JP3547770B2 - プラスチック光ファイバー - Google Patents
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Description
【0001】
【産業上の利用分野】
本発明は、光伝送性、耐屈曲性及び耐環境性に優れたプラスチック光ファイバーに関する。
【0002】
【従来の技術】
光伝送繊維(光ファイバー)は、屈折率の高い芯成分とこの芯成分より屈折率が低い鞘成分からなる芯−鞘構造を有する2層構造の繊維が光ファイバーとして一般に知られている。従来、この光ファイバーとしては、広い波長に渡って優れた光伝送性を有する無機ガラス系のものが知られているが、加工性が悪く、曲げ応力に弱いばかりでなく高価であることから、有機ポリマーを芯−鞘成分とするプラスチック光ファイバーが開発され、実用に共されている。
プラスチック光ファイバーの芯成分としては、一般にポリメチルメタクリレート(PMMA)やポリスチレン等の熱可塑性ポリマーが利用される。これは、PMMAが透明性、加工性、耐候性等に優れているだけでなく、その製造においても従来の紡糸技術を用いるために都合が良いためである。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、このPMMAを用いたプラスチック光ファイバーでも、直径が1mm以上になると外部応力や曲げ加工で折れやすいものとなり、直径が10mm以上の大口径プラスチック光ファイバーは製造できない。また、PMMAの耐熱温度は、80〜100℃であるため、機械用途や自動車用途など使用環境が100℃を越える場所では、使用できないという不都合があった。筆者らは、これらの不都合を解決するものとして、透明チューブに特定のモノマーを充填し、光照射により硬化させ、そのチューブを除去して得る大口径のプラスチック光ファイバー(特開昭63−40103号公報)や脂肪族アリルモノマーとメチルメタクリレートの共重合体からなる大口径のプラスチック光ファイバー(特開昭63−146004号公報)を提案した。
【0004】
しかしながら、前者の光ファイバーでは、生産性よく大口径のプラスチック光ファイバーが得られるものの、モノマー構造に芳香環が含まれるため、芯成分が経時的に黄変し、伝送損失が低下するという不都合があった。後者の光ファイバーでは、無色透明で伝送損失の小さい大口径のプラスチック光ファイバーが得られるが、熱重合による成形のために生産性が必ずしも良好ではない。
【0005】
本発明は、上述の背景になされたものであり、その目的とするところは透明性が良好で伝送損失が小さく、かつ耐屈曲性、耐熱性、及び耐候性に優れ、良好な生産性を示すプラスチック光ファイバーを提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、上記の課題を解決するために鋭意検討した結果、ウレタンポリ(メタ)アクリレート、特定構造のエステルジ(メタ)アクリレート、分子内に少なくとも1個のラジカル重合性二重結合を有する脂肪族系または脂環族系化合物及び、活性エネルギー線感応触媒を特定の割合に配合した組成物を活性エネルギー線の照射により共重合させた材料を芯成分とし、この芯成分の屈折率より0.01以上低い屈折率を有する鞘ポリマーを被覆することにより、透明性が良好で伝送損失が小さく、かつ耐屈曲性、耐熱性、及び耐候性に優れるプラスチック光ファイバーが得られることを見出し本発明を完成するに到った。
【0007】
すなわち本発明のプラスチック光ファイバーは、
(A)1分子中に(メタ)アクリロイルオキシ基を2個以上有する、脂肪族系または脂環族系ウレタンポリ(メタ)アクリレート10〜60重量部、
(B)下記一般式1で示される化合物30〜80重量部、
【0008】
【化2】
【0009】
(式中、R1、R2は水素またはメチル基を、R3は炭素数2〜5の直鎖型または分岐型飽和炭化水素基を、nは5〜30の整数を表す。)
(C)分子内に少なくとも1個のラジカル重合性二重結合を有する脂肪族系または脂環族系化合物5〜40重量部、
(D)活性エネルギー線感応触媒0.005〜5重量部、
からなる組成物(ただし、A、B、C及びD成分の合計量は100重量部である)の共重合体を芯成分とし、この芯成分の屈折率より0.01以上低い屈折率のポリマーを鞘とするものである。
【0010】
本発明のプラスチック光ファイバーの芯成分用組成物の各成分について説明する。
(A)成分である、1分子中に(メタ)アクリロイルオキシ基を2個以上有するウレタンポリ(メタ)アクリレート化合物は、製造したプラスチック光ファイバーの芯ポリマーに強靱性、耐屈曲性、及び耐熱性を付与する成分であり、具体的にはヒドロキシル基を含有する(メタ)アクリレートと分子内に2個以上のイソシアネート基を有するイソシアネート化合物とのウレタン化反応生成物や、分子内に2個以上のイソシアネート基を有するイソシアネートにポリオール、ポリエステル、ポリアミド系のジオールを反応させて付加体を合成した後、その残ったイソシアネート基にヒドロキシル基を含有する(メタ)アクリレートを付加させたウレタン化反応生成物が挙げられる。
前者のウレタンポリ(メタ)アクリレートが、芯ポリマーの強靱性や耐熱性をより向上することができ好ましい。これらの分子量は400〜2000の物が好ましい。
【0011】
ポリイソシアネート化合物の具体例としては、1,6−ヘキサメチレンジイソシアネート、トリス(イソシアナトヘキシル)イソシアヌレート、1,4−テトラメチレンジイソシアネート、2,2,4,−トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、シクロヘキサンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、ビス(4,4’−イソシアナトシクロヘキシル)メタン、ビス(4,4’−イソシアナトシクロヘキシル)プロパン、1,3−ビス(イソシアナトメチル)シクロヘキサン等が挙げられるが、上記した中でも、トリス(イソシアナトヘキシル)イソシアヌレート、イソホロンジイソシアネート、ビス(4,4’−イソシアナトシクロヘキシル)メタン、1,3−ビス(イソシアナトメチル)シクロヘキサンが特に好ましい。
【0012】
付加体の合成に使用するポリオールは特に限定されないが、その具体例としては、エチレングリコール、プロピレングリコール、ブチレングリコール、ネオペンチルグリコール、トリメチロールプロパン、ペンタエリストール、ソルビトール、マンニトール、グリセリン等のアルキルポリオール及びこれらのポリエーテルポリオールや、多価アルコールと多塩基酸から合成されるポリエステルポリオール、ポリカプロラクトンポリオール等のポリエステルポリオール等がある。
【0013】
ヒドロキシル基を含有する(メタ)アクリレートの具体例としては、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート等の他、ブチルグリシジルエーテル、2−エチルヘキシルグリシジルエーテル、グリシジルメタクリレート等のモノエポキシ化合物と(メタ)アクリル酸との付加反応物や、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコールのモノ(メタ)アクリル酸エステル、ポリカプロラクトンジオールのモノ(メタ)アクリル酸エステル等が挙げられる。
【0014】
ポリイソシアネートと各種ジオールやヒドロキシル基を含有する(メタ)アクリレートとの反応は、ジラウリン酸n−ブチル錫等の錫系触媒の存在下、イソシアネート基と水酸基がほぼ等量になるように用いて、60〜70℃で数時間加熱する。反応物は、一般に高粘性となることが多いので、反応中または、反応終了後に、他の希釈モノマーで希釈するのが好ましい。
【0015】
(A)成分の使用割合は、(A)〜(D)成分の合計量100重量部中10〜60重量部、より好ましくは、20〜50重量部である。(A)成分の量が10重量部未満では、十分な強靱性、耐熱性を有する芯ポリマーが得られず、60重量部を越えると、耐屈曲性が低下する。
【0016】
(B)成分である、一般式1で示される化合物は、重合度(n)、5〜30のポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリブチレングリコール、又はポリ(メチルブチレン)グリコールの両末端ヒドロキシル基をアクリル酸またはメタクリル酸でエステル化したものである。これらのポリエーテルジオールは、重合度(n)として単一なものを得られにくく、正規分布的な重合度の異なるポリエーテルジオールの混合物となるので、ここでの重合度(n)はそれらの中央値を意味する。重合度(n)は、5未満では、十分な可撓性が得られず、30を越えると芯ポリマーも強靱性が失われる。好ましい範囲は、7〜15である。
(B)成分の使用割合は、(A)〜(D)成分の合計量100重量部中30〜80重量部、より好ましくは、30〜70重量部である。(B)成分の量が30重量部未満では、十分な耐屈曲性を有する芯ポリマーが得られず、80重量部を越えると、強靱性と耐熱性が低下する。
【0017】
(C)成分である、分子内に少なくとも1個のラジカル重合性二重結合を有する脂肪族系または脂環族系化合物は、(A)及び(B)成分のみでは不足するモノマー混合物の注入作業性を向上し、強靱性や耐熱性を改善するものである。成形後のプラスチック光ファイバーの耐候性を低下させないため、脂肪族系または脂環族系構造を有するメタクリル酸エステル、アクリル酸エステル、又はアリル化合物が好ましい。
【0018】
(C)成分の具体例としては、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、ドデシル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、ブトキシエチル(メタ)アクリレート、テトラヒドロフルフリル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、ジシクロペンタニル(メタ)アクリレート、ジシクロペンテニル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート等のモノ(メタ)アクリレートモノマー、1,4−ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、1,9−ノナンジオールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート等のジ(メタ)アクリレートモノマー、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート等のポリ(メタ)アクリレートモノマー、ジエチレングリコールビスアリルカーボネート等のアリル化合物が挙げられる。
上記した中でも、メチル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、テトラヒドロフルフリル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、ジシクロペンタニル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート等のモノ(メタ)アクリレートモノマーが特に好ましい。
【0019】
(C)成分の使用割合は、(A)〜(D)成分の合計量100重量部中5〜40重量部、より好ましくは、10〜30重量部である。(C)成分の量が5重量部未満では、注入作業性が低下し、40重量部を越えると、耐屈曲性、強靱性が低下する。
【0020】
(D)成分である、活性エネルギー線感応触媒としては、主として波長200〜400nmの紫外線に感応してラジカル源を発生するものがより好ましく、具体例として、ベンゾイン、ベンゾインモノメチルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテル、アセトイン、ベンジル、ベンゾフェノン、pーメトキシベンゾフェノン、ジエトキシアセトフェノン、ベンジルジメチルケタール、2,2−ジエトキシアセトフェノン、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、メチルフェニルグリオキシレート、エチルフェニルグリオキシレート、2−ヒドロキシー2−メチル−1−フェニルプロパン−1−オン等のカルボニル化合物、テトラメチルチウラムモノスルフィド、テトラメチルチウラムジスルフィドなどの硫黄化合物、2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニルフォスフィンオキサイドなどのアシルフォスフィンオキサイド等を挙げることができる。これらは1種または2種以上の混合系で使用される。
【0021】
これらの中でも、ベンゾフェノン、ベンゾインイソプロピルエーテル、メチルフェニルグリオキシレート、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、ベンジルジメチルケタール、2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニルフォスフィンオキサイドが特に好ましい。
【0022】
(C)成分の使用割合は、(A)〜(C)成分の合計量100重量部中0.005〜5重量部、より好ましくは、0.02〜2重量部である。(C)成分の量が0.005重量部未満では、硬化性が不十分となり、5重量部を越えると深部硬化性が悪くなるだけでなく、芯ポリマーの着色を招く。
【0023】
本発明のプラスチック光ファイバー用組成物には、必要に応じて、有機過酸化物、酸化防止剤、黄変防止剤、紫外線吸収剤、ブルーイング剤、顔料、沈降防止剤、消泡剤等の添加剤が含まれていてもよい。
【0024】
本発明によるプラスチック光ファイバーを製造する方法は、(A)〜(D)成分を混合した後、透光性のチューブに注入し、太陽、ケミカルランプ、高圧水銀ランプ、メタルハライドランプ等の光源により活性エネルギー線を照射する。照射量は、200〜400nmの紫外線の積算値で1〜30J/cm2である。照射する雰囲気は、空気でもよいし、窒素、アルゴン等の不活性ガス中でもよい。また、照射と加熱を組み合わせてもよい。
【0025】
上記した、透光性のチューブの材料としては、ポリエチレン、ポリプロピレン、ナイロン、エチレン−酢酸ビニル共重合体、塩化ビニル、シリコン樹脂、ポリテトラフルオロエチレン、テトラフルオロエチレン/パーフルオロアルキルビニルエーテル、パーフルオロアルキル(メタ)アクリレート重合体、パーフルオロアルキル/アルキル(メタ)アクリレート共重合体等が挙げられる。これらの鞘材の屈折率が、芯ポリマーの屈折率より0.01以上低い場合には、成形後そのままの状態でプラスチック光ファイバーとして使用できるが、鞘材の屈折率が、芯ポリマーの屈折率より高い、又は0〜0.01低い場合には、成形後、チューブを除去して用いるか、又はチューブを除去した後、芯ポリマーの屈折率より0.01低い屈折率のポリマーをコーティングすることで、より耐環境性の優れる大口径プラスチック光ファイバーが得られる。
上記した、透光性のチューブの内径は、1〜50mmのものが好ましい。より好ましくは、10〜30mmである。
【0026】
【作用】
上記構成を示すこの発明のプラスチック光ファイバーでは、ウレタンポリ(メタ)アクリレート、特定構造のエステルジ(メタ)アクリレート、分子内に少なくとも1個のラジカル重合性二重結合を有する脂肪族系または脂環族系化合物及び、活性エネルギー線感応触媒を特定の割合に配合した組成物を活性エネルギー線の照射により共重合させた材料を芯成分するので、透明性が良好でありかつ、耐屈曲性、耐熱性、及び耐候性に優れている。
【0027】
また、この芯成分の屈折率より0.01以上低い屈折率を有する鞘ポリマーを被覆するので、芯内を伝送される光の伝送損失が小さく。
更に、上記材料を芯鞘に使用するので、大口径光ファイバーに成形することができ、これに対して、従来のプラスチック光ファイバーでは、ポリマーの紡糸により得られるので、本発明のような極太のものは製造できない。
【0028】
【実施例】
以下に実施例及び比較例を掲げ本発明を更に詳しく説明する。なお、単量体の略号は次の通りである。
UM1:ビス(4,4’−イソシアナトシクロヘキシル)メタンと2−ヒドロキシプロピルメタクリレートとを反応させて得られたウレタンジメタクリレート
UM2:イソホロンジイソシアネートと2−ヒドロキシプロピルメタクリレートとを反応させて得られたウレタンジメタクリレート
UM3:1,3−ビス(イソシアナトメチル)シクロヘキサンと2−ヒドロキシエチルメタクリレートとを反応させて得られたウレタンジメタクリレート
UM4:トリレンジイソシアネートと2−ヒドロキシプロピルメタクリレートとを反応させて得られたウレタンジメタクリレート
9EGDA:ノナエチレングリコールジアクリレート
12PGDA:ドデカプロピレングリコールジアクリレート
9BGDM:ノナブチレングリコールジメタクリレート
HDDM:1,6−ヘキサンジオールジメタクリレート
DCPM:ジシクロペンタニルメタクリレート
IBM:イソボルニルメタクリレート
HCPK:1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン
MPG:メチルフェニルグリオキシレート
TPO:2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニルフォスフィンオキサイド
【0029】
実施例1
ビス(4,4’−イソシアナトシクロヘキシル)メタン、1モルと2−ヒドロキシプロピルメタクリレート、2.1モルから合成した、ウレタンジメタクリレート(UM1)35g、ノナエチレングリコールジアクリレート(東亜合成化学社製、商品名;アロニックスM245)50g、ジシクロペンタニルメタクリレート(日立化成社製、商品名;FA−513M)15g、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン(チバガイギー社製、商品名;イルガキュア184)0.1gを混合し、内径10mm、外径12mm、長さ2mのポリ塩化ビニル製チューブに注入し、ケミカルランプで340〜380nmの紫外線積算エネルギーが4J/cm2となるように活性エネルギー線を照射した。
【0030】
この後、ポリ塩化ビニル製チューブに切り目を入れて芯ポリマーを取り出し、パーフルオロアルキルメタクリレート/アルキルメタクリレートの共重合体ポリマー(三菱レイヨン社製、フロロナールFL−6003)で被覆した。このようにして作成した、直径10mm、長さ1.8mの大口径プラスチック光ファイバーを下記評価法で評価し、その結果を表2に示した。
【0031】
注入作業性:モノマー混合物のポリ塩化ビニルチューブへの注入作業性を判定した。
評価記号 ○:注入し易い。
×:気泡が抜けにくく、注入し難い。
伝送損失:He−Neレーザー光(波長633nm)を用いてカットバック法により測定した。
耐屈曲性試験:成形した大口径プラスチック光ファイバーを直径50mmの金属棒に10回巻きつけて1時間、室温で保持した後、伝送損失を測定した。
耐熱性:120℃の熱風乾燥機内に500時間放置した後の変化を目視判定し、伝送損失を測定した。
耐候性:成形した大口径プラスチック光ファイバーを1ヶ月間、屋外に暴露した後の変化を目視判定し、伝送損失を測定した。
【0032】
実施例2〜5
表1に示した割合でモノマーを用いた以外は、実施例1と同様にして大口径プラスチック光ファイバーを製造し評価した。結果を表2に示した。
【0033】
比較例1〜5
表1に示した割合でモノマーを用いた以外は、実施例1と同様にして大口径プラスチック光ファイバーを製造し評価した。結果を表2に示した。
【0034】
【表1】
【0035】
【表2】
【0036】
【発明の効果】
上述の実施例により実証されるように、この発明により、透明性が良好で伝送損失が小さく、かつ耐屈曲性、耐熱性、及び耐候性に優れ、良好な生産性を示すプラスチック光ファイバーを得ることができる。
【産業上の利用分野】
本発明は、光伝送性、耐屈曲性及び耐環境性に優れたプラスチック光ファイバーに関する。
【0002】
【従来の技術】
光伝送繊維(光ファイバー)は、屈折率の高い芯成分とこの芯成分より屈折率が低い鞘成分からなる芯−鞘構造を有する2層構造の繊維が光ファイバーとして一般に知られている。従来、この光ファイバーとしては、広い波長に渡って優れた光伝送性を有する無機ガラス系のものが知られているが、加工性が悪く、曲げ応力に弱いばかりでなく高価であることから、有機ポリマーを芯−鞘成分とするプラスチック光ファイバーが開発され、実用に共されている。
プラスチック光ファイバーの芯成分としては、一般にポリメチルメタクリレート(PMMA)やポリスチレン等の熱可塑性ポリマーが利用される。これは、PMMAが透明性、加工性、耐候性等に優れているだけでなく、その製造においても従来の紡糸技術を用いるために都合が良いためである。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、このPMMAを用いたプラスチック光ファイバーでも、直径が1mm以上になると外部応力や曲げ加工で折れやすいものとなり、直径が10mm以上の大口径プラスチック光ファイバーは製造できない。また、PMMAの耐熱温度は、80〜100℃であるため、機械用途や自動車用途など使用環境が100℃を越える場所では、使用できないという不都合があった。筆者らは、これらの不都合を解決するものとして、透明チューブに特定のモノマーを充填し、光照射により硬化させ、そのチューブを除去して得る大口径のプラスチック光ファイバー(特開昭63−40103号公報)や脂肪族アリルモノマーとメチルメタクリレートの共重合体からなる大口径のプラスチック光ファイバー(特開昭63−146004号公報)を提案した。
【0004】
しかしながら、前者の光ファイバーでは、生産性よく大口径のプラスチック光ファイバーが得られるものの、モノマー構造に芳香環が含まれるため、芯成分が経時的に黄変し、伝送損失が低下するという不都合があった。後者の光ファイバーでは、無色透明で伝送損失の小さい大口径のプラスチック光ファイバーが得られるが、熱重合による成形のために生産性が必ずしも良好ではない。
【0005】
本発明は、上述の背景になされたものであり、その目的とするところは透明性が良好で伝送損失が小さく、かつ耐屈曲性、耐熱性、及び耐候性に優れ、良好な生産性を示すプラスチック光ファイバーを提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、上記の課題を解決するために鋭意検討した結果、ウレタンポリ(メタ)アクリレート、特定構造のエステルジ(メタ)アクリレート、分子内に少なくとも1個のラジカル重合性二重結合を有する脂肪族系または脂環族系化合物及び、活性エネルギー線感応触媒を特定の割合に配合した組成物を活性エネルギー線の照射により共重合させた材料を芯成分とし、この芯成分の屈折率より0.01以上低い屈折率を有する鞘ポリマーを被覆することにより、透明性が良好で伝送損失が小さく、かつ耐屈曲性、耐熱性、及び耐候性に優れるプラスチック光ファイバーが得られることを見出し本発明を完成するに到った。
【0007】
すなわち本発明のプラスチック光ファイバーは、
(A)1分子中に(メタ)アクリロイルオキシ基を2個以上有する、脂肪族系または脂環族系ウレタンポリ(メタ)アクリレート10〜60重量部、
(B)下記一般式1で示される化合物30〜80重量部、
【0008】
【化2】
【0009】
(式中、R1、R2は水素またはメチル基を、R3は炭素数2〜5の直鎖型または分岐型飽和炭化水素基を、nは5〜30の整数を表す。)
(C)分子内に少なくとも1個のラジカル重合性二重結合を有する脂肪族系または脂環族系化合物5〜40重量部、
(D)活性エネルギー線感応触媒0.005〜5重量部、
からなる組成物(ただし、A、B、C及びD成分の合計量は100重量部である)の共重合体を芯成分とし、この芯成分の屈折率より0.01以上低い屈折率のポリマーを鞘とするものである。
【0010】
本発明のプラスチック光ファイバーの芯成分用組成物の各成分について説明する。
(A)成分である、1分子中に(メタ)アクリロイルオキシ基を2個以上有するウレタンポリ(メタ)アクリレート化合物は、製造したプラスチック光ファイバーの芯ポリマーに強靱性、耐屈曲性、及び耐熱性を付与する成分であり、具体的にはヒドロキシル基を含有する(メタ)アクリレートと分子内に2個以上のイソシアネート基を有するイソシアネート化合物とのウレタン化反応生成物や、分子内に2個以上のイソシアネート基を有するイソシアネートにポリオール、ポリエステル、ポリアミド系のジオールを反応させて付加体を合成した後、その残ったイソシアネート基にヒドロキシル基を含有する(メタ)アクリレートを付加させたウレタン化反応生成物が挙げられる。
前者のウレタンポリ(メタ)アクリレートが、芯ポリマーの強靱性や耐熱性をより向上することができ好ましい。これらの分子量は400〜2000の物が好ましい。
【0011】
ポリイソシアネート化合物の具体例としては、1,6−ヘキサメチレンジイソシアネート、トリス(イソシアナトヘキシル)イソシアヌレート、1,4−テトラメチレンジイソシアネート、2,2,4,−トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、シクロヘキサンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、ビス(4,4’−イソシアナトシクロヘキシル)メタン、ビス(4,4’−イソシアナトシクロヘキシル)プロパン、1,3−ビス(イソシアナトメチル)シクロヘキサン等が挙げられるが、上記した中でも、トリス(イソシアナトヘキシル)イソシアヌレート、イソホロンジイソシアネート、ビス(4,4’−イソシアナトシクロヘキシル)メタン、1,3−ビス(イソシアナトメチル)シクロヘキサンが特に好ましい。
【0012】
付加体の合成に使用するポリオールは特に限定されないが、その具体例としては、エチレングリコール、プロピレングリコール、ブチレングリコール、ネオペンチルグリコール、トリメチロールプロパン、ペンタエリストール、ソルビトール、マンニトール、グリセリン等のアルキルポリオール及びこれらのポリエーテルポリオールや、多価アルコールと多塩基酸から合成されるポリエステルポリオール、ポリカプロラクトンポリオール等のポリエステルポリオール等がある。
【0013】
ヒドロキシル基を含有する(メタ)アクリレートの具体例としては、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート等の他、ブチルグリシジルエーテル、2−エチルヘキシルグリシジルエーテル、グリシジルメタクリレート等のモノエポキシ化合物と(メタ)アクリル酸との付加反応物や、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコールのモノ(メタ)アクリル酸エステル、ポリカプロラクトンジオールのモノ(メタ)アクリル酸エステル等が挙げられる。
【0014】
ポリイソシアネートと各種ジオールやヒドロキシル基を含有する(メタ)アクリレートとの反応は、ジラウリン酸n−ブチル錫等の錫系触媒の存在下、イソシアネート基と水酸基がほぼ等量になるように用いて、60〜70℃で数時間加熱する。反応物は、一般に高粘性となることが多いので、反応中または、反応終了後に、他の希釈モノマーで希釈するのが好ましい。
【0015】
(A)成分の使用割合は、(A)〜(D)成分の合計量100重量部中10〜60重量部、より好ましくは、20〜50重量部である。(A)成分の量が10重量部未満では、十分な強靱性、耐熱性を有する芯ポリマーが得られず、60重量部を越えると、耐屈曲性が低下する。
【0016】
(B)成分である、一般式1で示される化合物は、重合度(n)、5〜30のポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリブチレングリコール、又はポリ(メチルブチレン)グリコールの両末端ヒドロキシル基をアクリル酸またはメタクリル酸でエステル化したものである。これらのポリエーテルジオールは、重合度(n)として単一なものを得られにくく、正規分布的な重合度の異なるポリエーテルジオールの混合物となるので、ここでの重合度(n)はそれらの中央値を意味する。重合度(n)は、5未満では、十分な可撓性が得られず、30を越えると芯ポリマーも強靱性が失われる。好ましい範囲は、7〜15である。
(B)成分の使用割合は、(A)〜(D)成分の合計量100重量部中30〜80重量部、より好ましくは、30〜70重量部である。(B)成分の量が30重量部未満では、十分な耐屈曲性を有する芯ポリマーが得られず、80重量部を越えると、強靱性と耐熱性が低下する。
【0017】
(C)成分である、分子内に少なくとも1個のラジカル重合性二重結合を有する脂肪族系または脂環族系化合物は、(A)及び(B)成分のみでは不足するモノマー混合物の注入作業性を向上し、強靱性や耐熱性を改善するものである。成形後のプラスチック光ファイバーの耐候性を低下させないため、脂肪族系または脂環族系構造を有するメタクリル酸エステル、アクリル酸エステル、又はアリル化合物が好ましい。
【0018】
(C)成分の具体例としては、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、ドデシル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、ブトキシエチル(メタ)アクリレート、テトラヒドロフルフリル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、ジシクロペンタニル(メタ)アクリレート、ジシクロペンテニル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート等のモノ(メタ)アクリレートモノマー、1,4−ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、1,9−ノナンジオールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート等のジ(メタ)アクリレートモノマー、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート等のポリ(メタ)アクリレートモノマー、ジエチレングリコールビスアリルカーボネート等のアリル化合物が挙げられる。
上記した中でも、メチル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、テトラヒドロフルフリル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、ジシクロペンタニル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート等のモノ(メタ)アクリレートモノマーが特に好ましい。
【0019】
(C)成分の使用割合は、(A)〜(D)成分の合計量100重量部中5〜40重量部、より好ましくは、10〜30重量部である。(C)成分の量が5重量部未満では、注入作業性が低下し、40重量部を越えると、耐屈曲性、強靱性が低下する。
【0020】
(D)成分である、活性エネルギー線感応触媒としては、主として波長200〜400nmの紫外線に感応してラジカル源を発生するものがより好ましく、具体例として、ベンゾイン、ベンゾインモノメチルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテル、アセトイン、ベンジル、ベンゾフェノン、pーメトキシベンゾフェノン、ジエトキシアセトフェノン、ベンジルジメチルケタール、2,2−ジエトキシアセトフェノン、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、メチルフェニルグリオキシレート、エチルフェニルグリオキシレート、2−ヒドロキシー2−メチル−1−フェニルプロパン−1−オン等のカルボニル化合物、テトラメチルチウラムモノスルフィド、テトラメチルチウラムジスルフィドなどの硫黄化合物、2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニルフォスフィンオキサイドなどのアシルフォスフィンオキサイド等を挙げることができる。これらは1種または2種以上の混合系で使用される。
【0021】
これらの中でも、ベンゾフェノン、ベンゾインイソプロピルエーテル、メチルフェニルグリオキシレート、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、ベンジルジメチルケタール、2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニルフォスフィンオキサイドが特に好ましい。
【0022】
(C)成分の使用割合は、(A)〜(C)成分の合計量100重量部中0.005〜5重量部、より好ましくは、0.02〜2重量部である。(C)成分の量が0.005重量部未満では、硬化性が不十分となり、5重量部を越えると深部硬化性が悪くなるだけでなく、芯ポリマーの着色を招く。
【0023】
本発明のプラスチック光ファイバー用組成物には、必要に応じて、有機過酸化物、酸化防止剤、黄変防止剤、紫外線吸収剤、ブルーイング剤、顔料、沈降防止剤、消泡剤等の添加剤が含まれていてもよい。
【0024】
本発明によるプラスチック光ファイバーを製造する方法は、(A)〜(D)成分を混合した後、透光性のチューブに注入し、太陽、ケミカルランプ、高圧水銀ランプ、メタルハライドランプ等の光源により活性エネルギー線を照射する。照射量は、200〜400nmの紫外線の積算値で1〜30J/cm2である。照射する雰囲気は、空気でもよいし、窒素、アルゴン等の不活性ガス中でもよい。また、照射と加熱を組み合わせてもよい。
【0025】
上記した、透光性のチューブの材料としては、ポリエチレン、ポリプロピレン、ナイロン、エチレン−酢酸ビニル共重合体、塩化ビニル、シリコン樹脂、ポリテトラフルオロエチレン、テトラフルオロエチレン/パーフルオロアルキルビニルエーテル、パーフルオロアルキル(メタ)アクリレート重合体、パーフルオロアルキル/アルキル(メタ)アクリレート共重合体等が挙げられる。これらの鞘材の屈折率が、芯ポリマーの屈折率より0.01以上低い場合には、成形後そのままの状態でプラスチック光ファイバーとして使用できるが、鞘材の屈折率が、芯ポリマーの屈折率より高い、又は0〜0.01低い場合には、成形後、チューブを除去して用いるか、又はチューブを除去した後、芯ポリマーの屈折率より0.01低い屈折率のポリマーをコーティングすることで、より耐環境性の優れる大口径プラスチック光ファイバーが得られる。
上記した、透光性のチューブの内径は、1〜50mmのものが好ましい。より好ましくは、10〜30mmである。
【0026】
【作用】
上記構成を示すこの発明のプラスチック光ファイバーでは、ウレタンポリ(メタ)アクリレート、特定構造のエステルジ(メタ)アクリレート、分子内に少なくとも1個のラジカル重合性二重結合を有する脂肪族系または脂環族系化合物及び、活性エネルギー線感応触媒を特定の割合に配合した組成物を活性エネルギー線の照射により共重合させた材料を芯成分するので、透明性が良好でありかつ、耐屈曲性、耐熱性、及び耐候性に優れている。
【0027】
また、この芯成分の屈折率より0.01以上低い屈折率を有する鞘ポリマーを被覆するので、芯内を伝送される光の伝送損失が小さく。
更に、上記材料を芯鞘に使用するので、大口径光ファイバーに成形することができ、これに対して、従来のプラスチック光ファイバーでは、ポリマーの紡糸により得られるので、本発明のような極太のものは製造できない。
【0028】
【実施例】
以下に実施例及び比較例を掲げ本発明を更に詳しく説明する。なお、単量体の略号は次の通りである。
UM1:ビス(4,4’−イソシアナトシクロヘキシル)メタンと2−ヒドロキシプロピルメタクリレートとを反応させて得られたウレタンジメタクリレート
UM2:イソホロンジイソシアネートと2−ヒドロキシプロピルメタクリレートとを反応させて得られたウレタンジメタクリレート
UM3:1,3−ビス(イソシアナトメチル)シクロヘキサンと2−ヒドロキシエチルメタクリレートとを反応させて得られたウレタンジメタクリレート
UM4:トリレンジイソシアネートと2−ヒドロキシプロピルメタクリレートとを反応させて得られたウレタンジメタクリレート
9EGDA:ノナエチレングリコールジアクリレート
12PGDA:ドデカプロピレングリコールジアクリレート
9BGDM:ノナブチレングリコールジメタクリレート
HDDM:1,6−ヘキサンジオールジメタクリレート
DCPM:ジシクロペンタニルメタクリレート
IBM:イソボルニルメタクリレート
HCPK:1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン
MPG:メチルフェニルグリオキシレート
TPO:2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニルフォスフィンオキサイド
【0029】
実施例1
ビス(4,4’−イソシアナトシクロヘキシル)メタン、1モルと2−ヒドロキシプロピルメタクリレート、2.1モルから合成した、ウレタンジメタクリレート(UM1)35g、ノナエチレングリコールジアクリレート(東亜合成化学社製、商品名;アロニックスM245)50g、ジシクロペンタニルメタクリレート(日立化成社製、商品名;FA−513M)15g、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン(チバガイギー社製、商品名;イルガキュア184)0.1gを混合し、内径10mm、外径12mm、長さ2mのポリ塩化ビニル製チューブに注入し、ケミカルランプで340〜380nmの紫外線積算エネルギーが4J/cm2となるように活性エネルギー線を照射した。
【0030】
この後、ポリ塩化ビニル製チューブに切り目を入れて芯ポリマーを取り出し、パーフルオロアルキルメタクリレート/アルキルメタクリレートの共重合体ポリマー(三菱レイヨン社製、フロロナールFL−6003)で被覆した。このようにして作成した、直径10mm、長さ1.8mの大口径プラスチック光ファイバーを下記評価法で評価し、その結果を表2に示した。
【0031】
注入作業性:モノマー混合物のポリ塩化ビニルチューブへの注入作業性を判定した。
評価記号 ○:注入し易い。
×:気泡が抜けにくく、注入し難い。
伝送損失:He−Neレーザー光(波長633nm)を用いてカットバック法により測定した。
耐屈曲性試験:成形した大口径プラスチック光ファイバーを直径50mmの金属棒に10回巻きつけて1時間、室温で保持した後、伝送損失を測定した。
耐熱性:120℃の熱風乾燥機内に500時間放置した後の変化を目視判定し、伝送損失を測定した。
耐候性:成形した大口径プラスチック光ファイバーを1ヶ月間、屋外に暴露した後の変化を目視判定し、伝送損失を測定した。
【0032】
実施例2〜5
表1に示した割合でモノマーを用いた以外は、実施例1と同様にして大口径プラスチック光ファイバーを製造し評価した。結果を表2に示した。
【0033】
比較例1〜5
表1に示した割合でモノマーを用いた以外は、実施例1と同様にして大口径プラスチック光ファイバーを製造し評価した。結果を表2に示した。
【0034】
【表1】
【0035】
【表2】
【0036】
【発明の効果】
上述の実施例により実証されるように、この発明により、透明性が良好で伝送損失が小さく、かつ耐屈曲性、耐熱性、及び耐候性に優れ、良好な生産性を示すプラスチック光ファイバーを得ることができる。
Claims (1)
- (A)1分子中に(メタ)アクリロイルオキシ基を2個以上有する、脂肪族系または脂環族系ウレタンポリ(メタ)アクリレート10〜60重量部、
(B)下記一般式1で示される化合物30〜80重量部、
(C)分子内に少なくとも1個のラジカル重合性二重結合を有する脂肪族系または脂環族系化合物5〜40重量部、
(D)活性エネルギー線感応触媒0.005〜5重量部、
からなる組成物(ただし、A、B、C及びD成分の合計量は100重量部である。)の共重合体を芯成分とし、この芯成分の屈折率より0.01以上低い屈折率のポリマーを鞘とするプラスチック光ファイバー。
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