(1)実施の形態1
本発明の実施の形態1を図1〜3により説明する。図1は実施の形態1に係る画像形成装置の全体を示す図、図2は実施の形態1に係る画像形成装置の露光装置の上面断面図、図3は図2の露光装置の第1の支持部及び第2の支持部を示す図である。
導電性の基体上に有機光導電層を形成したベルト状の感光体1は、テンションローラ14による適度な張力で駆動ローラ11と従動ローラ12、13とに張架され矢印で示すように回動する。感光体1の周囲には、帯電、露光及び現像により、イエロー、マゼンタ、シアン及び黒の各画像を形成する画像形成部が配置される。イエロー画像の画像形成部は、スコロトロン帯電器からなる帯電装置2Y、半導体レーザを光源とし、走査光学系を有する露光装置30Y、現像スリーブ41を有し、反転現像を行う現像装置4Yからなる。同様に、マゼンタ画像形成部は帯電装置2M、露光装置30M、現像装置4Mからなり、シアン画像形成部は帯電装置2C、露光装置30C、現像装置4Cからなり、黒画像形成部は帯電装置2K、露光装置30K、現像装置4Kからなる。
現像装置4Y、4M、4C、4Kの現像スリーブ41には、感光体1上の静電潜像と同極性のバイアス電圧が印加され、これら現像装置は、非接触・反転現像方式による現像を行い感光体1上にトナー像を形成する。現像装置4Y、4M、4C、4Kへはそれぞれのトナー容器5Y、5M、5C、5Mから各色のトナーが補給される。
感光体1に対向して更に、帯電装置2F、転写電圧が印加された転写ローラからなる転写装置7及びクリーニング装置8が配置される。
画像を形成する記録紙Pが収納される給紙カセット20A、20Bと手差し給紙台20Cが画像形成装置の下部と側部に設けられ、それぞれに設けられた給紙部21A、21B、21Cにより記録紙Pを転写装置7に向けて送り出す。23は感光体1上での画像形成と同期して記録紙Pを転写装置7へ搬送するレジストローラである。24は加熱ローラと加圧ローラを有する定着装置、25A、25B、25Cは記録紙Pを搬送する搬送ローラ、26は排出された記録紙Pが堆積される排紙皿である。
画像形成においては、感光体1が矢印で示すように回動し、感光体1の回動に対応して、イエロー画像形成部、マゼンタ画像形成部、シアン画像形成部及び黒画像形成部が制御されたタイミングで、感光体1上に、帯電、露光及び現像により、各色のトナー像を形成し、感光体1上には、各色のトナー像が重なったフルカラートナーが形成される。形成されたフルカラートナー像に対しては、帯電装置2Fにより電位の調整が行われる。
感光体1上における前記のフルカラートナー像の形成と同期して、レジストローラ23から記録紙Pが搬送されて、転写装置7において、感光体1に密着し、転写装置7の転写電圧で、感光体1上のフルカラートナー像が記録紙Pに転写される。
記録紙Pに転写されたフルカラートナー像は定着装置24で定着され、記録紙P上にフルカラー画像が形成される。定着装置24を通過した記録紙Pは搬送ローラ25A、25B、25Cにより搬送されて、排紙皿26に排出される。転写位置を通過した感光体1はクリーニング装置8で残留トナーを除去され、除電ランプ9による除電で、その表面状態が均一化される。
本実施の形態における露光装置30Y、30M、30C、30Kはレーザビームの主走査方向の走査と感光体1の移動による副走査方向の走査により、走査露光を行い、感光体1上に静電潜像を形成するが、各露光装置には走査露光の調整機構が組み込まれている。該調整機構は主走査方向の倍率のバラツキの調整、即ち、横倍率の調整と主走査方向の傾きの調整を行うものである。
以下の説明は、露光装置30M、30C、30Kに共通に用いられる調整機構についての説明であり、これらの露光装置を露光装置30として説明する。なお、露光装置30Y、30M、30C、30Kの全てに前記の調整機構を設ける必要はなく、どれか一つの露光装置には前記調整機能を設けずに、該調整機構を設けない露光装置を基準として、他の露光装置の主走査方向の傾きの調整及び主走査方向の倍率のバラツキの調整の少なくとも一つを行うようにしてもよい。
露光装置30は半導体レーザ35からなるレーザ光源と、第1シリンドリカルレンズ37、ポリゴンミラーユニット31、fθレンズ32及び第2シリンドリカルレンズ33からなる走査光学系とを有する。これらレーザ光源及び走査光学系は箱状の枠体307に固定されている。半導体レーザ35からの光ビームはポリゴンミラーユニット31の高速回転ポリゴンにより、偏向を受けて矢印Wで示すように、高速で感光体1を主走査方向に走査露光する。
枠体307は三角形を形成する一点鎖線A−A、B−B、C−Cの交点T1、T2及びT3において、画像形成装置本体に固定された支持板301に支持される。このように露光装置30は第1支点T1、第2支点T2及び第3支点T3で画像形成装置本体に支持される。
第1支点における枠体307の第1の支持部の構造は図3(a)に示すとおりである。
枠体307の足部304には、ネジ部302bにより結合された結合部材302が固定される。結合部材302はネジ部302bと球体302aを有し、球体302aは球体軸受け303により、上下左右を含む全方向に回転自在に支持されている。結合部材302と球体軸受け303は第1の支持部を構成する。球体軸受け303は中間部材305により、支持板301に設けた案内部301aにより矢印Xで示すように上下に移動可能に案内されている。中間部材305はモータM1により駆動され回転する偏心カム306により上下に駆動される。
モータM1、偏心カム306は光ビームの主走査方向の傾きを調整する第1調整手段を構成する。なお、該第1調整手段として、モータM1と偏心カムに代えて、積層圧電アクチュエータ等の他の駆動手段を用いることもできる。
モータM1の駆動により、枠体307は矢印X方向に上下動し、この上下動により、露光装置30は一点鎖線B−Bを軸として回転するので、Wで示す主走査方向の角度が変化し、主走査方向の傾きが調整される。
第2支点T2における枠体307の第2の支持部の構造は図2及び図3に示すとおりである。
枠体307に設けた一対の立ち上がり部317には結合部材316が支持されている。結合部材316は立ち上がり部317と一体に構成されている。図3(c)に示す棒状の結合部材316は立ち上がり部317に設けた丸穴に貫入している。結合部材316には、結合部材316上を矢印Z方向にスライド移動可能な部分球体314aが配設されている。この部分球体314aは球体軸受け314により全方向に回転可能に支持されている。球体軸受け314は、中間部材315により保持されており、保持部321により中間部材315は矢印Y方向にスライド移動可能に案内されている。保持部321は支持板301に固定されている。中間部材315はモータM2により駆動され回転する偏心カム322により左右に駆動される。
モータM2、偏心カム317は光ビームの主走査方向の倍率のバラツキを調整する第2調整手段を構成する。なお、該第2調整手段として、モータM2と偏心カムに代えて、積層圧電アクチュエータ等の他の駆動手段を用いることもできる。
モータM2の駆動により、枠体307は矢印Y方向に左右動し、この左右動により、露光装置30は第1支点を回転中心として回転するので、ポリゴンミラーユニット31の反射点から被走査面に至る光路長が走査線上の各位置で異なる態様で変化し、主走査方向の倍率のバラツキが調整される。
第3支点T3における枠体307の第3の支持部の構造は図4に示すとおりである。
枠体307に設けた一対の立ち上がり部308には結合部材309が支持されている。結合部材309は立ち上がり部308に設けた長孔310に貫入しており、図4(a)の矢印Yに移動可能である。結合部材309には、結合部材309上を矢印Z方向にスライド移動可能な部分球体312aが配設されている。この部分球体312aは球体軸受け312により全方向に回転可能に支持されている。
このような枠体307の支持構造により、枠体307は第3支点T3において、Y及びZ方向に互いに直角な方向に移動可能であり、この移動は第1支点T1を中心に回転運動である。
モータM1の回転駆動により、枠体307は第1支点において上下し、一点鎖線Bを軸として回転する。この回転でレーザビームLの主走査方向Wの傾き被走査面上の走査線の傾きが調整される。調整は、例えば主走査方向に平行なパターンを複数の走査光学装置で書込を行って、画像形成を行い、形成された線画像の傾き誤差が各露光装置間で無くなるように枠体307をX方向(図3(a))に移動させることにより行われる。
モータM2の回転駆動により、枠体307は第1支点を中心に回転する。この回転により、ポリゴンミラーユニット31の反射点から被走査面に至る光路長差が調整されて各像高における光路長が適正化されることで、主走査方向の倍率のバラツキ、即ち、主走査方向の両端における倍率の違いが調整される。この調整は走査露光を行って形成された画像から横倍率のバラツキ、即ち、主走査方向の倍率の不均一を測定することにより行われる。
また、主走査方向の部分的な倍率のバラツキは、走査露光を行って形成された画像を各露光装置において少なくとも3ヶ所以上測定することで検出可能である。例えば、画像両端と中央で光走査方向に垂直な線を各露光装置により作像しそれぞれの測定ポイントにおける各露光装置で作成した線画像の主走査方向の位置誤差を検出することで、走査領域全体の倍率と光軸中心を境として、走査線の上流と下流での倍率の差を検出することが可能となる。更には、図20に示すように、光走査方向に垂直な線ではなく、主走査方向と平行な線と約45°傾いた線で、「フ」の字の形をした画像位置検出用パターンML、MC、MRを作成すると、従来行っていたラインCCDではなくLED503と受光素子504により低コストで露光装置の位置検出を行うことが出来る。
図20は図2における走査方向の傾きを検知する検知手段、即ち例えば、図20の走査線SLがSL’のように傾いたことを検知する検知手段を示す。感光体1の両端部には、ML、MRで示すマークが、中央部には、MCで示すマークが形成される。これらのマークは走査線に平行な線分と走査線SLに対して45°で交差する線分からなる「フ」の字状のマークである。これらのマークをセンサSSL、SSC、SSRで検知し、マークML、MRの主走査線に平行な線分の検知信号のタイミングから走査線の傾きが検知され、マークML、MC、MRを検知して得られる各マークの平行な線分の検知タイミングと交差する線分の検知タイミングの差(両線分間の距離)から主走査方向の倍率が検知される。
(2)実施の形態2
図5〜図13により本発明の実施の形態2を説明する。図5は本発明の実施の形態2における露光装置の上面断面図である。図2におけると同一の部品は同一の符号を付している。図6は図5における線AX−BX−CXに沿った断面図である。
光源及び走査光学系を支持する枠体401は画像形成装置本体に固定された支持板417により、第1支点T10、第2支点T20及び第3支点T30の3カ所で支持される。第3支点T30における第3の支持部の構造は次のとおりである。
枠体401と支持板417とを結合する結合部材447は球体447aを有する。一方、支持板417には球体447aを、上下左右を含む全方向に回転可能に支持する球体軸受け446が支持板417に固定される。この支持構造によって、枠体401は第3支点T30を中心に上下左右を含む全方向に回転可能に支持される。このように、本実施の形態においては、3カ所の支持部のうちの固定点支持部である第3支点T30が走査光学系の光軸中心AXを含む面で走査面に垂直な面内に設けられている。このような面内に第3支点T30が配設されていると、走査面に平行な面内での露光装置の移動調整が、走査領域に対してほぼ対称に行われるため、主走査方向の倍率の調整を主走査方向の走査領域の中心に対して左右均等に行うことが可能である。
光ビームの主走査方向の傾きを調整する第1調整手段が設けられた第1支点T10における第1の支持部の構造を図6に示す。次に、第1の支持部の構造を説明する。
枠体401には薄い弾性金属板からなる2枚の係合片426、427が一端で固定される。一方、支持板417には回転可能、且つ上下動しないように、駆動ネジ425が設けられる。第1支点T10は係合片426と427とにより形成される面と駆動ネジ425の回転軸との交点である。図示しない保持部材により保持された駆動ネジ425のネジ部は係合片426と427とに係合する。また、駆動ネジ425には歯車425aが固定され、歯車425aは歯車434を介してモータM10により駆動され回転する。また、枠体401を下方向に押圧補助するバネ471が枠体401と支持板417の間に設置されている。モータM10と駆動ネジ425及び係合片426、427は第1調整手段を構成する。
係合片426、427は図6の下方に荷重を受け露光装置30の支持板417に対する受け部材も兼ねている。また、駆動ネジ425の回転により係合片426、427との係合位置は上下方向に移動するが、これに伴って露光装置30は、第3支点T30と第2支点T20とを結ぶ直線を回転中心として回動動作を行うことから係合片426、427と駆動ネジ425の間には、駆動ネジ425の軸方向と垂直方向に隙間が必要であることは言うまでもない。而して、係合片426、427は露光装置30の支持板417に対する受け部材でもあり、駆動ネジ425の軸方向と垂直方向の位置規制は、別の規制手段を設けることで第1の調整手段は何ら不具合を生じない。
前記別の規制手段としては、後述する第2の調整手段で行ってもよいし、例えば、実施の形態1で示される手段又はそれに類する手段により別途位置規制手段を設けてもよい。
モータM10の回転時に、係合片426、427と駆動ネジ425との係合作用により、枠体401は第3支点T30を中心に矢印Xで示すように回転する。枠体401のX方向の上下動によって、光ビームLの走査線傾きが調整される。
第2調整手段が設けられた第2支点T20における第2の支持部の構造は次のとおりである。
第2の支持部の枠体403は、枠体401に一体に構成されており、更に係合片466、467が固定される。一方支持板417には立ち上がり部468,469が形成され、駆動ネジ431が回転自在に支持されている。駆動ネジ431には歯車432が固定され、モータM20及びその回転軸に固定されたウォームギア465の回転により高い減速比で回転自在に連結されている。前記枠体403の延伸部が前記駆動ネジ431の非ネジ部と当接し枠体401と支持板417の上下方向の位置が規制される。第2支点T20は係合片466と467とで形成される面と駆動ネジ431の回転軸との交点である。また、押圧補助するバネ472が設置している。更に、前記係合片466、467が前記駆動ネジ431と係合し、前記係合片466、467と前記駆動ネジ431の間の係合ガタを防ぐためバネ474を設置している。モータM20の回転は駆動ネジ431に伝達さ、この回転により係合片466、467は左右に移動する。モータM20、駆動ネジ431、係合片466、467は第2の調整手段を構成する。
前述のように、モータM20の回転により、係合片466、467は支持板417に対して左右に移動する。すなわち、第1支点T10の駆動ネジ425と係合片426、427の当接点と第3支点T30と第2支点T20の枠体403の延伸部403aが前記駆動ネジ431の非ネジ部と当接点を含む平面内で第3支点T30を回転中心として枠体401は回動動作を行う。この回動動作により主走査方向の左右倍率バラツキの調整が行われる。
図10は第3支点T30における枠体401の支持構造の具体例を示す。図10(a)では、結合部材447の球体447aを支持する球体軸受けとして、3点で支持する3個の球446a、446b、446cを用いている。そして、弾性材料で構成された押さえ部材446dにより、球体447aを球446a、446b、446cに圧接させている。図10(b)では、結合部材447の球体447aを支持する球体軸受けとして、支持板417に球体447aの径よりも小さい円形の穴を空け球体447aを挿入し、図10(a)と同様に弾性材料で構成された押さえ部材446dにより、球体447aを支持板417に圧接させている。図10(c)では、結合部材447の球体を球体軸受け446を絞り加工することにより保持している。
図10(d)と図10(e)は図6における係合片426、427及び図7における係合片466、467の変形例を示す。図10(d)の例では1枚の平板BSに突出部BSA及びBSBを設け、突出部BSAとBSBが係合片426と427又は係合片466と467を形成する。図10(e)の例では、段部CSCを設けた板CSに突出部CSA及びCSBを設け、これら突出部により、係合片426と427又は突出部466と467を形成している。図10(e)の例では、段部CSCにより、突出部CSAとCSBとがその位置をずらして形成される。その結果、係合片426と427とは駆動ネジ425のピッチに対応した位相のずれを以て、駆動ネジ425に係合し、係合片466と467とは駆動ネジ431のピッチに対応した位相のずれを以て駆動ネジ431に係合する。図10(d)に示す例では、平板GSとして弾性を有する板を用い、駆動ネジに係合する際に弾性変形して、適切な係合が行われるようにすることが好ましい。図10(e)に示す例では、段部CSCにより突出部CSAとCSBとの位置が駆動ネジのピッチに対応してずれているので、係合が適切に行われ、正確な調整が可能になる。
図11は走査光学系の主走査方向の傾きを調整する第1調整手段及び走査光学系の主走査方向の倍率のバラツキを調整する第2調整手段の例を示す。
図11(a)、図11(b)において、モータ(図示せず)により駆動される駆動ネジ(駆動雄ネジ)が、雌ネジ481cを有する係合ブロック481に螺入しており、係合ブロック481は枠体401に設けた凹部に固定されている。駆動ネジ425の回転により枠体401は支持板417に対して相対的に上下に移動するが、この移動は第2支点T20と第3支点T30を軸とした露光装置30の回転運動となる。このように、露光装置30の回転運動を係合ブロック481の直線運動により生じさせる調整においては、理論的には回転運動と直線運動との間に不整合を生ずることになる。しかしながら、回転中心である第1支点T10と直線運動が行われる第2支点T20との距離が調整により移動する距離に比較して十分に遠い場合には、ネジ部における間隙によって、前記不整合が吸収されるので、前記不整合が調整上の問題となることはない。なお、前記不整合を吸収できる調整機構の条件としては、露光装置30の最大調整量(調整により移動する距離の最大値)の1.5倍以上の調整量を可能とするネジ部の間隙を持たせるという条件が望ましいことが確認されている。
図11(c)、図11(d)においては、雌ネジ482cを有する係合ブロック482が係合ブロック482に嵌合する棒状の結合部材482a、482bにより枠体401に結合される。モータ(図示せず)により駆動される駆動ネジ425は係合ブロック482の雌ネジ482cに螺入している。雄ネジが形成された駆動ネジ425を固定している歯車425aをモータで駆動することにより、係合ブロック482が上下移動し、支持板417に対する枠体410の相対位置が変化する。図11(c)、図11(d)の例では、係合ブロック482が結合部材482a、482bに対して回転可能であるので、駆動ネジ425等の取付誤差がこの回転可能な取付構造により吸収されて、駆動軸425の支持板417に対する直角度をその取付の際に精密に管理しなくても、係合部材482は自己調整される点で、組立工数の低減に有効である。
図11(e)、図11(f)においては、モータ(図示せず)により駆動される駆動ネジ425(駆動雄ネジ)が係合ブロック483の孔に貫入している。係合ブロック483は枠体401に設けた凹部に固定されている。図11(f)は図11(e)の線DX−DXに沿った拡大断面図であり、図示のように、係合ブロック483に螺入した係合部材484の尖頭部が駆動ネジ425のネジ部に係合している。第1支点T10は係合部材484の尖頭部と駆動ネジ425との接点である。駆動ネジ425の回転により、第2支点T20と第3支点T30とを結ぶ直線を軸として露光装置30が回転運動をする。駆動ネジ425による係合ブロック483の運動は直線運動であるのに対して、前記のように露光装置30は回転運動を行う。係合部材484を用いた前記の調整機構は、このような直線運動と回転運動との間の不整合を吸収するものであり、駆動ネジ425の支持板417への取付の際に、直角度を精密に管理する等の組立工程における組立工数を低減することができる。
図11(a)〜図11(f)に示す調整手段は主走査方向の傾きを調整する第1調整手段の例であるが、図11(g)に示す例は主走査方向の倍率のバラツキを調整する第2調整手段の具体例である。
図11(g)においては、支持板417に固定した立ち上がり部468、469に駆動ネジ431を支持させ、雄ネジが形成された駆動ネジ431(駆動雄ネジ)に、図11(a)に示すような雌ネジを有する係合ブロック491を作用させる。係合ブロック491は設けた結合部材491a、491bにより枠体403、401に結合される。
図示しないモータで駆動ネジ431を固定している歯車432を回転駆動することにより、枠体401は水平方向に移動し、走査光学系の主走査方向の倍率のバラツキが調整される。なお、バネ474は調整機構のガタを吸収するために設けられている。また、枠体401には突出部492を設けるとともに支持板417に、突出部492に対応する受け部493を設ける。突出部492と受け部493とにより、間隔保持手段を構成し、該間隔保持手段により、露光装置30と支持板417との間隔を一定に保持している。472は突出部492を受け部493に押圧する弾性部材である。
(3)実施の形態3
図12は本発明の実施の形態3を示す。図12(a)は露光装置30を斜め下方から見た斜視図、図12(b)は露光装置30の支持構造の断面図である。
露光装置30の枠体401は固定点である第3支点T30において、図示しない球体軸受けにより軸受けされた球体を先端に有する結合部材500で画像形成装置本体に支持されるとともに、第3支点T30を中心とする円弧に沿った形状を有する支持棒502に支持される。即ち、枠体401に支持部材530により固定した円弧の管からなる案内部材501に支持棒502が貫入している。図示しない駆動手段により、枠体401は矢印Vで示すように、第2支持手段としての案内部材50により案内されて第3支点T30を支点として回転運動して、露光装置30の走査光学系の主走査方向の倍率のバラツキが補正される。このように、駆動手段、支持棒502及び案内部材501は倍率調整手段を構成する。第3支点T30を形成する第1支持手段としての結合部材500と球体軸受け505により、枠体401は上下左右方向に回転可能に支持される。
(4)実施の形態4
図13は本発明の実施の形態4に係る露光装置の斜視図である。
露光装置30は、支持部材600上に組み立てられたユニット構造を有する。支持部材600の端部に固定された立ち上がり部601、602には支持軸603が支持される。そして、支持軸603には、管状の結合部材605、606が回転可能に係合している。結合部材605、606は箱状の枠体604に固定されている。枠体604内には、ポリゴンミラーユニット31、fθレンズ32、第2シリンドリカルレンズ33等の走査光学系が設けられる。枠体604の結合部材605及び606が設けられた辺と対向する辺には、係合片607、608が固定される。係合片607、608は画像形成装置本体に設けた駆動ネジ609に係合する。駆動ネジ609には歯車610が固定される。
図示しない駆動源としてのモータで、駆動ネジ609を回転駆動することにより、係合片607、608の作用で、枠体604は軸603を中心に回転し、露光装置30の主走査方向の傾きが調整される。このように、前記モータ、駆動ネジ609及び係合片607、608は傾き調整手段を構成する。
実施の形態3における主走査方向の傾きの調整及び実施の形態4における主走査方向の倍率のバラツキの補正については説明を省略したが、実施の形態1,2における調整機能或いは他の任意の周知の調整手段を用いることができる。
また、実施の形態4におけるユニット全体を実施の形態3の調整機構で調整することによっても、部品点数は多くなるもののより確実に主走査方向の傾きの調整と主走査方向の倍率のバラツキの調整を行うことができる。
以上説明した調整機構を持った露光装置30は図1に示す画像形成装置に用いられるが、図1に示す画像形成装置に限られず、例えば、次に実施の形態5として説明する画像形成装置、即ち、感光体上に各色のトナー像を形成し、形成された複数の色トナー像を中間転写体を経て記録紙に転写する画像形成装置や複数の感光体上に形成された各色のトナー像を記録紙上に重ねて転写する又は中間転写ベルトに重ねて転写した後記録紙上に一括転写することによりフルカラー画像を形成する画像形成装置にも使用することができる。
(5)実施の形態5
図14〜20により実施の形態5を説明する。図14は本発明の実施の形態5の画像形成装置の全体を示す図、図15〜図19は図14に示す画像形成装置における露光装置間の結合構造を示す図、図20は露光装置間の位置関係を検知する検知手段を示す図である。
導電性の基体に半導電性の層が形成されたベルト状の中間転写体50が駆動ローラ51と従動ローラ52とにテンションローラ53により適切な張力で、矢印で示すように回動可能に張架される。中間転写体50に対向して、イエロー画像用の像形成部YU、マゼンタ画像用の像形成部MU、シアン画像用の像形成部CU及び黒画像用の像形成部KUが設けられる。各像形成部はドラム状の感光体U1、帯電装置U2、露光装置U3、現像装置U4及びクリーニング装置U5を有する。なお、前記像形成部内のこれら構成部については、イエロー画像用の像形成部のみに符号を付している。中間転写体50を挟んで、像形成部YU、MU、CU、KUに対向して転写装置54が設けられる。
記録紙を収納する給紙カセット60A、60B、60Cが装置下部に設けられるとともに、手差し給紙皿60Dが側部に設けられる。各給紙カセットと手差し給紙皿からの記録紙Pを搬出する給紙部61A、61B、61C、61Dが設けられる。給紙部61A、61B、61C、61Dはそれぞれ、堆積した記録紙を上から送り出す送り出しローラと、記録紙を1枚に分離して搬送する分離搬送ローラと捌きローラから構成されている。56は記録紙Pを定着装置57に搬送する搬送ベルト、57は加熱ローラと加圧ローラを有する定着装置、58は中間転写体50上の残留トナーをクリーニングするクリーニング装置、59は排紙皿、64は原稿を読み取り画像データを生成する読取装置である。
各像形成部においては、感光体U1に対して、帯電装置U2による帯電、露光装置U3による露光及び現像装置U4の現像によりトナー像が形成される。これらトナー像の形成は、中間転写体50に転写装置54により転写されるが、各トナー像は中間転写体50上で重なってフルカラー画像が形成されるように制御されて形成される。
中間転写体50上に形成されたフルカラー画像は転写装置55により記録紙Pに転写され、定着装置57により定着される。フルカラー画像が形成された記録紙Pは排紙皿59に排出される。
像形成部YU、MU、CU、KUは、中間転写体50上に各色のトナー像をミクロン単位の正確さで形成することが条件とされる。このような条件が満たされない場合、中間転写体50上に形成されたフルカラー画像は色ずれのあるものとなる。従って、像形成部YU、MU、CU、KUの位置、特に、各ユニットの露光装置U3の相互間の位置は高度の正確さで設定されることが条件になる。
本実施の形態においては、図15に示すように、像形成部YU、MU、CU、KUの露光装置U3、即ち、4個の露光装置が縦に結合される。図15に示すように、イエロー画像用の露光装置U3はその両端で支持手段としての支持板7A、7Bに、マゼンタ画像用の露光装置U3は支持手段としての支持板8A、8Bに、シアン画像用の露光装置U3は支持手段としての支持板9A、9Bに、黒画像用の露光装置U3は支持手段としての支持板10A、10Bにそれぞれ固定され、支持板7Aと支持板8A、支持板8Aと支持板9A、支持板9Aと支持板10A、支持板7Bと支持板8B、支持板8Bと支持板9B、支持9Bと支持板10Bとが互いに結合・固定される。
露光装置U3は図16に示すように、光源としての半導体レーザ35と、コリメータレンズ36、第1シリンドリカルレンズ37、ポリゴンミラーユニット31、fθレンズ32及び第2シリンドリカルレンズ33からなる光学系とを有する。39はインデックスセンサ、38はインデックスセンサ39に光ビームを導くミラーである。
支持板7A、7B、8A、8B、9A、9B、10A、10Bは多数の突出部をそれぞれ有し、これらの突出部が交互に差し込まれた形態で各支持板同士を固定する固定手段により結合される。図17と図18には支持板8Aと9Aの結合の例を示す。図17は支持板の結合前の状態を示し、図18は支持板同士が結合された状態を示す。像形成部YU、MU、CU、KUは像形成部KUを基準として、像形成部YU、MU、CUが図示しない像形成部位置決め手段により所望の位置に調整された状態になっている。像形成部の位置が調整された段階では、それぞれの像形成部は図示しない調整手段により空間に浮いた状態にあり、前記多数の突出部の相互隙間はこの調整工程での調整代を含めて十分な隙間を持っている。後述する連結手段により前記多数の突出部同士を固定することで像形成部YU、MU、CU、KUは一つの大きな像形成ユニットとして構成される。
図18(a)は結合部の側面図、図18(b)は結合部の正面図である。図17に示すように、支持板8Aの突出部82と支持板9Aの突出部91とが交互に嵌入する。突出部82と91とはそれぞれ折れ部84、93を先端部に有し、支持板8Aと9Aとの結合後に、図18に示すように、折れ部84と93との間隙に溶融樹脂REを注入することにより樹脂REを充填する。樹脂REが充填された結合部は図18に示状態になり、支持板8Aと9Aとを引き離す方向Fに対して交差する面RSを持つ折れ部93と、84との間隙に樹脂REが充填されるので、支持板8Aと9Aとは引き離す方向Fの力に対して、樹脂RE自身の抵抗力による抗力が作用して堅固に結合される。
支持板7Aと支持板8A、支持板9Aと支持板10A、支持板7Bと支持板8B、支持板8Bと支持板9B、支持板9Bと支持板10Bも前記の同様に樹脂REの注入充填により結合される。
このようにして、4個の露光装置U3は相互に堅固に結合される。図19は露光装置の結合の他の例を示す。この例では、支持板7Aと、8Aと、9Aと、10Aとのそれぞれには、多数の突出部が設けられるが、これらの突出部には図17、18の場合のように、折れ部は設けられない。
図19の例では、支持板7Aと8A及び8Aと9Aのように、相隣る露光装置の支持板同士が結合された後に、両者の結合部に樹脂REを注入することにより、両者を結合・固定する。この場合には、樹脂REとして、支持板7Aと8Aを構成している樹脂と同一種類の樹脂材料が用いられる。支持板と充填樹脂REとに同一の樹脂材料を用いることにより、材料の線膨張係数が同一となり画像形成装置の温度上昇による像形成部の歪みの防止となる。また、溶融した樹脂を隙間に充填する際に、支持板7A、7B、8A、8B、9A、9B、10A、10Bの樹脂充填部分は熱の影響を受け表面が粗面化することで、熱を加えない結合方法に比べてより強固に結合される。
支持板7Aと8Aと9A以外の相隣る支持板同士も同様にして結合される。なお、本実施の形態における露光装置間の結合構造が図1における露光装置30、30M、30C、30K間の結合にも適用しうることは勿論である。
カラー画像形成装置の画質をよくするには、画像形成部YU、MU、CU、KUの各露光装置U3間の位置を精密に調整して組み立てる必要がある。本実施の形態においては、図15に示す組立体が次に説明する工程により組み立てられる。
まず、支持板7A、7B、8A、8B、9A、9B、10A、10Bが露光装置U3に固定される。最下段の支持板10A、10Bを取り付けた露光装置U3は、図示しない取付基準により、治具に固定される。他の露光装置U3は下から順番に積み上げられが、最下段以外の露光装置は、図示しない治具の腕により保持されて、浮いた状態に維持される。次に、最下段の露光装置に対して他の露光装置が設計値の範囲内に入るように位置調整される。調整においては、露光装置U3間の距離を精密に測定することにより行われる。
位置が調整された前記支持板間に形成された間隙に溶融した樹脂REが流し込まれ、前記支持板間が固定される。
図20に示すように、駆動ローラ51及び従動ローラ52、53に張架された中間転写体50には、露光装置U3による定形パターンの露光により、「フ」字状の位置調整用の多数のマークML、MC、MRが形成される。マークMLは感光体50の左端部に、マークMCは感光体の中央部に、マークMRは感光体50の中央部にそれぞれ形成される。各マークは主走査線SLに平行な線分と主走査線SLと45°の角度で交差する線分からなる「フ」字状の形状を有する。
前記平行な線分の位置検知情報を用いて、像形成部YU、MU、CU、KUの各露光装置U3間の副走査方向の位置が調整され、前記交差する線分の位置検知情報を用いて、各露光装置U3の主走査方向の位置及び主走査方向の倍率が調整される。マークSSL、SSCL、SSRの位置はセンサSSにより検知される。センサSSは感光体50に光ビームを投射するLED構成の投光素子SS1、感光体50からの反射光を受光する受光素子SS2及びレンズSS3で構成される。
図20に示す位置検知手段を用いた露光装置間の位置の調整は、組上がった図15に示す組立体を組み込んだ画像形成装置を作動させる画像形成試験を通じて行われる。
以上の画像形成装置の組立工程により、像形成部YU、MU、CU、KU間に、主走査方向及び副走査方向の位置ずれがなく、また主走査線の傾き及び主走査方向の倍率のバラツキのない高画質のカラー画像を形成することができる画像形成装置が形成される。