JP5273009B2 - 車両用油路連結装置 - Google Patents

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Description

本発明は、第1ケースおよび第2ケースの相対向する組合せ面にそれぞれ開口する第1油路および第2油路を相互に連結するための車両用油路連結装置に関し、特に、第1ケースおよび第2ケースを分解するときに第1油路から潤滑油が流出するのを抑制するための技術に関するものである。
互いに組合せられる第1ケースおよび第2ケースの相対向する組合せ面にそれぞれ開口する第1油路および第2油路を相互に油密に接続するために、上記一対の開口内に両端部がそれぞれ嵌め入れられる筒状部材と、前記第1油路および第2油路の内周面と前記筒状部材の両端部の外周面との間を油密に封止するために、その筒状部材の両端部の外周にそれぞれ設けられたゴム等の軟質な弾性材料から成る環状シール部材とを備え、前記第1油路と第2油路とを連結する油路連結装置が知られている。例えば、特許文献1に記載された油路連結装置がそれである。このような油路連結装置によれば、第1油路および第2油路を構成する配管を第1ケースおよび第2ケースの外部に設ける必要がないので、それら第1ケースおよび第2ケースの占めるスペースを小さくできると共に上記配管を設けることによるコストアップおよび質量増加を抑制することができる。また、特許文献1の油路連結装置によれば、軸心方向の長さが短縮されているので第1ケースおよび第2ケースにおける油路連結装置の占めるスペースが削減される分、第1ケースおよび第2ケースを小型化することができる。
特開平7−158744号公報
ところで、上記従来の油路連結装置においては、一旦組み付けられた第1ケースおよび第2ケースを分解するためにそれらを相互に離間させるときに油路連結装置が第1油路から外れることによって、その第1油路内の潤滑油を堰き止めるものが無くなり、上記潤滑油が第1油路から流出するという問題があった。そして、上記第1油路から流出した潤滑油が第1ケース、第2ケース、およびそれらケース内に収容された部品などにかかってしまうという問題があった。上記潤滑油がかかった部品は、ケースの再組付けの前に洗浄するか或いは新しいものに交換しなければならず、それにより手間およびコストが発生する。
本発明は以上の事情を背景としてなされたものであり、その目的とするところは、第1ケースおよび第2ケースの組合せ面にそれぞれ開口する第1油路および第2油路を相互に連結する車両用油路連結装置において、第1ケースおよび第2ケースを分解するときに第1油路から潤滑油が流出するのを抑制することができる車両用油路連結装置を提供することにある。
かかる目的を達成するための請求項1にかかる発明の要旨とするところは、(1)互いに組合せられる第1ケースおよび第2ケースの相対向する組合せ面にそれぞれ開口する第1油路および第2油路を相互に油密に接続するために、前記一対の開口内に両端部がそれぞれ嵌め入れられる筒状部材と、前記第1油路および前記第2油路の内周面と前記筒状部材の両端部の外周面との間を油密に封止するために前記筒状部材の両端部の外周にそれぞれ設けられた環状シール部材とを備え、前記第1油路と前記第2油路とを連結する車両用油路連結装置であって、(2)前記筒状部材は、その軸心方向の中間部に形成されて回転操作工具により係合可能な回転操作部と、該軸心方向の中間部の該回転操作部と前記第1油路側の環状シール部材との間に設けられ、その筒状部材の前記第1ケースとは反対側への抜け止めのために前記第1ケースに設けられた抜止め部材と係合する係合部を有し、(3)前記第1ケースと第2ケースとの組合せ状態で外部から前記回転操作工具により係合可能に前記回転操作部を視認可能とする溝状のスリットが前記第2ケースの組合せ面に形成されていることにある。
また、請求項2にかかる発明の要旨とするところは、請求項1にかかる発明において、前記第1ケースはエンジンのシリンダブロックであり、前記第2ケースはトランスミッションケースであり、前記円筒部材は、前記第1油路から前記第2油路への潤滑油の流れを許容するが前記第2油路から前記第1油路への潤滑油の流れを阻止する一方向弁および/またはその潤滑油の流れを抑制する絞り弁を有することにある。
請求項1にかかる発明の車両用油路連結装置によれば、前記筒状部材は、その筒状部材の前記第1ケースとは反対側への抜け止めのためにその第1ケースに設けられた抜止め部材と係合する係合部を有することから、一旦組み付けられた第1ケースおよび第2ケースを分解するためにそれらが相互に離間させられるときに油路連結装置の係合部が抜止め部材と係合することで筒状部材が第1油路から外れず、その筒状部材によって第1ケースおよび第2ケースを分解するときに第1油路から潤滑油が流出するのを抑制することができる。それ故に、第1ケース、第2ケース、およびそれらケース内に収容された部品に潤滑油がかかることが抑制され、それら潤滑油がかかった部品を洗浄する或いは交換するための手間やコストが発生しない。また、円筒部材が、前記スリット内で視認されるその回転操作部に係合させられた回転操作治具により軸心まわりに回転させられることによって、その筒状部材の両端部の外周にそれぞれ設けられた環状シール部材とその筒状部材の両端部がそれぞれ嵌め入れられる前記開口の内周面との摩擦力が低減され、環状シール部材の捩れが解消される。
また、請求項2にかかる発明の車両用油路連結装置によれば、前記第1ケースはエンジンのシリンダブロックであり、前記第2ケースはトランスミッションケースであり、前記円筒部材は、前記第1油路から前記第2油路への潤滑油の流れを許容するが前記第2油路から前記第1油路への潤滑油の流れを阻止する一方向弁および/またはその潤滑油の流れを抑制する絞り弁を有することから、一旦組み付けられたシリンダブロックおよびトランスミッションケースを分解するときに筒状部材の係合部が抜止め部材と係合することで筒状部材が第1油路から外れず、その筒状部材の有する一方向弁および/または絞り弁によって第1油路内の潤滑油が堰き止められるので、シリンダブロックおよびトランスミッションケースを分解するときに第1油路から潤滑油が流出するのを抑制することができる。それ故に、ケース内に収容されたクラッチ等の部品に潤滑油がかかることが抑制される。
ここで、好適には、本発明の車両用油路連結装置は、例えばトランスミッションケース内にオイルタンクを有するドライサンプ方式を採用するエンジンにおいて、そのエンジンのシリンダブロックおよびトランスミッションケースの相対向する組合せ面にそれぞれ開口する第1油路および第2油路を相互に連結するために用いられる。ドライサンプ方式のエンジンは、そのエンジン内の潤滑油を回収して第1および第2油路を介して例えばトランスミッションケース等に設けられたオイルタンクに供給する回収オイルポンプ(スカベンジポンプ)を備えている。その回収オイルポンプの非作動状態においては、その回収オイルポンプと車両用油路連結装置の円筒部材の有する弁との間の第1油路に潤滑油が介在された状態とされる。本発明の車両用油路連結装置によれば、一旦組み付けられたシリンダブロックおよびトランスミッションケースを分解するためにそれらが相互に離間させられるときに上記回収オイルポンプと弁との間の第1油路に介在された潤滑油が第1油路から流出するのを抑制することができる。それ故に、例えばシリンダブロックおよびトランスミッションケースを分解するときにクラッチ等に潤滑油がかかることが抑制することができる。特に、シリンダブロックおよびトランスミッションケースの組合せ面の上部に第1および第2油路が設けられる場合であっても、クラッチ等に潤滑油がかかることが抑制することができる。
また、好適には、前記筒状部材の係合部は、その筒状部材の軸心方向の中間部に形成された環状溝を有し、前記抜止め部材は、その環状溝の周方向の一部に嵌め入れられると共に前記第1ケースに固定される板状部材である。このようにすれば、比較的簡単な構成によって車両用油路連結装置が第1油路から抜け出ることを防止することができる。
本発明が適用された車両用駆動装置を模式的に示す図である。 図1のII-II矢視部を示す図であって、エンジンをエンジンブロックの組合せ面側から見た図である。 図1のIII-III矢視部を示す図であって、クラッチ装置を第1トランスミッションケースの組合せ面側から見た図である。 図2のIV矢視部を拡大して示す車両用油路連結装置の斜視図である。 図2のV-V矢視部断面を示す車両用油路連結装置の断面図である。 本発明の他の実施例の車両用油路連結装置の断面図であって、実施例1の図5に対応する図である。
以下、本発明の一実施例を図面を参照して詳細に説明する。なお、以下の実施例において図は適宜簡略化或いは変形されており、各部の寸法比および形状等は必ずしも正確に描かれていない。
図1は、本発明が適用された車両用駆動装置10を模式的に示す図である。図1において、本実施例の車両用駆動装置10は、内燃機関から構成されるエンジン12と、例えば乾式の円板クラッチ16を収容するクラッチ装置18のクラッチハウジング(第2ケース)14と、例えば平行2軸式の歯車変速機構22を収容する変速機24の変速機ケース20とを備えている。
第2トランスミッションケース20の底部には、潤滑油が貯溜されている。変速機24の各潤滑部は、回転する歯車変速機構22により掻き上げられた潤滑油が供給されて潤滑されるようになっている。第2トランスミッションケース20の第1トランスミッションケース14に隣接する隔壁には、第2トランスミッションケース20の底部に貯留された潤滑油が所定のオイルレベルを超えた場合にその潤滑油の余剰分を第2トランスミッションケース20から流出させるオイル流出油路26が形成されている。
第1トランスミッションケース14の下部の隔壁内には、第2トランスミッションケース20に隣接する端面からエンジン12との組合せ面28まで連通してそこに開口する第1連絡油路30が形成されている。この第1連絡油路30は、第2トランスミッションケース20のオイル流出油路26に接続されており、第2トランスミッションケース20から流出される潤滑油をエンジン12に環流させる。
エンジン12のシリンダブロック(第1ケース)32の第1トランスミッションケース14に隣接する隔壁には、組合せ面28と組み合わされる組合せ面34に開口してそこからエンジン12のオイルタンク36内まで連通された第1オイル供給油路38が形成されている。この第1オイル供給油路38は、第1トランスミッションケース14の第1連絡油路30に接続されており、その第1連絡油路30から供給される潤滑油をオイルタンク36に供給する。
エンジン12の各潤滑部は、供給オイルポンプ40によりオイルタンク36の潤滑油が供給されて潤滑されるようになっている。シリンダブロック32の第1トランスミッションケース14に隣接する隔壁には、回収オイルポンプ42の吐出ポートに接続された吐出油路(第1油路)44が形成されている。この吐出油路44は、回収オイルポンプ42によりエンジン12内から回収される潤滑油が圧送される。
第1トランスミッションケース14の上部の隔壁内には、組合せ面28から第2トランスミッションケース20に隣接する端面まで連通された第2連絡油路(第2油路)46が形成されている。この第2連絡油路46は、例えば後述の図5に示す本発明の一実施例の車両用油路連結装置48によってシリンダブロック32の吐出油路44と連結されており、その吐出油路44から車両用油路連結装置48を介して送出される比較的高圧の潤滑油を変速機24に供給する。
第2トランスミッションケース20の第1トランスミッションケース14に隣接する隔壁には、第1トランスミッションケース14の第2連絡油路46に接続されるとともに第2トランスミッションケース20の内部に連通された第2オイル供給油路50が形成されている。この第2オイル供給油路50は、第1トランスミッションケース14の第2連絡油路46に接続されており、第2連絡油路46から供給される潤滑油を第2トランスミッションケース20内に供給する。上記第2オイル供給油路50から第2トランスミッションケース20内に供給された潤滑油は、第2トランスミッションケース20の底部に貯溜される。
第2トランスミッションケース20の底部に貯溜された潤滑油は、上記各油路および各ポンプ等により構成される循環経路を循環しつつエンジン12および変速機24の各潤滑部の潤滑に用いられる。本実施例のエンジン12は、第2トランスミッションケース20の底部に貯溜された潤滑油を潤滑に用いるすなわち第2トランスミッションケース20内にオイルタンクを有するドライサンプ方式が採用されたものである。なお、第2トランスミッションケース20内から第1トランスミッションケース14を介してシリンダブロック32内まで連通されたブリーザ通路52は、第2トランスミッションケース20内の圧力が所定値以上になると図示しないエンジン12に設けられたブリーザ弁を介して第2トランスミッションケース20内の空間を大気に流通させるためのものである。
図2は、図1のII-II矢視部を示す図であって、エンジン12をエンジンブロック32の組合せ面34側から見た図である。図2では、後述の図4に詳しく示すように組合せ面34に開口する吐出油路44に車両用油路連結装置48が組み付いた状態を示している。また、図3は、図1のIII-III矢視部を示す図であって、クラッチ装置19を第1トランスミッションケース14の組合せ面28側から見た図である。図3では、組合せ面28に開口する第2連絡油路46に車両用油路連結装置48が組み付いていない状態を示している。また、図4は、図2のIV矢視部を拡大して示す車両用油路連結装置48の斜視図である。また、図5は、図2のV-V矢視部断面を示す車両用油路連結装置48の断面図である。
図2乃至図5において、本実施例の車両用油路連結装置48は、互いに組合せられる第1ケースおよび第2ケースに対応するシリンダブロック32および第1トランスミッションケース14の互いに密着させられる相対向する組合せ面34および組合せ面28にそれぞれ開口する第1油路および第2油路に対応する吐出油路44および第2連絡油路46を相互に接続するために、上記一対の開口内に両端部がそれぞれ嵌め入れられた筒状部材である円筒部材54を備えている。吐出油路44および第2連絡油路46の開口端部は、拡径部56および57が設けられて開口側ほど径が大きい段付円筒状に形成されている。円筒部材54の両端部は、上記吐出油路44および第2連絡油路46の開口端部に形成された拡径部56および57にそれぞれ嵌め入れられている。
吐出油路44および第2連絡油路46は、円筒部材54に形成された貫通孔58を介して連通させられている。上記貫通孔58は、吐出油路44側ほど径が大きい段付円筒状に形成されている。そして、貫通孔58の吐出油路44側に形成された拡径部59には、吐出油路44から第2連絡油路46への潤滑油の流れを許容するが第2連絡油路46から吐出油路44への潤滑油の流れを阻止する一方向弁60が嵌め着けられている。一方向弁60は、回収オイルポンプ42の非作動状態すなわち回収オイルポンプ42により潤滑油が圧送されていない状態においてはスプリングの付勢力にしたがって着座することにより油路を閉じる弁子を備えている。また、貫通孔58の第2連絡油路46側には、前後の油路に比較して径が小さく絞られて潤滑油の流通を抑制する絞り弁61が、貫通孔58内において上記一方向弁60と直列に筒状部材54の第2連絡油路46側に設けられている。
また、車両用油路連結装置48は、吐出油路44および第2連絡油路46の内周面と円筒部材54の両端部の外周面との間を油密に封止するために、その円筒部材54の両端部の外周にそれぞれ設けられた環状シール部材として機能する一対のOリング62を備えている。このOリング62は、良く知られているように、耐油性の合成ゴムから構成されるが、弾性を有する他の材質のものであってもよい。円筒部材54の両端部の外周面には、それぞれ周方向に連なる環状の一対のOリング溝64がそれぞれ設けられている。一対のOリング62は、吐出油路44の内周面とそれに対向するOリング溝64の底面との間、および第2連絡油路46の内周面とそれに対向するOリング溝64の底面との間においてそれぞれ半径方向に圧縮されて潰された状態で配設されている。そして、このように、一対のOリング62が上記各内周面および各底面にそれぞれ密着させられることで、それら各内周面と各底面との間を通じて潤滑油が漏れることが防止されている。
円筒部材54の軸心C方向の中間部には、軸心Cに直交する断面形状が正八角形となるように形成された回転操作部68が設けられている。この回転操作部68には、例えばスパナ状の先端部を有する図示しない回転操作治具が相対回転不能且つ着脱可能に係合可能となっている。ここで、Oリング62は、円筒部材54が各油路の拡径部56および57に対して軸心C方向に摺動されつつ嵌め入れられることによって捻れる場合がある。しかし、このような場合であっても、円筒部材54が回転操作部68に係合させられた上記回転操作治具により軸心Cまわりに回転させられることによって、Oリング62と拡径部56および57の内周面あるいは各Oリング溝64の底面との間の摩擦力が低減され、Oリング62自体の弾性復帰力にしたがって上記捩れが解消される。
図3および図5に示すように、第1トランスミッションケース14の組合せ面28には、シリンダブロック32および第1トランスミッションケース14が互いに組み合わされた状態において外部から回転操作部68をケース組合せ後においても視認可能な溝状のスリット(穴)72が形成されている。スリット72は、シリンダブロック32および第1トランスミッションケース14が互いに組み合わされた状態において前記回転操作治具を受け入れて円筒部材54を回転させるために、その回転操作治具の軸心Cまわりの回転操作を許容する治具挿入穴として機能する。
また、円筒部材54の軸心C方向の中間部であって吐出油路44側のOリング溝64と回転操作部68との間には、円筒部材54のシリンダブロック32とは反対側への抜け止めのために、シリンダブロック32の組合せ面34に隣接して設けられて例えばボルト74(図4参照)によりシリンダブロック32に固定されたストッパープレート(抜止め部材)76と係合する環状溝(係合部)78が形成されている。環状溝78の軸心C方向の幅すなわち溝幅は、ストッパープレート76の板厚よりも少し小さく形成されている。円筒部材54は、環状溝78がストッパープレート76に対して軸心C方向に係合することによって吐出油路44の拡径部56から抜けることが防止されている。ストッパープレート76は、そのストッパープレート76のボルト74の軸心まわりの回り止め及び位置決めのために上記軸心と平行な方向へ突き出してシリンダブロック32に係合する係合凸部80を有している。なお、前記スリット72は、シリンダブロック32に固定されたストッパープレート76およびボルト74と第1トランスミッションケース14との干渉を避けるための逃がし穴としても機能している。
以上のように構成された車両用油路連結装置48においては、一旦組付けられたエンジンブロック32および第1トランスミッションケース14が分解されるに際してそれらが相互に離間させられるとき、円筒部材54の環状溝78がストッパープレート76に係合することで円筒部材54が吐出油路44から外れないようになっている。
上述のように、本実施例の車両用油路連結装置48によれば、円筒部材54は、吐出油路(第1油路)44から第2連絡油路(第2油路)46への潤滑油の流れを許容するが第2連絡油路46から吐出油路44への潤滑油の流れを阻止する一方向弁60と、その円筒部材54のエンジンブロック32とは反対側への抜け止めのためにそのエンジンブロック32に固設されたストッパープレート(抜止め部材)76と係合する環状溝(係合部)78とを有することから、一旦組み付けられたエンジンブロック32および第1トランスミッションケース14を分解するためにそれらを相互に離間させるときに、環状溝78がストッパープレート76と係合することで円筒部材54が吐出油路44から外れず、回収オイルポンプ42が非作動状態とされることで吐出油路44内に介在された潤滑油が円筒部材54によって堰き止められるので、エンジンブロック32および第1トランスミッションケース14を分解するときに吐出油路44から潤滑油が流出するのを抑制することができる。それ故に、エンジンブロック32、トランスミッションケース14、およびそれらケース内に収容された例えばクラッチ装置18の円板クラッチ16などの部品に潤滑油がかかることが抑制され、潤滑油がかかった部品を洗浄する或いは交換するための手間やコストが発生しない。
また、本実施例の車両用油路連結装置48は、円筒部材54に形成された環状溝78に対してエンジンブロック32に固設されたストッパープレート76が嵌め入れられることによって吐出油路44の拡径部56から抜けることが防止されている。このようにすれば、比較的簡単な構成によって円筒部材54が吐出油路44から抜けることを防止することができる。
以上、本発明の一実施例を図面を参照して詳細に説明したが、本発明はこの実施例に限定されるものではなく、別の態様でも実施され得る。
たとえば、前述の実施例では、円筒部材54に回転操作部68が設けられていたが、この回転操作部68は必ずしも設けられなくてもよい。例えば、図6に示すようなものであってもよい。
また、前述の実施例において、ストッパープレート76は、円筒部材54と別体のものであったが、円筒部材54と一体的に設けられてもよい。例えば、円筒部材54の軸心C方向の外周面から径方向外側へ突き出す部材であってもよい。また、ストッパープレート76は、板状のものに限らず、例えば円筒状などであってもよい。また、ストッパープレート76のシリンダブロック32への固定は、ボルト74による固定に限らず、例えばリベット等のその他の固定部材による固定であってもよい。
また、前述の実施例において、円筒部材54には一方向弁60および絞り弁61が設けられていたが、これらは必ずしも設けられなくてもよい。第1トランスミッションケース14がシリンダブロック32から離間させられたとき、そのシリンダブロック32側に円筒部材54が残されるので、特にシリンダブロック32を傾斜させたときではその円筒部材54の長さにより潤滑油の流出が抑制される。また、仮に潤滑油が漏れても他部品にかかることが抑制される。
また、前述の実施例において、一方向弁60は、円筒部材54の貫通孔58の拡径部59に嵌め着けられていたが、必ずしも拡径部59に設けられなくてもよく、例えば、貫通孔58の拡径部59以外または円筒部材54の両端面のどちらか一方に固定されてもよい。
また、前述の実施例において、絞り弁61は、円筒部材54の貫通孔58の第2連絡油路46側に設けられていたが、例えば、貫通孔58の軸心C方向における中間部あるいは吐出油路44側に設けられてもよい。
また、前述の実施例において、車両用油路連結装置48は、エンジンブロック32に形成された吐出油路44と第1トランスミッションケース14に形成された第2連絡油路46とを連結(接続)するために上記各油路間に設けられていたが、これに限らず、例えば、オイル流出油路26と第1連絡油路30との間、第1連絡油路30と第1オイル供給油路38との間、或いは第2連絡油路46と第2オイル供給油路50との間に設けられてもよい。また、上記各油路間の一部或いは全部に設けられてもよい。要するに、2つのケースの相対向する組合せ面にそれぞれ開口する第1油路および第2油路を相互に接続するために用いられる車両用油路連結装置であれば本発明が適用され得る。
また、前述の実施例では、筒状部材として円筒部材54が設けられていたが、必ずしも円筒でなくてもよく断面形状が楕円形の筒状部材であってもよい。
また、前述の実施例では、環状シール部材としてOリング62が設けられていたが、断面多角形又は楕円形のオイルシールが用いられてもよい。
なお、上述したのはあくまでも一実施形態であり、その他一々例示はしないが、本発明は、その主旨を逸脱しない範囲で当業者の知識に基づいて種々変更、改良を加えた態様で実施することができる。
14:第1トランスミッションケース(第2ケース)
28:組合せ面
32:シリンダブロック(第1ケース)
34:組合せ面
44:吐出油路(第1油路)
46:第2連絡油路(第2油路)
48:車両用油路連結装置
54:円筒部材(筒状部材)
60:一方向弁
61:絞り弁
62:Oリング(環状シール部材)
76:ストッパープレート(抜止め部材)
78:環状溝(係合部)
C:軸心

Claims (2)

  1. 互いに組合せられる第1ケースおよび第2ケースの相対向する組合せ面にそれぞれ開口する第1油路および第2油路を相互に油密に接続するために、該一対の開口内に両端部がそれぞれ嵌め入れられる筒状部材と、該第1油路および該第2油路の内周面と該筒状部材の両端部の外周面との間を油密に封止するために該筒状部材の両端部の外周にそれぞれ設けられた環状シール部材とを備え、該第1油路と該第2油路とを連結する車両用油路連結装置であって、
    前記筒状部材は、その軸心方向の中間部に形成されて回転操作工具により係合可能な回転操作部と、該軸心方向の中間部の該回転操作部と前記第1油路側の環状シール部材との間に設けられ、該筒状部材の前記第1ケースとは反対側への抜け止めのために該第1ケースに設けられた抜止め部材と係合する係合部を有し、
    前記第1ケースと第2ケースとの組合せ状態で外部から前記回転操作工具により係合可能に前記回転操作部を視認可能とする溝状のスリットが前記第2ケースの組合せ面に形成されている
    ことを特徴とする車両用油路連結装置。
  2. 前記第1ケースはエンジンのシリンダブロックであり、
    前記第2ケースはトランスミッションケースであり、
    前記円筒部材は、前記第1油路から前記第2油路への潤滑油の流れを許容するが前記第2油路から前記第1油路への潤滑油の流れを阻止する一方向弁および/または該潤滑油の流れを抑制する絞り弁を有する
    ことを特徴とする請求項1の車両用油路連結装置。
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