JP5280924B2 - 衝撃吸収装置及び鉄道車両 - Google Patents
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Description
ここでは、図1〜3を用いて、本発明に係る鉄道車両の第1実施形態を説明する。なお、図1(a),(b)、図2(a),(b)では、衝撃吸収装置の配置を主に示しており、衝撃吸収装置を除く部材の記載を省略している。
ホロ座2に取り付けられた衝撃吸収装置100は、中空筒状の衝撃吸収体11と、衝撃吸収体11の端部に取り付けられた複数の掛金12とを有している。
衝撃吸収体11(第1衝撃吸収部材)は、中空直方体形状に形成されており、アルミニウム合金からなる。なお、本実施の形態では、アルミニウム合金を用いているが、他の軽合金や鉄鋼材を用いてもよい。衝撃吸収体11が、障害物と衝突すると、塑性変形することによって衝撃エネルギーを吸収する。衝撃吸収体11の断面は、ホロ座2の枠と略同形状に形成されており、厚みがホロ座2の枠の幅よりも厚い。衝撃吸収体11をホロ座2に取り付けると、図1(a)に示すように、ホロ座2が衝撃吸収体11によって覆われる。
掛金12は、衝撃吸収体11(中空直方体)の後端(ホロ座2側の端部)において、ホロ座2に設けられた孔41及び掛金受42の位置にあうように、また、衝撃吸収体11をホロ座2に取り付けたときの掛金12が、孔41及び掛金受42に対向するように設けられている。本実施の形態においては、衝撃吸収体11(中空直方体)の上面の中央部並びに左右両側面の上下両部及び中央部に取り付けられている。
軸21とハンドル22と掛止部23とは一体に形成されている。ハンドル22を操作すると、軸21が回転し、これとともに、掛止部23が軸21を中心に回転する。このように、ハンドル22を操作することによって掛止部23の突出方向が変わる。掛止部23は、衝撃吸収装置100をホロ座2に取り付けるときに、ホロ座2に形成された後述する孔41に嵌められる。掛止部23を孔41に嵌め、ハンドル22を操作して、掛止部23の突出方向を掛金受42側へ変える。図3(d)に示すように、掛止部23が掛金受42と重なり、掛止部23(掛金12)が掛金受42に掛かる。掛止部23を掛金受42から外すときは、ハンドル22を操作し、掛止部23の突出方向が孔41に合うように変えて、図3(e)に示すように、掛止部23を掛金受42から外す。
軸21の端部(掛止部23と反対側の端部)には、バネ24がボルト31によって取り付けられている。バネ24の後部(掛止部23側の端部)には、バネ受け25が設けられている。ボルト31は、軸部がバネ24の中空に挿入されている。ボルト31を軸21の端部(掛止部23と反対側の端部)に向けて締め付けることによって、バネ24が軸21に取り付けられている。バネ受け25の後方には、バネ受け25に隣接して支持板28が取り付けられている。支持板28は、平面が軸21に対して垂直になるように、取り付けられている。
支持板28に延在して、固定板26が設けられている。固定板26は、衝撃吸収体11にボルト32によって固定されている。固定板26が衝撃吸収体11に固定されることによって、掛金12が衝撃吸収体11に固定される。
ホロ座2には、孔41及び掛金受42が設けられている。掛金受42は、図示しないホロ(貫通ホロ)をホロ座2に固定するときに用いられ、ホロに設けられた掛金12に係合する。本実施の形態において、掛金受42は、衝撃吸収体11に設けられた掛金12に係合する。
連結器3は、鉄道車両10の床下端部に設けられており、連結器3の先端が鉄道車両10の先端よりも前方へ突出している。連結器3によって、2車両の連結や故障等の緊急事態に車両同士を連結して推進や牽引する。連結器3の後方には、図示しない緩衝装置が設けられている。連結器3によって2車両を連結したときの車両同士の衝撃を、緩衝装置によって緩和する。
ブレーキハンドル5は、鉄道車両10を停止させるときに運転士によって操作される。鉄道車両10の前方に、人、自動車又は列車などの障害物が、突然現れた非常時には、ブレーキハンドル5を非常ブレーキ位置へ操作する。ここで、ブレーキハンドル5によるブレーキの作動の一例を説明する。鉄道車両10の運転台には、図示しない、元空気溜めに繋がる元空気溜め管、ブレーキシリンダーに繋がるブレーキ管及び排気用の管が設けられている。運転士がブレーキハンドル5をブレーキ位置まで押すと、ブレーキ情報が伝達され、元空気溜め管とブレーキ管とを繋いだブレーキ弁が開き空気が逃がされる。ブレーキ管内は減圧になるが、予め圧力空気が蓄えられている補助空気溜めからブレーキシリンダーに圧縮空気が流れ込み、ブレーキシリンダー圧力が発生してブレーキがかかる。
図2(b)に示すように、衝撃吸収体11の掛金12が取り付けられている端部が、ホロ座2に対向するように、衝撃吸収装置100を配置する。掛金12の掛止部23を、ホロ座2に形成された孔41に嵌めながら、衝撃吸収体11をホロ座2に押し付ける。そして、衝撃吸収装置100側から、掛金12のハンドル22を操作し、掛止部23を掛金受42に掛ける。全てのハンドル22を操作し、掛止部23を掛金受42に掛けて、衝撃吸収装置100をホロ座2(鉄道車両10の妻面)に固定する。
衝撃吸収装置100がホロ座2に固定された状態(図1(b))から、ハンドル22を操作し、掛止部23を掛金受42から外す(図3(e))。全てのハンドル22を操作し、掛止部23を掛金受42から外して、衝撃吸収装置100をホロ座2から取り外す。
続いて、本発明に係る鉄道車両の第2実施形態を、図4〜図7を用いて説明する。図4は、衝撃吸収体を展開させていないとき(衝撃吸収装置を鉄道車両に取り付けた直後)を示しており、図5は、衝撃吸収体を展開させたときを示している。図6は、回転リンクが回転する工程を示している。なお、本発明の実施の形態と同様なものに関しては、同符号で示し説明を省略する。
取付金210は、ホロ座2と略同形状の金属製の枠体である。衝撃吸収装置200をホロ座2に取り付けるときに、取付金210がホロ座2に固定される。取付金210のホロ座2に固定される枠面には、第1実施形態における衝撃吸収体11と同様に、掛金12が取り付けられている。掛金12は、図4(a)に示すように、上枠の中央部と、左右両枠の上下部及び中央部とに、合計7個取り付けられている。衝撃吸収装置200をホロ座2に取り付けるときは、掛金12をホロ座2の孔41に嵌めながら、取付金210をホロ座2に取り付ける。そして、ハンドル22を操作し、掛止部23を掛金受42に掛けて、取付金210(衝撃吸収装置200)をホロ座2に固定する。衝撃吸収装置200がホロ座2に固定されたとき、取付金210は衝撃吸収体11とホロ座2との間に配設される。
受け具230には、長手方向に沿って中央に溝が形成されており、図4(a)に示すように、断面がコの字形に形成されている。中央の溝の開口が上面になるように、受け具230が取付金210の左右両枠の内側に固定されている。溝の中央付近には、図6(a)に示すように、回転リンク220の一端が位置している。この回転リンク220の一端は、溝の両側面230aに、ピン221によって回転自在に固定されている。回転リンク220は、ピン221によって固定された一端を中心に回転し、受け具230の溝に嵌まり、溝の底面230bによって回転が止められる。具体的には、底面230bにおいて、回転リンク220が固定された部分から前方に延在した部分(底面)230cがストッパーとなって、回転リンク220の回転を止める。
受け具230の上には、図6(a),(b)に示すように、後方から順に、バネ212、ピン213及びピン受け214が配置されている。ピン213は、溝の両側の2つの側面230aに跨って配置されている。バネ212は、一端が図示しないバネ受けに固定されており、他端がピン213に取り付けられている。バネ212は、ピン213をピン受け214側(前方)へ付勢する。ピン受け214は、受け具230の片側の側面230aの上又は両側面230aの上に配設されている。ピン受け214には、ピン213側に溝214aが形成されている。
回転リンク220は、長手方向に関する一端が受け具230を介して取付金210に固定されており、他端が衝撃吸収体11に固定されている。この他端は、図4(b)に示すように、衝撃吸収体11の内側面に固定されており、取付金210に固定された位置よりも上方に、回転自在に固定されている。ここで、各回転リンク220の衝撃吸収体11に固定された位置を詳細に説明する。上側に配設された回転リンク220は、他端が、衝撃吸収体11の内側面において左右両側面の上端にそれぞれ固定されている。下側に配置された回転リンク220は、他端が、衝撃吸収体11の内側面において左右両側面の中央より少し下方の位置にそれぞれ固定されている。
取付金210の上枠の中央付近には、ラッチ240が取り付けられている。ラッチ240は、先端に引掛部242を有した鍵状のものであり、後端に軸241を有している。また、ラッチ240の後端には、突起部243が設けられている。突起部243には、ワイヤー246が取り付けられている。
ワイヤー246は、ラッチ240とラッチ操作ハンドル245とを接続している。ワイヤー246の一端は、突起部243に取り付けられており、他端は、ラッチ操作ハンドル245に接続している。ワイヤー246は、突起部243からローラーによって向きを変えてラッチ操作ハンドル245まで延びている。
運転台50には、ブレーキハンドル5とともにラッチ操作ハンドル245が配設されている。ラッチ操作ハンドル245を操作すると、ワイヤー246がラッチ操作ハンドル245側へ引かれる。突起部243は、ワイヤー246に引かれ、倒れる。ラッチ240は、軸241を中心に回転し、引掛部242が溝201から外れる。
ワイヤー巻取り器260は、運転台50の下方に配設されており、本実施の形態においては、ラチェット式のワイヤー巻取り器を用いている。ラチェット式のワイヤー巻取り器260は、ワイヤー270が巻回される巻回軸(図示せず)と、ラチェットギヤ(図示せず)と、ラチェットギヤのギヤ部に係合するラッチ爪(図示せず)と、巻回軸を回転させるハンドル(図示せず)とを有している。また、ハンドルに延設してレバー262が取り付けられている。レバー262を操作し、ハンドルをワイヤー270を巻き付ける方向に操作すると、巻回軸が回転し、ワイヤー270がワイヤー巻回軸に巻き付く。また、ワイヤー270がロックされた状態(ラチェットギヤのギヤ部にラッチ爪が係合した状態)から、レバー262を操作し、ワイヤー270を巻き解く方向へハンドルを操作すると、ラッチ爪がギヤ部から外れ、ワイヤー270が緩められる。
ワイヤー巻取り器260の巻回軸に巻き付けられたワイヤー270は、衝撃吸収体11の内側面に取り付けられている。本実施の形態では、衝撃吸収体11の内側面において中央よりやや下方の位置に取り付けられている。ワイヤー270は、衝撃吸収体11に取り付けられた位置からローラーによって向きを変えてワイヤー巻取り器260の巻回軸に巻き付けられている。
運転台50の下方には、ふた261が取り付けられている。ふた261は、ワイヤー巻取り器260が配設されている高さとほぼ同じ高さの位置に設けられている。ふた261を開けると、運転席とワイヤー巻取り器260が設置された場所とが通じる(図5(b))。ワイヤー270をワイヤー巻取り器260の巻回軸に巻き付けるときは、ふた261を開き、運転席からレバー262を操作する。
図7に示すように、衝撃吸収装置200において、ラッチ240を衝撃吸収体11の溝201に係合させ、衝撃吸収体11を取付金210に隣接して保持させておく。この状態の衝撃吸収装置200をホロ座2(鉄道車両10)へ取り付ける。取付金210に取り付けられた掛金12の掛止部23を、孔41に嵌めながら、取付金210をホロ座2に押し付ける。衝撃吸収装置200側から掛金12のハンドル22を操作し、掛止部23を掛金受42に掛け、取付金210(衝撃吸収装置200)をホロ座2に固定する。
第1実施形態と同様に、衝撃吸収装置200側から掛金12のハンドル22を操作し、掛止部23を掛金受42から外す。そして、取付金210(衝撃吸収装置200)をホロ座2から取り外す。
鉄道車両10の前方に障害物が現れたときの衝撃吸収装置200を用いた一連の動作を説明する。運行中は、図4(b)に示すように、ラッチ240の引掛部242が衝撃吸収体11の溝201に係合している。衝撃吸収体11は、取付金210に隣接して保持されている。また、回転リンク220は、受け具230によって固定された下端から上方に延在している。なお、衝撃吸収装置200の前端は連結器3の先端より後方に位置している。
運転台50の下方に設置されたふた261を開き(図5(b))、ワイヤー巻取り器260のレバー262を操作する。レバー262は、ワイヤー270を巻回軸へ巻き付ける方向に操作される。また、レバー262の操作とともに、ピン213を、ピン受け214の溝214aから外し、ピン受け214の反対側(取付金210側)に戻す。ワイヤー270が、ワイヤー巻回軸に巻き付けられ、ワイヤー巻取り器260側へ引かれる。これに伴って、衝撃吸収体11が取付金210側(ホロ座2側)へ引き寄せられ、元の状態に戻る。衝撃吸収体11が戻るにつれて、回転リンク220が、後端(受け具230によって固定された位置)を中心に回転する。衝撃吸収体11が取付金210に隣接するまでワイヤー270を巻き取り、ラッチ240の引掛部242を衝撃吸収体11の溝201に係合させる。
続いて、上述の第2実施形態に係る鉄道車両及び衝撃吸収装置の変形例1を、図8〜図12を用いて説明する。図8は、衝撃吸収体を展開させていないとき(衝撃吸収装置を鉄道車両に取り付けた直後)を示しており、図9,10は、衝撃吸収体を展開させる工程を順に示している。図12a,図12b,図12cは、回転リンクが回転する工程を順に示している。なお、上述の第1実施形態及び第2実施形態と同様なものに関しては、同符号で示し説明を省略する。また、図12a,12b,12cにおいては、衝撃吸収体が展開するときに作動する部材を主に示しており、その他の部材(掛金12、孔41、掛金受42、ラッチ240など)の記載を省略している。
図12bに示すように、取付金210には、4つの長穴340が形成されている。長穴340は、取付金210の左右両枠の上部及び下部に、縦方向に沿って形成されている。長穴340は、枠体を貫通して形成され、後述するスライドピン342が通過する細長い穴に形成されている。長穴340の長手方向の長さは、回転リンク321,322の長手方向の長さと略同じ長さに形成されている。
図12bに示すように、衝撃吸収体11の内側面には、4つの長穴350が形成されている。長穴350は、衝撃吸収体11の左右両側面の内側において、上部及び下部に、縦方向に沿って形成されている。長穴350は、取付金210に形成された長穴340と同様に、後述するスライドピン352が通過する細長い穴に形成されている。また、長穴350の長手方向の長さは、回転リンク321,322の長手方向の長さと略同じ長さに形成されている。
リンク320は、回転リンク321と回転リンク322とを有している。図12a〜図12cにおいては、上部のリンク320をリンク320aと示し、下部のリンク320をリンク320bと示して説明する。図12bに示すように、回転リンク321と回転リンク322とは、同形状のリンクであり、各々の中央部がピン325によって回転自在に連結されている。
回転リンク321は、一端が長穴340の端部に固定ピン341によって固定されており、他端が、スライドピン352によって長穴350上にスライド自在に取り付けられている。スライドピン352は、長穴350の長手方向に沿ってスライドし、これに伴って、回転リンク321の他端が、長穴350上をスライドする。回転リンク321の他端がスライドすると、回転リンク321は、固定ピン341によって固定された端部を中心に回転する。スライドピン352が、長穴350の端部(固定ピン351側の端部)で止まると、回転リンク321の回転が止まる。本変形例においては、図12bに示すように、上方のリンク320aの回転リンク321は、一端が長穴340の上端に固定されており、下方のリンク320bの回転リンク321は、一端が長穴340の下端に固定されている。
回転リンク322は、一端が長穴350の端部に固定ピン351によって固定されており、他端が、スライドピン342によって長穴340上にスライド自在に取り付けられている。スライドピン342は、長穴340の長手方向に沿ってスライドし、これに伴って、回転リンク322の他端が、長穴340上をスライドする。回転リンク322の他端がスライドすると、回転リンク322は、固定ピン351によって固定された端部を中心に回転する。スライドピン342が、長穴340の端部(固定ピン341側の端部)で止まると、回転リンク322の回転が止められる。本変形例においては、図12bに示すように、上方のリンク320aの回転リンク322は、一端が長穴350の上端に固定されており、下方のリンク320bの回転リンク322は、一端が長穴350の下端に固定されている。
バネ331は、一端がスライドピン352に取り付けられており、スライドピン352を固定ピン351側へ付勢する。バネ331の他端は、図示しないバネ固定部に固定されている。本変形例においては、衝撃吸収体11の左右両側面において、バネ331が、上方に形成された長穴350の下端と、下方に形成された長穴350の上端とのそれぞれに設けられている(図12b)。
バネ332は、一端がスライドピン342に取り付けられており、スライドピン342を固定ピン341側へ付勢する。バネ332の他端は、図示しないバネ固定部に固定されている。本変形例においては、衝撃吸収体11の左右両側面において、バネ332が、上方に形成された長穴340の下端と、下方に形成された長穴340の上端とにそれぞれ設けられている(図12b)。
図12aに示す状態から、バネ331が、伸長し、スライドピン352を固定ピン351側へ付勢する。スライドピン352及びスライドピン352に固定された回転リンク321の端部が、長穴350に沿って、固定ピン351側へ移動する(図12b)。これにともなって、回転リンク321が、固定ピン341に固定された端部を中心に回転する。スライドピン352は、長穴350における固定ピン351側の端部で止まり、回転リンク321の回転が止まる。回転リンク321は、回転リンク321の長手方向が水平方向(鉄道車両10の長手方向)に一致した状態になる(図12c)。なお、スライドピン352は、固定ピン351側の端部で止まると、この端部から外れず、固定ピン351の反対側の端部へ戻らない。このため、回転リンク321が水平となった状態に維持される。
図12aに示す状態から、バネ332が、伸長し、スライドピン342を固定ピン341側へ付勢する。スライドピン342及びスライドピン342に固定された回転リンク322の端部が、長穴340に沿って、固定ピン341側へ移動する。回転リンク322は、固定ピン351により固定された端部を中心に回転する(図12b)。スライドピン342は、長穴340における固定ピン341側の端部で止められ、回転リンク322の回転が止まる。回転リンク322は、回転リンク322の長手方向が水平方向(鉄道車両10の長手方向)に一致した状態になり、回転リンク321と回転リンク322が重なる(図12c)。なお、上述のスライドピン352と同様に、スライドピン342は、固定ピン341側の端部で止まると、この端部から外れず、固定ピン341の反対側の端部へ戻らない。このため、回転リンク322も水平となった状態に維持される。
図11に示すように、ラッチ240を衝撃吸収体11の溝201に係合させる。衝撃吸収体11が取付金210に隣接して保持された衝撃吸収装置300をホロ座2(鉄道車両10)へ固定する。衝撃吸収装置300をホロ座2に固定するときは、第2実施形態と同様に、取付金210の掛金12を掛金受42に掛けて、取付金210をホロ座2に固定する。
図8(b)の状態から、第2実施形態と同様に、掛金12を掛金受42から外し、取付金210(衝撃吸収装置300)をホロ座2から取り外す。
第2実施形態と同様に、運行中は、図8(b)に示すように、ラッチ240の引掛部242が衝撃吸収体11の溝201に係合している。また、衝撃吸収体11は、取付金210に隣接して保持されている。さらに、図12aに示すように、上方に配設されたリンク320a(回転リンク321,322)は、固定ピン341,351の各々によって固定された上端部から略鉛直下方向に延在しており、下方に配設されたリンク320b(回転リンク321,322)は、下端部から略鉛直上方向に延在している。
第2実施形態と同様に、運転台50の下方に設置されたふた261を開き、レバー262を操作し、ワイヤー270をワイヤー巻回軸に巻き付きける。また、レバー262の操作とともに、スライドピン342を長穴340に沿って固定ピン341の反対側の端部に戻す。また、スライドピン352を長穴350に沿って固定ピン351の反対側の端部に戻す。衝撃吸収体11は、ワイヤー270によって取付金210側(ホロ座2側)へ引き寄せられ、取付金210に隣接するまで戻される。スライドピン342,352及び衝撃吸収体11が戻るにつれて、回転リンク321,322が回転する。回転リンク321は固定ピン341による固定位置を中心に回転し、回転リンク322は固定ピン351による固定位置を中心に回転する。
続いて、上述の第1実施形態に係る鉄道車両及び衝撃吸収装置の変形例2を、図13を用いて説明する。
衝撃吸収体11の前端(鉄道車両10側端部)には、ホロ410に設けられた掛金12の各々の位置にあうように、また、衝撃吸収体11をホロ410に取り付けたときの掛金12に対向するように、複数の孔41が形成されている。孔41内部には、孔41の開口に隣接して、掛金受42が設けられている。掛金受42は、ホロ410に設けられた掛金12を受ける。本変形例においては、孔41及び掛金受42は、衝撃吸収体11(中空直方体)の前端において、上面の中央部及び左右両側面の上下両部及び中央部に設けられている。
ホロ410は、ホロ布とホロ布を蛇腹状に保持するホロ骨(図示せず)とを有している。ホロ410の前後両端のそれぞれには、複数の掛金12が設けられている。ホロ410の後端の掛金12は、鉄道車両10のホロ座2に設けられた掛金受42に係合し、ホロ410を鉄道車両10に固定するときに用いられる。本変形例においては、ホロ410の後端の掛金12が、衝撃吸収体11の前端に設けられた掛金受42に係合し、これによって衝撃吸収装置400がホロ410に固定される。また、ホロ410の前端の掛金12は、鉄道車両450のホロ座2に設けられた掛金受42に係合し、ホロ410を鉄道車両450に固定するときに用いられる。
衝撃吸収装置400を鉄道車両10に固定する。第1実施形態と同様に、衝撃吸収体11の後端に取り付けられた掛金12をホロ座2の掛金受42に掛けて、衝撃吸収装置400を鉄道車両10のホロ座2に固定する。
衝撃吸収装置400をホロ410から取り外す。図13(a)の状態において、ホロ410側からホロ410の後端に取り付けられた掛金12(衝撃吸収装置400をホロ410に固定する掛金12)のハンドル22を操作し、掛金12を衝撃吸収装置400に設けられた掛金受42から外し、衝撃吸収装置400をホロ410から外す。
続いて、上述の変形例1に係る鉄道車両及び衝撃吸収装置の変形例3を、図14を用いて説明する。
衝撃吸収体11(中空直方体)の前端(鉄道車両10側端部)には、変形例2と同様に、ホロ410に設けられた各々の掛金12の位置にあわせて、孔41と掛金受42が設けられている。孔41及び掛金受42は、衝撃吸収体11(中空直方体)の前端において、上面の中央部と左右両側面の上下両部及び中央部とに設けられている。
変形例1と同様に、取付金210を鉄道車両10のホロ座2に取り付ける。次に、変形例2と同様に、衝撃吸収装置500をホロ410に固定し、ホロ410を鉄道車両450に固定する。
変形例2と同様に、ホロ410側からホロ410の後端に取り付けられた掛金12(ホロ410を衝撃吸収装置500に固定する掛金12)を外し、衝撃吸収装置500をホロ410から外す。また、変形例1と同様に、衝撃吸収装置500側から、取付金210に取り付けられた掛金12(衝撃吸収装置500を鉄道車両10のホロ座2に固定する掛金12)を外し、衝撃吸収装置500を鉄道車両10から外す。
3 連結器
5 ブレーキハンドル
11 衝撃吸収体
12 掛金
22 ハンドル
23 掛止部
41 孔
42 掛金受
210 取付金
230 ストッパー
220,321,322 回転リンク
240 ラッチ
245 ラッチ操作ハンドル
212,331,332 バネ
213 ピン
320 リンク
410 ホロ
100,200,300,400,500 衝撃吸収装置
10,450 鉄道車両
Claims (6)
- 鉄道車両が障害物に正面衝突した時の衝撃エネルギーを吸収する衝撃吸収装置において、
前記衝撃吸収装置は、鉄道車両の妻面に設けられるホロ座に、ホロに代わって取り付けられるものであり、
塑性変形することによって衝突時の衝撃エネルギーを吸収する第1衝撃吸収体と、
前記第1衝撃吸収体を前記ホロ座に保持するとともに前記ホロ座に固定される保持部材と、
前記第1衝撃吸収体を前方へ移動させる駆動機構とをさらに有しており、
前記駆動機構は、
長手方向に関する両端のそれぞれが前記第1衝撃吸収体と前記保持部材とに連結された回転リンクと、
水平方向に対して所定角度傾斜した前記回転リンクを、前記回転リンクの長手方向が水平方向に一致するように回転させる回転駆動部材と、
前記回転駆動部材によって回転した前記回転リンクを停止させるストッパーとを有していることを特徴とする衝撃吸収装置。 - 前記回転リンクが、塑性変形することによって衝突時の衝撃エネルギーを吸収する第2衝撃吸収体であることを特徴とする請求項1に記載の衝撃吸収装置。
- 前記衝撃吸収装置は、
ホロを介して連結される鉄道車両間において、前記ホロと、一方の鉄道車両に設けられたホロ座との間に取り付けられるものであり、
前記ホロが有した、前記ホロを前記ホロ座に固定するホロ固定部材に係合する第2係合部材をさらに有し、
前記第1衝撃吸収体は前記第2係合部材により前記ホロに取り付けられることを特徴とする請求項1又は2に記載の衝撃吸収装置。 - 請求項1又は2に記載の衝撃吸収装置と、鉄道車両の前方に突出するように設けられた連結器とを備えた鉄道車両において、
前記駆動機構によって前方へ移動した第1衝撃吸収体の前端が、前記連結器の先端より前方に突出することを特徴とする鉄道車両。 - 鉄道車両が障害物に正面衝突した時の衝撃エネルギーを吸収する衝撃吸収装置において、
前記衝撃吸収装置は、鉄道車両の妻面に設けられるホロ座に、ホロに代わって取り付けられるものであるとともに、ホロを介して連結される鉄道車両間において、ホロと、一方の鉄道車両に設けられたホロ座との間に取り付けられるものであり、
塑性変形することによって衝突時の衝撃エネルギーを吸収する第1衝撃吸収体と、
ホロ座が有した、ホロを前記ホロ座に固定するホロ固定部材に係合する第1係合部材と、
ホロが有した、ホロを前記ホロ座に固定するホロ固定部材に係合する第2係合部材とを有しており、
前記第1衝撃吸収体は、前記第1係合部材により前記ホロ座に取り付けられるとともに、前記第2係合部材により前記ホロに取り付けられることを特徴とする衝撃吸収装置。 - 鉄道車両が障害物に正面衝突した時の衝撃エネルギーを吸収する衝撃吸収装置と、鉄道車両の前方に突出するように設けられた連結器とを備えた鉄道車両において、
前記衝撃吸収装置は、鉄道車両の妻面に設けられるホロ座に、ホロに代わって取り付けられるものであり、
塑性変形することによって衝突時の衝撃エネルギーを吸収する第1衝撃吸収体と、
ホロ座が有した、ホロを前記ホロ座に固定するホロ固定部材に係合する第1係合部材とを有し、
前記第1衝撃吸収体は前記第1係合部材により前記ホロ座に取り付けられ、
前記第1衝撃吸収体の前端が、前記連結器の先端より前方に突出していることを特徴とする鉄道車両。
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