JP4785441B2 - X線ct装置 - Google Patents
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Description
逆投影処理の中心である断層像撮影視野の中心、およびその近傍領域においては、アーチファクトも少なく、スライス厚も薄く、画質が良かった。しかし、逆投影処理の中心から離れて断層像撮影視野の周辺に行くにつれ、図14のように、投影データが断層像の各画素とz方向に離れた点に逆投影されて逆投影の矛盾が大きくなり、アーチファクトも増加し、スライス厚も厚くなり、画質が劣化するという問題点があった。
このようにして、多列X線検出器を用いたX線CT装置において、逆投影処理の中心の位置を最適な位置に置くことにより画質の均一性を制御できる。このため、画像再構成処理装置の性能が許す限り、逆投影処理中心を増やすこともできる。
また、多列X線検出器を用いたX線CT装置の走査ガントリが傾斜した場合のコンベンショナルスキャン(アキシャルスキャン)またはシネスキャンにおいて、画質の均一性のz方向の一貫性が保てるように逆投影処理の中心を配置することもできる。
また、断層像の一部の視野を拡大して画像再構成を行う“部分拡大画像再構成”では、全撮影領域の中心に逆投影処理の中心があると、図7のように、部分拡大画像再構成の拡大撮影視野が全撮影視野の中心部になく、周辺部にある場合は、部分拡大画像再構成された断層像において全撮影視野の中心に近い近傍部分と遠い周辺部分で画質の不均一性が著しい。しかし、逆投影処理の中心を部分拡大撮影視野の中心、もしくはその中心の近傍に再配置することで、図8のようにX線ビームが正しく部分拡大撮影視野の中心にある逆投影処理の中心を通るように逆投影処理されて、部分拡大された視野の全体的に画質を改善できる。
また、この場合に逆投影処理の中心を部分拡大撮影視野の中心のみならず周辺部分にも配置することで、図9のようにX線ビームが各々の逆投影処理の中心を通るように逆投影処理されて画像再構成されるので、更に全体的な画質を改善できる。
また、逆投影処理の周辺に存在する図11のような複数の部分再構成領域同士の境界において、境界線が見えて画質が不連続になるという問題も考えられるが、境界部では特別な処理を行うことで画質を連続的に変化させて行くことができる。
また、X線データ収集系によりz方向に異なる位置でデータ収集された複数のX線ビームの投影データを1つの部分再構成領域に逆投影処理させて画像ノイズのS/Nの改善も行うこともできる。
また、多列X線検出器の投影データを列方向(z方向)に加重加算、またはz方向にzフィルタを重畳させることでX線ビームのz方向のビーム厚さを制御でき、逆投影処理によりz方向のスライス厚を制御することもできる。
そこで本発明の目的は、多列X線検出器またはフラットパネルのX線検出器に代表されるマトリクス構造の2次元X線エリア検出器を用いたX線CTにおいて、断層像の画質の均一性を改善する。
また、本発明の別の目的において、傾斜したガントリ、データ収集系から得られる傾斜した断層像のz軸方向の画質の均一性を改善する。
また、本発明の別の目的において、部分拡大画像再構成断層像の全体の画質の改善、また画質の均一性を改善する。
また、本発明の別の目的において、全撮影視野の断層像の画質の連続性を保つ。
また、本発明の別の目的において、z方向に異なる位置でデータ収集を行うコンベンショナルスキャン(アキシャルスキャン)またはシネスキャンまたはヘリカルスキャンまたは可変ピッチヘリカルスキャンの断層像における画像ノイズのS/N改善を行う。
また、本発明の別の目的において、z方向のスライス厚の制御も行う。
第1の観点では、本発明は、X線発生装置と相対してX線を検出する多列X線検出器とを、その間にある回転中心の回りに回転運動をさせながら、その間にある被検体を透過したX線投影データを収集するX線データ収集手段、そのX線データ収集手段から収集された投影データを2次元逆投影で画像再構成する画像再構成手段、画像再構成された断層像を表示する画像表示手段を備えたX線CT装置において、前記画像再構成手段は、投影データを2次元逆投影する際に、投影データが通った画素に正しく逆投影処理を行われる画素(以下、逆投影処理の中心画素と言う)が、再構成領域内に複数存在し、撮影視野領域が、複数ある逆投影処理の中心画素の近傍に位置する部分再構成領域に複数に分けられて存在し、その部分再構成領域ごとに2次元逆投影処理を行うX線CT装置を提供する。
上記第1の観点におけるX線CT装置では、逆投影処理の中心画素を再構成領域内に複数配置させれば、逆投影処理の中心画素の近傍ではアーチファクトの観点でもスライス厚の観点でも画質が良い。このため、逆投影処理の中心画素が再構成領域内に複数均等に配置されればされるほど、再構成領域の画質はアーチファクトの観点でもスライス厚の観点でも良くなる。なお、投影データが通った画素に正しく逆投影処理を行われる画素とは、図6(b)に示すように、所定の画素を通るX線ビームのデータが選択されて逆投影処理に使用される際における、前記所定の画素である。また、複数ある逆投影処理の中心画素の近傍に位置する部分再構成領域は、逆投影処理の中心画素と部分再構成領域の各画素との平均距離が全体撮影視野の中心と部分再構成領域の各画素との距離よりも平均的に短かくなるように設定されるのであれば、アーチファクト低減の効果が得られる。
上記第2の観点におけるX線CT装置では、フラットパネルX線検出器に代表されるマトリクス構造の2次元X線エリア検出器における各列の断層像において、逆投影処理の中心画素を再構成領域内に複数配置させれば、逆投影処理の中心画素の近傍ではアーチファクトの観点でもスライス厚の観点でも画質が良い。このため、逆投影処理の中心画素が再構成領域内に均等に配置された方が、再構成領域の画質はアーチファクトの観点でもスライス厚の観点でも更に良くなる。
上記第3の観点におけるX線CT装置では、通常使用される360度の投影データを用いて、逆投影処理の中心画素を再構成領域内の任意の位置に設定することが可能である。このため、逆投影の中心画素の数と位置による画質の均一性化、改善は可能である。
前記画像再構成手段は、使用する投影データは180度+検出器ファン角度分、またはほぼ180度+検出器ファン角度分である投影データを用いて2次元逆投影処理を行うX線CT装置を提供する。
上記第4の観点におけるX線CT装置では、心臓の撮影などCT装置の撮影において、時間分解能が求められる場合に使用されるハーフスキャンの180度+検出器ファン角度分の投影データを用いて、逆投影処理の中心画素を再構成領域内の任意の位置に設定することが可能である。このため、逆投影の中心画素の数と位置による画質の均一性化、改善は可能である。
上記第5の観点におけるX線CT装置では、通常、撮影視野内に最も少ない逆投影処理の中心画素を設定しようとした場合は、半径rの円が撮影視野内であるとすると、撮影視野内のすべての画素までの距離の最大値を最小にしようとした場合は、撮影視野の円の中心に逆投影処理の中心画素を持って来るのが最も効率が良い。この場合に、すべての画素までの距離の最大値はrとなり、画質およびその均一性が最も良くなる。このため、複数個の逆投影処理の中心画素を配置する場合は、その1つを撮影視野の中心に持って来ると効率良く、画質およびその均一性を良くすることができる。
上記第6の観点におけるX線CT装置では、通常、X線CT装置の撮影視野は、データ収集系の回転中心を中心にX線焦点とX線検出器のファン角で定まる円形に広がっている。このため、複数個の逆投影処理の中心画素を配置する場合は、その1つをデータ収集系の回転中心に持って来ると効率良く、画質およびその均一性を良くすることができる。
上記第7の観点におけるX線CT装置では、通常、図15のように、走査ガントリ内のX線データ収集系の回転軸がxy平面に垂直にある場合は、多列X線検出器またはフラットパネルX線検出器に代表されるマトリクス構造の2次元X線エリア検出器における各列の断層像の回転中心が、逆投影処理の中心画素となる。しかし、走査ガントリが傾斜した場合は、走査ガントリ内のX線データ収集系の回転軸がxy平面に垂直でなくなる。この場合に図16のように、コンベンショナルスキャン(アキシャルスキャン)またはシネスキャンにおいて、回転中心を再構成領域の中心に合わせてしまうと、z方向に連続して異なった位置でコンベンショナルスキャン(アキシャルスキャン)またはシネスキャンを行った場合に、図17のように、断層像のz方向の連続性がなくなってしまう。このため、図18のように、断層像のz方向の連続性を失わないようにさせると、撮影領域の中心は回転データ収集系の中心でなくなる。代わりに撮影領域の中心は断層像とz軸の交点となる。このため、逆投影処理の中心を撮影領域の中心に合わせることにより、断層像のz方向の連続性および逆投影処理の中心が最も画質が良いと言う画質の連続性も得られる。
上記第8の観点におけるX線CT装置では、第7の観点と同様に、コンベンショナルスキャン(アキシャルスキャン)またはシネスキャンにおいて、図18のように、断層像の連続性を失わせないように撮影領域の中心を回転軸中心でなくし、撮影領域の中心を各列の断層像と回転中心を通るz軸との交点とする。この場合に逆投影処理の中心を撮影領域の中心とすると、逆投影処理の中心は各列の断層像と回転中心を通るz軸との交点となる。
上記第9の観点におけるX線CT装置では、部分拡大画像再構成を行う2次元逆投影で逆投影処理の中心を全撮影視野の中心にしている場合、部分拡大画像再構成撮影視野の中心が全撮影視野の中心に一致しなければ、図7のように、部分拡大再構成の撮影視野の中で、全撮影視野の中心に近い領域は画質が良く、全撮影視野の中心から遠い領域は画質が良くなく、画質の均一性という観点で問題があった。このため、逆投影処理の中心を部分拡大再構成領域の中心にすることで、つまり、逆投影処理の中心を全撮影視野の中心でない位置にすることで、部分拡大画像再構成断層像の画質の均一性が確保できる。
上記第10の観点におけるX線CT装置では、第9の観点と同様に、逆投影処理の中心を部分拡大画像再構成領域の中心とすることで、部分拡大画像再構成断層像の画質の均一性が確保できる。
上記第11の観点におけるX線CT装置では、逆投影処理の中心を部分拡大画像再構成領域内に複数配置することにより、撮影領域内の各画素の逆投影処理中心までの平均距離が小さくなり画質の劣化が防げるため、部分拡大画像再構成断層像の画質の均一性が確保できる。
上記第12の観点におけるX線CT装置では、通常使用される360度の投影データを用いて、逆投影処理の中心画素を部分拡大画像再構成領域内の任意の位置に設定することが可能である。このため、逆投影の中心画素の数と位置による画質の均一性化、改善は可能である。
上記第13の観点におけるX線CT装置では、心臓の撮影などCT装置の撮影において、時間分解能が求められる場合に使用されるハーフスキャンの180度+検出器ファン角度分の投影データを用いて、逆投影処理の中心画素を部分拡大画像再構成領域内の任意の位置に設定することが可能である。このため、逆投影の中心画素の数と位置による画質の均一性化、改善は可能である。
上記第14の観点におけるX線CT装置では、複数ある逆投影処理中心およびその近傍に存在する部分画像再構成領域が存在する場合に、部分画像再構成領域同士の境界線の所で画像が不連続になる場合があり得る。このため、図12のように、全撮影領域に存在する複数部分画像再構成領域を各々隣り合う部分画像再構成領域との境界線の近傍はオーバーラップさせて画像再構成をさせる。オーバーラップさせた領域は図12のように、加重加算をさせて徐々に隣り合う再構成画像に連続的に乗り移らせることができる。
もちろん、上記は部分拡大画像再構成の場合にも有効である。
上記第15の観点におけるX線CT装置では、z方向の複数位置におけるコンベンショナルスキャン(アキシャルスキャン)またはシネスキャンにおいて、各列の断層像に複数の部分画像再構成領域および逆投影処理の中心画素を存在させることで、全撮影領域内の画質をより均一にすることができる。
もちろん、上記は部分拡大画像再構成の場合にも有効である。
上記第16の観点におけるX線CT装置では、被検体をz方向に移動させながら、その被検体のヘリカルスキャンまたは可変ピッチヘリカルスキャンのX線データ収集を行い、各z方向位置の断層像を画像再構成させる際に、複数の部分画像再構成領域および逆投影処理の中心画素を存在させることで、全撮影領域内の画質をより均一にすることができる。
もちろん、上記は部分拡大画像再構成の場合にも有効である。
上記第17の観点におけるX線CT装置では、コンベンショナルスキャン(アキシャルスキャン)またはシネスキャンまたはヘリカルスキャンまたは可変ピッチヘリカルスキャンにおいても、図20のように、ある部分画像再構成領域を通るz方向に異なる位置でデータ収集された複数のX線ビームの投影データを用いて画像再構成を行うことにより、画質を均一にすると同時により多くのX線ビームを画像再構成に使用できるため、画像ノイズのS/Nを改善することができる。
もちろん、上記は部分拡大画像再構成の場合にも有効である。
上記第18の観点におけるX線CT装置では、走査ガントリをz方向に傾けてxy平面から傾いた場合でも、第1から第17までの観点の効果は有効にすることができる。
もちろん、上記は部分拡大画像再構成の場合にも有効である。
上記第19の観点におけるX線CT装置では、各部分画像再構成領域を通る複数のX線ビームと断層像平面(たとえばxy平面)のなす角度に依存した加重係数をかけることで、各断層像の画質を改善できる。
もちろん、上記は部分拡大画像再構成の場合にも有効である。
上記第20の観点におけるX線CT装置では、各断層像のスライス厚または各部分画像再構成領域のスライス厚をある厚さに制御したい場合に、各X線検出器チャネルの投影データをz方向に加重加算またはz方向にフィルタリングを行って、各断層像または各部分画像再構成領域のスライス厚を制御して断層像の画質を均一にすることができる。もちろん、上記は部分拡大画像再構成の場合にも有効である。
また、本発明の別の効果として、傾斜したガントリ、データ収集系から得られる傾斜した断層像のz軸方向の画質の均一性を改善できる。
また、本発明の別の効果として、部分拡大画像再構成断層像の全体の画質改善、また画質の均一性を改善できる。
また、本発明の別の効果として、全撮影視野の断層像の画質の連続性を保つことができる。
また、本発明の別の効果として、z方向に異なる位置でデータ収集を行うコンベンショナルスキャン(アキシャルスキャン)またはシネスキャンまたはヘリカルスキャンまたは可変ピッチヘリカルスキャンの断層像における画像ノイズのS/N改善を行うことができる。
また、本発明の別の効果として、z方向のスライス厚の制御も行うことができる。
なお、本実施例では、以下の6つの実施例を示す。
実施例1:逆投影処理の中心および部分再構成領域が複数あることにより、アーチファクトが少なく、スライス厚が薄くなり、画質の均一性が良くなり全体的な画質も良くなる例。
実施例2:走査ガントリが傾斜したコンベンショナルスキャン(アキシャルスキャン)またはシネスキャンの場合に、逆投影処理の中心をデータ収集系の回転中心上に持って来るのではなく、各断層像とz軸の交点に持って来ることでz方向の画質の均一性の一貫性を良くすることができる例。
実施例3:部分拡大画像再構成の場合に、全撮影領域の中心に逆投影処理の中心を置いておくのではなく、部分拡大画像再構成の表示領域、つまり撮影領域の中心に逆投影処理の中心を置くことにより、全体的な画質としてアーチファクトが少なく、スライス厚も薄くすることができる例。
実施例4:逆投影処理の中心および部分画像再構成領域が複数ある場合に隣接する各々の部分画像再構成領域の境界でオーバーラップして画像再構成を行い、オーバーラップした領域では2つの断層像を加重加算し、連続的に隣り合う断層像に乗り移り、断層像のxy平面上連続的画質を実現することができる例。
実施例5:ある部分画像再構成領域を通るz方向に異なる位置でデータ収集された複数のX線ビームの投影データを用いて逆投影処理を行い、また断層像とX線ビームのなす角度に依存した重みをかけて、よりアーチファクトを低減した逆投影処理を行い、より多くのX線ビームの逆投影により、画像ノイズのS/Nを改善し、画質を均一にすることができる例。
実施例6:断層像のスライス厚を制御するために多列X線検出器または2次元X線エリア検出器の列方向(z方向)に加重加算またはz方向にzフィルタを重畳し、X線のビーム幅を制御した後に、このX線ビームを部分画像再構成領域に逆投影処理を行い、z方向のスライス厚を制御した断層像を画像再構成することができる例。
X線管21と多列X線検出器24は、回転中心ICの回りを回転する。鉛直方向をy方向とし、水平方向をX方向とし、これらに垂直なテーブル進行方向をz方向とするとき、X線管21および多列X線検出器24の回転平面は、xy面である。また、クレードル12の移動方向は、z方向である。
X線管21は、コーンビームCBと呼ばれるX線ビームを発生する。コーンビームCBの中心軸方向がy方向に平行なときを、ビュー角度0度とする。
多列X線検出器24は、例えば256列のX線検出器列を有する。また、各X線検出器列は例えば1024チャネルのX線検出器チャネルを有する。
X線が照射されて、収集された投影データは、多列X線検出器24からDAS25でA/D変換され、スリップリング30を経由してデータ収集バッファ5に入力される。データ収集バッファ5に入力されたデータは、記憶装置7のプログラムにより中央処理装置3で処理され、断層像に変換されてモニタ6に表示される。
ステップS1では、X線管21と多列X線検出器24とを被検体をはさんでその回りに回転させ、かつ撮影テーブル10上のクレードル12をテーブルを直線移動させながらヘリカルスキャン動作または可変ピッチヘリカルスキャン動作を行ない、ビュー角度viewと、検出器列番号jと、チャネル番号iとで表わされる投影データDO(view,j,i)にテーブル直線移動位置z(view)を付加させてX線検出器データを収集する。
または、撮影テーブル10の上のクレードル12を固定させたまま、コンベンショナルスキャン(アキシャルスキャン)動作またはシネスキャン動作を行い、X線検出器データを得る。
ステップS4では、各ビュー角度、各データ収集系における前処理後、ビームハードニング補正された多列X線検出器D11(ch,row) (ch=1〜CH,row=1〜ROW)の投影データに対し、列方向に例えば下記のような列方向フィルタサイズが5列のフィルタをかける。
(w1(ch),w2(ch),w3(ch),w4(ch),w5(ch))、
ただし、
また、列方向フィルタ係数を各チャネルごとに変化させると画像再構成中心からの距離に応じてスライス厚を制御できる。一般的に断層像では画像再構成中心に比べ周辺部の方がスライス厚が厚くなるので、列方向フィルタ係数を中心部と周辺部で変化させて、列方向フィルタ係数を中心部チャネル近辺では列方向フィルタ係数の幅を広く変化させると、周辺部チャネル近辺では列方向フィルタ係数の幅をせまく変化させると、スライス厚は周辺部でも画像再構成中心部でも一様に近くすることもできる。
このように、多列X線検出器24の中心部チャネルと周辺部チャネルの列方向フィルタ係数を制御してやることにより、スライス厚も中心部と周辺部で制御できる。列方向フィルタでスライス厚を弱干厚くすると、アーチファクト、ノイズともに大幅に改善される。これによりアーチファクト改善具合、ノイズ改善具合も制御できる。つまり、画像再構成された断層像つまり、xy平面内の画質が制御できる。また、その他の実施例として列方向(z方向)フィルタ係数を逆重畳(デコンボリューション)フィルタにすることにより、薄いスライス厚の断層像を実現することもできる。
ステップS6では、再構成関数重畳処理した投影データD13(view,j,i)に対して、2次元逆投影処理を行い、逆投影データD3(x,y)を求める。部分画像再構成領域が複数ある場合は、その各々の部分画像再構成領域にある逆投影処理の中心画素を中心にして、逆投影を各々の部分画像再構成領域ごとに2次元逆投影処理を行う。この逆投影処理については後述する。
ステップS7では、逆投影データD3(x,y,z)に対して画像フィルタ重畳、CT値変換などの後処理を行い、断層像D31(x,y)を得る。
後処理の画像フィルタ重畳処理では、2次元逆投影後のデータをD31(x,y,z)とし、画像フィルタ重畳後のデータをD32(x,y,z)、画像フィルタをFilter(z)とすると、
ステップS61では、i=1とする処理を行う。
ステップS62では、i番目の部分画像再構成領域の中の逆投影処理中心を抽出する処理を行う。
ステップS65では、i=Nかを判断する。ただし、Nは部分画像再構成の領域の数とする。YESであればステップS67経由で終了する。NOであればステップS66でi=i+1として、部分画像再構成領域の番号を更新してステップS62に戻り、再度、逆投影処理を続ける処理を行う。なお、実施例1では、ステップS67及びS68は省略される。
なお、用いられる投影データは360度分の投影データでも、ハーフスキャンの180度+検出器ファン角の投影データでも同様な効果は出せる。
また、フラットパネルX線検出器に代表される2次元X線エリア検出器でも同様な効果を出せる。
このため、図18のように、断層像の中心の位置をz軸との交点にしておくとz方向の断層像の位置の連続性が得られる。この時に逆投影処理の中心も断層像とz軸との交点にしておくと、画質の均一性のz方向の一貫性が得られる。
また、フラットパネルX線検出器に代表される2次元X線エリア検出器でも同様な効果は出せる。
実施例2においても、実施例1と同様に、各列のコンベンショナルスキャン(アキシャルスキャン)の断層像について画像再構成領域全体を複数の部分画像再構成領域に分割し、各部分画像再構成領域について逆投影処理の画素中心を設けてもよい。この場合、1つの画像再構成領域の逆投影処理の画素中心を、回転中心を通るz軸に平行な軸と各列の断層像との交点にすれば、上述の画像再構成領域全体の画素中心と同様に、z方向における部分画像再構成領域の連続性が得られる。またこのとき、実施例1と同様に、部分画像再構成領域の逆投影処理の中心画素と部分画像再構成領域の各画素との距離を小さくすればするほど、断層像のアーチファクトは少なくなり、スライス厚も薄くなり、画質は向上する。
なお、この場合用いられる投影データは360度分の投影データでも、ハーフスキャンの180度+検出器ファン角の投影データでも同様な効果は出る。
また、フラットパネルX線検出器に代表される2次元X線エリア検出器でも同様な効果は出る。
図5の2次元逆投影処理の流れの説明図により、オーバーラップした領域がある場合の2次元逆投影処理の流れを示す。
ステップS61〜S66は実施例1において説明したとおりである。
ステップS68では、オーバーラップした領域において、2つの重なる断層像を距離に応じた線型加重係数で2つの重なる断層像を加重加算する処理を行う。
(w1(ch),w2(ch),w3(ch),w4(ch),w5(ch))、
ただし、
また、本実施例では、各列ごとに係数の異なった列方向(z方向)フィルタを重畳することにより、画質のばらつきを調整し、均一なスライス厚、アーチファクト、ノイズの画質を実現しているが、これには様々なフィルタ係数が考えられる。しかし、いずれにおいても同様の効果を出すことができる。
また、本実施例では、医用X線CT装置を元に書かれているが、産業用X線CT装置または他の装置と組合わせたX線CT−PET装置、X線CT−SPECT装置などでも同様に効果を出すことができる。
また、本実施例では、いくつかの画像再構成分割領域の分割方法について述べたが、様々な画像分割方法についても同様の効果を出せる。また、断層像の各々の1画素を1つの画像再構成分割領域として逆投影処理の中心としても同様の効果を出せる。
また、本実施例では、投影データの形式については細かく言及しなかったが、360度分の投影データでも、ハーフスキャン用の180度+検出器ファン角の投影データでも、360度を超える投影データでも同様の効果を出せる。
また、本実施例では、X線検出器として多列X線検出器を用いて説明したが、X線I.I.(X線イメージインテンシファイア)、フラットパネル2次元X線エリア検出器などでも同様の効果を出せる。
2 入力装置
3 中央処理装置
5 データ収集バッファ
6 モニタ
7 記憶装置
10 撮影テーブル
12 クレードル
15 回転部
20 走査ガントリ
21 X線管
22 X線コントローラ
23 コリメータ
24 多列X線検出器
25 DAS(データ収集装置)
26 回転部コントローラ
27 チルトコントローラ(傾斜コントローラ)
29 制御コントローラ
30 スリップリング
dP 検出器面
P 再構成領域
PP 投影面
IC 回転中心(ISO)
Claims (6)
- X線発生装置と相対してX線を検出する多列X線検出器とを、その間にある回転中心の回りに回転運動をさせながら、その間にある被検体を透過したX線投影データを収集するX線データ収集手段と、
そのX線データ収集手段から収集された投影データを画像再構成する画像再構成手段と、
画像再構成された断層像を表示する画像表示手段と
を備えたX線CT装置において、
前記画像再構成手段は、
撮影視野に基づく画像再構成領域の中心とは異なる位置に配置される、投影データが通った画素に正しく逆投影処理が行われる画素(以下、逆投影処理の中心画素と言う)と前記逆投影処理の中心画素を通るX線ビームによる投影データが得られる前記多列X線検出器の列とを定め、当該列から得られた投影データに基づく2次元逆投影処理により、前記逆投影処理の中心画素が含まれる前記撮影視野に基づく画像再構成領域より小さい部分画像再構成領域の画像再構成を行うものである
X線CT装置。 - 前記部分画像再構成領域は、撮影視野に基づく画像再構成領域を複数に分割して得られる複数の部分画像再構成領域である
請求項1に記載のX線CT装置。 - 前記複数の部分画像再構成領域は、その境界がオーバーラップするように再構成されるものであり、
前記画像再構成手段は、当該オーバーラップする領域について、加重加算処理を行うものである
請求項2に記載のX線CT装置。 - 前記画像再構成手段は、さらに、撮影視野に基づく画像再構成領域の中心を逆投影処理の中心画素とした部分画像再構成領域の画像再構成を行うものである
請求項1から請求項3の何れか一項に記載のX線CT装置。 - 前記部分画像再構成領域は、拡大画像を生成する領域である
請求項1に記載のX線CT装置。 - 前記逆投影処理の中心画素は、前記部分画像再構成領域の中心またはほぼ中心に位置する
請求項1から請求項5の何れか一項に記載のX線CT装置。
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