JP6789037B2 - アクリル系樹脂組成物及びそれを用いて作製された物品、並びにアクリル系樹脂組成物の製造方法 - Google Patents

アクリル系樹脂組成物及びそれを用いて作製された物品、並びにアクリル系樹脂組成物の製造方法 Download PDF

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本発明は、アクリル系樹脂組成物、及びそれを用いて作製された物品、並びにアクリル系樹脂組成物の製造方法に関する。
アクリル系樹脂は、その原料となるアクリル系単量体の種類が豊富であるため、使用する原料単量体の種類によって、様々な性質のものが存在し、それ故、多種多様な分野で使用されている。中でも、アクリル系樹脂は、一般的に、硬度が高く、透明性及び耐候性等に優れた性質を有するものが多いことから、ディスプレイ、レンズ、及び光学フィルム等の光学用途、接着剤、粘着剤、コーティング剤、塗料、インク、合成皮革、並びに加飾フィルム等として、幅広く使用されている。
一例として、特許文献1には、二重結合及び紫外線吸収基を有する化合物に由来する構成単位と、二重結合及び芳香族基を有する化合物に由来する構成単位とを含む、高屈折率ポリマーに関する発明が開示されている。特許文献1には、高屈折率ポリマーの原料化合物として、アクリル系モノマーを使用可能であることが記載されている。
特開2014−201735号公報
上述の特許文献1に開示された高屈折率ポリマーの使用によって、耐光性に優れているとともにブリードアウトが発生し難い高屈折率な物品を製造することが可能である。
しかしながら、本発明者らの検討により、特許文献1に開示された高屈折率ポリマーの原料(モノマー等)を用いて得られたアクリル系樹脂を使用して塗膜を形成した場合、原料の選択によっては、塗膜の透明性が乏しいことが判明した。また、本発明者らの検討により、アクリル系樹脂の原料として、特許文献1に開示されたようなポリシロキサン構造を含むオリゴマーを用いることで、耐傷付き性に優れた塗膜を形成可能であることが判明したが、その塗膜には濁りがあり、透明性に乏しいことが分かった。透明性に乏しいアクリル系樹脂は、意匠を必要とする用途においては使用が難しくなるため、その用途が制限されることとなる。さらに、本発明者らの検討の結果、透明性の高い膜が得られることを考慮して、すなわち、塗膜の意匠性を考慮して、ポリシロキサン構造を含むオリゴマーの使用量を減少させた場合、満足な耐傷付き性を得難いことが分かった。
そこで、本発明は、良好な耐傷付き性と意匠性を有するアクリル系樹脂製品の製造に有用なアクリル系樹脂組成物を提供しようとするものである。
本発明は、重合性二重結合及び炭素原子数14以上のアルキル基を有する化合物(A)に由来する構成単位(a)と、重合性二重結合及びヒドロキシ基を有する化合物(B)に由来する構成単位(b)とを含むアクリル系樹脂を含有するアクリル系樹脂組成物を提供する。
本発明によれば、良好な耐傷付き性と意匠性を有するアクリル系樹脂製品の製造に有用なアクリル系樹脂組成物を提供することができる。
以下、本発明の実施の形態について説明するが、本発明は以下の実施の形態に限定されるものではない。
<アクリル系樹脂組成物>
本発明の一実施形態のアクリル系樹脂組成物(以下、単に「樹脂組成物」と記載することがある。)は、アクリル系樹脂を含有する。以下、このアクリル系樹脂について詳述する。
(アクリル系樹脂)
アクリル系樹脂は、重合性二重結合及び炭素原子数14以上のアルキル基を有する化合物(A)に由来する構成単位(a)と、重合性二重結合及びヒドロキシ基を有する化合物(B)に由来する構成単位(b)とを含む。構成単位(a)及び構成単位(b)を含むアクリル系樹脂を含有する樹脂組成物によって、耐傷付き性に優れ、かつ濁りがなく透明性の高い膜を形成することが可能となる。よって、その樹脂組成物は、良好な耐傷付き性と意匠性を有するアクリル系樹脂製品の製造に有用である。なお、本明細書において、「意匠性を有する」とは、濁りがなく、透明性が高いことを意味する。また、「アクリル系樹脂製品」(以下、単に「樹脂製品」と記載することがある。)には、アクリル系樹脂組成物によって形成される膜、フィルム、及びシート、並びにアクリル系樹脂組成物による成形体等が含まれる。
(化合物(A))
化合物(A)は、その分子構造中に、重合性二重結合、及び炭素原子数14以上のアルキル基(以下、「長鎖アルキル基」と記載することがある。)を有する化合物である。アクリル系樹脂は、重合性二重結合及び長鎖アルキル基を有する化合物(A)に由来する構成単位(a)を含むため、優れた滑性、離型性、及び撥水性を有することが可能である。
本明細書において、「重合性二重結合」とは、重合反応性を有する二重結合をいう。化合物(A)が有する重合性二重結合としては、重合反応性を有する炭素−炭素二重結合が好ましい。好適な重合性二重結合を有する基としては、アクリロイル基、メタクリロイル基、並びにビニル基及びアリル基等のアルケニル基等を挙げることができる。これらのうち、反応性、並びに入手及び合成の容易さ等の観点から、アクリロイル基及びメタクリロイル基がより好ましい。化合物(A)は、重合性二重結合を1又は2以上有していてもよい。
化合物(A)が有する炭素原子数14以上のアルキル基は、直鎖状でも分枝状でもよく、また、例えばヒドロキシ基、アルコキシ基、及びハロゲン等で置換されていてもよい。炭素原子数14以上のアルキル基としては、例えば、テトラデシル基、ペンタデシル基、ヘキサデシル基、ヘプタデシル基、オクタデシル基、ノナデシル基、イコシル基、エイコシル基、ヘンイコシル基、ヘンエイコシル基、ドコシル基、テトラコシル基、ヘキサコシル基、及びオクタコシル基等を挙げることができる。化合物(A)は、炭素原子数14以上のアルキル基を1又は2以上有していてもよい。
樹脂組成物が構成単位(a)を含むアクリル系樹脂を含有することで、滑性、離型性、及び撥水性に優れた樹脂製品を製造可能なように、化合物(A)が有するアルキル基の炭素原子数は16以上であることがより好ましく、さらに好ましくは18以上である。また、化合物(A)が有するアルキル基の炭素原子数が大き過ぎると、樹脂の結晶性が強くなることで白化による意匠性の低下が起こる可能性があることから、アルキル基の炭素原子数は32以下であることが好ましい。
化合物(A)の具体例としては、テトラデシル(メタ)アクリレート、ヘキサデシル(メタ)アクリレート、セチル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート、イソステアリル(メタ)アクリレート、イコシル(メタ)アクリレート、及びベヘニル(メタ)アクリレート等の(メタ)アクリル酸エステル系化合物、並びにテトラデシルアクリルアミド、ヘキサデシルアクリルアミド、ステアリルアクリルアミド、及びN,N−ジオクタデシルアクリルアミド等の(メタ)アクリル酸アミド系化合物等を挙げることができる。化合物(A)の1種を単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。化合物(A)として、セチル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート、イソステアリル(メタ)アクリレート、及びベヘニル(メタ)アクリレートからなる群から選択される少なくとも1種を用いることがより好ましい。なお、本明細書において、「(メタ)アクリレート」の文言には、「アクリレート」及び「メタクリレート」の両方が含まれる。また、「(メタ)アクリル」の文言には、「アクリル」及び「メタクリル」の両方が含まれる。
アクリル系樹脂における構成単位(a)の含有割合は、アクリル系樹脂の全質量を基準として、1〜80質量%であることが好ましく、2〜60質量%であることがより好ましく、3〜40質量%であることがさらに好ましい。アクリル系樹脂中の構成単位(a)の含有割合が1質量%以上であれば、耐傷付き性を発揮し得る滑性を有する樹脂製品を形成し易い樹脂組成物を得ることができる。一方、アクリル系樹脂中の構成単位(a)の含有割合が80質量%以下であれば、後述する構成単位(b)の含有割合を確保できるため、良好な耐傷付き性を有する樹脂製品を形成し易い樹脂組成物を得ることができる。
(化合物(B))
化合物(B)は、その分子構造中に、重合性二重結合及びヒドロキシ基を有する化合物である。ただし、重合性二重結合及びヒドロキシ基を有する化合物のうち、化合物(A)に該当するものは化合物(B)から除くものとする。すなわち、重合性二重結合、ヒドロキシ基、及び炭素原子数14以上のアルキル基を有する化合物は、前述の化合物(A)に該当するものとする。
アクリル系樹脂は、前述の構成単位(a)とともに、重合性二重結合及びヒドロキシ基を有する化合物(B)に由来する構成単位(b)を含むため、良好な耐傷付き性と意匠性を有する樹脂製品の製造に寄与することができる。また、アクリル系樹脂は、化合物(B)に由来する構成単位(b)においてヒドロキシ基を有するため、後述するイソシアネート系架橋剤を使用すれば、それと架橋することができる。
化合物(B)が有する重合性二重結合としては、重合反応性を有する炭素−炭素二重結合が好ましい。好適な重合性二重結合を有する基としては、アクリロイル基、メタクリロイル基、並びにビニル基及びアリル基等のアルケニル基等を挙げることができる。これらのうち、反応性、並びに入手及び合成の容易さ等の観点から、アクリロイル基及びメタクリロイル基がより好ましい。化合物(B)は、重合性二重結合を1又は2以上有していてもよい。
また、化合物(B)は、ヒドロキシ基を1又は2以上有することができる。化合物(B)中のヒドロキシ基の数は1〜4であることが好ましく、1〜3であることがより好ましく、1又は2であることがさらに好ましい。
化合物(B)として、ヒドロキシ基を有する(メタ)アクリル酸エステル系モノマー、及びヒドロキシ基を有する(メタ)アクリル酸アミド系モノマーからなる群から選択される少なくとも1種を用いることが好ましい。これらの化合物(B)は、反応性が良く、アクリル系樹脂の合成が容易であり、また、入手し易いという利点がある。さらに、化合物(B)として、ヒドロキシ基を有する(メタ)アクリル酸アミド系モノマーを用いれば、耐加水分解性を有する樹脂製品が得られ易いという利点がある。
ヒドロキシ基を有する(メタ)アクリル酸エステル系モノマーとしては、例えば、(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシエチル、(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシプロピル、(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシブチル、(メタ)アクリル酸3−ヒドロキシプロピル、(メタ)アクリル酸4−ヒドロキシルブチル、2−ヒドロキシ−3−フェノキシプロピル(メタ)アクリレート、グリセリンモノ(メタ)アクリレート((メタ)アクリル酸2,3−ジヒドロキシプロピル)、ポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコール(メタ)アクリレート、及び1,4−シクロヘキサンジメタノールモノアクリレート等を挙げることができる。化合物(B)として、ヒドロキシ基を有する(メタ)アクリル酸エステル系モノマーの1種を単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
ヒドロキシ基を有する(メタ)アクリル酸アミド系モノマーとしては、例えば、N−(2−ヒドロキシエチル)アクリルアミド、N−(2−ヒドロキシエチル)メタクリルアミド、N−ヒドロキシメチルアクリルアミド、N−ヒドロキシメチルメタクリルアミド、N−(2−ヒドロキシプロピル)メタクリルアミド等を挙げることができる。化合物(B)として、ヒドロキシ基を有する(メタ)アクリル酸アミド系モノマーの1種を単独で、又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
化合物(B)として、(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシエチル、(メタ)アクリル酸4−ヒドロキシブチル、グリセリンモノ(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシ−3−フェノキシプロピル(メタ)アクリレート、及びN−(2−ヒドロキシエチル)(メタ)アクリルアミドからなる群から選択される少なくとも1種を用いることがより好ましい。
上述の(メタ)アクリル酸エステル系モノマー及び(メタ)アクリル酸アミド系モノマー以外の化合物(B)の具体例としては、2−プロペン−1−オール、3−ブテン−1−オール、4−ペンテン−1−オール、5−へキセン−1−オール、4−ヒドロキシスチレン、α−ヒドロキシ−4−メチルスチレン、及びα−メチル−4−ヒドロキシスチレン等を挙げることができる。
(その他の化合物)
アクリル系樹脂は、重合性二重結合と、エポキシ基やカルボキシ基等の官能基を有する化合物(C)(ただし、前述の化合物(A)又は化合物(B)に該当するものを除く。)に由来する構成単位(c)を含んでいてもよい。化合物(C)に由来する構成単位(c)を含むアクリル系樹脂は、メルカプタン、エポキシ樹脂、及びメラミン樹脂等と架橋することが可能となる。そのため、そのアクリル系樹脂を含有する樹脂組成物の使用によって、耐傷付き性、耐光性、及び耐久性等がさらに向上した樹脂製品が期待できる。
重合性二重結合及びエポキシ基を有する化合物(C)としては、例えば、グリシジル(メタ)アクリレート、及び4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレートグリシジルエーテル等を挙げることができる。重合性二重結合及びカルボキシ基を有する化合物(C)としては、例えば、(メタ)アクリル酸等を挙げることができる。化合物(C)の1種を単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
アクリル系樹脂は、重合性二重結合及びハロゲンを有する化合物(D)(ただし、前述の化合物(A)〜(C)のいずれかに該当するものを除く。)に由来する構成単位(d)を含んでいてもよい。化合物(D)を用いることで、アクリル系樹脂の屈折率、ガラス転移点(Tg)、及び耐久性等を調整することが可能である。
化合物(D)が有するハロゲンとしては、フッ素、塩素、及び臭素等を挙げることができる。化合物(D)としては、例えば、2−(パーフルオロブチル)エチルアクリレート、パーフルオロヘキシルエチルアクリレート、2−(パーフルオロブチル)エチルメタクリレート、パーフルオロヘキシルエチルメタクリレート、ヘキサフルオロプロピレン、パーフルオロ(プロピルビニルエーテル)、塩化ビニルモノマー、塩化ビ二リデンモノマー、トリブロモフェニル(メタ)アクリレート、EO変性トリブロモフェニル(メタ)アクリレート、ペンタブロモフェニル(メタ)アクリレート、及びペンタブロモベンジル(メタ)アクリレート等を挙げることができる。化合物(D)の1種を単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
アクリル系樹脂は、その分子構造中に重合性二重結合を有するその他の化合物(E)(ただし、前述の化合物(A)〜(D)のいずれかに該当するものを除く。)に由来する構成単位(e)を含んでいてもよい。
その他の化合物(E)としては、例えば、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、n−プロピル(メタ)アクリレート、イソプロピル(メタ)アクリレート、n−ブチル(メタ)アクリレート、イソブチル(メタ)アクリレート、sec−ブチル(メタ)アクリレート、tert−ブチル(メタ)アクリレート、アミル(メタ)アクリレート、イソアミル(メタ)アクリレート、ヘプチル(メタ)アクリレート、n−オクチル(メタ)アクリレート、イソオクチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、ノニル(メタ)アクリレート、イソノニル(メタ)アクリレート、イソデシル(メタ)アクリレート、ドデシル(メタ)アクリレート、トリデシル(メタ)アクリレート、ジシクロペンタニル(メタ)アクリレート、及びイソボルニル(メタ)アクリレート等のアクリレート系モノマー;並びにアクリロニトリル及びメタクリロニトリル等のアクリロニトリル系モノマー等を挙げることができる。その他の化合物(E)の1種を単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
その他の化合物(E)を用いることで、アクリル系樹脂の屈折率及びガラス転移点(Tg)等を調整することが可能である。その観点から、その他の化合物(E)として、重合性二重結合及び炭素原子数13以下(より好ましくは10以下、さらに好ましくは8以下)のアルキル基を有する化合物を用いることが好ましい。
なお、アクリル系樹脂中の構成単位(a)及び構成単位(b)等の構造の有無、及び構成単位(a)の含有割合等は、例えば、熱分解ガスクロマトグラフィーによる分析、H−NMRによる分析、及び水酸基価の測定等により、確認することが可能である。
(アクリル系樹脂の物性等)
アクリル系樹脂のガラス転移点(Tg)は、通常、−20〜160℃であり、好ましくは0〜120℃、より好ましくは5〜100℃、さらに好ましくは10〜90℃である。また、アクリル系樹脂の重量平均分子量(Mw)は、耐傷付き性、耐光性、及び塗膜性等の諸性能をより満足するために、1,000〜1,500,000であることが好ましく、5,000〜100,000であることがより好ましく、10,000〜100,000であることがさらに好ましい。「塗膜性」とは、膜の形成のし易さと、スジ引きや白化等の無い奇麗な膜になる性質を意味する。なお、本明細書において、「重量平均分子量(Mw)」及び「数平均分子量(Mn)」は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)によって測定されるポリスチレン換算の値である。
(製造方法)
本発明の一実施形態の樹脂組成物の製造方法は、前述の重合性二重結合及び炭素原子数14以上のアルキル基を有する化合物(A)と、重合性二重結合及びヒドロキシ基を有する化合物(B)とを反応させる工程を含む。この工程によって、前述のアクリル系樹脂を合成することができる。
化合物(A)と化合物(B)とを反応させる工程では、化合物(A)及び化合物(B)を含有する重合成分を、乳化重合、懸濁重合、溶液重合、又は塊状重合等の公知の重合方法により、重合することができる。これらの重合には、重合成分に加えて、溶剤、及び重合開始剤、並びに乳化重合の場合に使用する界面活性剤等を用いることができる。例えば、溶液重合においては、重合開始剤の存在下、適当な溶剤中で重合成分を重合することができる。重合成分としては、必要に応じて、前述の化合物(C)〜(E)を使用することもできる。
樹脂組成物の製造方法では、前述の化合物(A)と化合物(B)とを反応させる工程を、例えば乳化重合、懸濁重合、及び溶液重合等で行って、アクリル系樹脂を合成する場合、アクリル系樹脂に加えて、前述の溶剤を含有する樹脂組成物を製造することができる。
溶液重合等の重合に使用可能な溶剤は、重合反応を阻害しないものであれば特に限定されない。溶剤の具体例としては、水;メタノール、エタノール、イソプロピルアルコール、n−プロピルアルコール、n−ブチルアルコール、イソブチルアルコール、tert−ブチルアルコール、n−ペンチルアルコール、エチルセロソルブ、ブチルセロソルブ、プロピレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコール、プロピレングリコール、及びジエチレンングリコール等のアルコール系溶剤;石油エーテル、ヘキサン、及びヘプタン等の脂肪族炭化水素系溶剤;ベンゼン、トルエン、及びキシレン等の芳香族炭化水素系溶剤;ジエチルエーテル、ジブチルエーテル、テトラヒドロフラン(THF)、及びジオキサン等のエーテル系溶剤;メチルエチルケトン、2−ペンタノン、3−ペンタノン、2−ヘプタノン、3−ヘプタノン、2−オクタノン、シクロヘキサノン、シクロペンタノン、及びメチルイソブチルケトン等のケトン系溶剤;酢酸エチル、酢酸プロピル、及び酢酸ブチル等のエステル系溶剤;N,N−ジメチルホルムアミド(DMF)、N,N−ジメチルアセトアミド、及びN−メチルピロリドン(NMP)等のアミド系溶剤を挙げることができる。重合の際には、溶剤の1種を単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。溶剤の使用量は、重合反応の条件によって適宜決定される。通常、重合成分に対して質量比で0.1〜100倍程度、好ましくは0.2〜20倍程度である。
重合開始剤は、特に限定されない。重合開始剤の具体例としては、過酸化ベンゾイル、ジブチルパーオキサイド、及びクメンヒドロパーオキサイド等の過酸化物類;アゾビスイソブチロニトリル、及びアゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)等のアゾ系重合開始剤を挙げることができる。重合の際には、重合開始剤の1種を単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。重合開始剤の使用量は特に限定されないが、通常、重合成分に対して0.1〜10質量%程度(重合成分100質量部に対して0.1〜10質量部程度)である。
重合反応の温度は、反応条件によって適宜設定される。通常は、室温(25℃)〜使用する溶剤の沸点以下の温度であればよい。また、得られるアクリル系樹脂の重合度を調整するために、メルカプタン類等の連鎖移動剤やハイドロキノン等の重合禁止剤を重合反応系に添加してもよい。
樹脂組成物の形態は、固体状であっても、液体状であってもよい。固体状の場合、例えば、粒子状、粉末状、ペレット状、フィルム状、及びシート状等の形態をとることができる。液体状の場合、前述の溶剤によって、溶剤を含有する溶液状及び分散液状等の形態をとることができる。
(架橋剤)
本発明の一実施形態の樹脂組成物は、さらにイソシアネート系架橋剤を含有することが好ましい。イソシアネート系架橋剤は、前述のアクリル系樹脂における構成単位(b)に含まれるヒドロキシ基と反応可能である。そのため、イソシアネート系架橋剤を含有する樹脂組成物によって、耐傷付き性に優れた樹脂製品を製造することが可能となる。
イソシアネート系架橋剤としては、例えば、ジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)、トルエンジイソシアネート(TDI)、ヘキサメチレンジイソシアネート(HDI)、イソホロンジイソシアネート(IPDI)、並びにこれらのトリメチロールプロパンアダクト体、ビウレット変性体、及びヌレート変性体;並びにポリメリックMDI、及び末端イソシアネートプレポリマー等を挙げることができる。
アクリル系樹脂が、前述のエポキシ基やカルボキシ基等の官能基を有する化合物(C)に由来する構成単位(c)を含む場合、樹脂組成物は、構成単位(c)における官能基と反応し得る架橋剤をさらに含有することが好ましい。そのような架橋剤としては、例えば、カルボジイミド架橋剤、オキサゾリン架橋剤、エポキシ架橋剤、及びアジリジン架橋剤等を挙げることができる。これらの架橋剤の1種を単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。これらの架橋剤と、構成単位(a)〜(c)を含むアクリル系樹脂とを含有する樹脂組成物によって、耐傷付き性や耐久性をさらに向上させた樹脂製品の製造が期待できる。
カルボジイミド架橋剤の市販品としては、例えば、日清紡ケミカル社製の商品名「カルボジライト」等を挙げることができる。オキサゾリン架橋剤の市販品としては、例えば、日本触媒社製の商品名「エポクロス」等を挙げることができる。エポキシ架橋剤の市販品としては、例えば、三菱化学社製の商品名「jER」等を挙げることができる。アジリジン架橋剤の市販品としては、例えば、日本触媒社製の商品名「ケミタイト」等を挙げることができる。
樹脂組成物は、さらにカップリング剤を含有することが好ましい。カップリング剤を含有する樹脂組成物を使用することで、アルミニウム等の金属に対して密着し易い膜等の樹脂製品を製造することが可能である。カップリング剤としては、例えば、3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン等のシランカップリング剤、並びにチタニウムジ2−エチルヘキソキシビス(2−エチル−3−ヒドロキシヘキソキシド)等のチタネート系カップリング剤、及びアルミネート系カップリング剤等の金属カップリング剤等を挙げることができる。金属カップリング剤の市販品としては、例えば、Chartwell社製の商品名「C−515.71HR」等を挙げることができる。
(アクリル系樹脂組成物を用いた物品)
本発明の一実施形態のアクリル系樹脂組成物を用いて作製された物品も提供することができる。本発明の一実施形態の樹脂組成物は、良好な耐傷付き性と意匠性を有する樹脂製品の製造に有用であり、その樹脂組成物を用いれば、耐傷付き性に優れるとともに意匠性の高い膜を形成することが可能である。そのため、本発明の一実施形態の樹脂組成物は、コーティング剤としてより好適に用いることができる。例えば、印刷分野においては、昇華転写用又は感熱転写用の保護層、バックコート層、フォト用インクジェットプリントの保護インク、高光沢紙、インクジェット記録媒体、ウォーターシールドメディア印刷、ラインジェット印刷、及びレーザー印刷方式の光沢仕上げ等への応用が可能である。また、フィルム分野においては、サインディスプレイ、ラッピング広告、及び加飾フィルム用のハードコート剤等への応用が可能である。そして、生地印刷分野においては、アパレルの光沢仕上げ等への応用が可能である。
以上詳述した本発明の一実施形態の樹脂組成物は、前述の構成単位(a)及び(b)を含むアクリル系樹脂を含有するため、良好な耐傷付き性と意匠性を有する樹脂製品の製造に有用である。また、この樹脂組成物は、構成単位(a)を含むアクリル系樹脂を含有するため、構成単位(a)が有する長鎖アルキル基によって、滑性、離型性、及び撥水性等の機能を有する樹脂製品を得ることも期待できる。さらに、樹脂組成物がさらにイソシアネート系架橋剤を含有すれば、そのイソシアネート基と構成単位(b)が有するヒドロキシ基との架橋と、構成単位(a)における長鎖アルキル基との滑性の複合化によって、耐傷付き性にさらに優れた樹脂製品を製造することも可能となる。これらの利点から、本発明の一実施形態のアクリル系樹脂組成物を用いれば、耐傷付き性と意匠性に優れているとともに、滑性、離型性、及び撥水性等の機能性を付与した、塗料、インク、コーティング剤、フィルム、及びシート等の各種の物品(樹脂製品)を製造することができる。
以上の通り、本発明の一実施形態のアクリル系樹脂組成物は、以下の構成をとることが可能である。
[1]重合性二重結合及び炭素原子数14以上のアルキル基を有する化合物(A)に由来する構成単位(a)と、重合性二重結合及びヒドロキシ基を有する化合物(B)に由来する構成単位(b)とを含むアクリル系樹脂を含有するアクリル系樹脂組成物。
[2]前記化合物(A)の前記アルキル基の炭素原子数が16以上である前記[1]に記載のアクリル系樹脂組成物。
[3]前記化合物(B)が、ヒドロキシ基を有する(メタ)アクリル酸エステル系モノマー、及びヒドロキシ基を有する(メタ)アクリル酸アミド系モノマーからなる群から選択される少なくとも1種である前記[1]又は[2]に記載のアクリル系樹脂組成物。
[4]前記化合物(A)が、セチル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート、イソステアリル(メタ)アクリレート、及びベヘニル(メタ)アクリレートからなる群から選択される少なくとも1種である前記[1]〜[3]のいずれかに記載のアクリル系樹脂組成物。
[5]前記アクリル系樹脂における前記構成単位(a)の含有割合が、前記アクリル系樹脂の全質量を基準として、1〜80質量%である前記[1]〜[4]のいずれかに記載のアクリル系樹脂組成物。
[6]前記アクリル系樹脂のガラス転移点が−20〜160℃である前記[1]〜[5]のいずれかに記載のアクリル系樹脂組成物。
[7]前記アクリル系樹脂の重量平均分子量が1,000〜1,500,000である前記[1]〜[6]のいずれかに記載のアクリル系樹脂組成物。
[8]イソシアネート系架橋剤をさらに含有する前記[1]〜[7]のいずれかに記載のアクリル系樹脂組成物。
[9]コーティング剤用である前記[1]〜[8]のいずれかに記載のアクリル系樹脂組成物。
以下、本発明の一実施形態のアクリル系樹脂組成物について、試験例に基づいて具体的に説明するが、本発明は以下の試験例に限定されるものではない。
<アクリル系樹脂の製造>
[試験例1−1:PA1の合成]
撹拌機、還流冷却管、温度計、窒素吹き込み管、及びマンホールを備えた反応容器を用意した。反応容器の内部を窒素ガスで置換した後、メチルエチルケトン(以下、MEK)62.5g、ベヘニルメタクリレート(以下、(A)−1)40g、メタクリル酸2−ヒドロキシエチル(以下、(B)−1)40g、及びメタクリル酸メチル(以下、MMA)20gを仕込んだ。窒素雰囲気下で80℃に加熱した後、重合開始剤として2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)0.25gを添加した。8時間反応させて、アクリル系樹脂(以下、「PA1」という。)を含有するポリマー溶液(固形分濃度80質量%)を得た。PA1の重量平均分子量(Mw)及び数平均分子量(Mn)を、標準ポリスチレンを用いたGPC(装置:東ソー社製の商品名「HLC−8320GPC」、カラム:東ソー社製の商品名「TSKgel SuperMultiporeHZ カラム」)によって測定した結果、Mwが70,000、Mnが35,000であった。また、示差走査熱量計(リガク社製の商品名「DSC8230L」)を用いて、PA1の熱分析を行った結果、PA1のガラス転移点(Tg)は54.1℃であった。さらに、JIS K0070の規定に準拠した試験方法により、PA1の水酸基価を測定した結果、その水酸基価は172.6mg・KOH/gであった。これらの結果と、試験例1−1におけるPA1の合成に使用した材料の配合を後記表1−1に示す。
[試験例1−2〜9:PA2〜9の合成]
試験例1−2〜9では、表1−1及び表1−2に示す配合としたこと以外は、前述の試験例1−1と同様にして、それぞれアクリル系樹脂2〜9(以下、「PA2〜9」という。)を含有するポリマー溶液(いずれも固形分濃度80質量%)を得た。また、PA2〜9についても、PA1と同様の方法により、Mw、Mn、Tg、及び水酸基価を測定した。これらの結果もあわせて表1−1及び表1−2に示す。なお、表中の略号の意味は以下の通りである。
・PA1〜9:それぞれ試験例1−1〜9で合成したアクリル系樹脂
・(A)−1:ベヘニルメタクリレート
・(A)−2:ベヘニルアクリレート
・(A)−3:ステアリルメタクリレート
・(A)−4:イソステアリルアクリレート
・(A)−5:セチルメタクリレート
・(B)−1:メタクリル酸2−ヒドロキシエチル
・(B)−2:アクリル酸4−ヒドロキシブチル
・(B)−3:グリセリンモノメタクリレート
・(B)−4:2−ヒドロキシ−3−フェノキシプロピルアクリレート
・(B)−5:ヒドロキシエチルアクリルアミド
Figure 0006789037
Figure 0006789037
[試験例1−10:PA10の合成]
撹拌機、還流冷却管、温度計、窒素吹き込み管、及びマンホールを備えた反応容器を用意した。反応容器の内部を窒素ガスで置換した後、MEK62.5g、及びMMA100gを仕込んだ。窒素雰囲気下で80℃に加熱した後、重合開始剤として2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)0.25gを添加した。8時間反応させて、アクリル系樹脂(以下、「PA10」という。)を含有するポリマー溶液(固形分濃度80質量%)を得た。
[試験例1−11:PA11の合成]
撹拌機、還流冷却管、温度計、窒素吹き込み管、及びマンホールを備えた反応容器を用意した。反応容器の内部を窒素ガスで置換した後、MEK62.5g、及びMMA60g、メタクリル酸2−ヒドロキシエチル((B)−1)40gを仕込んだ。窒素雰囲気下で80℃に加熱した後、重合開始剤として2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)0.25gを添加した。8時間反応させて、アクリル系樹脂(以下、「PA11」という。)を含有するポリマー溶液(固形分濃度80質量%)を得た。
[試験例1−12:PA12の合成]
撹拌機、還流冷却管、温度計、窒素吹き込み管、及びマンホールを備えた反応容器を用意した。反応容器の内部を窒素ガスで置換した後、MEK62.5g、スチレン50g、末端メタクリルオキシプロピルポリジメチルシロキサン(商品名「X−22−2426」、信越化学社製)40g、及び2−[2’−ヒドロキシ−5’−(メタクリロイルオキシエチル)フェニル]−2H−ベンゾトリアゾール(商品名「RUVA−93」、大塚化学社製)10gを仕込んだ。窒素雰囲気下で80℃に加熱した後、重合開始剤として2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)0.25gを添加した。8時間反応させて、アクリル系樹脂(以下、「PA12」という。)を含有するポリマー溶液(固形分濃度80質量%)を得た。PA12のMwは73,000、Mnは35,000であった。
<ハードコート剤の調製>
[試験例2−1〜18:HC1〜18の調製]
表2−1及び表2−2に示す処方にしたがって各成分を配合し、ハードコート剤(HC1〜18)を調製した。なお、表中の配合量(単位:質量部)は固形分である。また、表中の略号の意味は以下の通りである。
・HC1〜18:それぞれ試験例2−1〜18で調製したハードコート剤
・PA1〜12:それぞれ試験例1−1〜12で合成したアクリル系樹脂
・I−1:ビウレット型HDI系ポリイソシアネート(旭化成社製の商品名「デュラネート 21S−75」、NV:75質量%、NCO含有量:15質量%)
・I−2:イソシアヌレート型HDI系ポリイソシアネート(旭化成社製の商品名「デュラネート MHG−80B」、NV:80質量%、NCO含有量:15.1質量%)
・I−3:イソシアヌレート型HDI系ポリイソシアネート(東ソー社製の商品名「コロネートHX」、NV:100質量%、NCO含有量:20.5〜22.0質量%)
・ca−1:シランカップリング剤(3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン)
・ca−2:チタネートカップリング剤(チタニウムジ−2−エチルヘキソキシビス(2−エチル−3−ヒドロキシヘキソキシド)、マツモトファインケミカル社製の商品名「オルガチックス TC−200」)
・ca−3:金属カップリング剤(Chartwell社製の商品名「C−515.71HR」)
<評価>
試験例2−1〜18で得られた各ハードコート剤(HC1〜18)を板ガラスに膜厚を約40μm・dryになるように塗工し、100℃×1時間乾燥の後、40℃×3日間エージングを行い、塗工体を得た。得られた塗工体の塗工面をJIS K5400に準拠し、荷重500gの条件で鉛筆硬度を測定した。また、得られた塗工体の表面(塗膜表面)を目視観察し、濁り(ヘイズ)の有無により、意匠性を評価した。これらの結果を表2−1及び表2−2に示す。
Figure 0006789037
Figure 0006789037
試験例2−1〜14で調製したHC1〜14を用いたことにより、鉛筆硬度がH以上(H〜3H)と高く、濁りのない塗膜を形成できたことが確認された。よって、化合物(A)に由来する構成単位(a)と化合物(B)に由来する構成単位(b)を含むアクリル系樹脂を含有する樹脂組成物は、良好な耐傷付き性と意匠性を有する樹脂製品の製造に有用であることが確認された。
試験例2−12〜14で調製したHC2−12〜14を用いて、前述のガラス板への塗工条件及び乾燥条件と同条件でアルミニウム板に塗膜を形成し、塗工体を得た。これらの塗工体について、前述と同様の条件で鉛筆硬度及び意匠性を評価したところ、いずれも鉛筆硬度が3Hであり、かつ、濁り(ヘイズ)が確認されなかった。この結果より、ハードコート剤にカップリング剤を含有させることで、被着対象がアルミニウムである場合にも、良好に密着し、耐傷付き性及び意匠性に優れた塗膜を形成できることが確認された。

Claims (7)

  1. イソシアネート系架橋剤とともにコーティング剤として用いられるアクリル系樹脂組成物であって、
    重合性二重結合を有する基としてアクリロイル基及びメタクリロイル基の少なくとも一方を有するとともに炭素原子数14以上の直鎖状のアルキル基を有する化合物(A)に由来する構成単位(a)と、重合性二重結合を有する基としてアクリロイル基及びメタクリロイル基の少なくとも一方を有するとともにヒドロキシ基を有する化合物(B)に由来する構成単位(b)と、前記化合物(A)及び前記化合物(B)に該当するものを除く化合物(E)として、炭素原子数8以下のアルキル基を有するアクリレート系モノマーに由来する構成単位(e)と、からなるアクリル系樹脂を含有し、
    前記アクリル系樹脂における前記構成単位(a)の含有割合が、前記アクリル系樹脂の全質量を基準として、2〜60質量%であり、
    前記アクリル系樹脂のガラス転移点が、10〜90℃であり、
    前記アクリル系樹脂の重量平均分子量が、68,000〜100,000であるアクリル系樹脂組成物。
  2. 前記化合物(A)の前記アルキル基の炭素原子数が16以上である請求項1に記載のアクリル系樹脂組成物。
  3. 前記化合物(B)が、ヒドロキシ基を有する(メタ)アクリル酸エステル系モノマー、及びヒドロキシ基を有する(メタ)アクリル酸アミド系モノマーからなる群から選択される少なくとも1種である請求項1又は2に記載のアクリル系樹脂組成物。
  4. 前記化合物(A)が、セチル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート、及びベヘニル(メタ)アクリレートからなる群から選択される少なくとも1種である請求項1〜3のいずれか1項に記載のアクリル系樹脂組成物。
  5. カップリング剤をさらに含有する請求項1〜のいずれか1項に記載のアクリル系樹脂組成物。
  6. 請求項1〜のいずれか1項に記載のアクリル系樹脂組成物を用いて作製された物品。
  7. イソシアネート系架橋剤とともにコーティング剤として用いられるアクリル系樹脂組成物を製造する方法であって、
    重合性二重結合を有する基としてアクリロイル基及びメタクリロイル基の少なくとも一方を有するとともに炭素原子数14以上の直鎖状のアルキル基を有する化合物(A)と、重合性二重結合を有する基としてアクリロイル基及びメタクリロイル基の少なくとも一方を有するとともにヒドロキシ基を有する化合物(B)と、前記化合物(A)及び前記化合物(B)に該当するものを除く化合物(E)として、炭素原子数8以下のアルキル基を有するアクリレート系モノマーと、からなる重合成分を重合させ、前記化合物(A)に由来する構成単位(a)と、前記化合物(B)に由来する構成単位(b)と、前記炭素原子数8以下のアルキル基を有するアクリレート系モノマーに由来する構成単位(e)とからなるアクリル系樹脂であって、前記化合物(A)に由来する構成単位(a)の含有割合が2〜60質量%であり、ガラス転移点が10〜90℃であり、かつ、重量平均分子量が68,000〜100,000である前記アクリル系樹脂を合成する工程を含むアクリル系樹脂組成物の製造方法。
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