近年、光ディスクとしてブルーレイディスク(Blu-ray Disc:登録商標)が普及し、一般的に用いられるようになっている。そしてブルーレイディスクに対して音声情報や画像情報の記録/再生を行う光ディスク装置として、ブルーレイディスクプレイヤ、ブルーレイディスクレコーダ、或いはパソコンに接続されるブルーレイディスクドライブ等が実用化されている。
これらの光ディスク装置は、ブルーレイディスクに対して光ビームを照射して情報の読み取りを行うための、光ピックアップを備えている。光ピックアップは、ターンテーブル上に固定されて回転しているブルーレイディスクの情報記録面に対して光ビームを照射する。
そして情報記録面からの反射光を光ピックアップ内に設けられた光検出器、例えばフォトダイオードによって受光する。そして光検出器により光を電気信号に変換し、得られた電気信号に基づいてブルーレイディスクに記録されている情報を出力する。
しかしながらブルーレイディスクには多くの種類が存在する。従って一つの光ディスク装置で、複数種類のブルーレイディスクを記録/再生することが必要とされている。ブルーレイディスクの種類には、再生専用ディスクであるBD−ROM、追記型ディスクであるBD−R(Blue-ray Disc Recordable)、書き換え型ディスクであるBD−RE(Blue-ray Disc Rewritable)が存在する。
さらにBD−Rには、記録層に有機系素材を使用し、レーザ光を照射して反射率を上げることで記録するLtH(Low to High)型のBD−R(以下、「BD−R_LtH」という)が存在する。
また各種類のブルーレイディスクには、記録面が一層構造をしているディスクと、記録面が複数層構造をしているディスクとが存在する。なお以下では、一層構造をSL(Single Layer)、二層構造をDL(Double Layer)と表記する。例えば一層構造の追記型ディスクであれば、BD−R_SLと表記する。
このように、ブルーレイディスクの種類が多様化していることから、光ディスク装置においては、ブルーレイディスクの種類を事前に判別する必要がある。これは、ディスク種別に応じてトラッキング方式が違うためである。
上記の判別を行う方法として、フォーカスサーチ時の全反射信号の最大値(以下、「FS」という)、フォーカスオン後のメインプッシュプル信号の振幅(以下、「MPP」という)、及びトラッキング経路における全反射信号の最大値(以下、「TS」という)の値を使用し、以下の計算式で算出される値に基づいて判別を行う方法が提案されている。
FS/(MPP/TS)
MPP/TS
上記の具体例を、図12及び図13を用いて説明する。図12は、記録済みのブルーレイディスクにおけるFS/(MPP/TS)を示している。また図13は、記録済みのブルーレイディスクにおけるMPP/TSを示している。
なお図中の下方に記載されているのがブルーレイディスクの種別である。各種別の右上方に示されているグラフの値が、各種別に対応する算出値を示している。例えば図12の破線円で囲まれたグラフの値が、BD−ROM_DLにおけるFS/(MPP/TS)の算出値を示している。
図12及び図13に示す算出値により従来は、「閾値1よりも大、且つ閾値2より小」の場合に、種別がBD−ROMであると判別していた。なお閾値1として、例えばBD−ROM_SLの平均値とBD−RE_SLの平均値との中間値を用いる。また閾値2として、例えばBD−ROM_DLの平均値とBD−RE_DLの平均値との中間値を用いる。
しかしながら上記の方法では、レーザダイオードの発光パワー(以下、「LDパワー」という)のバラつきにより戻り光のレベルも変わるため、FSもバラつきの影響を受ける。つまりFS/(MPP/TS)の値が大きくバラつく可能性があり、これが誤判別を引き起こす原因となっていた。
例えばLDパワーが低い場合、図12の破線円に示すようにBD−ROM_DLの値が閾値1に近い値であるため、閾値1を下回る可能性があった。この結果、BD−ROM_DLをBD−R/RE系であると誤判別する可能性があった。なおMPP/TSについては、値を正規化しているため、LDパワーに起因する値のばらつきはほとんど発生しない。
上記の問題を解決するために特許文献1には、ブルーレイディスクより得られた全光量信号(=全反射信号)のレベルと、メインプッシュプル信号の振幅の逆数と、記録面の層数とに基づいて、ブルーレイディスクの種別を判別する光ディスク装置が開示されている。
以下に本発明の実施形態を、図面を参照しながら説明する。なお、ここで示す実施形態は一例であり、本発明はここに示す実施形態に限定されるものではない。
〈1.内部構成について〉
図1は、本発明の一実施形態に係るディスクプレイヤ100(=光ディスク装置)を示す構成図である。ディスクプレイヤ100は、光ピックアップ1、信号生成回路21(=信号生成部)、DSP(Digital Signal Processor)31、再生処理回路32、出力回路33、システムコントローラ41(=判別部)、ドライバ42、表示部43、操作部44、記録部45、送りモータ51、及びスピンドルモータ52を備えている。
光ピックアップ1は、ブルーレイディスク2に光ビームを照射して、ブルーレイディスク2に記録された音声情報、画像情報等の各種情報の読み取りを行う。この光ピックアップ1には、CD用光ビーム、DVD用光ビーム、ブルーレイディスク 用光ビームが設けられている。なお、光ピックアップ1内部の詳細については後述する。
信号生成回路21は、光ピックアップ1が含む光検出器19(図2)により得られた信号をもとに演算処理を行い、RF信号、フォーカスエラー信号、トラッキングエラー信号、メインプッシュプル信号、及び全反射信号等の各種信号を生成する。そして生成した各種信号を、DSP31へ出力する。
DSP31は、信号生成回路21より入力したRF信号をもとに画像処理を行うことにより画像信号を生成し、再生処理回路32へ与える。再生処理回路は、画像信号を不図示のモニタへ出力するためにD/A変換処理を行う。変換処理により得られた信号は、出力回路33により外部装置へ出力される。
またDSP31は、信号生成回路21より入力したフォーカスエラー信号やトラッキングエラー信号に基づいてサーボ信号を生成する。例えばトラッキングサーボを行うためのトラッキングサーボ信号や、フォーカスサーボを行うためのフォーカスサーボ信号を生成する。生成されたサーボ信号はドライバ42へ与えられる。これにより例えば、光ピックアップ1が含む対物レンズ17(図2)のフォーカス制御やトラッキング制御等が実施される。
システムコントローラ41(=判別部)は、DSP31を介して、光ピックアップ1、送りモータ51、及びスピンドルモータ52等の動作を制御する。またシステムコントローラ41は、後術するディスク種別の判別処理を行う。なおシステムコントローラ41は、例えば複数のマイクロプロセッサ等の演算処理装置上で所定のプログラムを実行することにより実現される。
システムコントローラ41は、操作部44からの情報を受け付けてDSP31に伝送すると共に、DSP31から受けた情報を表示部43に伝送する。またシステムコントローラ41は、各種演算に用いる情報を、半導体記録媒体等からなる記録部45に記録する。
ドライバ42は、DSP31から与えられるサーボ信号等に基づいて、光ピックアップ1、送りモータ51、及びスピンドルモータ52の駆動を制御する。送りモータ51は、光ピックアップ1をブルーレイディスク2の径方向に駆動する。スピンドルモータ52は、ブルーレイディスク2を回転方向に駆動する。
〈2.光ピックアップの構成について〉
図2は、本発明の一実施形態に係る光ピックアップ1の光学系を示す概略図である。光ピックアップ1は、ブルーレイディスク2に対して、光ビームを照射して反射光を受光する。これにより、ブルーレイディスク2の記録面に記録されている情報を読み取る。
光ピックアップ1は、第一光源11a(=光源)と、第二光源11b(=光源)と、ダイクロプリズム12と、コリメートレンズ13と、ビームスプリッタ14と、立ち上げミラー15と、液晶素子16と、対物レンズ17と、検出レンズ18と、光検出器19と、アクチュエータ20とを備えている。
第一光源11aは、DVDに対応する650nm帯の光ビームと、CDに対応する780nm帯の光ビームとを出射できるレーザダイオードである。第二光源11bは、ブルーレイディスクに対応する405nm帯の光ビームを出射できるレーザダイオードである。
なお、本実施形態では、第一光源11aとして、2種類の波長の光ビームを出射できる二つの発光点を有する2波長一体型のレーザダイオードを用いているが、これに限られる趣旨ではなく、例えば単一の波長の光ビームのみを出射するレーザダイオードを用いても構わない。
ダイクロプリズム12は、DVD用の光ビームを出射する第一光源11aから出射される光ビームを透過し、ブルーレイディスク用の光ビームを出射する第二光源11bから出射される光ビームを反射する。そして、第一光源11a及び第二光源11bから出射される光ビームの光軸を一致させる。ダイクロプリズム12において、透過又は反射された光ビームは、コリメートレンズ13に送られる。
コリメートレンズ13は、ダイクロプリズム12を透過した光ビームを平行光に変換する。ここで、平行光とは、第一光源11a及び第二光源11bから出射された光ビームの全ての光路が光軸とほぼ平行である光をいう。コリメートレンズ13で平行光とされた光ビームは、ビームスプリッタ14に送られる。
ビームスプリッタ14は、入射する光ビームを分離する光分離素子として機能し、コリメートレンズ13から送られてきた光ビームを透過して、ブルーレイディスク2側へと導くとともに、ブルーレイディスク2で反射された反射光を反射して光検出器19側へと導く。ビームスプリッタ14を透過した光ビームは、立ち上げミラー15に送られる。
立ち上げミラー15は、ビームスプリッタ14を透過してきた光ビームを反射してブルーレイディスク2へと導く。立ち上げミラー15は、ビームスプリッタ14からの光ビームの光軸に対して45°傾いた状態となっており、立ち上げミラー15で反射された光ビームの光軸は、ブルーレイディスク2の記録面と略直交する。立ち上げミラー15で反射された光ビームは、液晶素子16に送られる。
液晶素子16は、透明電極に挟まれた液晶(いずれも図示せず)に電圧を印加することで、液晶分子がその配向方向を変える性質を利用して、屈折率の変化を制御し、液晶素子6を透過する光ビームの位相の制御を可能とする素子である。
この液晶素子16を配置することによって、ブルーレイディスク2の記録面を保護する樹脂層の厚みの違い等によって生じる球面収差の補正が可能となる。液晶素子16を通過した光ビームは対物レンズ17へと送られる。
対物レンズ17は、液晶素子16を透過した光ビームをブルーレイディスク2の記録面上に集光させる。また、対物レンズ17は後述するアクチュエータ20によって、例えば、図2の上下方向及び左右方向に移動可能とされており、フォーカスサーボ信号及びトラッキングサーボ信号に基づいてその位置が制御される。
ブルーレイディスク2で反射された反射光は、対物レンズ17、液晶素子16の順に通過し、立ち上げミラー15で反射された後、さらにビームスプリッタ14で反射されて、検出レンズ18によって光検出器19上に設けられる受光素子へと集光される。
光検出器19は、フォトダイオード等の受光素子を用いて受光した光を、電気信号に変換して信号生成回路21へ出力する。光検出器19は例えば四分割された受光領域を備えており、領域毎に個別に光電変換を行って電気信号を出力することが可能である。
アクチュエータ20は、ドライバ42で生成され出力された対物レンズ駆動信号に従って、対物レンズ17をブルーレイディスク2の径方向に移動させる。アクチュエータ20はそれには限定されないが、ここでは、永久磁石(不図示)によって形成される磁界内にコイル(不図示)に駆動電流を流し、ローレンツ力にて対物レンズ17を駆動することができるものであってもよい。
またアクチュエータ20は、対物レンズ17をブルーレイディスク2の記録面に沿う方向に移動させるトラッキング動作の他に、対物レンズ17より照射される光ビームの光軸が揺動するように対物レンズ17を傾動させるチルト動作や、対物レンズ17をブルーレイディスク2に対して接近離反するように移動させるフォーカス動作も行うことができる。
〈3.判別式について〉
次に、本発明の一実施形態に係るディスクプレイヤ100が、ブルーレイディスクの種別を判別するために用いる判別式について、説明する。
本実施形態のシステムコントローラ41は、以下の判別式を用いてブルーレイディスクの判別を行う。なお、α〜Δは後述する閾値を表している。
FS/(MPP/TS)>α・・(判別式A)
MPP/TS>β・・・・・・・(判別式B)
FS/MPP’>γ・・・・・・(判別式C)
MPP/TS>Δ・・・・・・・(判別式D)
FSは、フォーカスサーチ時における全反射信号の、基準電位からの最大値である。TSは、トラッキング経路における全反射信号の、基準電位からの最大値である。MPPは、フォーカスオン後のメインプッシュプル信号の振幅を示す値である。
なおFSについては、ブルーレイディスクが複数層構造をしている場合、各層における全反射信号の最大値の和をFSとする。例えばブルーディスクが二層ディスクであると判別された場合、第一層の最大値と第二層の最大値とを加算した値をFSとする。
図3(a)は、フォーカスサーチ時のフォーカスエラー信号を、図3(b)は、フォーカスサーチ時の全反射信号の波形を示している。フォーカスサーチ時はL0(=第一層)に対してコリメータレンズ13が調整された状態であるため、図3に示すように、L0の方が最大値が大きくなる。例えばL0が500mV、L1(=第二層)が120mVである場合、FSは620mVとなる。
MPP’(=逆算値)は、MPPをフォーカスサーチ時のゲイン設定で測定したと仮定した場合に導き出される、仮想的な値である。従来のMPP測定の問題点として、測定値に各ディスクの特徴が出にくいということがあった。これはMPP測定を、フォーカスエラー信号等の振幅をターゲット調整した後に実施するためである。ターゲット調整により、光ピックアップ1からの信号が増幅回路にて数倍(倍率はディスク特性等によって異なる)に増幅される。従ってこの状態でMPPを測定したとしても、測定値に各ディスクの特徴が出にくい。
そこで、ターゲット調整後に測定されるMPPを、ターゲット調整時に用いられた倍率で除算することにより、各ディスクの特性が出やすいMPP’という値を考案した。
具体的には例えば、フォーカスサーチ時のゲイン設定が6dBであり、この状態で計測されたFSが500mVであったとする。そしてフォーカス系調整を行うためのターゲット値が、700mVであることが仕様により定められていたとする。この場合、3dBの増幅(=1.4での乗算)を行う、ターゲット調整が実施される。この結果、ゲイン設定が6dBから9dBになる。この際、増幅に用いた3dBという値を、記録部45等に記録しておく。
フォーカス系調整が完了し、トラッキング系調整が実施されると、MPPの測定が行われる。ここで、測定されたMPPが200mVであったとする。この場合、200mVを上記で記録したの3dBで逆算し、フォーカスサーチ時のゲイン相当にまで減衰した値を算出する。これにより算出される値がMPP’であり、上記の例では200mV/1.4から約140mVとなる。
図4は、記録済みのブルーレイディスクにおけるMPP’の値の一例を示している。図4に示すように、BD−R_LtHは他のブルーレイディスクよりもMPP’が比較的大きくなる傾向がある。また、同じBD−ROM系であっても、BD−ROM_SLとBD−ROM_DLとの差が大きくなる傾向がある。
さらに、FSをMPP’で除算することにより、LDパワーのバラツキを吸収できる判別式Cを考案した。例えば上記の例では、FS/MPP’=500/140=3.75となる。
ここで仮に、LDパワーのばらつきにより、フォーカスサーチ時に計測されたFSが極端に大きく1000mVであったとする。この場合、ターゲット値が700mVであるため、ターゲット調整により−3dBの増幅(=1.4での除算)が行われる。この際、増幅に用いた−3dBという値を、記録部45等に記録しておく。
ターゲット調整後のMPPは上記と同様に200mVであるため、200mVを上記で記録したの−3dBで逆算、つまり3dBだけ増幅させる。この結果MPP’は、200mV×1.4から280mVとなる。従って、FS/MPP’=1000/280=3.75となる。
このように、LDパワーにばらつきが生じたとしても、FS/MPP’の値はほぼ同じ値となる。このため、ばらつきの影響を受けることなく、ブルーレイディスクの判別を行うことができる。
図5は、記録済みのブルーレイディスクにおけるFS/MPP’を、レーザパワーを三段階に変更して算出した、三つのグラフを示している。図5に示すように、レーザパワーがノーマルである場合、レーザパワーを+3dBした場合、レーザパワーを−3dBした場合の三パターンにおいて、それぞれのFS/MPP’の値はほぼ近似となっている。
次に、閾値α〜閾値Δについて説明する。図6は、記録済みのブルーレイディスクにおけるFS/(MPP/TS)の値の一例を示している。図6に示すように、BD−ROM_SLは、図中のBD−R_LtH〜BD−RE_DL(以下、「BD−R/RE系」という)よりもFS/(MPP/TS)が比較的大きくなる傾向がある。
このため、BD−ROM_SLの平均値とBD−RE_SL(またはBD−R_LtH)の平均値との中間値を予め調査し、閾値α(=第一閾値)として定めておく。なお、BD−RE_SLの平均値を用いるのは、BD−RE_SLがBD−R/RE系の中で比較的大きな平均値をとるからである。
また、BD−ROM_DLの平均値とBD−R_DLの平均値との中間値を予め調査し、この中間値を閾値β(=第二閾値)として定めておく。なお、一層系のBD−R/REの平均値ではなくBD−R_DLの平均値を用いるのは、後述する閾値γにより、BD−ROM_DLと一層系のBD−R/REとの判別が可能だからである。従ってここでは、一層系のBD−R/REを考慮しないことにより、余裕を持って閾値βを設定できるようにしている。
また図7は、記録済みのブルーレイディスクにおけるFS/MPP’の値の一例を示している。図7に示すようにBD−ROM_DLは、一層系のBD−R/REよりも、FS/MPP’が比較的大きくなる傾向がある。このため、BD−ROM_DLの平均値と、一層系のBD−R/REの中で比較的平均値が高いBD−RE_SLの平均値との中間値を予め調査し、この中間値を閾値γ(=第三閾値)として定めておく。
また図8は、未記録のブルーレイディスクにおけるMPP/TSの値の一例を示している。図8に示すように、BD−R_LtHは他のBD−R/RE系よりもMPP/TSが比較的大きい。これは、R_LtHが記録層に有機色素を使用しているため、他の無機系ディスクと特性が違うためである。
R_LtHは、未記録で反射率小、記録済みで反射率大となるのが特徴である。図8は未記録のブルーレイディスクの値であり、且つMPP/TSはTSを分母としている。このため、未記録状態において反射率小であるBD−R_LtHは、他のBD−R/RE系よりもMPP/TSが大きくなる。この特性を利用し、例えばBD−R_LtHの平均値とBD−R_DLの平均値との中間値を予め調査し、閾値Δとして定めておく。
〈4.判別処理について〉
次に、本発明の一実施形態に係るブルーレイディスクの判別処理を、図9のフロー図を用いながら説明する。図9に示す本処理は、ディスクプレイヤ100に対するブルーレイディスクの装着がシステムコントローラ41により検知され、且つ立ち上げ処理の実行指示が検知された場合に開始される。
上記の指示を検知したシステムコントローラ41はステップS110において、ブルーレイディスク2に対してフォーカスサーチ、フォーカス系調整、及びトラッキング系調整を行うことにより、各種信号の測定を行う。例えばフォーカスエラー信号、全反射信号信号、メインプッシュプル信号の測定を行う。そして測定した各種信号に基づいて、FS、MPP、TS、及びMPP’の値を算出する。
次にシステムコントローラ41はステップS120において、ブルーレイディスク2に照射した光ビームの反射率等に基づいて、ブルーレイディスクが記録済みであるか未記録であるかを判別する。
記録済みではない場合、後述するステップS131へ移行する。記録済みである場合、システムコントローラ41はステップステップS140において、判別式Aを用いた判別を行う。
判別式Aを満たす場合、つまりFS/(MPP/TS)が閾値αを上回る場合、BD−ROM_SLまたはBD−ROM_DL(以下、「BD−ROM系」という)であると判別する。この場合、システムコントローラ41はステップS150において、BD−ROM系用の調整処理、例えばトラッキング処理等を行い、ブルーレイディスクの立ち上げを行う。なお立ち上げ処理の詳細については従来技術と同様であるため、ここでは説明を省略する。
なおステップS140において上記の判別を行うのは、後述するステップS141において判別式Cを用いてさらにBD−ROM系を検出する際に、BD−ROM_SLが閾値γに近い値をとるためである。従って閾値マージン確保するため、BD−ROM_SLだけを先に判別し、除外することを目的としている。
判別式Aを満たさない場合、システムコントローラ41はステップS141において、判別式B及び判別式Cを用いた判別を行う。
判別式B及び判別式Cの両方を満たす場合、BD−ROM_DLであると判別する。この場合、システムコントローラ41はステップS142において、BD−ROM_DL用の各種調整を行い、ブルーレイディスクの立ち上げを行う。
判別式Bまたは判別式Cを満たさない場合、BD−R/RE系であると判別する。この場合、システムコントローラ41はステップS143において、BD−R/RE系用の各種調整を行い、ブルーレイディスクの立ち上げを行う。
ステップS130に戻って説明を行うと、記録済みではない場合、システムコントローラ41はステップステップS131において、判別式Dを用いた判別を行う。
判別式Dを満たす場合、BD−R_LtHであると判別する。この場合、システムコントローラ41はステップS132において、BD−R_LtH用の各種調整を行い、ブルーレイディスクの立ち上げを行う。
判別式Dを満たさない場合、BD−R_LtHを除くBD−R/RE系であると判別する。この場合、システムコントローラ41はステップS133において、BD−R_LtHを除くBD−R/RE系用の各種調整を行い、ブルーレイディスクの立ち上げを行う。
以上に説明した本実施形態によれば、MPPをフォーカスサーチ時のゲイン設定で測定したと仮定した値であるMPP’を算出し、LDパワーのバラつきにより値がばらつかないようにするため、正規化した判別式(=判別式C)を用いてブルーレイディスクの種別を判別している。
このように判別式B及び判別式Cを用いた判別は、判別式A(=ステップS140)でBD−ROM系であると判別されなかったBD−ROM_DLを、検出するのに有効である。
つまり、まず判別式Bにより、BD−ROM_DLと二層系のBD−R/REとを判別する(図6)。そして判別式Cにより、BD−ROM_DLと一層系のBD−R/REとを判別する(図7)。これにより、各閾値の設定に余裕を持たせることができ、誤判別を減らすことが可能である。
また本実施形態によれば、複数層のブルーレイディスクのFSを算出する際に、所定層のFSの最大値に層数を乗算するのではなく、各層のFSの最大値を加算してFSを算出している。これにより、FSの精度を向上させ、誤判別を低減することが可能である。
例えば従来は、「最も全反射信号が大きい層の最大値×層数」を使用していた。例えば、L0が500mV 、L1が120mVであれば、L0が最も大きい層であるため、Fs=500×2=1000となっていた。しかしこの方法では、ディスクの表面(カバー層)を記録面として誤検知した場合、一層ディスクであるにもかかわらず二層ディスクの計算(最大値×2)を行い、ディスク判別ミスが発生する可能性があった。
本実施形態のように各層の最大値を加算する方法では、例えカバー層を誤検知したとしても、カバー層の全反射信号(=表面反射)は非常に小さいため(図3)、全反射信号の総和をとっても大きな誤差とならない。通常、BD−ROM_SLのFSが500mV以上あるのに対して、表面反射のFSは数mV程度である。
[その他の実施の形態]
以上、好ましい実施の形態及び実施例をあげて本発明を説明したが、本発明は必ずしも上記実施の形態及び実施例に限定されるものではなく、その技術的思想の範囲内において様々に変形して実施することができる。
従って本発明は、以下の形態にも適用可能である。
(A)上記実施形態では、本発明の立ち上げ処理に関わる各機能がマイクロプロセッサ等の演算処理装置上でプログラムを実行することにより実現されているが、これら各機能が複数の回路により実現される形態でもよい。
(B)上記実施形態では、本発明の判別処理を行う光ディスク装置としてディスクプレイヤ100を例示したが、これ以外の光ディスク装置において本発明を実施する形態でもよい。例えば、ブルーレイディスクに対して記録を行うブルーレイディスクレコーダにおいて実施する形態でもよい。
(C)上記実施形態では、判別式AとしてFS/(MPP/TS)を用いているが、判別式AとしてFSを用いる形態でもよい。図10は、記録済みのブルーレイディスクにおけるFSの値の一例を示している。また図11は、FS/(MPP/TS)とFSとの比較を示している。ただし図11に示すように、BD−R_LtHのFSとBD−ROM_DLのFSとが近い値となるため、BD−ROM_DLを判別するための余裕がない。このため、BD−ROM_DLを判別するための閾値βの設定においては、FSではなくFS/(MPP/TS)を用いる方が有利である。