図1に本発明を適用した画像形成装置の概略を示す。画像形成装置100は、カラー画像を形成可能であるカラーレーザプリンタであるが、他のタイプのプリンタ、ファクシミリ、複写機、複写機とプリンタとの複合機等、他の画像形成装置であっても良い。画像形成装置100は、外部から受信した画像情報に対応する画像信号に基づき画像形成処理を行なう。画像形成装置100は、一般にコピー等に用いられる普通紙の他、OHPシートや、カード、ハガキ等の厚紙や、封筒等の何れをも記録材であるシート状の記録媒体として画像形成を行なうことが可能である。
画像形成装置100は、イエロー、マゼンタ、シアン、ブラックの各色に色分解された色にそれぞれ対応する像としての画像を形成可能な像担持体としての感光体ドラム20Y、20C、20M、20BKを並設したタンデム構造を採用している。感光体ドラム20Y、20C、20M、20BKは、画像形成装置100の本体99の内部のほぼ中央部に配設された無端のベルトである中間転写体としての記録材搬送部材である転写ベルト11の外周面側すなわち作像面側に位置している。感光体ドラム20Y、20C、20M、20BKがそうであるように、以下、符号の末尾にY、C、M、BKが付されたものはそれぞれ、イエロー、シアン、マゼンタ、ブラックの画像形成を行うための構成であることを示すこととする。
転写ベルト11は、各感光体ドラム20Y、20C、20M、20BKに対峙しながら反時計方向である矢印A1方向に移動可能となっており、表面移動部材として機能する。各感光体ドラム20Y、20C、20M、20BKに形成された可視像すなわちトナー像は、矢印A1方向に移動する転写ベルト11に対しそれぞれ重畳転写され、その後、記録媒体としての転写紙Sに一括転写されるようになっている。転写ベルト11は、その下側の部分が各感光体ドラム20Y、20C、20M、20BKに対向しており、この対向した部分が、各感光体ドラム20Y、20C、20M、20BK上のトナー像を転写ベルト11に転写する1次転写部98を形成している。
転写ベルト11に対する重畳転写は、転写ベルト11がA1方向に移動する過程において、各感光体ドラム20Y、20C、20M、20BKに形成されたトナー像が、転写ベルト11の同じ位置に重ねて転写されるよう、転写ベルト11を挟んで各感光体ドラム20Y、20C、20M、20BKに対向する位置に配設された1次転写ローラ12Y、12C、12M、12BKによる電圧印加によって、A1方向上流側から下流側に向けてタイミングをずらして行われる。
各感光体ドラム感光体ドラム20Y、20C、20M、20BKは、A1方向の上流側からこの順で並んでいる。各感光体ドラム感光体ドラム20Y、20C、20M、20BKはそれぞれ、イエロー、シアン、マゼンタ、ブラックの画像を形成するための、トナー像形成部たる画像ステーション60Y、60C、60M、60BKに備えられている。
画像形成装置100は、4つの画像ステーション60Y、60C、60M、60BKと、各感光体ドラム20Y、20C、20M、20BKの上方に対向して配設され、転写ベルト11を備えたユニットとしての転写ベルトユニット10と、転写ベルト11に対向して配設され転写ベルト11に従動し、連れ回りする転写部材としての2次転写ローラ5と、画像ステーション60Y、60C、60M、60BKの下方に対向して配設された潜像形成手段としての書込ユニットである露光装置たる光走査装置8とを有している。
画像形成装置100はまた、感光体ドラム20Y、20C、20M、20BKと転写ベルト11との間に向けて搬送される転写紙Sを積載した給紙ユニットとしての給紙部であるシート給送装置61と、シート給送装置61から搬送されてきた記録紙Sを、画像ステーション60Y、60C、60M、60BKによるトナー像の形成タイミングに合わせた所定のタイミングで、転写ベルト11と2次転写ローラ5との間の2次転写ニップに向けて繰り出すレジストローラ対4と、転写紙Sの先端がレジストローラ対4に到達したことを検知する図示しないセンサとを有している。
画像形成装置100はまた、トナー像を転写された転写紙Sに同トナー像を定着させるためのベルト定着方式の定着ユニットとしての定着装置6と、定着済みの転写紙Sを本体99の外部に排出する排紙ローラ7と、転写ベルトユニット10の上方に配設され、イエロー、シアン、マゼンタ、ブラックの各色のトナーを充填された、本体99に着脱される着脱部材としてのトナーボトル9Y、9C、9M、9BKと、本体99の上側に配設され排出ローラ7により本体99の外部に排出された転写紙Sを積載する排紙収納部としての排紙トレイ17と、廃トナー等の不要物を収納する廃トナータンク38とを有している。
画像形成装置100はまた、トナーボトル9Y、9C、9M、9BK内のトナーを画像ステーション60Y、60C、60M、60BKのそれぞれに備えられた、現像装置50Y、50C、50M、50BKに供給する図示しないトナー供給機構と、画像形成装置100全体の動作を制御する図示しない制御手段を有している。
転写ベルトユニット10は、転写ベルト11の他に、1次転写ローラ12Y、12C、12M、12BKと、転写ベルト11を巻き掛けられた、駆動部材である駆動ローラ72と、転写入口ローラ73と、クリーニング対向ローラ74と、クリーニング対向ローラ74を転写ベルト11の張力を増加する方向に付勢する付勢手段としてのばね75とを有している。
転写ベルトユニット10はまた、本体99に着脱自在に支持され、駆動ローラ72、転写入口ローラ73、クリーニング対向ローラ74、ばね75等を保持し、転写ベルトユニット10の筐体をなす中間転写ベルトケース14と、中間転写ベルトケース14と一体をなし、転写ベルト11に対向して配設され転写ベルト11上をクリーニングする中間転写ベルトクリーニング装置としてのクリーニング装置13とを有している。
クリーニング対向ローラ74は、ばね75の作用により、転写ベルト11に、転写に適した所定の張力を与える加圧部材としてのテンションローラたる機能を有している。
クリーニング装置13は、詳細な図示を省略するが、転写ベルト11に対向、当接するように配設されたクリーニングブラシとクリーニングブレードとを有しており、転写ベルト11上の残留トナー等の異物をクリーニングブラシとクリーニングブレードとにより掻き取り、除去して、転写ベルト11をクリーニングするようになっている。このクリーニングにより生じた廃トナー等の不要物は、図示しない廃トナー経路を経て廃トナータンク38に収納されるようになっている。
クリーニング装置13は、同図に示した位置に限らず、A1方向において駆動ローラ72より下流側且つ画像ステーション60Yより上流側の位置であればどの位置に配設しても良い。クリーニング装置13は後述するクリーニング装置40と同様の構成とすることもでき、この場合には転写ベルト11は像担持体としての表面移動部材となり、またクリーニング装置13を転写ベルト11とともにプロセスカートリッジを構成すること、たとえば転写ベルトユニット10をプロセスカートリッジとすることで後述するプロセスカートリッジ95Yと同様の利点が得られる。
転写ベルトユニット10は本体99に対して着脱自在に構成され、画像形成装置100の図示しない筐体を構成している、同図紙面手前側に位置するカバーを開き、転写ベルトユニット10を同図における紙面奥側から紙面手前側にスライドさせることで、本体99から取り外すことが可能となっている。転写ベルトユニット10を本体99に装着するときはかかる取り外しの作業と逆の作業を行う。
シート給送装置61は、本体99の下部に配設されており、多数枚の転写紙Sを積載可能な2段の給紙カセット61aと、各給紙カセット61aに積載された転写紙Sのうち最上位の転写紙Sの上面に当接する給紙ローラとしての給送ローラ3とを有しており、何れかの給送ローラ3が反時計回り方向に回転駆動されることにより、給紙カセット61aに積載されている転写紙Sのうち最上位の転写紙Sをレジストローラ対4に向けて給送するようになっている。シート給送装置61を除く画像形成装置100の各構成は画像形成部を構成している。
定着装置6は、ベルトユニット62と、ベルトユニット62に圧接された加圧ローラ63とを有している。ベルトユニット62は、無端状の定着ベルト64と、定着ベルト64を張架しながら無端移動させる定着ローラ65と、定着ローラ65とともに定着ベルト64を巻き掛け内部に図示しない熱源を有する加熱ローラ66とを有している
定着装置6は、トナー像を担持した転写紙をベルトユニット62と加圧ローラ63との圧接部である定着部に挟み込む態様で通すことで、熱と圧力との作用により、担持したトナー像を転写紙の表面に定着するようになっている。
トナーボトル9Y、9C、9M、9BK内のイエロー、シアン、マゼンタ、ブラックの各色のトナーは、トナー供給機構により、所定の補給量だけ、画像ステーション60Y、60C、60M、60BKにそれぞれ備えられた現像装置50Y、50C、50M、50BKに補給される。トナーボトル9Y、9C、9M、9BKは、内部のトナーがなくなると交換される消耗品であり、トナーがなくなったとき等に本体99に脱着され、交換される。
以下、画像ステーション60Y、60C、60M、60BKについて説明するが、画像形成装置100において、画像ステーション60Y、60C、60M、60BKは互いに略同様の構成となっているため、適宜、符号の末尾のY、C、M、BKは省略する。
図2に示すように、画像ステーション60は、感光体ドラム20の周囲に、図中時計方向であるその回転方向B1に沿って、1次転写ローラ12と、クリーニング手段としてのクリーニング装置40と、潤滑性物質供給手段としての潤滑剤塗布装置である潤滑性物質供給装置80と、帯電手段である帯電ユニットとしての帯電装置30と、現像手段としての現像ユニットである現像装置50とを有している。
感光体ドラム20と、クリーニング装置40と、潤滑性物質供給装置80と、帯電装置30と、現像装置50とは一体化されており、プロセスカートリッジ95を構成している。プロセスカートリッジ95は本体99に固定された図示しないガイドレールに沿って本体99に対して、単独で、引き出し自在であるとともに、本体99に押し込むことが可能であり、本体99に対して着脱自在に設置されている。
プロセスカートリッジ95は、本体99に押し込むと、画像形成に適した所定の位置に装填され、位置決めされるようになっている。このようにプロセスカートリッジ化することは、サービスマンやユーザが着脱・交換部品として取り扱うことができるため、メンテナンス性が著しく向上し、大変好ましい。
プロセスカートリッジ95は、感光体ドラム20と、クリーニング装置40と、潤滑性物質供給装置80と、帯電装置30と、現像装置50とのうち、少なくとも感光体ドラム20とクリーニング装置40とが、一体化されることによって構成され、本体99に着脱自在に設置されるユニットである。プロセスカートリッジ95は、本体99から取り出した状態で、これを構成する感光体ドラム20、クリーニング装置40、その他潤滑性物質供給装置80、帯電装置30、現像装置50等が、それぞれ単独で新品と交換可能となっている。このことも、上述と同様にメンテナンス性を向上している。排トナータンク38も、各プロセスカートリッジ95のそれぞれに設けることが可能であり、この場合はこれも単独でプロセスカートリッジ95に対して着脱・交換が可能であるとさらにメンテナンス性が向上する。
帯電装置30は、感光体ドラム20の表面に当接して従動回転する帯電ローラ31と、帯電ローラ31に当接し従動回転する帯電ローラクリーナとしてのクリーニングローラ32とを有している。帯電ローラ31には、直流に交流成分のバイアスを重畳印加する図示しない電圧印加手段が接続されており、感光体ドラム20と対向する帯電領域において、感光体ドラム20の表面を除電すると同時に、所定の極性に帯電するようになっている。
クリーニングローラ32は帯電ローラ31に従動回転することで帯電ローラ31をクリーニングするようになっている。
このように、本形態では、接触ローラを用いた帯電システムを採用しているが、帯電システムは、近接ローラを用いたものであっても良いし、コロトロン方式を採用したものであっても良い。
1次転写ローラ12には、図示しない電源を備えたバイアス印加手段とバイアス制御手段とによって1次転写に適した所定の電圧が印加されるようになっている。1次転写ローラ12は、転写ベルト11の外周面を感光体ドラム20に弱圧接させている。なお、1次転写ローラ12Y、12C、12Mは図示しない揺動機構によって感光体ドラム20Y、20C、20Mに接離する向きに一体で揺動されるようになっており、カラー画像が形成されないときすなわちモノクロ画像を形成するとき等は感光体ドラム20Y、20C、20Mから離間する向きに揺動され転写ベルト11が感光体ドラム20Y、20C、20Mから離間するようになっている。
図1に示した光走査装置8は、図2に示すように、感光体ドラム20における帯電領域と現像領域との間の領域に、画像情報に応じて光変調されたレーザー光Lを照射して帯電ローラ31により帯電された後の感光体ドラム20の表面を露光し、現像装置50によって各色のトナー像として可視像化される静電潜像を形成するようになっている。
クリーニング装置40は、感光体ドラム20に対向する部分に開口部を有するクリーニングケース43と、感光体ドラム20に当接し感光体ドラム20上の転写残トナーである残留トナー、キャリア、紙粉等の不要な付着物すなわち不要物を掻き取ってクリーニングする回転ブラシとしてのブラシローラ45と、感光体ドラム20の回転方向B1において、ブラシローラ45よりも下流側の位置で感光体ドラム20に当接し感光体ドラム20上の不要物を掻き取ってクリーニングするためのブレードとしてのクリーニング部材であるクリーニングブレード41とを有している。
クリーニング装置40はまた、クリーニングケース43に回転自在に支持され、ブラシローラ45、クリーニングブレード41によって掻き取られ、また除去されることによって生じた廃トナー等の不要物を廃トナータンク38に向けて搬送するための図示しない廃トナー経路の一部を構成する排出スクリュ42とを有している。
クリーニング装置40はまた、クリーニングブレード41を支持した支持部材としてのブレードホルダ44と、ブレードホルダ44を変位可能にクリーニング装置40本体側のクリーニングケース43に支持する支持部46と、クリーニングブレード41が感光体ドラム20に圧接するようにブレードホルダ44を介してクリーニングブレード41を感光体ドラム20に向けて付勢する付勢手段47とを有している。
クリーニング装置40のその余については後述する。
潤滑性物質供給装置80は、感光体ドラム20の表面に対向する側のみ開口したケース81と、ケース81内に収容されバー状に成形された固形潤滑剤である潤滑剤としての潤滑性物質82と、潤滑性物質82をケース81に対して支持した潤滑剤支持部材85とを有している。
潤滑性物質供給装置80はまた、潤滑性物質82及び感光体ドラム20の両方に接触して潤滑性物質82を感光体ドラム20に塗布して供給するための塗布部材としてのファーブラシであるブラシローラ83と、潤滑性物質82をブラシローラ83に押圧する弾性部材としての加圧バネであるバネ84とを有している。
潤滑性物質供給装置80はまた、B1方向においてブラシローラ83の当接位置より下流側且つ帯電領域より上流側で感光体ドラム20にその先端部が当接した塗布ブレード86と、塗布ブレード86をケース81に対して支持した塗布ブレードホルダ87とを有している。
このような構成の潤滑性物質供給装置80は、ブラシローラ83をその軸を中心に回転させて潤滑性物質82を掻き削って一旦汲み上げ、掻き削った粉末状の潤滑性物質82を感光体ドラム20表面との当接位置まで担持搬送して感光体ドラム20に塗布して供給し、感光体ドラム20に供給された潤滑性物質82は塗布ブレード86によって感光体ドラム20表面上で均され均一な厚さとされるようになっている。
経時で潤滑性物質82がブラシローラ83に掻き削られて減少しても、バネ84が所定の圧力で潤滑性物質82をブラシローラ83に押圧しているので、潤滑性物質82は微量となっても常に均一にブラシローラ83に汲み上げられ、潤滑性物質82は完全に消費されるまでブラシローラ83に接触する。
潤滑性物質82によって感光体ドラム20表面に形成される皮膜は、近接放電による感光体ドラム20表面の劣化を防止する機能を有しており、潤滑性物質供給装置80は放電劣化防止手段として機能するものである。ここでいう劣化とは、放電による感光体ドラム20の磨耗及びこの磨耗の加速、ならびに感光体ドラム20表面の活性化の両方を指している。
また、かかる皮膜は、感光体ドラム20とクリーニングブレード41とが互いに摩擦しあうことによって生じる磨耗等の劣化も防止し、潤滑性物質供給装置80は摩擦劣化防止手段として機能するものである。
このように、潤滑性物質供給装置80は、潤滑性物質82を感光体ドラム20表面に塗布することにより、これら劣化のすべてを解消している。
かかる機能を良好に果たすために、潤滑性物質82としては、例えば、オレイン酸鉛、オレイン酸亜鉛、オレイン酸銅、ステアリン酸亜鉛、ステアリン酸コバルト、ステアリン酸鉄、ステアリン酸銅、パルミチン酸亜鉛、パルミチン酸銅、リノレン酸亜鉛等の脂肪酸金属塩類や、ポリテトラフルオロエチレン、ポリクロロトリフルオロエチレン、ポリフッ化ビニリデン、ポリトリフルオロクロルエチレン、ジクロロジフルオロエチレン、テトラフルオロエチレン−エチレン共重合体、テトラフルオロエチレン−オキサフルオロプロピレン共重合体等のフッ素系樹脂が挙げられるが、特に感光体ドラム20の摩擦係数を低減する効果の大きいステアリン酸金属塩、さらにはステアリン酸亜鉛が一層好ましい。
現像装置50は、感光体ドラム20に対向する部分に開口部を有する現像ケース55と、かかる開口部から感光体ドラム20に臨むよう感光体ドラム20に近接対向して配設された現像剤担持体としての現像ローラ51と、現像ローラ51上の現像剤を一定の高さに規制する規制部材としてのドクタである現像ブレード52とを有している。
現像装置50はまた、現像ケース55の下部に互いに対向するように配設され、互いに逆方向に回転駆動されることで現像剤を攪拌するとともに現像ローラ51に現像剤を供給するための現像剤供給部材としての第1搬送スクリュ53及び第2攪拌スクリュ54と、第1搬送スクリュ53と第2搬送スクリュ54との間に設けられた仕切り壁57と、仕切り壁57によって仕切られ第1搬送スクリュ53、第2搬送スクリュ54をそれぞれ収容した第1収容室58、第2収容室59とを有している。
現像装置50はまた、トナー供給機構によりトナーボトル9Y、9C、9M、9BK内のトナーを供給され一時的に蓄えるトナーホッパー39と、第1収容室58の底部に備えられ現像剤中のトナー濃度を測定するトナー濃度検知手段としてのTセンサであるトナー濃度検知センサ56と、直流成分の現像バイアスを印加する図示しないバイアス印加手段と、現像ローラ51を駆動する図示しない現像駆動手段と、第1搬送スクリュ53と第2搬送スクリュ54とを互いに逆方向に回転駆動する図示しない搬送駆動手段等を有している。
図示を省略するが、現像ローラ51は、その内部に配設された磁界発生手段としてのマグネットローラと、マグネットローラを内包し現像駆動手段により図中反時計方向であるC1方向に駆動される非磁性の現像スリーブとを有している。
マグネットローラは、現像ケース55に固定されたプラスチックローラと、プラスチックローラに埋め込まれた複数の磁極を形成する複数の磁石であるマグネットブロックとを有している。
現像スリーブは、現像ケース55及びマグネットローラに回転自在に支持されている。現像スリーブは、バイアス印加手段により感光体ドラム20との間に適当な大きさの現像バイアスを印加される。現像領域における現像スリーブと感光体ドラム20とのギャップすなわち現像ギャップは、0.3±0.05mmとなるように設定されている。
現像ブレード52は、SUS材料で形成されている。現像スリーブと現像ブレード52とのギャップすなわちドクターギャップは、0.5±0.04mmとなるように設定されている。
現像剤は、トナーとキャリアとを含む2成分現像剤である。現像剤について説明すると次の通りである。なお、ここではキャリアについてのみ説明し、トナーについては後に詳しく述べる。
キャリアは、芯材と、芯材表面に形成された樹脂被覆層とを有している。樹脂被覆層の層中には、基体粒子表面に二酸化スズ層と二酸化スズ層上に設けた二酸化スズを含む酸化インジウム層とからなる導電性被覆層を設けてなる導電性粒子が含有されている。
導電性粒子は、その吸油量が10〜300ml/100gになるように形成されている。
なお、導電性粒子の吸油量は、JIS−K5101「顔料試験方法」における「21吸油量」に準じて測定したものである。
導電性粒子の基体粒子としては、酸化アルミニウム、二酸化チタン、酸化亜鉛、二酸化ケイ素、硫化バリウム、酸化ジルコニウムのうち少なくとも1種類を用いることができる。導電性粒子の粉体比抵抗は、200Ω・cm以下になるように形成されている。
樹脂被覆層の層中には、導電性粒子の他に、非導電性粒子が含有されている。
キャリアの体積固有抵抗は、10〜16Log(Ω・cm)の範囲になるように形成されている。
キャリアは、基体粒子の表面に、二酸化スズ層、二酸化スズを含む酸化インジウム層を順次形成しているために、導電層が粒子表面に均一かつ強固に固定される。
樹脂被覆層中に含有された導電性粒子の吸油量が、10ml/100g未満の場合には、被覆樹脂に対する相溶性が不充分になって密着性が低下して、分散性も低下するために、長期にわたりキャリアの抵抗調整をおこなうことができなくなるおそれがあり、300ml/100gを超える場合には、結着樹脂との密着性が強くなり過ぎて、導電性粒子表面を覆ってしまうために、抵抗調整を充分におこなうことができなくなってしまうおそれがあるが、本形態において、樹脂被覆層中に含有された導電性粒子は、その吸油量が10〜300ml/100gになるように形成されているため、このようなことが防止される。
このように構成されたキャリアは、抵抗調整剤としてカーボンブラック等を含有させることなく経時においても安定的に抵抗調整がされて、キャリア付着等を防止するとともに経時においてトナー帯電量を安定させることができる。
キャリアの重量平均粒径は、20〜65μmの範囲にすることが好ましく、本形態では35μmになるように形成されている。キャリアの重量平均粒径が20〜65μmの範囲にすることが好ましいのは、20μmよりも小さいときには、キャリアの1個当たりに作用する磁力が小さくなるためにキャリア付着が生じてしまい、また、65μmよりも大きいときには、トナーが付着すべき潜像に対してトナーが忠実に付着しにくくなるために、出力画像の粒状性が低下してしまうからである。
現像剤中のトナー濃度は、トナー濃度検知センサ56による検知に基づき、4〜12重量%の範囲内で制御される。現像によるトナーの消費に伴ってトナー濃度が低下し、トナー濃度検知センサ56が、トナー濃度が4%を下回ったことを検知したときに、トナーホッパー39から第2収容室59に所定量のトナーが補給されるものである。
第1搬送スクリュ53、第2搬送スクリュ54は、現像ローラ51の幅方向言い換えると現像ローラ51の長手方向である図2における紙面に垂直な方向に延在するように配設されている。
第1搬送スクリュ53は、搬送駆動手段によって回転駆動されることで、第1収容室58内の現像剤を図3における紙面奥側から手前側へと搬送しながら現像ローラ51に供給する。この点、第1搬送スクリュ53は現像剤供給スクリュとして機能する。第1搬送スクリュ53によって第1収容室58内の端部付近まで搬送された現像剤は、仕切り壁57に形成された図示しない開口部を通って第2収容室59内に進入する。
第2収容室59内において、第2搬送スクリュ54は、搬送駆動手段によって回転駆動されることで第1収容室58から送られてくる現像剤を第1搬送スクリュ53とは逆方向に搬送する。このとき、トナーホッパー39からトナーが補給された場合には、補給されたトナーを現像剤中に攪拌混合しながら搬送を行う。第2搬送スクリュ54によって第2収容室59の端部付近まで搬送された現像剤は、仕切り壁57に設けられたもう一方の図示しない開口部を通って第1収容室58内に戻る。
このようにして供給されたトナーは、第1搬送スクリュ53及び第2搬送スクリュ54によって、現像剤と攪拌搬送されながら攪拌混合され、摩擦帯電され、現像ローラ51に供給され担持される。
現像ブレード52によって現像剤の担持量を規制され層厚を規制された現像ローラ51は、その回転及びバイアス印加手段による現像バイアスにより、現像ローラ51と感光体ドラム20との間の現像領域に、現像ブレード52によって量を適量とされた現像剤を運び、現像剤中の当該色のトナーが感光体ドラム20の表面に形成された静電潜像に静電的に移行して、静電潜像を当該色のトナー像として可視像化するようになっている。
現像によりトナーを消費した現像剤は、現像ローラ51の回転に伴って現像装置50内に戻される。
本形態では、バイアス印加手段により直流成分の現像バイアスを印加しているが、現像バイアスは、交流成分であっても良いし、直流成分に交流成分を重畳したものであっても良い。
このように、現像装置50においては、第1搬送スクリュ53及び第2搬送スクリュ54によって攪拌搬送された現像剤は、マグネットローラの磁力により汲み上げられて現像スリーブに担持され、感光体ドラム20と対向する現像領域まで搬送され、感光体ドラム20上の潜像にトナーが供給されて現像すなわち可視像化が行われる。現像後のトナーを消費した現像剤は、現像スリーブ表面から第1収容室58内に解放され、第1搬送スクリュ53及び第2搬送スクリュ54により第1収容室58、第2収容室59内の現像剤と攪拌され、再び現像スリーブ表面に汲み上げられるというサイクルを繰り返す。
以上のような構成の各画像ステーション60において、感光体ドラム20は、プリント命令をトリガーに開始するB1方向への回転に伴い、帯電ローラ31により表面を一様に帯電され、入力されたカラー画像データに対応して光変調された光走査装置8からのレーザー光Lの露光走査により各色に対応した静電潜像を形成され、この静電潜像を現像装置50により当該色のトナーにより現像され、当該色のトナー像が得られる。このトナー像と逆極性の転写電圧が1次転写ローラ12により印加され転写電界が形成されるとともに、同1次転写ローラ12により転写ベルト11を弱圧接することで1次転写ニップが形成され、これら転写電界と弱圧接力の作用によって、当該色のトナー像がA1方向に移動する転写ベルト11に効率よく1次転写される。転写ベルト11は、転写後に残留したトナーを含む不要物を後述するようにクリーニング装置40により良好に除去され、帯電ローラ31による次の除電、帯電に供される。
各感光体ドラム20において同様に当該色のトナー像が形成等され、形成された各色のトナー像は、1次転写ローラ12C、12M、12BKにより、A1方向に移動する転写ベルト11上の同じ位置に順次1次転写される。転写ベルト11上に重ね合わされ積層された各色のトナー像は、転写ベルト11のA1方向の回転に伴い、2次転写ローラ5との対向位置である2次転写ニップまで移動し、各トナー像と逆極性の転写電圧が2次転写ローラ5に印加されて形成された転写電界により転写紙Sに2次転写される。
転写ベルト11と2次転写ローラ5との間に搬送されてきた転写紙Sは、シート給送装置61から給送ローラ3によって繰り出されてフィードされ、レジストローラ対4によって、センサによる検出信号に基づいて、転写ベルト11上のトナー像の先端部が2次転写ローラ5に対向するタイミングで送り出されたものである。
転写紙Sは、すべての色のトナー像が積層された状態で転写され、このトナー像を担持すると、定着装置6に進入し、加圧ローラ63とベルトユニット62との間の定着部を通過する際、熱と圧力との作用によりトナー像を定着され、転写紙S上にカラー画像が形成される。定着装置6を通過した定着済みの転写紙Sは、排紙ローラ7を経て、本体99の上部の排紙トレイ17上にスタックされる。一方、2次転写を終えた転写ベルト11は、クリーニング装置13に備えられたクリーニングブラシ及びクリーニングブレードによって掻き取られて除去されることでクリーニングされ、次の画像形成に備える。
このような画像形成工程において、イエロー、シアン、マゼンタ、ブラックの各色のトナーは、現像装置50Y、50C、50M、50BKにおいてそれぞれ消費されるため、消費に応じて、上述のように、トナー供給機構が、トナーボトル9Y、9C、9M、9BK内のイエロー、シアン、マゼンタ、ブラックの各色のトナーを、所定の補給量だけ、それぞれ現像装置50Y、50C、50M、50BKに供給するようになっている。
図3以下を参照してクリーニング装置40について詳しく述べる。
図3ないし5に示すように、クリーニングブレード41は、感光体ドラム20の回転軸方向である図3、4において紙面に垂直な方向すなわちB1方向に垂直なY方向に延在する長尺な板状の部材である。図5に示すように、クリーニングブレード14は、荷重を受けない状態において辺の長さがT1、T2、T3の直方体形状となっている。クリーニングブレード41は、その長尺方向であるY方向に伸びる、感光体ドラム20に対向する先端部側の端部に位置する角によって構成された1つの辺Pを、感光体ドラム20に対する当接辺とし、感光体ドラム20表面に圧接しており、感光体ドラム20の表面上の不要物を除去する。なお、クリーニングブレード41は、感光体ドラム20に塗布された潤滑性物質82を、不要物とともに感光体ドラム20表面から除去すると同時に、感光体ドラム20表面に引き伸ばし、潤滑剤の皮膜を形成する機能も有する。
クリーニングブレード41は、辺Pを挟んで感光体ドラム20に対向する2つの面41a、41bを有している。よって辺Pは面41a、41bの稜線となっている。面41a、41bのうちB1方向において上流側が面41aであり下流側が面41bである。面41a、41bはともに辺Pを長さT3の長辺としているとともに、短辺がそれぞれ長さT1、T2となっている。
本形態においてT1=2mm、T2=7mm、T3=325mmとなっているが、T1、T2、T3の長さはこれに限らない。ただし、T3>T2≧T3を満たすのが好ましく、さらにT1≧1mm以上でT1≦T2/2を満たすのが好ましい。
クリーニングブレード41は弾性部材であって、他の弾性材料に比べて感光体ドラム20に対する磨耗性及び自身の耐摩耗性に優れたポリウレタンゴム製である。
ブレードホルダ44は、B1方向に沿って感光体ドラム20に対向する2つの面44a、44bを有している。面44a、44bのうちB1方向において上流側が面44aであり下流側が面44bである。ブレードホルダ44は、クリーニングブレード41の、面41bと反対側の面41cを、面44bで保持している。
ブレードホルダ44は、鉄を主成分とする金属材料で形成され、感光体ドラム20の回転駆動中を含め、クリーニングブレード41が感光体ドラム20との圧接により感光体ドラム20から力を受けても、クリーニングブレード41のひずみを十分に抑制するのに必要な高い剛性を備えている。ブレードホルダ44はクリーニングブレード41を保持する点において弾性体保持部材として機能している。
支持部46は、ブレードホルダ44と一体成形されており、Y方向に突設された係合部としての軸48を有している。軸48は、クリーニングケース43に設けられた被係合部としての軸受49に回転可能に支持されている。軸受49による軸48の支持位置、言い換えると支持部46によるクリーニングブレード41の支持位置は、辺Pにおける感光体ドラム20の接線Tに垂直な法線Nに対し、B1方向において下流側となっている。よって、クリーニングブレード41はカウンタ方式で感光体ドラム20に当接している。
図3ないし5において、X方向は接線Tに平行な方向、Z方向は法線Nに平行な方向を示している。X方向、Y方向、Z方向は互いに垂直である。図3、図4において、符号Oは感光体ドラム20の回転中心位置を示しており、符号Gは、クリーニングブレード41、ブレードホルダ44及び支持部46を一体の部材とみなしたときの重心を示している。
付勢手段47は、Y方向において並設され一端がクリーニングケース43に固定された付勢部材としての3つのバネ47aと、その一方の面にこれらのバネ47aの他端を固定しているとともにその他方の面がブレードホルダ44に固定された付勢部としての板47bと、各バネ47aの一端を接続され付勢手段47による付勢力を調整するための付勢力調整手段47cとを有している。
付勢手段47は、一辺Pが感光体ドラム20をZ方向に沿って押圧する力Fpが、支持部46、具体的には軸48がクリーニング装置40本体側の部材であるクリーニングケース43をクリーニング装置40本体側の部材である軸受49においてZ方向に沿って押圧する力Fqよりも大きくなる位置でブレードホルダ44を介してクリーニングブレード41を付勢している。この位置は、重心Gを通り法線Nに平行な図示しない直線よりもB1方向において上流側の位置となっている。付勢手段47はY方向において3つのバネ47aを並設されていることにより、Y方向において均一な力で付勢を行う。
ブレードホルダ44によるクリーニングブレード41の支持態様について述べる。
かりに、クリーニングブレード41の、辺P側の端部の自由長が長い、あるいはゼロであるとすると、既に述べたように、前者の場合は、クリーニングブレード41を高い圧力で感光体ドラム20に当接させようとしてもクリーニングブレード41が撓んでクリーニングブレード41と感光体ドラム20との接触面積が増大して感光体ドラム20に対するクリーニングブレード41の当接圧がかえって低下し得るという問題があり、後者の場合は、感光体ドラム20が偏心して回転する場合などにおけるクリーニングブレード41の追従性が低く、クリーニングブレード41がそのY方向において均一に感光体ドラム20に当接せず、Y方向及びB1方向における均一なクリーニング性能を担保することが難しくなり得るという問題がある。
そこで、図6、図7に示すように、ブレードホルダ44は、感光体ドラム20に当接した状態においてクリーニングブレード41の反りを規制するように、クリーニングブレード41を、辺P側の端部が略自由長ゼロとなるように、クリーニングブレード41の基端部側を支持し、辺P側の端部のわずかな部分を除く略全体にわたってクリーニングブレード41を支持しているとともに、かかる端部は、感光体ドラム20に非当接であるときには図7(a)に示すようにブレードホルダ44から離間し、感光体ドラム20に当接しているときには図7(b)に示すようにかかる基端部側から辺Pにわたって略Z方向にわずかに反ってブレードホルダ44に当接するようになっている。略自由長ゼロとなっている部分以外に反りが生じることはない。面41aは、面44aと略面一になっている。なお、図6、図7においては、クリーニングブレード41の略自由長ゼロの部分を実際よりも誇張して長く図示している。
これにより、クリーニングブレード41の大きな反りが規制され、かつブレードホルダ44がクリーニングブレード41の辺P側の端部のわずかに反った部分に当接してバックアップ機能を発揮し、クリーニングブレード41が実質的に自由長ゼロの部材として機能することで、付勢手段47によって付与される付勢力が、面圧低下を発生しないように辺Pに作用し、感光体ドラム20に付着しているトナーが後述するよう小粒径化、球形化されていても、良好なクリーニング性能を発揮するとともに、感光体ドラム20に対する追従性を発揮し、辺Pにおける当接圧Fpの均一化及び感光体ドラム20に対する密着性を向上し、クリーニングブレード41がそのY方向において均一に感光体ドラム20して、Y方向及びB1方向における均一なクリーニング性能を担保する。
クリーニングブレード41が感光体ドラム20に非当接であるときの、クリーニングブレード41の辺P側の端部における略自由長ゼロの部分の、長さT1に沿った方向における高さδ1、長さT2に沿った方向における長さδ2について説明する。
この隙間の高さδ1、長さδ2は、使用するクリーニングブレード41の硬度、ヤング率、厚さ、付勢手段47によって付与される付勢力、または感光体ドラム20とクリーニングブレード41との間に働く摩擦力等によって適宜設定することになるが、自由長の長い従来のクリーニングブレードのような加圧時の大きな反りが発生する事がなく、クリーニングブレード41の主要な効果である高い圧接力を維持可能な範囲で設定する。
たとえば、ブレードホルダ44に対してクリーニングブレード41を貼り付ける場合、クリーニングブレード41、ブレードホルダ44はY方向における長さが長いことから、Y方向において0.05mm程度のZ方向の高さのバラツキが存在してしまう。このようなバラツキをクリーニングブレード41の辺P側の端部の反りを利用して吸収するためには、0.1mm程度の反りを発生させる必要がある。かかる反りが大きいほどバラツキの吸収が容易になるが、反りが大きいとクリーニングブレード41と感光体ドラム20との接触面積の増大や、これに起因する面圧低下が発生し得るため、かかる反りは必要最小限にする必要がある。
従って、たとえばクリーニングブレード41がJISA硬度で65〜80度であり、また上述のように厚さ2mmのゴムブレードである場合には、δ1=0.1〜1.0mm、δ2=0.5mm〜2.0mm程度の範囲が、高い当接圧を維持したまま、クリーニングブレード41と感光体ドラム20との当接余裕度を高め、結果としてロバストなクリーニング性能を得るのに好適である。
本形態において、クリーニングブレード41が感光体ドラム20に非当接であるときの、クリーニングブレード41の辺P側の端部におけるクリーニングブレード41とブレードホルダ44との離間状態における間隙の形状は、図7(a)に示すように、ブレードホルダ44の面44a側の角部を面取り形状の段差部44lとすることで形成した、面41a、44a側が拡開した楔状となっており、クリーニングブレード41が感光体ドラム20に当接したときには、図7(b)に示すように、クリーニングブレード41の基端部側から辺Pにわたってクリーニングブレード41の辺P側の端部の全体がブレードホルダ44に当接するようになっている。かかる楔状の間隙は、図8に示すように、クリーニングブレード41の面41a側の角部を面取り形状の段差部41lとすることで形成しても良く、この場合も、図7(b)に示したのと同様に、クリーニングブレード41の基端部側から辺Pにわたってクリーニングブレード41の辺P側の端部の全体がブレードホルダ44に当接する。
かかる間隙の形状は、楔状に限らず、図9に示すように、矩形状、言い換えると長方形状であっても良い。同図(a)は、ブレードホルダ44側に方形状の段差部44lを設けることでかかる矩形状の間隙を形成した例を示しており、同図(b) は、クリーニングブレード41側に方形状の段差部41lを設けることでかかる矩形状の間隙を形成した例を示している。図示しないが、かかる矩形状の間隙は、段差部41lと段差部44lとの両方を設けて形成しても良い。このようにかかる間隙を矩形状にした場合、クリーニングブレード41が感光体ドラム20に当接したときには、かかる間隙の、クリーニングブレード41の基端部側の僅かな部分ではクリーニングブレード41とブレードホルダ44とは離間した状態が残るものの、かかる基端部側から辺Pにわたってクリーニングブレード41の辺P側の端部のほぼ全体がブレードホルダ44に当接する。
かかる離間状態は、図10に示すように、クリーニングブレード41とブレードホルダ44とを一体化するための一体化層としての接着層36によって形成しても良い。従来より、クリーニングブレード41とブレードホルダ44との一体化には接着剤を用いたホットメルト法による接着が一般的に用いられているため、これに改良を加え、面41a、44a側に接着剤の非塗布領域を形成するとともに、接着剤の厚さを利用して、かかる離間状態を形成する。なお、クリーニングブレード41とブレードホルダ44との一体化は、ホットメルト法を用いない接着剤による接着によって行っても良い。また接着層36は両面テープによって構成しても良い。
図7ないし図9等に示した構成例では、クリーニングブレード41とブレードホルダ44との一体化は、また、クリーニングブレード41の接着面全体あるいは一部に接着剤を塗ってこれらを互いに接着することによって行っている。接着剤を用いる接着にあたってホットメルト法を用いるか否かは適宜選択される。図7ないし図9等に示した構成例でも、クリーニングブレード41とブレードホルダ44との一体化を両面テープを用いて行っても良い。
ただし、いずれの構成例でも、少なくとも、クリーニングブレード41が感光体ドラム20に非当接であるときにおける、クリーニングブレード41とブレードホルダ44との間の上述の間隙と、これらを密着させるべき箇所との境界領域には固着処理を施すことが望ましい。この境界領域において固着を行うことにより、感光体ドラム20の回転駆動中にクリーニングブレード41と感光体ドラム20との間の摩擦力が何らかの要因で変化してもクリーニングブレード41のバタツキを安定して防止し、クリーニング性を担保するためである。クリーニングブレード41とブレードホルダ44との一体化は、適宜上述の方法以外の方法で行っても良い。
ところで、クリーニングブレード41が感光体ドラム20に非当接であるときにおける、クリーニングブレード41とブレードホルダ44との間の上述の間隙を設けると、上述のように、クリーニングブレード41のバックアップ機能を発揮し、付勢手段47によって付与される付勢力が、面圧低下を発生しないように辺Pに作用し、良好なクリーニング性能が発揮されるとともに、感光体ドラム20に対するある程度の追従性を発揮し、Y方向及びB1方向における均一なクリーニング性能が担保されるが、たとえば、部品精度、組付け精度が悪い場合には、クリーニングブレード41と感光体ドラム20との距離が、Y方向の一端側と他端側とで異なり、Y方向においてクリーニングブレード41と感光体ドラム20との当接状態が適切な状態とならず、極端な場合、Y方向においてクリーニングブレード41と感光体ドラム20とが当接しない箇所が発生し得る。
そこで、クリーニング装置40では、上述の間隙のみならず、図4、図5、図11に示すように、軸受49による軸48の支持に自由度を持たせ、クリーニングブレード41及びブレードホルダ44をクリーニングケース43に対して変位可能としており、また、上述のように、付勢手段47により押圧力Fpが押圧力Fqよりも大きくなるようにクリーニングブレード41を付勢している。
軸受49による軸48の支持言い換えると軸48と軸受49との係合に自由度を持たせ、クリーニングブレード41及びブレードホルダ44をクリーニングケース43に対して変位可能とした構成について説明する。
図4、図5、図11に示すように、この構成は、クリーニングブレード41と感光体ドラム20との距離のY方向における不均一性を解消ないし抑制することを主目的とするため、かかる自由度が少なくともZ方向において備えられるよう、軸受49は、軸48を少なくともZ方向での自由度を持って、言い換えるとZ方向でガタを生じるように、支持している。
軸受49において軸48を支持する軸孔の形状としては、Z方向と略平行な方向に長軸を有する長孔形状、丸孔形状等が挙げられ、本形態では前者を採用している。
軸48はステンレス鋼の丸棒であり、高い剛性を有している。図11に示すこの丸棒の直径Φ1は、15±0.05[mm]である。通常、軸48と軸受49との係合でガタが生じないように構成する場合には、軸受49の軸孔は丸孔形状であり、その直径Φ2は15.10±0.05[mm]となるが、本形態では、軸受49の軸孔の形状を長孔形状とするため、その短軸の長さL1を15.10±0.05[mm]とし、長軸の長さL2を15.65±0.05[mm]としている。L2をL1より0.5[mm]大きくしたのは、クリーニングブレード41、ブレードホルダ44、軸48、軸受49等の寸法精度や、クリーニングブレード41とブレードホルダ44との貼付け精度や、感光体ドラム20とクリーニング装置40との位置精度のバラツキ等の公差を積み上げると、積み上げ公差が±0.5[mm]となるためである。そして、積み上げ公差を±0.5[mm]としたとき、長軸上で、軸48が最上位にあるときの軸48の中心と軸48が最下位にあるときの軸48の中心との間隔が、積み上げ公差に+αした0.65±0.05[mm]となるように、L2を15.65±0.05[mm]とした。
このようにして、軸48が自由度を持って軸受49に係合し、支持されるので、たとえば図12に示すように、クリーニングブレード41が感光体ドラム20に圧接する状態において、軸受49による軸48の支持位置は、クリーニングブレード41が感光体ドラム20に均一に圧接するように、上述した公差の範囲で、Y方向における一方側、他方側のそれぞれにおいて変化する。よって、クリーニングブレード41が感光体ドラム20に均一に圧接するための、軸受49による軸48の支持位置が、Y方向における一方側(同図(a)参照)、他方側(同図(b)参照)において互いに異なっていても、かかる支持位置の違いが上述した公差の範囲であれば、軸48と軸受49との係合位置が随時変化し、クリーニングブレード41は感光体ドラム20に対しY方向及びB1方向において均一な当接状態を維持される。
軸受49の軸孔の形状がZ方向に長い長孔形状であることにより、軸48はX方向で軸受49の内縁に接触した状態で係合しており、辺Pは押圧力Fpに影響するZ方向に変位しているため、感光体ドラム20の駆動時において、クリーニングブレード1のB1方向への不要な変位や振動が効果的に抑制される。
上述のように、軸48及びブレードホルダ44は、高い剛性を有しており、ねじれや歪などが生じ難く、クリーニングブレード41と感光体ドラム20との間の位置精度が適切に保たれ、クリーニング不良が生じたり、感光体ドラム20やクリーニングブレード41が損傷したりすることが防止ないし抑制されている。なお、軸48はこのような高い剛性を有するものであれば、ステンレス鋼のみならず、鉄を主成分とする他の金属材料やチタニウムを主成分とする金属材料などであっても良い。
図13に示すように、軸受49において軸48を支持する軸孔の形状を丸孔形状とする場合には、その直径Φ2は、上述したのと同様の理由により、L2と同じ15.60±0.05[mm]とする。なお、軸48の曲率と軸受49の軸孔の曲率とは、同じでも構わないし、軸48の曲率の方が軸受49の長孔の曲率よりも大きくなるようにしても構わない。
その他、軸48を自由度を持って支持するために、軸受49をポリウレタンゴムその他の弾性体によって構成してもよい。この場合には、軸受49による軸48の支持位置の変動を、軸受49の変形によって生じさせる。
以上の説明では、軸48をクリーニングブレード41側に設け、軸受49をクリーニングケース43側に設けたが、軸受49をクリーニングブレード41側に設け、軸48をクリーニングケース43側に設けても良い。
付勢手段47により押圧力Fpが押圧力Fqよりも大きくなるようにクリーニングブレード41を付勢している構成について説明する。
かかる構成は、クリーニングブレード41を、辺Pを中心として回転可能な状態で支持し、辺Pを回転軸としてクリーニングブレード41を感光体ドラム20に対して当接させ、軸受49による軸48の支持位置の変動を生じやすくし、クリーニングブレード41を感光体ドラム20に対しY方向及びB1方向において均一に当接させた状態に維持することに寄与する。
かりに、図14に示すように、付勢手段47がクリーニングブレード41を付勢している位置を、重心Gを通り法線Nに平行な図示しない直線よりもB1方向において下流側の位置とし、付勢手段47により押圧力Fqが押圧力Fpよりも大きくなるようにクリーニングブレード41を付勢すると、軸48は、軸受49の軸孔の中の、Z方向において感光体ドラム20に最も近接する位置に位置決めされ、クリーニングブレード41は、かかる位置にある軸48を回転軸として回動することとなるため、たとえば図15に示すように、クリーニングブレード41は、Y方向における一方側(同図(a)参照)においては当接するものの他方側(同図(b)参照)においては離間してしまう等の状態となり、感光体ドラム20に対しY方向等において均一に当接させることが難しくなる。
辺Pを回転軸としてクリーニングブレード41を感光体ドラム20に対して当接させるには、既に述べたように、付勢手段47がクリーニングブレード41を付勢している位置を、法線Nに平行な重心Gを通る図示しない直線よりもB1方向において上流側の位置とするが、辺Pを回転軸として機能させるには、付勢手段47がクリーニングブレード41を付勢している位置を法線N上あるいは法線N近傍あるいは法線Nに対してB1方向上流側とすることが望ましい。
付勢力調整手段47cは、クリーニングケース43の図示しないネジ孔に螺合し、先端が各バネ47aの一端に接続された図示しない調整ネジを有している。付勢手段47による付勢力を調整する場合には、治具である図示しない調整棒をクリーニングケース43の外部側から調整ネジに係合させ、調整ネジを回転させることで調整ネジの長さを調整することによって行う。なお、付勢力調整手段47cは付勢手段47に必須の構成ではなく、各バネ47aの一端をクリーニングケース43に固定して取り付けても良い。
付勢手段47によって付与される押圧力Fpの調整について説明する。
図16に、押圧力Fpの測定装置を示す。この測定装置200は、市販のセンサ用コンディショナ「WGA−710B(共和電業製)」及び組み合わせられるロードセル「LMA−A−20N(共和電業製)」である。測定装置200は、ロードセル201を3つ備えており、各ロードセル201は、半円筒形状のセル台202の上に、Y方向におけるセル台202の中心位置と、この中心位置からY方向両端に向けて140[mm]離れた2地点との合計3箇所でそれぞれ固定されている。各ロードセル201には、感光体ドラム20と同じ曲率半径の曲面を有する治具203が載せられる。治具203は、Y方向方向に沿って3つ並べて配置され、各治具203の底面中心に各ロードセル201がそれぞれセットされた状態とされる。
クリーニングブレード41は、治具203との位置関係が感光体ドラム20との位置関係と同じ関係となるように、測定装置200にセットされる。
測定装置200を用いて押圧力Fpを調整する場合、画像形成装置100においてクリーニング装置40が組み付けられた状態のプロセスカートリッジ95に、感光体ドラム20に代えて測定装置200を取り付ける。具体的には、感光体ドラム20の駆動軸を支持するための支持部を利用して、3つのロードセル201が固定されたセル台202及び3つの治具203をプロセスカートリッジ95に取り付ける。このとき、辺Pとロードセル201とを結ぶ仮想線が治具203の底面に対して垂直になるように、セットする。そして、各治具203を介して加えられた荷重を各ロードセル201で検出し、測定装置200に接続されたセンサ用コンディショナ204に表示される値を見ながら、調整ネジを調節して押圧力Fpを調整する。
なお、測定に際しては、事前に、規定の重りを各治具203の上に載せ、センサ用コンディショナ204に表示されるそれぞれの値が同じ値になるように設定したり、センサ用コンディショナ204に表示される値が治具203による荷重をキャンセルした値となるように設定したりする。
押圧力FpがY方向において均一となるように荷重バランスを調整する場合、本実施形態では、センサ用コンディショナ204に表示される各ロードセル201の値のバラツキが±10[g]以内となるように、各調整ネジを回転して調節する。
押圧力Fpを調整する場合、本来的にはクリーニングブレード41と感光体ドラム20表面との当接圧が目標とする値となるように調整すべきであるが、クリーニングブレード41と感光体ドラム20表面とのB1方向における当接幅すなわちニップ幅は測定が困難であることから、一般には、線圧[N/cm]が目標とする値となるように調整される。ここで、「線圧」とは、クリーニングブレード41と感光体ドラム20表面との当接部に働くY方向の単位長さ当たりの力を意味する。具体的な線圧の求め方は、センサ用コンディショナ204に表示される各ロードセル201の値を合算した総荷重を、クリーニングブレード41のY方向長さT3で除算するものである。
本形態では、センサ用コンディショナ204に表示された値の合算値すなわち総荷重が26.0±0.29[N]となるように調整することで、線圧が従来のカウンタ方式において設定される線圧と同程度の線圧、具体的には約0.790[N/cm]となるようにした。
クリーニングブレード41と感光体ドラム20表面との当接幅は、クリーニングブレード41の反りが大きいほど長くなり、また、クリーニングブレード41自体の変形が大きいほど長くなるが、クリーニング装置40では、クリーニングブレード41の反りは上述のようにブレードホルダ44によって規制されてほとんど発生せず、図21に示した従来のカウンタ方式を採用するクリーニング装置におけるブレードの反りと比較すると無視できる程である。したがって、クリーニング装置40において、クリーニングブレード41と感光体ドラム20表面との当接幅は主としてクリーニングブレード41自体のZ方向における圧縮変形による弾性変形のみに依存する。よって、クリーニング装置40では、同図に示した従来のカウンタ方式を採用するクリーニング装置に比べて、クリーニングブレード41と感光体ドラム20表面との当接幅が短くなり、結果として、従来のカウンタ方式のクリーニング装置と比較して、クリーニングブレード41及び感光体ドラム20の摩耗が抑制されるとともに、球形トナーをクリーニング可能な高面圧が付加される。
クリーニング装置40によれば、クリーニングブレード41と感光体ドラム20表面との当接幅を上述したように短くし、従来のカウンタ方式のクリーニング装置と同程度の線圧でクリーニングブレード41を感光体ドラム20表面に押しつけても、その当接圧は、従来のカウンタ方式のクリーニング装置よりも高まる。逆に言えば、従来のカウンタ方式のクリーニング装置と同程度の当接圧を得るときに必要となる押しつけ力は、従来のカウンタ方式のクリーニング装置よりも小さくて済む。なお、クリーニングブレード41と感光体ドラム20表面との当接幅は、従来のカウンタ方式のクリーニング装置を用いた場合の当接幅に対してかなり短くなっていることが予測される。したがって、この予測に立てば、従来のカウンタ方式のクリーニング装置における線圧よりもかなり小さな線圧でも、そのクリーニング装置と同程度の当接圧が実現され、同程度の除去性能を発揮し得るものと考えられる。この点も、クリーニングブレード41及び感光体ドラム20の摩耗を抑制するのに効果的である。
クリーニング装置40によれば、従来のカウンタ方式のクリーニング装置よりも、感光体ドラム20に対するクリーニングブレード41の当接圧を高めるのが容易である。したがって、従来のカウンタ方式のクリーニング装置では除去が困難だった小粒径で球形をなしたトナーに対しても、十分な除去性能を発揮し得る。
クリーニングブレード41の反りが実質的には発生しないことにより、環境変動に対するロバスト性も向上する。具体的には次のとおりである。
クリーニングブレードの自由長部分が長い場合のようにクリーニングブレードの反りが発生する構成においては、温湿度によってクリーニングブレードの反りによる力が変化する。例えば、高温高湿環境下でクリーニングブレードを反ったまま放置すると塑性変形してしまい、ヘタリという現象が起こる。こうなると、感光体ドラム20の表面に対するクリーニングブレードの当接圧が低下して、クリーニング性が低下し、クリーニング不良が発生するおそれがある。これに対し、クリーニングブレード41の反りが実質的には発生しないクリーニング装置40では、環境変動に対するロバスト性が向上する。
また、クリーニングブレードの反りが発生するということは、クリーニングブレードが反るだけの自由度をもっていることである。クリーニングブレードの自由度が大きいと、カウンタ方式の場合、クリーニングブレードと感光体ドラム20との摩擦力が高まったときにクリーニングブレードのめくれという深刻な不具合を発生しやすい。これに対し、クリーニングブレード41の反りが実質的には発生しないクリーニング装置40では、クリーニングブレード41のめくれが防止される。
さらに、感光体ドラム20の起動トルクが低減される。詳しくは、上述しているように、クリーニングブレードの反りが発生するということは、クリーニングブレードが反るだけの自由度をもっているということである。感光体ドラムの駆動開始時は摩擦力が大きいため、クリーニングブレードの自由度が大きいと瞬間的に大きく変形してトルクが増大してしまう。これに対し、クリーニングブレード41の反りが実質的には発生しないクリーニング装置40では、感光体ドラム20の駆動開始時のトルク増大が低減される。
図1に示すように、クリーニングブレード41を感光体ドラム20表面に押し付けない状態では、面41bと接線Tとのなす角である当接角θは、約15[°]となるようになっており、クリーニングブレード41は、この状態から、付勢手段47により感光体ドラム20表面に押しつけられるように構成されている(図1参照)。なお、当接角θは、5[°]以上50[°]以下の範囲内で適宜設定される。当接角θが5[°]よりも小さく設定することは感光体ドラム20周りの配置レイアウト上困難であり、当接角θが50[°]よりも大きく設定すると十分な除去性能が得られなくなる可能性が高くなるからである。なお、当接角θの更に好ましい範囲は7〜40°の範囲である。
図17ないし図19に示すように、クリーニングブレード41は、Z方向に圧縮するようにブレードホルダ44に支持しても良い。この構成では、ブレードホルダ44は、クリーニングブレード41の、面41aと反対側の面41dを、面44aで保持している。面41bは、面44bと略面一になっている。またT3>T1≧T2となっている。その余の点では、既に述べた構成と同様であるとともに、すでに述べた構成に適用可能な種々の構成を適宜適用可能である。
その他、ブレードホルダ44によってクリーニングブレード41の面41c、面41dの何れを保持する構成であっても、クリーニングブレード41の形状は、辺Pを有し、クリーニング性能が担保されるのであれば、直方体形状に限らず、どのような立体形状であっても良いし、表面は平面状でなく局面状であっても良い。
画像形成装置100において用いるトナーについて説明する。
クリーニング装置40では高いクリーニング性能を実現し得ることから、トナーは平均円形度が0.940以上、更に0.960以上で0.998以下であっても除去される。
上記のような平均円形度をもつトナーは、乾式粉砕で製造されるトナーであれば熱的又は機械的に球形化処理することで得られる。熱的な球形化処理としては、例えば、アトマイザーなどに熱気流とともにトナー粒子を噴霧するものが挙げられる。また、機械的な球形化処理としては、ボールミル等の混合機に比重の軽いガラス等の混合媒体とともに投入して攪拌するものが挙げられる。ただし、熱的な球形化処理では凝集して粒径の大きいトナー粒子が生成され、機械的な球形化処理では微粉が発生するため、再度の分級工程が必要になる。また、水系溶媒中で製造されるトナーでは、溶媒を除去する工程で強い攪拌を与えることで、形状を制御することができる。
トナーの円形度とは、光学的に粒子を検知して投影面積の等しい相当円の周囲長で除した値である。具体的には、フロー式粒子像分析装置「FPIA−2000(シスメックス社製)」を用いて測定を行う。所定の容器に予め不純固定物を除いた水100〜150[mL]を入れ、分散剤として界面活性剤0.1〜0.5[mL]を加え、更に測定試料0.1〜9.5[g]程度を加える。試料を分散した懸濁液を超音波分散器で約1〜3分間分散処理を行い、分散濃度を3000〜10000[個/μL]にしてトナーの形状及び分布を測定する。円形度は、円形度SR=(粒子投影面積と同じ面積の円の周囲長/粒子投影像の周囲長)で定義され、トナーが真球に近いほど「1」に近い値となる。
円形度の高いトナーは、キャリア又は現像ローラ51の表面において電気力線の影響を受けやすく、静電潜像の電気力線に沿って忠実に現像される。したがって、微小な潜像ドットを再現する際には緻密で均一なトナー配置をとりやすいために細線再現性が高くなる。また、円形度の高いトナーは、その表面は滑らかで適度な流動性をもつために電気力線の影響を受けやすく電気力線に沿って忠実に転移しやすいために転写率も高くなり、高品位の画像を得ることができる。さらに、1次転写ローラ12で転写ベルト11を圧接することで1次転写ニップを形成するとともに、1次転写ローラ12にトナー像と逆極性の転写電圧を印加することにより転写電界を形成し、これらの作用により感光体ドラム20上の各トナー像を転写ベルト11上に一次転写させる際にも、円形度の高いトナーは均一に転写ベルト11に接触し、トナーの接触面積が一様になることで転写率の向上に寄与する。
しかし、トナーの平均円形度が0.93未満では、忠実な現像、転写率の高い転写ができなくなる。これは、トナーが不定形では、トナー表面の帯電が不均一であり、また、重心と帯電の中心がずれるために電界に対して忠実な移動が困難になるためである。
また、トナーの体積平均粒径は、小さい方が細線再現性を向上させることができるために、大きくとも7[μm]以下のトナーを用いることが良い。しかし、粒径が小さくなると現像特性が低下するために、小さくとも3[μm]以上が好ましい。さらに、3[μm]未満では、キャリア又は現像ローラ51の表面に現像されにくい微小粒径のトナーが多くなるために、その他のトナーにおけるキャリアまたは現像ローラ51Yとの接触・摩擦が不十分となり逆帯電性トナーが多くなり、かぶり等の異常画像を形成するため好ましくない。
クリーニング装置40では、体積平均粒径が2[μm]以上であれば、十分な除去性能を発揮でき、特に体積平均粒径が3[μm]以上であればより好適な除去性能を発揮できる。なお、体積平均粒径Dvと個数平均粒径Dnとの比は、1.0〜1.4程度であることがこの好ましい。
トナーの体積平均粒径は、次のようにして測定したものである。
まず、電解水溶液100〜150[mL]中に分散剤として界面活性剤(好ましくはアルキルベンゼンスルホン酸塩)を、0.1〜5[mL]加える。ここで、電解液とは、1級塩化ナトリウムを用いて、約1%NaCl水溶液を調製したもので、ISOTON R−II型(コールターサイエンティフィックジャパン社製)を使用した。これに更に測定試料を2〜20[mg]加え、電解液中に懸濁させて、超音波分散器で約1〜3分間分散処理を行った。上記測定装置により、アパーチャーとして100μmアパーチャーを用いて、上記試料中のトナー粒子の体積及び個数をチャンネルごとに測定して、トナーの体積分布と個数分布とを算出する。
チャンネルとしては、2.00〜2.52[μm];2.52〜3.17[μm];3.1 7〜4.00[μm];4.00〜5.04[μm];5.04〜6.35[μm];6.35〜8.00[μm];8.00〜10.08[μm];10.08〜12.70[μm];12.70〜16.00[μm];16.00〜20.20[μm];20.20〜25.40[μm];25.40〜32.00[μm];32.00〜40.30[μm]の13チャンネルを用いた。
また、トナーは、上述した平均円形度を満たすもののうち、形状係数SF−1が100以上160以下の範囲にあり、形状係数SF−2が100以上160以下の範囲にあるものが好ましい。
図20(a)及び(b)は、トナーの形状を模式的に表した図であり、同図(a)は形状係数SF−1を説明するための説明図であり、同図(b)は形状係数SF−2を説明するための説明図である。
形状係数SF−1は、トナー形状の丸さの割合を示すものであり、下記式(1)で表される。トナーを2次元平面に投影してできる形状の最大長MXLNGの二乗を図形面積AREAで除して、100π/4を乗じた値である。SF−1の値が100の場合トナーの形状は真球となり、SF−1の値が大きくなるほど不定形になる。
SF−1={(MXLNG)2/AREA}×(100π/4)・・・(1)
また、形状係数SF−2は、トナー形状での凹凸の割合を示すものであり、下記式(2)で表される。トナーを2次元平面に投影してできる図形の周長PERIの二乗を図形面積AREAで除して、100π/4を乗じた値である。SF−2の値が100の場合トナー表面に凹凸が存在しなくなり、SF−2の値が大きくなるほどトナー表面の凹凸が顕著になる。
SF−2={(PERI)2/AREA}×(100π/4)・・・(2)
形状係数の測定は、具体的には、走査型電子顕微鏡(S−800:日立製作所製)でトナーの写真を撮り、これを画像解析装置(LUSEX3:ニレコ社製)に導入して解析して計算した。
トナーの形状が球形に近くなると、トナーとの接触が点接触になるために、トナー同士の吸着力が弱くなり、その結果流動性が高くなり、また、トナーと感光体ドラム20との吸着力が弱くなって、転写率が高くなり、感光体ドラム20表面の残留トナーをクリーニングしやすくなる。SF−1とSF−2が大きくなると、形状が不定型になり、トナーの帯電量分布が広くなり、現像が潜像に対して忠実でなくなり、また、転写でも転写電界に忠実でなくなり画像品位が低下する。このため、SF−1は180を越えない方が好ましく、SF−2は180を越えない方が好ましい。
以上のような略球形状のトナーとしては、窒素原子を含む官能基を有するポリエステルプレポリマー、ポリエステル、着色剤、離型剤を含むトナー組成物を水系媒体中で樹脂微粒子の存在下で架橋及び/又は伸長反応させて得られるトナーが好ましい。従来の粉砕型トナーの製法では、円形度、平均粒径、形状係数SF−1、SF−2のどの値と比較しても製造できないか、製造コストや歩留まりの点で重合法で得られたトナーが優位である。
しかし、重合法で得られたトナーの中でも、懸濁重合法や乳化重合法等で得られたトナー形状は円形度、形状係数SF−1、SF−2において、真の球形トナーを得ることが難しい。特に、溶解懸濁法で得られたトナーは球形でもあるが、規則性のない不定形トナーである為画像品質等の点で満足できる品質が得られていない。
次に、上述の窒素原子を含む官能基を有するポリエステルプレポリマー、ポリエステル、着色剤、離型剤を含むトナー組成物を水系媒体中で樹脂微粒子の存在下で架橋及び/又は伸長反応させて得られるトナーの構成材料及び好適な製造方法について詳細する。
(ポリエステル)
ポリエステルは、多価アルコール化合物と多価カルボン酸化合物との重縮合反応によって得られる。
多価アルコール化合物(PO)としては、2価アルコール(DIO)および3価以上の多価アルコール(TO)が挙げられ、(DIO)単独、または(DIO)と少量の(TO)との混合物が好ましい。
2価アルコール(DIO)として好ましいものは、炭素数2〜12のアルキレングリコールおよびビスフェノール類のアルキレンオキサイド付加物であり、特に好ましいものはビスフェノール類のアルキレンオキサイド付加物、およびこれと炭素数2〜12のアルキレングリコールとの併用である。
3価以上の多価アルコール(TO)としては、3〜8価またはそれ以上の多価脂肪族アルコール(グリセリン、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール、ソルビトールなど);3価以上のフェノール類(トリスフェノールPA、フェノールノボラック、クレゾールノボラックなど);上記3価以上のポリフェノール類のアルキレンオキサイド付加物などが挙げられる。
多価カルボン酸(PC)としては、2価カルボン酸(DIC)および3価以上の多価カルボン酸(TC)が挙げられ、(DIC)単独、および(DIC)と少量の(TC)との混合物が好ましい。2価カルボン酸(DIC)としては、炭素数4〜20のアルケニレンジカルボン酸および炭素数8〜20の芳香族ジカルボン酸である。3価以上の多価カルボン酸(TC)としては、炭素数9〜20の芳香族多価カルボン酸(トリメリット酸、ピロメリット酸など)などが挙げられる。
多価アルコール(PO)と多価カルボン酸(PC)の比率は、水酸基[OH]とカルボキシル基[COOH]の当量比[OH]/[COOH]として、通常2/1〜1/1、好ましくは1.5/1〜1/1、さらに好ましくは1.3/1〜1.02/1である。
多価アルコール(PO)と多価カルボン酸(PC)の重縮合反応は、テトラブトキシチタネート、ジブチルチンオキサイドなど公知のエステル化触媒の存在下、150〜280[℃]に加熱し、必要により減圧としながら生成する水を留去して、水酸基を有するポリエステルを得る。
ポリエステルには、上記の重縮合反応で得られる未変性ポリエステルの他に、ウレア変性のポリエステルが好ましく含有される。ウレア変性のポリエステルは、上記の重縮合反応で得られるポリエステルの末端のカルボキシル基や水酸基等と多価イソシアネート化合物(PIC)とを反応させ、イソシアネート基を有するポリエステルプレポリマー(A)を得、これとアミン類との反応により分子鎖が架橋及び/又は伸長されて得られるものである。
多価イソシアネート化合物(PIC)としては、脂肪族多価イソシアネート、脂環式ポリイソシアネート、芳香族ジイソシアネート、芳香脂肪族ジイソシアネート、イソシアネート類及び上記ポリイソシアネートをフェノール誘導体、オキシム、カプロラクタムなどでブロックしたもの;およびこれら2種以上の併用が挙げられる。
多価イソシアネート化合物(PIC)の比率は、イソシアネート基[NCO]と、水酸基を有するポリエステルの水酸基[OH]の当量比[NCO]/[OH]として、通常5/1〜1/1、好ましくは4/1〜1.2/1、さらに好ましくは2.5/1〜1.5/1である。
イソシアネート基を有するポリエステルプレポリマー(A)中の多価イソシアネート化合物(PIC)構成成分の含有量は、通常0.5〜40[wt%]、好ましくは1〜30[wt%]、さらに好ましくは2〜20[wt%]である。
イソシアネート基を有するポリエステルプレポリマー(A)中の1分子当たりに含有されるイソシアネート基は、通常1個以上、好ましくは、平均1.5〜3個、さらに好ましくは、平均1.8〜2.5個である。
次に、ポリエステルプレポリマー(A)と反応させるアミン類(B)としては、2価アミン化合物(B1)、3価以上の多価アミン化合物(B2)、アミノアルコール(B3)、アミノメルカプタン(B4)、アミノ酸(B5)、およびB1〜B5のアミノ基をブロックしたもの(B6)などが挙げられる。
2価アミン化合物(B1)としては、芳香族ジアミン、脂環式ジアミン及び脂肪族ジアミンなどが挙げられる。
3価以上の多価アミン化合物(B2)としては、ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミンなどが挙げられる。
アミノアルコール(B3)としては、エタノールアミン、ヒドロキシエチルアニリンなどが挙げられる。
アミノメルカプタン(B4)としては、アミノエチルメルカプタン、アミノプロピルメルカプタンなどが挙げられる。
これらアミン類(B)のうち好ましいものは、B1およびB1と少量のB2の混合物である。
アミン類(B)の比率は、イソシアネート基を有するポリエステルプレポリマー(A)中のイソシアネート基[NCO]と、アミン類(B)中のアミノ基[NHx]の当量比[NCO]/[NHx]として、通常1/2〜2/1、好ましくは1.5/1〜1/1.5、さらに好ましくは1.2/1〜1/1.2である。
ウレア変性ポリエステルは、ワンショット法、などにより製造される。多価アルコール(PO)と多価カルボン酸(PC)を、テトラブトキシチタネート、ジブチルチンオキサイドなど公知のエステル化触媒の存在下、150〜280[℃]に加熱し、必要により減圧としながら生成する水を留去して、水酸基を有するポリエステルを得る。次いで40〜140[℃]にて、これに多価イソシアネート(PIC)を反応させ、イソシアネート基を有するポリエステルプレポリマー(A)を得る。さらにこの(A)にアミン類(B)を0〜140[℃]にて反応させ、ウレア変性ポリエステルを得る。
(PIC)を反応させる際、及び(A)と(B)を反応させる際には、必要により溶剤を用いることもできる。使用可能な溶剤としては、芳香族溶剤、ケトン類、エステル類などのイソシアネート(PIC)に対して不活性なものが挙げられる。
また、ポリエステルプレポリマー(A)とアミン類(B)との架橋及び/又は伸長反応には、必要により反応停止剤を用い、得られるウレア変性ポリエステルの分子量を調整することができる。反応停止剤としては、モノアミン(例えば、ジエチルアミン、ジブチルアミン、ブチルアミン、ラウリルアミンなど)、およびそれらをブロックしたケチミン化合物などが挙げられる。
ウレア変性ポリエステルの重量平均分子量は、通常1万以上、好ましくは2万〜1000万、さらに好ましくは3万〜100万である。ウレア変性ポリエステル等の数平均分子量は、先の未変性ポリエステルを用いる場合は特に限定されるものではなく、上記重量平均分子量とするのに得やすい数平均分子量でよい。ウレア変性ポリエステルを単独で使用する場合は、その数平均分子量は、通常2000〜15000、好ましくは2000〜10000、さらに好ましくは2000〜8000である。
未変性ポリエステルとウレア変性ポリエステルとの重量比は、通常20/80〜95/5、好ましくは70/30〜95/5、さらに好ましくは75/25〜95/5、特に好ましくは80/20〜93/7である。未変性ポリエステルとウレア変性ポリエステルとを含むバインダー樹脂のガラス転移点(Tg)は、通常45〜65[℃]、好ましくは45〜60[℃]である。
(着色剤)
着色剤としては、公知の染料及び顔料が全て使用でき、例えば、カーボンブラック、ニグロシン染料、ナフトールイエローS、カドミュウムイエロー、黄色酸化鉄、黄鉛、鉛丹、鉛朱、カドミュウムレッド、リソールファストスカーレットG、ベンジジンオレンジ、オイルオレンジ、コバルトブルー、セルリアンブルー、アルカリブルーレーキ、ファストスカイブルー、インジゴ、群青、紺青、マンガン紫、ジオキサンバイオレット、クロムグリーン、ピリジアン、エメラルドグリーン、ピグメントグリーンB、フタロシアニングリーン及びそれらの混合物が使用できる。着色剤の含有量はトナーに対して通常1〜15[wt%]、好ましくは3〜10[wt%]である。
着色剤は樹脂と複合化されたマスターバッチとして用いることもできる。マスターバッチの製造、またはマスターバッチとともに混練されるバインダー樹脂としては、ポリスチレン、ポリ−p−クロロスチレン、ポリビニルトルエンなどのスチレン及びその置換体の重合体、あるいはこれらとビニル化合物との共重合体、ポリメチルメタクリレート、ポリ酢酸ビニル、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエステル、エポキシ樹脂、塩素化パラフィン、パラフィンワックスなどが挙げられ、単独あるいは混合して使用できる。
(荷電制御剤)
荷電制御剤としては公知のものが使用でき、例えばニグロシン系染料、トリフェニルメタン系染料、クロム含有金属錯体染料、燐の単体または化合物、タングステンの単体または化合物、フッ素系活性剤、サリチル酸金属塩及び、サリチル酸誘導体の金属塩等である。具体的にはニグロシン系染料のボントロン03、サリチル酸系金属錯体のE−84、フェノール系縮合物のE−89(以上、オリエント化学工業社製)、4級アンモニウム塩モリブデン錯体のTP−302、TP−415(以上、保土谷化学工業社製)、4級アンモニウム塩のコピーチャージPSY VP2038、トリフェニルメタン誘導体のコピーブルーPR、LRA−901、ホウ素錯体であるLR−147(日本カーリット社製)、銅フタロシアニン、ペリレン、キナクリドン、アゾ系顔料、その他スルホン酸基、カルボキシル基、4級アンモニウム塩等の官能基を有する高分子系の化合物が挙げられる。このうち、特にトナーを負極性に制御する物質が好ましく使用される。
荷電制御剤の使用量は、バインダー樹脂の種類、必要に応じて使用される添加剤の有無、分散方法を含めたトナー製造方法によって決定されるもので、一義的に限定されるものではないが、好ましくはバインダー樹脂100重量部に対して、0.1〜10重量部の範囲で用いられる。好ましくは、0.2〜5重量部の範囲がよい。
(離型剤)
離型剤としては、融点が50〜120[℃]の低融点のワックスが、バインダー樹脂との分散の中でより離型剤として効果的に働く。このようなワックス成分としては、ロウ類及びワックス類として、カルナバワックス、綿ロウ等の植物系ワックス、ミツロウ、ラノリン等の動物系ワックス、オゾケライト、セルシン等の鉱物系ワックス、及びパラフィン、マイクロクリスタリン、ペトロラタム等の石油ワックス等が挙げられる。
また、これら天然ワックスの外に、フィッシャー・トロプシュワックス、ポリエチレンワックス等の合成炭化水素ワックス、エステル、ケトン、エーテル等の合成ワックス等が挙げられる。
(外添剤)
トナー粒子の流動性や現像性、帯電性を補助するための外添剤として、無機微粒子が好ましく用いられる。この無機微粒子の一次粒子径は、5×10−3〜2[μm]であることが好ましく、特に5×10−3〜0.5[μm]であることが好ましい。
また、BET法による比表面積は、20〜500[m2/g]であることが好ましい。
この無機微粒子の使用割合は、トナーの0.01〜5[wt%]であることが好ましく、特に0.01〜2.0[wt%]であることが好ましい。
無機微粒子の具体例としては、例えばシリカ、アルミナ、酸化チタン、チタン酸バリウム、酸化亜鉛、炭酸カルシウム、炭化ケイ素、窒化ケイ素などを挙げることができる。中でも、流動性付与剤としては、疎水性シリカ微粒子と疎水性酸化チタン微粒子を併用するのが好ましい。
(トナーの製造方法)
次に、トナーの製造方法について詳細する。ここでは、好ましい方法について示すが、これに限られることではない。
着色剤、未変性ポリエステル、イソシアネート基を有するポリエステルプレポリマー、離型剤を有機溶媒中に分散させトナー材料液を作る。有機溶媒は、沸点が100[℃]未満の揮発性であることが、トナー母体粒子形成後の除去が容易である点から好ましい。具体的には、トルエン、キシレン等の芳香族系溶媒および塩化メチレン、1,2−ジクロロエタン、クロロホルム、四塩化炭素等のハロゲン化炭化水素などを単独あるいは2種以上組み合わせて用いることができる。有機溶媒の使用量は、ポリエステルプレポリマー100重量部に対し、通常0〜300重量部、好ましくは0〜100重量部、さらに好ましくは25〜70重量部である。
トナー材料液を界面活性剤、樹脂微粒子の存在下、水系媒体中で乳化させる。水系媒体は、水単独でも良いし、メタノールなどのアルコール、ジメチルホルムアミド、テトラヒドロフラン、セルソルブ類、低級ケトン類などの有機溶媒を含むものであってもよい。トナー材料液100重量部に対する水系媒体の使用量は、通常50〜2000重量部、好ましくは100〜1000重量部である。50重量部未満ではトナー材料液の分散状態が悪く、所定の粒径のトナー粒子が得られない。20000重量部を超えると経済的でない。
また、水系媒体中の分散を良好にするために、界面活性剤、樹脂微粒子等の分散剤を適宜加える。界面活性剤としては、アルキルベンゼンスルホン酸塩などのアニオン性界面活性剤、アルキルアミン塩、アミノアルコール脂肪酸誘導体、ポリアミン脂肪酸誘導体や、アルキルトリメチルアンモニム塩などの4級アンモニウム塩型のカチオン性界面活性剤等が挙げられる。また、フルオロアルキル基を有する界面活性剤を用いることにより、非常に少量でその効果をあげることができる。
樹脂微粒子は、既述の物質を用いることができる。また、リン酸三カルシウム、炭酸カルシウム、酸化チタン、コロイダルシリカ、ヒドロキシアパタイト等の無機化合物分散剤も用いることができる。樹脂微粒子、無機化合物分散剤と併用して使用可能な分散剤として、高分子系保護コロイドにより分散液滴を安定化させても良い。例えばアクリル酸、メタクリル酸、α−シアノアクリル酸、α−シアノメタクリル酸、イタコン酸、クロトン酸、フマール酸、マレイン酸または無水マレイン酸などの酸類、あるいは水酸基を含有する(メタ)アクリル系単量体、例えばアクリル酸−β−ヒドロキシエチル、メタクリル酸−β−ヒドロキシエチル、アクリル酸−β−ヒドロキシプロビル、メタクリル酸−β−ヒドロキシプロピル、アクリル酸−γ−ヒドロキシプロピルなどが使用できる。
分散の方法としては特に限定されるものではないが、低速せん断式、高速せん断式、摩擦式、高圧ジェット式、超音波などの公知の設備が適用できる。この中でも、分散体の粒径を2〜20[μm]にするために高速せん断式が好ましい。高速せん断式分散機を使用した場合、回転数は特に限定はないが、通常1000〜30000[rpm]、好ましくは5000〜20000[rpm]である。分散時間は特に限定はないが、バッチ方式の場合は、通常0.1〜5分である。分散時の温度としては、通常、0〜150[℃](加圧下)、好ましくは40〜98[℃]である。
乳化液の作製と同時に、アミン類(B)を添加し、イソシアネート基を有するポリエステルプレポリマー(A)との反応を行わせる。この反応は、分子鎖の架橋及び/又は伸長を伴う。反応時間は、ポリエステルプレポリマー(A)の有するイソシアネート基構造とアミン類(B)との反応性により選択されるが、通常10分〜40時間、好ましくは2〜24時間である。反応温度は、通常、0〜150[℃]、好ましくは40〜98[℃]である。また、必要に応じて公知の触媒を使用することができる。具体的にはジブチルチンラウレート、ジオクチルチンラウレートなどが挙げられる。
反応終了後、乳化分散体(反応物)から有機溶媒を除去し、洗浄、乾燥してトナー母体粒子を得る。有機溶媒を除去するためには、系全体を徐々に層流の攪拌状態で昇温し、一定の温度域で強い攪拌を与えた後、脱溶媒を行うことで略球形のトナー母体粒子が作製できる。ここで例えば真球形から紡錘状等の形状を制御することができる。更に、表面のモフォロジーも滑らかなものから、例えば梅干し形状等に制御することもできる。また、分散安定剤としてリン酸カルシウム塩などの酸、アルカリに溶解可能な物を用いた場合は、塩酸等の酸により、リン酸カルシウム塩を溶解した後、水洗するなどの方法によって、トナー母体粒子からリン酸カルシウム塩を除去する。その他酵素による分解などの操作によっても除去できる。
上記洗浄、脱溶剤の工程前後いずれかにおいて、乳化分散液を一定温度で一定時間放置し、生成したトナー粒子を熟成させる工程を設けることができる。これにより、所望の粒径を有するトナー粒子を作製できる。熟成工程の温度は25〜50[℃]が好ましく、時間は10分間〜23時間が好ましい。
上記で得られたトナー母体粒子に、帯電制御剤を打ち込み、ついで、シリカ微粒子、酸化チタン微粒子等の無機微粒子を外添させ、トナーを得る。
帯電制御剤の打ち込み、及び無機微粒子の外添は、ミキサー等を用いた公知の方法によって行われる。
これにより、小粒径であって、粒径分布のシャープなトナーを容易に得ることができる。
本実施形態のトナーは、磁性キャリアと混合して二成分現像剤として用いるが、キャリアを使用しない一成分系の磁性トナー或いは非磁性トナーとしても用いることができる。
二成分現像剤としての磁性キャリアとしては、粒子径20〜200[μm]程度の鉄粉、フェライト粉、マグネタイト粉、磁性樹脂キャリアなど従来から公知のものが使用できる。また、被覆材料としては、アミノ系樹脂、例えば尿素−ホルムアルデヒド樹脂、メラミン樹脂、ベンゾグアナミン樹脂、ユリア樹脂、ポリアミド樹脂、エポキシ樹脂等が挙げられる。またポリビニル及びポリビニリデン系樹脂、例えばアクリル樹脂、ポリメチルメタクリレート樹脂、ポリアクリロニトリル樹脂、ポリ酢酸ビニル樹脂、ポリビニルアルコール樹脂、ポリビニルブチラール樹脂、ポリカーボネート系樹脂、ポリエチレン樹脂及びシリコーン樹脂等が使用できる。また必要に応じて、導電粉等を被覆樹脂中に含有させてもよい。導電粉としては、金属粉、カーボンブラック、酸化チタン、酸化錫、酸化亜鉛等が使用できる。
これらの導電粉は、平均粒子径1[μm]以下のものが好ましい。平均粒子径が1[μm]よりも大きくなると、電気抵抗の制御が困難になる。
本形態においては、芯材として平均粒径50[μm]程度の球形フェライト粒子を採用し、コート材構成材料にはアミノシラン系カップリング剤とシリコーン樹脂をトルエンに分散させ、この分散液と芯材を流動床内に回転式底板ディスクと攪拌羽根を設けた旋回流を形成させながらコートを行うコーティング装置に投入して、この分散液を芯材上に塗布した。得られた塗布物を電気炉で250[℃]、2時間焼成し、シリコン樹脂により0.5[μm]の平均厚さでコーティングされたキャリア粒子を作製した。このキャリア100重量部に対し、以下の実施例に示すトナー7重量部を、容器が転動して攪拌される型式のターブラーミキサーを用いて均一混合し帯電させて、初期現像剤とした。
以下、トナーの実施例について説明する。
なお、各実施例のトナーは以下のごとく作製されるが、本発明はこれに限定されるものではない。尚、「部」は重量部を示す。
〔トナー1〕
(樹脂微粒子エマルションの合成)
撹拌棒および温度計をセットした反応容器に、水683部、メタクリル酸エチレンオキサイド付加物硫酸エステルのナトリウム塩(エレミノールRS−30、三洋化成工業製)11部、スチレン83部、メタクリル酸83部、アクリル酸ブチル110部、過硫酸アンモニウム1部を仕込み、3800回転/分で30分間撹拌したところ、白色の乳濁液が得られた。加熱して、系内温度75[℃]まで昇温し、4時間反応させた。さらに、1%過硫酸アンモニウム水溶液30部加え、75[℃]で6時間熟成してビニル系樹脂(スチレン−メタクリル酸−アクリル酸ブチル−メタクリル酸エチレンオキサイド付加物硫酸エステルのナトリウム塩の共重合体)の水性分散液微粒子分散液を得た。この微粒子分散液をレーザー回折/散乱式粒度分布測定装置(LA−920:堀場製作所製)で測定した体積平均粒径は、110[nm]であった。同微粒子分散液の一部を乾燥して樹脂分を単離した。樹脂微粒子の形状は球形状であった。該樹脂分のTgは58[℃]であり、重量平均分子量は13万であった。
(水相の調整)
水990部、[微粒子分散液1]83部、ドデシルジフェニルエーテルジスルホン酸ナトリウムの48.3%水溶液(エレミノールMON−7:三洋化成工業製)37部、酢酸エチル90部を混合撹拌し、乳白色の液体を得た。これを水相1とする。
(低分子ポリエステルの合成)
冷却管、撹拌機および窒素導入管の付いた反応容器中に、ビスフェノールAエチレンオキサイド2モル付加物724部、テレフタル酸276部を入れ、常圧下230[℃]で7時間重縮合し、さらに10〜15[mmHg]の減圧下で5時間反応して低分子ポリエステル1を得た。低分子ポリエステル1は、数平均分子量2300、重量平均分子量6700、ピーク分子量3800、Tg43[℃]、酸価4であった。
(中間体ポリエステルの合成)
冷却管、撹拌機および窒索導入管の付いた反応容器中に、ビスフェノールAエチレンオキサイド2モル付加物682部、ビスフェノールAプロピレンオキサイド2モル付加物81部、テレフタル酸283部、無水トリメリット酸22部およびジブチルチンオキサイド2部を入れ、常圧下230[℃]で7時間反応し、さらに10〜15[mmHg]の減圧で5時間反応した中間体ポリエステル1を得た。中間体ポリエステル1は、数平均分子量2200、重量平均分子量9700、ピーク分子量3000、Tg54[℃]、酸価0.5、水酸基価52であった。次に、冷却管、撹拌機および窒素導入管の付いた反応容器中に、中間体ポリエステル1を410部、イソホロンジイソシアネート89部、酢酸エチル500部を入れ100[℃]で5時間反応し、プレポリマー1を得た。プレポリマー1の遊離イソシアネート重量%は、1.53[%]であった。
(ケチミンの合成)
撹拌棒および温度計をセットした反応容器に、イソホロンジアミン170部とメチルエチルケトン75部を仕込み、50[℃]で4時間半反応を行い、ケチミン化合物1を得た。ケチミン化合物1のアミン価は417であった。
(マスターバッチの合成)
水1200部、カーボンブラック(Printex35:デクサ製)540部(DBP吸油量=42[ml]/100[mg]、pH=9.5)、ポリエステル樹脂1200部を加え、ヘンシェルミキサー(三井鉱山社製)で混合し、混合物を2本ロールを用いて130[℃]で1時間混練後、圧延冷却しパルペライザーで粉砕、マスターバッチ1を得た。
(油相の作製)
撹拌棒および温度計をセットした容器に、低分子ポリエステル1を378部、カルナバワックス100部、酢酸エチル947部を仕込み、撹拌下80[℃]に昇温し、80[℃]のまま5時間保持した後、1時間で30[℃]に冷却した。
次いで、容器にマスターバッチ1を500部、酢酸エチル500部を仕込み、1時間混合し、原料溶解液1を得た。1324部の原料溶解液1を容器に移し、ビーズミル(ウルトラビスコミル:アイメックス社製)を用いて、送液速度1[kg/hr]、ディスク周速度6[m/秒]、0.5mmジルコニアビーズを80体積%充填、3パスの条件で、カーボンブラック、ワックスの分散を行った。次いで、低分子ポリエステル1の65%酢酸エチル溶液1324部を加え、上記条件のビーズミルで2パスし、顔料・ワックス分散液1を得た。顔料・ワックス分散液1の固形分濃度は50[%]であった。
(乳化〜脱溶剤)
顔料・ワックス分散液1を749部、プレポリマー1を115部、ケチミン化合物1を2.9部、容器に入れ、TKホモミキサー(特殊機化製)で5000[rpm]で2分間混合した後、容器に水相1を1200部加え、TKホモミキサーで、回転数13000[rpm]で25分間混合し、乳化スラリー1を得た。
撹拌機および温度計をセットした容器に、乳化スラリー1を投入し、30[℃]で7時間脱溶剤した後、45[℃]で7時間熟成を行い、分散スラリー1を得た。
(洗浄〜乾燥)
100部の分散スラリー1を減圧濾過した後、
イ) 濾過ケーキにイオン交換水100部を加え、TKホモミキサーで混合(回転数12000[rpm]で10分間)した後濾過した。
ロ) イ)の濾過ケーキに1%塩酸をpH3.5〜4.5になるように制御して加え、TKホモミキサーで混合(回転数12,000[rpm]で15分間)した後、濾過した。
ハ) ロ)の濾過ケーキにイオン交換水300部を加え、TKホモミキサーで混合(回転数12000[rpm]で10分間)した後濾過する操作を2回行い、濾過ケーキ1を得た。
ニ) 濾過ケーキ1を循風乾燥機にて40[℃]で40時間乾燥し、目開き75μmメッシュで篩い、トナー母体粒子1を得た。その後、トナー母体粒子1100部に疎水性シリカ1.5部と疎水化酸化チタン0.5部を加え、ヘンシェルミキサーにて混合後、目開き35μmメッシュで篩い、トナー1を得た。得られたトナー1の物性は下記の表1に示す。
〔トナー2〕
トナー2において、以下の条件に変更した以外はトナー1と同様にしてトナー2を得た。
得られたトナー2の物性を上記表1に示す。
(樹脂微粒子エマルションの合成)
撹拌棒および温度計をセットした反応容器に、水683部、メタクリル酸エチレンオキサイド付加物硫酸エステルのナトリウム塩(エレミノールRS−30:三洋化成工業製)11部、スチレン83部、メタクリル酸83部、アクリル酸ブチル110部、過硫酸アンモニウム1部を仕込み、3800回転/分で30分間撹拌したところ、白色の乳濁液が得られた。加熱することで系内温度75[℃]まで昇温し、1時間反応させた。さらに、1%過硫酸アンモニウム水溶液30部加え、75[℃]で6時間熟成してビニル系樹脂(スチレン−メタクリル酸−アクリル酸ブチル−メタクリル酸エチレンオキサイド付加物硫酸エステルのナトリウム塩の共重合体)の水性分散液である微粒子分散液2を得た。微粒子分散液2を粒度分布測定装置(LA−920:シスメックス社製)で測定した体積平均粒径は、40[nm]であった。微粒子分散液2の一部を乾燥して樹脂分を単離した。樹脂微粒子の形状は球形状であった。該樹脂分のTgは56[℃]であり、重量平均分子量は12万であった。
〔トナー3〕
トナー3において、以下の条件に変更した以外はトナー1と同様にしてトナー3を得た。
得られたトナー3の物性を上記表1に示す。
(乳化〜脱溶剤)
顔料・ワックス分散液1を749部、プレポリマー1を115部、ケチミン化合物1を2.9部、容器に入れ、TKホモミキサー(特殊機化製)で5000[rpm]で2分間混合した後、容器に水相1を1200部加え、TKホモミキサーで、回転数13000[rpm]で10分間混合し、乳化スラリー2を得た。
撹拌機および温度計をセットした容器に、乳化スラリー2を投入し、30[℃]で6時間脱溶剤した後、45[℃]で5時間熟成を行い、分散スラリー2を得た。
〔トナー4〕
トナー4において、以下の条件に変更した以外はトナー1と同様にしてトナー4を得た。
得られたトナー4の物性を上記表1に示す。
(乳化〜脱溶剤)
顔料・ワックス分散液1を749部、プレポリマー1を115部、ケチミン化合物1を2.9部、容器に入れ、TKホモミキサー(特殊機化製)で5000[rpm]で2分間混合した後、容器に水相1を1200部加え、TKホモミキサーで、回転数13000[rpm]で40分間混合し、乳化スラリー3を得た。
撹拌機および温度計をセットした容器に、乳化スラリー3を投入し、30[℃]で8時間脱溶剤した後、45[℃]で5時間熟成を行い、分散スラリー3を得た。
〔トナー5〕
トナー5において、以下の条件に変更した以外はトナー1と同様にしてトナー5を得た。
得られたトナー5の物性を上記表1に示す。
(油相の作製)
撹拌棒および温度計をセットした容器に、低分子ポリエステル1を378部、カルナバ/ライスワックス(重量比5:5)130部、酢酸エチル947部を仕込み、撹拌下80[℃]に昇温し、80[℃]のまま4時間保持した後、1時間で30[℃]に冷却した。
次いで、容器にマスターバッチ1を500部、酢酸エチル500部を仕込み、2時間混合し、原料溶解液2を得た。
1324部の原料溶解液2を容器に移し、ビーズミル(ウルトラビスコミル:アイメックス社製)を用いて、送液速度1[kg/hr]、ディスク周速度6[m/秒]、0.5mmジルコニアビーズを80体積%充填、10パスの条件で、カーボンブラック、ワックスの分散を行った。次いで、低分子ポリエステル1の65%酢酸エチル溶液1324部を加え、上記条件のビーズミルで5パスし、顔料・ワックス分散液2を得た。顔料・ワックス分散液2の固形分濃度は50[%]であった。
〔トナー6〕
トナー6において、以下の条件に変更した以外はトナー1と同様にしてトナー6を得た。
得られたトナー6の物性を上記表1に示す。
(油相の作製)
撹拌棒および温度計をセットした容器に、低分子ポリエステル1を378部、カルナバ/ライスワックス(重量比3:7)ワックス100部、酢酸エチル947部を仕込み、撹拌下80[℃]に昇温し、80[℃]のまま4時間保持した後、1時間で30[℃]に冷却した。次いで、容器にマスターバッチ1を500部、酢酸エチル500部を仕込み、0.8時間混合し、原料溶解液3を得た。
1324部の原料溶解液3を容器に移し、ビーズミル(ウルトラビスコミル:アイメックス社製)を用いて、送液速度1[kg/hr]、ディスク周速度6[m/秒]、0.5mmジルコニアビーズを80体積%充填、5パスの条件で、カーボンブラック、ワックスの分散を行った。次いで、低分子ポリエステル1の65%酢酸エチル溶液1324部を加え、上記条件のビーズミルで3パスし、顔料・ワックス分散液3を得た。顔料・ワックス分散液3の固形分濃度は50[%]であった。
〔トナー7〕
トナー7において、以下の条件に変更した以外はトナー1と同様にしてトナー7を得た。
得られたトナー7の物性を上記表1に示す。
(低分子ポリエステルの合成)
冷却管、撹拌機および窒素導入管の付いた反応容器中に、ビスフェノールAエチレンオキサイド2モル付加物229部、ビスフェノールAプロピレンオキサイド3モル付加物529部、テレフタル酸208部、アジピン酸46部およびジブチルチンオキサイド2部を入れ、常圧下230[℃]で7時間反応し、さらに10〜15[mmHg]の減圧下で5時聞反応した後、反応容器に無水トリメリット酸44部を入れ、180[℃]、常圧で3時間反応し、低分子ポリエステル2を得た。低分子ポリエステル2は、数平均分子量23
00、重量平均分子量6700、ピーク分子量3100、Tg43[℃]、酸価25であった。
(油相の作製)
撹拌棒および温度計をセットした容器に、低分子ポリエステル2を378部、カルナバワックス100部、酢酸エチル947部を仕込み、撹拌下80[℃]に昇温し、80[℃]のまま5時間保持した後、1時間で30[℃]に冷却した。次いで、容器にマスターバッチ1を500部、酢酸エチル500部を仕込み、1時間混合し、原料溶解液4を得た。
1324部の原料溶解液4を容器に移し、ビーズミル(ウルトラビスコミル:アイメックス社製)を用いて、送液速度1[kg/hr]、ディスク周速度6[m/秒]、0.5mmジルコニアビーズを80体積%充填、3パスの条件で、カーボンブラック、ワックスの分散を行った。次いで、低分子ポリエステル2の65%酢酸エチル溶液1324部を加え、上記条件のビーズミルで3パスし、顔料・ワックス分散液4を得た。顔料・ワックス分散液4の固形分濃度は50[%]であった。
(乳化〜脱溶剤)
顔料・ワックス分散液4を749部、プレポリマー1を115部、ケチミン化合物1を2.9部、容器に入れ、TKホモミキサー(特殊機化製)で5000[rpm]で2分間混合した後、容器に水相1を1200部加え、TKホモミキサーで、回転数13000[rpm]で40分間混合し、乳化スラリー4を得た。
撹拌機および温度計をセットした容器に、乳化スラリー4を投入し、30[℃]で8時間脱溶剤した後、45[℃]で5時間熟成を行い、分散スラリー4を得た。
〔トナー8〕
トナー8において、以下の条件に変更した以外はトナー1と同様にしてトナー8を得た。
得られたトナー8の物性を上記表1に示す。
(油相の作製)
撹拌棒および温度計をセットした容器に、低分子ポリエステル1を378部、カルナバワックスワックス380部、酢酸エチル947部を仕込み、撹拌下80[℃]に昇温し、80[℃]のまま4時間保持した後、1時間で30[℃]に冷却した。次いで、容器にマスターバッチ1を500部、酢酸エチル500部を仕込み、2時間混合し、原料溶解液5を得た。
1324部の原料溶解液5を容器に移し、ビーズミル(ウルトラビスコミル:アイメックス社製)を用いて、送液速度1[kg/hr]、ディスク周速度6[m/秒]、0.5mmジルコニアビーズを80体積%充填、7パスの条件で、カーボンブラック、ワックスの分散を行った。次いで、低分子ポリエステル1の65%酢酸エチル溶液1324部を加え、上記条件のビーズミルで4パスし、顔料・ワックス分散液5を得た。顔料・ワックス分散液5の固形分濃度は50[%]であった。
以上本発明の好ましい実施の形態について説明したが、本発明はかかる特定の実施形態に限定されるものではなく、上述の説明で特に限定していない限り、特許請求の範囲に記載された本発明の趣旨の範囲内において、種々の変形・変更が可能である。
たとえば、プロセスカートリッジは、少なくとも表面移動部材と、これをクリーニングするクリーニング装置とを一体に含んでいるとともに画像形成装置本体に着脱自在であればよく、プロセスカートリッジを構成する他の構成部品の選択は、像担持体、当該構成部品の寿命、コスト、プロセスカートリッジ化の構造上の容易性等を考慮して適宜行なわれるものである。
像担持体に対するクリーニング装置をこの像担持体とともにプロセスカートリッジとし、かつ、記録材搬送部材に対するクリーニング装置をこの記録材搬送部材とともにプロセスカートリッジとする場合には、これらを全て一体のプロセスカートリッジとしてもよい。
クリーニング部材は、上述のようにカウンタ方式で表面移動部材に当接するのでなく、トレーリング方式で表面移動部材に当接していてもよい。ただし、クリーニング部材の先端部側の端部を略自由長ゼロとすることによって得られる、少ない反りによる当接圧低下の抑制、表面移動部材に対する均一な当接に基づくクリーニング性能の向上や、クリーニング部材の支持に自由度を持たせることによって得られる、表面移動部材に対する均一な当接に基づくクリーニング性能の向上その他の本発明にかかる作用効果は、カウンタ方式による方が極めて顕著に得られるため、カウンタ方式で表面移動部材に当接することが好ましい。
本発明は、いわゆるタンデム方式の画像形成装置ではなく、1つの感光体ドラム上に順次各色のトナー像を形成して各色トナー像を順次重ね合わせてカラー画像を得るいわゆる1ドラム方式の画像形成装置にも同様に適用することができる。いずれのタイプの画像形成装置でも、中間転写体を用いず、各色のトナー像を転写紙等に直接転写しても良い。
また、カラー画像形成装置でなく、モノクロ画像形成装置にも適用することができる。
さらには、表面移動部材として記録材搬送部材を有しているものであれば、画像形成装置は、トナーを用いて画像形成を行うタイプに限らず、インキを用いて画像形成を行うたとえばインクジェットプリンタ、印刷装置など、どのようなタイプの画像形成装置であってもよい。
本発明の実施の形態に記載された効果は、本発明から生じる最も好適な効果を列挙したに過ぎず、本発明による効果は、本発明の実施の形態に記載されたものに限定されるものではない。