JP5277663B2 - 液滴吐出装置 - Google Patents

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Description

この発明は、液滴吐出装置に関する。
従来、記録媒体に対して吐出口からインク液を吐出して画像を形成するインクジェットプリンタ等の液滴吐出装置が知られている。
この種の液滴吐出装置には、駆動回路から、例えば、ピエゾ素子等の圧電素子に対して一定の電圧レベルの定電圧(バイアス電圧)に予め定められた駆動波形の電圧を重畳した駆動電圧を印加して圧電素子を変形させてインク液が充填される圧力発生室に体積変化を発生させることによってインクを吐出させるものがある。
特許文献1では、アクチュエータユニットに付加される応力が、−40MPa〜10MPaの範囲の大きさである場合に、応力の増加量に対する静電容量の増加量の割合および駆動電圧の減少量の割合のいずれもが比較的小さくなるため、ピエゾアクチュエータと流路の接合面に、接着の条件により−40MPa〜10MPaの応力を残留させるようにしている。
また、特許文献2では、圧電素子を構成する圧電体層の幅方向両側の端部を圧力発生室に対向する領域内に配置し、圧電体層の少なくとも幅方向両側に、引張り応力を有する引張り膜を連続的に設け、圧電体層の圧電特性の低下を抑えるようにしている。
特開2004−160915号公報 特開2000−141644号公報
本発明は、圧電素子のエネルギー変換効率を向上させた液滴吐出装置を提供することを目的とする。
請求項1に記載の発明は、液滴吐出装置において、圧力室の一部を構成する振動板の表面に形成され、撓み変形可能な圧電素子と、前記圧電素子の表面に設けられ該圧電素子を保護する保護膜と、を備え、前記保護膜の膜応力をσ[MPa]、膜厚をt[μm]、前記圧電素子の横効果の圧電定数をd31[pm/V]、ヤング率をE[Gpa]、厚さをt[μm]としたときに、0.71≦2・σ・t/d31・E・t≦0.86の関係を満たすことを特徴とする。
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の液滴吐出装置において、前記保護膜の膜応力をσ[MPa]、膜厚をt[μm]、前記圧電素子の横効果の圧電定数をd31[pm/V]、ヤング率をE[Gpa]、厚さをt[μm]としたときに、0.71≦2・σ・t/d31・E・t≦0.86の関係を満たすことを特徴とする。
請求項3に記載の発明は、請求項1又は2に記載の液滴吐出装置において、前記保護膜が、低透水性の耐湿保護膜であることを特徴とする。
請求項4に記載の発明は、請求項1〜3の何れか1項に記載の液滴吐出装置において、前記圧電素子の厚さが、好ましくは1μm以上20μm以下であることを特徴とする。
請求項5に記載の発明は、請求項1〜4の何れか1項に記載の液滴吐出装置において、前記保護膜は、無機系の材料で構成されていることを特徴とする。
請求項6に記載の発明は、請求項5に記載の液滴吐出装置において、前記保護膜は、Si(シリコン)をベースとした酸化膜、窒化膜、または酸窒化膜であることを特徴とする。
請求項7に記載の発明は、請求項1〜6の何れか1項に記載の液滴吐出装置において、前記圧電素子は、真空堆積法で形成されたことを特徴とする。
請求項8に記載の発明は、請求項1〜7の何れか1項に記載の液滴吐出装置において、前記圧電素子の作用により撓み変形する圧電アクチュエータの中立軸が、該圧電素子と前記振動板の接合部であることを特徴とする。
請求項1、2に記載の発明によれば、保護膜の膜応力を利用することにより、圧電素子のエネルギ変換効率を向上させることができる。
請求項3に記載の発明によれば、圧電素子内の酸素を還元することにより生ずる圧電特性の劣化を防止する。
請求項4に記載の発明によれば、圧電素子の変形効率を向上させることができる。
請求項5に記載の発明によれば、耐インク性を得ることができる。
請求項6に記載の発明によれば、他の金属酸化膜を用いた場合に比べ低コスト化が図れる。
請求項7に記載の発明によれば、焼結後、張り合わせにより圧電素子を形成する機械的形成方法に比べ、圧電素子の高密度化・高精度化・低コスト化が実現可能となる。
請求項8に記載の発明によれば、圧電素子と振動板の接合面において、圧電素子と振動板の変形量が同じである。
以下、図面を参照して、本発明の実施の形態について詳細に説明する。なお、以下では、本発明をインクジェットプリンタ(以下、単に「プリンタ」という)に適用した場合について説明する。
まず、図1を用いてプリンタ10の概要を説明する。なお、記録媒体は記録紙Pとして説明する。また図1では、プリンタ10における記録紙Pの搬送方向を副走査方向として矢印Sで表し、その搬送方向と直交する方向を主走査方向として矢印Mで表す。
図1に示すように、本実施形態のプリンタ10は、ブラック、イエロー、マゼンタ、シアンの各記録ユニット72を搭載するキャリッジ76を備えている。キャリッジ76には、記録紙Pの搬送方向上流側に一対のブラケット78が突設されており、この一対のブラケット78にそれぞれ形成された円形孔78Aには、主走査方向に架設されたシャフト80が挿通されている。
キャリッジ76に対し主走査方向の両端側には、主走査機構82を構成する駆動プーリー84と従動プーリー86が配設されており、これらの駆動プーリー84と従動プーリー86にはタイミングベルト88が巻回されている。上記のキャリッジ76は、このタイミングベルト88の一部に固定されており、駆動プーリー84の回転駆動によってタイミングベルト88が主走査方向に走行すると、一対のブラケット78がシャフト80にガイドされて主走査方向に往復移動する。
キャリッジ76及びシャフト80の下方には、搬送ローラー90及び排出ローラー92からなる副走査機構94が設けられている。副走査機構94は、画像記録前の記録紙Pを束にして載置する給紙トレイ96から1枚ずつ給紙された記録紙Pを所定のピッチで副走査方向へ搬送する。
ここで、プリンタ10には、図2に示すように、装置全体の動作を制御するコントローラ12と、記録ユニット72を構成し複数のノズルから吐出する液滴によって画像を形成する液滴吐出ヘッド20と、所定の駆動波形の駆動電圧を生成して液滴吐出ヘッド20を駆動させる制御を行う駆動制御回路16と、を備えている。
コントローラ12は、図示しないCPU、RAM、ROM等を備えており、図示しない外部装置から画像データが入力されると、当該画像データに対してハーフトーン処理等の各種画像処理を行って画素を構成するドット毎のドットデータを生成する。そして、コントローラ12は、生成したドットデータに基づいて液滴吐出ヘッド20の各ノズルからの液滴の吐出/不吐出を指定した複数ラインの制御信号を駆動制御回路16へ順次出力する。
図3に示すように、液滴吐出ヘッド20は、複数の圧力室46及び複数の圧電素子52を備えている。圧力室46には、図示しないインクカートリッジから適量のインクが供給され、一時的にインクが蓄えられるようになっており、各圧力室46はそれぞれ個別にノズル(不図示)を介して外部とつながっている。また、各圧力室46の壁面の一部には、振動板46Aが設けられており、該振動板46Aに圧電素子52が取り付けられている。
圧電素子52は、振動板46Aの表面に設けられ該圧電素子52の一方の極性となる下部電極52Aと、下部電極52Aの表面に形成され撓み変形可能な圧電体52Bと、圧電体52Bの表面に形成され圧電素子52の他方の極性となる上部電極52Cと、を備えている。そして、上部電極52Cと下部電極52Aとの間で電位差を生じさせることで圧電体52Bが撓み変形するが、ここでは、上部電極52C、下部電極52A及び圧電体52Bを特に区別せず、単に圧電素子52として説明する場合もある。
また、圧電素子52は真空堆積法によって振動板46A上に形成させることで、焼結後、張り合わせにより圧電素子52を形成する機械的形成方法に比べ、圧電素子52の高密度化・高精度化・低コスト化を実現可能とする。この圧電素子52の表面に、低透水性の耐湿保護膜60(以下、「保護膜60」という)が着膜されている。
保護膜60は、水分透過性が低くなる条件で着膜し、水分が圧電素子52の内部に侵入し圧電素子52が信頼性不良(圧電素子52内の酸素を還元することにより生ずる圧電特性の劣化)となることを防止する。ここで、この保護膜60は、無機系の材料で構成されており、具体的にはSi(シリコン)をベースとした酸化膜、窒化膜、または酸窒化膜が用いられ、耐インク性を得るようにしている。
一方、駆動制御回路16は、液滴吐出ヘッド20の各ノズルにそれぞれ対応して設けられた各圧電素子52とそれぞれ配線によって個別に電気的に接続されており、それぞれの配線毎に通電のオン/オフを個別に制御するスイッチ回路54を内蔵している。
また、駆動制御回路16は、所定の駆動波形の駆動電圧を生成する駆動電圧生成回路56を内蔵しており、コントローラ12より入力された複数ラインの制御信号に応じて各スイッチ回路54をオン/オフさせることにより、生成した駆動電圧の各圧電素子52への印加を制御する。
圧電素子52は、駆動制御回路16より供給された駆動電圧が印加されて変形することにより振動板46Aに対する押圧力を変化させて圧力室46内に体積変化を発生させる。液滴吐出ヘッド20では、圧力室46内の体積変化により発生するインクの振動波(圧力波)によって圧力室46内に蓄えられたインクがノズルから吐出される。
本実施の形態では、まず、チタン酸ジルコン酸鉛を主成分としたリラクサー系材料により厚さt=35μmの圧電体52Bを形成する。ここで、主成分とは、70%以上の含有率を有することである。この圧電体52B(圧電素子52)では、一定の電圧レベルのバイアス電圧と正弦波形の波形電圧とが重畳された重畳電圧が印加された場合に、当該バイアス電圧の電圧レベルに応じて静電容量及び変形量の少なくとも一方が変化する。
例えば、図4に示すような一定の電圧レベルのバイアス電圧と10kHzでかつピークツーピークの電圧が5Vの正弦波形の波形電圧とが重畳された重畳電圧を、バイアス電圧を変えながら圧電素子52に印加して当該圧電素子52の変形量δを測定した場合の、電界強度(V/μm)と変形量δの関係の一例を図5に示している。
なお、この変形量δは、例えば、レーザードップラー振動計を用いて、圧力室内の振動板の動作を測定することに求めることができる。そして、図5に示されるように、変形量δは、電界強度に応じて変化することが解る。
また、図6に示すような一定の電圧レベルのバイアス電圧と1kHzでかつピークツーピークの電圧が1Vの正弦波形の波形電圧とが重畳された重畳電圧を、バイアス電圧を変えながら圧電素子52に印加して当該圧電素子52の静電容量Cを測定した場合の、電界強度と静電容量Cの関係を図7に示している。これによると、静電容量Cは電界強度に応じて変化することが解る。
ここで、本発明者は、鋭意検討を行なった結果、圧電素子52に駆動電圧が印加された際の圧電素子52の変形による圧力室46内の排除体積ΔQと、当該圧電素子52を駆動させるための電気的な投入エネルギJとの間に以下の(1)式に示すような関係があることを見出した。
Figure 0005277663
ここで、
ε:圧電素子の比誘電率
ε:真空誘電率
t:圧電素子及び振動板の厚さ
:圧電素子の厚さ
υ:振動板のポアソン比
31:圧電定数(横効果)
w:振動板の幅
l:振動板の長さ
以下、この(1)式の導出について説明する。
振動板46Aの幅wが長さlに対して十分に小さい場合(w<<l(平面応力状態))、圧電素子52は、単純な2次元モデルとして、図8に示すような両端固定梁が等分布加重を受けるモデルに置き換えることができる。なお、図8の紙面横方向(x方向)の距離を圧電素子52の厚さwとし、紙面垂直方向(y方向)の距離を圧電素子52の長さlとする。
このモデルにおいて圧電素子52の撓みδは以下の(2)式のように表わされる。
Figure 0005277663
ここで、
E:圧電素子のヤング率
p:等分布加重
これにより、圧力室46の体積変化量ΔQは以下の(3)式のように表わされる。
Figure 0005277663
この(3)式に上記(2)式を代入すると、以下の(4)式のように表わされる。
Figure 0005277663
次に、この(4)式中の等分布加重pに関して考える。両端固定梁において固定端部の曲げモーメントMは以下の(5)式のように表わされる。
Figure 0005277663
また、圧電素子52に発生する発生応力σは、圧電素子52の厚さをtとし、圧電素子52に印加される電圧をVとし、圧電定数(横効果)をd31とすると、以下の(6)式のように表わされる。
Figure 0005277663
さらに、曲げモーメントMは、断面係数zと発生応力σとの積であるので、以下の(7)式のように表わされる。
M=zσ・・・(7)
この(7)式に上記(6)式を代入すると、以下の(8)式のように表わされる。
Figure 0005277663
上記(5)式に(8)式を代入して、等分布加重pについての式に変形すると、等分布加重pは、以下の(9)式のように表わされる。
Figure 0005277663
次に、以上の結果を踏まえて投入エネルギーJを求める
投入エネルギーJは、圧電素子52の静電容量Cにより、以下の(10)式のように表わされる。
Figure 0005277663
静電容量Cは、圧電素子52の比誘電率をεとし、真空誘電率をε(=8.854×10−12[F/m])とすると、以下の(11)式のように表わされる。
Figure 0005277663
また、駆動電圧Vは、上記(4)式に上記(9)式を代入して、Vについての式に変形すると、以下の(12)式のように表わされる。
Figure 0005277663
そして、上記(10)式に(11)式及び(12)式を代入すると、(1)式が導出される。
Figure 0005277663
この(1)式において、第二項は圧電素子52の圧電素子材料の物性値により定まり、第三項は圧電素子52の形状により定まる。
この(1)式から解るように、必要な排除体積ΔQを得るための投入エネルギJを小さくするためには、第二項を小さくすればよく、そのためには、圧電素子52の比誘電率εを、圧電横効果の圧電定数d31の2乗で除した値を小さくすることが望ましい。
一方、図9には、図4に示すグラフ1と図6に示すグラフ2の結果を使用して、静電容量Cを変形量δの二乗で除算(C/δ)することにより得られる値と電界強度との関係を示したグラフ3が示されている。これによると、電界強度が0.71V/μmから0.86V/μm近傍でC/δの値が最も大きくなっていることが解る。
ここで、変形量δは圧電定数d31と比例する関係(δ∝d31)にあり、静電容量Cは比誘電率εと比例する関係(C∝ε)にある。このため、(1)式から、グラフ3の縦軸は、同じ排除体積ΔQを得るための投入エネルギJの大きさに相関することになる。従って、電界強度が0.71V/μmから0.86V/μm近傍で最もエネルギ効率が高くなるといえる。
ところで、図10(A)に示すような部材座標系において、保護膜60に均一な応力σiが働き、図10(B)のように変形する場合を考える。この系に発生する曲げモーメントMは以下の(13)式となる。
Figure 0005277663
これと同様に、圧電素子52中に均一な応力σpが発生した場合を考える。このとき、この系に発生する曲げモーメントMは以下の(14)式となる。
Figure 0005277663
ここで、アクチュエータ62(圧電素子52及び振動板46Aを含んで構成される)の中立軸Nは圧電素子52と振動板46Aの接合部付近であり、圧電素子52と振動板46Aの接合面において、圧電素子52と振動板46Aの変形量が同じである。
つまり、図10(B)と図10(C)が同じ変形状態(同じ曲率ρ)になる場合を考える。図10(B)と図10(C)では曲げ剛性は同じ値となるため、同じ曲率になるためには、曲げモーメント(13)式と(14)式が同じ値になる必要がある(M=M)。つまり、以下の(15)式となる。
Figure 0005277663
この(15)式はσpについて以下の(16)式に変形できる。
Figure 0005277663
また、圧電素子52に電圧Vが印加された場合に発生する応力は、圧電素子52の横効果の圧電定数をd31とすると、以下の(17)式になる。
Figure 0005277663
(16)式に(17)式を代入してVについて整理すると、
Figure 0005277663
となる。この(18)式から保護膜60の応力σにより圧電素子52が受ける応力を再現するためには、圧電素子52に何ボルト印加するとよいかが算出される。ここで、保護膜厚tが圧電素子厚tに比べて十分小さい場合、式(18)中のt は無視できるため、(18)式は以下のように変形できる。
Figure 0005277663
前述したように、電界強度が0.71V/μmから0.86V/μm近傍でエネルギ効率が高くなることがわかっている。このため、式(19)を、電界強度(V/t)を算出する式(20)に変形する。
Figure 0005277663
そして、この式(20)により、
0.71≦2・σ・t/d31・E・t≦0.86・・・(21)
の関係式が得られる。
本実施の形態では、圧電体52Bは、チタン酸ジルコン酸鉛を主成分としたリラクサー系材料で構成しているため、圧電素子52の横効果の圧電定数はd31=−287[pm/V]、ヤング率はE=60[Gpa]である。この圧電素子52を使用して、保護膜60の検討を行う。
つまり、式(20)による左辺、V/t(電界強度)が0.71V/μmでは、厚さt=4[μm]の圧電素子52を有するアクチュエータ62に保護膜60を形成する場合、保護膜厚t=0.2[μm]とすると、保護膜60の応力は、σ=123[Mpa]となる。つまり、保護膜厚t=0.2[μm]のとき、保護膜60の応力がσ=123[Mpa]となるように設定することで、圧電素子52のエネルギ効率が良好となる。
これまでの圧電素子52の駆動方法では、圧電素子52に耐湿性の保護膜60を形成すると、アクチュエータ62の変位量が低下するとされており、小さな電位で大きな変位量を得るため、電位の低い部分で圧電素子52が駆動するように駆動波形を設定していた。
しかしながら、本発明では、保護膜60の膜応力を利用することにより、アクチュエータ62の変位量は低下するが圧電素子52のエネルギ変換効率を大きくすることができることが解った。
そして、鋭意実験の結果、このV/tに対しては、±約50%の公差が生じることも解った。このため、この50%の公差を考慮すると、
0.35≦2・σ・t/d31・E・t≦1.29・・・(21)
の関係式が得られる。
ここで、圧電素子52の厚さを4μmとしたが、表1に示すように、圧電素子52を1.0μm未満の厚みで形成した場合、或いは20.0μmよりも厚く形成した場合、圧電素子52の製品としての適否が△或いは×となっている。
つまり、圧電素子52を1.0μm未満の厚みで形成した場合、製造上のバラツキの問題もあり、小孔が発生してしまうおそれがあり、製品上のバラツキが生じ、また、圧電素子52を20.0μmよりも厚く形成した場合、圧電素子52の変形を疎外してしまい、圧電素子52の変形効率が低下してしまうからである。したがって、これらの結果から、圧電素子52の厚さは、1μm以上20μm以下が好ましいことが解る。
Figure 0005277663
なお、本発明は、液滴吐出ヘッド20を主走査方向に往復移動させながら、記録用紙に対して画像を記録するプリンタ10に適用させたが、液滴吐出ヘッド20を記録用紙の幅より幅広とした長尺ヘッドとして、多数のノズルが記録用紙の幅方向に沿って設けられたものとし、記録用紙を副走査方向へ相対的に移動させながら、当該液滴吐出ヘッド20の各ノズルから液滴を吐出することにより記録用紙の全幅を一括で記録するプリンタ10に適用してもよい。この場合も、本実施の形態と同様の効果を奏することができる。
その他、本実施の形態で説明したプリンタ10の構成は一例であり、本発明の主旨を逸脱しない範囲内において適宜変更可能であることは言うまでもない。また、本実施の形態で説明した圧電素子のバイアス電圧の変化に対する変形量、静電容量の特性(図5及び図7参照)も一例であることは言うまでもない。
また、本実施形態で説明したプリンタ10は、記録媒体上へ画像(文字を含む)を記録するものであったが、本発明のプリンタ10は、これに限定されるものではない。また、吐出する液体もインクに限定されるものではない。例えば半導体や液晶表示器等のパターン形成のためにシート状の基板に液滴を吐出するパターン形成装置等の他の液滴吐出記録装置にも適用することができる。
本発明の実施の形態に係る液滴吐出装置を示す概略斜視図である。 本発明の実施の形態に係る液滴吐出装置の構成を示すブロック図である。 本発明の実施の形態に係る液滴吐出装置の駆動制御回路及び液滴吐出ヘッドの概略構成を示す図である。 圧電素子の変形量を測定する際に印加する電圧波形の一例を示す波形図である。 バイアス電圧毎の圧電素子の変形量の変化を示すグラフである。 圧電素子の静電容量を測定する際に印加する電圧波形の一例を示す波形図である。 バイアス電圧毎の圧電素子の静電容量の変化を示すグラフである。 圧電素子を2次元モデルとしてモデル化した図である。 変形量の二乗を静電容量で除算することにより得られる値とバイアス電圧との関係を示したグラフである。 (A)は、圧電素子を2次元モデルとしてモデル化した図であり、(B)、(C)は、(A)において、曲げモーメントが発生した状態をモデル化した図である。
符号の説明
10 プリンタ(液滴吐出装置)
46 圧力室
46A 振動板
52 圧電素子
60 保護膜
62 アクチュエータ(圧電アクチュエータ)

Claims (8)

  1. 圧力室の一部を構成する振動板の表面に形成され、撓み変形可能な圧電素子と、
    前記圧電素子の表面に設けられ該圧電素子を保護する保護膜と、
    を備え、
    前記保護膜の膜応力をσ[MPa]、膜厚をt[μm]、前記圧電素子の横効果の圧電定数をd31[pm/V]、ヤング率をE[Gpa]、厚さをt[μm]としたときに、
    0.35≦2・σ・t/d31・E・t≦1.29
    の関係を満たすことを特徴とする液滴吐出装置。
  2. 前記保護膜の膜応力をσ[MPa]、膜厚をt[μm]、前記圧電素子の横効果の圧電定数をd31[pm/V]、ヤング率をE[Gpa]、厚さをt[μm]としたときに、
    0.71≦2・σ・t/d31・E・t≦0.86
    の関係を満たすことを特徴とする請求項1に記載の液滴吐出装置。
  3. 前記保護膜が、低透水性の耐湿保護膜であることを特徴とする請求項1又は2に記載の液滴吐出装置。
  4. 前記圧電素子の厚さが、好ましくは1μm以上20μm以下であることを特徴とする請求項1〜3の何れか1項に記載の液滴吐出装置。
  5. 前記保護膜は、無機系の材料で構成されていることを特徴とする請求項1〜4の何れか1項に記載の液滴吐出装置。
  6. 前記保護膜は、Si(シリコン)をベースとした酸化膜、窒化膜、または酸窒化膜であることを特徴とする請求項5に記載の液滴吐出装置。
  7. 前記圧電素子は、真空堆積法で形成されたことを特徴とする請求項1〜6の何れか1項に記載の液滴吐出装置。
  8. 前記圧電素子の作用により撓み変形する圧電アクチュエータの中立軸が、該圧電素子と前記振動板の接合部であることを特徴とする請求項1〜7の何れか1項に記載の液滴吐出装置。
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