JP5640329B2 - カラーフィルタ、およびカラーフィルタの製造方法 - Google Patents

カラーフィルタ、およびカラーフィルタの製造方法 Download PDF

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Description

本発明は、表示装置に用いられるカラーフィルタ、その製造方法、上記カラーフィルタに用いられる着色層形成用塗工液セット、さらには上記カラーフィルタを用いた表示装置に関するものである。
液晶表示装置は、その省電力、軽量、薄型等といった特徴を有することから、従来のCRTディスプレイに替わり、近年急速に普及している。一般的な液晶表示装置としては、図11に示すように、入射側の偏光板102Aと、出射側の偏光板102Bと、液晶セル101とを有するものを挙げることができる。偏光板102Aおよび102Bは、所定の振動方向の振動面を有する直線偏光のみを選択的に透過させるように構成されたものであり、それぞれの振動方向が相互に直角の関係になるようにクロスニコル状態で対向して配置されている。また、液晶セル101は画素に対応する多数のセルを含むものであり、偏光板102Aと102Bとの間に配置されている。
このような液晶表示装置は、上記液晶セルに用いられる液晶材料の配列形態により種々の駆動方式を用いたものが知られている。今日、普及している液晶表示装置の主たるものは、ねじれネマチック方式(TN)、超ねじれネマチック方式(STN)、複数配向分割型垂直配向方式(MVA)、横型電解駆動方式(IPS)、および、OCB(Optically Compensated Bend)等に分類される。なかでも今日においては、上記MVA、および、IPSの駆動方式を有するものが広く普及するに至っている。
一方、液晶表示装置はその特有の問題点として、液晶セルや偏光板の屈折率異方性に起因する視野角依存性の問題点がある。この視野角依存性の問題は、液晶表示装置を正面から見た場合と、斜め方向から見た場合とで視認される画像の色味やコントラストが変化してしまう問題である。このような視野角特性の問題は、近年の液晶表示装置の大画面化に伴って、さらにその問題の重大性を増している。
このような視野角依存性の問題を改善するため、現在までに様々な技術が開発されている。その代表的な方法として位相差フィルムを用いる方法がある。この位相差フィルムを用いる方法は、例えば、図12に示すように所定の光学特性を有する位相差フィルム103を、液晶セル101と偏光板102Aおよび102Bとの間に配置することにより、視野角依存性の問題を改善する方法である。このような方法は位相差フィルム103を液晶表示装置に組み込むことのみで上記視野角依存性の問題点を改善できることから、簡便に視野角特性に優れた液晶表示装置を得ることが可能な方法として広く用いられるに至っている。
しかしながら、液晶表示装置に用いられるカラーフィルタは、各色の着色層によって異なる位相差を有するため、上記の位相差フィルムを用いた場合、各色の着色層が有する位相差の差異は補償することができないという問題があり、視野角依存性の問題点を完全に解決することは困難であった。
そこで上記問題を解決するため、特許文献1では、カラーフィルタの各色の着色層によって、それぞれ最適な位相差を有する位相差層を形成する方法が開示されている。しかしながら、この方法では、各色の着色層上に位相差層を形成する必要があるため、工程が煩雑で、コストも高くなるという問題があった。
上記の記載は、液晶表示装置に関するものであるが、液晶表示装置に関わらず、例えば有機EL表示装置等のカラーフィルタおよび位相差層を有する表示装置については同様の問題があった。
特開2007−279448号公報
本発明は、黒表示時に斜め方向から観察された場合でも、色みを有する黒表示とならないような視野角拡大に優れた特性を有するカラーフィルタ、上記カラーフィルタを製造するカラーフィルタの製造方法、上記カラーフィルタを製造する際に用いられる着色層形成用塗工液セット、および視野角特性に優れた表示装置を提供することを主目的とする。
本発明は、上記目的を達成するために、透明基板と、上記透明基板上に形成された複数色の着色層とを有するカラーフィルタであって、各色の上記着色層は、少なくとも顔料とバインダー樹脂とを含有するものであり、各色の上記着色層が有する厚み方向のレターデーション(以下、Rthと称する。)が均一になるように、PV比を調整した着色層形成用塗工液を用いて各色の上記着色層が形成されることを特徴とするカラーフィルタを提供する。
本発明によれば、PV比を調整した着色層形成用塗工液を用いて各色の上記着色層が形成されることによって、各色の上記着色層が有するRthを均一なものとすることができるので、本発明のカラーフィルタを用いた表示装置においては、黒表示時に斜め方向から観察された場合であっても、色みのない黒表示とすることができる。
また、本発明によれば、各色の上記着色層が有するRthを調整することによって、視野角特性を改善することができるため、各色の着色層上に最適な位相差層をそれぞれ形成する場合に比べて、少ない工程でカラーフィルタを形成することができる。
また、本発明は、透明基板と、上記透明基板上に形成された複数色の着色層とを有するカラーフィルタであって、各色の上記着色層は、少なくとも顔料とバインダー樹脂とを含有するものであり、当該カラーフィルタが表示装置に用いられた際に、当該カラーフィルタが有する厚み方向のRthと、上記表示装置が当該カラーフィルタを有さない状態(以下、カラーフィルタ未装着表示装置と称する。)の厚み方向のRthとが相殺されるように、PV比を調整した着色層形成用塗工液を用いて各色の上記着色層が形成されることを特徴とするカラーフィルタを提供する。
本発明によれば、上述した着色層を有することにより、カラーフィルタ未装着表示装置とカラーフィルタとのRthが相殺されるため、カラーフィルタを装着して表示装置とした際に、コントラストを向上させることができる。
また、上記着色層により視野角特性を向上させることが可能となるので、着色層上に最適な位相差層をそれぞれ形成する場合に比べて少ない工程でカラーフィルタを形成することが可能となる。
上記発明においては、各色の上記着色層上に、上記カラーフィルタの表面を平坦化する平坦化層が形成されていてもよい。カラーフィルタの各色の着色層形成用塗工液のPV比を調整することにより、各色の着色層の膜厚が大きく異なる場合があるからである。このような場合は、カラーフィルタの表面を平坦化することによって、表示装置に用いられた際に、隣接する層への悪影響を抑制することができるからである。
本発明は、カラーフィルタとした際に要求される色濃度となる量の顔料と、バインダー樹脂とを用いて所定のPV比を有する測定用着色層形成用塗工液を調製し、上記測定用着色層形成用塗工液を用いて、測定用透明基板上に測定用着色層を形成する測定用着色層形成工程と、上記測定用着色層が有するRthを測定し、測定結果に基づいて、各色の着色層が有するRthが均一となるように、各色の上記着色層形成用塗工液のPV比を増減させて決定する着色層PV比決定工程とを有することを特徴とするカラーフィルタの製造方法を提供する。
本発明によれば、各色の上記測定用着色層について測定用着色層が有するRthを測定し、測定結果に基づいて、カラーフィルタの各色の着色層が有するRthが均一になるように、着色層形成用塗工液のPV比を増減させて各色の着色層が有するRthを調整することにより、黒表示時に斜め方向から観察された場合においても、色みのない黒表示を行うことができるカラーフィルタを製造することが可能となる。
本発明は、複数色の測定用着色層が有するRthの符号が、当該カラーフィルタが表示装置に用いられた際に、カラーフィルタ未装着表示装置のRthを相殺することが可能な符号となるように、顔料およびバインダー樹脂を選択する顔料およびバインダー樹脂選択工程と、カラーフィルタとした際に要求される色濃度となる量の上記顔料と、バインダー樹脂とを用いて所定のPV比を有する上記測定用着色層形成用塗工液を調製し、上記測定用着色層形成用塗工液を用いて透明基板上に測定用着色層を形成する測定用着色層形成工程と、各色の上記測定用着色層が有するRthを測定し、測定結果に基づいて、当該カラーフィルタが表示装置に用いられた際に、当該カラーフィルタが有するRthと、上記カラーフィルタ未装着表示装置のRthとが相殺されるように、各色の上記着色層形成用塗工液のPV比を増減させて決定する着色層PV比決定工程とを有することを特徴とするカラーフィルタの製造方法を提供する。
本発明によれば、各色の上記測定用着色層について上記測定用着色層が有するRthを測定し、当該カラーフィルタが表示装置に用いられた際に、上記カラーフィルタが有するRthと、上記カラーフィルタ未装着表示装置が有するRthとが相殺されるように、各色の着色層形成用塗工液のPV比を増減させて調整を行うことにより、カラーフィルタを装着して表示装置とした際のコントラストが高いカラーフィルタを製造することができる。
上記発明においては、上記着色層PV比決定工程において、予め、上記測定用着色層形成用塗工液のPV比の値に対する測定用着色層が有するRthの値が示された検量線を作成し、上記検量線を用いて各色の上記着色層形成用塗工液のPV比を増減させて決定することが好ましい。これにより、各色の上記着色層が有するRthを正確かつ容易に調整することができる。
本発明は、カラーフィルタを製造する際、複数色の着色層を形成するために用いられる複数の着色層形成用塗工液からなる着色層形成用塗工液セットであって、各着色層形成用塗工液が、少なくとも顔料とバインダー樹脂とを含有するものであり、上記着色層形成用塗工液セットを用いて形成された各色の上記着色層が有するRthが均一になるように、各着色層形成用塗工液のPV比が調整されていることを特徴とする着色層形成用塗工液セットを提供する。
本発明によれば、上記着色層形成用塗工液セットを用いて形成された複数色の着色層は、各色の上記着色層が有するRthを均一なものとすることができるので、上記着色層形成用塗工液セットを用いて形成されたカラーフィルタを用いた表示装置においては、黒表示時に斜め方向から観察された場合であっても、色みのない黒表示とすることができる。
また本発明は、カラーフィルタを製造する際、複数色の着色層を形成するために用いられる複数の着色層形成用塗工液からなる着色層形成用塗工液セットであって、各着色層形成用塗工液が、少なくとも顔料とバインダー樹脂とを含有するものであり、当該カラーフィルタが表示装置に用いられた際に、当該カラーフィルタが有するRthと、上記カラーフィルタ未装着表示装置のRthとが相殺されるように、各着色層形成用塗工液のPV比が調整されていることを特徴とする着色層形成用塗工液セットを提供する。
本発明によれば、上記着色層形成用塗工液セットを用いてカラーフィルタとし、上記カラーフィルタを表示装置とすることにより、上記カラーフィルタが有するRthと、カラーフィルタ未装着表示装置が有するRthとを相殺することが可能となるので、コントラストの高い表示装置を得ることが可能となる。
本発明は、透明基板と、上記透明基板上に形成された複数色の着色層とを有するカラーフィルタを備える表示装置であって、上記カラーフィルタの各色の上記着色層は、少なくとも顔料とバインダー樹脂とを含有するものであり、上記カラーフィルタが有するRthと、上記カラーフィルタ未装着表示装置のRthとが相殺されるように、PV比を調整した着色層形成用塗工液を用いて各色の上記着色層が形成されることを特徴とする表示装置を提供する。
本発明によれば、上記カラーフィルタと上記カラーフィルタ未装着表示装置とのRthが相殺されるため、コントラストを向上させることができる。
本発明においては、PV比を調整した着色層形成用塗工液を用いて各色の上記着色層が形成されることによって、各色の着色層のRthを一定にすることができるので、本発明のカラーフィルタを表示装置に用いた際に、黒表示時に斜めから観察された場合でも、色みのない黒表示とすることが可能となる。
また、本発明においては、PV比を調整した着色層形成用塗工液を用いて各色の上記着色層が形成されることによって、本発明のカラーフィルタが表示装置に用いられた際に、カラーフィルタが有するRthとカラーフィルタ未装着表示装置が有するRthとを相殺することができるため、カラーフィルタが装着された表示装置のコントラストを向上させることができる。
また、本発明においては、各色の着色層によってRthの調整が行われるため、カラーフィルタの各色の着色層上に、最適な位相差層をそれぞれ形成する場合に比べて工程数が少なくてすみ、低コストでカラーフィルタを得ることが可能となる。
カラーフィルタのRthの分布とPV比との関係を示す図である。 本発明のカラーフィルタの一例を示す概略断面図である。 本発明のカラーフィルタのRthの分布の一例を示す図である。 本発明のカラーフィルタの他の一例を示す概略断面図である。 各色の着色層が有するRthが均一であるカラーフィルタの一例を示す概略断面図である。 各色の着色層が有するRthが均一であるカラーフィルタのRthの分布の一例を示す概略断面図である。 本発明のカラーフィルタのRthの分布の他の一例を示す図である。 本発明のカラーフィルタのRthの分布の他の一例を示す図である。 本発明のカラーフィルタのRthの分布の他の一例を示す図である。 本発明のカラーフィルタのRthの分布の他の一例を示す図である。 一般的な液晶表示装置の一例を示す概略図である。 位相差フィルムが用いられた液晶表示装置の一例を示す概略図である。
以下、本発明のカラーフィルタ、カラーフィルタの製造方法、着色層形成用塗工液セット、および表示装置について説明する。
A.カラーフィルタ
本発明のカラーフィルタは、各色の着色層が有するRthを調整するために、各色の上記着色層のPV比が調整されたものであることを特徴とするものである。
ここで、「着色層のPV比」とは、着色層中の顔料の含有量と、着色層中のバインダー樹脂の含有量との比率を示すものであるが、これを直接特定することができない場合は、「着色層形成用塗工液中の顔料の含有量/着色層形成用塗工液中のバインダー樹脂の含有量」で示すことができる。また、「バインダー樹脂」とは、ポリマー成分、および重合可能なモノマー成分から構成されるものである。
一般に、カラーフィルタの着色層は、各色の着色層の色特性が同等になるように形成されるため、単位面積(1μm)当たりの顔料の含有量は予め設定されるものである。
したがって、単位面積(1μm)当たりの顔料の含有量が一定である場合、PV比を小さくすると、バインダー樹脂の含有量は増えるため、形成される着色層の膜厚は大きくなり、PV比を大きくすると、バインダー樹脂の含有量は減るため、形成される着色層の膜厚は小さくなる。
またここで、「着色層が有するRth」は、着色層の面内における進相軸方向(屈折率が最も小さい方向)の屈折率Nx、および、遅相軸方向(屈折率が最も大きい方向)の屈折率Nyと、厚み方向の屈折率Nzと、着色層の厚みd(nm)とにより、Rth={(Nx+Ny)/2−Nz}×dの式で表される値である。
また、本実施態様に用いられる各色の上記着色層が有するRthについては、赤色着色層には620nmの波長を、緑色着色層には550nmの波長を、青色着色層には450nmの波長をそれぞれ測定波長として、位相差測定装置(AXOMETRICS社製AxoscanTM Mueller Matrix Polarimeter)を用いて測定された値を用いるものとする。
次に、着色層が有するRthの絶対値と着色層のPV比との関係について説明する。
着色層が有するRthの絶対値は、着色層のPV比の変化とともに変化する値である。また、上記着色層のPV比の変化に伴う上記着色層が有するRthの絶対値の変化の仕方は、着色層を構成する顔料の種類およびバインダー樹脂の種類の組み合わせにより様々であり、例えば上記着色層のPV比が大きくなるにつれて上記着色層が有するRthの絶対値が大きくなる態様や、また例えば上記着色層のPV比が大きくなるにつれて上記着色層が有するRthの絶対値が小さくなる態様が存在する。
図1は、着色層が有するRthの分布と着色層のPV比との関係を示す図である。このとき、単位面積(1μm)当たりの着色層中に含有される顔料量は一定であるものとする。また、図1においては、着色層が有するRthは負の値をとるものとする。
図1(a)は、上記着色層のPV比が大きくなるにつれて着色層が有するRthの絶対値が大きくなる態様における着色層のRthの分布と着色層のPV比との関係について示している。この態様においては、例えば、着色層のPV比がtである場合は、着色層のPV比が(1/2)tである場合に比べて着色層が有するRthの絶対値は大きなものとなる。また、着色層のPV比が(1/2)tである場合は、着色層のPV比が(1/4)tである場合に比べて着色層が有するRthの絶対値は大きなものとなる。
また、図1(b)は、上記着色層のPV比が大きくなるにつれて着色層が有するRthの絶対値が小さくなる態様における着色層のRthの分布と着色層のPV比との関係について示している。この態様においては、例えば、着色層のPV比がtである場合は、着色層のPV比が(1/2)tである場合に比べて着色層が有するRthの絶対値は小さなものとなる。また、着色層のPV比が(1/2)tである場合は、着色層のPV比が(1/4)tである場合に比べて着色層が有するRthの絶対値は小さなものとなる。
ここで、上述した2つの態様について顔料およびバインダー樹脂の組み合わせの具体例を挙げる。
着色層のPV比が大きくなるにつれて着色層が有するRthの絶対値が大きくなる態様を示す顔料およびバインダー樹脂の組み合わせの具体例としては、赤色顔料(チバ・スペシャリティ・ケミカルズ社製 クロモフタルレッドA2B)および黄顔料(BASF社製 パリオトールイエローD1819)と、モノマー(サートマー社製 SR399)およびポリマーIから構成されるバインダー樹脂との組み合わせが挙げられる。ここで、ポリマーIは、ベンジルメタクリレート:スチレン:アクリル酸:2−ヒドロキシエチルメタクリレート=15.6:37.0:30.5:16.9(モル比)の共重合体100モル%に対して、2−メタクリロイルオキシエチルイソシアネートを16.9モル%付加したものであり、重量平均分子量は42500である。
ここで、上記重量平均分子量は、ゲル・パーミエーション・クロマトグラフィー(GPC)により、標準ポリスチレン換算値として求めたものである。
また、他の具体例としては、青顔料(BASF社製 ヘリオゲンブルーL6700F)と上述したバインダー樹脂との組み合わせが挙げられる。
一方、着色層のPV比が大きくなるにつれて着色層が有するRthの絶対値が小さくなる態様を示す顔料およびバインダー樹脂の組み合わせの具体例としては、緑顔料(アビシア社製 モナストラルグリーン9Y−C)および黄顔料(BASF社製 パリオトールイエローD1819)と、上述したバインダー樹脂との組み合わせが挙げられる。
上述したように、着色層のPV比を調整することにより、着色層が有するRthの絶対値を変化させることができる理由については明らかではないが、次のように考えられる。すなわち、着色層形成用塗工液中に含有されるバインダー樹脂が増えることにより、製膜された膜の熱収縮の度合いが増加する。その結果、膜中に存在する異方性を有する物質の配向が進みRthが変化すると考えられる。顔料の種類やバインダー樹脂の種類により、上記異方性を有する物質の配向によるRthがすべて同じ方向に大きくなるならばRthの絶対値は大きくなり、配向によるRthがそれぞれ異なるならば、Rthの絶対値は小さくなると推量される。
本発明においては、カラーフィルタの製造時に、着色層に用いられる顔料の種類およびバインダー樹脂の種類の組み合わせについて、着色層のPV比の増減に対する着色層のRthの絶対値の変化を予め調べることにより、着色層形成用塗工液のPV比を調整して、形成される着色層のRthを所望する値にすることができる。
本発明のカラーフィルタにおいては、各色の着色層が有するRthが均一なものとなるように、PV比を調整した着色層形成用塗工液を用いて各色の上記着色層が形成されている態様(以下、第1実施態様とする。)と、カラーフィルタが表示装置に用いられた際に、上記カラーフィルタのRthと上記カラーフィルタ未装着表示装置のRthとが相殺されるように、PV比を調整した着色層形成用塗工液を用いて各色の上記着色層が形成されている態様(以下、第2実施態様とする。)とが挙げられる。
以下、各実施態様について、それぞれ説明する。
1.第1実施態様
本実施態様のカラーフィルタは、透明基板と、上記透明基板上に形成された複数色の着色層とを有するカラーフィルタであって、各色の上記着色層は、少なくとも顔料とバインダー樹脂とを含有するものであり、各色の上記着色層が有するRthが均一になるように、PV比を調整した着色層形成用塗工液を用いて各色の上記着色層が形成されることを特徴とするものである。
ここで、「各色の上記着色層が有するRthが均一になる」とは、各色の上記着色層が有するRthが、本実施態様のカラーフィルタを表示装置とした際に、黒表示時に斜め方向から観察された場合であっても、色みを帯びた黒表示が観察されない程度に揃うことを指す。具体的には、カラーフィルタの各色の着色層が有するRthの最大値と最小値の差の絶対値が、5nm以下、好ましくは3nm以下、特に好ましくは1nm以下の場合を示すこととする。
本実施態様のカラーフィルタは、上述したように、各色の着色層が有するPV比を調整することによって、カラーフィルタのRthの絶対値を変化させることにより、各色の上記着色層が有するRthが均一になるように調整することを特徴とするものである。本実施態様においては、各色の着色層のPV比を調整することにより、各色の着色層が有するRthの絶対値を変化させることはできても、Rthの符号を変化させることはできないため、カラーフィルタの各色の着色層が有するRthの符号が正負混在している場合は、各色の着色層が有するRthを均一にすることは困難である。したがって、本発明のカラーフィルタの各色の着色層が有するRthの符号は、すべて正の符号、もしくはすべて負の符号のいずれかであることが好ましい。
次に、本実施態様のカラーフィルタを図を用いて説明する。
図2は、本実施態様のカラーフィルタの一例を示す概略断面図である。図2に示すように、本実施態様のカラーフィルタ10は、透明基板1と、透明基板1上に形成された複数色の着色層2(図2では、赤色着色層2R、緑色着色層2G、青色着色層2B)とを有するものである。ここで、複数色の着色層2は、各色の着色層2が有するRthが均一になるように、それぞれ着色層のPV比が調整されて形成されているため、各色の着色層2の膜厚は異なるものとなっている。
なお、本実施態様のカラーフィルタ10は、通常、透明基板1上の着色層2の間に遮光部3を有する。
次に、カラーフィルタの各色の着色層が有するRthと各色の着色層のPV比について説明する。
図3は、カラーフィルタの各色の着色層のRthの分布の一例を示す図である。図3では、カラーフィルタの着色層に赤色(R)、緑色(G)、および青色(B)が用いられている場合を示している。また、各色の着色層の分布については、R(n)、G(n)、およびB(n)は各色の着色層が従来の方法で調整されている場合、R(c)、G(c)、およびB(c)は各色の着色層について着色層のPV比が調整されている場合を示している。
従来のカラーフィルタの製造方法においては、各色の着色層については、要求される色特性に応じて、単位面積当たりの顔料の含有量が決定され、各色の厚みがほぼ一定となるようにPV比が決定される。この場合、図3のR(n)、G(n)、およびB(n)に示すように、各色の着色層が有するRthは、通常、それぞれ異なる値をとる。このような場合、表示装置に用いられる位相差層は、上述した各色の着色層のRthについて補償するものではないので、斜め方向から黒表示を観察した場合、特定の波長の光において漏れ光が生じることにより、色みをおびた黒色が観察されるという問題があった。
一方、本実施態様においては、着色層形成用塗工液中のバインダー樹脂の含有量を変化させ、着色層のPV比を変化させることによって、図3のR(c)、G(c)、およびB(c)に示すように、各色の着色層のRthを均一な値とすることができる。
この際、例えば、3色の上記着色層が、それぞれ上記着色層のPV比が大きくなるにつれて上記着色層が有するRthの絶対値が大きくなるものである場合は、着色層のRthの絶対値が揃えようとする値(図3では、Rth=−20nm)よりも大きな場合(図3では、G(n)の場合)は、着色層のPV比を小さくすることによりRthの絶対値の値を下げ、着色層のRthの絶対値が揃えようとする値よりも小さい場合(図3では、R(n)、およびB(n)の場合)は、着色層のPV比を大きくすることによりRthの絶対値の値を上げることで調整が行われる。
また、例えば、3色の上記着色層が、それぞれ上記着色層のPV比が大きくなるにつれて上記着色層が有するRthの絶対値が小さくなるものである場合は、着色層のRthの絶対値が揃えようとする値(図3では、Rth=−20nm)よりも大きな場合(図3では、G(n)の場合)は、着色層のPV比を大きくすることによりRthの絶対値の値を下げ、着色層のRthの絶対値が揃えようとする値よりも小さい場合(図3では、R(n)、およびB(n)の場合)は、着色層のPV比を小さくすることによりRthの絶対値の値を上げることで調整が行われる。
上記記載は、3色の上記着色層が、それぞれ上記着色層のPV比を大きくすることによって、上記着色層が有するRthの絶対値が大きくなるものである場合、もしくは、3色の上記着色層が、それぞれ上記着色層のPV比を大きくすることによって、上記着色層が有するRthの絶対値が小さくなるものである場合について述べたが、これ以外の場合についても、着色層のPV比の変化に対する着色層のRthの絶対値の変化に合わせて着色層形成用塗工液中のバインダー樹脂の含有量を変化させればよい。
このように、着色層のPV比を調整することにより、各色の着色層が有するRthを均一なものとすることができるので、本実施態様のカラーフィルタを用いた表示装置においては、斜め方向から黒表示を観察した際に、特定の波長の光における漏れ光が生じないため、色みを帯びた黒表示とはならず、良好な黒表示を行うことができる。
以下、本実施態様のカラーフィルタの各構成について説明する。
a.着色層
本実施態様に用いられる着色層は、後述する透明基板上に形成され、少なくとも顔料とバインダー樹脂とを含有するものであり、各色の上記着色層が有するRthが均一になるように、各色の上記着色層のPV比が調整されたものである。
通常、カラーフィルタの着色層としては、赤色、緑色、および青色の3色が用いられる。
本実施態様においては、各色の上記着色層のPV比は、各色の上記着色層が有するRthが均一になるように調整されているものであれば、各色の着色層のPV比が同等であってもよいし、各色の着色層のうち1色以上の着色層のPV比が他の色の着色層のPV比と異なるように調整されていてもよい。各色の着色層のPV比については、着色層中のバインダー樹脂の割合を増減させることにより適宜調整されるものである。
本実施態様に用いられる着色層は、少なくとも顔料とバインダー樹脂とを含有するものである。
赤色着色層に用いられる顔料としては、例えば、ペリレン系顔料、レーキ顔料、アゾ系顔料、キナクリドン系顔料、アントラキノン系顔料、アントラセン系顔料、イソインドリン系顔料等が挙げられる。これらの顔料は単独で用いてもよく2種以上を混合して用いてもよい。
緑色着色層に用いられる顔料としては、例えば、ハロゲン多置換フタロシアニン系顔料もしくはハロゲン多置換銅フタロシアニン系顔料等のフタロシアニン系顔料、イソインドリン系顔料、イソインドリノン系顔料等が挙げられる。これらの顔料は単独で用いてもよく2種以上を混合して用いてもよい。
青色着色層に用いられる顔料としては、例えば、銅フタロシアニン系顔料、アントラキノン系顔料、インダンスレン系顔料、インドフェノール系顔料、シアニン系顔料、ジオキサジン系顔料等が挙げられる。これらの顔料は単独で用いてもよく2種以上を混合して用いてもよい。
上記バインダー樹脂は、重合可能なモノマー成分と、ポリマー成分とから構成されるものである。このようなモノマー成分、ポリマー成分としては、一般的に着色層の形成に用いられているものと同様とすることができる。
上記ポリマー成分は、重合可能なものであってもよく、重合可能なものでなくてもよい。上記ポリマー成分としては、例えば、エチレン−酢酸ビニル共重合体、エチレン−塩化ビニル共重合体、エチレンビニル共重合体、ポリスチレン、アクリロニトリル−スチレン共重合体、ABS樹脂、ポリメタクリル酸樹脂、エチレンメタクリル酸樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂、塩素化塩化ビニル、ポリビニルアルコール、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリカーボネート、ポリビニルアセタール、ポリエーテルエーテルケトン、ポリエーテルサルフォン、ポリフェニレンサルファイド、ポリアリレート、ポリビニルブチラール、エポキシ樹脂、フェノキシ樹脂、ポリイミド樹脂、ポリアミドイミド樹脂、ポリアミック酸樹脂、ポリエーテルイミド樹脂、フェノール樹脂、ユリア樹脂等が挙げられる。また、上記ポリマー成分としては、重合可能なモノマーであるメチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、n−プロピル(メタ)アクリレート、イソプロピル(メタ)アクリレート、sec−ブチル(メタ)アクリレート、イソブチル(メタ)アクリレート、tert−ブチル(メタ)アクリレート、n−ペンチル(メタ)アクリレート、n−ヘキシル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、n−オクチル(メタ)アクリレート、n−デシル(メタ)アクリレート、スチレン、α−メチルスチレン、N−ビニル−2−ピロリドン、グリシジル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、ジシクロペンタニル(メタ)アクリレート、ジシクロペンタニルオキシエチル(メタ)アクリレート、フェニル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレートの1種以上と、アクリル酸、メタクリル酸、アクリル酸の2量体(例えば、東亜合成化学(株)製M−5600)、イタコン酸、クロトン酸、マレイン酸、フマル酸、ビニル酢酸、これらの酸無水物等の1種以上とからなるポリマーまたはコポリマー等が挙げられる。さらに、上記のコポリマーにグリシジル基または水酸基を有するエチレン性不飽和化合物を付加させたポリマー等が挙げられる。上記のポリマー成分は一例であり、これらに限定されるものではない。
上記のポリマー成分の中で、併せて使用するモノマー成分との相溶性等の観点から、ポリメタクリル酸メチル樹脂、ポリメタクリル酸エチル樹脂、ポリメタクリル酸メチル樹脂とポリメタクリル酸エチル樹脂の共重合体、フェノキシ樹脂、エポキシ樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリスチレン樹脂、エチルヒドロキシエチルセルロース、セルローストリアセテート等を好ましく使用することができる。特に好ましくは、ポリメタクリル酸メチル樹脂、ポリメタクリル酸エチル樹脂、ポリスチレン樹脂、メタクリル酸とスチレン、グリシジル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、ジシクロペンタニル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレートの2種類以上からなる共重合体、フェノキシ樹脂、エポキシ樹脂、および、これらの変性物を使用することができる。
上記ポリマー成分の分子量としては、特に限定されるものではない。
上記モノマー成分としては、重合可能なものであれば特に限定されるものではないが、光重合反応により重合可能なものが好ましく用いられる。このようなモノマー成分としては、例えば、アリル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、ブトキシエチル(メタ)アクリレート、ブトキシエチレングリコール(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、ジシクロペンタニル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、グリセロール(メタ)アクリレート、グリシジル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、イソボニル(メタ)アクリレート、イソデキシル(メタ)アクリレート、イソオクチル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、2−メトキシエチル(メタ)アクリレート、メトキシエチレングリコール(メタ)アクリレート、フェノキシエチル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、1,4−ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、1,5−ペンタンジオールジ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、1,3−プロパンジオール(メタ)アクリレート、1,4−シクロヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、2,2−ジメチロールプロパンジ(メタ)アクリレート、グリセロールジ(メタ)アクリレート、トリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、グリセロールトリ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ポリオキシエチル化トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、トリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリオキシプロピルトリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ブチレングリコールジ(メタ)アクリレート、1,2,4−ブタントリオールトリ(メタ)アクリレート、2,2,4−トリメチル−1,3−ペンタンジオールジ(メタ)アクリレート、ジアリルフマレート、1,10−デカンジオールジメチル(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、γ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、1−ビニル−2−ピロリドン、2−ヒドロキシエチルアクリロイルホスフェート、テトラヒドロフルフリール(メタ)アクリレート、ジシクロペンテニル(メタ)アクリレート、ジシクロペンテニルオキシエチル(メタ)アクリレート、3−ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ヒドロキシピバリン酸エステルネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、フェノール−エチレンオキサイド変性(メタ)アクリレート、フェノール−プロピレンオキサイド変性(メタ)アクリレート、N−ビニル−2−ピロリドン、ビスフェノールA−エチレンオキサイド変性ジ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールジ(メタ)アクリレートモノステアレート、テトラエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパンプロピレンオキサド変性トリ(メタ)アクリレート、イソシアヌール酸エチレンオキサイド変性トリ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパンエチレンオキサイド変性トリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ポリウレタン構造を有するオリゴマーに(メタ)アクリレート基を結合させたウレタン(メタ)アクリレートオリゴマー、ポリエステル構造を有するオリゴマーに(メタ)アクリレート基を結合させたポリエステル(メタ)アクリレートオリゴマー、エポキシ基を有するオリゴマーに(メタ)アクリレート基を結合させたエポキシ(メタ)アクリレートオリゴマー、(メタ)アクリレート基を有するポリウレタン(メタ)アクリレート、(メタ)アクリレート基を有するポリエステル(メタ)アクリレート、(メタ)アクリレート基を有するエポキシ(メタ)アクリレート樹脂等が挙げられる。
なお、(メタ)アクリレートとは、アクリレート基またはメタクリレート基のいずれかであることを意味する。
本実施態様に用いられる着色層が有するRthの符号は、上述した顔料およびバインダー樹脂の組み合わせにより決定されるものである。
上記着色層が有するRthの符号が正の符号となる顔料およびバインダー樹脂の組み合わせとしては、具体的には、赤色顔料(C.I.pigment red 254、チバ・スペシャリティ・ケミカルズ株式会社製 イルガフォアレッドB−CF)と、モノマー(サートマー社製 SR399)および上述したポリマーIから構成されるバインダー樹脂との組み合わせが挙げられる。
また、上記着色層が有するRthの符号が負の符号となる顔料およびバインダー樹脂の組み合わせとしては、緑色顔料(アビシア社製 モナストラルグリーン9Y−C)および黄色顔料(BASF社製 パリオトールイエローD1819)と、上述したバインダー樹脂との組み合わせが挙げられる。またその他の組み合わせとして、青色顔料(BASF社製 ヘリオゲンブルーL6700F)と上述したバインダー樹脂との組み合わせ、赤色顔料(赤顔料(チバ・スペシャリティ・ケミカルズ社製 クロモフタルレッドA2B)および黄顔料(BASF社製 パリオトールイエローD1819)と、上述したバインダー樹脂との組み合わせが挙げられる。
また、着色層は、必要に応じて、増感剤、塗布性改良剤、現像改良剤、架橋剤、重合禁止剤、可塑剤、難燃剤等を含有していてもよい。
本実施態様においては、上記着色層のPV比の調整方法として、所望する色濃度を再現するために必要な顔料の含有量に合わせて、バインダー樹脂の配合割合を調整することにより、上記着色層のPV比の調整が行われる。また、本実施態様においては、塗布厚みが使用する着色層形成用塗工液の粘度によって変化する場合には、着色層形成用塗工液の粘度を適宜選択することが好ましい。
各色の上記着色層のPV比としては、各色の着色層が有するRthを均一にすることができるものであれば特に限定されるものではないが、上限としては、0.7以下であり、中でも0.05〜0.6の範囲内、特に0.1〜0.5の範囲内が好ましい。各色の上記着色層のPV比が上記範囲を超える場合、着色層を形成することが困難であるからである。また、下限としては、0.05以上である。上記範囲に満たない場合は、着色層の膜厚が大きくなりすぎるからである。
各色の着色層の膜厚としては、各色の着色層のPV比により決定されるものであるが、具体的には1μm〜5μmの範囲内で設定することができる。
また、各色の着色層のパターンは、画素に対応して規則的に配列される。着色層の配列としては、各色の着色層が巨視的に見て平均的に配列されていれば特に限定されるものではなく、例えばストライプ配列、モザイク配列、デルタ配列等が挙げられる。
また、上記着色層の形成方法としては、印刷法を用いることも可能であるが、例えば上記顔料をバインダー樹脂に混合、分散または可溶化させて着色層形成用塗工液を調製し、この着色層形成用塗工液を用いてフォトリソグラフィ法によってパターニングする方法、あるいは、着色層形成用塗工液を用いてインクジェット法によりパターニングする方法が好適に用いられる。
b.透明基板
本実施態様に用いられる透明基板は、着色層、および必要に応じて遮光部を形成可能であり、可視光に対して透明な基材であれば特に限定されるものではない。
本実施態様においては、上記透明基板がRthを有さないものであることがより好ましい。このような透明基板としては、一般的なカラーフィルタに用いられる透明基板と同様のものとすることができる。
具体的には、無アルカリガラス、石英ガラス、パイレックス(登録商標)ガラス、合成石英板等の可撓性のない透明なリジッド材、あるいは、透明樹脂フィルム、光学用樹脂板等の可撓性を有する透明なフレキシブル材等が挙げられる。
c.その他の部材
本実施態様のカラーフィルタは、上記着色層、および透明基板を少なくとも有しているのであれば、特に限定されるものではなく、必要な部材を適宜加えてもよい。例えば、カラーフィルタの表面を平坦化させるための平坦化層や、画素を区画する遮光部等が挙げられる。以下それぞれについて説明する。
(i)平坦化層
本実施態様に用いられる平坦化層は、カラーフィルタ上に形成される層の厚みを一定に保つために形成されるものである。
本実施態様においては、各色の着色層が有するRthを均一なものとするために、各色の着色層のPV比の調整を行うので、各色の着色層の膜厚が大きく異なる場合がある。
本実施態様において、カラーフィルタの各色の着色層の膜厚が大きく異なる場合には、表示装置に用いられた際に、隣接層に悪影響を与える可能性が考えられる。例えば本実施態様のカラーフィルタが有機EL表示装置に用いられる場合、カラーフィルタの表面上に形成される電極が断線してしまうおそれがある。また、例えば液晶表示装置に用いられる場合は、カラーフィルタに隣接する液晶層の液晶分子の配向が乱れてしまうおそれがある。
本実施態様において、上記カラーフィルタの各色の着色層の膜厚が大きく異なる場合は、図4に示すように着色層2上に平坦化層4を形成して、カラーフィルタの表面を平坦化することにより、表示装置とした際に、カラーフィルタの隣接層に対する悪影響を抑制することができる。
ここで、図4において、説明しない符号については、図1と同様とすることができるので、ここでの記載は省略する。
上記平坦化層に用いられる材料としては、透明で、着色層上に平坦化層を形成することができるものであれば特に限定されるものではないが、なかでも、Rthを有しない材料であることが好ましい。このような平坦化層の材料としては、ポリマー成分と、重合可能なモノマー成分とが挙げられる。
具体的に、上記平坦化層の材料に用いられるポリマー成分としては、「1.着色層」の項で挙げたものと同様とすることができるので、ここでの記載は省略する。また、上記平坦化層に用いられるポリマー成分としては、エポキシ樹脂が好適に用いられ、特に、好ましいエポキシ樹脂としては、三菱油化シェル(株)製エピコートシリーズ、ダイセル(株)製セロキサイドシリーズ、エポリードシリーズ、または、ビスフェノール−A型エポキシ樹脂、ビスフェノール−F型エポキシ樹脂、ビスフェノール−S型エポキシ樹脂、ノボラック型エポキシ樹脂、ポリカルボン酸グリシジルエステル、ポリオールグリシジルエステル、脂肪族または脂環式エポキシ樹脂、アミンエポキシ樹脂、トリフェノールメタン型エポキシ樹脂、ジヒドロキシベンゼン型エポキシ樹脂、グリシジル(メタ)アクリレートとラジカル重合可能なモノマーとの共重合エポキシ化合物等を挙げることができる。このようなポリマー成分の含有量は、樹脂組成物の不揮発成分の10重量%〜90重量%、好ましくは20重量%〜80重量%の範囲が望ましい。
また、上記平坦化層に用いられる重合可能なモノマー成分としては、具体的には、「1.着色層」の項で記載したものと同様とすることができるため、ここでの記載は省略する。また、このようなモノマー成分の含有量は、樹脂組成物の不揮発成分の10重量%〜90重量%、好ましくは20重量%〜80重量%の範囲が望ましい。
上記平坦化層に用いられる重合開始剤(光硬化性樹脂の場合は光重合開始剤、熱硬化性樹脂の場合は熱重合開始剤)、添加剤等については一般的な樹脂部材に用いられるものと同様とすることができるため、ここでの記載は省略する。
本願に用いられる平坦化層は上述した材料を組み合わせることによりRthを有さないものとすることができる。
上記平坦化層の形成方法としては、カラーフィルタの表面を平坦化することができるものであれば特に限定されず、一般的なカラーフィルタに用いられる平坦化層の形成方法と同様とすることができ、例えば着色層上に平坦化層を形成する平坦化層形成用塗工液を塗布し、これをハーフトーンマスクによって露光し、露光後に現像および焼成して形成する方法等が挙げられる。
(ii)遮光部
本実施態様に用いられる遮光部は、上記透明基板上に形成され、画素を区画するものである。このような遮光部としては、一般的なカラーフィルタに用いられる遮光部と同様とすることができるので、ここでの記載は省略する。
d.カラーフィルタ
本実施態様のカラーフィルタは上記着色層、および透明基板を少なくとも有するものである。このようなカラーフィルタの製造方法としては、一般的なカラーフィルタの製造方法と同様とすることができるので、ここでの説明は省略する。
本実施態様のカラーフィルタは、例えば、液晶表示装置、有機EL表示装置、プラズマディスプレイ等に用いられるものである。本実施態様のカラーフィルタは、中でも液晶表示装置に用いられることが好ましい。
(他の実施態様)
本発明のカラーフィルタの他の実施態様は、透明基板と、上記透明基板上に形成された複数色の着色層とを有するものであって、各色の上記着色層が有するRthが均一であることを特徴とするものである。
本実施態様のカラーフィルタについて図面を参照しながら説明する。
図5は、本実施態様のカラーフィルタの一例を示す概略断面図である。図5に例示するように、本実施態様のカラーフィルタ10は、透明基板1と、透明基板1上に形成された複数色の着色層2(図5においては、赤色着色層2R、緑色着色層2G、青色着色層2B)と、透明基板1上の各色の着色層2(赤色着色層2R、緑色着色層2G、青色着色層2B)の間に形成された遮光部3とを有している。
図6は、各色の着色層が有するRthの分布の一例を示すグラフであり、赤色、緑色、青色の3色の着色層の場合について示している。図6に例示するように、赤色着色層(R)、緑色着色層(G)、青色着色層(B)がそれぞれ有するRthは、均一となっている。
通常、各色の着色層のRthは異なることが多く、表示装置に用いられる位相差層は、各色の着色層のRthについて補償するものではないので、カラーフィルタによっては、斜め方向から黒表示を観察した場合、特定の波長において漏れ光が生じることにより、色味を帯びた黒色が観察されるという問題があった。
これに対し、本実施態様においては、各色の着色層が有するRthが均一であるので、本実施態様のカラーフィルタを用いた表示装置においては、斜め方向から黒表示を観察した場合でも、特定の波長における漏れ光が生じないため、色付きのない良好な黒表示を行うことができる。
本実施態様において、各色の着色層が有するRthを均一にする方法としては、特に限定されるものではない。
ここで、着色層が有するRthには、膜の内部応力が寄与していると考えられる。着色層は、例えば、透明基板上に着色層用感光性樹脂組成物からなる膜を形成し、パターン露光し、現像し、焼成することにより形成されるものであり、このような着色層を形成する過程において、温度変化によって膜が膨張したり収縮したりする。このような着色層を形成する過程での温度変化による膜の膨張・収縮の度合いによって、膜の内部応力が変化する。そして、膜の内部応力が変化することで、膜の異方性が変化し、着色層が有するRthも変化すると推量される。特に、着色層が形成される過程においてモノマーやバインダーポリマーが配向する際に顔料が配向または凝集し、この顔料の配向状態または凝集状態が、膜の異方性、すなわち着色層のRthに寄与しているのではないかと考えられる。
このような膜の内部応力を変化させる手段、具体的には顔料の配向状態または凝集状態を変化させる手段としては、着色層に含まれる顔料分散剤のTgを調整する方法、上述した着色層のPV比を調整する方法、着色層形成時に着色層用感光性樹脂組成物からなる膜を焼成するときの膜の収縮率を調整する方法、着色層形成時に着色層用感光性樹脂組成物からなる膜を焼成するときの焼成温度を調整する方法などを挙げることができる。
まず、着色層が有するRthと着色層に含まれる顔料分散剤のTgとの関係について説明する。本発明者らは、Tgが異なる顔料分散剤を用いて着色層を形成し、着色層のRthを測定したところ、着色層のRthは顔料分散剤のTgによって変化することを見出した。具体的には、顔料分散剤のTgが大きくなるほど、着色層のRthの絶対値が大きくなることを見出した。すなわち、着色層のRthは、着色層に含まれる顔料分散剤のTgを調整することによって制御することができることを見出したのである。
着色層に含まれる顔料分散剤のTgによって着色層のRthが変化する理由については明らかではないが、次のように考えられる。すなわち、上述したように、膜の異方性には、顔料の凝集状態(分散状態)が大きく寄与しているのではないかと考えられる。よって、顔料分散剤のTgが大きくなるほど、着色層用感光性樹脂組成物の粘度が高くなるので、顔料が凝集しやすくなり、膜の異方性が大きくなり、最終的に得られる着色層のRthの絶対値が大きくなると推量される。
着色層が有するRthと着色層のPV比との関係については、上記に説明した通りであるのでここでの記載は省略する。
次に、着色層が有するRthと着色層形成時に着色層用感光性樹脂組成物からなる膜を焼成するときの膜の収縮率との関係について説明する。本発明者らは、膜を焼成するときの膜の収縮率の異なる着色層用感光性樹脂組成物を用いて着色層を形成し、着色層のRthを測定したところ、着色層のRthは膜を焼成するときの膜の収縮率によって変化することを見出した。具体的には、膜を焼成するときの膜の収縮率が大きくなるほど、着色層のRthの絶対値が大きくなることを見出した。すなわち、着色層のRthは、膜を焼成するときの膜の収縮率を調整することによって制御することができることを見出したのである。
膜を焼成するときの膜の収縮率によって着色層のRthが変化する理由については明らかではないが、次のように考えられる。すなわち、膜を焼成するときの膜の収縮率が大きなものほど、着色層を形成する過程での温度変化による膜の膨張・収縮の度合いが大きくなるので、膜の内部応力が大きくなると思料される。その結果、モノマー、バインダーポリマー、顔料などが配向しやすくなったり凝集しやすくなったりするため、膜の異方性が大きくなり、最終的に得られる着色層のRthの絶対値が大きくなると推量される。特に、上述したように、着色層が形成される過程においてモノマーやバインダーポリマーが配向する際に顔料が配向または凝集し、この顔料の配向状態または凝集状態が膜の異方性に寄与しているのではないかと考えられる。
さらに、着色層が有するRthと着色層形成時の焼成温度との関係について説明する。本発明者らは、焼成温度を変えて着色層を形成し、着色層のRthを測定したところ、着色層のRthは焼成温度によって変化することを見出した。具体的には、焼成温度が高くなるほど、着色層のRthの絶対値が大きくなることを見出した。すなわち、着色層のRthは、着色層を形成する際の焼成温度を調整することによって制御することができることを見出したのである。
着色層を形成する際の焼成温度によって着色層のRthが変化する理由については明らかではないが、次のように考えられる。すなわち、上述したように、膜の異方性には、顔料の凝集状態が大きく寄与しているのではないかと考えられる。よって、焼成温度が大きくなるほど、顔料が凝集しやすくなり、膜の異方性が大きくなり、最終的に得られる着色層のRthの絶対値が大きくなると推量される。
本実施態様においては、上記の中でも、各色の着色層のPV比を調整することにより、各色の着色層が有するRthを均一とすることが好ましい。すなわち、本実施態様のカラーフィルタは、透明基板と、上記透明基板上に形成され、少なくとも顔料および顔料分散剤を含有する複数色の着色層とを有するカラーフィルタであって、各色の上記着色層が有するRthが均一となるように、各色の上記着色層のPV比が調整されたものであることが好ましい。
なお、カラーフィルタにおける各構成については、上述したものと同様とすることができるので、ここでの説明は省略する。
2.第2実施態様
本実施態様のカラーフィルタは、透明基板と、上記透明基板上に形成された複数色の着色層とを有するカラーフィルタであって、各色の上記着色層は、少なくとも顔料とバインダー樹脂とを含有するものであり、当該カラーフィルタが表示装置に用いられた際に、当該カラーフィルタが有するRthと、上記カラーフィルタ未装着表示装置のRthとが相殺されるように、PV比を調整した着色層形成用塗工液を用いて各色の上記着色層が形成されることを特徴とするものである。
ここで、「当該カラーフィルタが有するRthと、上記カラーフィルタ未装着表示装置のRthとが相殺される」とは、当該カラーフィルタの各色の着色層が有するRthと、各色の上記着色層に対応する波長領域における、上記カラーフィルタ未装着表示装置のRthとの差の絶対値が、当該カラーフィルタを用いた表示装置が黒表示時に、斜め方向から観察された場合であっても、色みを帯びた黒表示とならず、かつ、コントラストを向上させることができる程度に0に近い値となることを指す。具体的には、上記Rthの差の絶対値が、5nm以下、中でも3nm以下、特に1nm以下の場合を示すこととする。
またここで、「カラーフィルタ未装着表示装置のRth」とは、表示装置に本実施態様のカラーフィルタが装着されていない状態の表示装置自体のRthを指す。また、このようなRthは、例えば表示装置に用いられるカラーフィルタ以外の構成について、それぞれRthを測定し、シミュレーションにより求めることができる。
ここで、表示装置に用いられるカラーフィルタ以外の各構成のRthは、位相差層測定装置(AXOMETRICS社製AxoscanTM Mueller Matrix Polarimeter)を用いて、620nm(赤色着色層想定)、550nm(緑色着色層想定)、および450nm(青色着色層想定)の3波長について測定された値を用いるものとする。
本実施態様において、併用される上記カラーフィルタ未装着表示装置としては、カラーフィルタ未装着表示装置内のRthの符号がすべて正、もしくはすべて負であってもよいし、正負が混在している場合であってもよい。通常は、カラーフィルタ未装着表示装置内のRthの符号がすべて正、もしくはすべて負であるものが併用される。
上記カラーフィルタ未装着表示装置は、一般的な表示装置に用いられる構成を有するものであるが、その構成によっては、カラーフィルタ未装着表示装置が波長依存性を示す場合がある。このような波長依存性としては、例えば、短波長側のRthの方が長波長側のRthの値よりも小さくなる逆分散型の波長依存性や、また例えば、短波長側のRthの方が長波長側のRthの値よりも大きくなる正分散型の波長依存性が挙げられる。また、カラーフィルタ未装着表示装置のRthが波長依存性を有さないフラット型を示す場合もある。
本実施態様においては、上記カラーフィルタ未装着表示装置のRthが相殺されるようなRthを有するカラーフィルタとすることができればよく、各色の着色層が有するRthは、上記カラーフィルタ未装着表示装置が有するRthにより決定されるものである。
例えば、上記カラーフィルタ未装着表示装置が逆分散型の波長依存性を示す場合は、短波長側のRthの方が長波長側のRthの値よりも小さくなるので、上記カラーフィルタ未装着表示装置のRthを相殺するために、短波長側の色の着色層が有するRthは、長波長側の色の着色層が有するRthの値よりも大きくなるように調整される。
また、例えば上記カラーフィルタ未装着表示装置が正分散型の波長依存性を示す場合は、短波長側のRthの方が長波長側のRthの値よりも大きくなるので、上記カラーフィルタ未装着表示装置のRthを相殺するために、短波長側の色の着色層が有するRthは、長波長側の色の着色層が有するRthの値よりも小さくなるように調整される。
また、例えば上記カラーフィルタ未装着表示装置が波長依存性を有さないフラット型になる場合は、Rthは一定となるので、着色層の各色の着色層が有するRthは、それぞれの色において上記カラーフィルタ未装着表示装置が有する所定のRthと相殺されるように調整される。
ここで、各色の着色層が有するRthは、各色の着色層のPV比を調整することによって調整されるものである。
本実施態様におけるカラーフィルタのRthと上記カラーフィルタ未装着表示装置のRthとの関係について図を用いて説明する。
まず、本実施態様のカラーフィルタのRthと、逆分散型の波長依存性を示すカラーフィルタ未装着表示装置のRthとが相殺される場合について図7を用いて説明する。
図7は、本実施態様のカラーフィルタのRthの分布の一例を示す図である。図7では、カラーフィルタに、赤色着色層、緑色着色層、および青色着色層が用いられている場合について示している。また、このとき、上記カラーフィルタ未装着表示装置は、例えば赤色光領域で+30nm、緑色光領域で+25nm、青色光領域で+20nmのRthを有するものとする。
この場合、図7に示すように、本実施態様においては、赤色着色層RのRthが−30nm、緑色着色層GのRthが−25nm、青色着色層BのRthが−20nmとなるように、各色の着色層のPV比の調整が行われる。
次に、本実施態様のカラーフィルタのRthと、正分散型の波長依存性を示すカラーフィルタ未装着表示装置のRthとが相殺される場合について図8を用いて説明する。図8は、本実施態様のカラーフィルタのRthの分布の一例を示す図である。図8では、カラーフィルタに、赤色着色層、緑色着色層、および青色着色層が用いられている場合について示している。このとき、上記カラーフィルタ未装着表示装置は、例えば赤色光領域で+20nm、緑色光領域で+25nm、青色光領域で+30nmのRthを有するものとする。
この場合、図8に示すように、本実施態様においては、赤色着色層RのRthが−20nm、緑色着色層GのRthが−25nm、青色着色層BのRthが−30nmとなるように、各色の着色層のPV比の調整が行われる。
次に、本実施態様のカラーフィルタのRthと、フラット型を示すカラーフィルタ未装着表示装置のRthとが相殺される場合について図9を用いて説明する。図9は、本実施態様のカラーフィルタのRthの分布の一例を示す図である。図9では、カラーフィルタに、赤色着色層、緑色着色層、および青色着色層が用いられている場合について示している。このとき、上記カラーフィルタ未装着表示装置は波長分散性を示さず、赤色光領域、緑色光領域、および青色光領域で+30nmのRthを有するものとする。
この場合、図9に示すように、本実施態様のカラーフィルタは、赤色着色層RのRth、緑色着色層GのRth、および青色着色層BのRthがそれぞれ−30nmとなるように、各色の着色層のPV比が調整されて形成される。
ここで、本実施態様のカラーフィルタと併用されるカラーフィルタ未装着表示装置が示す波長依存性は、上記カラーフィルタ未装着表示装置中の各構成が示す波長依存性によって決まるものである。上記カラーフィルタ未装着表示装置が示す波長依存性としては、上述した逆分散型、正分散型、およびフラット型以外にも、次のような波長依存性が考えられる。
例えば、上記カラーフィルタ未装着表示装置中の構成に、逆分散型の波長依存性を示す構成と、正分散型の波長依存性を示す構成とを有する場合には、赤色波長領域および青色波長領域におけるRthの絶対値の方が緑色波長領域におけるRthの絶対値よりも大きくなるような波長依存性、もしくは緑色波長領域におけるRthの絶対値の方が赤色波長領域および青色波長領域におけるRthの絶対値よりも大きくなるような波長依存性等が考えられる。
このような波長依存性を示すカラーフィルタ未装着表示装置が有するRthと、本実施態様のカラーフィルタが有するRthとを相殺する場合も、上述した逆分散型、正分散型、およびフラット型のそれぞれのカラーフィルタ未装着表示装置が有するRthと本実施態様のカラーフィルタが有するRthとを相殺する場合と同様にして、カラーフィルタが有するRthの調整が行われる。
上記の記載は、カラーフィルタ未装着表示装置内のRthの符号がすべて同一の場合についてであるが、カラーフィルタ未装着表示装置内のRthの符号が正負混在する場合は、着色層に用いられる顔料として、それぞれの色に対応する波長領域でのカラーフィルタ未装着表示装置内のRthが相殺されるようなRthの符号を有するものを選択し、PV比を調整することによってカラーフィルタのRthの調整が行われる。
本実施態様によれば、上述したように、カラーフィルタのRthと上記カラーフィルタ未装着表示装置のRthとが相殺されることにより、コントラストを向上させることができる。
コントラストを向上させることができる理由としては、上記カラーフィルタのRthと上記カラーフィルタ未装着表示装置のRthとが相殺されることにより、上記カラーフィルタを用いた表示装置全体のRthの絶対値を小さなものとすることができるので、漏れ光の光強度を小さなものとすることが可能になるからである。
本実施態様に用いられる着色層の材料、形成方法、膜厚等については、「1.第1実施態様」の項で説明したものと同様とすることができるので、ここでの記載は省略する。
また、透明基板、その他の部材、製造方法、および用途等についても、「1.第1実施態様」の項で説明したものと同様とすることができるので、ここでの記載は省略する。
B.カラーフィルタの設計方法
本発明のカラーフィルタの設計方法は、「A.カラーフィルタ」の項で説明したカラーフィルタを設計する方法である。
本発明においては、「A.カラーフィルタ 1.第1実施態様」の項に記載されたカラーフィルタを設計する方法(以下、第3実施態様とする。)と、「A.カラーフィルタ 第2実施態様」の項に記載されたカラーフィルタを設計する方法(以下、第4実施態様とする。)との2つの実施態様が存在する。以下、それぞれの実施態様について説明する。
1.第3実施態様
本実施態様のカラーフィルタの設計方法は、「A.カラーフィルタ 1.第1実施態様」の項に記載されたカラーフィルタを設計する設計方法であり、カラーフィルタとした際に要求される色濃度となる量の顔料と、バインダー樹脂とを用いて所定のPV比を有する測定用着色層形成用塗工液を調製し、上記測定用着色層形成用塗工液を用いて、測定用透明基板上に測定用着色層を形成する測定用着色層形成工程と、上記測定用着色層が有するRthを測定し、測定結果に基づいて、各色の着色層が有するRthが均一となるように、各色の上記着色層形成用塗工液のPV比を増減させて決定する着色層PV比決定工程とを有することを特徴とする設計方法である。
本実施態様によれば、カラーフィルタとした際に、要求される色濃度となる量の顔料を含み、所定のPV比を有する測定用着色層が有するRthを測定し、測定結果から、製造するカラーフィルタの各色の着色層形成用塗工液のPV比を決定することによって、各色の着色層が有するRthが均一であるカラーフィルタを正確に設計することが可能となる。
以下、各工程について説明する。
a.測定用着色層形成工程
本工程は、カラーフィルタとした際に要求される色濃度となる量の顔料と、バインダー樹脂とを用いて所定のPV比を有する上記測定用着色層形成用塗工液を調製し、上記測定用着色層形成用塗工液を用いて測定用透明基板上に測定用着色層を形成する工程である。
本工程においては、まず、測定用着色層形成用塗工液の調製が行われる。このとき、測定用着色層形成用塗工液に含有される顔料の含有量は、カラーフィルタに用いられた際に要求される色濃度となるように設定される。本工程において用いられる顔料、バインダー樹脂、およびその他の添加剤については「A.カラーフィルタ 1.第1実施態様」の項で説明したものと同様とすることができる。また、本工程において形成される測定用着色層が有するRthの正負の符号としてはすべて同一であることが好ましい。したがって、上記各色の顔料についてはRthの符号がすべて同一であることが好ましい。
上記測定用着色層形成用塗工液は、上述した材料のほかに、通常溶剤を含有するものである。このような溶剤については、一般的なカラーフィルタの着色層を形成する際に用いられるものと同様とすることができるので、ここでの記載は省略する。
各色の上記測定用着色層形成用塗工液のPV比としては、所望する顔料の含有量で着色層を形成することが可能であれば特に限定されるものではない。中でも、本工程後に行われる着色層PV比決定工程において、PV比を増減させた場合でも着色層を形成することが可能となるようなPV比とすることが好ましい。通常は、各色の測定用着色層が同一の膜厚となるようなPV比に設定される。
上記測定用透明基板については、「A.カラーフィルタ 1.第1実施態様」の項で記載したものと同様とすることができるので、ここでの記載は省略する。
上記測定用着色層の形成方法としては、一般的なカラーフィルタの着色層の形成方法と同様とすることができるので、ここでの記載は省略する。
b.着色層PV比決定工程
本工程は、上記測定用着色層が有するRthを測定し、測定結果に基づいて、各色の着色層が有する厚み方向のRthが均一となるように、各色の上記着色層のPV比を増減させて決定する工程である。
ここで、本工程においては、上記測定結果に基づいて、各色の着色層中の顔料の含有量と、各色の着色層中のバインダー樹脂の含有量とを調整し、各色の着色層のPV比を増減させて、各色の着色層のPV比が決定されるが、各色の着色層のPV比を直接増減させて決定することができない場合は、各色の着色層形成用塗工液中の顔料の含有量、および各色の着色層形成用塗工液中のバインダー樹脂の含有量を調整して、各色の着色層形成用塗工液のPV比を増減させることにより、各色の着色層形成用塗工液のPV比が決定される。
本工程に用いられる測定用着色層が有するRthの測定方法としては、「A.カラーフィルタ」の項で説明したものと同様とすることができるので、ここでの記載は省略する。
本工程においては、設計されるカラーフィルタの各色の着色層が有するRthが均一となるように、各色の上記着色層のPV比を決定することができるのであれば特に限定されるものではない。
本工程における各色の上記着色層のPV比の決定方法について、図10を用いて説明する。
図10は、カラーフィルタの着色層が有するRthの分布の一例を示す図である。図10においては、カラーフィルタの着色層として、赤色着色層、緑色着色層、および青色着色層が用いられる場合について示している。
上述した測定用着色層のRthの分布の測定結果が、例えば、図10中の、R(n)、G(n)、B(n)で示されるような値となる場合、設計されるカラーフィルタの各色の着色層が有するRthの分布が図10中の、R(c)、G(c)、B(c)で示されるように均一となるためには、各色の着色層形成用塗工液中のバインダー樹脂の含有量の調整が行われる。
例えば、3色の上記着色層が、それぞれ上記着色層のPV比を大きくするにつれて上記着色層が有するRthの絶対値が大きくなるものである場合は、揃えるRthの値(図10では、Rth=−20nm)よりもRthの絶対値が大きい測定用赤色着色層については、PV比が小さくなるように、赤色着色層形成用塗工液中のバインダー樹脂の割合を上げ、揃えるRthの値(図10では、Rth=−20nm)よりもRth絶対値が小さい測定用緑色着色層および測定用青色着色層については、PV比が大きくなるように、緑色着色層形成用塗工液中および青色着色層形成用塗工液中のバインダー樹脂の割合を下げて、各色の上記着色層が有するRthの値の調整が行われる。
また例えば、3色の上記着色層が、それぞれ上記着色層のPV比を大きくするにつれて上記着色層が有するRthの絶対値が小さくなるものである場合は、揃えるRthの値(図10では、Rth=−20nm)よりもRthの絶対値が大きい測定用赤色着色層については、PV比が大きくなるように、赤色着色層形成用塗工液中のバインダー樹脂の割合を下げ、揃えるRthの値(図10では、Rth=−20nm)よりもRthの絶対値が小さい測定用緑色着色層および測定用青色着色層については、PV比が小さくなるように、緑色着色層形成用塗工液中および青色着色層形成用塗工液中のバインダー樹脂の割合を上げて、各色の着色層が有するRthの値の調整が行われる。
また、上記以外の場合についても、着色層のPV比の変化に対する着色層のRthの絶対値の変化に合わせて着色層形成用塗工液中のバインダー樹脂の割合を変化させればよい。
本工程において、各色の着色層が有するRthを均一としたときのRthの値としては、各色の着色層に用いられる顔料およびバインダー樹脂の組み合わせにより適宜選択して決定されるものである。各色の測定用着色層のRthの中で、Rthの絶対値が最大となるものに揃えてもよいし、Rthの絶対値が最小となるものに揃えてもよいし、任意のRthの値を設定してもよい。
本工程においては、中でも、カラーフィルタが薄膜で形成されるように、Rthの値を設定することが好ましい。近年の表示装置の薄膜化に対応することが可能となるからである。
本工程においては、予め、上記測定用着色層形成用塗工液のPV比の値に対する測定用着色層が有するRthの値が示された検量線を作成し、上記検量線を用いて各色の上記着色層のPV比を増減させてPV比を決定することが好ましい。上記検量線を用いることにより、各色の着色層が有するRthをより正確かつ容易に均一にすることが可能となるからである。
上記検量線の作成方法としては、まず、同色の顔料を一定量含有し、かつPV比の異なる測定用着色層形成用塗工液を複数準備し、それぞれの測定用着色層形成用塗工液を用いて透明基板上に測定用着色層を形成し、それぞれの測定用着色層のRthを測定する。この結果を用いて、横軸に測定用着色層のPV比を、縦軸にRthの値をとり検量線を作成する。
c.その他
本実施態様のカラーフィルタの設計方法としては、上述した測定用着色層形成工程、および着色層PV比決定工程を少なくとも有しているのであれば、特に限定されるものではなく、必要な工程を適宜加えることができる。通常は、測定用着色層に用いられる各色の顔料およびバインダー樹脂を、各色の測定用着色層が有するRthの符号が揃うようにして選択する顔料およびバインダー樹脂選択工程、上記設計方法により設計されたカラーフィルタの各色の着色層のRthが均一なものとなっているか確認する確認工程が行われる。
本実施態様のカラーフィルタの設計方法は、「A.カラーフィルタ 1.第1実施態様」に記載されたようなカラーフィルタを設計することができるのであれば特に限定されるものではないが、通常、カラーフィルタの製造工程の前に、予め設計用カラーフィルタを形成することにより行われる。
なお、精度等において問題がない場合においては、シミュレーションによって設計が行われる場合もある。
また、本実施態様のカラーフィルタの設計方法は、「A.カラーフィルタ 1.第1実施態様」の項に記載されたカラーフィルタの製造方法において設計工程で用いられることが好ましい。
2.第4実施態様
本実施態様のカラーフィルタの設計方法は、「A.カラーフィルタ 2.第2実施態様」の項に記載されたカラーフィルタの設計方法であり、複数色の測定用着色層が有するRthの符号が、当該カラーフィルタが表示装置に用いられた際に、カラーフィルタ未装着表示装置のRthを相殺することが可能な符号となるように、顔料およびバインダー樹脂を選択する顔料およびバインダー樹脂選択工程と、カラーフィルタとした際に要求される色濃度となる量の上記顔料と、バインダー樹脂とを用いて所定のPV比を有する上記測定用着色層形成用塗工液を調製し、上記測定用着色層形成用塗工液を用いて透明基板上に測定用着色層を形成する測定用着色層形成工程と、各色の上記測定用着色層が有するRthを測定し、測定結果に基づいて、当該カラーフィルタが表示装置に用いられた際に、当該カラーフィルタが有するRthと、上記カラーフィルタ未装着表示装置のRthとが相殺されるように、各色の上記着色層形成用塗工液のPV比を増減させて決定する着色層PV比決定工程とを有することを特徴とする設計方法である。
本実施態様によれば、上記測定用着色層が有するRthを測定し、測定結果に基づいて、当該カラーフィルタが表示装置に用いられた際に、当該カラーフィルタが有するRthと、上記カラーフィルタ未装着表示装置が有するRthとが相殺されるように、各色の上記着色層形成用塗工液のPV比を増減させて各色の着色層のRthの調整を行うので、設計されたカラーフィルタは、コントラストの高いものとすることが可能となる。
以下、各工程について説明する。
a.顔料およびバインダー樹脂選択工程
本工程は、複数色の測定用着色層が有するRthの符号が、当該カラーフィルタが表示装置に用いられた際に、カラーフィルタ未装着表示装置のRthを相殺することが可能な符号となるように、顔料およびバインダー樹脂を選択する工程である。
上述したように、「A.カラーフィルタ 2.第2実施態様」の項に記載されたカラーフィルタが有するRthの符号は、各色の顔料およびバインダー樹脂の組み合わせにより決定される。
したがって、本工程においては、本実施態様の設計方法により設計されるカラーフィルタの各色の着色層が有するRthの符号が、当該カラーフィルタが表示装置に用いられた際に、カラーフィルタ未装着表示装置のRthを相殺することが可能な符号となるように顔料およびバインダー樹脂を選択する必要がある。
具体的には、各色の着色層に対応する色の波長領域において上記カラーフィルタ未装着表示装置が有するRthの符号と、逆の符号のRthを示す顔料およびバインダー樹脂の組み合わせを選択する必要がある。
本工程においては、通常、上記カラーフィルタ未装着表示装置が有するRthの測定が行われる。測定方法については、「A.カラーフィルタ 2.第2実施態様」の項で説明したものと同様とすることができるので、ここでの記載は省略する。
本工程において選択される具体的な顔料およびバインダー樹脂については、「A.カラーフィルタ 2.第2実施態様」の項に記載したものと同様とすることができるのでここでの記載は省略する。
b.測定用着色層形成工程
本工程は、カラーフィルタとした際に要求される色濃度となる量の上記顔料と、バインダー樹脂とを用いて所定のPV比を有する上記測定用着色層形成用塗工液を調製し、上記測定用着色層形成用塗工液を用いて透明基板上に測定用着色層を形成する工程である。
本工程については、上述した「1.第3実施態様」の項で説明した工程と同様とすることができるので、ここでの記載は省略する。
c.着色層PV比決定工程
本工程は、各色の上記測定用着色層が有するRthを測定し、測定結果に基づいて、当該カラーフィルタが表示装置に用いられた際に、当該カラーフィルタが有するRthと、上記カラーフィルタ未装着表示装置のRthとが相殺されるように、各色の上記着色層のPV比を増減させて決定する工程である。
上述した「1.第3実施態様」の項で説明したように、本工程において、各色の着色層のPV比を直接増減させて決定することができない場合は、各色の着色層形成用塗工液のPV比を増減させて、各色の着色層形成用塗工液のPV比が決定される。
本工程に用いられる上記測定用着色層が有するRthの測定方法については、「1.第3実施態様」の項で説明したものと同様とすることができるので、ここでの記載は省略する。
本工程においては、当該カラーフィルタのRthと上記カラーフィルタ未装着表示装置の有するRthとが相殺されるように、各色の着色層のPV比を増減させて決定することができるのであれば特に限定されるものではない。
例えば上記カラーフィルタ未装着表示装置が逆分散型の波長依存性を示す場合は、短波長側のRthの方が長波長側のRthよりも小さくなるので、本工程においては、上記カラーフィルタ未装着表示装置のRthを相殺するため、図7のカラーフィルタのRthの分布の例に示すように、短波長側の色の着色層が有するRthの方が、長波長側の色の着色層が有するRthよりも大きくなるようにして(図7では、赤色(R)、緑色(G)、青色(B)の順に着色層が有するRthが大きくなるようにして)、各色の着色層についてPV比が決定される。
また例えば、上記カラーフィルタ未装着表示装置が正分散型の波長依存性を示す場合には、短波長側のRthの方が長波長側のRthよりも大きくなるので、本工程において、上記着色層は、上記カラーフィルタ未装着表示装置のRthを相殺するため、図8のカラーフィルタのRthの分布の例に示すように、短波長側の色の着色層が有するRthの方が、長波長側の色の着色層が有するRthよりも小さくなるようにして(図8では、赤色(R)、緑色(G)、青色(B)の順に着色層が有するRthが小さくなるようにして)、各色の着色層についてPV比が決定される。
また例えば、上記カラーフィルタ未装着表示装置が波長依存性を示さないフラット型である場合は、波長領域によらずRthは一定の値を有するものであるので、本工程においては、上記着色層が、図9のカラーフィルタのRthの分布の例に示すように、各色のそれぞれの着色層が有するRthが、カラーフィルタ未装着表示装置が有するRthの値を相殺するように、各色の着色層についてPV比が決定される。
また、上記カラーフィルタ未装着表示装置が、上述した逆分散型、正分散型、およびフラット型以外の波長依存性を示す場合や、上記カラーフィルタ未装着表示装置内のRthの符号が正負混在している場合においても、各色の着色層が有するRthが、カラーフィルタ未装着表示装置が有するRthの値を相殺するように、上記着色層のPV比が決定される。
本工程においては、予め、上記測定用着色層形成用塗工液のPV比の値に対する測定用着色層が有するRthの値が示された検量線を作成し、上記検量線を用いて各色の上記着色層のPV比を増減させて決定することが好ましい。上記検量線を用いることにより、上記カラーフィルタが有するRthと、上記カラーフィルタ未装着表示装置が有するRthとをより正確かつ容易に相殺することができるからである。
検量線の作成方法としては、「1.第3実施態様」の項で説明した方法と同様とすることができるので、ここでの記載は省略する。
d.その他
本実施態様のカラーフィルタの設計方法としては上記顔料およびバインダー樹脂選択工程、設計用着色層形成工程、および着色層PV比決定工程を少なくとも有しているのであれば、特に限定されるものではなく、必要な工程を適宜加えることができる。具体的な工程については、「1.第3実施態様」の項で説明したものと同様であるので、ここでの説明は省略する。
本実施態様のカラーフィルタの設計方法は、「A.カラーフィルタ 2.第2実施態様」に記載されたようなカラーフィルタを設計することができるのであれば特に限定されるものではないが、通常、カラーフィルタの製造工程の前に、予め設計用カラーフィルタを形成することにより行われる。
なお、精度等において問題がない場合においては、シミュレーションによって設計が行われる場合もある。
また、本実施態様のカラーフィルタの設計方法は、「A.カラーフィルタ 2.第2実施態様」の項に記載されたカラーフィルタの製造方法において、設計工程で用いられることが好ましい。
C.カラーフィルタの製造方法
本発明のカラーフィルタの製造方法としては、「B.カラーフィルタの設計方法 1.第3実施態様」の項で記載した設計方法を用いた設計工程を有する製造方法(以下、第5実施態様とする)と、「B.カラーフィルタの設計方法 2.第4実施態様」の項で記載した設計方法を用いた設計工程を有する製造方法(以下、第6実施態様とする)とが存在する。
以下、それぞれの態様について説明する。
1.第5実施態様
本実施態様のカラーフィルタの製造方法は、「B.カラーフィルタの設計方法 1.第3実施態様」の項で記載した設計方法を用いた設計工程を有する製造方法である。
本実施態様によれば、上述した設計工程を有することにより、各色の着色層が有するRthが均一であるカラーフィルタを精度よく製造することが可能となる。
以下、各工程について説明する。
a.設計工程
本工程は、「B.カラーフィルタの設計方法 1.第3実施態様」の項で記載した設計方法を用いた工程である。
本工程に用いられるカラーフィルタの設計方法については、「B.カラーフィルタの設計方法 1.第3実施態様」の項で説明したものと同様であるので、ここでの記載は省略する。
b.その他の工程
本実施態様のカラーフィルタの製造方法としては、上述した設計工程を有するのであれば特に限定されるものではない。通常は、上記設計工程後に、設計工程により決定された各色の着色層のPV比で、各色の着色層を形成する着色層形成用塗工液を調製し、透明基板上に各色の着色層を形成する工程が行われる。また、本実施態様においては、他にも必要な部材を形成する工程を適宜加えることができる。例えば、上記透明基板上および上記着色層上に、カラーフィルタの表面を平坦化する平坦化層を形成する工程や、透明基板上に画素を画定する遮光部を形成する工程等が挙げられる。
2.第6実施態様
本実施態様のカラーフィルタの製造方法は、「B.カラーフィルタの設計方法 2.第4実施態様」の項で記載した設計方法を用いた設計工程を有する製造方法である。
本実施態様によれば、上述した設計工程を有することにより、製造されるカラーフィルタが表示装置に用いられた際に、当該カラーフィルタが有するRthと、上記カラーフィルタ未装着表示装置が有するRthとが相殺されるカラーフィルタを精度よく製造することが可能となる。
本実施態様の設計工程に用いられる設計方法については、「B.カラーフィルタの設計方法 2.第4実施態様」の項で記載した方法と同様とすることができるので、ここでの記載は省略する。また、その他の工程については、「1.第5実施態様」の項で記載した工程と同様とすることができるので、ここでの記載は省略する。
D.着色層形成用塗工液セット
本発明の着色層形成用塗工液セットは、カラーフィルタを製造する際、複数色の着色層を形成するために用いられる複数の着色層形成用塗工液からなる着色層形成用塗工液セットであって、各着色層形成用塗工液が、少なくとも顔料とバインダー樹脂とを含有するものであり、上記着色層形成用塗工液セットを用いて形成された各色の着色層が有するRthを調整するために、各着色層形成用塗工液のPV比が調整されているものである。
このような着色層形成用塗工液セットとしては、上記着色層形成用塗工液セットを用いて形成された各色の着色層が有するRthが均一になるように、各着色層形成用塗工液のPV比が調整されている態様(以下、第7実施態様とする。)と、上記着色層形成用塗工液セットを用いて形成されたカラーフィルタを表示装置とした際に、カラーフィルタが有するRthと、カラーフィルタ未装着表示装置が有するRthとが相殺されるように、各着色層形成用塗工液のPV比が調整されている態様(以下、第8実施態様とする。)とが挙げられる。
以下、各実施態様について説明する。
1.第7実施態様
本実施態様の着色層形成用塗工液セットは、カラーフィルタを製造する際、複数色の着色層を形成するために用いられる複数の着色層形成用塗工液からなる着色層形成用塗工液セットであって、各着色層形成用塗工液が、少なくとも顔料とバインダー樹脂とを含有するものであり、上記着色層形成用塗工液セットを用いて形成された各色の上記着色層が有する厚み方向のRthが均一になるように、各着色層形成用塗工液のPV比が調整されていることを特徴とするものである。
本実施態様によれば、上記着色層形成用塗工液セットを用いて、カラーフィルタの着色層を形成することにより、各色の上記着色層が有するRthを均一なものとすることが可能になる。これにより、形成された着色層を有するカラーフィルタを用いて表示装置とした際に、黒表示時に斜め方向から観察された場合であっても、色みのない黒表示とすることができる。
本実施態様においては、各の着色層形成用塗工液のPV比を調整することにより、形成される各色の着色層が有するRthの絶対値を変化させることはできても、Rthの符号を変化させることはできないため、上記着色層形成用塗工液セットの各着色層形成用塗工液が有するRthの符号が正負混在している場合は、形成される各色の着色層が有するRthを均一にすることは困難である。したがって、着色層形成用塗工液セットの各着色層形成用塗工液が有するRthの符号は、すべて正の符号、もしくはすべて負の符号のいずれかであることが好ましい。
本実施態様に用いられる着色層形成用塗工液セットとしては、複数の着色層形成用塗工液からなるものであれば特に限定されるものではないが、通常は、赤、緑、青の3の着色層形成用塗工液からなる。
本実施態様の着色層形成用塗工液セットに用いられる各着色層形成用塗工液のPV比の調整方法については、「B.カラーフィルタの設計方法 1.第3実施態様」の項で記載したように、例えば上記測定用着色層形成用塗工液のPV比の値に対する測定用着色層が有するRthの値が示された検量線を用いる方法等が挙げられる。
本実施態様に用いられる各着色層形成用塗工液としては、少なくともバインダー樹脂および顔料を含有しているものであれば、特に限定されるものではないが、通常は、溶剤をさらに含有するものである。
上記バインダー樹脂および顔料については、「A.カラーフィルタ」の項で説明したものと同様とすることができるため、ここでの説明は省略する。
本実施態様に用いられる各着色層形成用塗工液のPV比としては、形成される各色の着色層が有するRthを均一にすることができるものであれば特に限定されるものではないが、上限としては、0.7以下であり、中でも0.05〜0.6の範囲内、特に0.1〜0.5の範囲内が好ましい。各着色層形成用塗工液のPV比が上記範囲を超える場合、着色層を形成することが困難であるからである。また、下限としては、0.05以上である。上記範囲に満たない場合は、着色層の膜厚が大きくなりすぎるからである。
本実施態様に用いられる各着色層形成用塗工液に用いられる溶剤としては、一般的な着色層を形成する際に用いられる溶剤と同様とすることができる。
また、上記各着色層形成用塗工液中の溶剤の含有量としては、上記着色層形成用塗工液を用いて所望する着色層を形成することができるのであれば特に限定されるものではないが、着色層形成用塗工液の固形分成分100重量部に対して、100重量部〜1000重量部の範囲内、なかでも、150重量部〜900重量部の範囲内、特に、250重量部〜800重量部の範囲内であることが好ましい。上記各着色層形成用塗工液中の溶剤の含有量が上記範囲に満たない場合もしくは上記範囲を超える場合は、着色層形成用塗工液を基板上に均一に塗布することが困難になるからである。
本実施態様に用いられる各着色層形成用塗工液としては、上述した材料以外にも、必要に応じて、増感剤、塗布性改良剤、現像改良剤、架橋剤、重合禁止剤、可塑剤、難燃剤等を含有していてもよい。
本実施態様に用いられる各着色層形成用塗工液の調製方法としては、一般的な着色層を形成する際に用いられる方法と同様とすることができるので、ここでの記載は省略する。
本実施態様の着色層形成用塗工液セットの用途としては、例えば「A.カラーフィルタ 1.第1実施態様」の項に記載されたカラーフィルタの着色層を形成する際に用いられる。
2.第8実施態様
本実施態様の着色層形成用塗工液セットは、カラーフィルタを製造する際、複数色の着色層を形成するために用いられる複数の着色層形成用塗工液からなる着色層形成用塗工液セットであって、各着色層形成用塗工液が、少なくとも顔料とバインダー樹脂とを含有するものであり、当該カラーフィルタが表示装置に用いられた際に、当該カラーフィルタが有するRthと、カラーフィルタ未装着表示装置のRthとが相殺されるように、各着色層形成用塗工液のPV比が調整されていることを特徴とするものである。
本実施態様によれば、上記着色層形成用塗工液セットを用いてカラーフィルタの着色層を形成することにより、カラーフィルタ未装着表示装置とカラーフィルタとのRthが相殺されるため、カラーフィルタを装着して表示装置とした際に、コントラストを向上させることができる。
本実施態様においては、上記着色層形成用塗工液セットを用いて形成されたカラーフィルタのRthとカラーフィルタ未装着表示装置のRthとが相殺されるように、各着色層形成用塗工液のPV比が調整される。
本実施態様の着色層形成用塗工液セットに用いられる各着色層形成用塗工液のPV比の調整方法については、「B.カラーフィルタの設計方法 1.第4実施態様」の項で記載したように、例えば上記測定用着色層形成用塗工液のPV比の値に対する測定用着色層が有するRthの値が示された検量線を用いる方法等が挙げられる。
本実施態様に用いられる各着色層形成用塗工液の材料、各着色層形成用塗工液の調製方法については、「1.第7実施態様」と同様とすることができるのでここでの記載は省略する。
本実施態様の着色層形成用塗工液セットの用途としては、例えば「A.カラーフィルタ 2.第2実施態様」の項に記載されたカラーフィルタの着色層を形成する際に用いられる。
E.表示装置
本発明の表示装置は、透明基板と、上記透明基板上に形成された複数色の着色層とを有するカラーフィルタを備える表示装置であって、上記カラーフィルタの各色の上記着色層は、少なくとも顔料とバインダー樹脂とを含有するものであり、上記カラーフィルタが有するRthと、上記カラーフィルタ未装着表示装置のRthとが相殺されるように、PV比を調整した着色層形成用塗工液を用いて各色の上記着色層が形成されることを特徴とするものである。
本発明によれば、カラーフィルタ未装着表示装置のRthが相殺されるように上記カラーフィルタが形成されているため、コントラストが高い表示装置とすることができる。
本発明の表示装置においては、白表示状態とした際の輝度をTon、黒表示状態とした際の輝度をToffとしたとき、Ton/Toffの比で表わされるコントラストが500以上、中でも800以上、特に1000以上であることが好ましい。上記範囲に満たない場合、コントラストが低く、表示品位が損なわれる可能性があるからである。
以下、本発明のカラーフィルタの各構成について説明する。
a.カラーフィルタ
本発明に用いられるカラーフィルタについては、「A.カラーフィルタ 2.第2実施態様」の項で記載したものと同様であるので、ここでの記載は省略する。
b.表示装置
本発明の表示装置は、上述したカラーフィルタを少なくとも有するものであれば特に限定されるものではない。
上記表示装置としては、例えば液晶表示装置、有機EL表示装置、プラズマディスプレイ等が挙げられる。なかでも液晶表示装置であることが好ましい。
上記液晶表示装置、有機EL表示装置、プラズマディスプレイに用いられる部材、材料、形成方法等については、一般的なこれらの表示装置と同様とすることができるのでここでの説明は省略する。
本発明の表示装置は、例えば大型ディスプレイや携帯情報端末等に用いられるものである。
なお、本発明は、上記実施形態に限定されるものではない。上記実施形態は、例示であり、本発明の特許請求の範囲に記載された技術的思想と実質的に同一な構成を有し、同様な作用効果を奏するものは、いかなるものであっても本発明の技術的範囲に包含される。
[実施例1]
(遮光部の形成)
透明基板として、大きさが300mm×400mm、厚みが0.7mmのガラス基板(コーニング社製1737ガラス)を準備した。この透明基板を定法にしたがって洗浄した後、ネガ型感光性ブラックレジスト(東京応化工業(株)製 CFPR DN−83)を塗布し、所定のマスクを介して露光、現像、熱処理して縦ストライプ線幅10μm、縦ストライプピッチ150μm、横ストライプ線幅75μm、横ストライプピッチ450μmとなる格子状の遮光部を形成した。これにより、短辺が150μmで、長辺が450μmの開口部が、短辺方向に10μm間隔で、長辺方向に75μm間隔で形成された。また、長辺方向に隣接する開口部に挟まれる領域は、開口部の長辺方向の長さが75μmで、開口部の短辺方向の長さが150μmの長方形状の領域となった。
(測定用着色層の形成)
まず、下記の顔料を用いて赤色の測定用着色層形成用塗工液、青色の測定用着色層形成用塗工液、緑色の測定用着色層形成用塗工液を、それぞれPV比が0.200となるように調製した。
<赤色の測定用着色層形成用塗工液>
・赤顔料(チバ・スペシャリティ・ケミカルズ社製 クロモフタルレッドA2B)
1.4重量部
・黄顔料(BASF社製 パリオトールイエローD1819) 0.4重量部
・分散剤(ビックケミー社製ディスパービック161) 0.9重量部
・バインダー樹脂 9.0重量部
・開始剤(チバ・スペシャリティ・ケミカルズ社製 イルガキュア907)
1.4重量部
・開始剤(2,2´−ビス(o−クロロフェニル)−4,5,4´,5´−テトラフェニル−1,2´−ビイミダゾール) 0.6重量部
・溶剤(プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート)
64.5重量部
<バインダー樹脂の組成>
・モノマー(サートマー社製 SR399) 4.0重量部
・ポリマーI 5.0重量部
なお、上記のポリマーIは、ベンジルメタクリレート:スチレン:アクリル酸:2−ヒドロキシエチルメタクリレート=15.6:37.0:30.5:16.9(モル比)の共重合体100モル%に対して、2−メタクリロイルオキシエチルイソシアネートを16.9モル%付加したものであり、重量平均分子量は42500である。
ここで、上記重量平均分子量は、ゲル・パーミエーション・クロマトグラフィー(GPC)により、標準ポリスチレン換算値として求めたものである。
<青色の測定用着色層形成用塗工液>
・青顔料(BASF社製 ヘリオゲンブルーL6700F) 2.7重量部
・顔料誘導体(アビシア社製 ソルスパース5000) 0.3重量部
・分散剤(ビックケミー社製ディスパービック161) 1.1重量部
・バインダー樹脂 9.0重量部
・開始剤(チバ・スペシャリティ・ケミカルズ社製 イルガキュア907)
1.4重量部
・開始剤(2,2´−ビス(o−クロロフェニル)−4,5,4´,5´−テトラフェニル−1,2´−ビイミダゾール) 0.6重量部
・溶剤(プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート)
60.4重量部
ここで、バインダー樹脂は上述したものと同様である。
<緑色の測定用着色層形成用塗工液>
・緑顔料(アビシア社製 モナストラルグリーン9Y−C) 1.9重量部
・黄顔料(BASF社製 パリオトールイエローD1819) 0.8重量部
・分散剤(ビックケミー社製ディスパービック161) 1.4重量部
・バインダー樹脂 9.0重量部
・開始剤(チバ・スペシャリティ・ケミカルズ社製 イルガキュア907)
1.4重量部
・開始剤(2,2´−ビス(o−クロロフェニル)−4,5,4´,5´−テトラフェニル−1,2´−ビイミダゾール) 0.6重量部
・溶剤(プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート)
60.4重量部
ここで、バインダー樹脂は上述したものと同様である。
上述した赤色の測定用着色層形成用塗工液を、透明基板上にスピンコート法により塗布し、赤色測定用着色層用のフォトマスクを介して、露光、現像、焼成して、赤色の測定用着色層の単層を形成した。緑色の測定用着色層、および青色の測定用着色層も同様に形成した。これら着色層のRthを測定したところ、赤色の測定用着色層のRthが−10.0nm、緑色の測定用着色層のRthが−9.0nm、青色の測定用着色層のRthが−9.0nmであった。
ここで、上記測定用着色層のRthの測定方法としては、位相差層測定装置(AXOMETRICS社製AxoscanTM Mueller Matrix Polarimeter)を用い、測定波長は、赤色の測定用着色層は620nm、緑色の測定用着色層は550nm、青色の測定用着色層は450nmとした。
(着色層形成用塗工液のPV比の決定)
各色の上記測定用着色層形成用塗工液のPV比の値に対する測定用着色層が有するRthの値が示された検量線を作成するため、各色について、PV比が0.150、およびPV比が0.250である各色の測定用着色層形成用塗工液を、PV比が0.200である測定用着色層形成用塗工液と同様にして調製した。また、上述したPV比が0.200である測定用着色層と同様にして、PV比が0.150、およびPV比が0.250である各色の測定用着色層を形成し、各色の測定用着色層が有するRthの測定を行った。赤色の測定用着色層のRthはPV比が0.150では−8.0nm、PV比が0.250では−12.0nm、緑色の測定用着色層のRthはPV比が0.150では−15.0nm、PV比が0.250では−4.0nm、青色の測定用着色層のRthはPV比が0.150では−4.0nm、PV比が0.250では−14.0nmであった。結果から上記検量線を作成した。
上記検量線を用いて、各色の着色層が有するRthを−10.0nmに揃えるための着色層形成用塗工液のPV比を算出したところ、赤色の着色層形成用塗工液のPV比は0.200、緑色の着色層形成用塗工液のPV比は0.191、青色の着色層形成用塗工液のPV比は0.211となった。
(着色層の形成)
上述した測定用着色層形成用塗工液の材料を用いて、算出した値の着色層形成用塗工液を調製し、上記遮光部が形成された透明基板上の遮光部の開口部に、測定用着色層と同様にして赤色着色層を形成した。緑色着色層、および青色着色層についても同様にして形成した。
(平坦化層の形成)
上記着色層を形成した透明基板上に平坦化層および柱状スペーサを一体で形成した。
<平坦化層形成用塗工液の組成>
・メタクリル酸メチル−スチレン−アクリル酸共重合体 32重量部
・エピコート180S70(ジャパンエポキシレジン(株)製) 18重量部
・ジペンタエリスリトールペンタアクリレート 42重量部
・開始剤(チバ・スペシャリティ・ケミカルズ社製イルガキュア907)
8重量部
・3−メトキシブチルアセテート 300重量部
各色の着色層および平坦化層の積層部分のRthを測定するとそれぞれ赤色の着色層および平坦化層の積層部分は−10nm、緑色の着色層および平坦化層の積層部分は−11nm、青色の着色層および平坦化層の積層部分は−10nmとなった。
このカラーフィルタを用いてパネルを組み、正面方向と斜め45度方向からの外観の観察を行った。
[実施例2]
遮光部の形成は実施例1と同様の手法で行った。
着色層には実施例1と同じ着色層形成用塗工液の材料を用いた。
カラーフィルタ以外の各部材のRthを測定し、カラーフィルタ未装着表示装置の合計のRthを算出すると、赤色波長では12nm、緑色波長では15nm、青色波長では11nmであった。
ここで、上記各部材のRthの測定方法としては、位相差層測定装置(AXOMETRICS社製AxoscanTM Mueller Matrix Polarimeter)を用い、測定波長は620nm、550nm、450nmの3波長とした。
これにより必要となる各色の着色層形成用塗工液のPV比はそれぞれ赤色の着色層形成用塗工液のPV比が0.250、緑色の着色層形成用塗工液のPV比が0.150、青色の着色層形成用塗工液のPV比が0.221であった。算出したPV比の値となるように各色の着色層形成用塗工液を調製し、実施例1と同様にして、各色の着色層を形成した。
また、上記着色層が形成された透明基板上に平坦化層および柱状スペーサの形成を行った。
各色の着色層および平坦化層の積層部分のRthを測定するとそれぞれ赤色の着色層および平坦化層の積層部分は−12nm、緑色の着色層および平坦化層の積層部分は−14nm、青色の着色層および平坦化層の積層部分は−10nmとなった。
このカラーフィルタを用いてパネルを組み、正面方向と斜め45度方向からの外観の観察を行った。
[比較例1]
遮光部の形成は実施例1と同様の手法で行った。
各色の着色層形成用塗工液の材料には実施例1に用いた材料と同様のものを用いて、各色の着色層形成用塗工液がともにPV比が0.250となるように調製し、実施例1と同様にして、各色の着色層を形成した。
また、上記着色層が形成された透明基板上に平坦化層および柱状スペーサの形成を行った。平坦化層についても実施例1と同様にして形成した。
各色の着色層および平坦化層の積層部分のRthを測定するとそれぞれ赤色の着色層および平坦化層の積層部分は−12.0nm、緑色の着色層および平坦化層の積層部分は−12.0nm、青色の着色層および平坦化層の積層部分は−6.0nmとなった。
このカラーフィルタを用いてパネルを組み、正面方向と斜め45度方向からの外観の観察を行った。
[評価]
黒表示時に、実施例1および実施例2については色つきが改善されていた。比較例1については赤みを帯びた黒色となった。
1 … 透明基板
2 … 着色層
3 … 遮光部
4 … 平坦化層
10 … カラーフィルタ

Claims (3)

  1. カラーフィルタとした際に要求される色濃度となる量の顔料と、バインダー樹脂とを用いて所定のPV比を有する測定用着色層形成用塗工液を調製し、前記測定用着色層形成用塗工液を用いて、測定用透明基板上に測定用着色層を形成する測定用着色層形成工程と、
    前記測定用着色層が有する厚み方向のレターデーションを測定し、測定結果に基づいて、各色の着色層が有する厚み方向のレターデーションが均一となるように、各色の着色層形成用塗工液のPV比を増減させて決定する着色層PV比決定工程とを有することを特徴とするカラーフィルタの製造方法。
  2. 複数色の測定用着色層が有する厚み方向のレターデーションの符号が、当該カラーフィルタが表示装置に用いられた際に、前記表示装置が当該カラーフィルタを有さない状態の厚み方向のレターデーションを相殺することが可能な符号となるように、顔料およびバインダー樹脂を選択する顔料およびバインダー樹脂選択工程と、
    カラーフィルタとした際に要求される色濃度となる量の前記顔料と、バインダー樹脂とを用いて所定のPV比を有する前記測定用着色層形成用塗工液を調製し、前記測定用着色層形成用塗工液を用いて透明基板上に測定用着色層を形成する測定用着色層形成工程と、
    各色の前記測定用着色層が有する厚み方向のレターデーションを測定し、測定結果に基づいて、当該カラーフィルタが表示装置に用いられた際に、当該カラーフィルタが有する厚み方向のレターデーションと、前記表示装置が当該カラーフィルタを有さない状態の厚み方向のレターデーションとが相殺されるように、各色の着色層形成用塗工液のPV比を増減させて決定する着色層PV比決定工程とを有することを特徴とするカラーフィルタの製造方法。
  3. 前記着色層PV比決定工程において、予め、前記測定用着色層形成用塗工液のPV比の値に対する測定用着色層が有するRthの値が示された検量線を作成し、前記検量線を用いて各色の前記着色層形成用塗工液のPV比を増減させて決定することを特徴とする請求項1または請求項2に記載のカラーフィルタの製造方法。
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