JP5273897B2 - 耐熱性を有するメタクリル樹脂の製造方法 - Google Patents

耐熱性を有するメタクリル樹脂の製造方法 Download PDF

Info

Publication number
JP5273897B2
JP5273897B2 JP2005141289A JP2005141289A JP5273897B2 JP 5273897 B2 JP5273897 B2 JP 5273897B2 JP 2005141289 A JP2005141289 A JP 2005141289A JP 2005141289 A JP2005141289 A JP 2005141289A JP 5273897 B2 JP5273897 B2 JP 5273897B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
methacrylate
methacrylic resin
polymerization
producing
heat resistance
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Active
Application number
JP2005141289A
Other languages
English (en)
Other versions
JP2006316189A (ja
Inventor
榮三郎 樋口
勝好 笹川
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Nitto Jushi Kogyo Co Ltd
Original Assignee
Nitto Jushi Kogyo Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Nitto Jushi Kogyo Co Ltd filed Critical Nitto Jushi Kogyo Co Ltd
Priority to JP2005141289A priority Critical patent/JP5273897B2/ja
Publication of JP2006316189A publication Critical patent/JP2006316189A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP5273897B2 publication Critical patent/JP5273897B2/ja
Active legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Landscapes

  • Macromonomer-Based Addition Polymer (AREA)

Description

本発明は、耐熱性を有するメタクリル樹脂の製造方法に関し、更に詳しく言えば、150℃以上のガラス転移点を有するメタクリル樹脂の製造方法に関する。本発明に係る製造方法で得られたメタクリル樹脂は、例えば飛行機、船舶、自動車等の運輸機械、あるいは、工作機械、電気機器、化学プラント等において、エンジン、モータ、反応器などの影響により高温環境となる箇所で使用される諸要素、特に光学要素の材料として採用するに好適な材料を提供する。
メタクリル樹脂は従来より種々のものが知られており、メチルメタクリレートの単独重合体(ポリメチルメタクリレート)はその代表的なものの1つである。PMMAと略称されるこの材料は、光透過性に優れていること、ガラスに較べて軽量で割れにくいこと、安価であることなどから、例えば照明機器のカバーや乗用車のメーターカバー等の用途で幅広く使用されている。
しかし、このPMMAには、近年高まっている耐熱性に対する要望に十分答えられないという問題がある。即ち、昨今の如く種々のディスプレー装置が広い範囲に使用されるに及び、その製造時あるいは使用時に高温度や高湿度に曝されても材料変形等の支障を生じない樹脂材料に対する要望が強まっているところであるが、PMMAは例えば100℃を上回るような環境には到底耐えられない。また、かなりの吸水性を示し、多湿環境に対する耐性も高くない。そのため、PMMAの使用範囲には自ずと制限があるのが実状である。
このような背景の下、種々の改良技術が提案されつつある。その1つとして、メチルメタクリレート(MMA)と、α−メチルスチレン、フェニルメタクリレート、イソボルニルメタクリレートなどの単官能モノマーとを共重合させることにより、耐熱性や低吸水性を向上させる手法がある。しかし、この方法による耐熱性および低吸水性の向上は不十分であり、特に150℃に迫るような高温環境に耐える耐熱性は得られない。
また別の方法としては、メチルメタクリレートと、エチレングリコールジメタクリレートやネオペンチルグリコールジメタクリレートなどの多官能メタクリレートとを共重合させる提案がある。この方法の場合、多官能メタクリレートの使用割合を高めて、耐熱性を高度に向上させようとすると、架橋構造を有する場合に起こる重合の制御の困難性が著しくなり、この方法にも自ずと限界がある。
なお、これら改良に関連する従来技術を記載した具体例としては、下記特許文献1,2があるが、いずれも本発明が要件とする成分の組み合わせと一致するものは開示されておらず、本発明に係る樹脂の特性、特に耐熱特性について、本発明が要件としている「ガラス転移点が150℃以上」を達成した例は示されていない。
特開平8−258172号公報 特開平11−22508号公報
本発明は、従来技術の上記した状況を改善しようとするものであり、基本的な目的は、耐熱性に優れたメタクリル樹脂の製造方法を提供することにある。また、本発明は、併せて、耐熱性を確保しつつ、吸湿性の点でも問題を生じないメタクリル樹脂の製造方法を提供することをも企図している。更に、本発明は、耐熱性に優れ高温環境下でも光透過性を維持でき、光学部材への適用性の優れたメタクリル樹脂の製造方法を提供することも企図している。
本発明者は前述の要望に鑑み、前記の問題点を解決すべく鋭意研究及び実験を遂行した行った結果、2種以上の特定の脂肪族環を有するジメタクリレートを、単官能モノマーであるメタクリレートと適当な範囲の重合成分比率で重合させることで、高度の耐熱性を有するメタクリル樹脂が得られることを見出し、本発明に至ったものである。
即ち、本発明は、150℃以上のガラス転移点を有するメタクリル樹脂の製造方法を提供するものであり、(i)脂肪族環を有するジイソシアネート1モルに対して、2−ヒドロキシプロピルメタクリレートまたは2−ヒドロキシエチルメタクリレート2モルの割合でウレタン化反応させてウレタンジメタクリレートを第1の重合材料として得る段階と、
(ii)トリシクロデカンジメタノールジメタクリレートを第2の重合材料とし、単官能メタクリレートを第3の重合材料とし、前記第1の重合材料をx(重量%)、前記第2の重合材料をy(重量%)、前記第3の重合材料をz(重量%)とする混合比で混合したメタクリレート混合物を重合反応させる段階とを含み、前記x、前記y及び前記zは、x+y+z=100を満たし、且つ、各々5≦x≦90、5≦y≦90、5≦z≦35の範囲にあることを基本的な特徴とする。
記の「脂肪族環を有するジイソシアネート」としては、例えばイソホロンジイソシアネート、ビス(イソシアネートメチル)ビシクロヘプタン、ビス(イソシアネートメチル)シクロヘキサン及びビス(イソシアネートシクロヘキシル)メタンなどがある。なお、このようなジイソシアネートと2−ヒドロキシプロピルメタクリレートまた2−ヒドロキシエチルメタクリレー卜とのウレタン化反応に際しては、例えばスズ触媒などが用いられる。得られるウレタンジメタクリレートの構造は、一般に、下記化学式1([化1])のようなものとなる。化学式1中、“A”は、脂肪族環を表わし、“R”は水素またはメチル基を表わす。また、m,nはいずれも0または1以上の整数を表わす。
Figure 0005273897
次に、第2の重合材料であるトリシクロデカンジメタノールジメタクリレートとしては、例えば商品名「NKエステルDCP」(新中村化学工業株式会杜製)が市販されており、入手可能である。
更に、第3の重合材料としては種々の単官能モノマーであるメタクリレートが採用できるが、典型例としては、メチルメタクリレート、イソボルニルメタクリレート、t−ブチルメタクリレートなどがある。また、その他にも、エチルメタクリレート、n−ブチルメタクリレート、i−ブチルメタクリレート、エチルヘキシルメタクリレート、シクロヘキシルメタクリレート、ステアリルメタクリレート、ジシクロペンタニルメタクリレート等も使用可能である。
本発明では、第1〜第3の重合材料の重合成分比について、三者の和を100重量%とする条件下で、(1)ジメタクのウレタンジメタクリレートの割合は5重量%〜90重量%の範囲、(2)トリシクロデカンジメタノールジメタクリレートの割合は5重量%〜90重量%、(3)単官能モノマーであるメタクリレートの割合は5重量%〜35重量%としている。
ここで、上記(1)における下限を5重量%としたのは、ウレタンジメタクリレートが5重量%未満になると重合の制御が困難となり、重合物にシワが発生する、均質な重合が進みにくくなる等の問題を生じ易くなるとともに、実施の形態で後述するように注型重合による場合、反応途中で離型するおぞれがあるからである。
また、上記(1)における上限を90重量%としたのは、上記(2),(3)の条件との関連によるが、ウレタンジメタクリレートが本来持っている高吸水性が重合体(共重合体)に顕出しないようにする意味もある。
一方、上記(2)における下限を5重量%としたのは、トリシクロデカンジメタノールジメタクリレートの重合成分比率を5重量%未満とすれば、得られる樹脂のガラス転移点が低下し、150℃以上の要件を満たし難くなるからである。上限の90重量%は、基本的に上記(2),(3)の条件に由来する。
更に、上記(3)における下限を5重量%としたのは、単官能モノマーであるメタクリレートの重合成分比率を5重量%未満とすると、第1〜第3の重合材料からなるメタクリレート混合物の粘度が非常に高い粘度を示し、製造過程での取扱いが難しくなるからである。特に、実施の形態で後述するように注型重合による場合、型への注入自体が円滑に行えなくなるからである。即ち、第1の重合材料であるウレタンジメタクリレートの粘度は103mPa・s(以下、粘度を示す数値はいずれも常温下)のオーダー(1000mPa・s以上)、第2の重合材料であるの粘度は102mPa・s(旧単位cps)のオーダー(100mPa・s以上)と非常に高く、硬い水飴のような状態を呈する。
そこでこれら第1、第2の重合材料に比してはるかに低い粘度を示す「単官能モノマーであるメタクリレート」を添加し、メタクリレート混合物全体としての粘度を低下させることが必要になる。本発明で第3の重合材料として採用する、単官能モノマーであるメタクリレートが示す粘度は、一般に、第1の重合材料のが示す粘度(1000以上)と比べて2桁程度低く、第2の重合材料が示す粘度(100以上)と比べても少なくとも1桁程度低い。例えば第2の重合材料の典型例とした、メチルメタクリレートの粘度は1.3mPa・sであり、イソボルニルメタクリレートの粘度は6mPa・sである。
その他、エチルメタクリレート、n−ブチルメタクリレート、i−ブチルメタクリレート、t−ブチルメタクリレート、エチルヘキシルメタクリレート、シクロヘキシルメタクリレート、ステアリルメタクリレート、ジシクロペンタニルメタクリレート等についてもその粘度は、数mPa・sから高々10数mPa・s(ステアリルメタクリレートで10mPa・s、ジシクロペンタニルメタクリレートで11〜13mPa・s)である。一方、上限を35重量%としたのは、上記(1),(2)の条件との関連によるもので、第1及び第2の重合材料の和x+yが65を下回ると、目指す特性(特に、耐熱性;Tg≧150℃)が実現し難くなるからである。
本発明に係るメタクリル樹脂の製造方法の基本的長所は、150℃以上というガラス転移点が示すように、耐熱性に優れたメタクリル樹脂が得られることである。また、同材料の光学部材への適用を想定した場合には、この高耐熱性は、高温環境下でも光透過性が維持されるという利点をも意味している。
また、これに加えて、本発明に係る製造方法により得られるメタクリル樹脂は、PMMA等に比して吸水性が低く、高温多湿条件にも高い耐性を示す。また、脆性が特に高くなるといった問題も生じない。即ち、本発明に係るメタクリル樹脂は高耐熱性を具備するが、そのために、吸水性が高くなったり、脆さで特に問題を生じるといった欠点が顕われることはない。
更に、後述する通り、本発明に係るメタクリル樹脂の製造方法は、注型重合によるのが容易であるが、鋳型の中で重合して離型された樹脂は、例えば光学部材として離型後の加工工程に要求される高温度、高湿度や水洗などの条件下でも、高度の光透過性を長期間維持することができる。
このような利点を総合的に考えた時、本発明に係るメタクリル樹脂の製造方法は、例えば飛行機、ヘリコプタ、船舶、車両、あるいは、製造工場現場や化学プラント等において使用される機械類における各種機器(例えばディスプレイ、計器類)のための光学部材に優れた適用性を示すメタクリル樹脂の提供に資するということができる。
下、本発明に係るメタクリル樹脂の製造方法について詳しく説明する。
既述の通り、本発明により製造されるメタクリル樹脂は、基本的に共重合体(微量の共存物の存在はあり得る)であり、その原材料は請求項1で規定した第1の重合材料(脂肪族環を有するジイソシアネート1モルに対して、2−ヒドロキシプロピルメタクリレートまたは2−ヒドロキシエチルメタクリレート2モルの割合でウレタン化反応させて得られるウレタンジメタクリレート)及び第2の重合材料(トリシクロデカンジメタノールジメタクリレート)である。
これら第1の重合材料と第2の重合材料を重合させるにあたっては、注型重量によることが好ましい。また、重合反応のタイプで言えば、ラジカル重合とすれば良い。その際の重合開始/促進のためのエネルギ供給タイプは、熱重合でも、光重合でも良いが、体積の大きいものについては熱重合が適している。熱重合の場合、重合開始剤とじて通常広く使用されているベンゾイルパーオキサイド、t−ブチルパーオキシ(2−エチルヘキサノエート)、ラウロイルパーオキサイド、1,1−ジ(t−ブチルパーオキシ)−3,3,5−トリメチルシクロヘキサンなどの過酸化物、あるいは、2,2’−アゾビス−2,4−ジメチルバレロニトリル、アゾビスイソブチロニトリルなどのアゾ系化合物を用いることができる。
また、熱重合を行う場合の加熱温度は、得られるメタクリル樹脂のガラス転移点を極力高めるために、できるだけ高温とすることが好ましいが、工業的な生産性を考慮すれば、少なくとも120〜150℃まで加熱することが望ましい。
に、本発明に係るメタクリル樹脂の製造法について、いくつかの実施例及び比較例を例示して、具体的に説明する。これら実施例及び比較例の記載において、「部」は重量部を示す。また、諸物性は下記の試験方法により測定した。
(1)光線透過率;JIS(日本工業規格)のK−7105(プラスチックの光学的特性試験方法)の測定法Aに規定する全光線透過率(%)とへーズ値(%)を、村上色彩研究所株式会社製のヘーズメーターHM−150で測定した。
(2)ガラス転移点;島津製作所製のDSC−50で測定した。
(3)吸水性(%);JIS(日本工業規格)のK・7209に準処して測定した。
[比較例1]
先ず、最も典型的なメタクリル樹脂であるポリメチルメタクリル(PMMA)について、光透過性、耐熱性、及び、吸水性を確認した。
即ち、市販の1mm厚のポリメチルメタクリル(PMMA)板を入手し、光線透過率、ヘーズ値、吸水率及びガラス転移点の測定を行った。その結果、光線透過率は93%、ヘーズ値は0.1%、ガラス転移点は105℃、吸水率は0.4%であった。
イソホロンジイソシアネート1モルに対して、2−ヒドロキシプロビルメタクリレート2モルをウレタン化反応させて得るウレタンジメタクリレート40部と、トリシクロデカンジメタノールジメタクリレート50部と、メチルメタクリレート10部とを混合し、更に、ラウロイルパーオキサイド2部及び1,1−ジ(t−ブチルパーオキシ)−3,3,5−トリメチルシクロヘキサン0.5部を加えて撹拌混合した。
脱泡した液を2枚のガラス板及び1mm厚のシリコンスペーサーで構成された20cm角の鋳型に注入し、熱風炉に入れて40℃で5時間、50℃で5時間、更に140℃で5時間加熱した後、80℃まで冷却して鋳型から剥離し、透明な樹脂板を得た。この樹脂の光線透過率は92%、ヘーズ値は0.1%、ガラス転移点は235℃、吸水率は0.18%であった。この結果を比較例1におけるものと比べてみると、光透過性はほぼ同等であるが、耐熱性及び吸水性では、明らかに比較例1より優れている。特に、235℃というガラス転移点は従来では考えられない画期的な数値である。
実施例1におけるウレタンメタクリレート40部を25部に、トリシクロデカンジメタノールジメタクリレー卜50部を45部に、メチルメタクリレート10部を30部に代えた以外は、実施例1と同じプロセスを経て透明な樹脂板を得た。この樹脂の光線透過率は92%、ヘーズ値は0.1%、ガラス転移点は182℃、吸水率は0.25%であった。この結果を比較例1におけるものと比べてみると、光透過性はほぼ同等であるが、耐熱性及び吸水性では、比較例1よりはるかに優れている。特に、182℃いうガラス転移点は非常に高い耐熱性を表わしている。
実施例2におけるメチルメタクリレート30部の代わりにイソボルニルメタクリレート30部に代えた以外は、実施例2と同じプロセスを経て、透明な樹脂板を得た。この樹脂の光学透過率は91%、ヘーズ値は0.2%、ガラス転移点は160℃、吸水率は0.20%であった。この結果を比較例1におけるものと比べてみると、光透過性はほぼ同等であるが、耐熱性及び吸水性では、比較例1より優れていることが明瞭である。
実施例1における2−ヒドロキシプロビルメタクリレートの代わりに2−ヒドロキシエチルメタクリレートを用いる以外は実施例と同じプロセスを経て、透明な樹脂板を得た。この樹脂の光線透過率は92%、ヘーズ値は0.1%、ガラス転移点は210℃、吸水率は0.20%であった。この結果を比較例1におけるものと比べてみると、光透過性はほぼ同等であるが、耐熱性及び吸水性では、比較例1よりはるかに優れている。特に、210℃というガラス転移点は非常に高い耐熱性を表わして。
実施例2におけるイソホロンジイソシアネートの代わりにビス(イソシアネートメチル)ビシクロヘプタンを用いる以外は実施例2と同じプロセスを経て、透明な樹脂板を得た。この樹脂の光線透過率は91%であり、ヘーズ0.1%、ガラス転移点は188℃、吸水率は0.26%であった。この結果を比較例1におけるものと比べてみると、光透過性はほぼ同等であるが、耐熱性及び吸水性では、比較例1より優れていることが明瞭である。
実施例1におけるイソホロンジイソシアネートの代わりにビス(イソシアネートメチル)シクロヘキサンを用いる以外は実施例1と同じプロセスを経て、透明な樹脂板を得た。この樹脂の光線透過率は92%、ヘーズ値は0,1%、ガラス転移点は158℃、吸水率0.26%であった。この結果を比較例1におけるものと比べてみると、光透過性はほぼ同等であるが、耐熱性及び吸水性では、比較例1より優れていることが明瞭である。
実施例1におけるウレタンメタクリレート40部を7部に、トリシクロデカンジメタノールジメタクリレー卜50部を83部に代えた以外は、実施例1と同じプロセスを経て透明な樹脂板を得た。この樹脂の光線透過率は92%、ヘーズ値は0.1%、ガラス転移点は220℃、吸水率は0.12%であった。この結果を比較例1におけるものと比べてみると、光透過性はほぼ同等であるが、耐熱性及び吸水性では、比較例1よりはるかに優れている。特に、220℃いうガラス転移点は非常に高い耐熱性を表わしている。
ビス(イソシアネートメチル)シクロヘキサン1モルに対して、2−ヒドロキシプロビルメタクリレート2モルをウレタン化反応させて得るウレタンジメタクリレート85部と、トリシクロデカンジメタノールジメタクリレート8部と、t−ブチルメタクリレート7部とを混合し、更に、ラウロイルパーオキサイド2部及び1,1−ジ(t−ブチルパーオキシ)−3,3,5−トリメチルシクロヘキサン0.5部を加えて撹拌混合した。
脱泡した液を2枚のガラス板及び1mm厚のシリコンスペーサーで構成された20cm角の鋳型に注入し、熱風炉に入れて40℃で5時間、50℃で5時間、更に140℃で5時間加熱した後、80℃まで冷却して鋳型から剥離し、透明な樹脂板を得た。この樹脂の光線透過率は91%、ヘーズ値は0.2%、ガラス転移点は168℃、吸水率は0.38%であった。この結果を比較例1におけるものと比べてみると、光透過性はほぼ同等であるが、耐熱性及び吸水性では、明らかに比較例1より優れている。
[比較例2]
イソホロンジイソシアネート1モルに対して2−ヒドロキシプロピルメタクリレート2モルをウレタン化反応させて得るウレタンメタクリレート40部をメチルメタクリレート60部と混合し、更に、ラウロイルパーオキサイド1部および1,1−ジ(t−ブチルパーオキシ)−3,3,5−トリメチルシクロヘキサン1部を加えて撹拌混合した。そして、脱泡した液を2枚のガラス板及び1mm厚のシリコンスペーサーで構成された20cm角の鋳型に注入し、熱風炉に入れて40℃で5時間、50℃で5時間、更に、140℃で5時間過熱した後、80℃まで冷却して鋳型から剥離して透明な樹脂板を得た。この樹脂の光透過率は92%、ヘーズ値は0.1%、ガラス転移点は143℃、吸水率は0.4%であった
この結果は、比較例2に係るメタクリル樹脂が、本発明で採用される重合材料の内、第1及び第3の重合材料を含んでいるが、第2の重合材料(トリシクロデカンジメタノールジメタクリレート)を含んではいないということを反映している。即ち、光透過性は、上記各実施例及び比較例1とほぼ同等であるが、耐熱性及び吸水性の面で各実施例に劣っている。特に、ガラス転移点が150℃未満であり、耐熱性の目標を達成できていない。これを逆に言えば、本発明において第2の重合材料(トリシクロデカンジメタノールジメタクリレート)は、メタクリル樹脂に高耐熱性と低吸水性(特に前者)を付与する上で極めて重要な役割を果しているということである。
[比較例3]
メチルメタクリレート50部とトリシクロデカンジメタノールジメタクリレート50部の混合物にラウロイルパーオキサイド1部及び1,1−ジ(t−ブチルパーオキシ)−3,3,5−トリメチルシクロヘキサン1部を加えて撹拌混合した。脱泡後、2枚のガラス板及び1mm厚のシリコンスペーサー構成された20cm角の鋳型に注入し、熱風炉に入れて40℃で5時間、50℃で5時間、更に、140℃で5時間加熱した後80℃まで冷却し、鋳型から剥離して透明な樹脂板を得た。
しかし、この樹脂板は極めて脆く、試験に供することができなかった。この結果は、比較例3に係るメタクリル樹脂が、本発明で採用される重合材料の内、第2及び第3の重合材料を含んでいるが、第1の重合材料(脂肪族環を有するジイソシアネート1モルに対して、2−ヒドロキシプロピルメタクリレートまたは2−ヒドロキシエチルメタクリレート2モルの割合でウレタン化反応させて得られるウレタンジメタクリレート)を含んではいないということを反映している。
即ち、たとえ本発明で採用される第2及び第3の重合材料を採用して注型/ラジカル重合を行っても、第1の重合材料を欠けば、特性測定さえ困難な程脆い材料しか得られないということである。つまり、本発明において第1の重合材料は(上記ウレタンジメタクリレート)は、メタクリル樹脂に実用に耐える低脆性を付与する上で極めて重要な役割を果していると考えることができる。

Claims (5)

  1. 150℃以上のガラス転移点を有するメタクリル樹脂の製造方法であって、
    (i)脂肪族環を有するジイソシアネート1モルに対して、2−ヒドロキシプロピルメタクリレートまたは2−ヒドロキシエチルメタクリレート2モルの割合でウレタン化反応させてウレタンジメタクリレートを第1の重合材料として得る段階と、
    (ii)トリシクロデカンジメタノールジメタクリレートを第2の重合材料とし、単官能メタクリレートを第3の重合材料とし、
    前記第1の重合材料をx(重量%)、前記第2の重合材料をy(重量%)、前記第3の重合材料をz(重量%)とする混合比で混合したメタクリレート混合物を重合反応させる段階とを含み、
    前記x、前記y及び前記zは、x+y+z=100を満たし、且つ、各々5≦x≦90、5≦y≦90、5≦z≦35の範囲にあることを特徴とする、前記メタクリル樹脂の製造方法
  2. 前記脂肪族環を有するジイソシアネートは、イソホロンジイソシアネート、ビス(イソシアネートメチル)ビシクロヘプタン、ビス(イソシアネートメチル)シクロヘキサン、及び、ビス(イソシアネートシクロヘキシル)メタンからなるグループの中から選ばれる、請求項1に記載されたメタクリル樹脂の製造方法
  3. 前記第3の重合材料がメチルメタクリレートである、請求項1または請求項2に記載されたメタクリル樹脂の製造方法
  4. 前記第3の重合材料がイソボルニルメタクリレートである、請求項1または請求項2に記載されたメタクリル樹脂の製造方法
  5. 前記第3の重合材料がt−ブチルメタクリレートである、請求項1または請求項2に記載されたメタクリル樹脂の製造方法
JP2005141289A 2005-05-13 2005-05-13 耐熱性を有するメタクリル樹脂の製造方法 Active JP5273897B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2005141289A JP5273897B2 (ja) 2005-05-13 2005-05-13 耐熱性を有するメタクリル樹脂の製造方法

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2005141289A JP5273897B2 (ja) 2005-05-13 2005-05-13 耐熱性を有するメタクリル樹脂の製造方法

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2006316189A JP2006316189A (ja) 2006-11-24
JP5273897B2 true JP5273897B2 (ja) 2013-08-28

Family

ID=37537140

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2005141289A Active JP5273897B2 (ja) 2005-05-13 2005-05-13 耐熱性を有するメタクリル樹脂の製造方法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP5273897B2 (ja)

Families Citing this family (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US10562996B2 (en) 2015-02-06 2020-02-18 Mitsubishi Gas Chemical Company, Inc. Curable resin composition, cured product, and laminate
KR102282921B1 (ko) * 2019-12-30 2021-07-28 연세대학교 산학협력단 광경화형 스트레처블 우레탄계 엘라스토머 조성물 및 그 제조방법

Family Cites Families (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPH07103195B2 (ja) * 1987-10-14 1995-11-08 株式会社日立製作所 光学用材料
JP3547770B2 (ja) * 1993-01-14 2004-07-28 三菱レイヨン株式会社 プラスチック光ファイバー
JP2871500B2 (ja) * 1994-12-28 1999-03-17 竹本油脂株式会社 光学的立体造形用樹脂及び光学的立体造形用樹脂組成物
JP4187566B2 (ja) * 2003-03-31 2008-11-26 三菱レイヨン株式会社 光ディスク用活性エネルギー線硬化性組成物、及び光ディスク

Also Published As

Publication number Publication date
JP2006316189A (ja) 2006-11-24

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP5224965B2 (ja) 樹脂硬化物およびキーシート
KR101726201B1 (ko) 2액 경화형 피복제
CA2523755C (en) Curable resin composition
JPH05271383A (ja) 高屈折率光学材料およびその製造法
EP2088164A1 (en) (meth)acrylate copolymer for syrup and resin composition thereof
JP2009040955A (ja) 重合用樹脂組成物およびその賦型物
JP6430001B2 (ja) 無光コーティング組成物、無光コーティングシート及びこの製造方法
KR20010043076A (ko) 아크릴계 프리믹스, 아크릴계 인조 대리석 및 그의 제조방법
US7589147B2 (en) Resin composition for thermal conductive material and thermal conductive material
JP2011256307A (ja) 注型用活性エネルギー線硬化性樹脂組成物および光学部品
JP5273897B2 (ja) 耐熱性を有するメタクリル樹脂の製造方法
KR20170097658A (ko) 수지 시트 제조용 경화형 조성물
JP5284815B2 (ja) 注型用活性エネルギー線重合性樹脂組成物、その硬化物
CN105849161A (zh) 树脂成形体、及其用途
TW201213462A (en) Hard coat film and front protection plate
JP2011033875A (ja) 光学レンズ用エネルギー線硬化型樹脂組成物及び光学レンズ
JP7028172B2 (ja) 熱硬化型組成物
CN108603953B (zh) 光扩散剂、光扩散性树脂组合物和成型体
JP6789037B2 (ja) アクリル系樹脂組成物及びそれを用いて作製された物品、並びにアクリル系樹脂組成物の製造方法
JP2004346315A (ja) 硬化性樹脂組成物、成形材料及び燃料電池セパレーター
JP2013043902A (ja) 硬化性樹脂組成物及び硬化物
JP2011184588A (ja) 光硬化型樹脂組成物、及びこれを用いてなるフィルム導光板
JP2011063726A (ja) 成形用アクリル樹脂組成物
JP2011080001A (ja) 注型用活性エネルギー線重合性樹脂組成物、その硬化物
JP2017122145A (ja) 重合組成物ならびに重合体及び成形体の製造方法

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20080404

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20100127

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20100406

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20100607

A02 Decision of refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A02

Effective date: 20110517

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20110824

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20130514

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

Ref document number: 5273897

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250