JP5268343B2 - X線ct装置 - Google Patents
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Description
ところで、X線CT装置は、X線吸収係数の分布を示すCT値の断層像を画像化してきたが、X線CT装置の機能に対する要望が多様化して来ている。最近では、各元素のX線吸収係数のX線管電圧依存性を用いて、各元素の分布を画像化する技術、いわゆるデュアルエネルギー撮影(Dual Energy Scan)と呼ばれる技術も望まれて来ている(例えば、特許文献1参照)。
また、各撮影条件に用いられる補正データの種類が増加すると、日常における補正データを収集する校正作業、保守点検時の校正作業の長時間化するという問題点もあった。
被検体の断層像を撮影するためのX線CT装置であって、所定の撮影条件について、複数の条件を設定可能な撮影条件設定手段と、前記撮影条件を用いて、X線発生装置とX線検出器とを有する回転部を回転させながら、被検体を走査してX線投影データを収集するX線データ収集手段と、前記複数の条件によって異なる画像再構成変数であって、少なくとも代表的な条件に対応する画像再構成変数が前記X線投影データ収集手段で収集したデータのセットに付帯して記憶された記憶部と、少なくとも前記代表的な条件以外の条件を含む前記X線データ収集に用いた撮影条件に対応する画像再構成変数に基づく前記X線投影データの画像再構成処理を含む画像再構成部とを含む処理を行う画像再構成手段とを備えることを特徴とするX線CT装置、というものである。
また、本発明の第2の観点のX線CT装置によれば、第1の観点において、
前記画像再構成手段は、前記代表的な条件及び前記代表的な条件以外の条件を含む前記X線データ収集に用いた撮影条件に対応する画像再構成変数に基づく前記X線投影データの画像再構成処理を含む画像再構成部とを含む処理を行うことを特徴とするX線CT装置、というものである。
また、本発明の第3の観点のX線CT装置によれば、第1又は第2の観点において、
前記所定の撮影条件は、X線管電圧条件であり、前記X線データ収集部は、複数のX線管電圧条件を用いてX線投影データを収集するものであり、前記代表的な条件は、前記X線データ収集に用いた複数のX線管電圧条件であることを特徴とするX線CT装置、というものである。
また、本発明の第4の観点のX線CT装置によれば、第2の観点のX線CT装置において、
前記所定の撮影条件は、X線管電圧条件であり、前記X線データ収集部は、複数のX線管電圧条件を用いてX線投影データを収集するものであり、前記代表的な条件は、前記X線データ収集に用いた複数のX線管電圧条件であり、前記代表的な条件以外の条件は、前記複数のX線管電圧条件の切り替えに伴う過渡区間の条件を含むことを特徴とするX線CT装置、というものである。
また、本発明の第5の観点のX線CT装置によれば、第1から第4の何れかの観点のX線CT装置において、
前記画像再構成部は、前記代表的な条件に対応する画像再構成変数から算出又は選択して、前記代表的な条件以外の条件に対応する画像再構成変数を求め、当該画像再構成変数を用いて、前記代表的な条件以外の条件に対応する画像再構成変数を用いた処理を行うことを特徴とするX線CT装置、というものである。
また、本発明の第6の観点のX線CT装置によれば、第5の観点のX線CT装置において、
前記画像再構成部は、前記求められた画像再構成変数を、前記データのセットに追加して記憶部に記憶させることを特徴とするX線CT装置、。
また、本発明の第7の観点のX線CT装置によれば、第1から第4の何れかの観点のX線CT装置において、
前記画像再構成部は、前記代表的な条件に対応する画像再構成変数を用いた処理により得られたX線投影データから算出又は選択して、前記代表的な条件以外の条件に対応する画像再構成変数を用いた処理により得られたX線投影データを得ることにより、前記代表的な条件以外の条件に対応する画像再構成変数を用いた処理を行うことを特徴とするX線CT装置、というものである。
また、本発明の第8の観点のX線CT装置によれば、第5から第7の何れかの観点のX線CT装置において、
前記記憶部は、前記代表的な条件以外の条件に対応し、前記算出の算出条件を記憶することを特徴とするX線CT装置、というものである。
また、本発明の第9の観点のX線CT装置によれば、第1から第4の観点のX線CT装置において、
前記画像再構成部は、前記撮影条件の範囲及び該撮影条件の範囲に対応する画像再構成変数を記憶し、前記撮影条件の範囲に含まれる前記代表的な条件以外の条件に対応する画像再構成変数を、記憶した当該範囲に対応する画像再構成変数より求めることを特徴とするX線CT装置、というものである。
また、本発明の第10の観点によれば、第1から第9の何れかの観点のX線CT装置において、
前記画像再構成変数が、画像再構成の前処理に用いられる補正データであることを特徴とするX線CT装置、というものである。
また、本発明の第11の観点のX線CT装置によれば、第1又は第2の観点のX線CT装置において、前記撮影条件がX線管電圧、X線焦点位置、ガントリ回転速度、及びコリメータの開口幅から選ばれることを特徴とするX線CT装置、というものである。
また、本発明の第12の観点のX線CT装置によれば、
第1の観点に記載のX線CT装置に用いられるX線投影データを含むデータファイルであって、前記X線投影データと前記複数の撮影条件に対応する画像再構成変数とを含むことを特徴とするデータファイル、というものである。
図1は、本発明の一実施形態にかかるX線CT装置100の構成ブロック図である。このX線CT装置100は、操作コンソール1と、撮影テーブル10と、走査ガントリ20とを具備している。
撮影条件設定部31は、X線CT装置100の各種撮影条件(X線管電流、X線管電圧、コリメータ開口幅、ガントリ回転速度、各種画像再構成条件など)が設定される。撮影条件の入力は、入力装置2から入力される。また、撮影条件設定部31により設定された条件に基づく信号が、制御コントローラ29に送信され、画像再構成条件については画像再構成部32に送られる。
記憶装置7には、前記X線投影データ収集手段で収集したX線投影データに、代表的な条件に対応する画像再構成変数が付帯したデータのセット、X線投影データを画像再構成して得られた断層像データ等が記憶されている。
本実施形態においては、画像再構成部32によって、前記代表的な条件及び前記代表的な条件以外の条件を含む前記X線データ収集に用いた撮影条件に対応する画像再構成変数に基づく前記X線投影データの画像再構成処理を行う。
図2は、本実施形態のX線CT装置100についての動作の概要を示すフローチャートである。
ステップP1では、被検体HBをクレードル12に乗せ、位置合わせを行う。ここでは、クレードル12の上に乗せられた被検体HBは各部位の基準点に走査ガントリ20のスライスライト中心位置を合わせる。そして、スカウト像収集を行う。スカウト像撮影では、X線管21と多列X線検出器24とを固定させ、クレードル12を直線移動させながらX線投影データのデータ収集動作を行う。ここでは、スカウト像は通常0度,90度のビュー角度位置で撮影される。図2中の右側は、0度で胸部付近のを撮影したスカウト像41の例である。このスカウト像41上から断層像の撮影位置を計画できる。
ステップP4では、X線投影データD0(view,j,i)に対して前処理を行い、投影データに変換する。具体的には、オフセット補正を行い、対数変換を行い、X線線量補正を行い、そして感度補正を行う。
ステップP5では、がビームハードニング補正を行う。ここでは、前処理された投影データD1(view,j,i)に対して、ビームハードニング補正を行う。このとき、検出器の各j列ごとに独立したビームハードニング補正を行なえるため、撮影条件でX線管21の管電圧が異なっていれば、列ごとの検出器のX線エネルギー特性の違いを補正できる。本実施形態では、被検体HBのプロファイル面積、楕円率などに応じて、ビームハードニング補正の処理を変更する。
ステップP8では、三次元逆投影処理を行う。ここでは、再構成関数重畳処理した投影データD3(view,j,i)に対して、三次元逆投影処理を行い、逆投影データD3(x,y,z)を求める。画像再構成される画像はz軸に垂直な面である。xy平面に三次元画像再構成される。以下の再構成領域Pはxy平面に平行なものとする。
ステップP10では、画像再構成された断層像を表示する。断層像の例として、図2の右側に断層像Gを示す。
(実施例1)
本実施例においては、上述のX線CT装置において、中央処理部3にデュアルエネルギー像再構成部(図示せず)をさらに備えたものを使用することができる。デュアルエネルギー像再構成部は、低いX線管電圧及び高いX線管電圧による投影データ又は断層像から、原子の分布に関連したX線管電圧依存情報の二次元分布断層像、いわゆるデュアルエネルギー撮影の断層像を画像再構成する。
まず、デュアルエネルギー撮影において、2種類のX線管電圧で連続して撮影した場合をの流れを示す。
図3(a)においては、複数のz方向座標位置におけるコンベンショナルスキャンによる“デュアルエネルギー撮影を示している。
この撮影方法は、あるz軸方向座標位置z=z1において、低いX線管電圧LkVで360度1回転分のX線データ収集を行い、続けて高いX線管電圧HkVで360度1回転分のX線データ収集を行う。これをz軸方向座標位置z=z2,z=z3においても同様に繰り返す。
ステップD1では、X線管電圧80kV(kV1)にてスキャンし、X線データ収集し始める。
ステップD2では、そのままX線管電圧が80kVで一定のビュー角度(360*t7/t0度)に来たかを判断し、YESであればステップD3へ行き、NOであればステップD2をもう一度繰り返す。
ステップD3では、X線管電圧上昇率(kV2−kV1)/t6で上昇させながらX線データ収集を行う。
ステップD4では、X線管電圧が140kV(kV2)まで到達したかを判断し、YESであればステップD5へ行き、NOであればステップD4をもう一度繰り返す。
ステップD5では、X線管電圧140kV(kV2)にてスキャンし、X線データ収集する。
ステップD6では、720度(2回転)のビュー角度に来たかを判断し、YESであれば終了し、NOであればステップD5をもう一度繰り返す。
本実施例においては、上記で得られたX線投影データファイルに対し、X線管電圧80kV(kV1)に対応した補正データと、X線管電圧140kV(kV2)に対応した補正データが付帯される。
そして、X線管電圧80kV(kV1)からX線管電圧140kV(kV2)のX線管電圧80kV(kV1)、のX線投影データに対しては、それに対応した補正データ、過渡区間に相当するX線投影データに対しては、X線管電圧の閾値(例えば110kV)を設定し、X線管電圧の閾値より低いX線管電圧のX線投影データに対しては、X線管電圧80kV(kV1)に対応した補正データ、X線管電圧の閾値より高いX線管電圧のX線投影データに対しては、X線管電圧140kV(kV2)に対応した補正データを用いた補正処理を行う。
前処理に用いられる補正データとしては、X線管電圧の影響を大きく受け、X線管電圧毎にデータを有するものとして、ビームハードニング補正用データ、X線散乱補正用データ、及びX線検出器感度補正用データなどが挙げられる。
(実施例2)
例えば図3(b)の場合は、80kV,100kV,120kV,140kVにおいて、補正データを持っている場合の1つのz軸方向座標位置でのスキャンタイミングの詳細を示している。
ここでのデュアルエネルギー撮影は、1スキャンに掛かる時間を、t0〜t7までの時間に分割して以下のように定めた。
t0:データ収集系が1回転する時間、t0=t7+t2となる
t1:X線管電圧が80kV(kV1)から100kVに上昇するまでの時間
t2:X線管電圧が80kV(kV1)から110kVに上昇するまでの時間
t3:X線管電圧が100kVから120kVに上昇するまでの時間
t4:X線管電圧が110kVから140kV(kV2)に上昇するまでの時間
t5:X線管電圧が120kVから140kV(kV2)に上昇し、スキャン終了までの時間
t6:X線管電圧が80kV(kV1)から140kV(kV2)に上昇するまでの時間
t7:スキャン開始からX線管電圧が80kV(kV1)である時間
そこで、本実施例においては、実施例1における、過渡区間について80kVと140kVの補正データを用いる方法に置き換えて、80kVと140kVの間の、100kVと120kVに対応する補正データを用いる。
即ち、本実施例においては、前記X線投影データファイルに対し、X線管電圧80kV(kV1)に対応した補正データと、X線管電圧100kV(kV1)に対応した補正データと、X線管電圧120kV(kV1)に対応した補正データと、X線管電圧140kV(kV2)に対応した補正データが付帯される。
そして、X線管電圧80kV(kV1)からX線管電圧140kV(kV2)のX線管電圧80kV(kV1)、のX線投影データに対しては、それに対応した補正データ、過渡区間に相当するX線投影データに対しては、X線管電圧の閾値(例えば110kV)を設定し、X線管電圧の閾値より低いX線管電圧のX線投影データに対しては、X線管電圧100kV(kV1)に対応した補正データ、X線管電圧の閾値より高いX線管電圧のX線投影データに対しては、X線管電圧120kV(kV2)に対応した補正データを用いた補正処理を行う。
(実施例3)
X線管電圧kVで収集されたチャネルch,列row,ビューviewのX線投影データをD(kV,ch,row,view)として、このX線投影データを前処理した結果をPrep_D(kV,ch,row,view)とする。このとき記憶装置にには、X線管電圧kVの補正データが記憶装置に存在せずに、X線管電圧kV1,kV2のX線管電圧に補正データが記憶装置に存在しているとする。また、kV1<kV<kV2であるとする。また、X線管電圧kV1,kV2の各補正データで前処理を行ったX線投影データをPrep_D(kV1,ch,row,view)、Prep_D(kV2,ch,row,view)とする。
このように、X線管電圧kV1,kV2の各補正データで補正されたそれぞれのX線投影データの加重加算処理を行うことによって、X線管電圧kVに対応する前処理後のX線投影データPrep_D(kV,ch,row,view)が得られる。この、前処理後のX線投影データPrep_D(kV,ch,row,view)は、kVに対応する補正データを用いた前処理であると見なすことができる。
なお、このときの加重係数w1,w2の例は、以下の(数式2),(数式3)のようになる。
処理1(SH1):X線管電圧が80kVから100kVの間は、80kVと100kVの前処理されたX線投影データを加重加算処理する。
処理2(SH2):X線管電圧が100kVから120kVの間は、100kVと120kVの前処理されたX線投影データを加重加算処理する。
処理3(SH3):X線管電圧が120kVから140kVの間は、120kVと140kVの前処理されたX線投影データを加重加算処理する。
ステップM1では、ビュー番号j=1とする。
ステップM2では、jビューのX線投影データを読み込む、及びそのX線投影データの付帯情報よりX線管電圧kVを読み込む。
ステップM3では、X線管電圧kVに対応する補正データは記憶装置にあるかを判断し、YESであればステップM4へ行き、NOであればステップM10へ行く。
ステップM4では、X線管電圧kVの補正データより前処理を行う。
ステップM5では、j=Nビューかを判断し、YESであればステップM6へ行き、NOであればステップM9へ行く。
ステップM6では、再構成関数重畳処理を行う。
ステップM7では、三次元逆投影処理を行う。
ステップM8では、後処理を行う。
ステップM10では、X線管電圧kVより低いX線管電圧kV1の補正データはあるかを判断し、YESであればステップM11へ行き、NOであればステップM15へ行く。
ステップM11では、低いX線管電圧kV1の補正データを読み込み、jビューのX線投影データの前処理を低いX線管電圧kV1で行う。
ステップM12では、X線管電圧kVより高いX線管電圧kV2の補正データはあるかを判断し、YESであればステップM13へ行き、NOであればステップM15へ行く。
ステップM13では、高いX線管電圧kV2の補正データを読み込み、jビューのX線投影データの前処理を高いX線管電圧kV2で行う。
ステップM14では、X線管電圧kV1で補正された前処理結果Prep1,X線管電圧kV2で補正された前処理結果Prep2を加重加算処理してX線管電圧kVでの前処理結果Prep_Dとして求める。この後、ステップM5に行く。つまり、上記(数式2),(数式3),(数式4)に示された処理が行われる。
ステップM15では、データ収集異常とし、終了する。
(実施例4)
このときの補正データ処理部39は、X線管電圧kV1,kV2,kV3,及びkV4の補正データPar(kV1)、Par(kV2i)、Par(kV3)、及びPar(kV4)を予め有する。
また、同じソフトウェアを持つX線CT装置でX線投影データを用いる場合は、X線投影データに前処理で用いたすべての補正データを付加させておけば、最適な補正データ条件下で前処理を行うことができる。
例えば、図6(b)に示すように、新たなX線管電圧kV5が追加された場合は、その新たなX線管電圧の補正データが画像再構成変数群に追加されることになる。
画像再構成部32は、X線管電圧kV1の補正データが、X線管電圧kV2,X線管電圧kV3,X線管電圧kV4と共通する場合に、ソフトウェアの設定ファイル上で“X線管電圧kV1に同じ”と記述する。このように、補正データの設定は、補正データ処理部39のソフトウェアが設定ファイルを解釈できれば、単純化できる。
例えば図6(d)は、補正データを、X線管電圧に依存しない画像再構成変数、又はX線管電圧の補正データとして用いる場合を示している。この場合、追加した新しい補正を画像再構成上で動作させ、まずX線管電圧に依存させない形で動作させる。そして、多少ともX線管電圧に依存する現象が見えたら、X線管電圧ごとに異なる補正データを微調整して行けば良い。
以上のような補正データ設定ファイルCDR、及びその設定ファイルを解釈するソフトウェアを用いた具体的な例を示す。
X線管電圧の変化していく過渡区間については、(*2)の部分に90kV,110kV,130kVの補正データを追加している。また、X線管電圧は連続的に変化しているので、81kV,82kV,83kV…というような値を取る。このため(*3)には、追加された補正データの間の値を補間処理又は加重加算処理して求めるために用いられる補間モード又は加重加算モード(算出条件)を示している。
このように、各X線管電圧に対応した前処理は、追加した補正データに加えて、補間処理又は加重加算処理を行うことで精度が上がる。また、補正データ処理部39のソフトウェアは、この補正データ設定ファイルCDRを解釈し、構造を常に理解して、画像再構成変数や補正データの増減を認識し、それらがどの撮影条件に適用されるかを認識するようにさせておく。
デュアルエネルギー撮影におけるX線投影データの構造は、図8(a)のようなX線投影データに加えて、80kVと140kVのX線管電圧に対応した補正データに加え、追加されたX線管電圧kV1からX線管電圧kVNまでの補正データを含めたX線投影データファイルとして持っていれば良い。
図8(b)では、補正データ設定ファイルCDRの変形例を示す。
図7(b)においては、各X線管電圧に各画像再構成変数又は各補正データを示す各欄に変数を1つ1つ入れていた。例えばビームハードニング補正係数を示すBHC係数の場合、X線管電圧80kVにおいては、b10,b11,b12,b13というビームハードニング補正係数が入っている。100kVにおいては、b20,b21,b22,b23というビームハードニング補正係数が入っている。これに対して図8(b)中の、[120,130;b1i]と記載されている場合は、「120kVから130kVまでb10,b11,b12,b13のビームハードニング補正係数を用いる。」というように解釈するような記号上の規則、文法を定めておけば良い。このようにして、補正データ設定ファイルCDRは、より簡単に補正データを記載することもできる。
例えば、X線管電圧90kVにおけるビームハードニング補正係数は、予め求めたX線管電圧80kVと100kVとの曲線から、図9に示すあたりと予想される。
この関係を多項式形式で表現すると、このビームハードニング補正された投影データは、X線管電圧80kVの場合が(数式5)のようになり、X線管電圧100kVの場合が(数式6)のようになる。
以上の関係から、ビームハードニング補正係数は、(数式8),(数式9),(数式10)で表現できると予測される。
これらの関係式から、ビームハードニング補正係数の補間値は、予測することができる。kの例としては、k=1/2が考えられ中間値をとる。
このような補間方法は、ビームハードニング補正係数のように変数だけの加重加算処理、補間処理で補正データが求められるものと、実際に前処理を行って、その前処理の結果を加重加算処理又は補間処理で行うものとがある。
ステップM21では、ビュー番号j=1とする。
ステップM22では、jビューのX線投影データを読み込む、及びそのX線投影データの付帯情報よりX線管電圧kVを読み込む。
ステップM23では、X線管電圧kVに対応する補正データはあるかを判断し、YESであればステップM24へ行き、NOであればステップM31へ行く。
ステップM24では、X線管電圧kVの補正データより前処理を行う。
ステップM25では、j=Nビューかを判断し、YESであればステップM26へ行き、NOであればステップM30へ行く。ただし、Nは360度1回転のビュー数とする。
ステップM26では、再構成関数重畳処理を行う。
ステップM27では、三次元逆投影処理を行う。
ステップM28では、後処理を行う。
ステップM29では、画像表示を行う。
ステップM31では、X線管電圧に加重加算して良い変数かを判断し、YESであればステップM32へ行き、NOであればステップM36へ行く。
ステップM32では、加重加算又は補間処理の方法を読み込む。
ステップM33では、近傍のX線管電圧の変数より加重加算処理を行う。
ステップM34では、ステップM33で求めた変数の他に新たな変数はあるかを判断し、YESであればステップM35へ行き、NOであればステップM25へ戻る。
ステップM35では、ステップM33で求めた変数を登録する。
ステップM36では、近傍のX線管電圧の変数より前処理を行い、その結果を加重加算処理する。この処理の後、ステップM25へ戻る。
以上のように求められた補正データを用いて、前処理を行う。
(実施例5)
上記ビームハードニング補正は下記のように三次多項式で表現できる。
これを下記の(数式12)のように、四次式もしくはそれ以上の補正式でビームハードニング補正を行うと、より精度が上がる場合がある。
(数式11)の場合は補正係数データとして、(B0,B1,B2)、(数式12)の場合は、(B0,B1,B2,B3)のようなベクトル形式で持つことになる。
各ステップ処理の流れは以下の通りになる。
ステップB1では、補正データ処理部39がビームハードニング補正係数データの個数を数える。
ステップB2では、補正データ処理部39は、ビームハードニング補正係数データは3個かを判断し、YESであればステップB3へ行き、NOであればステップB4へ行く。
ステップB3では、ビームハードニング処理部33は、三次多項式のビームハードニング補正を行う。
ステップB4では、補正データ処理部39が、補正係数データは4個かを判断し、YESであればステップB5へ行き、NOであればステップB6へ行く。
ステップB5では、ビームハードニング処理部33は、四次多項式のビームハードニング補正を行う。
ステップB6では、ビームハードニング補正係数エラーとしてエラー処理を行う。
なお、この場合は、三次多項式と四次多項式の場合を想定しているが、五次以上のビームハードニング補正係数データが与えられた場合に、五次以上の多項式で補正が行えるようにすればなお一層、汎用性が得られる。
このように補正データ処理部39は、ソフトウェアが補正データの意味する補正を自動認識することで、正しく補正を行うことができる。
(実施例6)
図12は、補正データのないガントリ回転速度s1′と補正データのあるガントリ回転速度s1,s2の関係を示す図である。図12に示すように、ガントリ回転速度s1,s2に対応し、各X線検出器構成、各X線ビーム開口、X線焦点の大きさ、複数のある各々のビーム形成フィルタに対応する補正用ファントムX線データ、補正用空気X線投影データ、ビームハードニング補正データ等補正データが予め補正データ収集モードにおいて収集されているとする。これに対し、s1とs2の間のガントリ回転速度であるs1′では、補正データを持っていない。このとき、X線投影データビュー数はガントリ回転速度s1の場合と、ガントリ回転速度s1′で同じであるとする。
この場合、ガントリ回転速度s1′s1,s2では、回転速度がそれぞれ異なるため、走査ガントリ20の回転振動、又はX線管21と多列X線検出器24との回転系のたわみによる変形などにより、補正データが異なる。
ガントリ回転速度に対応した補正データは、ガントリ回転速度s1,s2の間で断層像Gの画質評価を行っておくことで、どの範囲までがガントリ回転速度s1の補正データで代用し、どの範囲までがガントリ回転速度s2の補正データで代用できるかを定める。このようにして1つの補正データの用いられる範囲をできるだけ広く取り、補正データの種類をより少なくすることができる。
なお、この場合のX線投影データでは、ガントリ回転速度s1′のX線投影データにガントリ回転速度s1の補正データを付帯させておくことで、画像再構成処理において画像再構成可能である。
ステップV1では、撮影条件設定画面において、ガントリ回転速度s1を設定する。
ステップV2では、スキャンを開始する。
ステップV3では、補正データ処理部39は、ガントリ回転速度s1′のX線投影データにガントリ回転速度s1の補正データを添付する。
ステップV4では、スキャン終了し、X線投影データ収集を完了する。
ステップV5では、画像再構成を開始する。
ステップV6では、ガントリ回転速度s1の補正データで補正を行い、画像再構成を行う。
ステップV7では、画像再構成終了後、断層像Gを表示する。
なお、この場合の撮影条件は、ガントリ回転速度がs1とs1′と異なることがわかっているので、ガントリ回転速度s1の補正データをガントリ回転速度s1′の補正データ用に一部変更、修正、補正を行うことも技術的には可能である。
(実施例7)
図14(a)及び(b)では、ガントリ回転速度s3,s4で、予め補正データ収集モードにおいて補正データが収集されている前提である。そして、図14(a)は、ガントリ回転速度が正弦波で変化する例をEX1とEX2とで表している。図14(b)は、ガントリ回転速度が上昇していく例を示す。
この場合、最適なガントリ回転速度は、心拍が上がるにつれ最適なガントリ回転速度も速くなる。同期が取れた画質の良い断層像Gは、図14(b)のように、ガントリ回転速度を変化させることで、撮りやすくなる。
なお、このガントリ回転速度がs3′〜s4′で変化している場合のX線投影データでは、図14(c)に示すように、ガントリ回転速度s3の補正データ、及びガントリ回転速度s4のX線投影データに対しては、ガントリ回転速度s3からガントリ回転速度s3′までであれば、ガントリ回転速度s3の補正データを選択して利用することができる。また、ガントリ回転速度s4からガントリ回転速度s4′までであれば、ガントリ回転速度s4の補正データを選択することができる。
一方、ガントリ回転速度s3′からガントリ回転速度s4′までは、ガントリ回転速度s3′〜s4′の補正データを、ガントリ回転速度s3とガントリ回転速度s4との補正データに基づいて求める。そして、この補正データに基づいて画像再構成部34は、画像再構成を行う。この補正データの求め方は、後述する。
ステップV11では、撮影条件設定画面において、ガントリ回転速度を設定する。
ステップV12では、スキャンを開始する。
ステップV13では、ガントリ回転速度s3,s4の補正データをX線投影データに添付する。
ステップV14では、スキャンを終了し、X線投影データ収集を完了する。
ステップV15では、画像再構成を開始する。
ステップV16では、ガントリ回転速度s3,s4の補正データから、ガントリ回転速度s3′〜s4′の補正データを求める。
ステップV17では、ガントリ回転速度s3,s4の補正データ及びガントリ回転速度s3′〜s4′の補正データを用いて画像再構成を行う。
ステップV18では、画像再構成を終了後、断層像Gを表示する。
まず、ガントリのたわみについて説明する。図16(a)では、図示のような構造のガントリ回転部分の場合のX線発生装置であるX線管21と多列X線検出器24を走査ガントリ20の回転部15において回転させた場合のたわみを示している。
この場合に、ガントリ回転部15は、z方向の回転軸を中心にz方向に垂直なxy平面内において回転を行う。この回転により、X線管21と多列X線検出器24とは、遠心力により回転動作の外の方向にたわんでずれる。
X線管21と多列X線検出器24とは、遠心力により、z方向へのたわみによるずれEzと、xy平面内でのたわみによるずれExが発生している。いずれのたわみも正弦関数(sin関数)で近似して表される。
また、ガントリ回転速度s4でのガントリ回転部15のたわみE4は、(数式14)で示される。
このときのガントリ回転部15のたわみEは、以下の(数式16)のように予測される。
ただし、A、B、cosαは以下の(数式17)〜(数式19)とする。
以上より、(数式16)でわかるように、補正データ処理部39は、ガントリ回転速度s3′〜s4′におけるガントリ回転部15のたわみEを、ガントリ回転速度s3,s4におけるガントリ回転部15のたわみによる位置ずれの補正データより、求めることができる。
(実施例8)
これにより、画像再構成領域Pの画像再構成中心画素は、サンプリング定理によりX線ビーム幅の半分の画素まで分解することができ、高分解能化が実現できる。また、X線焦点位置を移動させた場合は、前処理及びビームハードニング補正を行う必要がある。
例えば、このX線焦点位置F1,F2の空気補正データがわかっている場合、補正データ処理部39は、X線焦点位置F0の空気補正データを、これらの空気補正データに基づいて求めることができる。
このようにして、補正データ処理部39は、X線焦点位置の左右端位置F1,F2の補正データより、各X線焦点位置の補正データを予測して求めることができる。
尚、この場合、3次元逆投影処理において、各X線焦点位置から定まるX線透過方向上で断層像上の各画素に対応するX線投影データを抽出し、そのX線東亜k方向に対応した逆投影方向にX線投影データを断層像上の各画素に逆投影する3次元逆投影処理を行うことが好ましい。また、この場合、各X線焦点位置情報を用いて画像再構成処理を行うこととなる。
各焦点位置の補正は、左右端のX線焦点位置より求めることができるため、左右端位置F1、F2の求め方を以下に示す。
図19(a)では、X線焦点位置F1及びF2の位置をわかりやすくするために、図上では過大にずらして書いている。実際には、例えばX線焦点サイズをチャネル方向0.5mm×z方向0.5mmとすると、X線焦点位置F1,F2はチャネル方向に例えば±0.5mm、又は±0.25mm程度ずらした位置となる。
このときの照射範囲は、図19(a)で示すようにd2/d1倍のずれとなって、多列X線検出器24の面に照射される。図19(b)は、このX線検出器のある列のX線検出器出力のプロファイルを示したものである。
ここでは、各X線検出器位置F1,F0,F2におけるX線検出器出力プロファイルのずれがチャネル方向にあることを示している。図19(c)は、図19(b)のX線検出器プロファイルの左端部分を拡大して示した図である。
このようにして、X線焦点位置は多列X線検出器24の面に照射されるX線の影から求めることもできる。
ステップV31では、スキャンを開始する。
ステップV32では、補正データ処理部39は、X線検出器の左右端でX線プロファイルの左右端が測定できる所はあるかを判断し、YESであればステップV33へ行き、NOであればステップV37へ行く。
ステップV33では、補正データ処理部39は、X線検出器プロファイルのピーク値c0を探す。
ステップV34では、X線検出器プロファイルのピーク値の半値c0/2(FWHM)を求める。
ステップV35では、補正データ処理部39は、X線検出器プロファイル左右端のFWHMの位置xlF(左端位置),xrF(右端位置)を求める。
ステップV36では、補正データ処理部39は、X線焦点左右端F1,F2から、その時のX線焦点間距離を求める。
ステップV37では、前後のビューよりX線焦点位置を予測する、又はX線発生装置から求められるX線焦点位置を用いる。
もうひとつの方法として、X線焦点位置を制御できるX線管において、X線発生装置の電子ビーム位置制御用グリッドの制御電圧値よりX線焦点位置を予測することもできる。こうして得られた、各X線焦点位置は、三次元逆投影処理においても必要である。
尚、本実施例においては、空気補正データの例を用いて説明したが、X線焦点位置の変化によって変化する画像再構成変数としては、ビームハードニング補正データ等の他の前処理用補正データに適用してもよい。
(実施例9)
その場合、代表的な開口幅の補正データとして補正データ1を記憶し、その補正データ1が開口幅1から開口幅2の範囲に共通の使用するとのデータ設定を[開口1,開口2;補正データ1]のように設定することで、開口幅1から開口幅2の含まれる如何なる開口幅について、補正データと取り出すことができる。
尚、各開口幅毎の補正データがある場合は、それぞれの開口幅に対し、それぞれの補正データを使用するようなデータ設定に変更できることが好ましい。
尚、上記実施例では、医用X線CT装置を元について記載されているが、産業用X線CT装置、又は、他の装置と組み合わせたX線CT−PET装置,X線CT−SPECT装置などにおいても利用できる。
2 … 入力装置
3 … 中央処理装置
5 … データ収集バッファ
6 … モニタ
7 … 記憶装置
12 … クレードル
15 … 回転部
20 … 走査ガントリ
21 … X線管
22 … X線コントローラ
23 … コリメータ
24 … 多列X線検出器
25 … データ収集装置(DAS)
26 … 回転部コントローラ
28 … ビーム形成X線フィルタ
29 … 制御コントローラ
31 … 撮影条件設定部
32 … 画像再構成部
G … 断層像
Claims (12)
- 被検体の断層像を撮影するためのX線CT装置であって、
所定の撮影条件について、複数の条件を設定可能な撮影条件設定手段と、
前記撮影条件を用いて、X線発生装置とX線検出器とを有する回転部を回転させながら、被検体を走査してX線投影データを収集するX線データ収集手段と、
前記複数の条件によって異なる画像再構成変数であって、少なくとも代表的な条件に対応する画像再構成変数が前記X線投影データ収集手段で収集したデータのセットに付帯して記憶された記憶部と、
少なくとも前記代表的な条件以外の条件を含む前記X線データ収集に用いた撮影条件に対応する画像再構成変数に基づく前記X線投影データの画像再構成処理を含む画像再構成部とを含む処理を行う画像再構成手段と
を備えることを特徴とするX線CT装置。 - 前記画像再構成手段は、前記代表的な条件及び前記代表的な条件以外の条件を含む前記X線データ収集に用いた撮影条件に対応する画像再構成変数に基づく前記X線投影データの画像再構成処理を含む画像再構成部とを含む処理を行うことを特徴とする請求項1に記載のX線CT装置。
- 前記所定の撮影条件は、X線管電圧条件であり、
前記X線データ収集部は、複数のX線管電圧条件を用いてX線投影データを収集するものであり、
前記代表的な条件は、前記X線データ収集に用いた複数のX線管電圧条件である
ことを特徴とする請求項1又は2に記載のX線CT装置。 - 前記所定の撮影条件は、X線管電圧条件であり、
前記X線データ収集部は、複数のX線管電圧条件を用いてX線投影データを収集するものであり、
前記代表的な条件は、前記X線データ収集に用いた複数のX線管電圧条件であり、
前記代表的な条件以外の条件は、前記複数のX線管電圧条件の切り替えに伴う過渡区間の条件を含む
ことを特徴とする請求項2に記載のX線CT装置。 - 前記画像再構成部は、前記代表的な条件に対応する画像再構成変数から算出又は選択して、前記代表的な条件以外の条件に対応する画像再構成変数を求め、当該画像再構成変数を用いて、前記代表的な条件以外の条件に対応する画像再構成変数を用いた処理を行うことを特徴とする請求項1から4の何れか一項に記載のX線CT装置。
- 前記画像再構成部は、前記求められた画像再構成変数を、前記データのセットに追加して記憶部に記憶させることを特徴とする請求項5に記載のX線CT装置。
- 前記画像再構成部は、前記代表的な条件に対応する画像再構成変数を用いた処理により得られたX線投影データから算出して、前記代表的な条件以外の条件に対応する画像再構成変数を用いた処理により得られたX線投影データを得ることにより、前記代表的な条件以外の条件に対応する画像再構成変数を用いた処理を行うことを特徴とする請求項1から4の何れか一項に記載のX線CT装置。
- 前記記憶部は、前記代表的な条件以外の条件に対応した画像再構成変数を記憶することを特徴とする請求項5又は6に記載のX線CT装置。
- 前記画像再構成部は、前記撮影条件の範囲及び該撮影条件の範囲に対応する画像再構成変数を記憶し、前記撮影条件の範囲に含まれる前記代表的な条件以外の条件に対応する画像再構成変数を、記憶した当該範囲に対応する画像再構成変数より求めることを特徴とする請求項1から4の何れか一項に記載のX線CT装置。
- 前記画像再構成変数が、画像再構成の前処理に用いられる補正データであることを特徴とする請求項1から9の何れか一項に記載のX線CT装置。
- 前記撮影条件がX線管電圧、X線焦点位置、ガントリ回転速度、及びコリメータの開口幅から選ばれることを特徴とする請求項1又は2に記載のX線CT装置。
- 請求項1に記載のX線CT装置に用いられるX線投影データを含むデータファイルであって、前記X線投影データと前記複数の撮影条件に対応する画像再構成変数とを含むことを特徴とするデータファイル。
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