JP5268465B2 - インクジェット記録方法及びインクジェット記録装置 - Google Patents

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Description

本発明は、インクジェット記録方法及びインクジェット記録装置に関する。特に、記録媒体の表面状態によらず、高画像濃度を実現できるとともに、インクのにじみ及び裏抜けの発生についても効果的に抑制できるインクジェット記録方法及びインクジェット記録装置に関する。
近年、インクジェット記録技術は急速に進歩しており、銀塩写真に匹敵する高精細な画質を得ることが可能となっている。
一方、インクとして水性インクを用いた場合には、油性インクを用いた場合と比較して、記録媒体に対して吐出したインクが乾燥しにくいという問題がある。
かかる問題の解決策として、水性インクにおいては、記録媒体に対するインクの浸透性を向上させる方法が採られている。
しかしながら、かかる方法を採った場合、記録媒体の表面にとどまる着色剤の量が減少することとなるため、形成画像における画像濃度が低下しやすくなるという問題が見られた。
また、記録媒体の表面特性によっては、形成画像においてにじみが生じやすくなったり、記録媒体の裏面にまでインクが浸透してしまう現象、所謂裏抜けが生じやすくなったりするといった問題が見られた。
そこで、かかる問題を解決すべく、インクを吐出する前に、記録媒体に対して微粒子を含む処理液を塗布し、記録媒体の表面特性、より具体的にはインクの浸透性を所定の範囲とするインクジェット記録方法が開示されている(例えば、特許文献1及び2)。
特開平6−92010号公報(特許請求の範囲) 特開2005−1182号公報(特許請求の範囲)
しかしながら、特許文献1及び2のインクジェット記録方法においては、スチレン−アクリル共重合体や、酸化チタン等からなる微粒子を用いて、記録媒体上でのインクの浸透性を調節しようとしているものの、かかるバランスを安定的に調節することが、実際上困難であるという問題が見られた。
すなわち、特許文献1及び2においては、微粒子を用いて記録媒体の表面特性を調えることで、記録媒体に対するインクの浸透性を調節することを意図としているため、記録媒体の種類等によりその表面状態が変化した場合には、インクの浸透性を適宜調節する必要があるが、実際上そのような調節は困難であった。
そこで、本発明者は、鋭意検討した結果、繊維状コラーゲンを含有した処理液を用いることにより、記録媒体の表面状態によらず、繊維状コラーゲンが有する吸水性により、記録媒体に対するインクの浸透性を安定的に所定の範囲まで抑制できるばかりか、繊維状コラーゲンが有する吸着性により、インクに含まれる顔料を効果的に記録媒体表面に残留させることができることを見出した。
その結果、記録媒体の表面状態によらず、高画像濃度を実現できるとともに、インクのにじみ及び裏抜けの発生についても効果的に抑制できることを見い出すに至った。
すなわち、本発明の目的は、記録媒体の表面状態によらず、高画像濃度を実現できるとともに、インクのにじみ及び裏抜けの発生についても効果的に抑制できるインクジェット記録方法及びインクジェット記録装置を提供することにある。
本発明によれば、インクジェットヘッドを用いて記録媒体に対して画像形成を行うインクジェット記録方法であって、
下記工程(a)〜(b)を含み、処理液を塗布した記録媒体に対するインクの接触角(測定温度:20℃)をθ1とし、処理液を塗布していない記録媒体に対するインクの接触角をθ2とした場合に、θ1及びθ2が下記関係式(1)を満足することを特徴とするインクジェット記録方法が提供され、上述した問題を解決することができる。
(a)平均直径が10〜50nmの範囲内の値であるとともに、平均長さが200〜500nmの範囲内の値である繊維状コラーゲンを含む処理液(但し、液状の水溶性モノマーとモノマー可溶性の疎水性ポリマーと天然繊維分とを含んでなる放射線硬化性インキを除く)を含む処理液を、記録媒体に対して塗布する工程
(b)記録媒体上における処理液が塗布された部分に対して、インクジェットヘッドを用いてインクを吐出する工程
1.2<θ1/θ2<1.5 (1)
すなわち、処理液に含まれるコラーゲンを繊維状コラーゲンとしていることから、非繊維状コラーゲンと比較して、コラーゲン同士の絡み合いが豊富であって、表面積が大きく、その吸水性及び顔料に対する吸着性を効果的に向上させることができる。
また、繊維状コラーゲンであれば、非繊維状コラーゲンのような粒子状のコラーゲンと異なり、記録媒体表面に処理した場合であっても、その表面の平滑性を効果的に維持することができ、画像品質への悪影響が生じにくいといった利点を有している。
したがって、繊維状コラーゲンを含む処理液を記録媒体に対して塗布した後に、当該処理液が塗布された部分に対してインクを吐出することにより、記録媒体の表面状態によらず、繊維状コラーゲンが有する優れた吸水性を発揮させて、記録媒体に対するインクの浸透性を所定の範囲まで安定的に抑制することができる。
また、繊維状コラーゲンが有する優れた吸着性により、インクに含まれる顔料を効果的に記録媒体表面に残留させることができる。
よって、本発明のインクジェット記録方法であれば、記録媒体の表面状態によらず、高画像濃度を実現できるとともに、インクのにじみ及び裏抜けの発生についても効果的に抑制することができる。
また、本発明のインクジェット記録方法を実施するにあたり、処理液の全体量に対する繊維状コラーゲンの濃度を20〜70重量%の範囲内の値とすることが好ましい。
このように実施することにより、繊維状コラーゲンによるインクの吸水性及び顔料の吸着性を効果的に発揮させることができるばかりか、処理液を記録媒体に対して均一に塗布することができる。
また、本発明のインクジェット記録方法を実施するにあたり、繊維状コラーゲンをコラーゲンI型とすることが好ましい。
このように実施することにより、より容易かつ安価に処理液を得ることができる。
また、本発明のインクジェット記録方法を実施するにあたり、記録媒体に対する処理液の塗布量を0.2〜1g/m2の範囲内の値とすることが好ましい。
このように実施することにより、記録媒体のコックリングを防ぎつつも、処理液の効果を十分に得ることができる。
また、本発明のインクジェット記録方法を実施するにあたり、記録媒体に対する処理液の塗布を、塗布ローラによって行うことが好ましい。
このように実施することにより、記録媒体に対して、より均一に処理液を塗布することができる。
また、本発明の別の態様は、インクジェットヘッドを用いて記録媒体に対して画像形成を行うインクジェット記録方法であって、
下記工程(a)〜(b)を含むことを特徴とするインクジェット記録方法である。
(a)処理液の全体量に対して、平均直径が10〜50nmの範囲内の値であるとともに、平均長さが200〜500nmの範囲内の値である繊維状コラーゲンを20〜70重量%、水を20〜70重量%、ヘキシレングリコールを1〜20重量%、2−ピロリドンを1〜20重量%およびグリセリンを2〜30重量%の範囲内で含む処理液を、記録媒体に対して塗布する工程
(b)記録媒体上における処理液が塗布された部分に対して、インクジェットヘッドを用いてインクを吐出する工程
また、本発明の別の態様は、インクジェットヘッドを用いて記録媒体に対して画像形成を行うインクジェット記録装置であって、平均直径が10〜50nmの範囲内の値であるとともに、平均長さが200〜500nmの範囲内の値である繊維状コラーゲンを含む処理液(但し、液状の水溶性モノマーとモノマー可溶性の疎水性ポリマーと天然繊維分とを含んでなる放射線硬化性インキを除く)を、記録媒体に対して塗布する処理液塗布手段と、記録媒体上における処理液が塗布された部分に対して、インクを吐出するインクジェットヘッドと、を備え、処理液を塗布した記録媒体に対するインクの接触角(測定温度:20℃)をθ1とし、処理液を塗布していない記録媒体に対するインクの接触角をθ2とした場合に、θ1及びθ2が下記関係式(1)を満足することを特徴とするインクジェット記録装置である。
1.2<θ1/θ2<1.5 (1)
すなわち、かかる装置であれば、繊維状コラーゲンを含む処理液を記録媒体に対して塗布した後に、当該処理液が塗布された部分に対してインクを吐出することにより、記録媒体の表面状態によらず、高画像濃度を実現できるとともに、インクのにじみ及び裏抜けの発生についても効果的に抑制することができる。
また、本発明のさらに別の態様は、インクジェットヘッドを用いて記録媒体に対して画像形成を行うインクジェット記録装置であって、処理液の全体量に対して、平均直径が10〜50nmの範囲内の値であるとともに、平均長さが200〜500nmの範囲内の値である繊維状コラーゲンを20〜70重量%、水を20〜70重量%、ヘキシレングリコールを1〜20重量%、2−ピロリドンを1〜20重量%およびグリセリンを2〜30重量%の範囲内で含む処理液を、記録媒体に対して塗布する処理液塗布手段と、記録媒体上における処理液が塗布された部分に対して、インクを吐出するインクジェットヘッドと、を備えることを特徴とするインクジェット記録装置である。
本発明の実施形態は、インクを吐出するインクジェットヘッドを用いて記録媒体に対して画像形成を行うインクジェット記録方法であって、下記工程(a)〜(b)を含み、処理液を塗布した記録媒体に対するインクの接触角(測定温度:20℃)をθ1とし、処理液を塗布していない記録媒体に対するインクの接触角をθ2とした場合に、θ1及びθ2が下記関係式(1)を満足することを特徴とするインクジェット記録方法である。
(a)平均直径が10〜50nmの範囲内の値であるとともに、平均長さが200〜500nmの範囲内の値である繊維状コラーゲンを含む処理液(但し、液状の水溶性モノマーとモノマー可溶性の疎水性ポリマーと天然繊維分とを含んでなる放射線硬化性インキを除く)を含む処理液を、記録媒体に対して塗布する工程
(b)記録媒体上における処理液が塗布された部分に対して、インクジェットヘッドを用いてインクを吐出する工程
1.2<θ1/θ2<1.5 (1)
以下、本発明の実施形態としてのインクジェット記録方法について、具体的に説明する。
なお、本発明の別の実施形態としてのインクジェット記録装置は、インクジェット記録方法の説明中において同時に説明する。
1.概略
本発明のインクジェット記録方法の概略を、図1を用いて説明する。
本発明のインクジェット記録方法を実施するためのインクジェット記録装置20は、記録媒体25の搬送方向Aにおける上流側において、処理液塗布手段21を有するとともに、下流側において、インクジェットヘッド22を有することを特徴とする。
ここで、処理液塗布手段21は、所定の処理液23を、記録媒体25に対して塗布するための手段であり、かかる処理液塗布手段21によって、本発明のインクジェット記録方法における工程(a)が実施される。
一方、インクジェットヘッド22は、記録媒体25上における処理液23が塗布された部分に対して、インク24を吐出し、画像を形成するための手段であり、かかるインクジェットヘッド22によって、本発明のインクジェット記録方法における工程(b)が実施される。
このように、工程(a)及び工程(b)を実施することにより、記録媒体25の表面状態によらず、繊維状コラーゲンが有する吸水性により、記録媒体25に対するインク24の浸透性を所定の範囲まで安定的に抑制することができる。
また、繊維状コラーゲンが有する吸着性により、インク24に含まれる顔料を効果的に記録媒体25表面に残留させることができる。
その結果、記録媒体の表面状態によらず、高画像濃度を実現することができるとともに、インクのにじみ及び裏抜けの発生についても効果的に抑制することができる。
なお、工程(a)については、インクジェット記録装置外にて、予め実施することも好ましい。
すなわち、工程(a)としての記録媒体に対する所定処理液の塗布を予め実施して、処理済の記録媒体を準備するとともに、かかる処理済の記録媒体をインクジェット記録装置の記録媒体ユニットに収容しておき、その上で、工程(b)としてのインクによる画像形成を行うことも好ましい。
2.工程(a)
本発明における工程(a)は、繊維状コラーゲンを含む処理液を、記録媒体に対して塗布する工程である。
(1)処理液
(1)−1 繊維状コラーゲン
本発明における処理液は、繊維状コラーゲンを含むことを特徴とする。
この理由は、繊維状コラーゲンであれば、非繊維状コラーゲンと比較して、コラーゲン同士の絡み合いが豊富であって、表面積が大きいことから、その吸水性及び顔料に対する吸着性を効果的に向上させることができるためである。
また、繊維状コラーゲンであれば、非繊維状コラーゲンのような粒子状のコラーゲンと異なり、記録媒体表面に処理した場合であっても、その表面の平滑性を効果的に維持することができ、画像品質への悪影響が生じにくいといった利点を有しているためである。
したがって、繊維状コラーゲンを含む処理液を記録媒体に対して塗布した後に、当該処理液が塗布された部分に対してインクを吐出することにより、記録媒体の表面状態によらず、繊維状コラーゲンが有する優れた吸水性を発揮させて、記録媒体に対するインクの浸透性を所定の範囲まで安定的に抑制することができる。
また、繊維状コラーゲンが有する優れた吸着性により、インクに含まれる顔料を効果的に記録媒体表面に残留させることができる。
よって、本発明のインクジェット記録方法であれば、記録媒体の表面状態によらず、高画像濃度を実現できるとともに、インクのにじみ及び裏抜けの発生についても効果的に抑制することができ、さらには、インクの乾燥性を向上させることができる。
また、繊維状コラーゲンの平均直径を10〜50nmの範囲内の値とするとともに、平均長さを200〜500nmの範囲内の値とすることを特徴とする。
この理由は、繊維状コラーゲンの平均直径及び平均長さをかかる範囲とすることにより、繊維状コラーゲンによるインクの吸水性及び顔料の吸着性を、さらに向上させることができるためである。
すなわち、繊維状コラーゲンの平均直径が10nm未満の値となると、そのような繊維状コラーゲンを得ることが困難となる場合があるためである。一方、繊維状コラーゲンの平均直径が50nmを超えた値となると、コラーゲンの表面積が不十分となって、十分な吸水性及び吸着性を得ることが困難となる場合があるためである。
また、繊維状コラーゲンの平均長さが200nm未満の値となると、繊維状コラーゲン同士の複雑な絡み合いが過度に減少して、十分な吸水性及び吸着性を得ることが困難となる場合があるためである。一方、繊維状コラーゲンの平均長さが500nmを超えた値となると、繊維状コラーゲン同士の複雑な絡み合いが過度に増加して、記録媒体に対して均一にコラーゲンを分布させることが困難となる場合があるためである。
したがって、繊維状コラーゲンの平均直径を15〜45nmの範囲内の値とすることがより好ましく、20〜40nmの範囲内の値とすることがさらに好ましい。
また、繊維状コラーゲンの平均長さを250〜500nmの範囲内の値とすることがより好ましく、300〜500nmの範囲内の値とすることがさらに好ましい。
なお、繊維状コラーゲンの平均直径及び平均長さとは、それぞれ乾燥状態の繊維状コラーゲンにおける数平均直径及び数平均長さを意味する。
また、かかる繊維状コラーゲンの平均直径及び平均長さは、例えば、電子顕微鏡(SEM)を用いて測定することができる。
また、繊維状コラーゲンとして、コラーゲンI型を用いることが好ましい。
この理由は、コラーゲンI型であれば、より容易かつ安価に処理液を得ることができるためである。
すなわち、コラーゲンI型は、動物の組織中に最も大量に存在する繊維状コラーゲンであり、一般に流通している繊維状コラーゲンの大半を占める繊維状コラーゲンであるためである。
また、その他の使用可能な繊維状コラーゲンとしては、コラーゲンII型、コラーゲンIII型及びコラーゲンV型が挙げられる。
なお、本発明においては、例えば、ゼラチン等のコラーゲン変性物については、コラーゲンに含めないものとする。
また、繊維状コラーゲンの数平均分子量を1000〜100000の範囲内の値とすることが好ましい。
この理由は、繊維状コラーゲンの数平均分子量をかかる範囲とすることにより、上述した繊維状コラーゲンの平均直径及び平均長さを所定の範囲に調節しやすくなるためである。
したがって、繊維状コラーゲンの数平均分子量を5000〜50000の範囲内の値とすることがより好ましい。
また、処理液の全体量に対する繊維状コラーゲンの濃度を20〜70重量%の範囲内の値とすることが好ましい。
この理由は、処理液の全体量に対する繊維状コラーゲンの濃度をかかる範囲とすることにより、繊維状コラーゲンによるインクの吸水性及び顔料の吸着性を効果的に発揮させることができるばかりか、処理液を記録媒体に対して均一に塗布することができるためである。
すなわち、繊維状コラーゲンの濃度が20重量%未満の値となると、繊維状コラーゲンの絶対量が不足して、その吸水性及び吸着性を十分に発揮させることが困難となる場合があるためである。一方、繊維状コラーゲンの濃度が70重量%を超えた値となると、処理液が過度にゲル化して、記録媒体に対して均一に塗布することが困難となる場合があるためである。
したがって、処理液の全体量に対する繊維状コラーゲンの濃度を25〜70重量%の範囲内の値とすることがより好ましく、30〜65重量%の範囲内の値とすることがさらに好ましい。
(1)−2 液体成分の組成
また、処理液における液体成分の組成としては、処理液の全体量に対して、水を20〜70重量%、ヘキシレングリコールを1〜20重量%、2−ピロリドンを1〜20重量%及びグリセリンを2〜30重量%の範囲内で含有させることが好ましい。
この理由は、処理液における液体成分の組成をこのようにすることにより、コラーゲンをより安定的に処理液中に分散させることができるとともに、記録媒体に対してより均一に塗布することができるためである。
すなわち、水の含有量を上述した範囲内の値とすることにより、ヘキシレングリコールその他の成分と相俟って、処理液の粘度等の特性を好適な範囲にコントロールすることができるためである。
また、ヘキシレングリコールの含有量を上述した範囲内の値とすることにより、処理液の表面張力と粘度をコントロールし、さらには処理液の浸透性をコントロールすることができるためである。
また、2−ピロリドンの含有量を上述した範囲内の値とすることにより、処理液の粘度をコントロールすることができるとともに、保湿性を向上させることができるためである。
また、グリセリンの含有量を上述した範囲内の値とすることにより、処理液の粘度をコントロールすることができるばかりか、処理液の保湿性についてもコントロールすることができるためである。
したがって、処理液中におけるコラーゲンの分散性及び処理液の取り扱い性をさらに向上させるべく、処理液の全体量に対して、水を23〜65重量%、ヘキシレングリコールを1〜10重量%、2−ピロリドンを1〜10重量%、グリセリンを5〜20重量%の範囲内で含有させることがより好ましい。
また、より容易に処理液中におけるコラーゲンの分散性等を調節することができることから、界面活性剤を含有させることも好ましい。
かかる界面活性剤の種類としては、例えば、多環フェノールエトキシレート等の特殊フェノール型非イオン界面活性剤、または、グリセライトのエチレンオキサイド付加物、ポリエチレングリコールオレート、ポリオキシアルキレンタロエート、ソルビタンラウリルエステル、ソルビタンオレイルエステル、ポリオキシエチレンソルビタンオレイルエステル等のエステル型非イオン界面活性剤、または、ヤシ油脂肪酸ジエタノールアマイド、ポリオキシエチレンヤシ油脂肪酸モノエタノールアマイド等のアマイド型非イオン界面活性剤、または、アセチレングリコール及びそのエチレンオキサイド付加物、または、アルコールサルフェートナトリウム塩、高級アルコールサルフェートナトリウム塩、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル硫酸エステルアンモニウム塩、アルキルベンゼンスルフォン酸ナトリウム塩等の陰イオン界面活性剤、または、モノ長鎖アルキルカチオン、ジ長鎖アルキルカチオン、アルキルアミンオキサイド等の陽イオン界面活性剤、または、ラウリルアミドプロピル酢酸ベタイン、ラウリルアミノ酢酸ベタイン等の両性界面活性剤等を挙げることができ、これらの界面活性剤を単独或いは混合したものを用いることができる。
また、これらの界面活性剤の添加量としては、処理液の全体量に対して、0.1〜5重量%の範囲内の値とすることが好ましく、0.2〜1重量%の範囲内とすることがより好ましい。
なお、上述した構成材料に替えて、あるいは上述した構成材料に加えて、以下の材料を用いることもできる。
すなわち、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、プロピレングリコール、ブタンジオール、オクタンジオール、1,2−ヘキサンジオール、エチレングリコールモノブチルエーテル、トリエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノメチルエーテル、2−ブチル−2−エチル−1,3−プロパンジオール、3−メチル−1,5−ペンタジオール、2−エチル−2−メチル−1,3−プロパンジオール、2,4−ジチル−1,5−ペンタンジオール、2,4−ペンタンジオール、1,5−ペンタンジオール、2,2−ジメチル−1,3−プロパンジオール、2−メチル−1,3−プロパンジオール、トリメチロールプロパン、チオジグリコール等を用いることもできる。
また、本発明における処理液には、上述した組成以外にも、必要に応じて、粘度調整剤、pH調整剤、防腐防カビ剤等の各種添加剤を含有させることができる。
なお、処理液のpHとしては、5〜9の範囲内の値とすることが好ましい。
(2)処理液の塗布方法
本発明における処理液の塗布方法は、記録媒体に対して所定量の処理液を安定的に塗布できる方法であれば、特に限定されるものではない。
例えば、処理液をスプレーによって霧状に噴霧して、記録媒体に塗布する方法、凸版印刷により塗布する方法等、いずれの方法であってもよく、塗布箇所としては、インクが吐出される予定箇所を含んでさえいれば十分であるため、記録媒体の全面であっても、インクが吐出される予定の部分のみであってもよい。
一方、特に好ましい塗布方法としては、塗布ローラを用いた塗布方法が挙げられる。
より具体的には、図1に示すように、芯金30の周囲に多孔質の弾性体層29を備えた塗布ローラ31により、記録媒体に対して直接的に塗布する方法が挙げられる。
この理由は、塗布ローラを用いることによって、記録媒体に対して、より均一に処理液を塗布することができるためである。
また、塗布ローラであれば、高速全面塗布が可能であるばかりか、記録媒体の種類によって塗布量を容易に変化させて、最適化することができる。
その他、塗布速度、圧力、塗布後インク吐出までの間隔等を適宜変更することで、処理液の塗布具合をさらに最適化することができる。
なお、塗布ローラの直径としては10〜70mmの範囲内の範囲内の値とすることが好ましい。
また、弾性体層の材質としては、例えば、発泡ポリウレタン等を用いることができ、弾性体層の厚さとしては10〜30mmの範囲内の値とすることが好ましい。
また、画像が形成される部分に対応させて処理液を塗布する態様としては、例えば、図2(a)〜(c)の態様が挙げられる。
すなわち、(a)の態様は、処理液23の塗布形状及び面積が、インク24の吐出形状及び面積と一致する場合の態様である。
また、(b)の態様は、処理液23の塗布形状及び面積が、インク24の吐出形状及び面積よりも大きい場合の態様である。
さらに、(c)の態様は、処理液23の塗布形状及び面積が、インク24の吐出形状及び面積よりも小さい場合の態様である。
また、記録媒体に対する処理液の塗布量を0.2〜1g/m2の範囲内の値とすることが好ましい。
この理由は、処理液の塗布量をかかる範囲とすることにより、記録媒体のコックリングを防ぎつつも、処理液の効果を十分に得ることができるためである。
すなわち、処理液の塗布量が0.2g/m2未満の値となると、処理液の絶対量が不足して、その効果を十分に得ることが困難となる場合があるためである。一方、処理液の塗布量が1g/m2を超えた値となると、水分によって記録媒体が波打つ現象、所謂コックリングが発生しやすくなる場合があるためである。
したがって、記録媒体に対する処理液の塗布量を0.2〜0.8g/m2の範囲内の値とすることがより好ましく、0.4〜0.8g/m2の範囲内の値とすることがさらに好ましい。
(3)接触角
また、処理液を塗布した記録媒体に対するインクの接触角(測定温度:20℃)をθ1とし、処理液を塗布していない記録媒体に対するインクの接触角をθ2とした場合に、θ1及びθ2が下記関係式(1)を満足することを特徴とする。
1.2<θ1/θ2<1.5 (1)
この理由は、θ1及びθ2がかかる関係式を満足することにより、繊維状コラーゲンによるインクの吸水性及び顔料の吸着性を、さらに効果的に発揮させることができるためである。
すなわち、θ1/θ2の値が1.2以下の値となると、例えば、処理液の塗布量不足等により、繊維状コラーゲンによる吸水性及び吸着性が十分に発揮されず、インクが記録媒体に対して過度に浸透しやすくなったり、記録媒体の表面に残留する顔料が過度に減少したりする場合があるためである。一方、θ1/θ2の値が1.5以上の値となると、処理液の塗布量が過剰となり、ひいては記録媒体表面におけるコラーゲン量が過剰となることから、記録媒体表面の平滑性が過度に低下する場合があるためである。
したがって、θ1及びθ2が、下記関係式(1´)を満足することがより好ましく、下記関係式(1´´)を満足することがさらに好ましい。
1.3<θ1/θ2<1.5 (1´)
1.4<θ1/θ2<1.5 (1´´)
なお、接触角の測定方法については、実施例において記載する。
次いで、図3を用いて、処理液の全体量に対するコラーゲンの濃度と、θ1/θ2の値と、の関係について説明する。
すなわち、図3には、横軸に処理液の全体量に対するコラーゲンの濃度(重量%)を採り、縦軸にθ1/θ2(−)の値を採った特性曲線が示してある。
なお、処理液の組成及び接触角の測定方法等の詳細については、実施例において記載する。
かかる特性曲線から理解されるように、処理液の全体量に対するコラーゲンの濃度と、θ1/θ2の値とは、一次的な相関を有している。
したがって、θ1/θ2の値を増加させるためには、処理液の全体量に対するコラーゲンの濃度の値を増加させればよく、θ1/θ2の値を減少させるためには、処理液の全体量に対するコラーゲンの濃度の値を減少させればよいことがわかる。
次いで、図4を用いて、θ1/θ2の値と、画像濃度と、の関係を説明する。
すなわち、図4には、横軸にθ1/θ2(−)の値を採り、縦軸に画像濃度(−)を採った特性曲線が示してある。
なお、画像濃度の測定方法等の詳細については、実施例において記載する。
かかる特性曲線から理解されるように、θ1/θ2の値が増加するのにともなって、画像濃度の値は一度増加した後、低下している。
より具体的には、θ1/θ2の値が1.2以下の範囲では、その増加にともなって、画像濃度の値が0.6弱の値から1.2前後の値へと、急激に増加している。
次いで、θ1/θ2の値が1.2を超えて1.5未満の範囲では、画像濃度の値が安定的に1.2前後の優れた値を維持している。
一方、θ1/θ2の値が1.5以上の値となると、その増加にともなって、画像濃度の値が低下し始め、1.2前後の優れた値を維持することが困難となってしまう。
したがって、かかる特性曲線により、θ1/θ2の値を1.2を超えて1.5未満の範囲内の値とすることによって、画像濃度を安定的に1.2前後の値に維持できることがわかる。
なお、θ1/θ2をかかる範囲とすることで、画像濃度ばかりでなく、にじみ、裏抜け性及び乾燥性についても、優れた結果が得られることが確認されている(実施例参照)。
3.工程(b)
本発明における工程(b)は、記録媒体上における処理液が塗布された部分に対して、インクジェットヘッドを用いてインクを吐出する工程である。
(1)インク
本発明におけるインクの組成は、特に限定されるものではなく、インクジェット記録方法において一般的に使用される水性インクであればよい。
本発明におけるインクに含まれる水溶性有機溶剤としては、例えば、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド等のアミド類、アセトン等のケトン類、テトラヒドロフラン、ジオキサン等のエーテル類、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール等のポリアルキレングリコール類、エチレングリコール、プロピレングリコール、ブチレングリコール、トリエチレングリコール、1,2,6−ヘキサントリオール、チオジグリコール、ヘキシレングリコール、ジエチレングリコール等のアルキレン基が2〜6個の炭素原子を含むアルキレングリコール類、グリセリン、そしてエチレングリコールメチル(またはエチル)エーテル、ジエチレングリコールメチル(またはエチル)エーテル、トリエチレングリコールモノメチル(またはエチル)エーテル等の多価アルコールの低級アルキルエーテル類、N−メチル−2−ピロリドン、1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノン、トリエタノールアミン、スルホラン、ジメチルサルフォキサイド等が挙げられる。
また、染料としては、例えば、直接染料、酸性染料、反応染料、分散染料、建染染料等が挙げられる。これらの染料の含有量は液媒体成分の種類、インクに要求される特性等に依存して決定されるが、一般にはインク全重量に対して0.5〜15重量%、好ましくは1〜7重量%の範囲である。
また、顔料としては、一般のインクジェット記録用インクで使用できる各種の無機顔料および有機顔料が使用可能であるが、例えば、C.I.ピグメントイエロー93、95、109、110、120、128、138、139、151、154、155、173、180、185、193、C.I.ピグメントオレンジ34、36、43、61、63、71、C.I.ピグメントレッド122、202、C.I.ピグメントブルー15、C.I.ピグメントバイオレット19、23、33、C.I.ピグメントブラック7等を挙げることができる。
また、顔料の体積平均粒径としては、インクの色濃度、色相、インク安定性などの観点から、50〜200nmの範囲内の値とすることが好ましい。
この理由は、顔料の体積平均粒径が50nm未満の値となると、顔料がコラーゲンに吸着されにくくなって、画像濃度が低下しやすくなる場合があるためである。一方、顔料の体積平均粒径が200nmを超えた値となると、特にノズルおよびノズル供給部での目詰まりが発生しやすくなり、また吐出性が悪くなる場合があるためである。
したがって、顔料の体積平均粒径を80〜150nmの範囲内の値とすることがより好ましい。
なお、顔料の体積平均粒径は、例えば、動的光散乱粒度分布測定装置(シスメックス(株)製)等を用いて測定することができる。
また、顔料の使用量が少なくなりすぎるとインクの色濃度が低下し、一方、多くなりすぎるとインク粘度や流動性の面から印刷が困難となる場合がある。
したがって、顔料の好適な使用量は、インクジェット記録用インク組成物全量中に1〜40重量%程度であり、より好適には5〜30重量%程度である。
また、溶媒中に顔料を分散させるために使用する分散剤としては、溶剤に可溶可能な各種顔料分散剤が使用できる。例えば、ソルビタン脂肪酸エステル(ソルビタンモノオレート、ソルビタンモノラウレート、ソルビタンセスキオレエート、ソルビタントリオレート等)、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル(ポリオキシエチレンソルビタンモノステアレート、ポリオキシエチレンソルビタンモノオレエート等)、ポリエチレングリコール脂肪酸エステル(ポリオキシエチレンモノステアレート、ポリエチレングリコールジイソステアレート等)、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンオクチルフェニルエーテル等)などのノニオン活性剤が適している。
さらに、ノニオン活性剤に加えて、アニオン活性剤あるいはカチオン活性剤として一般に知られている活性剤(分散剤)も本発明には使用できる。
また、分散剤の添加量は、インク全量に対して0.01〜1重量%添加することが好ましい。
この理由は、0.01重量%未満であると顔料の十分な分散できない場合があり、逆に、1重量%以上であるとインクジェットノズルからの吐出安定性が悪化する場合があるためである。
また、インクに酸化防止剤を含有することが好ましい。これにより、インクの酸化を効果的に防止することができ、より保存安定性及び吐出安定性に優れたインクを得ることができるためである。
かかる酸化防止剤としては、例えば、アルキルフェノール系化合物、フェニレンジアミン等のアミン系化合物、ヒンダードフェノール系化合物、ヒドロキノン系化合物、ヒドロキシルアミン系化合物などが挙げられる。ヒンダードフェノール系化合物は長期保存を目的とした酸化防止剤として優れ、酸化生成物がさして着色しないことからジブチルヒドロキシトルエン(BHT)やブチルヒドロキシアニソール(BHA)等が好ましい。また、重合禁止剤として用いられ、急速短期の酸化防止機能に優れるフェノール系化合物のうちハイドロキノン、ガレート等のフェノール性OHを持った化合物等を用いても良い。またそれらを適宜、併用することも可能である。
また、酸化防止剤の添加量は使用する酸化防止剤、使用環境によって異なるが、インク全量に対して0.01〜1重量%添加することが好ましい。
この理由は、0.01重量%未満であると酸化による異物の発生を充分に抑制することができず、インクジェットノズルからの吐出安定性が悪化する場合があるためである。一方、酸化防止剤を1重量%よりも多く添加しても、酸化防止のさらなる効果は期待できず、逆に吐出性が悪化する恐れがあるためである。
その他、例えば、ヘキシレングリコール、2−ピロリドン、グリセリン及び界面活性剤等、上述した処理液と共通した成分を積極的に用いることも、インクと、処理液と、の相溶性を向上させる観点からは、好ましい態様である。
(2)インクの吐出方法
本発明におけるインクの吐出方法としては、インクジェットヘッドを用いて行うことを特徴とする。
なお、インクジェットヘッドを用いたインクの吐出方法としては、例えば、ピエゾ方式及びサーマル方式等が挙げられるが、本発明においては、いずれの方式を採用してもよい。
一方、インク吐出量を比較的簡単に制御でき、さらに、インクを加熱しないため、サーマル方式に比べて幅広いインク組成に対応可能であるといった観点から、ピエゾ方式とすることがより好ましい。
以下、実施例に基づいて、本発明を詳細に説明する。
[実施例1]
1.インクの調製
以下に示す組成の各材料をバッチ式縦型サンドミル(アイメックス(株)製)に仕込むとともに、メディアとしてジルコニアビーズを充填し、水冷しながら分散処理を行い、顔料分散体を得た。
このとき、動的光散乱式粒径分布装置(シメックス(株)製)を用いて、得られた顔料分散体をイオン交換水にて5倍に希釈した場合における分散粒子の体積平均粒径D50を測定し、かかる値が100nmとなっていることを確認した。
C.I.ピグメントレッド122 30重量%
スチレン−アクリル系樹脂 15重量%
(ジョンソン(株)製、ジョンクリル61)
グリセリン 10重量%
イオン交換水 45重量%
次いで、以下に示す組成の各材料を攪拌機にて撹拌した後、得られた撹拌液を孔径5μmのフィルタにて加圧ろ過し、マゼンタインクとした。なお、かかるマゼンタインクの粘度は、3mPa・sであった。
顔料分散体 20重量%
界面活性剤 0.5重量%
(日信化学工業(株)製、オルフィンE1010)
ヘキシレングリコール 5重量%
2−ピロリドン 5重量%
グリセリン 10重量%
水 59.5重量%
2.処理液の調製
また、以下に示す組成の各材料をディスパーにて25℃の条件下、60分間混合し、混合物を得た。
コラーゲンI型: 65重量%
(高研(株)製、直径:30nm、長さ:300nm)
グリセリン 10重量%
界面活性剤 1重量%
(日信化学工業(株)製、オルフィンE1010)
防腐剤 0.2重量%
(プロセキルCRL)
水 23.8重量%
次いで、得られた混合物を、3本ロールミル(ノリタケカンパニー(株)製、NR−84A)を用いて、以下の条件にて分散させた後、得られた液を孔径5μmのフィルタにて加圧ろ過し、処理液とした。
剪断応力:1.2×106Pa
ロール周速度差:6m/s
ロール間クリアランス:10μm
処理回数:5パス
3.評価
(1)接触角の評価
(1)−1 θ1の測定
処理液を塗布した記録媒体に対するインクの接触角θ1(°)を測定した。
すなわち、記録媒体としてのコピー用紙(FujiXerox(株)製、上質PPC)の全面に対して、塗布ローラ(手動Kロックスプルーファー、直径:50mm、長さ:
200mm、弾性体層の材質:発泡ポリウレタン、弾性体層の厚さ:15mm)を用いて、塗布量が0.5g/m2となるように、処理液を塗布した。
次いで、処理液が塗布された記録媒体に対し、マゼンタインク2μlを滴下し、滴下後0.01秒後における接触角θ1を、CCDカメラにより画像解析することで測定した(測定温度:20℃)。得られた結果を表1に示す。
(1)−2 θ2の測定
また、処理液を塗布していない記録媒体に対するインクの接触角θ2(°)を測定した。
すなわち、処理液が塗布されていない記録媒体を用いた以外は、上述したθ1の測定と同様にしてθ2(°)を測定した。得られた結果を表1に示す。
(1)−3 θ1/θ2の算出
さらに、得られたθ1及びθ2の値から、θ1/θ2(−)の値を算出した。得られた結果を表1に示す。
(2)画像濃度の評価
また、画像濃度の評価を行った。
すなわち、上述した接触角の評価と同様の方法にて、処理液をコピー用紙(FujiXerox(株)製、上質PPC)上に塗布した。
次いで、インクジェットプリンタ(エプソン(株)製、CL−760)のインクタンクに対し、調製したマゼンタインクを充填した後、長尺インクジェットヘッドにより、処理済のコピー用紙に対して横帯100%ベタ画像を印刷して、印刷画像を得た。
このときの画像形成条件としては、長尺インクジェットヘッドのノズル面と、記録媒体と、の距離が1mmとなるように設置するとともに、ヘッド駆動周波数を20kHz、記録媒体搬送速度を847mm/secとした。
次いで、得られた印刷画像における画像濃度を、反射濃度計(GretagMacbeth(株)製、RD−900シリーズ)を用いて測定し、下記基準に沿って評価した。得られた結果を表1に示す。
○:画像濃度が1.0以上の値である。
△:画像濃度が0.9以上、1.0未満の値である。
×:画像濃度が0.9未満の値である。
なお、上述した長尺インクジェットヘッドにおける個々のドット形成部の構成を、図5(a)〜(b)に示す。
より具体的には、加圧室2の底面積が0.2mm2、幅が200μm、深さが100μm、ノズル流路4の直径が30μm及び開口部32の半径が10μmのドット形成部10を用いた。
また、かかるドット形成部10を、1列につき166個、4列に並べ、合計664個を配列させて、長尺インクジェットヘッドとした。
また、同一列内のドット形成部10のピッチを150dpiとし、また、隣り合う各列を順次1/4ピッチずらすことで、最終的に600dpiとした。
(3)にじみの評価
また、にじみの評価を行った。
すなわち、上述した接触角の評価と同様の方法にて、処理液をコピー用紙(FujiXerox(株)製、上質PPC)上に塗布した。
次いで、インクジェットプリンタのインクタンクに対し、調製したマゼンタインクを充填し、上述した処理済のコピー用紙に対して600dpiで10画素分の線幅であるライン画像を印刷した。
次いで、得られたライン画像の線幅を画像処理評価装置(王子計測機器(株)製、DA6000)を用いて測定し、理論的な線幅である423μmからのズレを評価した。
より具体的には、理論線幅をLとし、実測線幅をRとしたときに、下記関係式(2)で表される数値Nをにじみ率として測定するとともに、下記基準に沿って評価した。得られた結果を表1に示す。
N(%)={(R−L)/L}×100 (2)
○:にじみ率の値が20%以下の値である。
△:にじみ率の値が20%を超え、30%以下の値である。
×:にじみ率の値が30%を超えた値である。
(4)裏抜け性の評価
また、裏抜け性の評価を行った。
すなわち、上述した接触角の評価と同様の方法にて、処理液をコピー用紙(FujiXerox(株)製、上質PPC)上に塗布した。
次いで、インクジェットプリンタのインクタンクに対し、調製したマゼンタインクを充填し、上述した処理済のコピー用紙に対して、画像濃度が1.0となるようにベタ画像を形成した。
次いで、コピー用紙の裏面から、画像形成部における画像濃度を反射濃度計を用いて測定した。
次いで、上述した裏面からの画像濃度と、非画像形成部における画像濃度と、の差を算出し、下記基準に沿って評価した。得られた結果を表1に示す。
○:画像濃度の差が0.06以下の値である。
△:画像濃度の差が0.06を超えて、0.08以下の値である。
×:画像濃度の差が0.08を超えた値である。
(5)乾燥性の評価
また、乾燥性の評価を行った。
すなわち、上述した接触角の評価と同様の方法にて、処理液をコピー用紙(FujiXerox(株)製、上質PPC)上に塗布した。
次いで、インクジェットプリンタのインクタンクに対し、調製したマゼンタインクを充填し、上述した処理済のコピー用紙に対して、横帯100%ベタ画像を印刷した。
次いで、プリンタから排出された直後のベタ画像を、1kgの円柱状重り(ステンレス製)の平面部にて5往復擦った。
次いで、擦る前後における画像濃度差率(%)を反射濃度計を用いて測定し、下記基準に沿って評価した。得られた結果を表1に示す。
○:画像濃度差率が3%以下の値である。
△:画像濃度差率が3%を超えて、5%以下の値である。
×:画像濃度差率が6%以上の値である。
[実施例2]
実施例2では、処理液を調製する際に、処理液におけるコラーゲンI型の濃度を40重量%に変え、全体量を水で調節したほかは、実施例1と同様に処理液及びインクを調製するとともに、評価した。得られた結果を表1に示す。
[実施例3]
実施例3では、処理液を調製する際に、処理液におけるコラーゲンI型の濃度を70重量%に変え、全体量を水で調節したほかは、実施例1と同様に処理液及びインクを調製するとともに、評価した。得られた結果を表1に示す。
参考例4]
参考例4では、処理液を調製する際に、処理液におけるコラーゲンI型の濃度を25重量%に変え、全体量を水で調節したほかは、実施例1と同様に処理液及びインクを調製するとともに、評価した。得られた結果を表1に示す。
[比較例1]
比較例1では、処理液を調製する際に、コラーゲンI型の代わりにゼラチンを50重量%となるように加え、全体量を水で調節したほかは、実施例1と同様に処理液及びインクを調製するとともに、評価した。得られた結果を表1に示す。
[比較例2]
比較例2では、処理液を調製する際に、コラーゲンI型を加えず、全体量を水で調節したほかは、実施例1と同様に処理液及びインクの調製をするとともに、評価した。得られた結果を表1に示す。
[比較例3]
比較例3では、処理液を調製する際に、コラーゲンI型の代わりにコットン繊維(直径:15〜24μm、数平均長さ:1mm)を40重量%となるように加え、全体量を水で調節したほかは、実施例1と同様に処理液及びインクを調製するとともに、評価した。得られた結果を表1に示す。
Figure 0005268465
本発明にかかるインクジェット記録方法及びインクジェット記録装置でによれば、繊維状コラーゲンを含有した処理液を用いることにより、記録媒体の表面状態によらず、繊維状コラーゲンが有する吸水性により、記録媒体に対するインクの浸透性を安定的に所定の範囲まで抑制できるばかりか、繊維状コラーゲンが有する吸着性により、インクに含まれる顔料を効果的に記録媒体表面に残留させることができるようになった。
その結果、記録媒体の表面状態によらず、高画像濃度を実現できるとともに、インクのにじみ及び裏抜けの発生についても効果的に抑制できるようになった。
したがって、本発明にかかるインクジェット記録方法及びインクジェット記録装置は、複写機やプリンター等の各種画像形成装置における高品質化に著しく寄与することが期待される。
図1は、本発明のインクジェット記録方法の概要を説明するために供する図である。 (a)〜(c)は、本発明における処理液の塗布形状及び面積と、インクの吐出形状及び面積と、における態様を説明するために供する図である。 図3は、処理液の全体量に対する繊維状コラーゲンの濃度と、θ1/θ2と、の関係を説明するために供する図である。 図4は、θ1/θ2と、画像濃度と、の関係を説明するために供する図である。 (a)及び(b)は、本発明に使用されるインクジェットヘッドのドット形成部を説明するために供する図である。
符号の説明
1:基板、2:加圧室、3:ノズル、4:ノズル流路、5:絞り部、6:共通流路、7:共通電極、8:積層電圧素子、9:個別電極、10:ドット形成部、20:インクジェット記録装置、21:処理手段、22:インクジェットヘッド、23:処理液、24:インク、25:記録媒体、26:排出ローラ、27:搬送ベルト、28:タイミングセンサー、29:弾性体層、30:芯金、31:塗布ローラ

Claims (8)

  1. インクジェットヘッドを用いて記録媒体に対して画像形成を行うインクジェット記録方法であって、
    下記工程(a)〜(b)を含み、
    前記処理液を塗布した記録媒体に対するインクの接触角(測定温度:20℃)をθ1とし、前記処理液を塗布していない記録媒体に対するインクの接触角をθ2とした場合に、θ1及びθ2が下記関係式(1)を満足することを特徴とするインクジェット記録方法。
    (a)平均直径が10〜50nmの範囲内の値であるとともに、平均長さが200〜500nmの範囲内の値である繊維状コラーゲンを含む処理液(但し、液状の水溶性モノマーとモノマー可溶性の疎水性ポリマーと天然繊維分とを含んでなる放射線硬化性インキを除く)を、前記記録媒体に対して塗布する工程
    (b)前記記録媒体上における前記処理液が塗布された部分に対して、前記インクジェットヘッドを用いてインクを吐出する工程
    1.2<θ1/θ2<1.5 (1)
  2. 前記処理液の全体量に対する前記繊維状コラーゲンの濃度を20〜70重量%の範囲内の値とすることを特徴とする請求項1に記載のインクジェット記録方法。
  3. 前記繊維状コラーゲンをコラーゲンI型とすることを特徴とする請求項1または2に記載のインクジェット記録方法。
  4. 前記記録媒体に対する前記処理液の塗布量を0.2〜1g/m2の範囲内の値とすることを特徴とする請求項1〜のいずれか一項に記載のインクジェット記録方法。
  5. 前記記録媒体に対する前記処理液の塗布を、塗布ローラによって行うことを特徴とする請求項1〜のいずれか一項に記載のインクジェット記録方法。
  6. インクジェットヘッドを用いて記録媒体に対して画像形成を行うインクジェット記録方法であって、
    下記工程(a)〜(b)を含むことを特徴とするインクジェット記録方法。
    (a)処理液の全体量に対して、平均直径が10〜50nmの範囲内の値であるとともに、平均長さが200〜500nmの範囲内の値である繊維状コラーゲンを20〜70重量%、水を20〜70重量%、ヘキシレングリコールを1〜20重量%、2−ピロリドンを1〜20重量%およびグリセリンを2〜30重量%の範囲内で含む処理液を、前記記録媒体に対して塗布する工程
    (b)前記記録媒体上における前記処理液が塗布された部分に対して、前記インクジェットヘッドを用いてインクを吐出する工程
  7. インクジェットヘッドを用いて記録媒体に対して画像形成を行うインクジェット記録装置であって、
    平均直径が10〜50nmの範囲内の値であるとともに、平均長さが200〜500nmの範囲内の値である繊維状コラーゲンを含む処理液(但し、液状の水溶性モノマーとモノマー可溶性の疎水性ポリマーと天然繊維分とを含んでなる放射線硬化性インキを除く)を、前記記録媒体に対して塗布する処理液塗布手段と、前記記録媒体上における前記処理液が塗布された部分に対して、インクを吐出するインクジェットヘッドと、を備え、
    前記処理液を塗布した記録媒体に対するインクの接触角(測定温度:20℃)をθ1とし、前記処理液を塗布していない記録媒体に対するインクの接触角をθ2とした場合に、θ1及びθ2が下記関係式(1)を満足することを特徴とするインクジェット記録装置。
    1.2<θ1/θ2<1.5 (1)
  8. インクジェットヘッドを用いて記録媒体に対して画像形成を行うインクジェット記録装置であって、
    処理液の全体量に対して、平均直径が10〜50nmの範囲内の値であるとともに、平均長さが200〜500nmの範囲内の値である繊維状コラーゲンを20〜70重量%、水を20〜70重量%、ヘキシレングリコールを1〜20重量%、2−ピロリドンを1〜20重量%およびグリセリンを2〜30重量%の範囲内で含む処理液を、前記記録媒体に対して塗布する処理液塗布手段と、前記記録媒体上における前記処理液が塗布された部分に対して、インクを吐出するインクジェットヘッドと、を備えることを特徴とするインクジェット記録装置。
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