JP2015143316A - ポリカーボネートジオールおよびその製造方法並びにそれを用いたポリウレタン - Google Patents

ポリカーボネートジオールおよびその製造方法並びにそれを用いたポリウレタン Download PDF

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Abstract

【課題】柔軟性、耐薬品性、低温特性、耐熱性、弾性回復性の物性バランスに優れたポリウレタンの原料となるポリカーボネートジオールとその製造方法を提供する。【解決手段】水酸基価が20〜45mg−KOH/g、示差操作熱量計により測定したガラス転移温度が−30℃以下のポリカーボネートジオールであって、且つ該ポリカーボネートジオールを加水分解して得られるジヒドロキシ化合物の平均炭素数が3〜5.5であるポリカーボネートジオール。【選択図】なし

Description

本発明はポリカーボネート系ポリウレタンの原料として有用なポリカーボネートジオールおよびその製造方法並びにポリカーボネートジオールを含むポリウレタンに関する。
従来、工業規模で生産されているポリウレタンの主たるソフトセグメント部の原料は、ポリテトラメチレングリコールに代表されるエーテルタイプ、アジペート系エステルに代表されるポリエステルポリオールタイプ、ポリカプロラクトンに代表されるポリラクトンタイプ又はポリカーボネートジオールに代表されるポリカーボネートタイプに分けられる(非特許文献1)。
このうちエーテルタイプを用いたポリウレタンは、耐加水分解性、柔軟性および伸縮性には優れるものの、耐熱性および耐候性が劣るとされている。一方、ポリエステルポリオールタイプを用いたポリウレタンは、耐熱性および耐候性は改善されるものの、エステル基の耐加水分解性が低く、用途によっては使用することができない。
一方、ポリラクトンタイプを用いたポリウレタンは、ポリエステルポリオールタイプを用いたポリウレタンと比較すると耐加水分解性に優れるグレードとされているが、同様にエステル基があるために加水分解を完全に抑制することはできない。また、これらポリエステルポリオールタイプ、エーテルタイプおよびポリラクトンタイプを混合してポリウレタンの原料として使用することも提案されているが、それぞれの欠点を完全に補うことは出来ていない。
これらに対して、ポリカーボネートジオールに代表されるポリカーボネートタイプを用いたポリウレタンは、耐熱性および耐加水分解性において最良な耐久グレードとされており、耐久性フィルムや自動車用人工皮革、(水系)塗料、接着剤として広く利用されている。
しかしながら、現在広く市販されているポリカーボネートジオールは、主に1,6−ヘキサンジオールから合成されるポリカーボネートジオールであるが、このものは結晶性が高いため、ポリウレタンとしたときに、ソフトセグメントの凝集性が高く、特に低温特性が悪いという問題があり用途が制限されていた。さらに、このポリウレタンを原料として製造した人工皮革は、耐薬品性が悪くまた質感に関しても硬く、天然皮革に比べて“風合い”が悪いということも指摘されている。
そこで上記問題を解決するために1,3−プロパンジオールや1,4−ブタンジオールを原料としたポリカーボネートジオールが提案されている。
例えば、1,4−ブタンジオールと1,6−ヘキサンジオールを原料として共重合したポリカーボネートジオール(特許文献1)、1,4−ブタンジオールと1,5−ペンタンジオールを原料として共重合したポリカーボネートジオール(特許文献2)、1,3−プロパンジオールと他のジヒドロキシ化合物を原料として共重合したポリカーボネートジオール(特許文献3)が提案されている。
また1,4−ブタンジオールのみをジヒドロキシ化合物の原料として使用したポリカーボネートジオールが提案されている。(特許文献4〜6)
一方、ポリカーボネートジオールの製造方法として、高分子量のポリカーボネートジオールを合成する方法に関して提案されており、ジヒドロキシ化合物をアルキルカーボネートと反応して分子量500〜2000のポリカーボネートジオールとした後、さらにアリ
ールカーボネートを加えて分子量2000を超えるポリカーボネートジオールを製造する方法(特許文献7)、ジメチルカーボネートと脂肪族ジヒドロキシ化合物を反応させて、分子末端が水酸基でかつ着色の少ない高品質のポリカーボネートジオールの製造方法(特許文献8)が記載されている。
特開平5−51428号公報 特開平4−7327号公報 国際公開第2002/070584号パンフレット 特開平6−206965号公報 特開平7−41539号公報 特開平7−41540号公報 特開2001−261811号公報 特開2001−270938号公報
"ポリウレタンの基礎と応用"96頁〜106頁 松永勝治 監修、(株)シーエムシー出版、2006年11月発行
しかしながら、これら従前知られた技術、例えば特許文献1乃至3に記載のポリカーボネートジオールでは、ポリウレタンとした際の低温特性や耐薬品性が不十分であった。又特許文献4乃至6に記載のポリカーボネートジオールではポリウレタンとした際の耐薬品性には優れるものの、低温特性に関しては1,6−ヘキサンジオールから合成されるポリカーボネートジオールを用いたポリウレタンよりも劣るものであった。特に、特許文献4では分子量が500〜10000のポリテトラメチレンカーボネートジオールを製造する方法に関して記載されているが、実質的に製造されているポリカーボネートでは分子量が低いため、低温特性に関しては不十分であった。
また特許文献7又は8には高分子量のポリカーボネートジオールの製造方法に関して記載されているが、これらは1,6−ヘキサンジオールを原料として使用したポリカーボネートジオールに関するものであり、例えば1,3−プロパンジオール、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオールの少なくとも1つを原料として使用したポリカーボネートジオールに関しては実質的に高分子量のポリカーボネートジオールは合成できないものであった。
本発明は前記従来技術で到達できなかった、柔軟性、耐薬品性、低温特性、耐熱性、弾性回復性の物性バランスに優れたポリウレタンの原料となるポリカーボネートジオールとその製造方法を提供することを課題とする。
本発明者らは、上記の課題を解決すべく鋭意研究を重ねた結果、水酸基価が20mg−KOH/g以上45mg−KOH/g以下であるポリカーボネートジオールであって、該ポリカーボネートジオールの示差操作熱量計により測定したガラス転移温度が−30℃以下であり、且つ該ポリカーボネートジオールを加水分解して得られるジヒドロキシ化合物の平均炭素数が3以上5.5以下であるポリカーボネートジオールが、柔軟性、耐薬品性、低温特性、耐熱性、弾性回復性のバランスの良好なポリウレタンの原料となるポリカーボネートジオールであることを見出し、本発明に至った。
すなわち、本発明の要旨は、以下である。
[1] 水酸基価が20mg−KOH/g以上45mg−KOH/g以下であるポリカーボネートジオールであって、該ポリカーボネートジオールの示差操作熱量計により測定したガラス転移温度が−30℃以下であり、且つ該ポリカーボネートジオールを加水分解して得られるジヒドロキシ化合物の平均炭素数が3以上5.5以下であることを特徴とするポリカーボネートジオール。
[2] 前記ジヒドロキシ化合物が置換基を有さない脂肪族ジヒドロキシ化合物のみであることを特徴とする上記[1]に記載のポリカーボネートジオール。
[3] 前記ジヒドロキシ化合物が1,3−プロパンジオール、1,4−ブタンジオール及び1,5−ペンタンジオールからなる群より選ばれた少なくとも1種を含むことを特徴とする上記[3]又は[4]に記載のポリカーボネートジオール。
[4] 示差操作熱量計により測定した融解ピークの融解熱量が5.0J/g以上80J/g以下であることを特徴とする上記[1]〜[3]のいずれか1に記載のポリカーボネートジオール。
[5] 前記ジヒドロキシ化合物が植物由来の化合物を含むことを特徴とする上記[1]〜[4]のいずれか1に記載のポリカーボネートジオール。
[6] 上記[1]〜[5]のいずれか1に記載のポリカーボネートジオールを製造する方法であって、平均炭素数が3以上5.5以下である一種または複数種のジヒドロキシ化合物とジアリールカーボネートとをエステル交換触媒の存在下、エステル交換反応することを特徴とするポリカーボネートジオールの製造方法。
[7] 前記一種または複数種のジヒドロキシ化合物が植物由来の化合物を含むことを特徴とする上記[6]に記載のポリカーボネートジオールの製造方法。
[8]前記エステル交換触媒が長周期型周期表第1族元素(水素を除く)及び長周期型周期表第2族元素からなる群より選ばれた少なくとも1種の元素の化合物であることを特徴とする上記[6]又は[7]に記載のポリカーボネートジオールの製造方法。
[9]上記[1]〜[5]のいずれか1に記載のポリカーボネートジオールを含むポリウレタン。
本発明のポリカーボネートジオールを用いて製造されたポリウレタンは、耐薬品性、低温特性、耐熱性、柔軟性、弾性回復性のバランスに優れた特長を有し、弾性繊維、合成または人工皮革、塗料、高機能エラストマー用途に適しており、産業上極めて有用である。
以下、詳細に本発明の形態について説明するが、本発明は以下の実施の形態に限定されるものではなく、その要旨の範囲内で種々変形して実施することができる。
ここで、本明細書において“質量%”と“重量%”、“質量ppm”と“重量ppm”、及び“質量部”と“重量部”とは、それぞれ同義である。また、単に“ppm”と記載した場合は、“重量ppm”のことを示す。
以下、本発明のポリカーボネートジオールについて説明する。
[1.ポリカーボネートジオール]
本発明のポリカーボネートジオールは、水酸基価が20mg−KOH/g以上45mg−KOH/g以下であるポリカーボネートジオールであって、該ポリカーボネートジオールの示差操作熱量計により測定したガラス転移温度が−30℃以下であり、且つ該ポリカーボネートジオールを加水分解して得られるジヒドロキシ化合物の平均炭素数が3以上5.5以下であることを特徴とする。
<1−1.水酸基価>
本発明のポリカーボネートジオールの水酸基価は20mg−KOH/g以上45mg−
KOH/g以下である。下限は好ましくは25mg−KOH/g、より好ましくは30mg−KOH/g、さらに好ましくは35mg−KOH/gである。また、上限は好ましくは42mg−KOH/g、より好ましくは40mg−KOH/g、さらに好ましくは38mg−KOH/gである。水酸基価が上記下限未満では、ポリカーボネートジオールの粘度が高くなりすぎ、ポリカーボネートジオールを用いてポリウレタンとする際のハンドリングが困難となる場合があり、上記上限超過ではポリカーボネートジオールを用いてポリウレタンとした時に柔軟性、低温特性、弾性回復性などの物性が不足する場合がある。
上記範囲内においては、ポリウレタンとした時の柔軟性、低温特性、弾性回復性に優れており、また耐薬品性や耐熱性に関しても良好な物性となる。
<1−2.構造上の特徴>
本発明のポリカーボネートジオールは、該ポリカーボネートジオールを加水分解して得られるジヒドロキシ化合物の平均炭素数が3以上5.5以下であることによりポリウレタンにしたときに良好な耐薬品性、耐熱性を得ることができる。平均炭素数の上限は5.5であり、好ましくは5.3、より好ましくは5.0、特に好ましくは4.7、最も好ましくは4.5である。平均炭素数の下限は3であり、好ましくは3.2、より好ましくは3.4、特に好ましくは3.5である。上記下限未満では、柔軟性、低温特性が不足する場合があり、また上記上限を超える場合は、耐薬品性、耐熱性が不足する場合がある。
本発明におけるポリカーボネートジオールを加水分解して得られるジヒドロキシ化合物の平均炭素数とは、アルカリ存在下で加熱によりポリカーボネートジオールを加水分解して得られたジヒドロキシ化合物を、ガスクロマトグラフィーにより分析した結果から求めることができる。具体的には、ポリカーボネートジオールを加水分解して得られたジヒドロキシ化合物の炭素数と、該ジヒドロキシ化合物の全ジヒドロキシ化合物に対するモル比率から計算する。
ポリカーボネートジオールを加水分解して得られるジヒドロキシ化合物は1種類であっても複数種であってもよい。複数種の場合は共重合体であっても、異種のポリカーボネートジオールの混合物であってもよいが、低温特性、柔軟性が良好となることより、共重合体が好ましい。また共重合体の場合はブロック共重合体でもランダム共重合体でもよいが、ランダム共重合体のポリカーボネートジオールが低温特性、柔軟性が良好となることより好ましい。
ポリカーボネートジオールを加水分解して得られるジヒドロキシ化合物は脂肪族ジヒドロキシ化合物であることが好ましく、該脂肪族ジヒドロキシ化合物としては1,3−プロパンジオール、2−メチル−1,3−プロパンジオール、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、2−メチル−1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、3−メチル−1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、1,7−ヘプタンジオール、1,8−オクタンジオール、1,9−ノナンジオール、1,10−デカンジオール、1,11−ウンデカンジオール、1,12−ドデカンジオール、1,13−トリデカンジオール、1,14−テトラデカンジオール、1,16−ヘキサデカンジオール、1,18−オクタデカンジオール、1,20−エイコサンジオール等が挙げられる。中でも置換基を有さない脂肪族ジヒドロキシ化合物であることが耐薬品性、耐熱性等のポリウレタンの物性が良好となる。さらに耐薬品性、耐熱性の物性が良好となる炭素数の小さいジヒドロキシ化合物として、1,3−プロパンジオール、1,4−ブタンジオール及び1,5−ペンタンジオールからなる群より選ばれた少なくとも1種を含むことが好ましく、中でも1,3−プロパンジオール、1,4−ブタンジオールのいずれか1種を含むことがより好ましい。さらに耐薬品性、耐熱性の物性が良好であることから、ポリカーボネートジオールは結晶性が高いほうが好ましく、そのためポリカーボネートジオールを加水分解して得られるジヒドロキシ化合物は1,4−ブタンジオールを含むことが好ましい。
ポリカーボネートジオールを加水分解して得られるジヒドロキシ化合物は植物由来の化合物であることが好ましい。植物由来として適用可能な化合物としては、1,3−プロパンジオール、1,4−ブタンジオール、1,5−プロパンジオール、1,6−ヘキサンジオール、1,9−ノナンジオール、1,10−デカンジオール、1,11−ウンデカンジオール、1,12−ドデカンジオール、1,13−トリデカンジオール、1,20−エイコサンジオール等が挙げられる。
植物由来のジヒドロキシ化合物として、例えば1,4−ブタンジオールの場合、発酵法により得られたコハク酸、コハク酸無水物、コハク酸エステル、マレイン酸、マレイン酸無水物、マレイン酸エステル、テトラヒドロフラン及びγ−ブチロラクトン等から化学合成により1,4−ブタンジオールを製造してもよいし、発酵法で直接1,4−ブタンジオールを製造してもよいし、発酵法により得られた1,3−ブタジエンから1,4−ブタンジオールを製造してもよい。この中でも発酵法で直接1,4−ブタンジオールを製造する方法とコハク酸を還元触媒により水添して1,4−ブタンジオールを得る方法が効率的で好ましい。
また1,3−プロパンジオールの場合、グリセロールやグルコース、その他糖類から発酵法により3−ヒドロキシプロピオンアルデヒドを生成した後、さらに1,3−プロパンジオールに転化することにより、またグルコースやその他糖類から発酵法により直接1,3−プロパンジオールを生成することにより得られる。
1,10−デカンジオールはひまし油からアルカリ溶融によりセバシン酸を合成し、直接もしくはエステル化反応後に水素添加することにより合成できる。
<1−3.ガラス転移温度>
本発明のポリカーボネートジオールの示差走査熱量計(以下「DSC」と称する場合がある。)にて測定したガラス転移温度(Tg)は−30℃以下であり、好ましくは−35℃以下である。Tgが高すぎるとポリウレタンとした際のTgも高くなり、低温特性が悪化する場合がある。
本発明のポリカーボネートジオールは、前記水酸基価が特定範囲であり、ガラス転移温度が特定範囲であり、さらに該ポリカーボネートジオールを加水分解して得られるジヒドロキシ化合物の平均炭素数が特定範囲であることの条件を満たすポリカーボネートジオールが柔軟性、耐薬品性、低温特性、耐熱性、弾性回復性の物性バランスに優れたポリウレタンの原料となるポリカーボネートジオールであることを見出したのである。
<1−4.分子鎖末端>
本発明のポリカーボネートジオールの分子鎖末端は主に水酸基である。しかしながら、ジヒドロキシ化合物とカーボネート化合物との反応で得られるポリカーボネートジオールの場合には、不純物として一部分子鎖末端が水酸基ではないものが存在する場合がある。その具体例としては、分子鎖末端がアルキルオキシ基又はアリールオキシ基のものであり、多くはカーボネート化合物由来の構造である。
例えば、カーボネート化合物としてジフェニルカーボネートを使用した場合はアリールオキシ基としてフェノキシ基(PhO−)、ジメチルカーボネートを使用した場合はアルキルオキシ基としてメトキシ基(MeO−)、ジエチルカーボネートを使用した場合はエトキシ基(EtO−)、エチレンカーボネートを使用した場合はヒドロキシエトキシ基(HOCHCHO−)が分子鎖末端として残存する場合がある(ここで、Phはフェニル基を表し、Meはメチル基を表し、Etはエチル基を表す)。
本発明のポリカーボネートジオールの水酸基以外の分子鎖末端は、全末端数に対して、好ましくは10モル%以下、より好ましくは5モル%以下、さらに好ましくは3モル%以
下、特に好ましくは1モル%以下である。
<1−5.分子量・分子量分布>
本発明のポリカーボネートジオールのゲルパーミエーションクロマトグラフィー(以下「GPC」と略記する場合がある。)により測定されたポリスチレン換算の重量平均分子量のポリスチレン換算の数平均分子量に対する比は1.5〜3.0が好ましい。下限はより好ましくは1.7、さらに好ましくは1.8である。上限はより好ましくは2.5、さらに好ましくは2.3である。前記比が上記範囲を超える場合、このポリカーボネートジオールを用いて製造したポリウレタンの物性が、低温で硬くなる、伸びが低下する等の傾向があり、分子量分布が上記範囲未満のポリカーボネートジオールを製造しようとすると、オリゴマーを除くなどの高度な精製操作が必要になる場合がある。
更に水酸基価からポリカーボネートジオールの数平均分子量を求めることができ、該数平均分子量(Mn)の下限は好ましくは2,500であり、より好ましくは2,700、さらに好ましくは2,800、特に好ましくは2,900である。一方、上限は好ましくは5,500であり、より好ましくは4,500、さらに好ましくは3,500である。ポリカーボネートジオールのMnが前記下限未満では、ウレタンとした際に柔軟性、低温特性、弾性回復性が十分に得られない場合がある。一方前記上限超過では粘度が上がり、ポリウレタン化の際のハンドリングを損なう可能性がある。特に上記好ましい範囲内においては、ポリウレタンとした時の柔軟性、低温特性、弾性回復性に特に優れており、また耐薬品性や耐熱性に関しても良好な物性となる。
<1−6.APHA値>
本発明のポリカーボネートジオールの色は、ハーゼン色数(JIS K0071−1:1998に準拠)で表した場合の値(以下「APHA値」と表記する。)で60以下であるものであって、50以下が好ましく、より好ましくは30以下、さらに好ましくは20以下である。APHA値が60を越えると、ポリカーボネートジオールを原料として得られるポリウレタンの色調が悪化し、商品価値を低下させたり、熱安定性が悪くなったりする。APHA値を60以下にするためには、ポリカーボネートジオール製造時の触媒、添加剤の種類や量の選択、熱履歴、重合中および重合終了後のモノヒドロキシ化合物の濃度や未反応モノマーの濃度を総合的に制御する必要がある。また、重合中および重合終了後の遮光も効果的である。また、ポリカーボネートジオールの分子量の設定やモノマーであるジヒドロキシ化合物種の選定も重要である。特にアルコール性水酸基を有する脂肪族ジヒドロキシ化合物を原料とするポリカーボネートジオールは、ポリウレタンに加工した場合に、柔軟性や耐水性、耐光性等の種々の優れた性能を示すが、芳香族ジヒドロキシ化合物を原料とした場合より熱履歴や触媒による着色が著しくなる傾向にあり、APHA値を60以下にするのは容易ではない。
<1−7.融解ピーク温度、融解熱量>
本発明のポリカーボネートジオールの示差走査熱量計にて測定した融解ピーク温度(Tm)は50℃以上である。好ましくは55℃以上であり、より好ましくは60℃以上である。また融解熱量は下限が5.0J/g以上であり、好ましくは7.0J/g以上、より好ましくは9.0J/g以上であり、上限は80J/g以下、好ましくは40J/g以下、より好ましくは35J/g以下、さらに好ましくは30J/g以下、特に好ましくは25J/g以下、最も好ましくは20J/g以下である。融解熱量が上記下限以下では、ポリカーボネートジオールの結晶性が低く、ポリウレタンとした際の耐薬品性、耐熱性の物性に劣る場合があり、上記上限以上では、ポリカーボネートジオールを加熱溶融させる際に多量の熱量が必要となり、取り扱い性が悪い場合がある。
[2.ポリカーボネートジオールの製造方法]
<2−1.ジヒドロキシ化合物>
本発明のポリカーボネートジオールの製造方法において原料となるジヒドロキシ化合物は、1,3−プロパンジオール、2−メチル−1,3−プロパンジオール、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、2−メチル−1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、3−メチル−1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、1,7−ヘプタンジオール、1,8−オクタンジオール、1,9−ノナンジオール、1,10−デカンジオール、1,11−ウンデカンジオール、1,12−ドデカンジオール、1,13−トリデカンジオール、1,14−テトラデカンジオール、1,16−ヘキサデカンジオール、1,18−オクタデカンジオール、1,20−エイコサンジオール等が挙げられる。
本発明のポリカーボネートジオールは該ポリカーボネートジオールを加水分解して得られるジヒドロキシ化合物の平均炭素数が3以上5.5以下であることから、原料となるジヒドロキシ化合物は1,3−プロパンジオール、1,4−ブタンジオール及び1,5−プロパンジオールからなる群より選ばれた少なくとも1種を含むことが好ましく、ポリウレタンとしたときの耐薬品性より、1,3−プロパンジオール及び/又は1,4−ブタンジオールを含むことがより好ましい。さらに耐薬品性、耐熱性の物性が良好であることから、ポリカーボネートジオールは結晶性が高いほうが好ましく、1,4−ブタンジオールを含むことが好ましい。
本発明のポリカーボネートジオールの製造方法において原料となるジヒドロキシ化合物は、植物由来であることが、環境負荷低減の観点から好ましい。植物由来として適用可能な化合物としては、1,3−プロパンジオール、1,4−ブタンジオール、1,5−プロパンジオール、1,6−ヘキサンジオール、1,9−ノナンジオール、1,10−デカンジオール、1,11−ウンデカンジオール、1,12−ドデカンジオール、1,13−トリデカンジオール、1,20−エイコサンジオール等が挙げられる。
<2−2.カーボネート化合物>
使用可能なカーボネート化合物は、反応性の観点からジアリールカーボネートが好ましい。特に後述する水酸基価から求めた数平均分子量(Mn)が2,500以上の分子量のポリカーボネートジオールの合成においては、ジアリールカーボネートを用いることが好ましい。
本発明のポリカーボネートジオールの製造に用いることができるカーボネート化合物の具体例としては、ジフェニルカーボネートが挙げられる。
<2−3.原料等の使用割合>
本発明のポリカーボネートジオールの製造において、カーボネート化合物の使用量は、特に限定されないが、通常ジヒドロキシ化合物の合計1モルに対するモル比率で、下限が好ましくは0.90、より好ましくは0.92、さらに好ましくは0.94であり、上限は好ましくは1.00、より好ましくは0.98、さらに好ましくは0.97である。カーボネート化合物の使用量が上記上限超過では得られるポリカーボネートジオールの末端基が水酸基でないものの割合が増加したり、分子量が所定の範囲とならない場合があり、前記下限未満では所定の分子量まで重合が進行しない場合がある。
<2−4.エステル交換触媒>
本発明のポリカーボネートジオールは、上記ジヒドロキシ化合物とカーボネート化合物とを、エステル交換反応により重縮合することにより製造することができる。
本発明のポリカーボネートジオールを製造する場合には、エステル交換反応を促進するためにエステル交換触媒(以下、「触媒」と称する場合がある)を用いることができる。その場合、得られたポリカーボネートジオール中に、過度に多くの触媒が残存すると、該
ポリカーボネートジオールを用いてポリウレタンを製造する際に反応を阻害したり、反応を過度に促進したりする場合がある。
このため、ポリカーボネートジオール中に残存する触媒量は、特に限定されないが、触媒金属換算の含有量として100ppm以下が好ましく、より好ましくは50ppm以下、さらに好ましくは10ppm以下である。
エステル交換触媒としては、一般にエステル交換能があるとされている化合物であれば制限なく用いることができる。
エステル交換触媒の例を挙げると、リチウム、ナトリウム、カリウム、ルビジウム、セシウム等の周期表第1族金属の化合物;マグネシウム、カルシウム、ストロンチウム、バリウム等の周期表第2族金属の化合物;チタン、ジルコニウム等の周期表第4族金属の化合物;ハフニウム等の周期表第5族金属の化合物;コバルト等の周期表第9族金属の化合物;亜鉛等の周期表第12族金属の化合物;アルミニウム等の周期表第13族金属の化合物;ゲルマニウム、スズ、鉛等の周期表第14族金属の化合物;アンチモン、ビスマス等の周期表第15族金属の化合物;ランタン、セリウム、ユーロピウム、イッテルビウム等ランタナイド系金属の化合物等が挙げられる。これらのうち、エステル交換反応速度を高めるという観点から、周期表第1族金属の化合物、周期表第2族金属の化合物、周期表第4族金属の化合物、周期表第5族金属の化合物、周期表第9族金属の化合物、周期表第12族金属の化合物、周期表第13族金属の化合物、周期表第14族金属の化合物が好ましく、周期表第1族金属の化合物、周期表第2族金属の化合物がより好ましく、周期表第2族金属の化合物がさらに好ましい。周期表第1族金属の化合物の中でも、リチウム、カリウム、ナトリウムの化合物が好ましく、リチウム、ナトリウムの化合物がより好ましく、ナトリウムの化合物がさらに好ましい。周期表第2族金属の化合物の中でも、マグネシウム、カルシウム、バリウムの化合物が好ましく、カルシウム、マグネシウムの化合物がより好ましく、マグネシウムの化合物がさらに好ましい。これらの金属化合物は主に、水酸化物や塩等として使用される。塩として使用される場合の塩の例としては、塩化物、臭化物、ヨウ化物等のハロゲン化物塩;酢酸塩、ギ酸塩、安息香酸塩等のカルボン酸塩;メタンスルホン酸やトルエンスルホン酸、トリフルオロメタンスルホン酸等のスルホン酸塩;燐酸塩や燐酸水素塩、燐酸二水素塩等の燐含有の塩;アセチルアセトナート塩;等が挙げられる。触媒金属は、さらにメトキシドやエトキシドの様なアルコキシドとして用いることもできる。
これらのうち、好ましくは、周期表第2族金属から選ばれた少なくとも1種の金属の酢酸塩や硝酸塩、硫酸塩、炭酸塩、リン酸塩、水酸化物、ハロゲン化物、アルコキシドが用いられ、より好ましくは周期表第2族金属の酢酸塩や炭酸塩、水酸化物が用いられ、さらに好ましくはマグネシウム、カルシウムの酢酸塩や炭酸塩、水酸化物が用いられ、特に好ましくはマグネシウム、カルシウムの酢酸塩が用いられ、最も好ましくは酢酸マグネシウムが用いられる。
<2−5.触媒失活剤>
前述の如く、エステル交換反応の際に触媒を用いた場合、通常得られたポリカーボネートジオールには触媒が残存し、残存する触媒により、ポリウレタン化反応の制御が出来なくなる場合がある。この残存する触媒の影響を抑制するために、使用されたエステル交換触媒とほぼ等モルの例えばリン系化合物等を添加し、エステル交換触媒を不活性化することが好ましい。さらには添加後、後述のように加熱処理等により、エステル交換触媒を効率的に不活性化することができる。
エステル交換触媒の不活性化に使用されるリン系化合物としては、例えば、リン酸、亜リン酸などの無機リン酸や、リン酸ジブチル、リン酸トリブチル、リン酸トリオクチル、
リン酸トリフェニル、亜リン酸トリフェニルなどの有機リン酸エステル等が挙げられる。
これらは1種を単独で用いてもよく、2種類以上を併用してもよい。
前記リン系化合物の使用量は、特に限定はされないが、前述したように、使用されたエステル交換触媒とほぼ等モルであればよく、具体的には、使用されたエステル交換触媒1モルに対して上限が好ましくは5モル、より好ましくは2モルであり、下限が好ましくは0.8モル、より好ましくは1.0モルである。これより少ない量のリン系化合物を使用した場合は、前記反応生成物中のエステル交換触媒の不活性化が十分でなく、得られたポリカーボネートジオールを例えばポリウレタン製造用原料として使用する時、該ポリカーボネートジオールのイソシアネート基に対する反応性を十分に低下させることができない場合がある。また、この範囲を超えるリン系化合物を使用すると得られたポリカーボネートジオールが着色してしまう可能性がある。
リン系化合物を添加することによるエステル交換触媒の不活性化は、室温でも行う事ができるが、加熱処理するとより効率的である。この加熱処理の温度は、特に限定はされないが、上限が好ましくは150℃、より好ましくは120℃、さらに好ましくは100℃であり、下限は、好ましくは50℃、より好ましくは60℃、さらに好ましくは70℃である。これより低い温度の場合は、エステル交換触媒の不活性化に時間がかかり効率的でなく、また不活性化の程度も不十分な場合がある。一方、150℃を超える温度では、得られたポリカーボネートジオールが着色することがある。
リン系化合物と反応させる時間は特に限定するものではないが、通常1〜5時間である。
<2−6.残存モノマー類等>
原料として例えばジフェニルカーボネート等のジアリールカーボネートを使用した場合、ポリカーボネートジオール製造中にフェノール類が副生する。フェノール類は一官能性化合物なので、ポリウレタンを製造する際の阻害因子となる可能性がある上、フェノール類によって形成されたウレタン結合は、その結合力が弱いために、その後の工程等で熱によって解離してしまい、イソシアネートやフェノール類が再生し、不具合を起こす可能性がある。また、フェノール類は刺激性物質でもあるため、ポリカーボネートジオール中のフェノール類の残存量は、より少ない方が好ましい。具体的にはポリカーボネートジオールに対する重量比として好ましくは1000ppm以下、より好ましくは500ppm以下、さらに好ましくは300ppm以下、中でも100ppm以下であることが好ましい。ポリカーボネートジオール中のフェノール類を低減するためには、後述するようにポリカーボネートジオールの重合反応の圧力を絶対圧力として1kPa以下の高真空としたり、ポリカーボネートジオールの重合後に薄膜蒸留等を行ったりすることが有効である。
ポリカーボネートジオール中には、製造時の原料として使用したカーボネート化合物が残存することがある。ポリカーボネートジオール中のカーボネート化合物の残存量は限定されるものではないが、少ないほうが好ましく、ポリカーボネートジオールに対する重量比として上限が好ましくは5重量%、より好ましくは3重量%、さらに好ましくは1重量%である。ポリカーボネートジオールのカーボネート化合物含有量が多すぎるとポリウレタン化の際の反応を阻害する場合がある。一方、その下限は特に制限はないが、好ましくは0.1重量%、より好ましくは0.01重量%、さらに好ましくは0重量%である。
ポリカーボネートジオールには、製造時に使用したジヒドロキシ化合物が残存する場合がある。ポリカーボネートジオール中のジヒドロキシ化合物の残存量は、限定されるものではないが、少ないほうが好ましく、ポリカーボネートジオールに対する重量比として1重量%以下が好ましく、より好ましくは0.5重量%以下であり、さらに好ましくは0.1重量%以下である。ポリカーボネートジオール中のジヒドロキシ化合物の残存量が多いと、ポリウレタンとした際のソフトセグメント部位の分子長が不足し、所望の物性が得ら
れない場合がある。
ポリカーボネートジオール中には、製造の際に副生した環状のカーボネート(環状オリゴマー)を含有する場合がある。例えば1,3−プロパンジオールを用いた場合、1,3−ジオキサン−2−オンもしくはさらにこれらが2分子ないしそれ以上で環状カーボネートとなったものなどが生成してポリカーボネートジオール中に含まれる場合がある。これらの化合物は、ポリウレタン化反応においては副反応をもたらす可能性があり、また濁りの原因となるため、ポリカーボネートジオールの重合反応の圧力を絶対圧力として1kPa以下の高真空にしたり、ポリカーボネートジオールの合成後に薄膜蒸留等を行ったりしてできる限り除去しておくことが好ましい。ポリカーボネートジオール中に含まれるこれら環状カーボネートの含有量は、限定されないが、ポリカーボネートジオールに対する重量比として好ましくは3重量%以下、より好ましくは1重量%以下、さらに好ましくは0.5重量%以下、特に好ましくは0.1重量%以下である。
[3.ポリウレタン]
上述の本発明のポリカーボネートジオールを用いてポリウレタンを製造することができる。
本発明のポリカーボネートジオールを用いて本発明のポリウレタンを製造する方法は、通常ポリウレタンを製造する公知のポリウレタン化反応条件が用いられる。
例えば、本発明のポリカーボネートジオールとポリイソシアネート及び鎖延長剤を常温から200℃の範囲で反応させることにより、本発明のポリウレタンを製造することができる。
また、本発明のポリカーボネートジオールと過剰のポリイソシアネートとをまず反応させて末端にイソシアネート基を有するプレポリマーを製造し、さらに鎖延長剤を用いて重合度を上げて本発明のポリウレタンを製造する事が出来る。
<3−1.ポリイソシアネート>
本発明のポリカーボネートジオールを用いてポリウレタンを製造するのに使用されるポリイソシアネートとしては、脂肪族、脂環族又は芳香族の各種公知のポリイソシアネート化合物が挙げられる。
例えば、テトラメチレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、2,2,4−トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、2,4,4−トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、リジンジイソシアネート及びダイマー酸のカルボキシル基をイソシアネート基に転化したダイマージイソシアネート等の脂肪族ジイソシアネート;1,4−シクロヘキサンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、1−メチル−2,4−シクロヘキサンジイソシアネート、1−メチル−2,6−シクロヘキサンジイソシアネート、4,4’−ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート及び1,3−ビス(イソシアネートメチル)シクロヘキサンなどの脂環族ジイソシアネート;キシリレンジイソシアネート、4,4’−ジフェニルジイソシアネート、2,4−トリレンジイソシアネート、2,6−トリレンジイソシアネート、m−フェニレンジイソシアネート、p−フェニレンジイソシアネート、4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート、4,4’−ジフェニルジメチルメタンジイソシアネート、4,4’−ジベンジルジイソシアネート、ジアルキルジフェニルメタンジイソシアネート、テトラアルキルジフェニルメタンジイソシアネート、1,5−ナフチレンジイソシアネート、3,3’−ジメチル−4,4’−ビフェニレンジイソシアネート、ポリメチレンポリフェニルイソシアネート、フェニレンジイソシアネート及びm−テトラメチルキシリレンジイソシアネートなどの芳香族ジイソシアネート等が挙げられる。これらは、1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
これらの中でも得られるポリウレタンの物性のバランスが好ましい点、工業的に安価に多量に入手が可能な点で、4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート(以下、MDI
と称する場合がある)、ヘキサメチレンジイソシアネート、4,4’−ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート及びイソホロンジイソシアネートが好ましい。
<3−2.鎖延長剤>
また、本発明のポリウレタンを製造する際に用いられる鎖延長剤は、後述するイソシアネート基を有するプレポリマーを製造する場合において、イソシアネート基と反応する活性水素を少なくとも2個有する低分子量化合物であり、通常ポリオール及びポリアミン等を挙げることができる。
その具体例としては、エチレングリコール、1,3−プロパンジオール、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、1,8−オクタンジオール、1,9−ノナンジオール、1,10−デカンジオール、1,12−ドデカンジオール等の直鎖ジオール類;2−メチル−1,3−プロパンジオール、2,2−ジメチル−1,3−プロパンジオール、2,2−ジエチル−1,3−プロパンジオール、2−メチル−2−プロピル−1,3−プロパンジオール、2,4−ヘプタンジオール、1,4−ジメチロールヘキサン、2−エチル−1,3−ヘキサンジオール、2,2,4−トリメチル−1,3−ペンタンジオール、2−メチル−1,8−オクタンジオール、2−ブチル−2−エチル−1,3−プロパンジオール、ダイマージオール等の分岐鎖を有するジオール類;ジエチレングリコール、プロピレングリコール等のエーテル基を有するジオール類;1,4−シクロヘキサンジオール、1,4−シクロヘキサンジメタノール、1,4−ジヒドロキシエチルシクロヘキサン等の脂環構造を有するジオール類、キシリレングリコール、1,4−ジヒドロキシエチルベンゼン、4,4’−メチレンビス(ヒドロキシエチルベンゼン)等の芳香族基を有するジオール類;グリセリン、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール等のポリオール類;N−メチルエタノールアミン、N−エチルエタノールアミン等のヒドロキシアミン類;エチレンジアミン、1,3−ジアミノプロパン、ヘキサメチレンジアミン、トリエチレンテトラミン、ジエチレントリアミン、イソホロンジアミン、4,4’−ジアミノジシクロヘキシルメタン、2−ヒドロキシエチルプロピレンジアミン、ジ−2−ヒドロキシエチルエチレンジアミン、ジ−2−ヒドロキシエチルプロピレンジアミン、2−ヒドロキシプロピルエチレンジアミン、ジ−2−ヒドロキシプロピルエチレンジアミン、4,4’−ジフェニルメタンジアミン、メチレンビス(o−クロロアニリン)、キシリレンジアミン、ジフェニルジアミン、トリレンジアミン、ヒドラジン、ピペラジン、N,N’−ジアミノピペラジン等のポリアミン類;及び水等を挙げることができる。
これらの鎖延長剤は単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
これらの中でも得られるポリウレタンの物性のバランスが好ましい点、工業的に安価に多量に入手が可能な点で、1,4−ブタンジオール(以下、1,4BDと称する場合がある)、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、1,8−オクタンジオール、1,9−ノナンジオール、1,10−デカンジオール、1,4−シクロヘキサンジメタノール、1,4−ジヒドロキシエチルシクロヘキサン、エチレンジアミン、1,3−ジアミノプロパン、イソホロンジアミン、4,4’−ジアミノジシクロヘキシルメタンが好ましい。
また、後述する水酸基を有するプレポリマーを製造する場合の鎖延長剤とは、イソシアネート基を少なくとも2個有する低分子量化合物であり、具体的には<3−1.ポリイソシアネート>で記載したような化合物が挙げられる。
<3−3.硬度調整剤>
ポリウレタンを製造する際、硬度調整剤を使用しても良い。硬度調整剤としては、ポリカーボネートジオールの原料であるジヒドロキシ化合物などを使用すると良い。硬度調整剤を使用する理由を以下に説明する。例えば分子量の大きいポリカーボネートジオールを
用いてポリウレタンを製造する場合、ポリイソシアネートや鎖延長剤の原料モル組成を分子量の低いポリカーボネートジオールと同一にすると、ポリウレタン分子全体に占めるポリカーボネートジオールの重量割合が大きくなることに起因し、弾性率や硬度が低下する。そのため、ポリカーボネートジオールの原料であるジヒドロキシ化合物などを硬度調整剤として加えることで、ポリウレタン全体に占めるポリカーボネートジオールの重量割合を同等に調整することが可能となり、分子量の異なるポリカーボネートジオールを用いた場合であっても、得られるポリウレタンの弾性率や硬度が低下することを防ぐことができる。この方法は一般的に広く用いられているものである。
硬度調整剤としてはポリカーボネートジオールの原料であるジヒドロキシ化合物を用いることが好ましく、1,3−プロパンジオール、2−メチル−1,3−プロパンジオール、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、2−メチル−1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、3−メチル−1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、1,7−ヘプタンジオール、1,8−オクタンジオール、1,9−ノナンジオール、1,10−デカンジオール、1,11−ウンデカンジオール、1,12−ドデカンジオール、1,13−トリデカンジオール、1,14−テトラデカンジオール、1,16−ヘキサデカンジオール、1,18−オクタデカンジオール、1,20−エイコサンジオール等が挙げられる。
<3−4.鎖停止剤>
本発明のポリウレタンを製造する際には、得られるポリウレタンの分子量を制御する目的で、必要に応じて1個の活性水素基を持つ鎖停止剤を使用することができる。
これらの鎖停止剤としては、一個の水酸基を有するメタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール、ヘキサノール等の脂肪族モノオール類、一個のアミノ基を有するジエチルアミン、ジブチルアミン、n−ブチルアミン、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、モルホリン等の脂肪族モノアミン類が例示される。
これらは、1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
<3−5.触媒>
本発明のポリウレタンを製造する際のポリウレタン形成反応において、 トリエチルアミン、N−エチルモルホリン、トリエチレンジアミンなどのアミン系触媒又はトリメチルチンラウレート、ジブチルチンジラウレート、ジオクチルチンジラウレート、ジオクチルチンジネオデカネートなどのスズ系の化合物、さらにはチタン系化合物などの有機金属塩などに代表される公知のウレタン重合触媒を用いる事もできる。ウレタン重合触媒は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
<3−6.本発明のポリカーボネートジオール以外のポリオール>
本発明のポリウレタンを製造する際のポリウレタン形成反応においては、本発明のポリカーボネートジオールと必要に応じてそれ以外のポリオールを併用しても良い。ここで、本発明のポリカーボネートジオール以外のポリオールとは、通常のポリウレタン製造の際に用いるものであれば特に限定されず、例えばポリエーテルポリオール、ポリエステルポリオール、本発明以外のポリカーボネートポリオールがあげられる。ここで、本発明のポリカーボネートジオールとそれ以外のポリオールを合わせた重量に対する。本発明のポリカーボネートジオールの重量割合は70%以上が好ましく、90%以上がさらに好ましい。本発明のポリカーボネートジオールの重量割合が少ないと、本発明の特徴である耐薬品性、低温特性、耐熱性のバランスが失われる可能性がある。
本発明において、ポリウレタンの製造には、上述の本発明のポリカーボネートジオールを変性して使用することも出来る。ポリカーボネートジオールの変性方法としては、ポリカーボネートジオールにエチレンオキシド、プロピレンオキシド、ブチレンオキシド等の
エポキシ化合物を付加させてエーテル基を導入する方法や、ポリカーボネートジオールをε−カプロラクトン等の環状ラクトンやアジピン酸、コハク酸、セバシン酸、テレフタル酸等のジカルボン酸化合物並びにそれらのエステル化合物と反応させてエステル基を導入する方法がある。エーテル変性ではエチレンオキシド、プロピレンオキシド等による変性でポリカーボネートジオールの粘度が低下し、取扱い性等の理由で好ましい。特に、本発明のポリカーボネートジオールではエチレンオキシドやプロピレンオキシド変性することによって、ポリカーボネートジオールの結晶性が低下し、低温での柔軟性が改善すると共に、エレンオキシド変性の場合は、エチレンオキシド変性ポリカーボネートジオールを用いて製造されたポリウレタンの吸水性や透湿性が増加する為に人工皮革・合成皮革等としての性能が向上することがある。しかし、エチレンオキシドやプロピレンオキシドの付加量が多くなると、変性ポリカーボネートジオールを用いて製造されたポリウレタンの機械強度、耐熱性、耐薬品性等の諸物性が低下するので、ポリカーボネートジオールに対する付加量としては5〜50重量%が好適であり、好ましくは5〜40重量%、さらに好ましくは5〜30重量%である。また、エステル基を導入する方法では、ε−カプロラクトンによる変性でポリカーボネートジオールの粘度が低下し、取扱い性等の理由で好ましい。ポリカーボネートジオールに対するε−カプロラクトンの付加量としては3〜70重量%が好適であり、好ましくは5〜50重量%であり、さらに好ましくは10〜40重量%、よりさらに好ましくは15〜30重量%である。ε−カプロラクトンの付加量が70重量%を超えると、変性ポリカーボネートジオールを用いて製造されたポリウレタンの耐加水分解性、耐薬品性等が低下する。また3重量%より少ないと粘度低減効果が小さいため好ましくない。
<3−7.溶剤>
本発明のポリウレタンを製造する際のポリウレタン形成反応は溶剤を用いても良い。
好ましい溶剤としては、ジメチルホルムアミド、ジエチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド,N−メチルピロリドンなどのアミド系溶剤;ジメチルスルホキシドなどのスルホキシド系溶剤、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン、メチルイソブチルケトン等のケトン系溶剤;テトラヒドロフラン、ジオキサン等のエーテル系溶剤;酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸ブチル等のエステル系溶剤;及びトルエン、キシレン等の芳香族炭化水素系溶剤等が挙げられる。これらの溶剤は、単独で用いてもよく、2種以上の混合溶媒として用いてもよい。
これらの中で好ましい有機溶剤は、メチルエチルケトン、酢酸エチル、トルエン、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、N−メチルピロリドン及びジメチルスルホキシド等である。
また、本発明のポリカーボネートジオール、ポリジイソシアネート、及び前記の鎖延長剤が配合されたポリウレタン組成物から、水分散液のポリウレタンを製造することもできる。
<3−8.ポリウレタン製造方法>
上述の反応試剤を用いて本発明のポリウレタンを製造する方法としては、一般的に実験ないし工業的に用いられる製造方法が使用できる。
その例としては、本発明のポリカーボネートジオール、それ以外のポリオール、ポリイソシアネート及び鎖延長剤を一括に混合して反応させる方法(以下、「一段法」と称する場合がある)や、まず本発明のポリカーボネートジオール、それ以外のポリオール及びポリイソシアネートを反応させて両末端がイソシアネート基のプレポリマーを調製した後に、そのプレポリマーと鎖延長剤を反応させる方法(以下、「二段法」と称する場合がある)等がある。
二段法は、本発明のポリカーボネートジオールとそれ以外のポリオールとを予め1当量
以上のポリイソシアネートと反応させることにより、ポリウレタンのソフトセグメントに相当する部分の両末端イソシアネート中間体を調製する工程を経るものである。このように、プレポリマーを一旦調製した後に鎖延長剤と反応させると、ソフトセグメント部分の分子量の調整が行いやすい場合があり、ソフトセグメントとハードセグメントの相分離を確実に行う必要がある場合には有用である。
<3−9.一段法>
一段法とは、ワンショット法とも呼ばれ、本発明のポリカーボネートジオール、それ以外のポリオール、ポリイソシアネート及び鎖延長剤を一括に仕込むことで反応を行う方法である。
一段法におけるポリイソシアネートの使用量は、特に限定はされないが、本発明のポリカーボネートジオールとそれ以外のポリオールとの総水酸基数と、鎖延長剤の水酸基数とアミノ基数との総計を1当量とした場合、下限は、好ましくは0.7当量、より好ましくは0.8当量、さらに好ましくは0.9当量、特に好ましくは0.95当量であり、上限は、好ましくは3.0当量、より好ましくは2.0当量、さらに好ましくは1.5当量、特に好ましくは1.1当量である。
ポリイソシアネートの使用量が多すぎると、未反応のイソシアネート基が副反応を起こし、得られるポリウレタンの粘度が高くなりすぎて取り扱いが困難となったり、柔軟性が損なわれたりする傾向があり、少なすぎると、ポリウレタンの分子量が十分に大きくならず、十分なポリウレタン強度が得られなくなる傾向がある。
また、鎖延長剤の使用量は、特に限定されないが、本発明のポリカーボネートジオールとそれ以外のポリオールの総水酸基数からポリイソシアネートのイソシアネート基数を引いた数を1当量とした場合、下限は、好ましくは0.7当量、より好ましくは0.8当量、さらに好ましくは0.9当量、特に好ましくは0.95当量であり、上限は好ましくは3.0当量、より好ましくは2.0当量、さらに好ましくは1.5当量、特に好ましくは1.1当量である。鎖延長剤の使用量が多すぎると、得られるポリウレタンが溶媒に溶けにくく加工が困難になる傾向があり、少なすぎると、得られるポリウレタンが軟らかすぎて十分な強度や硬度、弾性回復性能や弾性保持性能が得られなかったり、耐熱性が悪くなる場合がある。
<3−10.二段法>
二段法は、プレポリマー法ともよばれ、主に以下の方法がある。
(a)予め本発明のポリカーボネートジオール及びそれ以外のポリオールと、過剰のポリイソシアネートとを、ポリイソシアネート/(本発明のポリカーボネートジオール及びそれ以外のポリオール)の反応当量比が1を超える量から10.0以下で反応させて、分子鎖末端がイソシアネート基であるプレポリマーを製造し、次いでこれに鎖延長剤を加えることによりポリウレタンを製造する方法
(b)予めポリイソシアネートと、過剰のポリカーボネートジオール及びそれ以外のポリオールとを、ポリイソシアネート/(本発明のポリカーボネートジオール及びそれ以外のポリオール)の反応当量比が0.1以上から1.0未満で反応させて分子鎖末端が水酸基であるプレポリマーを製造し、次いでこれに鎖延長剤として末端がイソシアネート基のポリイソシアネートを反応させてポリウレタンを製造する方法。
二段法は無溶媒でも溶媒共存下でも実施することができる。
二段法によるポリウレタン製造は以下に記載の(1)〜(3)のいずれかの方法によって行うことができる。
(1) 溶媒を使用せず、まず直接ポリイソシアネートとポリカーボネートジオールとそれ以外のポリオールとを反応させてプレポリマーを合成し、そのまま鎖延長反応に使用する。
(2) (1)の方法でプレポリマーを合成し、その後溶媒に溶解し、以降の鎖延長反応に使用する。
(3) 初めから溶媒を使用し、ポリイソシアネートとポリカーボネートジオールとそれ以外のポリオールとを反応させ、その後鎖延長反応を行う。
(1)の方法の場合には、鎖延長反応にあたり、鎖延長剤を溶媒に溶かしたり、溶媒に同時にプレポリマー及び鎖延長剤を溶解するなどの方法により、ポリウレタンを溶媒と共存する形で得ることが重要である。
二段法(a)の方法におけるポリイソシアネートの使用量は、特に限定はされないが、ポリカーボネートジオールとそれ以外のポリオールの総水酸基の数を1当量とした場合のイソシアネート基の数として、下限が好ましくは1.0当量を超える量、より好ましくは1.2当量、さらに好ましくは1.5当量であり、上限が好ましくは10.0当量、より好ましくは5.0当量、さらに好ましくは3.0当量の範囲である。
このイソシアネート使用量が多すぎると、過剰のイソシアネート基が副反応を起こして所望のポリウレタンの物性まで到達しにくい傾向があり、少なすぎると、得られるポリウレタンの分子量が十分に上がらず強度や熱安定性が低くなる場合がある。
鎖延長剤の使用量については特に限定されないが、プレポリマーに含まれるイソシアネート基の数1当量に対して、下限が、好ましくは0.1当量、より好ましくは0.5当量、さらに好ましくは0.8当量であり、上限が好ましくは5.0当量、より好ましくは3.0当量、さらに好ましくは2.0当量の範囲である。
上記鎖延長化反応を行う際に、分子量を調整する目的で、一官能性の有機アミン類やアルコール類を共存させてもよい。
また、二段法(b)の方法における末端が水酸基であるプレポリマーを作成する際のポリイソシアネートの使用量は、特に限定はされないが、ポリカーボネートジオールとそれ以外のポリオールの総水酸基の数を1当量とした場合のイソシアネート基の数として、下限が好ましくは0.1当量、より好ましくは0.5当量、さらに好ましくは0.7当量であり、上限が好ましくは0.99当量、より好ましくは0.98当量、さらに好ましくは0.97当量である。
このイソシアネート使用量が少なすぎると、続く鎖延長反応で所望の分子量を得るまでの工程が長くなり生産効率が落ちる傾向にあり、多すぎると、粘度が高くなりすぎて得られるポリウレタンの柔軟性が低下したり、取扱いが悪く生産性が劣ったりする場合がある。
鎖延長剤の使用量については特に限定されないが、プレポリマーに使用したポリカーボネートジオールとそれ以外のポリオールの総水酸基の数を1当量とした場合、プレポリマーに使用したイソシアネート基の当量を加えた総当量として、下限が好ましくは0.7当量、より好ましくは0.8当量、さらに好ましくは0.9当量であり、上限が好ましくは1.0当量未満、より好ましくは0.99当量、さらに好ましくは0.98当量の範囲である。
上記鎖延長化反応を行う際に、分子量を調整する目的で、一官能性の有機アミン類やアルコール類を共存させてもよい。
鎖延長反応は通常、0℃〜250℃で反応させるが、この温度は溶剤の量、使用原料の反応性、反応設備等により異なり、特に制限はない。温度が低すぎると反応の進行が遅すぎたり、原料や重合物の溶解性が低い為に製造時間が長くなることがあり、また高すぎると副反応や得られるポリウレタンの分解が起こることがある。鎖延長反応は、減圧下で脱泡しながら行ってもよい。
また、鎖延長反応には必要に応じて、触媒や安定剤等を添加することもできる。
触媒としては例えばトリエチルアミン、トリブチルアミン、ジブチル錫ジラウレ−ト、オクチル酸第一錫、酢酸、燐酸、硫酸、塩酸、スルホン酸等の化合物が挙げられ、1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。安定剤としては例えば2,6−ジブチル−4−メチルフェノール、ジステアリルチオジプロピオネ−ト、N,N′−ジ−2−ナフチル−1,4−フェニレンジアミン、トリス(ジノニルフェニル)ホスファイト等の化合物が挙げられ、1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。尚、鎖延長剤が短鎖脂肪族アミン等の反応性の高いものの場合は、触媒を添加せずに実施してもよい。
<3−11.添加剤>
本発明のポリカーボネートジオールを用いて製造した本発明のポリウレタンには、熱安定剤、光安定剤、着色剤、充填剤、安定剤、紫外線吸収剤、酸化防止剤、粘着防止剤、難燃剤、老化防止剤、無機フィラー等の各種の添加剤を、本発明のポリウレタンの特性を損なわない範囲で、添加、混合することができる。
熱安定剤として使用可能な化合物としては、燐酸、亜燐酸の脂肪族、芳香族又はアルキル基置換芳香族エステルや次亜燐酸誘導体、フェニルホスホン酸、フェニルホスフィン酸、ジフェニルホスホン酸、ポリホスホネート、ジアルキルぺンタエリスリトールジホスファイト、ジアルキルビスフェノールAジホスファイト等のリン化合物;フェノール系誘導体、特にヒンダードフェノール化合物;チオエーテル系、ジチオ酸塩系、メルカプトベンズイミダゾール系、チオカルバニリド系、チオジプロピオン酸エステル系等のイオウを含む化合物;スズマレート、ジブチルスズモノオキシド等のスズ系化合物等を使用することができる。
ヒンダードフェノール化合物の具体例としては、Irganox1010(商品名:BASFジャパン株式会社製)、Irganox1520(商品名:BASFジャパン株式会社製)、Irganox245(商品名:BASFジャパン株式会社製)等が挙げられる。
リン化合物としては、PEP−36、PEP−24G、HP−10(いずれも商品名:株式会社ADEKA社製)Irgafos 168(商品名:BASFジャパン株式会社製)等が挙げられる。
イオウを含む化合物の具体例としては、ジラウリルチオプロピオネート(DLTP)、ジステアリルチオプロピオネート(DSTP)などのチオエーテル化合物が挙げられる。
光安定剤の例としては、ベンゾトリアゾール系、ベンゾフェノン系化合物等が挙げられ、具体的には「TINUVIN622LD」、「TINUVIN765」(以上、チバ・スペシャリティー・ケミカルズ株式会社製)、「SANOL LS−2626」、「SANOL LS−765」(以上、三共株式会社製)等が使用可能である。
紫外線吸収剤の例としては、「TINUVIN328」、「TINUVIN234」(以上、チバ・スペシャリティー・ケミカルズ株式会社製)等が挙げられる。
着色剤としては、直接染料、酸性染料、塩基性染料、金属錯塩染料などの染料;カーボンブラック、酸化チタン、酸化亜鉛、酸化鉄、マイカなどの無機顔料;及びカップリングアゾ系、縮合アゾ系、アンスラキノン系、チオインジゴ系、ジオキサゾン系、フタロシアニン系等の有機顔料等が挙げられる。
無機フィラーの例としては、ガラス短繊維、カーボンファイバー、アルミナ、タルク、グラファイト、メラミン、白土等が挙げられる。
難燃剤の例としては、燐及びハロゲン含有有機化合物、臭素あるいは塩素含有有機化合
物、ポリ燐酸アンンモニウム、水酸化アルミニウム、酸化アンチモン等の添加及び反応型難燃剤が挙げられる。
これらの添加剤は、単独で用いてもよく、2種以上を任意の組み合わせ及び比率で組み合わせて用いてもよい。
これらの添加剤の添加量は、ポリウレタンに対する重量比として、下限が、好ましくは0.01重量%、より好ましくは0.05重量%、さらに好ましくは0.1重量%、上限は、好ましくは10重量%、より好ましくは5重量%、さらに好ましくは1重量%である。添加剤の添加量が少な過ぎるとその添加効果を十分に得ることができず、多過ぎるとポリウレタン中で析出したり、濁りを発生したりする場合がある。
<3−12.ポリウレタンフィルム・ポリウレタン板>
本発明のポリウレタンを使用してフィルムを製造する場合、そのフィルムの厚さは、下限が好ましくは10μm、より好ましくは20μm、さらに好ましくは30μm、上限は好ましくは1000μm、より好ましくは500μm、さらに好ましくは100μmである。
フィルムの厚さが厚すぎると、溶媒の除去が困難になる傾向があり、また、薄過ぎるとピンホールを生じたり、フィルムがブロッキングしやすく取り扱いにくくなる傾向がある。
<3−13.分子量>
本発明のポリウレタンの分子量は、その用途に応じて適宜調整され、特に制限はないが、GPCにより測定されるポリスチレン換算の重量平均分子量(Mw)として5万〜50万であることが好ましく、10万〜30万であることがより好ましい。Mwが上記下限よりも小さいと十分な強度や硬度が得られない場合があり、上記上限よりも大きいと加工性などハンドリング性を損なう傾向がある。
<3−14.耐薬品性>
本発明のポリウレタンは、例えば後述の実施例の項に記載される方法での評価において、薬品に浸漬前のポリウレタン試験片の重量に対する、薬品に浸漬後のポリウレタン試験片の重量の変化率(%)が、30%以下が好ましく、25%以下がより好ましく、20%以下がさらに好ましく、15%以下が特に好ましく、10%以下が最も好ましい。
この重量変化率が上記上限超過では、所望の耐薬品性が得られない場合がある。
<3−15.耐オレイン酸性>
本発明のポリウレタンは、例えば後述の実施例の項に記載される方法での評価において、オレイン酸に浸漬前のポリウレタン試験片の重量に対する、オレイン酸に浸漬後のポリウレタン試験片の重量の変化率(%)が、60%以下が好ましく、50%以下がより好ましく、45%以下がさらに好ましく、40%以下が特に好ましく、35%以下が最も好ましい。
この重量変化率が上記上限超過では十分な耐オレイン酸性が得られない場合がある。
<3−16.耐エタノール性>
本発明のポリウレタンは、例えば室温で1週間、エタノールに浸漬する方法での評価において、エタノールに浸漬前のポリウレタン試験片の重量に対する、エタノールに浸漬後のポリウレタン試験片の重量の変化率(%)は25%以下が好ましく、20%以下がより好ましく、18%以下がさらに好ましく、16%以下が特に好ましく、14%以下が最も好ましい。
この重量変化率が上記上限超過では十分な耐エタノール性が得られない場合がある。
<3−17.引張破断伸度>
本発明のポリウレタンは、幅10mm、長さ100mm、厚み約50〜100μmの短冊状のサンプルに対して、チャック間距離50mm、引張速度500mm/分にて、温度23℃、相対湿度50%で測定する引張破断伸度の下限が好ましくは50%、より好ましくは100%、さらに好ましくは150%であり、上限は好ましくは900%、より好ましくは850%、さらに好ましくは800%である。引張破断伸度が上記下限未満では加工性などハンドリング性を損なう傾向があり、上記上限を超えると十分な耐薬品性が得られない場合がある。
<3−18.ヤング率>
本発明のポリカーボネートジオールとH12MDIとIPDAを用いて、HS含有量%を15%〜30重量%として一段法で製造された、GPCにより測定されるポリスチレン換算の重量平均分子量(Mw)が14万〜21万のポリウレタン(以下、「特定ポリウレタン」と称す場合がある。)の上記引張破断伸度測定と同様の方法で測定する23℃でのヤング率は好ましくは0.02以上、より好ましくは0.04以上、さらに好ましくは0.06以上である。又好ましくは2以下、より好ましくは1以下、さらに好ましくは0.5以下である。ヤング率が低すぎると耐薬品性が不足する場合がある。ヤング率が高過ぎると柔軟性が不十分であったり、加工性などのハンドリング性を損なったりする場合がある。更に、特定ポリウレタンの−10℃にした以外は上記引張破断伸度測定と同様の方法で測定するヤング率は好ましくは0.01以上、より好ましくは0.02以上、さらに好ましくは0.03以上、特に好ましくは0.05以上である。又好ましくは2以下、より好ましくは1以下、さらに好ましくは0.5以下、特に好ましくは0.3以下である。−10℃でのヤング率が上記下限未満では耐薬品性が不足する場合がある。−10℃でのヤング率が上記上限を超えると低温での柔軟性が不十分であったり、加工性などのハンドリング性を損なったりする場合がある。
ここで、ヤング率とは、その初期伸度での応力値の傾きとして伸度1%時の応力の値であり、具体的には後述の実施例の項に記載される方法で測定される。
尚、前記HS(ハードセグメント)含有率%は以下の式により算出することができる。
HS含有量(重量%)= 〔ポリイソシアネート仕込み重量(g)+鎖延長剤仕込み重量(g)+硬度調整剤(g)〕÷〔ポリイソシアネート仕込み重量(g)+ポリカーボネートジオール仕込み重量(g)+それ以外のポリオール仕込み重量(g)+鎖延長剤仕込み重量(g)+硬度調整剤(g)〕
上記式の各項はウレタン製造時に使用した原料にかかる数値である。
<3−19.100%モジュラス>
本発明のポリウレタンは、本発明のポリカーボネートジオールに対して4,4‘−ジシクロヘキシルメタンジイソシアネートを2当量反応させ、さらにイソホロンジアミンで鎖延長反応を行い二段法でポリウレタンを得た場合、幅10mm、長さ100mm、厚み約50〜100μmの短冊状のサンプルに対して、チャック間距離50mm、引張速度500mm/分にて、温度23℃、相対湿度50%で測定した100%モジュラスの下限が好ましくは0.1MPa以上、より好ましくは0.5MPa以上、さらに好ましくは1MPa以上であり、上限は好ましくは20MPa以下、より好ましくは10MPa以下、さらに好ましくは5MPa以下である。100%モジュラスが上記下限未満では耐薬品性が十分でない場合があり、上記上限を超えると柔軟性が不十分であったり、加工性などハンドリング性を損なったりする傾向がある。更に、特定ポリウレタンの−10℃での100%モジュラスは好ましくは0.5以上、より好ましくは1.0以上、さらに好ましくは1.5以上、特に好ましくは2.0以上である。又好ましくは15以下、より好ましくは10以下、さらに好ましくは7以下、特に好ましくは5以下である。−10℃での100%モジュラスが上記下限未満では耐薬品性が不足する場合がある。−10℃での100%モジ
ュラスが上記上限を超えると低温での柔軟性が不十分であったり、加工性などのハンドリング性を損なったりする場合がある。
<3−20.弾性回復性>
本発明のポリウレタンは、温度23℃、相対湿度50%の環境下において、幅10mm、長さ100mm、厚み約50〜100μmの短冊状のポリウレタン試験片に対してチャック間距離50mm、引張速度500mm/分で300%まで伸長し、続いてもとの長さまで同速度で収縮させ、これを2回繰り返すことで、温度23℃、相対湿度50%での弾性回復率を算出した。
このとき、1回目の伸長時における150%伸長時の応力に対する、1回目の収縮時における150%伸長時の応力の比率は1に近いほど良く、好ましくは0.1以上、より好ましくは0.11以上、更に好ましくは0.14以上、最も好ましくは0.15以上である。
また、1回目の伸長時における150%伸長時の応力に対する、2回目の伸長時における150%伸長時の応力の比率は1に近いほど良く、好ましくは0.5以上、より好ましくは0.6以上、更に好ましくは0.7以上、最も好ましくは0.8以上である。
さらに、2回目の伸長時の応力が発生する点を%SET(永久歪)とし、この値は0に近いほど良く、好ましくは70以下、より好ましくは60以下、更に好ましくは40以下、最も好ましくは20以下である。
また、本発明のポリウレタンは、温度−10℃の環境下において、幅10mm、長さ100mm、厚み約50〜100μmの短冊状のポリウレタン試験片に対してチャック間距離50mm、引張速度500mm/分で300%まで伸長し、続いてもとの長さまで同速度で収縮させ、これを2回繰り返すことで、−10℃での弾性回復率を算出した。このとき、1回目の伸長時における250%伸長時の応力に対する、1回目の収縮時における250%伸長時の応力の比率は1に近いほど良く、好ましくは0.06以上、より好ましくは0.10以上、更に好ましくは0.12以上、最も好ましくは0.13以上である。また、1回目の伸長時における250%伸長時の応力に対する、2回目の伸長時における250%伸長時の応力は1に近いほど良く、好ましくは0.50以上、より好ましくは0.55以上、更に好ましくは0.60以上である。さらに、2回目の伸長時の応力が発生する点を%SET(永久歪)とし、この値は0に近いほどよく、好ましくは130%以下、より好ましくは120%以下、更に好ましくは110%以下、最も好ましくは105%以下である。
<3−21.低温特性>
本発明のポリウレタンは、低温特性が良好であるが、本特許での低温特性とは、−10℃等の低温での引張試験における引張破断伸度、ヤング率、100%モジュラスにより評価できる。また−10℃等の低温でのサイクル試験における応力比や永久歪みにより評価ができる。具体的には低温での柔軟性、弾性回復性、耐衝撃性、耐屈曲性、耐久性のことである。
<3−22.耐熱性>
本発明のポリウレタンは、幅100mm、長さ100mm、厚み約50〜100μmのウレタンフィルムを、ギヤオーブンにて温度120℃、400時間加熱を行い、加熱後のサンプルの重量平均分子量(Mw)が加熱前の重量平均分子量(Mw)に対して、下限が好ましくは60%以上、より好ましくは70%以上、さらに好ましくは80%以上、特に好ましくは85%以上であり、上限は好ましくは120%以下、より好ましくは110%以下、さらに好ましくは105%以下である。
<3−23.ガラス転移温度>
本発明のポリカーボネートジオールとH12MDIとIPDAとを用いて、HS含有量%を15%〜30%として一段法で製造された、GPCにより測定されるポリスチレン換算の重量平均分子量(Mw)が14万〜21万の特定ポリウレタンのガラス転移温度(Tg)の下限は好ましくは−50℃、より好ましくは−45℃、さらに好ましくは−40℃であり、上限は好ましくは10℃、より好ましくは0℃、さらに好ましくは−10℃である。Tgが上記下限未満では耐薬品性が十分でない場合があり、上記上限超過では低温特性が十分でない可能性がある。
<3−24.用途>
本発明のポリウレタンは、耐薬品性に優れ、良好な低温特性を有することから、フォーム、エラストマー、弾性繊維、塗料、繊維、粘着剤、接着剤、床材、シーラント、医療用材料、人工皮革、合成皮革、コーティング剤、水系ポリウレタン塗料、活性エネルギー線硬化性樹脂組成物等に広く用いることができる。
特に、人工皮革、合成皮革、水系ポリウレタン、接着剤、弾性繊維、医療用材料、床材、塗料、コーティング剤等の用途に、本発明のポリウレタンを用いると、耐薬品性、低温特性の良好なバランスを有するため、人の皮膚に触れたり、コスメティック用薬剤や消毒用のアルコールが使われたりする部分において耐久性が高く、また低温での柔軟性も十分で、かつ物理的な衝撃などにも強いという良好な特性を付与することができる。また、より厳しい低温での柔軟性が要求される自動車外装の中塗り塗料にも好適である。
本発明のポリウレタンは、注型ポリウレタンエラストマーに使用できる。その具体的用途として、圧延ロール、製紙ロール、事務機器、プレテンションロール等のロール類、フォークリフト、自動車車両ニュートラム、台車、運搬車等のソリッドタイヤ、キャスター等、工業製品として、コンベアベルトアイドラー、ガイドロール、プーリー、鋼管ライニング、鉱石用ラバースクリーン、ギア類、コネクションリング、ライナー、ポンプのインペラー、サイクロンコーン、サイクロンライナー等がある。また、OA機器のベルト、紙送りロール、複写用クリーニングブレード、スノープラウ、歯付ベルト、サーフローラー等にも使用できる。
本発明のポリウレタンは、また、熱可塑性エラストマーとしての用途にも適用される。例えば、食品、医療分野で用いる空圧機器、塗装装置、分析機器、理化学機器、定量ポンプ、水処理機器、産業用ロボット等におけるチューブやホース類、スパイラルチューブ、消防ホース等に使用できる。また、丸ベルト、Vべルト、平ベルト等のベルトとして、各種伝動機構、紡績機械、荷造り機器、印刷機械等に用いられる。また、履物のヒールトップや靴底、カップリング、パッキング、ポールジョイント、ブッシュ、歯車、ロール等の機器部品、スポーツ用品、レジャー用品、時計のベルト等に使用できる。さらに自動車部品としては、オイルストッパー、ギアボックス、スペーサー、シャーシー部品、内装品、タイヤチェーン代替品等が挙げられる。また、キーボードフィルム、自動車用フィルム等のフィルム、カールコード、ケーブルシース、ベロー、搬送ベルト、フレキシブルコンテナー、バインダー、合成皮革、ディピンイング製品、接着剤等に使用できる。
本発明のポリウレタンは、溶剤系二液型塗料としての用途にも適用可能であり、楽器、仏壇、家具、化粧合板、スポーツ用品等の木材製品に適用できる。また、タールエポキシウレタンとして自動車補修用にも使用できる。
本発明のポリウレタンは、湿気硬化型の一液型塗料、ブロックイソシアネート系溶媒塗料、アルキド樹脂塗料、ウレタン変性合成樹脂塗料、紫外線硬化型塗料、水系ウレタン塗料等の成分として使用可能であり、例えば、プラスチックバンパー用塗料、ストリッパブルペイント、磁気テープ用コーティング剤、床タイル、床材、紙、木目印刷フィルム等のオーバープリントワニス、木材用ワニス、高加工用コイルコート、光ファイバー保護コー
ティング、ソルダーレジスト、金属印刷用トップコート、蒸着用ベースコート、食品缶用ホワイトコート等に適用できる。
本発明のポリウレタンは、また、粘着剤や接着剤として、食品包装、靴、履物、磁気テープバインダー、化粧紙、木材、構造部材等に適用でき、また、低温用接着剤、ホットメルトの成分としても用いることができる。
本発明のポリウレタンは、バインダーとして、磁気記録媒体、インキ、鋳物、焼成煉瓦、グラフト材、マイクロカプセル、粒状肥料、粒状農薬、ポリマーセメントモルタル、レジンモルタル、ゴムチップバインダー、再生フォーム、ガラス繊維サイジング等に使用可能である。
本発明のポリウレタンは、繊維加工剤の成分として、防縮加工、防皺加工、撥水加工等に使用できる。
本発明のポリウレタンを弾性繊維として使用する場合のその繊維化の方法は、紡糸できる方法であれば特に制限なく実施できる。例えば、一旦ペレット化した後、溶融させ、直接紡糸口金を通して紡糸する溶融紡糸方法が採用できる。本発明のポリウレタンから弾性繊維を溶融紡糸により得る場合、紡糸温度は好ましくは250℃以下、より好ましくは200℃以上235℃以下である。
本発明のポリウレタン弾性繊維はそのまま裸糸として使用したり、また、他繊維で被覆して被覆糸として使用することもできる。他繊維としては、ポリアミド繊維、ウール、綿、ポリエステル繊維など従来公知の繊維を挙げることができるが、なかでも本発明ではポリエステル繊維が好ましく用いられる。また、本発明のポリウレタン弾性繊維は、染着タイプの分散染料を含有していてもよい。
本発明のポリウレタンは、シーラント・コーキングとして、コンクリート打ち壁、誘発目地、サッシ周り、壁式PC目地、ALC目地、ボード類目地、複合ガラス用シーラント、断熱サッシシーラント、自動車用シーラント等に使用できる。
本発明のポリウレタンは、医療用材料としての使用が可能であり、血液適合材料として、チューブ、カテーテル、人工心臓、人工血管、人工弁等、また、使い捨て素材としてカテーテル、チューブ、バッグ、手術用手袋、人工腎臓ポッティング材料等に使用できる。
本発明のポリウレタンは、末端を変性させることによりUV硬化型塗料、電子線硬化型塗料、フレキソ印刷版用の感光性樹脂組成物、光硬化型の光ファイバー被覆材組成物等の原料として用いることができる。
<3−25.ウレタン(メタ)アクリレート系オリゴマー>
又、本発明のポリカーボネートジオールを用いて、ポリイソシアネートとドロキシアルキル(メタ)アクリレートを付加反応させることによりウレタン(メタ)アクリレート系オリゴマーを製造してもよい。その他の原料化合物であるポリオール、及び鎖延長剤等を併用する場合は、ウレタン(メタ)アクリレート系オリゴマーは、ポリイソシアネートに、更にこれらのその他の原料化合物も付加反応させることにより製造することができる。
また、その際の各原料化合物の仕込み比は、目的とするウレタン(メタ)アクリレート系オリゴマーの組成と実質的に同等、ないしは同一とする。
ウレタン(メタ)アクリレート系オリゴマーにおける全イソシアネート基の量と水酸基及びアミノ基等のイソシアネート基と反応する全官能基の量は、通常、理論的に当モルである。
ウレタン(メタ)アクリレート系オリゴマーを製造する際は、ヒドロキシアルキル(メタ)アクリレートの使用量を、ヒドロキシアルキル(メタ)アクリレート、ポリカーボネ
ートジオール、並びに必要に応じて用いられるその他の原料化合物であるポリオール、及び鎖延長剤等のイソシアネートと反応する官能基を含む化合物の総使用量に対して、通常10モル%以上、好ましくは15モル%以上、さらに好ましくは25モル%以上、また、通常70モル%以下、好ましくは50モル%以下とする。この割合に応じて、得られるウレタン(メタ)アクリレート系オリゴマーの分子量を制御することができる。ヒドロキシアルキル(メタ)アクリレートの割合が多いと、ウレタン(メタ)アクリレート系オリゴマーの分子量は小さくなる傾向となり、割合が少ないと分子量は大きくなる傾向となる。
ポリカーボネートジオールとポリオールとの総使用量に対して、ポリカーボネートジオールの使用量を25モル%以上とすることが好ましく、より好ましくは50モル%以上、さらに好ましくは70モル%以上である。ポリカーボネートジオールの使用量が前記の下限値より大きいと、得られる硬化物の硬度及び耐汚染性が良好となる傾向があり好ましい。
また、ポリカーボネートジオールとポリオールとの総使用量に対して、ポリカーボネートジオールの使用量は、10質量%以上とすることが好ましく、より好ましくは30質量%以上、さらに好ましくは50質量%以上、特に好ましくは70質量%以上である。ポリカーボネートジオールの使用量が前記の下限値より大きいと、得られる組成物の粘度が低下し作業性が向上し、また得られる硬化物の機械的強度及び硬度や耐摩耗性が向上する傾向になり好ましい。
更に、ポリカーボネートジオールとポリオールとの総使用量に対して、ポリカーボネートジオールの使用量は、25モル%以上とすることが好ましく、より好ましくは50モル%以上、さらに好ましくは70モル%以上である。ポリカーボネートジオールの使用量が前記の下限値より大きいと、得られる硬化物の伸度、耐候性が向上する傾向になり好ましい。
更に、鎖延長剤を用いる場合には、ポリカーボネートジオール、ポリオールと鎖延長剤とを合わせた化合物の総使用量に対してポリオールの使用量を70モル%以上とすることが好ましく、より好ましくは80モル%以上、さらに好ましくは90モル%以上、特に好ましくは95モル%以上である。ポリオール量が前記の下限値より大きいと、液安定性が向上する傾向になり好ましい。
ウレタン(メタ)アクリレート系オリゴマーの製造時において、粘度の調整を目的に溶剤を使用することができる。溶剤は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を混合して用いてもよい。溶剤としては、公知の溶剤のいずれも使用することができる。好ましい溶剤としては、トルエン、キシレン、酢酸エチル、酢酸ブチル、シクロヘキサノン、メチルエチルケトン、及びメチルイソブチルケトン等が挙げられる。溶剤は、通常、反応系内の固形分100質量部に対して300質量部未満で使用可能である。
ウレタン(メタ)アクリレート系オリゴマーの製造時において、生成するウレタン(メタ)アクリレート系オリゴマー及びその原料化合物の総含有量は、反応系の総量に対して20質量%以上であることが好ましく、40質量%以上であることがより好ましい。なお、この総含有量の上限は100質量%である。ウレタン(メタ)アクリレート系オリゴマー及びその原料化合物の総含有量が20質量%以上であると、反応速度が高くなり、製造効率が向上する傾向にあるために好ましい。
ウレタン(メタ)アクリレート系オリゴマーの製造に際しては付加反応触媒を用いることができる。この付加反応触媒としては、例えばジブチルスズラウレート、ジブチルスズジオクトエート、ジオクチルスズジラウレート、及びジオクチルスズジオクトエート等が
挙げられる。付加反応触媒は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を混合して用いてもよい。付加反応触媒は、これらのうち、ジオクチルスズジラウレートであることが、環境適応性及び触媒活性、保存安定性の観点から好ましい。
付加反応触媒は、生成するウレタン(メタ)アクリレート系オリゴマー及びその原料化合物の総含有量に対して、上限が通常1000ppm以下、好ましくは500ppm以下であり、下限が通常10ppm以上、好ましくは30ppm以上で用いられる。
また、ウレタン(メタ)アクリレート系オリゴマーの製造時に、反応系に(メタ)アクリロイル基を含む場合には、重合禁止剤を併用することができる。このような重合禁止剤としては、例えばハイドロキノン、メチルハイドロキノン、ハイドロキノンモノエチルエーテル、ジブチルヒドロキシトルエン等のフェノール類、フェノチアジン、ジフェニルアミン等のアミン類、ジブチルジチオカルバミン酸銅等の銅塩、酢酸マンガン等のマンガン塩、ニトロ化合物、ニトロソ化合物等が挙げられる。重合禁止剤は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を混合して用いてもよい。重合禁止剤は、これらのうち、フェノール類が好ましい。
重合禁止剤は、生成するウレタン(メタ)アクリレート系オリゴマー及びその原料化合物の総含有量に対して、上限が通常3000ppm以下、好ましくは1000ppm以下であり、特に好ましくは500ppm以下であり、下限が通常50ppm以上、好ましくは100ppm以上で用いられる。
ウレタン(メタ)アクリレート系オリゴマーの製造時において、反応温度は通常20℃以上であり、40℃以上であることが好ましく、60℃以上であることがより好ましい。反応温度が20℃以上であると、反応速度が高くなり、製造効率が向上する傾向にあるために好ましい。また、反応温度は通常120℃以下であり、100℃以下であることが好ましい。反応温度が120℃以下であると、アロハナート化反応等の副反応が起きにくくなるために好ましい。また、反応系に溶剤を含む場合には、反応温度はその溶剤の沸点以下であることが好ましく、(メタ)アクリレートが入っている場合には(メタ)アクリロイル基の反応防止の観点から70℃以下であることが好ましい。反応時間は通常5〜20時間程度である。
このようにして得られるウレタン(メタ)アクリレート系オリゴマーの数平均分子量は500以上が好ましく、特に1000以上であることが好ましく、10000以下が好ましく、特に5000以下、とりわけ3000以下であることが好ましい。ウレタン(メタ)アクリレート系オリゴマーの数平均分子量が上記下限以上であると、得られる硬化膜の三次元加工適性が良好となり、三次元加工適性と耐汚染性とのバランスに優れる傾向となり好ましい。ウレタン(メタ)アクリレート系オリゴマーの数平均分子量が上記上限以下であると該組成物から得られる硬化膜の耐汚染性が良好となり、三次元加工適性と耐汚染性とのバランスに優れる傾向となるため好ましい。これは、三次元加工適性と耐汚染性が網目構造における架橋点間の距離に依存しており、この距離が長くなると柔軟で伸びやすい構造となり三次元加工適性に優れ、この距離が短くなると網目構造が強固な構造となり耐汚染性に優れるからであると推定される。
<3−26.ポリエステル系エラストマー>
更に、本発明のポリカーボネートジオールは、ポリエステル系エラストマーとして使用してもよい。
ポリエステル系エラストマーとは、主として芳香族ポリエステルからなるハードセグメントと、主として脂肪族ポリエーテル、脂肪族ポリエステル又は脂肪族ポリカーボネートからなるソフトセグメントから構成される共重合体である。本発明のポリカーボネートジオールをソフトセグメントの構成成分として使用すると、脂肪族ポリエーテル、脂肪族ポリエステルを用いた場合に比べて、耐熱性、耐水性等の物性が優れる。また、公知のポリ
カーボネートジオールと比較しても、溶融時の流動性、つまりブロー成形、押出成形に適したメルトフローレートを有し、且つ機械強度その他の物性とのバランスに優れたポリカーボネートエステルエラストマーとなり、繊維、フィルム、シートをはじめとする各種成形材料、例えば弾性糸及びブーツ、ギヤ、チューブ、パッキンなどの成形材料に好適に用いることができる。具体的には耐熱性、耐久性を要求される自動車、家電部品等などのジョイントブーツや、電線被覆材等の用途に有効に適用することが可能である。
また、上述のウレタン(メタ)アクリレート系オリゴマーは、活性エネルギー線硬化性重合体組成物に含有させて使用してもよい。
活性エネルギー線硬化性重合体組成物は、該組成物の計算網目架橋点間分子量が500〜10,000であることが好ましい。
組成物の計算網目架橋点間分子量は、全組成物中の網目構造を形成する活性エネルギー線反応基(以下、「架橋点」と称する場合がある)の間の分子量の平均値を表す。この計算網目架橋点間分子量は、網目構造形成時の網目面積と相関があり、計算網目架橋点間分子量が大きいほど架橋密度が小さくなる。活性エネルギー線硬化による反応では、活性エネルギー線反応基を1個のみ有する化合物(以下、「単官能化合物」と称する場合がある)が反応した場合には線状高分子になり、一方で活性エネルギー線反応基を2個以上有する化合物(以下、「多官能化合物」と称する場合がある)が反応した場合に網目構造を形成する。
よって、ここで多官能化合物が有する活性エネルギー線反応基が架橋点であって、計算網目架橋点間分子量の算出は架橋点を有する多官能化合物が中心となり、単官能化合物は多官能化合物が有する架橋点間の分子量を伸長する効果があるものとして扱い、計算網目架橋点間分子量の算出を行う。また、計算網目架橋点間分子量の算出は、全ての活性エネルギー線反応基が同じ反応性を有し、且つ活性エネルギー線照射により全ての活性エネルギー線反応基が反応するものと仮定した上で行う。
1種の多官能化合物のみが反応するような多官能化合物単一系組成物では、多官能化合物が有する活性エネルギー線反応基1個当りの平均分子量の2倍が計算網目架橋点間分子量となる。例えば、分子量1,000の2官能性化合物では(1000/2)×2=1000、分子量300の3官能性化合物では(300/3)×2=200となる。
複数種の多官能化合物が反応するような多官能化合物混合系組成物では、組成物中に含まれる全活性エネルギー線反応基数に対する上記単一系の各々の計算網目架橋点間分子量の平均値が組成物の計算網目架橋点間分子量となる。例えば、分子量1,000の2官能性化合物4モルと分子量300の3官能性化合物4モルとの混合物からなる組成物では、組成物中の全活性エネルギー線反応基数は2×4+3×4=20個となり、組成物の計算網目架橋点間分子量は{(1000/2)×8+(300/3)×12}×2/20=520となる。
組成物中に単官能化合物を含む場合は、計算上、多官能化合物の活性エネルギー線反応基(つまり架橋点)にそれぞれ当モルずつ、且つ架橋点に単官能化合物が連結して形成された分子鎖の中央に位置するように反応すると仮定すると、1個の架橋点における単官能化合物による分子鎖の伸長分は、単官能化合物の総分子量を組成物中の多官能化合物の全活性エネルギー線反応基数で除した値の半分となる。ここで、計算網目架橋点間分子量は架橋点1個当り平均分子量の2倍であると考える為、多官能化合物において算出した計算網目架橋点間分子量に対して単官能化合物により伸長された分は、単官能化合物の総分子量を組成物中の多官能化合物の全活性エネルギー線反応基数で除した値となる。
例えば、分子量100の単官能化合物40モルと分子量1,000の2官能性化合物4モルとの混合物からなる組成物では、多官能化合物の活性エネルギー線反応基数は2×4
=8個となるので、計算網目架橋点間分子量中の単官能化合物による伸長分は100×40/8=500となる。すなわち組成物の計算網目架橋間分子量は1000+500=1500となる。
上記のことから、分子量WAの単官能性化合物MAモルと、分子量WBのfB官能性化合物MBモルと、分子量WCのfC官能性化合物MCモルとの混合物では、組成物の計算網目架橋点間分子量は下記式で表せる。
Figure 2015143316
このようにして算出される活性エネルギー線硬化性重合体組成物の計算網目架橋点間分子量は、500以上であることが好ましく、800以上であることがより好ましく、1,000以上であることがさらに好ましく、また10,000以下であることが好ましく、8,000以下であることがより好ましく、6,000以下であることがさらに好ましく、4,000以下であることがさらに一層好ましく、3,000以下であることが特に好ましい。
計算網目架橋点間分子量が10,000以下であると、該組成物から得られる硬化膜の耐汚染性が良好となり、3次元加工適性と耐汚染性とのバランスに優れる傾向となるため好ましい。また、計算網目架橋点間分子量が500以上であると、得られる硬化膜の3次元加工適性が良好となり、3次元加工適性と耐汚染性とのバランスに優れる傾向となり好ましい。これは、3次元加工適性と耐汚染性が網目構造における架橋点間の距離に依存しており、この距離が長くなると柔軟で伸びやすい構造となり3次元加工適性に優れ、この距離が短くなると網目構造が強固な構造となり耐汚染性に優れるからであると推定される。
更に、活性エネルギー線硬化性重合体組成物は、ウレタン(メタ)アクリレート系オリゴマー以外の他の成分をさらに含有していてもよい。このような他の成分としては、例えば、活性エネルギー線反応性モノマー、活性エネルギー線硬化性オリゴマー、重合開始剤、光増感剤、添加剤、及び溶剤が挙げられる。活性エネルギー線硬化性重合体組成物において、ウレタン(メタ)アクリレート系オリゴマーの含有量は、ウレタン(メタ)アクリレート系オリゴマーを含む活性エネルギー線反応性成分の総量に対して40質量%以上であることが好ましく、60質量%以上であることがより好ましい。なお、この含有量の上限は100質量%である。ウレタン(メタ)アクリレート系オリゴマーの含有量が40質量%以上であると、硬化性が良好となり、硬化物とした際の機械的強度が高くなりすぎることなく、3次元加工適性が向上する傾向にあるため好ましい。
また、活性エネルギー線硬化性重合体組成物において、ウレタン(メタ)アクリレート系オリゴマーの含有量は、伸度及び造膜性の点では多い方が好ましく、また、一方、低粘度化の点では、少ない方が好ましい。このような観点から、ウレタン(メタ)アクリレート系オリゴマーの含有量は、前記活性エネルギー線反応性成分に加えて他の成分を含む全成分の総量に対して、50質量%以上であることが好ましく、70質量%以上であることがより好ましい。なお、ウレタン(メタ)アクリレート系オリゴマーの含有量の上限値は100質量%であり、この含有量はそれ以下であることが好ましい。
また、活性エネルギー線硬化性重合体組成物において、ウレタン(メタ)アクリレート系オリゴマーを含む前記活性エネルギー線反応性成分の総量の含有量は、組成物としての硬化速度及び表面硬化性に優れ、タックが残らない等の面から、該組成物全量に対して、60質量%以上であることが好ましく、80質量%以上であることがより好ましく、90質量%以上であることがさらに好ましく、95質量%以上であることがさらに一層好ましい。なお、この含有量の上限は100質量%である。
前記活性エネルギー線反応性モノマーとしては、公知のいずれの活性エネルギー線反応性モノマーも用いることができる。これらの活性エネルギー線反応性モノマーは、ウレタン(メタ)アクリレート系オリゴマーの親疎水性や、得られる組成物を硬化物とした際の硬化物の硬度、伸度等の物性を調整する目的等で使用される。活性エネルギー線反応性モノマーは、1種を単独で用いてもよく、2種以上を混合して用いてもよい。
このような活性エネルギー線反応性モノマーとしては、例えばビニルエーテル類、(メタ)アクリルアミド類、及び(メタ)アクリレート類が挙げられ、具体的には、例えば、スチレン、α−メチルスチレン、α−クロロスチレン、ビニルトルエン、ジビニルベンゼン等の芳香族ビニル系モノマー類;酢酸ビニル、酪酸ビニル、N−ビニルホルムアミド、N−ビニルアセトアミド、N−ビニル−2−ピロリドン、N−ビニルカプロラクタム、アジピン酸ジビニル等のビニルエステルモノマー類;エチルビニルエーテル、フェニルビニルエーテル等のビニルエーテル類;ジアリルフタレート、トリメチロールプロパンジアリルエーテル、アリルグリシジルエーテル等のアリル化合物類;(メタ)アクリルアミド、N,N−ジメチルアクリルアミド、N,N−ジメチルメタクリルアミド、N−メチロール(メタ)アクリルアミド、N−メトキシメチル(メタ)アクリルアミド、N−ブトキシメチル(メタ)アクリルアミド、N−t−ブチル(メタ)アクリルアミド、(メタ)アクリロイルモルホリン、メチレンビス(メタ)アクリルアミド等の(メタ)アクリルアミド類;(メタ)アクリル酸、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸プロピル、(メタ)アクリル酸−n−ブチル、(メタ)アクリル酸−i−ブチル、(メタ)アクリル酸−t−ブチル、(メタ)アクリル酸ヘキシル、(メタ)アクリル酸−2−エチルヘキシル、(メタ)アクリル酸ラウリル、(メタ)アクリル酸ステアリル、(メタ)アクリル酸テトラヒドロフルフリル、(メタ)アクリル酸モルフォリル、(メタ)アクリル酸−2−ヒドロキシエチル、(メタ)アクリル酸−2−ヒドロキシプロピル、(メタ)アクリル酸−4−ヒドロキシブチル、(メタ)アクリル酸グリシジル、(メタ)アクリル酸ジメチルアミノエチル、(メタ)アクリル酸ジエチルアミノエチル、(メタ)アクリル酸ベンジル、(メタ)アクリル酸シクロヘキシル、(メタ)アクリル酸フェノキシエチル、(メタ)アクリル酸トリシクロデカン、(メタ)アクリル酸ジシクロペンテニル、(メタ)アクリル酸ジシクロペンテニルオキシエチル、(メタ)アクリル酸ジシクロペンタニル、(メタ)アクリル酸アリル、(メタ)アクリル酸−2−エトキシエチル、(メタ)アクリル酸イソボルニル、(メタ)アクリル酸フェニル等の単官能(メタ)アクリレート;及び、ジ(メタ)アクリル酸エチレングリコール、ジ(メタ)アクリル酸ジエチレングリコール、ジ(メタ)アクリル酸トリエチレングリコール、ジ(メタ)アクリル酸テトラエチレングリコール、ジ(メタ)アクリル酸ポリエチレングリコール(n=5〜14)、ジ(メタ)アクリル酸プロピレングリコール、ジ(メタ)アクリル酸ジプロピレングリコール、ジ(メタ)アクリル酸トリプロピレングリコール、ジ(メタ)アクリル酸テトラプロピレングリコール、ジ(メタ)アクリル酸ポリプロピレングリコール(n=5〜14)、ジ(メタ)アクリル酸−1,3−ブチレングリコール、ジ(メタ)アクリル酸−1,4−ブタンジオール、ジ(メタ)アクリル酸ポリブチレングリコール(n=3〜16)、ジ(メタ)アクリル酸ポリ(1−メチルブチレングリコール)(n=5〜20)、ジ(メタ)アクリル酸−1,6−ヘキサンジオール、ジ(メタ)アクリル酸−1,9−ノナンジオール、ジ(メタ)アクリル酸ネオペンチルグリコール、ヒドロキシピバリン酸
ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリル酸エステル、ジ(メタ)アクリル酸ジシクロペンタンジオール、ジ(メタ)アクリル酸トリシクロデカン、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジトリメチロールプロパンテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリオキシエチル(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリオキシプロピル(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパンポリオキシエチル(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパンポリオキシプロピル(メタ)アクリレート、トリス(2−ヒドロキシエチル)イソシアヌレートトリ(メタ)アクリレート、トリス(2−ヒドロキシエチル)イソシアヌレートジ(メタ)アクリレート、エチレンオキサイド付加ビスフェノールAジ(メタ)アクリレート、エチレンオキサイド付加ビスフェノールFジ(メタ)アクリレート、プロピレンオキサイド付加ビスフェノールAジ(メタ)アクリレート、プロピレンオキサイド付加ビスフェノールFジ(メタ)アクリレート、トリシクロデカンジメタノールジ(メタ)アクリレート、ビスフェノールAエポキシジ(メタ)アクリレート、ビスフェノールFエポキシジ(メタ)アクリレート等の多官能(メタ)アクリレート;が挙げられる。
これらの中で、特に、塗布性を要求される用途では、(メタ)アクリロイルモルホリン、(メタ)アクリル酸テトラヒドロフルフリル、(メタ)アクリル酸ベンジル、(メタ)アクリル酸シクロヘキシル、(メタ)アクリル酸トリメチルシクロヘキシル、(メタ)アクリル酸フェノキシエチル、(メタ)アクリル酸トリシクロデカン、(メタ)アクリル酸ジシクロペンテニル、(メタ)アクリル酸イソボルニル、(メタ)アクリルアミド等の、分子内に環構造を有する単官能(メタ)アクリレートが好ましく、また、一方、得られる硬化物の機械的強度が求められる用途では、ジ(メタ)アクリル酸−1,4−ブタンジオール、ジ(メタ)アクリル酸−1,6−ヘキサンジオール、ジ(メタ)アクリル酸−1,9−ノナンジオール、ジ(メタ)アクリル酸ネオペンチルグリコール、ジ(メタ)アクリル酸トリシクロデカン、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート等の多官能(メタ)アクリレートが好ましい。
活性エネルギー線硬化性重合体組成物において、前記活性エネルギー線反応性モノマーの含有量は、組成物の粘度調整及び得られる硬化物の硬度、伸度等の物性調整の観点から、該組成物全量に対して、50質量%以下であることが好ましく、30質量%以下であることがより好ましく、20質量%以下であることがさらに好ましく、10質量%以下であることがさらに一層好ましい。
前記活性エネルギー線硬化性オリゴマーは、1種を単独で用いてもよく、2種以上を混合して用いてもよい。前記活性エネルギー線硬化性オリゴマーとしては、エポキシ(メタ)アクリレート系オリゴマー、及びアクリル(メタ)アクリレート系オリゴマーが挙げられる。
活性エネルギー線硬化性重合体組成物において、前記活性エネルギー線反応性オリゴマーの含有量は、得られる硬化物の硬度、伸度等の物性調整の観点から、該組成物全量に対して、50質量%以下であることが好ましく、30質量%以下であることがより好ましく、20質量%以下であることがさらに好ましく、10質量%以下であることがさらに一層好ましい。
前記重合開始剤は、主に、紫外線、電子線等の活性エネルギー線照射で進行する重合反
応の開始効率を向上させる等の目的で用いられる。重合開始剤としては、光によりラジカルを発生する性質を有する化合物である光ラジカル重合開始剤が一般的であり、公知の何れの光ラジカル重合開始剤でも使用可能である。重合開始剤は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を混合して用いてもよい。更に、光ラジカル重合開始剤と光増感剤とを併用してもよい。
光ラジカル重合開始剤としては、例えば、ベンゾフェノン、2,4,6−トリメチルベンゾフェノン、4,4−ビス(ジエチルアミノ)ベンゾフェノン、4−フェニルベンゾフェノン、メチルオルトベンゾイルベンゾエート、チオキサントン、ジエチルチオキサントン、イソプロピルチオキサントン、クロロチオキサントン、2−エチルアントラキノン、t−ブチルアントラキノン、ジエトキシアセトフェノン、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニルプロパン−1−オン、ベンジルジメチルケタール、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテル、ベンゾインイソブチルエーテル、メチルベンゾイルホルメート、2−メチル−1−〔4−(メチルチオ)フェニル〕−2−モルホリノプロパン−1−オン、2,6−ジメチルベンゾイルジフェニルホスフィンオキシド、2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニルホスフィンオキシド、ビス(2,6−ジメトキシベンゾイル)−2,4,4−トリメチルペンチルホスフィンオキシド、ビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)フェニルホスフィンオキシド、及び2−ヒドロキシ−1−〔4−[4−(2−ヒドロキシ−2−メチル−プロピオニル)−ベンジル]−フェニル〕−2−メチル−プロパン−1−オン等が挙げられる。
これらの中で、硬化速度が速く架橋密度を十分に上昇できる点から、ベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニルプロパン−1−オン、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニルフォスフィンオキシド、及び、2−ヒドロキシ−1−〔4−[4−(2−ヒドロキシ−2−メチル−プロピオニル)−ベンジル]−フェニル〕−2−メチル−プロパン−1−オンが好ましく、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニルホスフィンオキシド、及び2−ヒドロキシ−1−〔4−[4−(2−ヒドロキシ−2−メチル−プロピオニル)−ベンジル]−フェニル〕−2−メチル−プロパン−1−オンがより好ましい。
また、活性エネルギー線硬化性重合体組成物に、ラジカル重合性基と共にエポキシ基等のカチオン重合性基を有する化合物が含まれる場合は、重合開始剤として、上記した光ラジカル重合開始剤と共に光カチオン重合開始剤が含まれていてもよい。光カチオン重合開始剤も、公知の何れのものも使用可能である。
活性エネルギー線硬化性重合体組成物におけるこれらの重合開始剤の含有量は、前記の活性エネルギー線反応性成分の合計100質量部に対して、10質量部以下であることが好ましく、5質量部以下であることがより好ましい。光重合開始剤の含有量が10質量部以下であると、開始剤分解物による機械的強度の低下が起こり難いため好ましい。
前記光増感剤は、重合開始剤と同じ目的で用いることができる。光増感剤は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を混合して用いてもよい。光増感剤としては、本発明の効果が得られる範囲で公知の光増感剤のいずれをも使用することができる。このような光増感剤としては、例えば、エタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、N−メチルジエタノールアミン、4−ジメチルアミノ安息香酸メチル、4−ジメチルアミノ安息香酸エチル、4−ジメチルアミノ安息香酸アミル、及び4−ジメチルアミノアセトフェノン等が挙げられる。
活性エネルギー線硬化性重合体組成物において、前記光増感剤の含有量は、前記の活性
エネルギー線反応性成分の合計100質量部に対して、10質量部以下であることが好ましく、5質量部以下であることがより好ましい。光増感剤の含有量が10質量部以下であると、架橋密度低下による機械的強度の低下が起こり難いため好ましい。
前記添加剤は、任意であり、同様の用途に用いられる組成物に添加される種々の材料を添加剤として用いることができる。添加剤は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を混合して用いてもよい。このような添加剤としては、例えば、ガラス繊維、ガラスビーズ、シリカ、アルミナ、炭酸カルシウム、雲母、酸化亜鉛、酸化チタン、マイカ、タルク、カオリン、金属酸化物、金属繊維、鉄、鉛、金属粉等のフィラー類;炭素繊維、カーボンブラック、黒鉛、カーボンナノチューブ、C60等のフラーレン類等の炭素材料類(フィラー類、炭素材料類を総称して「無機成分」と称することがある);酸化防止剤、熱安定剤、紫外線吸収剤、HALS(ヒンダードアミン光安定剤)、耐指紋剤、表面親水化剤、帯電防止剤、滑り性付与剤、可塑剤、離型剤、消泡剤、レベリング剤、沈降防止剤、界面活性剤、チクソトロピー付与剤、滑剤、難燃剤、難燃助剤、重合禁止剤、充填剤、シランカップリング剤等の改質剤類;顔料、染料、色相調整剤等の着色剤類;及び、モノマー又は/及びそのオリゴマー、又は無機成分の合成に必要な硬化剤、触媒、硬化促進剤類;等が挙げられる。
活性エネルギー線硬化性重合体組成物において、前記添加剤の含有量は、前記の活性エネルギー線反応性成分の合計100質量部に対して、10質量部以下であることが好ましく、5質量部以下であることがより好ましい。添加剤の含有量が10質量部以下であると、架橋密度低下による機械的強度の低下が起こり難いため好ましい。
前記溶剤は、例えば本発明の活性エネルギー線硬化性重合体組成物の塗膜を形成するためのコーティング方式に応じて、本発明の活性エネルギー線硬化性重合体組成物の粘度の調整を目的に使用することができる。溶剤は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を混合して用いてもよい。溶剤としては、本発明の効果が得られる範囲において公知の溶剤のいずれも使用することができる。好ましい溶剤としては、トルエン、キシレン、酢酸エチル、酢酸ブチル、イソプロパノール、イソブタノール、シクロヘキサノン、メチルエチルケトン、及びメチルイソブチルケトン等が挙げられる。溶剤は、通常、活性エネルギー線硬化性重合体組成物の固形分100質量部に対して200質量部未満で使用可能である。活性エネルギー線硬化性重合体組成物に、前述の添加剤等の任意成分を含有させる方法としては、特に限定はなく、従来公知の混合、分散方法等が挙げられる。尚、前記任意成分をより確実に分散させるためには、分散機を用いて分散処理を行うことが好ましい。具体的には、例えば、二本ロール、三本ロール、ビーズミル、ボールミル、サンドミル、ペブルミル、トロンミル、サンドグラインダー、セグバリアトライター、遊星式攪拌機、高速インペラー分散機、高速ストーンミル、高速度衝撃ミル、ニーダー、ホモジナイザー、超音波分散機等で処理する方法が挙げられる。
活性エネルギー線硬化性重合体組成物の粘度は、該組成物の用途や使用態様等に応じて適宜調節し得るが、取り扱い性、塗工性、成形性、立体造形性等の観点から、E型粘度計(ローター1°34’×R24)における25℃での粘度が、10mPa・s以上であることが好ましく、100mPa・s以上であることがより好ましく、また、一方、100,000mPa・s以下であることが好ましく、50,000mPa・s以下であることがより好ましい。活性エネルギー線硬化性重合体組成物の粘度は、例えば本発明のウレタン(メタ)アクリレート系オリゴマーの含有量や、前記の任意成分の種類や、その配合割合等によって調整することができる。
活性エネルギー線硬化性重合体組成物の塗工方法としては、バーコーター法、アプリケーター法、カーテンフローコーター法、ロールコーター法、スプレー法、グラビアコーター法、コンマコーター法、リバースロールコーター法、リップコーター法、ダイコーター法、スロットダイコーター法、エアーナイフコーター法、ディップコーター法等の公知の
方法を適用可能であるが、その中でもバーコーター法及びグラビアコーター法が好ましい。
以下、実施例及び比較例を挙げて本発明を更に具体的に説明するが、本発明は、その要旨を超えない限り、これらの実施例に限定されるものではない。
以下において、各物性値の評価方法は下記の通りである。
[評価方法:ポリカーボネートジオール]
<フェノキシ基量、ジヒドロキシ化合物含有量及びフェノール含有量の定量>
ポリカーボネートジオールをCDClに溶解し、400MHz H−NMR(日本電子株式会社製AL−400)を測定し、各成分のシグナル位置より、フェノキシ基、ジヒドロキシ化合物、フェノールを同定し、積分値より各々の含有量を算出した。その際の検出限界は、サンプル全体の重量に対するフェノールの重量として100ppm、前記式(A)で表される化合物、前記式(B)で表される化合物等のジヒドロキシ化合物は0.1重量%である。またフェノキシ基の割合は、フェノキシ基の1プロトン分の積分値と末端全体の1プロトン分の積分値の比から求めており、フェノキシ基の検出限界は末端全体に対して0.05%である。
<水酸基価>
JIS K1557−1(2007)に準拠して、アセチル化試薬を用いた方法にてポリカーボネートジオールの水酸基価を測定した。
<APHA値の測定>
JIS K0071−1(1998)に準拠して、ポリカーボネートジオールを比色管に入れた標準液と比較してAPHA値を測定した。試薬は色度標準液1000度(1mgPt/mL)(キシダ化学)を使用した。
<溶融粘度の測定>
ポリカーボネートジオールを80℃に加熱し、溶融した後、E型粘度計(BROOKFIELD製DV−II+Pro、コーン:CPE−52)を用いて80℃で溶融粘度を測定した。
<ガラス転移温度(Tg)、融解ピーク温度、融解熱量の測定>
ポリカーボネートジオール約10mgをアルミニウム製パン中に封入し、EXSTAR
DSC6200(セイコーインスツル株式会社製)を用い、窒素雰囲気下、毎分20℃の速度で30℃から150℃、毎分40℃の速度で150℃から−120℃、毎分20℃の速度で−120℃から120℃と昇降温操作を行い、2回目昇温時の変曲点をガラス転移温度(Tg)、融解ピークから融解ピーク温度と融解熱量を求めた。
<加水分解後のジヒドロキシ化合物のモル比率>
ポリカーボネートジオール約0.5gを精秤し、100mL三角フラスコへ入れ、テトラヒドロフラン5mLを添加して溶解した。次にメタノール45mL、25重量%水酸化ナトリウム水溶液5mLを添加した。100mL三角フラスコにコンデンサーをセットし、75〜80℃の水浴で30分間加熱し、加水分解を行った。室温にて放冷した後、6N塩酸5mLを添加して水酸化ナトリウムを中和し、pHを7にした。100mLメスフラスコに全量を移し、三角フラスコ内を適量のメタノールで2回洗浄し、洗浄液も100mLメスフラスコに移した。適量のメタノールを添加して100mLとした後、メスフラスコ内で液を混合した。上澄み液を採取してフィルターにてろ過後、ガスクロマトグラフィー(GC)にて分析を行った。各ジヒドロキシ化合物の濃度は予め標準物質として既知の各ジヒドロキシ化合物より検量線を作成し、ガスクロマトグラフィー(GC)にて得られた面積比から重量%を算出した。
(分析条件)
装置:Agilent 6850(アジレントテクノロジー製)
カラム:Agilent J&W GCカラム DB−WAX
内径 0.25mm,長さ 60m,膜圧 0.25mm
検出器:水素炎イオン化検出器(FID)
昇温プログラム:150℃(2分間)、150℃→280℃(10℃/分、9分間)、
240℃(10分間)
上記、ガスクロマトグラフィーにて得られた重量%と各ジヒドロキシ化合物の分子量から、ジヒドロキシ化合物のモル比率を算出した。
[評価方法:ポリウレタン]
<イソシアネート基濃度測定>
ジ−n−ブチルアミン/トルエン(重量比:2/25)混合溶液20mLをアセトン90mLで希釈した後に0.5規定の塩酸水溶液で滴定を行い、中和に要する塩酸水溶液量を測定し、ブランク値とした。その後、反応溶液を1〜2g抜出し、ジ−n−ブチルアミン/トルエンの混合溶液20mLを加えて室温で30分間攪拌した後、ブランク測定と同様にアセトン90mLで希釈し、0.5規定の塩酸水溶液で滴定して中和に要する塩酸水溶液量を測定し、残存するアミンの量を定量した。中和に要する塩酸水溶液の容量から下記の式でイソシアネート基の濃度を求めた。
イソシアネート基濃度(重量%)=A*42.02/D
A:本測定に用いた試料に含有するイソシアネート基(mol)
A=(B−C)x0.5/1000xf
B:ブランク測定に要した0.5規定の塩酸水溶液の量(mL)
C:本測定に要した0.5規定の塩酸水溶液の量(mL)
D:本測定に用いた試料(g)
f:塩酸水溶液の力価
<溶液粘度測定>
ポリウレタンをジメチルホルムアミドに溶解した溶液(濃度:30重量%)にVISCOMETER TV−22(東機産業株式会社製)に3°×R14のローターを設置し、25℃でポリウレタン溶液の溶液粘度を測定した。
<分子量測定>
ポリウレタンの分子量は、ポリウレタンの濃度が0.14重量%になるようにジメチルアセトアミド溶液を調製し、GPC装置〔東ソー社製、製品名「HLC−8220」 (カラム:TskgelGMH−XL・2本)〕を用い、標準ポリスチレン換算での数平均分子量(Mn)及び重量平均分子量(Mw)を測定した。
<耐オレイン酸性評価方法>
ポリウレタン溶液を9.5milのアプリケーターでフッ素樹脂シート(フッ素テープニトフロン900、厚さ0.1mm、日東電工株式会社製)上に塗布し、60℃で1時間、続いて100℃で0.5時間乾燥させた。さらに100℃の真空状態で0.5時間、80℃で15時間乾燥させた後、23℃55%RHの恒温恒湿下で12時間以上静置し、得られたフィルムから3cm×3cmの試験片を切り出し、試験溶剤50mlを入れた容量250mlのガラス瓶に投入して、80℃の窒素雰囲気下の恒温槽にて1週間、または16時間静置した。試験後、試験片の表裏を紙製ワイパーで軽く拭いた後、重量測定を行い試験前からの重量増加比率を算出した。重量変化率が0%に近いほうが耐オレイン酸性が良好であることを示す。
<ポリウレタン耐エタノール性評価方法>
上述の<耐オレイン酸性評価方法>で示したのと同様の方法でウレタンフィルムを作成した後、3cm×3cmに切り出したウレタンフィルムの試験片を切り出した。精密天秤で試験片の重量を測定した後、試験溶剤50mlを入れた内径10cmφのガラス製シャーレに投入して約23℃の室温にて1時間浸漬した。試験後、試験片を取り出して紙製ワイパーで軽く拭いた後、重量測定を行い試験前からの重量増加比率を算出した。
<ガラス転移温度(Tg)測定方法>
耐オレイン酸性評価と同様に作成したポリウレタンフィルム片約5mgをアルミニウム製パン中に封入し、EXSTAR DSC6200(セイコーインスツル株式会社製)を用い、窒素雰囲気下、毎分10℃の速度で−100℃から250℃、250℃から−100℃、−100℃から250℃と昇降温操作を行い、2回目昇温時の変曲点をガラス転移温度(Tg)とした。
<室温引張試験方法>
JIS K6301(2010)に準じ、幅10mm、長さ100mm、厚み約50μmの短冊状としたポリウレタン試験片を、引張試験機〔オリエンテック社製、製品名「テンシロンUTM−III −100」〕を用いて、チャック間距離50mm、引張速度500mm/分にて、温度23℃(相対湿度55%)で引張試験を実施し、試験片が100%伸長した時点での応力を測定した。また、ヤング率は初期伸度での応力値の傾きとし、具体的には伸度1%時の応力の値とした。
<低温引張試験方法>
JIS K6301(2010)に準じ、幅10mm、長さ100mm、厚み約50μmの短冊状としたポリウレタン試験片を、引張試験機〔(株)島津製作所社製、製品名「オートグラフAG−X 5kN」〕を用いて、−10℃に設定した恒温槽[(株)島津製作所社製、製品名「THERMOSTATIC CHAMBER TCR2W−200T」]にチャック間距離50mmでフィルムを設置した。続いて、−10℃で3分間静置した後に引張速度500mm/分にて引張試験を実施し、試験片が100%伸長した時点での応力を測定した。また、ヤング率は初期伸度での応力値の傾きとし、具体的には伸度1%時の応力の値とした。
<ポリウレタン低温サイクル試験方法>
JIS K6301(2010)に準じ、幅10mm、長さ100mm、厚み約90μmの短冊状としたポリウレタン試験片を、引張試験機〔(株)島津製作所社製、製品名「オートグラフAG−X 5kN」、ロードセル100N〕を用いて、−10℃に設定した恒温槽[(株)島津製作所社製、製品名「THERMOSTATIC CHAMBER TCR2W−200T」]にチャック間距離50mmでフィルムを設置した。続いて、−10℃で3分間静置した後に引張速度500mm/分にて300%まで伸長し、続いてもとの長さまで同速度で収縮させ、これを2回繰り返した。1回目の伸長時における250%伸長時の応力に対する、1回目の収縮時における250%伸長時の応力の比率(以下「比率1」と称する場合がある。)を求めた。また、1回目の伸長時における250%伸長時の応力に対する、2回目の伸長時における250%伸長時の応力(以下「比率2」と称する場合がある。)を求めた。
<耐熱性評価>
耐オレイン酸性評価と同様に作成したポリウレタンフィルムを幅100mm、長さ100mm、厚さ約50μmの短冊状とし、ギヤオーブンにて温度120℃、400時間加熱を行い、加熱後のサンプルの重量平均分子量(Mw)を<分子量測定>に記載の方法により測定した。
<使用原料>
本実施例のポリカーボネートジオールの製造に使用した原料は以下の通りである。
1,4−ブタンジオール(以下1,4BDと略記することがある):三菱化学株式会社製
1,3−プロパンジオール(以下、1,3PDOと略記することがある):デュポン株式会社製
1,6−ヘキサンジオール(以下、1,6HDと略記することがある):BASF製
1,10−デカンジオール(以下、1,10DDと略記することがある):豊国製油株式会社製
1,12−ドデカンジオール(以下、1,12DDDと略記することがある):和光純薬工業株式会社製
2−メチル−1,3−プロパンジオール(以下、2M1,3PDOと略記することがある):東京化成工業株式会社製
ジフェニルカーボネート(以下、DPCと略記することがある):三菱化学株式会社製
エチレンカーボネート(以下、ECと略記することがある):三菱化学株式会社製
酢酸マグネシウム四水和物:和光純薬工業株式会社製
[実施例1]
<ポリカーボネートジオールの製造と評価>
攪拌機、留出液トラップ、及び圧力調整装置を備えた5Lガラス製セパラブルフラスコに、原料として、1,4−ブタンジオール(1,4BD):975.8g、1,10−デカンジオール(1,10DD):414.2g、ジフェニルカーボネート:2709.9g、酢酸マグネシウム4水和物水溶液:6.7mL(濃度:8.4g/L、酢酸マグネシウム4水和物:55mg)を入れ、窒素ガス置換した。攪拌下、内温を160℃まで昇温して、内容物を加熱溶解した。その後、2分間かけて圧力を24kPaまで下げた後、フェノールを系外へ除去しながら90分間反応させた。次いで、圧力を9.3kPaまで90分間かけて下げ、さらに0.7kPaまで30分間かけて下げて反応を続けた後に、170℃まで温度を上げてフェノール及び未反応のジヒドロキシ化合物を系外へ除きながら60分間反応させて、ポリカーボネートジオール含有組成物を得た。
得られたポリカーボネートジオール含有組成物を20g/分の流量で薄膜蒸留装置に送液し、薄膜蒸留(温度:180〜190℃、圧力:40〜67Pa)を行った。薄膜蒸留装置としては、直径50mm、高さ200mm、面積0.0314mの内部コンデンサー、ジャケット付きの柴田科学株式会社製、分子蒸留装置MS−300特型を使用した。以下の実施例及び比較例においても同様である。
薄膜蒸留で得られたポリカーボネートジオールの性状及び物性の評価結果を表1に示す。
<ポリウレタンの製造と評価>
上述の方法で得られたポリカーボネートジオールを用いて、以下の操作で特定ポリウレタンを製造した。
(プレポリマー(PP)化反応)
熱電対と冷却管を設置したセパラブルフラスコに、あらかじめ80℃に加温した上記のポリカーボネートジオール90.57gを入れ、60℃のオイルバスにそのフラスコを浸した後、4,4‘−ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート(以下H12MDI、東京化成工業株式会社製)22.69gおよび、反応抑制剤としてトリイソオクチルフォスファイト(以下TiOP、東京化成工業株式会社製)0.332gを添加し、フラスコ内を窒素雰囲気下で60rpmで撹拌しながら1時間程度で80℃に昇温した。80℃まで昇温した後、ウレタン化触媒としてネオスタンU−830(以下U−830、日東化成株式
会社製)9.3mg(ポリカーボネートジオーとイソシアネートの合計重量に対し81.9wtppm)を添加し、発熱がおさまってからオイルバスを100℃まで昇温し、さらに2時間程度撹拌した。イソシアネート基の濃度を分析し、イソシアネート基が理論量消費されたことを確認した。
(鎖延長反応)
得られたプレポリマー(PP)106.62gを脱水トルエン(和光純薬工業株式会社製)11.46gで希釈した。続いて脱水N,N−ジメチルホルムアミド(以下DMF、和光純薬工業株式会社製)237.36gを加え、55℃のオイルバスにフラスコを浸漬して約200rpmで撹拌しながらプレポリマーを溶解した。プレポリマー溶液のイソシアネート基の濃度を分析後、フラスコを35℃に設定したオイルバスに浸漬し、150rpmで撹拌しながら、残存イソシアネートより算出した必要量のイソホロンジアミン(以下IPDA、東京化成製)6.06gを分割添加した。約1時間撹拌後、末端停止剤としてモルフォリン(東京化成工業株式会社製)0.623gを添加し、さらに1時間撹拌して粘度125Pa・s、重量平均分子量15.1万のポリウレタン溶液を得た。このポリウレタンの性状及び物性の評価結果を表3に示す。
[実施例2〜実施例7]
<ポリカーボネートジオールの製造と評価>
実施例1のポリカーボネートジオールの製造において、PCD重合原料の種類と仕込み量を、表1に記載の原料の種類と仕込み量に変更したこと以外は、すべて同様の条件と方法で反応を行い、ポリカーボネート含有組成物を得た。
得られたポリカーボネートジオール含有組成物を実施例1と同様な方法で薄膜蒸留を行った。薄膜蒸留で得られたポリカーボネートジオールの性状及び物性の評価結果を表1に示す。
<ポリウレタンの製造と評価>
実施例1のポリウレタンの製造において、使用するポリカーボネートジオール(PCD)の種類と、各原料の仕込み量を表3の記載の仕込み量に変更したこと以外は、すべて同様の条件と方法で反応を行い、ポリウレタン溶液を得た。このポリウレタンの性状及び物性を表3に示す。
[比較例1〜比較例2]
<ポリカーボネートジオールの製造と評価>
実施例1のポリカーボネートジオールの製造において、PCD重合原料の種類と仕込み量を、表2に記載の原料と原料の仕込み量に変更したこと以外は、すべて同様の条件と方法で反応を行い、ポリカーボネート含有組成物を得た。
得られたポリカーボネートジオール含有組成物を実施例1と同様な方法で薄膜蒸留を行った。
薄膜蒸留で得られたポリカーボネートジオールの性状及び物性の評価結果を表2に示す。
<ポリウレタンの製造と評価>
実施例1のポリウレタンの製造において、使用するポリカーボネートジオール(PCD)と、各原料の仕込み量を表3に記載の仕込み量に変更したこと以外は、すべて同様の条件と方法で反応を行い、ポリウレタン溶液を得た。このポリウレタンの性状及び物性の評価結果を表3に示す。
表3の「−10℃・100%伸度時の応力」において、実施例では比較例に比べてその
値が小さいことから、低温における柔軟性が良好であることがわかる。また「80℃ 耐オレイン酸 重量変化率」及び「室温 耐エタノール 重量変化率」の値が小さいことから、耐薬品性が良好であることがわかる。さらに「比率1、比率2」から低温特性が良好であることがわかる。従って、本発明のポリカーボネートジオールは従来のポリカーボネートジオールに比べて、耐薬品性、低温特性、の物性のバランスに優れたポリウレタンの原料としてのポリカーボネートジオールであることがわかる。
表1〜2中の略称の意味は下記の通りである。
1,4BD…1,4−ブタンジオール
1,3PDO…1,3−プロパンジオール
1,6HD…1,6−ヘキサンジオール
1,10DD…1,10−デカンジオール
1,12DDD…1,12−ドデカンジオール
2M1,3PDO…2−メチル−1,3−プロパンジオール
2M1,8OD…2−メチル−1,8−オクタンジオール
DPC…ジフェニルカーボネート
Figure 2015143316
Figure 2015143316
Figure 2015143316

Claims (9)

  1. 水酸基価が20mg−KOH/g以上45mg−KOH/g以下であるポリカーボネートジオールであって、該ポリカーボネートジオールの示差操作熱量計により測定したガラス転移温度が−30℃以下であり、且つ該ポリカーボネートジオールを加水分解して得られるジヒドロキシ化合物の平均炭素数が3以上5.5以下であることを特徴とするポリカーボネートジオール。
  2. 前記ジヒドロキシ化合物が置換基を有さない脂肪族ジヒドロキシ化合物のみであることを特徴とする請求項1に記載のポリカーボネートジオール。
  3. 前記ジヒドロキシ化合物が1,3−プロパンジオール、1,4−ブタンジオール及び1,5−ペンタンジオールからなる群より選ばれた少なくとも1種を含むことを特徴とする請求項2又は3に記載のポリカーボネートジオール。
  4. 示差操作熱量計により測定した融解ピークの融解熱量が5.0J/g以上80J/g以下であることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載のポリカーボネートジオール。
  5. 前記ジヒドロキシ化合物が植物由来の化合物を含むことを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載のポリカーボネートジオール。
  6. 請求項1〜5のいずれか1項に記載のポリカーボネートジオールを製造する方法であって、平均炭素数が3以上5.5以下である一種または複数種のジヒドロキシ化合物とジアリールカーボネートとをエステル交換触媒の存在下、エステル交換反応することを特徴とするポリカーボネートジオールの製造方法。
  7. 前記一種または複数種のジヒドロキシ化合物が植物由来の化合物を含むことを特徴とする請求項6に記載のポリカーボネートジオールの製造方法。
  8. 前記エステル交換触媒が長周期型周期表第1族元素(水素を除く)及び長周期型周期表第2族元素からなる群より選ばれた少なくとも1種の元素の化合物であることを特徴とする請求項7又は8に記載のポリカーボネートジオールの製造方法。
  9. 請求項1〜5のいずれか1項に記載のポリカーボネートジオールを含むポリウレタン。
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