジスタ115を、オン状態とする(図6のS23)。また、走査線133(k+1、1)の電圧レベルの上記変化により、同時に、スイッチングトランジスタ116をオン状態とする。また、この時、信号線駆動回路15は、第2信号線152の信号電圧を基準電圧から輝度信号電圧Vdataに変化させている。これにより、静電保持容量118の第2電極に輝度信号電圧Vdataが印加され、駆動トランジスタ114のゲートには、固定電位線119の固定電圧VREFが印加される。Vdataの数値例として、例えば、Vdata=−5V〜0Vである。
なお、時刻t14〜時刻t15においては、スイッチングトランジスタ117が非導通となっており、駆動トランジスタ114のソース電位は、リセット期間での電位であるVR1を維持していることから、有機EL素子113の順方向に発光電流は流れない。
よって、静電保持容量118には、両電極が高精度にリセットされた後、輝度信号電圧Vdataに応じた電圧が書き込まれる。上記電圧の書き込み動作は、第2輝度保持ステップに相当する。
次に、時刻t16までの期間において、上述した時刻t14〜時刻t15の書き込み動作を、(k+1)番目の駆動ブロックに属する2行目からm行目の発光画素について、行順次に実行する。
次に、時刻t17において、走査/制御線駆動回路14は、制御線131(k+1)の電圧レベルを、LOWからHIGHに変化させ、(k+1)番目の駆動ブロックに属する発光画素11Bの有するスイッチングトランジスタ117をオン状態とする(図6のS24)。このとき、既に、走査線133(k+1、1)〜133(k+1、m)の電圧レベルは同時にHIGHからLOWに変化しているので、スイッチングトランジスタ115及び116は非導通状態である。よって、時刻t14〜時刻t16の書き込み期間において静電保持容量118に保持された電圧が駆動トランジスタ114のゲート−ソース間電圧であるVgsとなり、上記式3で表される。
ここで、Vgsは、例えば、0V〜5Vとなるため、駆動トランジスタ114はオン状態となり、ドレイン電流が有機EL素子113へと流れ込み、(k+1)番目の駆動ブロックに属する発光画素11Bでは、上記式3に規定されたVgsに応じて一斉に発光する。この一斉発光動作は、第2発光ステップに相当する。
以上、発光画素行を駆動ブロック化することにより、駆動ブロック内では、駆動トランジスタ114のリセット動作が同時に実行される。また、発光画素行を駆動ブロック化することにより、制御線131を駆動ブロック内で共通化できる。
また、走査線133(k+1、1)〜133(k+1、m)においては、走査/制御線駆動回路14とは個別に接続されているが、リセット期間においては、駆動パルスのタイミングが同一である。よって、走査/制御線駆動回路14は、出力するパルス信号の高周波化を抑制することができるので、駆動回路の出力負荷を低減できる。
以上、時刻t17以降の期間では、有機EL素子113の発光が、(k+1)番目の駆動ブロック内において同時に実行されている。
以上の動作が、表示パネル10内の(k+2)番目の駆動ブロック以降においても順次実行される。
なお、本実施の形態に係る駆動方法により発光した駆動ブロックの状態遷移図は、図11に示された状態遷移図と同様のため、説明を省略する。
以上、実施の形態5において、スイッチングトランジスタ416及び417が配置された発光画素回路、信号線駆動回路15と信号線群12との間に配置されたセレクタ回路16、駆動ブロック化された各発光画素への制御線、走査線及び信号線の配置、及び上記駆動方法により、駆動トランジスタ414の初期化期間及びそのタイミングを同一駆動ブロック内で一致させることが可能となる。さらにセレクタ回路により、信号線駆動回路15からの出力本数を低減できる。よって、電流パスを制御する信号を出力する走査/制御線駆動回路14や信号電圧を制御する信号線駆動回路15の負荷が低減するとともに駆動回路のコスト低減、ならびにパネル実装歩留まりの向上が図られる。また、さらに、上記駆動ブロック化及び発光画素列ごとに配置された2本の信号線により、駆動トランジスタ114の初期化期間を、全発光画素を書き換える時間である1フレーム期間Tfのなかで大きくとることができる。これは、k番目の駆動ブロックにおいて輝度信号がサンプリングされている期間に、(k+1)番目の駆動ブロックにおいて初期化期間が設けられることによるものである。よって、初期化期間は、発光画素行ごとに分割されるのではなく、駆動ブロックごと分割される。よって、表示領域が大面積化されても走査/制御線駆動回路14の出力数をさほど増大させることなく、かつ、発光デューティを減少させることなく、1フレーム期間に対する相対的な初期化期間を長く設定することが可能となる。これにより、高精度に補正された信号電圧に基づいた駆動電流が発光素子に流れ、画像表示品質が向上する。
例えば、表示パネル10をN個の駆動ブロックに分割した場合、各発光画素に与えられる初期化期間は、最大Tf/Nとなる。これに対し、発光画素行ごとに異なるタイミングで初期化期間を設定する場合、発光画素行がM行(M>>N)であるとすると、最大Tf/Mとなる。また、特許文献1に記載されたような信号線を発光画素列ごとに2本配置した場合でも、最大2Tf/Mである。
また、駆動ブロック化により、駆動トランジスタ414のソースと静電保持容量418の第2電極との導通を制御する制御線を駆動ブロック内で共通化できる。よって、走査/制御線駆動回路14から出力される制御線の本数が削減される。よって、駆動回路の負荷が低減する。
例えば、特許文献1に記載された従来の表示装置500では、発光画素行あたり2本の制御線(給電線及び走査線)が配置されている。表示装置500がM行の発光画素行から構成されているとすると、制御線は合計2M本となる。
これに対し、本発明の実施の形態に係る表示装置1では、走査/制御線駆動回路14から、発光画素行あたり1本の走査線、駆動ブロックごとに1本の制御線が出力される。よって、表示装置1がM行の発光画素行から構成されているとすると、制御線(走査線を含む)の合計は(M+N)本となる。
大面積化がなされ、発光画素の行数が大きい場合、M>>Nが実現されるので、この場合には、本発明に係る表示装置1の制御線本数は、従来の表示装置500の制御線本数に比べ、約1/2に削減することができる。
以上、本発明によれば、駆動トランジスタのリセット期間及び閾値電圧を高精度に補正できる期間が確保されるのに、加えて、駆動回路の出力負荷が低減することができる表示装置及びその制御方法を実現することができる。
具体的には、駆動トランジスタの閾値電圧補正期間及び/又は初期化期間とタイミングを駆動ブロック内で一致させることが可能となるので信号レベルのオンからオフもしくはオフからオンへの切替え回数を減らすことができ、発光画素の回路を駆動する駆動回路の負荷が低減する。上記駆動ブロック化及び発光画素列ごとに配置された2本の信号線により、駆動トランジスタの閾値電圧補正期間及び/又は初期化期間を1フレーム期間に対して大きくとることができるので、高精度な駆動電流が発光素子に流れ、画像表示品質が向上する。
さらに、データドライバの出力線が2本の信号線に対して1本となされているため、データドライバを小型化することができ、出力線の減少に伴うコストの低減及び歩留まりの向上を図ることができる。
加えて、閾値検出などのための基準電圧(固定電圧)の発光画素への供給を、信号線の寄生容量を利用して行なうので、バネル周縁部に基準電圧(固定電圧)の供給用の回路を別途設ける必要がなく、パネルの狭額縁化、パネルの歩留まりの向上を図ることができる。
そして、これは、閾値検出用の基準電圧(固定電圧)を信号線が有する寄生容量へのサンプル及びホールド動作により設定し、かつ、映像信号を時系列に目的の信号線に振り分けることのできるセレクタ回路を備えることにより実現する。
なお、このサンプル動作を実現するためには、輝度信号とは異なる基準信号を一定のタイミングで出力させる必要があるが、基準信号の出力により、対象とする輝度信号の対象画素への書込み動作にズレが生じないように、制御部20に走査/制御線駆動回路14を制御するように設定すればよいが、勿論それに限られない。
例えば、図28Aに示すように、走査/制御線駆動回路54に未接続の端子であるダミー端子553を設けた構成としてもよい。ここで、図28Aは、本発明における表示装置の電気的な構成の1例を示すブロック図である。この構成により、基準電圧のサンプリング期間を、対象駆動ブロックにおける走査/制御線駆動回路14のダミー端子553を選択する期間に相当させることができるので、必要な駆動タイミングを得ることができる。それにより、サンプリング期間を確保するための設定を別途行う必要がなくなるという効果を奏する。
また、例えば、図28B及び図28Cに示すように、走査/制御線駆動回路14に入力されるクロック信号の変更を行う構成としてもよい。ここで、図28Bは、走査/制御線駆動回路14に入力されるクロック信号の1例を示す図であり、図28Cは、走査/制御線駆動回路14に入力されるクロック回路の構成例を示す図である。つまり、ベースとなるクロック信号(CLK)とイネーブル信号(ENM)とをAND回路に入力し、イネーブル信号がHIGHのときに、走査/制御線駆動回路14にクロック信号が入力されるように構成する。この構成により、基準電圧のサンプリング期間のみイネーブル信号をLOWとすることで、CLKに同期した走査線の転送を制御することができ、基準信号の出力により、対象とする輝度信号の対象画素への書込み動作にズレが生じないようにすることができる。
また、図29は、本発明における表示装置の電気的な構成の別の1例を示すブロック図である。実施の形態1〜実施の形態5において、第1信号線と第2信号線との2本が隣接して配置されているのを前提にして説明したが、それに限らない。図29に示すように、同時刻に固定電位化される(基準電圧を保持する)信号線同士すなわち第1信号線651同士、第2信号線652同士を隣接して配置してもよい。
つまり、例えば、奇数番目の駆動ブロックかつ奇数列を右側の第2信号線652と接続し、奇数番目の駆動ブロックかつ偶数列を左側の第1信号線651と接続する。また、偶数番目の駆動ブロックかつ奇数列を左側の第1信号線651と接続し、偶数番目の駆動ブロックかつ偶数列を右側の第2信号線652と接続する。そして、このように構成した隣り合う信号線が、常に同時刻(同時間帯)に固定電位化される(つまり、基準電圧を保持する)する。
それにより、信号線が基準電圧を保持する期間(HOLD期間)において、他の信号線(第1信号線なら第2信号線、第2信号線なら第1信号線)との容量を介しての電位変動からのノイズを防ぐことができるというさらなる効果を奏する。
また、図30Aは、HOLD期間中における電圧降下を説明するための図である。図30Bは、電圧降下の影響を抑制する方法を説明するための図である。図30Cは、本発明における表示装置の電気的な構成の別の1例を示すブロック図である。図30に示すように、例えば、第1信号線151が領域Yで示される寄生容量に基準電圧を保持する期間(HOLD期間)において、領域Xに示される各発光画素11Bのスイッチングトランジスタ115を介してリーク電流が流れる懸念がある。また、表示装置に、領域Zに示されるESD(Electro Static Discharge)素子が備えられている場合、ESD素子を介してリーク電流が流れる懸念がある。つまり、第1信号線151のHOLD期間中ではリーク電流により電圧効果が生じてしまい、基準電圧を保持できない可能性がある。
それを鑑みて、図30Bに示すように、第1信号線151が有する寄生容量へ基準電圧(固定電圧)をサンプルさせる動作の回数を例えば2回にするなど増やして行うとしてもよい。また、図30Cに示すような構成とすることで、ESD素子を介してリーク電流を抑制するとしてもよい。つまり、図30Cに示すように、同じタイミングで駆動する信号線同士でESD素子をまとめればよい。例えば、第1信号線151それぞれに備えられるESD素子をESD線910で接続し、第2信号線152それぞれに備えられるESD素子をESD線911で接続すればよい。すなわち、第1信号線151(第2信号線152)が基準電圧を保持する際に、ESD線910(ESD線911)を同電位にすることで、リーク電流を回避することができるという効果を奏する。
なお、本発明に係る表示装置は、上述した実施の形態に限定されるものではない。実施の形態1及び2における任意の構成要素を組み合わせて実現される別の実施の形態や、実施の形態1及び2に対して本発明の主旨を逸脱しない範囲で当業者が思いつく各種変形を施して得られる変形例や、本発明に係る表示装置を内蔵した各種機器も本発明に含まれる。
なお、以上述べた実施の形態では、選択トランジスタのゲートの電圧レベルがHIGHの場合にオン状態になるn型トランジスタとして記述しているが、これらをp型トランジスタで形成した発光画素にも、上記実施の形態で説明した駆動ブロック化が適用でき、上述した各実施の形態と同様の効果を奏する。例えば、実施の形態5において、図24Aに記載された発光画素41Aにおいて、駆動トランジスタ414、スイッチングトランジスタ415、416及び417をp型トランジスタとし、電源線110側を負電圧、電源線112を正電圧とし、有機EL素子413の代わりに、駆動トランジスタのドレインと電源線110との間に有機EL素子を、駆動トランジスタから電源線110の方向が順方向となるように接続する。図24Bに記載された発光画素41Bについても同様である。また、図26の動作タイミングチャートにおいて、走査線の極性を反転させる。上記表示装置でも、実施の形態5と同様の効果を奏する。
また、例えば、本発明に係る表示装置は、図31に記載されたような薄型フラットTVに内蔵される。本発明に係る表示装置が内蔵されることにより、映像信号を反映した高精度な画像表示が可能な薄型フラットTVが実現される。