JP5264147B2 - プラズマ溶融装置、プラズマ溶融方法および坩堝 - Google Patents

プラズマ溶融装置、プラズマ溶融方法および坩堝 Download PDF

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本発明は、プラズマ溶融装置とプラズマ溶融方法および坩堝に関し、詳しくは粉末シリコンの溶融に適したプラズマ溶融装置とプラズマ溶融方法、および、それらに使用する坩堝に関する。
ICチップや太陽電池用として広く用いられるシリコン単結晶または多結晶からなる薄板(以下、シリコンウェハという)の製造工程において、シリコンの約60%が切断、面取り、研磨等により廃液中に廃棄されている。従って、製品に対するコスト負荷ならびに廃棄処分(この廃液は濃縮処理や一部材料の回収の後、埋め立て処分されるのが一般的である)に伴う環境への負荷が大きな問題となっている。
また、世界的な環境保護意識の高まりにより、再生可能エネルギー源としての太陽電池が注目されている。しかし、太陽電池の需要が急増するにつれて半導体産業のシリコンスクラップを原料とするのみでは需要を賄いきれず、太陽電池用原料シリコンの不足が顕在化している。
そこで、従来、シリコンウェハの製造工程で発生する粉末シリコンを、再利用する方法が提案されてきた。
例えば、特許文献1には、ワイヤソーを用いてシリコンを切断する際に生じる廃液(廃スラリ)から粉末シリコンを回収する方法が開示されている。
しかし、一般に粉末シリコンを加熱、溶融することには幾つかの問題点があることが知られている。例えば、特許文献2の[0005]には「プラズマアークやガス・ジェットは粉状原料を投入した際の飛散ロスが大きいために歩留りが低くなり、また直流アーク法もアーク火点での10000℃にも達する高温の影響でシリコンが蒸発してしまう」などと記載されている。
特開2001−278612号公報 特開2001−48697号公報
本発明は、このような事情を考慮してなされたもので、粉末状の原料の溶融を行っても、飛散ロスや原料の蒸発を抑制することができ、例えば、粉末シリコンを効率よく溶融できるプラズマ溶融装置および方法を提供することを課題とする。
この発明は、上部に開口を有し内部に溶融対象を収容する有底筒状の坩堝と、電極と電極を囲むノズルからなるプラズマトーチとを具備し、前記開口は、少なくともその周縁領域が導電材料からなり、プラズマトーチの電極と前記開口の周縁領域との間に電圧を印加するとき前記電極と前記領域との間に通電状態のプラズマが生成され、非通電状態のプラズマと非通電状態のプラズマが消失した後のガスとの少なくとも一方が坩堝内に吹き込まれるようにプラズマトーチと坩堝が配置されたプラズマ溶融装置を提供するものである。
この発明は別の観点から、上部が開放され内部に溶融対象を収容する有底筒状の本体と、本体の上部を閉じる蓋部とからなる坩堝と、電極と電極を囲むノズルからなるプラズマトーチとを具備し、蓋部は坩堝の外部から内部へ貫通する開口を有し、開口はその周縁領域が導電材料からなり、プラズマトーチが備える電極と前記開口の周縁領域との間に電圧を印加するとき前記電極と前記領域との間に通電状態のプラズマが生成され、非通電状態のプラズマと非通電状態のプラズマが消失した後のガスとの少なくとも一方が坩堝内に吹き込まれるようにプラズマトーチと坩堝とが配置されたプラズマ溶融装置を提供するものである。
前記坩堝内に前記溶融対象を搬入する搬入機構と、溶融した溶融対象を前記坩堝から搬出する搬出機構をさらに備えてもよい。
また、この発明は、さらに別の観点から前記プラズマトーチの電極と前記開口の周縁領域との間に電圧を印加して前記電極と前記領域との間に通電状態のプラズマを生成し、非通電状態のプラズマおよび/または前記非通電状態のプラズマが消失した後の加熱ガスを坩堝内に吹き込み、それによって前記溶融対象を溶融する工程を含むことを特徴とするプラズマ溶融方法を提供するものである。
前記坩堝にシリコンを含む溶融対象を予め搬入する搬入工程と、溶接した溶融対象を前記坩堝から搬出する搬出工程をさらに含んでもよい。
また、この発明は、さらに別の観点から上部に開口を備え内部に溶融対象を収容するための有底筒状部材と、前記有底筒状部材の内部底面に設けられた凸型の突起とを備えることを特徴とする坩堝を提供するものである。
この発明のプラズマ溶融装置やプラズマ溶融方法によれば、溶融対象が、非通電状態のプラズマと非通電状態のプラズマが消失した後のガスとの少なくとも一方によって溶融されるので、溶融対象が粉末であっても、その飛散を抑制でき、さらに溶融対象として粉末シリコンを用いた場合においてもシリコンの蒸発を抑制でき、溶融対象の溶融歩留まりを高くすることができる。
まず、本発明における「通電状態のプラズマ」「非通電状態のプラズマ」「非通電状態のプラズマが消失した後の加熱ガス」の意味について図10〜図13を用いて説明する。
プラズマトーチとは、一般にガス雰囲気中で直流電源又は高周波電源によるアークを発生させ、それによってプラズマを生成する装置である。
それは、
(1)図10に示すように、トーチ4の電極41と被加熱物15との間に、直流電源21から電圧を印加し、プラズマトーチ4と被加熱物間15との間に形成される通電状態のプラズマ7aを利用して非加熱物15を加熱する移行形プラズマトーチと、
(2)図11に示すように、プラズマトーチ4から吹き出す非通電状態のプラズマ7bを利用する非移行形プラズマトーチの2種類に大別される。
非移行型プラズマトーチ(図11)においては、通電状態のプラズマ7aは電極41とノズル42の間にのみ生成され、非加熱物15に向かって吹き出されることはない。
また、非通電状態のプラズマ7bは、ある程度の時間が経つと再結合により消失する。すなわち、プラズマとは「原子が電離して電子と正イオンになり、全体として電気的にほぼ中性が保たれている状態」であるので、電子と正イオンが衝突することにより、元の原子に戻る(これを空間再結合という)。
プラズマ消失後のガス(プラズマ領域から放出されたガス)は、プラズマ状態ほどの高温ではないものの、しばらくは加熱状態を保ちうるため、これを「加熱ガス」と呼ぶことにする。
また、図12に示すように、高周波電源22を用いるプラズマトーチ4aにおいては、プラズマトーチ4aと被加熱物15の間に直流電源からの電圧印加が無い場合には、高周波コイル121周辺に生成するプラズマを通電状態のプラズマ7a、ノズル42の外部に噴出するプラズマを非通電状態のプラズマ7bとする。
図13に示すように、プラズマトーチ4aと被加熱物15の間にさらに直流電圧21から電圧を印加する場合には、高周波コイル121周辺に生成するプラズマおよびノズル42の外部に噴出するプラズマの両者を通電状態のプラズマ7aとする。
なお、本発明のプラズマ溶融装置とプラズマ溶融方法においては、直流電源を用いるプラズマトーチと高周波を用いるプラズマトーチの両者ともに使用できるが、装置の簡便さや、比較的高い出力が得られやすい点などから、直流電源を用いるプラズマトーチを用いることが好ましい。
以下、図面に示す実施形態を用いてこの発明を詳述する。なお、各図共通の構成要素には同じ参照符号をつけている。
<実施形態1>
(1)プラズマ溶融装置
図1に示すプラズマ溶融装置100は、坩堝50とプラズマトーチ4を具備する。坩堝50は、上部の第1開口部11と、溶融対象5aを収容する凹部20とを有する有底筒状の坩堝本体1と、第1開口部11よりも小さな第2開口部61を有して第1開口部11を閉じる蓋部6とを備える。
そして、少なくとも第2開口部61の周縁領域が導電材料からなり、プラズマトーチ4の内部にある電極41(図2)と、第2開口部61の周縁領域との間に直流電源21から電圧を印加すると、トーチ4の電極41と第2開口部61の周縁領域との間に通電状態のプラズマが生成されるようになっている。
図1においては坩堝1として、上部に第1開口部11を有する有底筒状の坩堝本体1に対して第2開口部61を有する蓋部6を組み合わせた場合を示している。これは個々の部材(坩堝本体や蓋部)の製作の容易さや交換の容易さ(たとえば坩堝が使用可能な状態において蓋部だけが破損し、これを交換する場合など)において好ましい例である。ただし、蓋部6は必須の部材ではなく、第1開口部11を有する坩堝本体1のみを坩堝50として使用しても良い。この場合、第1開口部11の周縁領域が導電材料で形成される。
また、坩堝50は図1に示すように溶融対象5aを搬入する搬入機構2と、溶融した溶融対象、つまり溶湯5bを坩堝1から搬出する搬出機構3とを備える。坩堝50が搬入機構2と搬出機構3を備えることにより、溶融対象5aを連続して溶融することができる。
以下、実施形態1において用いられる部材の構造や機能について詳述する。
(坩堝)
坩堝本体1は、通電状態のプラズマ、非通電状態のプラズマおよび/または加熱ガスの温度に耐えることができる材料からなり、溶融された溶融対象つまり、溶湯5bを適宜保持できるものであればいかなるものであってもよい。
それは、例えば、黒鉛製坩堝であることが好ましく、炭化ケイ素を30〜50wt%含んだ黒鉛製坩堝、あるいは窒化ケイ素を20〜30wt%含んだ黒鉛製坩堝であってもよい。さらに、それは、シリカ製坩堝(シリカが90wt%以上)やムライト質坩堝(アルミナ69〜70wt%とシリカ30wt%の混合物からなる)、アルミナ製坩堝(アルミナが90wt%以上、好ましくは96wt%以上)などであってもよい。
(蓋部)
蓋部6は、坩堝本体1を閉じるように配置される板状部材であり、坩堝本体1と同様の材料から形成されることが好ましい。
(凹部)
坩堝1には、溶融対象5aを収容するための凹部が必要である。従って、通常、坩堝1は上部が開放され側面と底面とを有する有底筒状部材により形成され、内部にその凹部を備える。
(開口部)
坩堝50における第1開口部11と、蓋部6における第2開口部61とは、一般に坩堝本体1の上部および蓋部6を構成する板状部材に開けられた円形孔であるが、その形状に限定は無い。
ここで「開口部の周縁領域が導電材料からなる」状態を実現するためには、坩堝本体1や蓋部6自体が黒鉛などの導電材料から形成されていれば単に開口部を形成するだけでよいし、それらがシリカ等の絶縁材料からなる場合には開口部の周縁に黒鉛や金属(タングステンなど)からなる導電領域を形成すればよい。
(搬入機構、搬出機構)
搬入機構2の好ましい例として、傾斜した供給管を挙げることができる。もちろん、これに限られるものではなく、ベルトコンベアなどを用いてもよい。さらに、本発明に用いる搬出機構3としては、略水平に配置された(又は傾斜した)排出管を挙げることができる。これらの部材は坩堝1と同様の材料からなることが好ましい。
(プラズマトーチ)
プラズマトーチ4として、直流プラズマトーチが好ましく用いられる。ただし、直流プラズマトーチに限らず、たとえば高周波プラズマトーチを用いてもよい。
プラズマトーチ4は図2に示すように、棒状の電極(陰極)41と、それを囲む円筒形のノズル42とを備える。電極41の先端部はトリア(二酸化トリウム)とタングステンの合金などを用い、ノズル42は銅などの金属やセラミックスで構成される。
図2においては、円筒形のノズル42は、先端において外径が一定で内径が小さくなっているが、これに限るものではない。ノズル42には、ノズルの先端全体の径を絞ったものや、径が変化しない(すなわち、ほぼ円筒形の)ものなども使用できる。
また、電極41とノズル42の間の空隙に上から下に向かってアルゴンやヘリウム、窒素、水素等のガス(プラズマ作動ガス7)を単独で、または混合して流すことで、プラズマトーチ4にガス吹き出し機能を持たせている。
なお、電極41やノズル42は水冷機構を具備することが好ましい。プラズマトーチ4は、発生したプラズマの流れを調整するためのガスを噴出する追加ノズル210や、電極41とノズル42の間にパイロットアークを生成する高周波印加装置などをさらに備えていてもよい。
(溶融対象)
溶融対象5aは各種金属、金属酸化物および半導体材料の単体または混合物であるが、主に粉末シリコンである。また、シリコンウェハの製造時の廃液から回収した粉末シリコンを使用してもよい。
(2)溶融方法
次に、溶融装置100を用いたプラズマ溶融方法について、図3〜図8を用いて説明する。
図3に示すように、溶融装置100では、坩堝本体1に搬入機構2と搬出機構3および蓋部6が配置された坩堝50に対し、開口部61から所定の間隔をあけてプラズマトーチ4(直流プラズマトーチ)を配置する。プラズマトーチ4は前述のように電極(陰極)41と、それを囲むノズル42を備える。
坩堝50とプラズマトーチ4とは、密閉可能な容器310の内部に設置される。さらに、この容器310に減圧ポンプやガス供給装置などを取り付けて、容器310内部を特定のガス雰囲気(アルゴン、窒素などの不活性ガス雰囲気であることが好ましいが、水素などが適宜混合されていてもよい)にしてもよい。
しかし、これらは必須の要件ではない。というのは、例えば、プラズマ作動ガス7としてアルゴンガスを用いれば、特に減圧ポンプやガス供給装置などを用いなくとも、容器310の内部をアルゴン雰囲気とすることは容易であるからである。
まず、図3に示すように、プラズマトーチ4にプラズマ作動ガス7を供給し、電極41を陰極、蓋部6(蓋部6は黒鉛などの導電材料からなっている)を正極として直流電源21から電圧を印加し、通電状態のプラズマ7aを生成する。直流電源21からは、50A〜500Aのアーク電流、150V〜400Vのアーク電圧が出力される。
また、プラズマ作動ガス7としてはアルゴンガスや、アルゴンガスに体積比20%以下の水素ガスおよび/または体積比25%以下の窒素ガスを混合したものが好ましく使用される。
また、プラズマ作動ガス7の流量は、例えば0.3m3/h〜5.0m3/hである。プラズマ作動ガス7の流量と減圧ポンプ(これは必要に応じて設けられる)によって定まる容器310内部の圧力は、通常0.2atm〜2.0atm以下である。
本実施形態においては、坩堝50とプラズマトーチ4とが最も接近しているのは第2開口部61近傍なので、通電状態のプラズマ7aはプラズマトーチ4と開口部61周辺との間に生成される。この場合、基本的に通電状態のプラズマ7aが第2開口部61を介して坩堝本体1の内部に吹き込まれることはない。
しかし、非通電状態のプラズマ7bおよび/または加熱ガス7cは第2開口部61から坩堝本体1の凹部20内に吹き込まれ、坩堝本体1自体とその内部にある溶融対象5aとを加熱する。この加熱温度はプラズマ作動ガス7の流量やプラズマトーチ4と坩堝1との距離などによって比較的簡単に調整でき、例えば、シリコンを溶融対象とした場合、溶融シリコンの温度を1414℃〜2000℃になるように調整する。
ここで、非通電状態のプラズマ7bと加熱ガス7cの識別は、例えば、可視光発光の有無(肉眼による識別であり、プラズマ7bは発光するが加熱ガス7cは発光しない)で可能である。しかし、本発明においては非通電状態のプラズマ7bと加熱ガス7cとの少なくとも一方で溶融対象5aを溶融すればよく、両者の識別は必要ではない。よって以下、「非通電状態のプラズマ7bおよび/または加熱ガス7c」のことを「非通電状態のプラズマ7bと加熱ガス7c」という。
非通電状態のプラズマ7bと加熱ガス7cの生成と同時、またはこれらの生成開始から所定の時間を置いた後、坩堝本体1内部に溶融対象5aとして粉末シリコンを搬入する。粉末シリコンは非通電状態のプラズマ7bと加熱ガス7cによって(場合によっては、坩堝本体1によって)加熱され、溶融する。
溶融装置100によれば、溶融対象5aの沸点(例えば、シリコンならば2600℃)よりも高温の通電状態のプラズマ7aと、溶融対象5aとが接しないので、溶融対象5aの蒸発による溶融効率の低下を防ぐことができる。
さらに、本実施形態においては、通電状態のプラズマ7aを直接溶融対象5aに吹き付ける溶融装置(後述する比較例参照)に比べてプラズマトーチ4と溶融対象5aの距離が遠いので、加熱ガス7cの流速が比較的遅い。よって、粉末状の溶融対象5aが未溶融状態のまま坩堝50外に放出されることを抑制できる。
また、本実施形態においては、坩堝50の開口部61から坩堝50の凹部20内に向かって流れる非通電状態のプラズマ7bと加熱ガス7cを挟んで、搬入機構2と搬出機構3とが互いに対向するように配置されている。よって、非通電状態のプラズマ7bと加熱ガス7cに向かって粉末シリコンを導入すると、粉末シリコンはそれらの流れに沿って移動しつつ加熱されて溶融を始める。
次いで、粉末シリコンは、坩堝本体1の底部に接することでも加熱され、さらに、坩堝本体1の側壁(主に搬出機構3とは反対側にある側壁)に接することでも加熱され、溶融が進む。なぜならば、既に坩堝本体1の内部は非通電状態のプラズマ7bと加熱ガス7cによって十分に加熱されているからである。
このような状態では、未溶融のまま搬出機構3から放出される粉末シリコンの量は抑制されるので、このことによっても溶融効率の低下を防ぐことができる。
また、粉末シリコンの溶融に非通電状態のプラズマ7bと加熱ガス7cを用いるので、従来型のプラズマを加熱源として用いる溶融方法(一般に通電状態のプラズマを用いる)と異なり、プラズマトーチ4の電極41に由来する汚染(プラズマ生成時の高熱により、電極41が溶融および/または気化してプラズマ7a中に混入することによる)が少ない。
これは、溶融状態および/または気化状態の電極材料は負に帯電しているため、正極である蓋部6の開口部61より先(坩堝1の凹部20内)へは吹き込まれにくいためであると考えられる。
<実施形態2>
この実施形態においては、図4〜図8に示すように、坩堝本体1aの底部に突起12が配置される。すなわち実施形態2における坩堝本体1aは、実施形態1における坩堝本体1の底面に溶融空間に対して突出する突起12を設けたもので、その他の構成は坩堝本体1と同等である。
ここで、突起12は図5に示すように坩堝1の底部全体を横切るように配置されてもよいし、図6に示すように、坩堝1の底部の一部に、例えば中央に柱状(円柱、角材)や半球状、もしくは円錐や角錐形状に配置されてもよい。
また、突起12の材料は、坩堝本体1aに使用される材料で形成されればよく、特に限定されない。特に、突起12は黒鉛製の坩堝1と一体に形成されることが好ましい。
この実施形態においては、突起12に向けて非通電状態のプラズマ7bと加熱ガス7cを吹き付ける。この際、底面に対して、鉛直に吹き付けても良いし、多少斜めに(搬入機構2に近い側から搬出機構3に近い側に向かって)吹き付けてもよい(図7参照)。
また、鉛直に吹き付ける場合においても、非通電状態のプラズマ7bと加熱ガス7cが突起12に衝突後、搬入機構2側と搬出機構3側に略均等に分かれる位置に吹き付けてもよいし、搬出機構3側に優先的に流れるように吹き付けてもよい(図8参照。なお、図8の突起12は非通電状態のプラズマ7bと加熱ガス7cが排出機構3側に優先的に流れ易い断面形状を有する)。
このような突起12に向けて非通電状態のプラズマ7bと加熱ガス7cを吹き付けることにより、突起12が他の部分に比べて優先的に加熱される。この優先的に加熱された突起12近傍に粉末シリコンを導入することで、突起12が無い場合に比べて高速な溶融が可能となる。
さらに、突起12に対して非通電状態のプラズマ7bと加熱ガス7cを斜めに吹き付ける場合(図7参照)や、排出機構3側に優先的に流れる位置に吹き付ける場合(図8参照)には、突起12を加熱した後の非通電状態のプラズマ7bと加熱ガス7cが、ほとんど粉末シリコンを含まないまま搬出機構3側へ向かい、優先的に坩堝本体1aの外へ放出される。
このことは、未溶融状態の粉末シリコンが非通電状態のプラズマ7bと加熱ガス7cと共に坩堝本体1aの外へ放出される割合が減ることを意味し、さらに溶融効率の低下を防ぐことができる。
以下、具体的な実施例を用いてこの発明を詳述する。
<実施例1>
本実施例1において使用したシリコン溶融装置は、図3と同等に構成され、日本坩堝(株)製の黒鉛製坩堝(内径150mm、高さ200mmであり、その蓋部に直径10mmの円形の開口部を有する)および、前記開口部の上方に先端を15mm離して設置された日産TANAKA(株)製のモリブデン製電極を有するプラズマトーチ(電源としてTSI−120K2を有する)からなり、これを約0.2m3の容積を有する溶融室(密閉可能な容器)内に設置している。
このプラズマトーチにプラズマ作動ガス(ここではアルゴンと窒素を体積比85:15で混合したもの)を0.8m3/h〜1.2m3/hで流し、電極と黒鉛製坩堝との間に240Vの電圧をかけることにより、150A〜200Aの電流値を持つ通電状態のプラズマを生成した。この通電状態のプラズマは、プラズマトーチと黒鉛製坩堝の開口部近傍の間に生成するので、開口部近傍以外の坩堝内部に通電状態のプラズマは侵入せず、非通電状態のプラズマおよび加熱ガスのみが坩堝内部に侵入する。
また、溶融室内部の気体雰囲気は特に制御してはいないが、溶融室容量に対して十分な量のプラズマ作動ガスを投入したので、アルゴンと窒素の体積比85:15で1atmの雰囲気にあると考えられる。
ここで、坩堝内部に200gの粉末シリコンを搬入した。なお、実施例1において使用した粉末シリコンは、ワイヤソーを用いてシリコンを切断する際に生じる廃液(使用済みスラリ)を、1次遠心分離することにより、砥粒が主成分の固形分を回収する。
そして、その1次遠心分離により得られた液分を2次遠心分離することにより、分散媒が主成分の液分と、その残りのスラッジとに分離する。さらに、2次遠心分離により得られた液分を蒸留することにより得られる固形分について粉砕及び有機物残渣の除去を行うことで得られたものである。
また、別途同様の条件下での坩堝内部の温度を測定したところ、1800℃〜2000℃であった。
投入後2分間の加熱により、80gの溶融シリコンを搬出機構から得た。また、溶融終了後の坩堝重量を測定したところ、50gの重量増加が確認できた。これは溶融物の一部が排出されずに残ったものであると考えられる。
残る70gが、未溶融状態で坩堝外へ放出された粉末シリコンおよび、粉末シリコン中に含まれる焼失または気化可能な成分(スラリ由来の有機物など)であると考えられる。
また、溶融前の粉末シリコンには約10ppmwのリンが含まれていた(ICP−mass分析による)が、溶融後には6ppmwとなっていた。これは溶融時にリンが気化し、除去されたためと考えられる。
また、シリコン中のモリブデンの濃度は、融解前と融解後ともに0.5ppmであった。
<実施例2>
坩堝底部に、直径50mm、高さ40mmの円柱状突起を形成した坩堝を用いた以外は、実施例1に準じた実験を行った。
この際、得られた溶融シリコン量やその不純物濃度は実施例1とほとんど変わらなかったが、実施例1の2分間に比べて短い1分程度で溶融可能であった。
<比較例>
図9に示すように溶融室910に溶融室910内にプラズマ溶融装置900を設置し、実施例1,2と同じ粉末シリコンの溶融を行った。
本比較例におけるプラズマ溶融装置900と実施例1,2におけるプラズマ溶融装置100(図3参照)との相違点は、プラズマ溶融装置900には、坩堝本体1に蓋部6が無いこと、通電状態のプラズマ7aをプラズマトーチ4と坩堝本体1の底部との間に生成していること(まず、プラズマトーチ4を坩堝本体1の底部に近づけ、ここに通電状態のプラズマを発生させた後、プラズマトーチ4をある程度引き上げることによる)、そして、粉末シリコンと通電状態のプラズマ7aとが接することで粉末シリコンの溶融が行われることである。
通電状態のプラズマ7aの生成後、ここに200gの粉末シリコンを投入したところ、投入後2分間の加熱により得られた溶融シリコンは40gであり、坩堝1の重量増加分は50gであった。
よって、残る110gが、未溶融状態で坩堝外へ放出された粉末シリコンおよび、粉末シリコン中に含まれる焼失または気化可能な成分であると考えられる。ここで、焼失または気化可能な成分量は本比較例と実施例1,2とで差異は無い(同じ粉末シリコンを使用している)ので、本比較例における110gと実施例における70gとの差である40gのほとんどは、未溶融状態で坩堝外へ放出された粉末シリコン量であると考えられる。
なお、本比較例における溶融シリコン中のリン濃度は実施例と同じく6ppmwであった。
一方、シリコン中のモリブデンの濃度は、融解前の0.5ppmに対して融解後は0.8ppmとやや増加していた。この原因としてはプラズマトーチ4の電極41からの混入が考えられる。
本発明のプラズマ溶融装置の構成を示す断面図である。 本発明に用いる直流プラズマトーチを示す断面図である。 本発明の実施形態1,2に用いるプラズマ溶融装置を示す断面概略図である。 本発明の実施形態2の坩堝の形状を示す断面図である。 本発明の実施形態2の坩堝の変形例を示す平面図である。 本発明の実施形態2の坩堝の変形例を示す平面図である。 本発明の実施形態2における坩堝の形状と、非電通状態のプラズマと加熱ガスの吹き込みの例を示す断面図である。 本発明の実施形態2における坩堝の形状と、非電通状態のプラズマと加熱ガスの吹き込みの例を示す断面図である。 比較例のプラズマ溶融装置を示す断面図である。 移行型プラズマトーチを示す断面図である。 非移行型プラズマトーチを示す断面図である。 高周波電源を用いるプラズマトーチを示す断面図である。 高周波電源を用いるプラズマトーチを示す断面図である。
符号の説明
1,1a 坩堝本体
2 搬入機構
3 搬出機構
4,4a プラズマトーチ
5a 溶融対象
5b 溶湯
6 蓋部
7 プラズマ作動ガス
7a 電通状態のプラズマ
7b 非電通状態のプラズマ
7c 加熱ガス
11 第1開口部
12 突起
21 直流電源
22 高周波電源
50 坩堝
61 第2開口部
100,900 プラズマ溶融装置
310 容器

Claims (5)

  1. 上部に開口を有し内部に溶融対象を収容する有底筒状の坩堝と、電極と電極を囲むノズルからなり電極とノズルの間隙にガスを流すことで得られるガス吹き出し機能を備えるプラズマトーチとを具備し、前記開口は、少なくともその周縁領域が導電材料からなり、プラズマトーチの電極と前記開口の周縁領域との間に電圧を印加するとき前記電極と前記領域との間に通電状態のプラズマが生成され、非通電状態のプラズマと非通電状態のプラズマが消失した後のガスとの少なくとも一方が前記ガス吹き出し機能により坩堝内に吹き込まれるようにプラズマトーチと坩堝が配置されたプラズマ溶融装置。
  2. 上部が開放され内部に溶融対象を収容する有底筒状の本体と、本体の上部を閉じる蓋部とからなる坩堝と、電極と電極を囲むノズルからなり電極とノズルの間隙にガスを流すことで得られるガス吹き出し機能を備えるプラズマトーチとを具備し、
    蓋部は坩堝の外部から内部へ貫通する開口を有し、開口はその周縁領域が導電材料からなり、プラズマトーチが備える電極と前記開口の周縁領域との間に電圧を印加するとき前記電極と前記領域との間に通電状態のプラズマが生成され、非通電状態のプラズマと非通電状態のプラズマが消失した後のガスとの少なくとも一方が前記ガス吹き出し機能により坩堝内に吹き込まれるようにプラズマトーチと坩堝とが配置されたプラズマ溶融装置。
  3. 前記坩堝内に前記溶融対象を搬入する搬入機構と、溶融した溶融対象を前記坩堝から搬出する搬出機構をさらに備える請求項1または請求項2に記載のプラズマ溶融装置。
  4. 請求項1〜3のいずれか1つに記載のプラズマ溶融装置を用い、前記プラズマトーチの電極と前記開口の周縁領域との間に電圧を印加して前記電極と前記領域との間に通電状態のプラズマを生成し、非通電状態のプラズマおよび/または前記非通電状態のプラズマが消失した後の加熱ガスを坩堝内に吹き込み、それによって前記溶融対象を溶融する工程を含むことを特徴とするプラズマ溶融方法。
  5. 前記坩堝にシリコンを含む溶融対象を予め搬入する搬入工程と、溶融した溶融対象を前記坩堝から搬出する搬出工程をさらに含む請求項4記載のプラズマ溶融方法。
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