JP5266765B2 - 横電界液晶駆動方式用カラーフィルタ - Google Patents
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このような液晶表示装置において、上記カラーフィルタ基板と対向基板との間隙(セルギャップ)は液晶層の厚さそのものであり、色ムラやコントラストムラといった表示ムラを防止し、均一な表示、高速応答性、高コントラスト比、広視野角等の良好な表示性能をカラー液晶表示装置に付与するためには、セルギャップを一定且つ均一に維持する必要がある。
また、上記積層柱が、上記各色の着色層が積層されてなるものであることにより、スペーサを形成するためのスペーサ形成工程を不要なものとし、低コスト化を図ることができる。
以下、本発明の横電界液晶駆動方式用カラーフィルタおよび横電界液晶駆動方式用カラーフィルタの製造方法について詳細に説明する。
本発明の横電界液晶駆動方式用カラーフィルタは、基板と、上記基板上に形成され、開口部を備えるブラックマトリクスと、上記開口部に形成された赤、緑および青の少なくとも3色の着色部を含む着色層と、上記ブラックマトリクス上に複数の上記着色層が積層されてなる積層柱と、上記ブラックマトリクス、着色層および積層柱を覆うように乾式製膜法により形成され、無機材料からなる無機透明保護層とを有することを特徴とするものである。
ここで、上記無機透明保護層6は、乾式製膜法により形成されたものである。
なお、図1において、無機透明保護層は省略されている。
また、上記積層柱が、上記各色の着色層が積層されてなるものであることにより、スペーサを形成するためのスペーサ形成工程を不要なものとし、低コスト化を図ることができる。
ここで、上記無機透明保護層を用いることにより、バリア性が高く、さらにスペーサ高さが高いものとすることができる理由については、以下のとおりである。
ここで、従来のカラーフィルタにおける透明保護層は、通常、透明樹脂からなる樹脂製透明保護層が用いられる。また、このような樹脂製透明保護層の形成方法は、上記着色層等の表面に、上記樹脂製透明保護層を形成する材料を含む透明保護層形成用塗工液を塗工した後、パターン露光および現像することにより形成する方法が用いられる。
このため、着色層を積層した積層柱をスペーサとして有する従来の横電界液晶駆動方式用カラーフィルタにおける透明保護層の形成方法としては、具体的には、図4に例示するように、基板101上に、ブラックマトリクス103と、赤色の着色部104R、緑色の着色部および青色の着色部を含む着色層(114R,114G,114B)が積層されてなる積層柱105とが形成されたカラーフィルタ形成用基板を準備し(図4(a))、上記透明保護層形成用塗工液を塗工する方法が用いられる(図4(b))。ここで、図4(b)に示すように、上記透明保護層形成用塗工液が塗布された直後には、上記ブラックマトリクス103、着色層(114R,114G,114B)、および積層柱105上に比較的均一な厚みで上記透明保護層形成用塗工液の塗膜106´が形成される。しかしながら、上記透明保護層形成用塗工液の塗膜106´は、徐々に低い位置へと流れ落ちるレベリングを生じる(図4(c))。このため、露光・現像を行うことにより最終的に形成されるカラーフィルタ100における樹脂製透明保護層106は、上記積層柱105上において膜厚が薄く、上記各色の着色部(104R)上において、膜厚が厚いものとなる(図4(d))。
したがって、最終的に形成されるスペーサ高さ、すなわち、上記各色の着色部上に形成された透明保護層の表面から垂直方向に、上記積層柱上に形成された透明保護層の表面までの距離が、上記透明保護層形成前におけるスペーサ高さ、すなわち、上記積層柱の高さである上記着色部表面から垂直方向に、上記積層柱の頂部までの距離よりも極めて短いものとなる。
このため、上記スペーサ高さを、上記透明保護層形成前におけるスペーサ高さとほぼ同一とすることができ、上記スペーサ高さが高いものとすることができるのである。
また、上記無機材料からなる無機透明保護層は膜厚が薄い場合であっても、高いバリア性を発揮するため、容易にバリア性が高いものとすることができる。
なお、このような現象は、上記各色の着色層が積層されてなる積層柱と、透明保護層とを有する横電界液晶駆動方式用カラーフィルタに特有の現象であるといえる。本発明は、このような特有の課題を、上記透明保護層として、乾式製膜法により形成される無機材料からなる無機透明保護層を用いることにより解決したものである。
本発明に用いられる無機透明保護層は、乾式製膜法により形成されるものであり、無機材料からなるものである。
また、後述するブラックマトリクス、着色層および積層柱を覆うように形成されるものであり、液晶表示装置に用いた場合に、上記ブラックマトリクス、着色層および積層柱から液晶層に、着色剤等の汚染物質が溶出することを防ぐことができるものである。
本発明においては、なかでも酸化ケイ素、窒化ケイ素、酸化インジウム、酸化亜鉛または酸化チタンに、ガリウム、セリウム、アルミニウムおよび錫のいずれかをドープさせたものを好ましく用いることができ、特に、酸化ケイ素または酸化インジウムに、ガリウム、セリウムおよび錫(スズ)のいずれかをドープさせたものを好ましく用いることができる。後述するブラックマトリクス、着色層および積層柱に含有される汚染物質が液晶層に溶出することを防ぐバリア性に優れた無機透明保護層を形成することができるからである。
具体的には、スパッタリング、真空蒸着、プラズマCVD等を挙げることができ、なかでもスパッタリングを好ましく用いることができる。ITO等からなる透明電極層は、通常、スパッタリング法により形成される。このため、上記乾式製膜法としてスパッタリング法を用いることにより、上記透明電極層の形成に使用される既存のスパッタリング装置を用いて、上記無機透明保護層を形成することができるからである。したがって、本発明の横電界液晶駆動方式用カラーフィルタを低コストなものとすることができるからである。
本発明に用いられる積層柱は、複数の後述する着色層が積層されてなるものである。
なお、積層柱の高さとは、後述する着色部表面から垂直方向に、上記積層柱の頂部までの距離のうち最大の長さをいうものである。
本発明に用いられる着色層は、後述するブラックマトリクスが備える開口部に形成された赤、緑および青の少なくとも3色の着色部を有するものである。
緑(G)の着色層に用いられる着色剤としては、例えば、ハロゲン多置換フタロシアニン系顔料もしくはハロゲン多置換銅フタロシアニン系顔料等のフタロシアニン系顔料、トリフェニルメタン系塩基性染料、イソインドリン系顔料、イソインドリノン系顔料等が挙げられる。これらの顔料もしくは染料は単独で用いてもよく2種以上を混合して用いてもよい。
青(B)の着色層に用いられる着色剤としては、例えば、銅フタロシアニン系顔料、アントラキノン系顔料、インダンスレン系顔料、インドフェノール系顔料、シアニン系顔料、ジオキサジン系顔料等が挙げられる。これらの顔料は単独で用いてもよく2種以上を混合して用いてもよい。
本発明に用いられるブラックマトリクスは、後述する基板上に形成されるものであり、開口部を備えるものである。
また、上記の場合であって、ブラックマトリクスの形成方法としてフォトリソグラフィー法を用いる場合、バインダ樹脂としては、例えば、アクリレート系、メタクリレート系、ポリ桂皮酸ビニル系、もしくは環化ゴム系等の反応性ビニル基を有する感光性樹脂が用いられる。この場合、黒色着色剤および感光性樹脂を含有するブラックマトリクス形成用感光性樹脂組成物に、光重合開始剤を添加してもよく、さらには必要に応じて増感剤、塗布性改良剤、現像改良剤、架橋剤、重合禁止剤、可塑剤、難燃剤等を添加してもよい。
本発明に用いられる基板の材料としては、従来よりカラーフィルタに用いられているものを用いることができる。このような材料としては、例えば、石英ガラス、パイレックス(登録商標)ガラス、合成石英板等の可撓性のない透明な無機基板、および、透明樹脂フィルム、光学用樹脂板等の可撓性を有する透明な樹脂基板等を挙げることができる。なかでも本工程において無機基板を用いることが好ましく、無機基板のなかでもガラス基板を用いることが好ましい。さらには、上記ガラス基板のなかでも無アルカリタイプのガラス基板を用いることが好ましい。上記無アルカリタイプのガラス基板は寸度安定性および高温加熱処理における作業性に優れ、かつ、ガラス中にアルカリ成分を含まないことから、アクティブマトリックス方式によるカラー液晶表示装置用のカラーフィルタに好適に用いることができるからである。
本発明の横電界液晶駆動方式用カラーフィルタは、上記基板と、ブラックマトリクスと、着色層と、積層柱と、無機透明保護層とを有するものであれば良く、必要に応じて透明電極、配向膜等の他の構成を有するものであっても良い。
なお、スペーサ高さとは、上記各色の着色部上に形成される透明保護層の表面から垂直方向に、上記積層柱上に形成される透明保護層の表面までの厚みをいうものである。
本発明の横電界液晶駆動方式用カラーフィルタの製造方法としては、上記各構成を精度良く形成することができるものであれば良い。具体的には、後述する「B.横電界液晶駆動方式用カラーフィルタの製造方法」に記載の方法を挙げることができる。
本発明の横電界液晶駆動方式用カラーフィルタの用途としては、液晶表示装置に用いることができ、なかでも、セルギャップが均一であり、表示品位に優れ、液晶層の汚染の低減が要求される液晶表示装置に好適に用いられる。
本発明の横電界液晶駆動方式用カラーフィルタの製造方法は、基板と、上記基板上に形成され、開口部を備えるブラックマトリクスと、上記開口部に形成された赤、緑および青の少なくとも3色の着色部を含む着色層と、上記ブラックマトリクス上に複数の上記着色層が積層されてなる積層柱とを有する横電界液晶駆動方式用カラーフィルタ形成用基板における上記ブラックマトリクス、着色層および積層柱の表面にスパッタリング法により無機材料を付着させ、無機透明保護層を形成する無機透明保護層形成工程を有することを特徴とするものである。
次いで、図3(c)に示すように、青色の着色部を含む青色着色層14Bを一括形成する。
次いで、図3(d)に示すように、緑色の着色部を含む緑色着色層14Gを一括形成し、積層柱5を形成する。
続いて、図3(e)に示すように、上記ブラックマトリクス3、赤、緑、青の3色の着色層(14R,14G,14B)、および積層柱5表面上に無機材料16をスパッタリング法により付着させ、上記ブラックマトリクス3、赤、緑、青の3色の着色層(14R、14G、14B)、および積層柱5を覆うように形成された無機透明保護層6を備える横電界液晶駆動方式用カラーフィルタ10を形成する(図3(f))。
なお、図3(e)〜(f)が無機透明保護層形成工程である。
本発明の横電界液晶駆動方式用カラーフィルタの製造方法における無機透明保護層形成工程は、上記横電界液晶駆動方式用カラーフィルタ形成用基板における上記ブラックマトリクス、着色層および積層柱の表面に、スパッタリング法により、無機透明保護層を形成する工程である。
本発明の横電界液晶駆動方式用カラーフィルタの製造方法は、上記無機透明保護層形成工程を有するものであれば良く、必要に応じてその他の工程を有するものであっても良い。
このようなその他の工程としては、上記無機透明保護層形成工程後に、上記無機透明保護層を覆うように配向膜を形成する配向膜形成工程を行ってもよい。
配向膜の厚みは、500Å〜1000Å程度とすることができる。
1.ブラックマトリクスの形成
透明基板として、大きさが300mm×400mm、厚みが0.7mmのガラス基板(コーニング社製1737ガラス)を準備した。この透明基板を定法にしたがって洗浄した後、ネガ型感光性ブラックレジスト(東京応化工業(株)製 CFPR DN−83)を塗布し、所定のマスクを介して露光、現像、熱処理して縦ストライプ線幅10μm、縦ストライプピッチ150μm、横ストライプ線幅75μm、横ストライプピッチ450μmとなる格子状のブラックマトリックスパターンを形成した。これにより、短辺が150μmで、長辺が450μmの開口部が、短辺方向に10μm間隔で、長辺方向に75μm間隔で形成された。また、長辺方向に隣接する開口部に挟まれる領域は、開口部の長辺方向の長さが75μmで、開口部の短辺方向の長さが150μmの長方形状の領域となった。
また、長辺方向に隣接する開口部に挟まれる領域のうち、青色着色部が形成される開口部に挟まれる領域を積層柱形成部位とした。
次に、下記組成の赤色着色層用のネガ型感光性樹脂組成物、青色着色層用のネガ型感光性樹脂組成物、緑色着色層用のネガ型感光性樹脂組成物を調製した。
・赤顔料(チバ・スペシャリティ・ケミカルズ社製 クロモフタルレッドA2B)
4.8重量部
・黄顔料(BASF社製 パリオトールイエローD1819) 1.2重量部
・分散剤(ビックケミー社製ディスパービック161) 3.0重量部
・モノマー(サートマー社製 SR399) 4.0重量部
・ポリマーI 5.0重量部
・開始剤(チバ・スペシャリティ・ケミカルズ社製 イルガキュア907)
1.4重量部
・開始剤(2,2´−ビス(o−クロロフェニル)−4,5,4´,5´−テトラフェニル−1,2´−ビイミダゾール) 0.6重量部
・溶剤(プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート) 80.0重量部
・青顔料(BASF社製 ヘリオゲンブルーL6700F) 6.0重量部
・顔料誘導体(アビシア社製 ソルスパース5000) 0.6重量部
・分散剤(ビックケミー社製ディスパービック161) 2.4重量部
・モノマー(サートマー社製 SR399) 4.0重量部
・ポリマーI 5.0重量部
・開始剤(チバ・スペシャリティ・ケミカルズ社製 イルガキュア907)
1.4重量部
・開始剤(2,2´−ビス(o−クロロフェニル)−4,5,4´,5´−テトラフェニル−1,2´−ビイミダゾール) 0.6重量部
・溶剤(プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート) 80.0重量部
・緑顔料(アビシア社製 モナストラルグリーン9Y−C) 4.2重量部
・黄顔料(BASF社製 パリオトールイエローD1819) 1.8重量部
・分散剤(ビックケミー社製ディスパービック161) 3.0重量部
・モノマー(サートマー社製 SR399) 4.0重量部
・ポリマーI 5.0重量部
・開始剤(チバ・スペシャリティ・ケミカルズ社製 イルガキュア907)
1.4重量部
・開始剤(2,2´−ビス(o−クロロフェニル)−4,5,4´,5´−テトラフェニル−1,2´−ビイミダゾール) 0.6重量部
・溶剤(プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート) 80.0重量部
ここで、上記重量平均分子量は、ゲル・パーミエーション・クロマトグラフィー(GPC)により、標準ポリスチレン換算値として求めたものである。
次に、上記の着色層を形成したガラス基板上にガリウムをドープした酸化インジウム膜(無機保護膜)を下記の条件でスパッタリング法にて成膜した。無機保護膜の膜厚は500Åとした。
・ガス流量比 Ar:O2=1:0.1
・パワー:1.5kW
・ガス圧:3mTorr
着色層を形成したガラス基板上に錫をドープした酸化ケイ素膜(無機保護膜)を下記の条件でスパッタリング法にて成膜した以外は、実施例1と同様にしてカラーフィルタを作製した。なお、無機保護膜の膜厚は1000Åとした。
・ガス流量比 Ar:O2=1:0.5
・パワー:0.5kW
・ガス圧:3mTorr
実施例1と同様に透明基板(ガラス基板)上に、ブラックマトリクス、着色層および積層柱を形成した。次いで、着色層を形成したガラス基板上に、カラーフィルタ保護膜用組成物として下記の保護膜用組成物をスピンコート法により塗布した。
・メタクリル酸メチル−スチレン−アクリル酸共重合体 … 32重量部
・エピコート180S70(ジャパンエポキシレジン(株)製)… 18重量部
・ジペンタエリスリトールペンタアクリレート … 42重量部
・開始剤(チバスペシャリティケミカルズ社製イルガキュア907)…8重量部
・3−メトキシブチルアセテート …300重量部
上記により作製したカラーフィルタのスペーサ高さを測定した。その結果、実施例1のスペーサ高さは3.5μmであった。また、実施例2のスペーサ高さは3.5μmであった。一方、比較例のスペーサ高さは、2.3μmであった。このように、実施例では十分なスペーサ高さとすることができる積層柱を有するカラーフィルタを形成することができた。
なお、上記スペーサ高さは、上記青色着色部上に形成された上記透明保護層表面を基準として測定した。
2、102 … 開口部
3、103 … ブラックマトリクス
4R,104R … 赤色の着色部
4G … 緑色の着色部
4B … 青色の着色部
5、105 … 積層柱
6 … 無機透明保護層
10、100 … カラーフィルタ
14R、114R … 赤色着色層
14G、114G … 緑色着色層
14B、114B … 青色着色層
106 … 樹脂製透明保護層
Claims (3)
- 基板と、
前記基板上に形成され、開口部を備えるブラックマトリクスと、
前記開口部に形成された赤、緑および青の少なくとも3色の着色部を含む着色層と、
前記ブラックマトリクス上に複数の前記着色層が積層されてなる積層柱と、
前記ブラックマトリクス、着色層および積層柱を覆うように乾式製膜法により形成され、無機材料からなる無機透明保護層と、
を有し、
前記無機材料が、酸化ケイ素に、ガリウム、セリウムおよび錫(スズ)のいずれかをドープさせたものであることを特徴とする横電界液晶駆動方式用カラーフィルタ。 - 前記無機透明保護層の膜厚が、200Å〜1800Åの範囲内であることを特徴とする請求項1に記載の横電界液晶駆動方式用カラーフィルタ。
- 基板と、前記基板上に形成され、開口部を備えるブラックマトリクスと、前記開口部に形成された赤、緑および青の少なくとも3色の着色部を含む着色層と、前記ブラックマトリクス上に複数の前記着色層が積層されてなる積層柱とを有する横電界液晶駆動方式用カラーフィルタ形成用基板における前記ブラックマトリクス、着色層および積層柱の表面にスパッタリング法により無機材料を付着させ、無機透明保護層を形成する無機透明保護層形成工程を有し、
前記無機材料が、酸化ケイ素に、ガリウム、セリウムおよび錫(スズ)のいずれかをドープさせたものであることを特徴とする横電界液晶駆動方式用カラーフィルタの製造方法。
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