JP5280158B2 - プレスおよびプレスの制御方法 - Google Patents
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第2発明のプレスの制御方法は、第1発明において、前記低速度上昇期間を、プレスの伸び量が、前記スライドが下死点に位置している状態におけるプレスの伸び量の50%以下となるまで継続させることを特徴とする。
第3発明のプレスの制御方法は、第1または第2発明において、前記低速度上昇期間において、前記スライドに加わる上向きの加速度が1G以内となるように、前記スライドを上昇させることを特徴とする。
(装置)
第4発明のプレスは、サーボモータによってエキセン軸が駆動されるプレスであって、前記サーボモータの作動を制御する制御部は、下死点近傍に位置するときにおけるスライドの移動速度が、フライホイールによって駆動される従来プレスにおける下死点近傍のスライドの移動速度に比べて遅くなるように前記サーボモータの作動を制御するものであり、下死点近傍における前記スライドの移動速度が遅い低速度期間において、前記スライドが上昇する低速度上昇期間における前記スライドの上昇速度が、従来プレスにおける下死点後のスライドの上昇速度よりも遅くなり、下死点近傍における前記スライドの移動速度が遅い低速度期間において、前記スライドが上昇する低速度上昇期間における前記スライドの上昇速度が、前記スライドが下降する低速度下降期間における前記スライドの下降速度よりも遅くなるように制御することを特徴とする。
第5発明のプレスは、第4発明において、前記制御部は、前記低速度上昇期間を、プレスの伸び量が、前記スライドが下死点に位置している状態におけるプレスの伸び量の50%以下となるまで継続させることを特徴とする。
第6発明のプレスは、第4または第5発明において、前記制御部は、前記低速度上昇期間において、前記スライドに加わる上向きの加速度が1G以内となるように、前記スライドを上昇させることを特徴とする。
第7発明のプレスは、第4、第5または第6発明において、前記温間または熱間鍛造プレスであることを特徴とする。
第8発明のプレスは、第4、第5、第6または第7発明において、従動部重量全てを吊り上げるバランサーを備えていることを特徴とする。
第1発明によれば、スライドの下降時にタイロッドやエキセン軸等に蓄積されたエネルギをゆっくりと解放させることができるから、エネルギ解放時に発生する騒音や振動を小さくすることができる。スライドの下降時にタイロッド等に蓄積されたエネルギを、スライドの下降時よりも長時間かけて解放させることができるから、エネルギ解放時に発生する騒音や振動をより小さくすることができる。
第2発明によれば、低速度下降期間においてタイロッドに蓄積されていたエネルギの大部分を低速度上昇期間で開放できるので、低速度上昇期間経過後、速い速度でスライドを上昇させても、その際に発生する騒音や振動を小さくすることができる。よって、騒音や振動の発生を抑えつつ、作業効率の低下も抑制することができる。
第3発明によれば、エキセン軸は下死点後もコンロッド等によって支えられた状態で下方に移動するから、エキセン軸がブシュと接触したときの衝突速度が小さくなるので、騒音や振動の発生を防ぐことができる。
(装置)
第4発明によれば、スライドの下降時にタイロッドやエキセン軸等に蓄積されたエネルギをゆっくりと解放させることができるから、エネルギ解放時に発生する騒音や振動を小さくすることができる。スライドの下降時にタイロッド等に蓄積されたエネルギを、スライドの下降時よりも長時間かけて解放させることができるから、エネルギ解放時に発生する騒音や振動をより小さくすることができる。
第5発明によれば、低速度下降期間においてタイロッドに蓄積されていたエネルギの大部分を低速度上昇期間で開放できるので、低速度上昇期間経過後、速い速度でスライドを上昇させても、その際に発生する騒音や振動を小さくすることができる。よって、騒音や振動の発生を抑えつつ、作業効率の低下も抑制することができる。
第6発明によれば、エキセン軸は下死点後もコンロッド等によって支えられた状態で下方に移動するから、エキセン軸がブシュと接触したときの衝突速度が小さくなるので、騒音や振動の発生を防ぐことができる。
第7発明によれば、冷間鍛造に比べて成形速度が速くても、成形時に発生する騒音や振動を抑えることができる。
第8発明によれば、バランサーによって、エキセン軸が下方に移動するときに、従動部材同士が衝突することを防ぐことができるから、従動部材同士の衝突に起因する騒音や振動の発生も防ぐことができる。
本発明のプレスは、スライドが下死点近傍に位置しているときにおける騒音の発生を抑制するように構成されたものである。
図2は本発明のプレスの概略説明図である。図4は本発明のプレス上部の概略側面図である。図2および図4において、符号Fはプレスフレーム、符号Cはクラウン、符号Bはベッドを示しており、このプレスフレームF、クラウンC、ベッドBは、複数本のタイロッドTによって締結されている。具体的には、各タイロッドTが、プレスフレームF、クラウンC、ベッドBを貫通しており、各タイロッドTの両端に形成されたネジ部に螺合された一対のナットによって、プレスフレームF、クラウンC、ベッドBを上下から挟んで締結しているのである。
エキセン軸Eは、その一対のジャーナル部Eb,Eb間に偏心部Eaを備えており、この偏心部Eaには、コンロッドRの基端が回転自在に連結されている。コンロッドRの先端には、リストピンを介してスライドSが回転可能に取り付けられており、このスライドSは、その側面が前記プレスフレームFの内面に案内されて上下方向に摺動できるようになっている。そして、スライドSの下面には、金型Dの上型Daが取り付けられている。
なお、スライドSの下方には、ベッドBの上面に設けられたダイホルダHDに支持された金型Dの下型Dbが設けられている。
なお、サーボモータMは、制御部CBによって、その作動、つまり、回転開始停止のタイミングやその回転数が制御されている。
しかも、成形域外では、サーボモータMの回転数を最大にして、スライドSが上死点に戻る期間を短くすれば、鍛造終了後次回の鍛造までの時間、つまり1サイクルのサイクルタイムを短くすることができるから、生産性の低下を防ぐことができる。
かかる下死点BDC後に発生する騒音は、成形時にプレスフレームFやエキセン軸Eに蓄えられる弾性エネルギが急激に開放されることに起因して発生するのであるが、このときに騒音が発生するメカニズムを以下に簡単に説明する。
図3(A)に示すように、スライドSが鍛造品と接触するまでは、ブシュSLとエキセン軸Eのジャーナル部Ebとの間には、ジャーナル部Ebの上方にすき間gbが存在している。
スライドSの下降によって鍛造品の成形を開始すると、鍛造品を加圧した加圧力の反力(以下、成形反力という)が、スライドS、コンロッドRを介してエキセン軸Eを上方に押し上げる力となる。すると、ジャーナル部Ebの上方にすき間gbがなくなった後、この力によってクラウンCが上方に押し上げられ、タイロッドTが伸びて、プレスが伸びる。そして、エキセン軸Eのジャーナル部Ebの下方には、ブシュSLとの間にすき間gaが生じる(図3(B))。
一方、下死点を過ぎると、鍛造品の加圧が終了し、上記成形反力も瞬間的になくなる。すると、ジャーナル部1bの下方にあったすき間gbが、瞬間的にジャーナル部1bの上方のすき間gbに移行する現象が生じる(図3(C))。つまり、瞬間的にエキセン軸Eは下方に移動し、ジャーナル部1bも瞬間的に下方に移動して、ジャーナル部1bがブシュSLと衝突するので、騒音が発生するのである。
図4(A)に示すように、サーボモータMが発生する回転トルクは、ピニオンギヤPNとメインギヤGとが噛合うことにより、ピニオンギヤPNとメインギヤGとを介して、メインギヤGが固定されているエキセン軸Eに伝達されている。
図5(A)に示すように、成形時には、ピニオンギヤPNとメインギヤGはピ二オンギヤPNの正転側の面CaでメインギヤGにトルクが伝達されている。この状態では、エキセン軸Eの回転に対して前記成形反力が抵抗となるので、エキセン軸Eは捻られる。具体的には、メインギヤG側に位置する部分が偏心部Eaよりも回転方向に対して先行するように捻られるので、エキセン軸Eには捻りの弾性エネルギが蓄えられる。
そして、下死点を過ぎると、偏心部Eaに加わっていた成形反力が瞬間的になくなるので、エキセン軸Eに蓄えられていた弾性エネルギが開放され偏心部Eaがジャーナル部1bに追いつくように回転する。すると、エキセン軸Eの回転速度、つまりメインギヤGの回転速度が急激に速くなり、ピニオンギヤPNの回転速度よりも速くなる。このため、メインギヤGの歯がピニオンギヤPNの正転側と逆の面Cbに衝突し騒音が発生するのである(図5(B))。
すると、成形終了後にプレスフレームFやエキセン軸E等に蓄積されていたエネルギをゆっくりと開放させることができるので、上述したような騒音の発生を抑えることができる。
図1(B)に示すように、最大の加圧力(負荷)F0を発生している下死点BDCにおけるプレスの伸び量δ0とする。プレスの伸び量が半分(1/2δ0)となると、プレスに蓄積されている弾性エネルギEG2は、最大伸び量がδ0となる下死点BDCにおいて蓄積されているエネルギの約1/4となる。つまり、成形時に蓄積された全エネルギの3/4に相当するエネルギEG1が減少しているので、このタイミングでスライドSの上昇速度を増加させても、開放されるエネルギ自体が少ないので、瞬間的にジャーナル部1bの移動が生じても、ジャーナル部1bとブシュSLの衝突に起因する騒音も小さくなる。
よって、低速度期間を、プレスの伸びが、最大の伸び量(δ0の状態)に対して50%以下となる時期まで継続させれば、下死点BDC後に発生する騒音を低減できる。そして、それ以降(低速度期間の経過後)はできるだけ高速でスライドSを上昇させることにより、生産性の低下も防ぐことができる。
M サーボモータ
S スライド
CB 制御部
Claims (8)
- サーボモータによってエキセン軸が駆動されるプレスにおいて、下死点近傍に位置するときにおけるスライドの移動速度を、フライホイールによって駆動される従来プレスにおける下死点近傍のスライドの移動速度に比べて遅くするプレスの制御方法であって、
下死点近傍における前記スライドの移動速度が遅い低速度期間において、前記スライドが上昇する低速度上昇期間における前記スライドの上昇速度を、従来プレスにおける下死点後のスライドの上昇速度よりも遅くし、前記低速度上昇期間における前記スライドの上昇速度を、前記スライドが下降する低速度下降期間における前記スライドの下降速度よりも遅くする
ことを特徴とするプレスの制御方法。 - 前記低速度上昇期間を、
プレスの伸び量が、前記スライドが下死点に位置している状態におけるプレスの伸び量の50%以下となるまで継続させる
ことを特徴とする請求項1記載のプレスの制御方法。 - 前記低速度上昇期間において、前記スライドに加わる上向きの加速度が1G以内となるように、前記スライドを上昇させる
ことを特徴とする請求項1または2記載のプレスの制御方法。 - サーボモータによってエキセン軸が駆動されるプレスであって、
前記サーボモータの作動を制御する制御部は、
下死点近傍に位置するときにおけるスライドの移動速度が、フライホイールによって駆動される従来プレスにおける下死点近傍のスライドの移動速度に比べて遅くなるように前記サーボモータの作動を制御するものであり、
下死点近傍における前記スライドの移動速度が遅い低速度期間において、前記スライドが上昇する低速度上昇期間における前記スライドの上昇速度が、従来プレスにおける下死点後のスライドの上昇速度よりも遅くなり、前記低速度上昇期間における前記スライドの上昇速度が、前記スライドが下降する低速度下降期間における前記スライドの下降速度よりも遅くなるように制御する
ことを特徴とするプレス。 - 前記制御部は、
前記低速度上昇期間を、プレスの伸び量が、前記スライドが下死点に位置している状態におけるプレスの伸び量の50%以下となるまで継続させる
ことを特徴とする請求項4記載のプレス。 - 前記制御部は、
前記低速度上昇期間において、前記スライドに加わる上向きの加速度が1G以内となるように、前記スライドを上昇させる
ことを特徴とする請求項4または5記載のプレス。 - 温間または熱間鍛造プレスである
ことを特徴とする請求項4、5または6記載のプレス。 - 従動部を吊り上げるバランサーを備えている
ことを特徴とする請求項4、5、6または7記載のプレス。
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