JP5267030B2 - タッピンネジ締込補助具 - Google Patents

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Description

本発明はタッピンネジの締結補助に関し、より詳細にはタッピンネジの締込み時にタッピンネジを締結材に対して垂直に支持する補助具に関するものである。
タッピンネジは、タッピンネジの先端部に切り刃構造を備え、この切り刃により締結材にタップを切りながら締結するネジである。タッピンネジによる締結は、締結材にタップを施すことが不要になることからコストを削減でき、電気機器等における各種の締結に広く用いられている。
タッピンネジの締結に際しては、予め締結材にタッピンネジの先端部より一回り大きい下穴を開けておき、この下穴に被締結材に形成した穴を介してタッピンネジの先端部を差し込み締結材に垂直になるように保持しながら(即ち、タッピンネジの軸心と下穴の軸心と一致させるようにしながら)締込み(ネジ込み)を行う。この締込みによりタッピンネジの切り刃が回転し、締結材の下穴の壁面にタップを形成すると共に、締結材と被締結材とを締結する。
上記のタッピンネジによる締結の詳細を図5を用いて説明する。図5はフレーム構造の筐体にタッピンネジを用いて側板を締結する例を示している。締結材20となるフレームには下穴21を予め形成しておく。タッピンネジ10の先端部はテーパー状になっており、その部分に切り刃が形成されている。下穴21の径はこのタッピンネジ10の切り刃の先端のネジ山1〜1.5ピッチが入る程度の径で貫通穴である。被締結材30となる側板にも穴31を形成しておく。この穴31の径はタッピンネジ10の胴部のネジ山の外径より大きく、ネジ頭の外径より小さい径である。
まず、締結材20の下穴21に合わせて被締結材30の穴31を重ね、タッピンネジ10の先端部を被締結材30の穴31を介して締結材20の下穴21に入れる。手でタッピンネジ10を締結材20に垂直になるように支え、ドライバー40を押圧しながら締込みを行う。タッピンネジ10は締込みにより回転が与えられ、切り刃が締結材20の下穴21の内壁を切削しタップを形成する。タッピンネジ10の先端が締結材20の板厚を突き出た状態まで締込みがなされると切り刃によるタップの形成を終了し、タッピンネジ10の胴部のネジ山が形成されたタップ上を摺動する動きとなる。さらに締込みを続けると、タッピンネジ10のネジ頭の底部が被締結材30に当たりドライバー40の回転トルクが大きくなって締込み完了となる。
上記は、タッピンネジ10の締込みが正常に行われた状態を説明したものであるが、タッピンネジ10が垂直に保持されずに傾いた状態で締込みが行われると、切り刃が締結材20の下穴21を斜めに進みながらタップを切ることになり、タッピンネジ10の食い込みが起って動かなくなったり、場合によっては締結材20を破損してしまうこともある。また、タッピンネジ10を外そうと思っても外すことが困難になる場合も生じる。
タッピンネジの締結時の傾きを抑制する方法として、締結材に形成する下穴をタッピンネジの軸部を内接させる横断面角形の穴とすることにより、下穴とタッピンネジ軸部との接触面積を小さくし、これによりタッピンネジの挿入抵抗を軽減することで傾きを抑制する下穴構造が知られている(特許文献1)。
また、同じ目的の下穴構造として、下穴の入口部がタッピンネジのネジ山の略1ピッチ分の高さにおいて大径で、その大径の底面にタッピンネジのネジ山の傾斜角度に等しい螺旋傾斜面を形成する構造が知られている(特許文献2)。
また、タッピンネジではないが、釘を材料の面に垂直に打ち込むために弾性体の上下面に深さの異なるすり鉢状の窪みを設け、その窪みの中心に釘の胴体部を支持する貫通孔を形成し、貫通孔から側面に向かって釘から取り外すための切欠き溝を設ける釘打ち用の補助具が知られている(特許文献3)。
特許第3456854号公報 特開2007−187305号公報 特許第3660675号公報
上述したように、タッピンネジの締込み時にはタッピンネジの軸心と下穴の軸心とを一致させるよう(即ち、タッピンネジが締結材に対して垂直になるよう)に支持しながら締込みを行うことが必要である。このため、従来では手でタッピンネジを締結材に対して垂直に支持しながら締めつけを行うことが行われていたが、手による支持の力は弱く僅かの傾きでも食い込みに移行して充分とは言えなかった。
特許文献1及び特許文献2で知られている下穴構造は、タッピンネジが傾きながら締込みされることを抑制する効果が期待できるが、下穴の形状が複雑で下穴形成に時間を要すことが考えられ、コスト的に問題がある。
また、特許文献3の補助具は釘に対して有効であると考えられるが、この保持具をタッピンネジに適用するとネジ山を有する胴体部が支持されることになり、ネジ山を破損する可能性が考えられる。
本発明は、タッピンネジを締結材に垂直に支持することで締結材への傾きによる食い込みを抑制する補助具を提供することを目的とする。
本発明のタッピンネジ締込補助具は、円錐筒ガイド部とベース部とから構成する。
円錐筒ガイド部は、開口する上端から円錐状に挟径して下端まで円錐筒をなし、円錐筒の内壁はタッピンネジのネジ頭側面を摺動してガイドし、その下端はタッピンネジのネジ部を通過させる径で開口し、円錐筒の側面に上端から下端まで破断容易の第1のミシン目を形成したものである。
ベース部は、締結材に当接する平面のほぼ中央に円錐筒ガイド部の下端を下に立設し、平面に形成した貫通穴は下端の開口に連なり、平面に第1のミシン目に連続して平面の周縁に向かって破断容易の第2のミシン目を形成したものである。
本発明のタッピンネジ締込補助具の使用に当たっては、タッピンネジ締込補助具を締結材上に置かれた被締結材にベース部の底面を当て、タッピンネジ締込補助具の円錐筒ガイド部の下端に開口する穴を被締結材を介して締結材の下穴に合わせ、タッピンネジ締込補助具の上端からタッピンネジを挿入した後にドライバーでタッピンネジのネジ頭を締込む(ネジ込む)。締込みによりタッピンネジが締結材の中に進行すると、ネジ頭の側面が円錐筒ガイド部の内壁を外に向かって押圧し、円錐筒ガイド部側面に形成したミシン目が破断する。さらにタッピンネジの進行に伴ってベース部のミシン目の破断が起こり、タッピンネジ締込補助具をタッピンネジから取り外せる状態になったら取り外す。取り外した後、ネジ頭が適切な位置になるまで締込みを続け、締結を完了する。
タッピンネジの締込みにより、タッピンネジのネジ頭は円錐筒ガイド部の内壁にガイドされて締結材に進行するので、タッピンネジは締結材に対して垂直に保たれた状態でタップ切りを行うことが可能となる。また、タッピンネジ締込補助具は、タッピンネジの締込みの途中でミシン目が破断し、タッピンネジから容易に取り外しできる。
(実施形態その1)
本発明のタッピンネジ締込補助具100について図1〜図3を用いて説明する。タッピンネジ締込補助具100は、図1に示すように円錐筒ガイド部110とベース部120とから構成される。円錐筒ガイド部110は円錐筒の形状をなし、上部から下部にかけて径は小さくなっていく。上部と下部はそれぞれ開口しており上部開口部111と下部開口部112とを形成している。
円錐筒ガイド部110の側面には二つのミシン目113、114を形成している。ミシン目113とミシン目114は円錐筒ガイド部110の軸心に対して対称の位置にある。本実施例ではをミシン目を二つ設けたが、少なくとも一つは必要とする。後述するが、タッピンネジ10のネジ頭部側面が締込みにおいて円錐筒ガイド部110の内壁を擦りながら進み、円錐筒ガイド部110の軸心から外に向かう応力が働くと、ミシン目が容易に破壊することが求められる。
ベース部120は、円錐筒ガイド部110と一体成型されて作られており、その中央位置に図1では見えない貫通穴が形成されている。その貫通穴は円錐筒ガイド部110下部の下部開口部112の径と同一で連なっている。即ち、タッピンネジ締込補助具100の上部から下部に向けて開口している。
ベース部120にも二つのミシン目121、122が形成され(ミシン目122は、円錐筒ガイド部110に隠れており、図示されていない)、そのミシン目121、122は円錐筒ガイド部110のミシン目113、114に連なっている。
図1に示したタッピンネジ締込補助具100は、呼び径5mm、長さ16mmのタッピンネジに対する補助具の例であり、ベース部120の底面から円錐筒ガイド部110の上縁までの高さは22mm、ベース部120は正方形で一辺が20mmである。タッピンネジ締込補助具100の材質は塩化ビニール樹脂で、円錐筒ガイド部110の厚さは0.5mm、ベース部120の厚さは1mmである。
タッピンネジ締込補助具100にタッピンネジ10を入れたときの状態を図2に示す。図2(a)は上方から見た平面図を示し、図2(b)は側面から見た断面図(但し、タッピンネジは側面図)を示している。図2(b)に示すように、タッピンネジ10の先端部は円錐筒ガイド部110の下部の下部開口部112と被締結材30の穴31を通って締結材20の下穴21に一部が入っている。前述したように、下穴21の径は、タッピンネジ10の切り刃先端のネジ山の1〜1.5ピッチが入る程度の径で形成しており、タッピンネジ締込補助具100にタッピンネジ10を入れたとき、タッピンネジ10の先端部の一部が下穴21の上部に入ることになる。
タッピンネジ10のネジ頭の側面は、円錐筒ガイド部110の内壁に接して、あるいは近接して置かれる。タッピンネジ10の締込みに従い、ネジ頭の側面は円錐筒ガイド部110の内壁に接し、内壁にガイドされてタッピンネジ10は締結材に対して垂直下方に締込まれる。
また、図2(a)では、図1で円錐筒ガイド部110で隠れて見えなかったベース部120のミシン目122が円錐筒ガイド部110に形成したミシン目114と連続して形成していることが分かる。
図3はタッピンネジ締込補助具100の使用例を説明する図である。
図3(a)は、締込み前の締結材20、被締結材30、タッピンネジ締込補助具100およびタッピンネジ10のそれぞれの垂直方向に配置する関係を示したパーツ図である。締結材20にはタッピンネジ10によりタップが形成される下穴21が形成され、被締結材30にはタッピンネジ10胴体部を通す穴31が形成されている。タッピンネジ10は、タッピンネジ締込補助具100を締結材20に重ねた被締結材30上に置いた状態で、タッピンネジ締込補助具100の上部の上部開口部111から入れる。
図3(b)は、タッピンネジ締込補助具100に入れられたタッピンネジ10をタッピンネジ締込補助具100を例えば手で押さえながら(手は図示せず)、ドライバー40で締込みを行っている状態を示している。この状態は締込みを始めた初期の状態であり、タッピンネジ10のネジ頭は円錐筒ガイド部110の内壁にガイドされて垂直下方に締込みがなされる。本発明のタッピンネジ締込補助具100は、このタッピンネジ10のネジ頭の側面を円錐筒ガイド部110の内壁でガイドし、タッピンネジ10の傾きを抑制しながら垂直に締込みが行われる点が特徴である。
さらに、タッピンネジ10のネジ頭の側面は締込みにより内壁を軸心から外に向う応力を与えるが、図3(b)の状態ではその応力は小さく、円錐筒ガイド部110に形成したミシン目113、114を破断するまに至っていない。
図3(c)は、締込みが図3(b)から進んだ状態で、タッピンネジ10のネジ頭の側面からの応力に耐えきれずに円錐筒ガイド部110のミシン目113に破断が起こり、さらにベース面のミシン目121に破断が起こった状態を示している。
図3(d)は、ミシン目113とミシン目121の破断によりタッピンネジ締込補助具100をタッピンネジ10から外し、タッピンネジ10をさらに締め込んだ状態を示している。締込み完了時では、タッピンネジ10の先端部は締結材20がフレームの板のため下穴21下方から突き出し、締結材20の板厚内壁に切られたタップとタッピンネジ10の胴体部のネジ山とで締結材20と被締結材30とを締結している。
図3(d)にミシン目113とミシン目121とが破断して外されたタッピンネジ締込補助具100を示しているが、他方のミシン目114とミシン目122が破断する場合、あるいは両方のミシン目が破断する場合もある。ミシン目の破断によってタッピンネジ締込補助具100を外すことができる点も、本発明の特徴とする点である。
(実施形態その2)
実施形態その1では、ミシン目の破断によりタッピンネジ締込補助具100をタッピンネジ10から取り外すもので、使い捨ての補助具であった。実施形態その2は繰り返し使えるタッピンネジ締込補助具200を提案するものである。
図4は、実施形態その2におけるタッピンネジ締込補助具200の外観を示している。タッピンネジ締込補助具200は図1に示すタッピンネジ締込補助具100のミシン目に相当する位置で割った2つのパーツから構成する。即ち、円錐筒ガイド部210とベース部220から成るパーツ(図4(a)の右側)と、円錐筒ガイド部211とベース部221から成るパーツ(図4(a)の左側)である。ベース部220、221のそれぞれの底面に磁石230、231を張り付けている。
図4(a)に示されるように、締込み前の状態では磁石230、231の互いの吸着力により2つのパーツは一体となっている。この状態でタッピンネジ10を上部から入れ、締込みを行う。タッピンネジ10の締込みに伴い、タッピンネジ10のネジ頭部の側面は円錐筒ガイド部210、211の内壁にガイドされ、締結材に垂直に締め込まれることになる。締込みが進むに従い、タッピンネジ10の頭部側面の円錐筒ガイド部210、211の内壁に働く応力(内壁から外に向かう応力)は強くなり、この応力が磁石230、231の相互の吸着力に打ち勝って2つに割れる。タッピンネジ締込補助具200が割れた状態でタッピンネジ締込補助具200を締込み位置から取り外し、さらにタッピンネジ10を締込みを行う。図4(b)は、分割したタッピンネジ締込補助具200を示している。
タッピンネジ締込補助具200の円錐筒ガイド部210、211およびベース部220、221の材質は例えばオーステナイト系のSUS(非磁性体)で厚さは0.3mm、磁石は例えばフェライト磁石で厚さは1.5mmである。タッピンネジ締込補助具200の全体の外観寸法はタッピンネジ締込補助具100と略同一である。
本発明のタッピンネジ締込補助具の構造例(実施形態その1)である。 タッピンネジを入れた状態のタッピンネジ締込補助具(実施形態その1)である。 タッピンネジ締込補助具の使用例である。 本発明のタッピンネジ締込補助具の構造例(実施形態その2)である。 従来のタッピンネジの締込み例である。
符号の説明
10 タッピンネジ
20 締結材
21 下穴
30 非締結材
31 穴
40 ドライバー
100 タッピンネジ締込補助具
110 円錐筒ガイド部
111 上部開口部
112 下部開口部
113 ミシン目
114 ミシン目
120 ベース部
121 ミシン目
122 ミシン目
200 タッピンネジ締込補助具
210 円錐筒ガイド部
211 円錐筒ガイド部
220 ベース部
221 ベース部
230 磁石
231 磁石

Claims (5)

  1. 開口する上端から円錐状に挟径して下端まで円錐筒をなし、該円錐筒の内壁はタッピン
    ネジのネジ頭側面を摺動してガイドし、該下端は該タッピンネジのネジ部を通過させる径
    で開口し、該円錐筒の側面に該上端から該下端まで破断容易の第1のミシン目を形成した
    円錐筒ガイド部と、
    締結材に当接する平面のほぼ中央に前記下端を下に円錐筒ガイド部を立設し、該平面に
    形成した貫通穴は該下端の開口に連なり、該平面に前記第1のミシン目に連続して該平面
    の周縁に向かって破断容易の第2のミシン目を形成したベース部と
    を備えることを特徴とするタッピンネジ締込補助具。
  2. 前記タッピンネジ締込補助具は、樹脂で一体成型した
    ことを特徴とする請求項1に記載のタッピンネジ締込補助具。
  3. 前記第1のミシン目に連続して前記第2のミシン目が一体となって形成されたミシン目を平行に複数筋形成したことを特徴とする請求項1または請求項2に記載のタッピンネジ締込補助具。
  4. 開口する上端から円錐状に挟径して下端までの円錐筒を軸方向に2等分割した半円錐筒
    をなし、該半円錐筒の内壁はタッピンネジのネジ頭側面を摺動してガイドし、該下端は該
    タッピンネジのネジ部を通過させる径の半径で半円状をなす半円錐筒ガイド部と、
    締結材に当接する平面の一つの直線縁部のほぼ中央に、前記下端を下に前記半円錐筒ガイド部の分割面を該直線縁部に合わせて立設し、該直線縁部のほぼ中央に形成した半円状縁部該半円錐筒ガイド部の半円状の該下端に連なり、該平面の締結材に当接する面に磁性体を貼設したベース部と
    を備えるタッピンネジ締込補助部材二つからなり
    前記二つのタッピンネジ締込補助部材の前記半円錐筒ガイド部が一体として前記円錐筒となるように、前記磁性体が互いに吸着するよう磁化されていることを特徴とするタッピンネジ締込補助具。
  5. 二つのタッピンネジ締込補助部材からなるタッピンネジ締込補助具であって、
    前記タッピンネジ締込補助部材は、開口する上端から円錐状に挟径して下端までの円錐
    筒を軸方向に2等分割した半円錐筒をなし、該半円錐筒の内壁はタッピンネジのネジ頭側
    面を摺動してガイドし、該下端は該タッピンネジのネジ部を通過させる径の半径で半円状
    をなす半円錐筒ガイド部と、締結材に当接する平面の一つの直線縁部のほぼ中央に、前記下端を下に前記半円錐筒ガイド部の分割面を該直線縁部に合わせて立設し、該直線縁部のほぼ中央に形成した半円状縁部該半円錐筒ガイド部の半円状の該下端に連なり、該平面の締結材に当接する面に磁性体を貼設したベース部を有し、
    二つの前記タッピンネジ締込補助部材の半円錐筒の前記2等分割した分割面をそれぞれ
    合わせ、前記ベース部に貼設した磁性体の磁力で該二つのタッピンネジ締込補助部材を相
    互に吸着した
    ことを特徴とするタッピンネジ締込補助具。
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