以下、本発明の実施形態について図面を参照しながら説明する。図1は、本発明の一実施形態に係る画像形成装置の概略断面図である。プリンタ100内には画像形成部Pが配設されている。この画像形成部Pは、帯電、露光、現像及び転写の各工程により所定の画像を形成する。
この画像形成部Pには、可視像(トナー像)を担持する感光体ドラム2が配設されており、感光体ドラム2上に形成されたトナー像が、シート(記録媒体)6上に転写され、さらに、定着ユニット7においてシート6上に定着された後、装置本体より排出される構成となっている。駆動モータ21(図4参照)により感光体ドラム2を図1において所定の回転方向(ここでは時計方向。以下、正回転という)に回転させながら、感光体ドラム2に対する画像形成プロセスが実行される。
次に、画像形成部Pについて詳細に説明する。回転自在に配設された感光体ドラム(像担持体)2の周囲及び上方には、感光体ドラム2を帯電させる帯電ローラ(帯電部材)3と、感光体ドラム2に画像情報を露光して静電潜像を形成する露光ユニット4と、感光体ドラム2上の静電潜像を現像してトナー像を形成する現像ユニット(現像手段)5と、感光体ドラム2上のトナー像を記録媒体上に転写する転写ローラ(転写部材)17と、感光体ドラム2上に残留した現像剤(トナー)を回収するクリーニング装置(クリーニング手段)9と、感光体ドラム2上の残留電荷を除去する除電器10と、が設けられている。
先ず、帯電ローラ3によって感光体ドラム2の表面を一様に帯電させ、次いで露光ユニット4によって光照射し、感光体ドラム2上に画像信号に応じた静電潜像を形成する。現像ユニット5は、感光体ドラム2と対向して配置された現像ローラ5aを有し、現像ユニット5には、磁性一成分の正帯電トナーがトナーコンテナ11によって所定量充填されている。このトナーは、現像バイアス電源26(図2参照)によりトナーと同極性の現像バイアスが印加された現像ローラ5aから感光体ドラム2表面に供給され、静電的に付着することにより、露光ユニット4からの露光により形成された静電潜像に応じたトナー像が形成される。なお、帯電ローラ3の詳細については後述する。
トナー像が転写されるシート6は、シート6を収納する複数の給紙カセット12a、12b、12cと、その上方に設けられるスタックバイパス(手差しトレイ)12dに収容されており、給紙ローラ13、レジストローラ対14を介して、所定のタイミングでトナー像が形成された感光体ドラム2に向けて搬送される。
このとき画像書き出し信号がONとなり、シート6の所定位置にトナー像が転写されるように感光体ドラム2上に画像形成を行う。そして、感光体ドラム2の下部において、所定の転写バイアスが印加された転写ローラ17で電界付与することにより、感光体ドラム2上のトナー像がシート6上に転写される。
トナー像が転写されたシート6は、定着ユニット7へと搬送される。また、トナー像が転写された後の感光体ドラム2は、引き続き行われる新たな静電潜像の形成に備え、その表面に残留したトナーがクリーニング装置9により回収される。定着ユニット7に搬送されたシート6は、定着ローラ7aにより加熱及び加圧されてトナー像がシート6の表面に定着され、所定の画像が形成される。画像が形成されたシート6は、その後排出ローラ18によって排出トレイ19に排出される。
図2は、本実施形態の画像形成装置における感光体ドラム周辺の概略拡大断面図である。なお、図2において、直線矢印方向は、シート6の搬送方向を示す。図1と共通する部分には共通する符号を付して説明を省略する。感光体ドラム2としては、例えばアモルファスシリコン(a−Si)ドラムを用いることができる。また、感光体ドラム2は、不図示の駆動ギアを介してドラムモータ21(図4参照)と連結されることにより、正逆回転するようになっており、上記した通り、画像形成時には図中時計方向に回転(正回転)するようになっている。
感光体ドラム2の上方には、ドラム表面と回転自在に当接し、該ドラム表面を帯電する帯電ローラ3が配置されている。帯電ローラ3は、例えば、金属製のシャフト(芯金)3aの周面に抵抗値105〜106Ω、表面粗さRZ=10μmのエピクロルヒドリンゴム等から成るゴム層(弾性層)を形成した導電性ゴムローラ等のソリッドタイプを好適に用いることができるが、特にこれに限定されるものではない。その他、例えば、発泡ゴムローラにチューブを被せたスポンジタイプ等を用いることもできる。
帯電ローラ3は、装置本体に回転可能に支持されている。また、帯電ローラ3は、感光体ドラム2に所定のニップ圧で圧接されており、感光体ドラム2に従動して回転するようになっている。また、画像形成時、帯電ローラ3には正極性の帯電バイアスが印加されるようになっている。
具体的には、帯電ローラ3の芯金3aは、帯電バイアス電源25と電気的に接続され、帯電バイアス電源25から帯電ローラ3に対して交流電圧を重畳した直流電圧から成る帯電バイアスが印加される。かかる帯電バイアスの印加によって帯電ローラ3のゴム層の抵抗に応じて流れる電流により、感光体ドラム2表面を帯電することができる。なお、帯電バイアス電源25から帯電ローラ3に対して、直流電圧のみを印加することもできる。
帯電ローラ3の上方には帯電クリーニング部材20が配置されている。帯電クリーニング部材20は帯電ローラ3に離接可能であり、帯電ローラ3の軸方向に沿って帯電ローラの一端から他端まで往復移動可能となっている。帯電クリーニング部材20の材質としては、軟質ウレタンフォームやスポンジ等が挙げられる。帯電クリーニング部材20の移動機構については後述する。
また、転写ローラ17の芯金17aは、転写バイアス電源27と電気的に接続され、画像形成時、転写バイアス電源27から転写ローラ17に対してトナーとは逆極性である負極性の転写バイアスが印加されるようになっている。また、後述する帯電ローラ3の清掃時には、転写ローラ17に対して、転写バイアスとは逆極性である正極性のバイアス(転写逆バイアス)が印加されるようになっている。
クリーニング装置9には、感光体ドラム2表面の残留トナーを除去するためのクリーニングブレード22と、感光体ドラム2表面の残留トナーを除去するとともに感光体ドラム2表面を摺擦して研磨するクリーニングローラ23と、トナー排出手段としての回収スクリュー24と、が設けられている。クリーニングブレード22は、感光体ドラム2の表面に、該ドラムの正回転方向(図2の時計方向)に対しカウンターとなるよう当接している。クリーニングブレード22の厚みは、装置構成等に応じて例えば1.2mmとすることができる。
感光体ドラム2表面の残留トナーや外添剤は、クリーニングブレード22により除去され、クリーニングローラ23及び回収スクリュー24によってトナー排出口(図示せず)からクリーニング装置9の外部に排出される。なお、図示しないが、クリーニング装置9には、クリーニングローラ23表面のトナーを所定の層厚とするためのスクレーパや、クリーニング装置9内の廃トナーを外部に漏らさないためのウレタンシール等も設けられている。
次に、帯電クリーニング部材20の移動機構について説明する。図3は、帯電ローラ3及び帯電クリーニング部材20周辺を図2の右側から見た平面図である。図3に示すように、本実施形態における帯電クリーニング部材20の移動機構50は、帯電クリーニング部材20を保持する保持部材51と、ガイドシャフト52と、ドライブシャフト53と、帯電クリーニング部材移動用のステッピングモータ58とを含む構成である。ガイドシャフト52及びドライブシャフト53は帯電ローラ3と平行となるように画像形成装置100内に配設されている。また、保持部材51にはガイドシャフト52及びドライブシャフト53が挿通される図示しない貫通孔が設けられている。
また、ドライブシャフト53には、その外周面に螺旋歯が形成されており、保持部材51に設けられたドライブシャフト53を挿通する貫通孔の内周面には、ドライブシャフト55の螺旋歯に噛合する螺旋溝が形成されている。更に、ドライブシャフト53の一端には駆動ギア55が固定されており、この駆動ギア55が減速ギア56及びピニオンギア57を介してステッピングモータ58の駆動出力軸に連結されている。
そして、ステッピングモータ58によってドライブシャフト53を正逆回転させることにより、保持部材51によって保持される帯電クリーニング部材20を帯電ローラ3の軸方向(矢印AA′方向)に往復移動させることができる。
また、移動機構50の帯電ローラ3と反対側の端面には偏心カム60a、60bが当接しており、移動機構50の帯電ローラ3側の端面には一端を固定されたコイルバネ61a、61bの自由端が当接している。これらの偏心カム60a、60b及びコイルバネ61a、61bは、移動機構50を帯電ローラ3の軸方向に対し垂直な方向(矢印BB′方向)に往復移動させて帯電クリーニング部材20を帯電ローラ3に対し接触または離間させる離接機構を構成している。
図3の状態では、偏心カム60a、60bの小径部が移動機構50の端面に当接しており、帯電クリーニング部材20は帯電ローラ3から離間した位置に配置されている。この状態から偏心カム60a、60bを矢印方向に回転させると、移動機構50の端面に当接する偏心カム60a、60bの径が徐々に大きくなるため、移動機構50及び帯電クリーニング部材20はコイルバネ61a、61bの付勢力に抗して矢印B′方向に移動する。そして、所定角度で偏心カム60a、60bの回転を停止することで、帯電クリーニング部材20を帯電ローラ3に当接させることができる。
一方、帯電クリーニング部材20が帯電ローラ3に当接した状態から偏心カム60a、60bを逆方向に回転させると、移動機構50の端面に当接する偏心カム60a、60bの径が徐々に小さくなる。その結果、移動機構50及び帯電クリーニング部材20はコイルバネ61a、61bの付勢力により矢印B方向に移動し、帯電クリーニング部材20を帯電ローラ3から離間させることができる。
さらに、制御部35(図4参照)からの制御信号により偏心カム60a、60bの回転角度を調整可能となっており、移動機構50(帯電クリーニング部材20)の矢印BB′方向の配置を微調整することにより、帯電ローラ3に対する帯電クリーニング部材20の押圧力を制御することができる。
図4は、図1に示した画像形成装置の制御経路の一例を示すブロック図である。図1〜図3と共通する部分には同一の符号を付して説明を省略する。なお、プリンタ100を使用する上で装置各部の様々な制御がなされるため、プリンタ100全体の制御経路は複雑なものとなる。そこで、ここでは制御経路のうち、本発明の実施に必要となる部分を重点的に説明する。
画像入力部32は、パソコン等から送信される画像データを受信する受信部である。画像入力部32より入力された画像信号は制御部35に送出され、階調処理等の画像処理を適宜行い、AD変換部33においてデジタル信号に変換された後、後述する記憶部34内の画像メモリ40に送出される。
画像形成部Pは、感光体ドラム2、帯電ローラ3、露光ユニット4、現像ユニット5、クリーニング装置9、転写ローラ17等から構成され、AD変換部33において変換され画像メモリ40に記憶された画像データをもとに感光体ドラム2上に静電潜像を形成する。ドラムモータ21は、制御部35からの制御信号に基づいて感光体ドラム2を所定方向に所定速度で回転させる。なお、転写ローラ17、クリーニング装置9内のクリーニングローラ23及び回収スクリュー24(図2参照)等も、不図示のギアやクラッチ等を介してドラムモータ21に連結されており、制御部35はドラムモータ21に制御信号を送信して感光体ドラム2や転写ローラ17、クリーニングローラ23、回収スクリュー24の回転及び停止を制御する。
記憶部34は、画像メモリ40、RAM41、及びROM42を備えており、画像メモリ40は、画像入力部32において入力され、AD変換部33においてデジタル変換された画像信号(データ)を記憶し、制御部35に送出する。RAM41及びROM42は、制御部35の画像処理プログラムや処理内容等を記憶する。
また、後述する帯電クリーニングモードにおける感光体ドラム2の逆回転及び正回転のタイミングや線速を制御するためのプログラムや、清掃用トナーを現像ユニット5から感光体ドラム2表面に供給するための現像バイアスやその印加及び印加停止タイミング、転写ローラ17に印加する逆バイアスやその印加及び印加停止タイミング、帯電ローラ3に印加する帯電バイアス及び帯電逆バイアスやその印加及び印加停止タイミング等も記憶される。
制御部35は、例えば中央処理装置(CPU)であり、設定されたプログラムに従って画像入力部32、画像形成部P等のプリンタ100の各部を全般的に制御するとともに、画像入力部32から入力された画像信号を、必要に応じて変倍処理或いは階調処理して画像データ(印字データ)に変換する。露光ユニット4は、処理後の画像データに基づいてレーザ光を照射し、感光体ドラム2表面に静電潜像を形成する。
操作パネル36には、液晶表示部や各種の状態を示すLED等が設けられており、プリンタ100の状態を示したり、画像形成状況や印刷部数を表示したりするようになっている。プリンタ100の各種設定はパソコンのプリンタドライバから行われる。
ところで、クリーニング装置9を設けることによって、上記の通り残留トナーや外添剤のほとんどは、クリーニングブレード22及びクリーニングローラ23により感光体ドラム2表面から除去されるが、除去されずにクリーニングブレード22を摺り抜けるトナーや外添剤等の異物も存在する。クリーニングブレード22を摺り抜け、感光体ドラム2表面に付着したまま感光体ドラム2の正回転方向下流側に移動する異物のうち、トナーと逆極性を帯びているものは、帯電バイアスにより帯電ローラ3表面に付着する。
帯電ローラ3表面に異物が付着すると、付着した部分は帯電ローラ3表面の抵抗が他の部分とは異なるため、帯電ローラ3表面の電位にムラが発生して感光体ドラム2表面の帯電不良が生じるおそれがある。そして、感光体ドラム2表面に帯電不良が生じると画像上に黒点等となって出現する画像不良が発生するおそれがある。
そこで本発明では、帯電不良及び画像不良の原因となる異物を除去するために、非画像形成時に現像ユニット5から感光体ドラム2表面に清掃用トナーを供給し、感光体ドラム2表面から帯電ローラ3表面に清掃用トナーを付着させるトナー付着工程と、帯電クリーニング部材20を用いて帯電ローラ3表面を摺擦することにより帯電ローラ3表面において異物を清掃用トナーに付着させるエージング工程と、異物が付着した清掃用トナーを帯電ローラ3表面から感光体ドラム2表面に戻すトナー回収工程とを含む、帯電ローラ3を清掃するモード(以下、帯電クリーニングモードという)を実行することとした。
なお、清掃用トナーは、帯電ローラ3表面に付着され、異物が付着可能であれば特に限定されないが、画像形成に用いるトナーを用いればよい。また、帯電クリーニングモードは、ユーザが操作パネル36で設定する他、例えば、画像形成装置を電源オフ状態やスリープ(省電力)モードから印字開始状態まで立ち上げる際、或いは所定枚数の印字が行われた時に自動的に実行させることもできる。また、そのタイミングは特に限定されるものではなく、帯電ローラ3表面の汚染状況等に応じて適宜設定することができる。
次に、本発明の画像形成装置において実行される帯電クリーニングモードについて詳細に説明する。図5は、本発明の画像形成装置における帯電クリーニングモードの制御手順の一例を示すフローチャートであり、図6は、図5の制御手順のタイミングチャートであり、図7〜図12は、帯電クリーニンモード中の各工程における感光体ドラム2と帯電ローラ3との関係を示す模式図である。図6〜図12を参照しながら、図5のステップに従い帯電クリーニングモードの実行手順について説明する。
画像形成(印字)終了後、帯電ローラ3に対する帯電バイアスの印加、現像ユニットの作動、転写ローラ17に対する転写バイアスの印加、感光体ドラム2を回転させるドラムモータ21の作動は停止している。また、図2及び図3に示すように、帯電クリーニング部材20は帯電ローラ3から離間した位置に配置されている。
(トナー付着工程)
この非画像形成時に、帯電クリーニングモードが設定されると(スタート)、制御部35は、ドラムモータ21を逆回転させることにより感光体ドラム2を画像形成時(正回転)とは逆方向に回転(逆回転)させ、転写ローラ17にトナーと同極性の転写逆バイアスを印加すると共に、現像ユニット5を作動させて感光体ドラム2表面に清掃用トナーを供給する(ステップS1)。ここでは、少なくとも帯電ローラ3表面の軸方向全域及び外周面1周分の範囲に相当する清掃用トナーを供給する。
所定量の清掃用トナーが感光体ドラム2表面に供給されると、制御部35は現像ユニット5の作動を停止させ、現像ユニット5からの清掃用トナーの供給を停止する(ステップS2)。次に、制御部35は、感光体ドラム2の逆回転を継続し、帯電ローラ3にトナーと逆極性(負極性)の帯電逆バイアスを印加することにより、帯電ローラ3に到達した感光体ドラム2表面の清掃用トナーを帯電ローラ3表面に付着させる(ステップS3)。このとき印加する帯電逆バイアスは、清掃用トナーを帯電ローラ3表面に引き付ける負極性のバイアスであれば十分であり、交流電圧は印加せずに負の直流電圧のみを印加しても良い。
図7は、トナー付着工程における感光体ドラム2、帯電ローラ3及び現像ローラ5a周辺を示す側面図であり、図8は、感光体ドラム2と帯電ローラ3との関係を図7の右方向(現像ローラ5a側)から見た平面図である。なお、図7では説明の便宜のためクリーニング装置9、除電器10、転写ローラ17は記載を省略し、トナーを黒丸で示している(後述する図9、図11も同様)。また、図8では現像ローラ5aの輪郭のみを破線で示している(後述する図10、図12も同様)。
図7及び図8に示すように、感光体ドラム2を逆回転(図7の反時計方向)させるとともに、現像バイアス電源26から現像ローラ5aに現像バイアスを印加し、転写バイアス電源27から転写ローラ17にトナーと同極性(正極性)のバイアス(転写逆バイアス)を印加することとした。この現像バイアスの印加により、感光体ドラム2と現像ローラ5aとの間に電位差が生じ、この電位差によって、感光体ドラム2表面に清掃用トナーTのベタパターンが形成される。清掃用トナーTは感光体ドラム2の回転により感光体ドラム2と帯電ローラ3とのニップ部に移動し、負極性の帯電逆バイアスが印加された帯電ローラ3の表面に静電的に付着する。
また、逆回転時の感光体ドラム2の線速を画像形成時よりも遅くすることが好ましく、具体的には画像形成時の線速の略1/2(例えば画像形成時の線速が300mm/secである場合は150mm/sec)とすることが好ましい。これにより、感光体ドラム2表面から帯電ローラ3表面へと清掃用トナーをより確実に付着させることができる。
また、感光体ドラム2の周方向における帯電ローラ3と現像ユニット5との間隔を、帯電ローラ3の周長以上としておけば、現像ユニット5から供給された清掃用トナーが帯電ローラ3に到達するまでに、帯電ローラ3表面の少なくとも1周分の範囲にわたる清掃用トナーTのベタパターンを感光体ドラム2表面に一度に形成することができる。しかし、帯電ローラ3表面略全体に清掃用トナーを付着させることが可能であれば、帯電ローラ3と現像ユニット5との間隔は特に限定されない。例えば、帯電ローラ3と現像ユニット5との間隔が帯電ローラ3の周長よりも短い場合は、感光体ドラム2表面に形成された清掃用トナーTのベタパターンの先端が帯電ローラ3に到達した後も現像ユニット5からの清掃用トナーの供給を継続すれば良い。
また、清掃用トナーTの供給時間も、帯電ローラ3表面略全体に清掃用トナーTを略均一に付着させることが可能であれば特に限定されるものではなく、上記した帯電ローラ3と現像ユニット5との間隔やベタパターンの濃度等に応じて、少なくとも帯電ローラ3の1周分の清掃用トナーを帯電ローラ3に供給するのに要する時間とすればよい。また、供給時間が長すぎると清掃用トナーの供給が過剰となり、帯電ローラ3に付着されない清掃用トナーが発生して無駄なトナー消費量が増加したり、印字待ち時間が長くなったりするおそれがある。従って、例えば上記のような観点を考慮して供給時間を適宜設定することができる。
(エージング工程)
清掃用トナーを帯電ローラ3の外周面の略全域(感光体ドラム2の画像形成領域に対向する領域、以下、単に画像領域という)に十分に付着させた後、帯電ローラ3への帯電逆バイアスの印加を継続しつつ、帯電クリーニング部材20を帯電ローラ3表面に接触させ、さらに帯電ローラ3の軸方向に沿って往復移動させることで帯電ローラ3表面を摺擦する(ステップS4)。
図9は、エージング工程における感光体ドラム2、帯電ローラ3及び現像ローラ5a周辺を示す側面図であり、図10は、感光体ドラム2と帯電ローラ3との関係を図9の右側から見た平面図である。図9及び図10に示すように、制御部35からの制御信号により離接機構60を作動させて、帯電クリーニング部材20を帯電ローラ3に所定の圧力で接触させるとともに、感光体ドラム2を正回転(図9の時計方向)させつつ移動機構50により帯電クリーニング部材20を矢印AA′方向に往復移動させることで、清掃用トナーTを介して帯電ローラ3と帯電クリーニング部材20とが摺擦され、帯電ローラ3表面の異物が清掃用トナーTに付着する。
このとき、帯電ローラ3に対する帯電クリーニング部材20の押圧力は、帯電クリーニング部材20の摺擦によって清掃用トナーTが帯電ローラ3表面から剥がれない程度に調整されている。エージング工程における帯電クリーニング部材20の押圧力は、帯電クリーニング部材20の材質に応じて適宜設定される。また、帯電クリーニング部材20の往復移動は、感光体ドラム2に対する帯電ローラ3の従動回転に伴い、少なくとも帯電ローラ3が1周するのに要する時間以上継続して行われる。これにより、帯電ローラ3の画像領域全体が帯電クリーニング部材20によって摺擦される。
(トナー回収工程)
帯電ローラ3の外周面全域を十分に摺擦させた後、制御部35は帯電バイアス電源25から帯電ローラ3にトナーと同極性(正極性)の帯電バイアスを印加する。これにより、異物が付着した清掃用トナーが帯電ローラ3表面から引き剥がされ、感光体ドラム2表面に移動する。また、感光体ドラム2表面に移動した清掃用トナーは、転写逆バイアス(正極性)が印加された転写ローラ17に付着することなくこれを通過して、クリーニング装置9により回収される。
ここで、清掃用トナーは帯電ローラ3と帯電クリーニング部材20との摺擦によって帯電ローラ3表面に強固に付着しているものがあり、帯電バイアスの印加によって完全に引き剥がされるわけではない。清掃用トナーが帯電ローラ3の画像領域に残存していると、帯電不良や画像不良の原因となる。そこで、制御部35は偏心カム60a、60bの回転角度を制御して帯電ローラ3に対する帯電クリーニング部材20の押圧力を強め、移動機構50により帯電クリーニング部材20を矢印AA′方向に往復移動させることで清掃用トナーを帯電ローラ3の画像領域外に掻き出す(ステップS5)。トナー回収工程における帯電クリーニング部材20の押圧力は、エージング工程と同様に帯電クリーニング部材20の材質に応じて適宜設定される。
図11は、トナー回収工程における感光体ドラム2、帯電ローラ3及び現像ローラ5a周辺を示す側面図であり、図12は、感光体ドラム2と帯電ローラ3との関係を図11の右側から見た平面図である。図11及び図12に示すように、帯電クリーニング部材20の押圧力を強めて矢印AA′方向に移動させることで、帯電ローラ3の画像領域にある清掃用トナーTを画像領域外へ効率良く掻き出すことができる。
この帯電クリーニング部材20の往復移動は、感光体ドラム2に対する帯電ローラ3の従動回転に伴い、少なくとも帯電ローラ3が1周するのに要する時間以上継続して行われる。これにより、帯電ローラ3の画像領域全体に存在する清掃用トナーTが帯電クリーニング部材20により画像領域外へ掻き出される。
画像領域外へ掻き出された清掃用トナーTは、帯電ローラ3に印加されるトナーと同極性の帯電バイアスによりいずれは感光体ドラム2表面に移動する。なお、画像領域外の清掃用トナーTが直ちに感光体ドラム2表面に移動しなくとも、画像領域の帯電性能に悪影響を与えるおそれはない。
なお、帯電ローラ3の回転に伴い、帯電ローラ3に対する帯電クリーニング部材20の接触位置は帯電ローラ3の周方向に移動するが、エージング工程及びトナー回収工程において帯電クリーニング部材20の往復移動速度が遅すぎると、帯電ローラ3の外周面に帯電クリーニング部材20が通過しない部分が生じる。
そのため、帯電ローラ3の外周面に摺擦ムラやトナー除去ムラが生じない程度の速度で帯電クリーニング部材20を往復させる必要がある。エージング工程及びトナー回収工程を効率的に行うためには、帯電クリーニング部材20が矢印AA′方向に1往復して元の位置に戻ったときに、帯電クリーニング部材20が帯電ローラ3の周方向における接触幅(図9にWで表示)分だけ移動するように、帯電ローラ3の回転速度に応じて帯電クリーニング部材20の往復移動速度を調整することが好ましい。
また、帯電クリーニング部材20の往復移動中は感光体ドラム2及び帯電ローラ3の回転を停止させておくこともできる。この場合、帯電クリーニング部材20の1往復毎に、帯電クリーニング部材20の接触幅W分だけ帯電ローラ3を回転させる間欠駆動を帯電ローラ3が1周するまで継続すれば良い。しかし、後述するように感光体ドラム2の停止時に帯電ローラ3に高圧のバイアスが印加されると、感光体ドラム2表面の感光層の絶縁破壊が発生するおそれがあるため、帯電クリーニング部材20の往復移動中も帯電ローラ3の回転を継続させておく方が好ましい。
トナー回収工程の終了後、制御部35は感光体ドラム2の正回転、帯電ローラ3に対する帯電バイアスの印加、及び転写ローラ17に対する転写逆バイアスの印加を停止し、帯電クリーニング部材20を帯電ローラ3から離間させて(ステップS6)帯電クリーニングモードを終了する。
上述したような帯電クリーニングモードを実行することにより、帯電ローラ3表面に付着した異物を清掃用トナーに付着させ、清掃用トナーと共に効果的に除去することができる。従って、帯電性能の低下及びそれに伴う画像品質の低下を長期間に亘って防止することができる。
また、トナー付着工程において帯電バイアス電源25が帯電ローラ3にトナーと異極性の帯電逆バイアスを印加するため、感光体ドラム2表面から帯電ローラ3表面への清掃用トナーの移動を、より効率的且つ確実に行うことができる。なお、トナー付着工程において帯電ローラ3表面へトナーを付着させるためには、帯電ローラ3表面の電位が感光体ドラム2の表面電位よりも低ければよい。従って、必ずしも帯電ローラ3に帯電逆バイアスを印加する必要はなく、清掃用トナーの移動状況によっては帯電バイアス電源25をOFFとしておくこともできる。
さらに、トナー回収工程において帯電バイアス電源25が帯電ローラ3にトナーと同極性の帯電バイアスを印加するため、帯電ローラ3表面から感光体ドラム2表面への清掃用トナーの移動を、より効率的且つ確実に行うことができる。なお、トナー回収工程で印加する帯電バイアスを画像形成時の帯電バイアスと同一条件にすることによってバイアス制御を簡素化することができる。しかし、トナー回収工程において印加される帯電バイアスは特に限定されるものではなく、帯電ローラ3表面から感光体ドラム2表面への清掃用トナーの移動状況等に応じて適宜設定することができる。
また、上記の帯電クリーニングモードでは、清掃用トナーの供給及び付着を行うトナー付着工程において感光体ドラム2を逆回転させるため、トナー付着工程に清掃用トナーが転写ローラ17やクリーニング装置9を通過することを回避でき、帯電ローラ3表面に清掃用トナーをより短時間で確実に付着させることができる。また、清掃用トナーが帯電ローラ3表面に付着する前に転写ローラ17に付着したり、クリーニング装置9に回収されたりしないように、転写ローラ17及びクリーニング装置9を感光体ドラム2に対して離間させるための離間装置等を設ける必要がないため、装置の大型化や装置構成の複雑化を回避することができる。
さらに、清掃用トナーの回収を行うトナー回収工程において感光体ドラム2を正回転させるため、清掃用トナーの回収時には、クリーニング装置9によって清掃用トナーを確実に回収することができる。
また、感光体ドラム2の逆回転開始(トナー付着工程の開始)から、正回転終了(トナー回収工程の終了)まで、転写ローラ17にトナーと同極性の転写逆バイアスを印加することにより、帯電クリーニングモードの実行中における転写ローラ17への清掃用トナーの付着を防止できる。従って、感光体ドラム2から帯電ローラ3への清掃用トナーの付着及びクリーニング装置9による感光体ドラム2からの清掃用トナーの回収をより確実に行えるとともに、転写ローラ17に付着したトナーによる用紙の裏汚れを回避できる。
なお、トナー付着工程においては感光体ドラム2を逆回転させるため、現像ローラ5aから感光体ドラム2表面に供給された清掃用トナーは転写ローラ17には向かわないが、帯電ローラ3に付着せず、さらにクリーニング装置9を通過したトナーが転写ローラ17に到達して付着するおそれがある。従って、トナー付着工程においても転写ローラ17に転写逆バイアスを印加することは効果的である。
ここで、感光体ドラム2の停止時に帯電ローラ3や転写ローラ17から高圧のバイアスが印加されると、感光体ドラム2表面の感光層の絶縁破壊が発生し、ピンホールが発生するおそれがある。そのため、図6のタイミングチャートに示すように、帯電クリーニングモードの各工程間でドラムモータ21をOFFとして感光体ドラム2の回転を停止させているが、これに合わせて帯電バイアス(または帯電逆バイアス)及び転写バイアス(または転写逆バイアス)の印加も停止している。これにより、感光層の絶縁破壊によるピンホールの発生を防止することができる。
ところで、上記実施形態ではトナー付着工程において感光体ドラム2を逆回転させているが、感光体ドラム2を正回転させることも可能である。この場合、感光体ドラム2を正回転させると共に、転写ローラ17に転写逆バイアスを印加することによって、転写ローラ17に対する清掃用トナーの付着を防止することができる。また、離間装置によりクリーニング装置9を感光体ドラム2から離間させることによって、クリーニング装置9により清掃用トナーが回収されることを防止できる。なお、トナー回収工程においては再びクリーニング装置9を感光体ドラム2に接触させればよい。
また、トナー付着工程において感光体ドラム2を正回転させる場合には、帯電ローラ3で感光体ドラム2表面を帯電後、露光ユニット4によりベタ画像から成る静電潜像を形成し、静電潜像に対して現像ローラ5aから清掃用トナーを供給することもできる。この場合には、感光体ドラム2表面に供給された清掃用トナーが帯電ローラ3表面に到着するまでに帯電ローラ3に対する帯電バイアスの印加を停止するか、或いはトナーと逆極性の帯電逆バイアスに切り換えればよい。
また、上記実施形態では、帯電クリーニングモードの実行中に転写ローラ17にトナーと逆極性の転写逆バイアスを印加したが、転写逆バイアスを印加する代わりに感光体ドラム2に対し転写ローラ17を接触又は離間させる装置を設け、帯電クリーニングモード中に転写ローラ17を感光体ドラム2から離間させることもできる。なお、転写手段として非接触式の転写機構を用いた場合には、かかる装置を設ける必要はない。
また、例えば中間転写ベルトを有するタンデム型の画像形成装置の場合には、中間転写ベルトに対する清掃用トナーの付着を防止するため、中間転写ベルトを感光体ドラム2から離間させる離間装置を設けることができる。また、本実施形態では、感光体ドラム2の逆回転開始時から正回転終了時まで、転写ローラ17に逆バイアスを印加したが、その他、正回転時のみ逆バイアスを印加すること等もできる。
その他、本発明は上記実施形態に限られるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で種々の変更が可能である。例えば、上記した感光体ドラム2や帯電ローラ3の材質や外径、線速等は、特に限定されるものではなく、装置構成等に応じて適宜設定することができる。また、上記実施形態では、本発明を正帯電トナーに適用したが、負帯電トナーに適用することもできる。その場合、帯電クリーニングモードにおいて帯電ローラ3及び転写ローラ17に印加されるバイアスの極性を上記実施形態と逆にすれば良い。
また、上記実施形態において、帯電ローラ3は、感光体ドラム2の表面に接触した状態で感光体ドラム2の表面を帯電させるように構成されているが、帯電ローラ3が感光体ドラム2の表面に近接して配置され、非接触の状態で帯電させるように構成される実施形態においても、実質的に同じ作用により実質的に同じ効果を奏することができる。
また、上記実施形態においては、ドライブシャフト53の外周面上に螺旋歯を形成し、保持部材51のドライブシャフト53を挿通する貫通孔の内周面にドライブシャフト53の螺旋歯に噛合する螺旋溝を形成し、ドライブシャフト53を正逆回転させることにより帯電クリーニング部材20を往復移動させる構成としたが、例えば、保持部材51に帯電ローラ3の回転軸方向に延び出すアーム部を設け、アーム部に形成されたラックギアにピニオンギア57を噛合させてステッピングモータ58によって回転させることにより、帯電クリーニング部材20を往復移動させる構成としてもよい。或いは、駆動プーリに掛け渡された無端状ベルトの1箇所に帯電クリーニング部材20を固定し、無端状ベルトを正逆回転させて帯電クリーニング部材20を往復移動させる構成としてもよい。
また、上記実施形態では、偏心カム60a、60bとコイルバネ61a、61bとを用いて帯電クリーニング部材20を帯電ローラ3に対し接触または離間させる構成としたが、例えば偏心カム60a、60bに代えて傾斜面を有する摺動部材を設け、移動機構50の角部に摺動部材の傾斜面を当接させた状態で摺動部材を図3の矢印AA′方向に摺動させることで帯電クリーニング部材20を帯電ローラ3に対し接触または離間させる構成としても良い。或いは、ピニオンギアとラックギアとの組み合わせにより帯電クリーニング部材20を帯電ローラ3に対し接触または離間させる構成としても良い。
また、上記実施形態では、クリーニング装置9により感光体ドラム2上のトナーを回収する構成としたが、クリーニング装置9を設けずに、現像ユニット5によってトナーを回収する構成においても、帯電ローラ3から感光体ドラム2表面に戻されたトナーを現像ユニット5により回収することで、上記と全く同様に本発明を適用可能である。
また、本実施形態では、磁性一成分トナーを用いたが、その他、例えばトナーとキャリアとを含む二成分現像剤を用いることもできる。また、本発明は、デジタル複合機やタンデム式のカラー複写機、アナログ方式のモノクロ複写機等の複写機、或いはファクシミリやレーザプリンタ等、種々の画像形成装置に適用可能である。