JP5263647B2 - タイヤ用ゴム組成物およびそれを用いたタイヤ - Google Patents

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本発明は、グリップ性能および耐摩耗性を向上させたタイヤの製造を可能にするタイヤ用ゴム組成物ならびにそれを用いたタイヤに関する。
近年、自動車の高性能化、高馬力化が進む一方、安全性に対する意識も高まっており、タイヤにおいても例外ではなく、とくにトレッド部においては、加速性能やブレーキ性能に代表されるグリップ性能の要求も強まってきている。例えば、高速走行時の諸性能もその1つにあげられる。
グリップ性能は、ゴム組成物のヒステリシスロス特性に依存しており、従来、ゴム組成物のグリップ性能を向上させる手法としては、例えば、スチレンブタジエンゴム(SBR)のスチレン含有量やビニル結合量を多くし、ガラス転移点(Tg)をより高くする手法が知られている。しかしこの場合、耐摩耗性が低下するだけでなく、低温時のグリップ性能が低下し、脆化破壊を起こす危険性もある。また、グリップ性能を向上させる手法としては、オイルを多量に使用する手法も知られているが、破壊特性の低下により、耐摩耗性が低下してしまう。
さらにグリップ性能を向上させる手法として、低分子量SBRを使用する手法が提案されている。しかし、耐摩耗性とグリップ性能のバランスが充分ではない。また、ゴム組成物にタングステンなどの無機化合物を添加する技術、アクリル系樹脂を添加する技術、ウレタン系粒子を添加する技術などがある。しかしこれらの技術では、充分なグリップ性能を示すゴム組成物は得られていない。
特許文献1(特開2005−126556号公報)には、加工性の改善、転がり抵抗特性を改善したゴム組成物として、カップリングにより高分子化された溶液重合スチレン−ブタジエンゴム50質量%以上、天然ゴム40質量%以下およびブタジエンゴム40質量%以下からなり、重量平均分子量が10000以下であり、カルボキシル基、ビニル基、水酸基からなる群より選ばれた官能基で末端変性された低分子量ブタジエンゴム1〜12質量%を含むゴム成分を含有するゴム組成物が提案されている。
また特許文献2(特開2005−126604号公報)には、同様な目的で、溶液重合スチレン−ブタジエンゴム50質量%以上、天然ゴム40質量%以下、およびブタジエンゴム40質量%以下からなるゴム成分で、前記溶液重合スチレン−ブタジエンゴムは、(a)重量平均分子量が5000以下の低分子量溶液重合スチレン−ブタジエンゴムを25質量%以下、および(b)SnまたはSiでのカップリングにより高分子量溶液重合スチレン−ブタジエンゴムを含み、かつ該溶液重合スチレン−ブタジエンゴム全体の重量平均分子量が50万以上であるゴム組成物が開示されている。
特開2005−126556号公報 特開2005−126604号公報
本発明はタイヤのグリップ性能および耐摩耗性に優れるタイヤ用ゴム組成物ならびにそれを用いたタイヤを提供することを目的とする。
本発明は、分子鎖末端が、−SH、−CSSH、−SOH、−(COO)x M、−(SO)x Mおよび−CO−R(なお、前記官能基において、Mはカチオン、xはMの価数に依存する1〜3の整数であり、Rはアルキル基である)の群から選ばれる少なくとも1つの官能基で変性されており、重量平均分子量Mwが300〜50000の共役ジエン重合体または共役ジエン−芳香族ビニル共重合体の少なくともいずれかを、ジエン系ゴム100質量部に対して、3〜200質量部配合したタイヤ用ゴム組成物に関する。
前記共役ジエン重合体および共役ジエン−芳香族ビニル共重合体の共役ジエンのモノマー成分が、1,3−ブタジエンまたはイソプレンであることが望ましい。また前記共役ジエン−芳香族ビニル共重合体の芳香族ビニルのモノマー成分が、スチレンまたはビニルナフタレンのいずれかであることが望ましい。
さらに本発明のゴム組成物は、前記ジエン系ゴム成分中におけるスチレン−ブタジエンゴムの含有率が30質量%以上であることが望ましい。また、本発明は、前記タイヤ用ゴム組成物を用いたタイヤに関する。
本発明のゴム組成物は、ジエン系ゴム成分に特定の官能基の分子鎖末端構造を有し、特定範囲の平均分子量を有する共役ジエン重合体および/または共役ジエン−芳香族ビニル重合体を所定量含有することで、グリップ性能および耐摩耗性をバランスさせたタイヤ用ゴム組成物がえられ、該タイヤ用ゴム組成物を用いたタイヤを提供することができる。
本発明のタイヤ用ゴム組成物は、分子鎖末端を特定の官能基で変性した、共役ジエン重合体および/または共役ジエン−芳香族ビニル共重合体(以下、これらを総称して「変性重合体」ともいう。)とジエン系ゴムの混合物である。
<ジエン系ゴム>
ジエン系ゴムとしては、とくに制限はなく、天然ゴム(NR)、イソプレンゴム(IR)、ブタジエンゴム(BR)、スチレンブタジエンゴム(SBR)、アクリロニトリルブタジエンゴム(NBR)、クロロプレンゴム(CR)、ブチルゴム(IIR)などがあげられ、これらのゴムは単独で用いても、二種類以上を組み合わせて用いても良い。なかでも、グリップ性能および耐摩耗性を高次にバランスよく向上させることから、NR、BRおよびSBRが好ましく、SBRがより好ましい。
ジエン系ゴムとしてSBRを用いる場合、ジエン系ゴム成分中におけるSBRの含有率は、30質量%以上が好ましく、50質量%以上がより好ましく、60質量%以上がさらに好ましく、70質量%以上がとくに好ましく、80質量%以上がもっとも好ましい。SBRの含有率が30質量%未満では、ゴムと重合体との相溶性が十分でない場合があり、耐摩耗性が低下する傾向がある。
<変性重合体>
ここで変性重合体とは、分子鎖末端が特定の官能基で変性された共役ジエン重合体または共役ジエン−芳香族ビニル共重合体を意味する。本発明において、共役ジエン重合体または共役ジエン−芳香族ビニル共重合体の分子鎖末端が、−SH、−CSSH、−SOH、−(COO)M、−(SO)Mまたは−CO−R(ここでMはカチオン、xはMの価数に依存する1〜3の整数であり、Rはアルキル基である)に変性された変性重合体を使用することで、重合体末端の官能基間の相互作用により生じるヒステリシスロスにより、耐摩耗性を損ねることなく、グリップ性能を飛躍的に向上させることができ、耐摩耗性とグリップ性能とを高次にバランスさせることができる。
共役ジエン重合体および/または共役ジエン−芳香族ビニル共重合体の末端が−(COO)Mまたは−(SO)Mである場合、Mとしては、たとえば、ナトリウム、カリウムなどのアルカリ金属カチオン、マグネシウム、カルシウムなどのアルカリ土類金属カチオン、アルミニウム、鉄、亜鉛、ニッケル、コバルトなどのその他の金属カチオン、アンモニウムなどのチッ素系カチオン、ホスホニウムなどのリン系カチオンがあげられる。なかでも、汎用性やコストなどの観点から、ナトリウム、マグネシウム、アルミニウム、アンモニウムが好ましい。
共役ジエン重合体および/または共役ジエン−芳香族ビニル共重合体の分子鎖末端が−CO−Rである場合、Rはアルキル基が好ましい。
Rの炭素数は1〜15が好ましく、1〜10がより好ましい。Rの炭素数が15をこえると、官能基による変性の効果が小さくなり、グリップ性能および耐摩耗性の充分な改善が得られない傾向がある。
本発明で使用する共役ジエン重合体は、共役ジエンモノマーであれば1種類を重合しても、2種類以上を共重合してもよい。前記共役ジエンモノマー成分としては、1,3−ブタジエン、イソプレン、1,3−ペンタジエン、2,3−ジメチルブタジエン、2−フェニル−1,3−ブタジエン等があげられる。中でも、汎用性、コスト等の観点から1,3−ブタジエン、イソプレンが好ましい。
本発明で使用する共役ジエン−芳香族ビニル共重合体は、共役ジエンモノマーと芳香族ビニルモノマーを共重合させてできる重合体をいう。芳香族ビニルモノマーは1種類を重合しても、2種類以上を共重合してもよい。
前記芳香族ビニルモノマー成分としては、スチレン、α−メチルスチレン、1−ビニルナフタレン、3−ビニルトルエン、エチルビニルベンゼン、ジビニルベンゼン、4−シクロヘキシルスチレン、2,4,6−トリメチルスチレンなどの芳香族ビニルモノマーがあげられる。なかでも、重合活性、入手容易性や、グリップ性能の改善効果の観点から、スチレンおよび1−ビニルナフタレンが好ましい。
共役ジエン−芳香族ビニル共重合体における芳香族ビニル成分の割合は、重合体全体の
5〜60質量%の範囲が好ましい。
前記変性重合体の重量平均分子量(Mw)は300以上、好ましくは400以上である。変性重合体のMwが300未満では、充分な耐摩耗性が得られない。また、変性重合体のMwは50000以下、好ましくは30000以下である。変性重合体のMwが50000を超えるとグリップ性能が低下する。特に、Mwは500〜10000の範囲が好ましい。
変性重合体の含有量は、ジエン系ゴム100質量部に対して3質量部以上、好ましくは5質量部以上である。変性重合体の含有量が3質量部未満では、グリップ性能の改善効果が小さい。また、変性重合体の含有量は200質量部以下、好ましくは150質量部以下である。変性重合体の含有量が200質量部をこえると、耐摩耗性が低下する。
<補強剤>
本発明のタイヤ用ゴム組成物は、さらに、補強用充填剤を含有することが好ましい。補強用充填剤としては、カーボンブラック、シリカ、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、クレー、アルミナ、タルクなど、従来タイヤ用ゴム組成物において慣用されるものであればとくに制限はなく、これらの補強用充填剤は単独で用いても、2種類以上組合せて用いてもよいが、主としてカーボンブラックが好ましい。
<カーボンブラック>
カーボンブラックのチッ素吸着比表面積(NSA)は80m/g以上が好ましく、100m/g以上がより好ましい。カーボンブラックのNSAが80m/g未満では、グリップ性能および耐摩耗性がともに低下する傾向がある。また、カーボンブラックのNSAは280m/g以下が好ましく、200m/g以下がより好ましい。カーボンブラックのNSAが280m/gをこえると、良好な分散が得られにくく、耐摩耗性が低下する傾向がある。
補強用充填剤としてカーボンブラックを添加する場合、カーボンブラックの含有量は、ジエン系ゴム100質量部に対して10質量部以上が好ましく、20質量部以上がより好ましい。カーボンブラックの含有量が10質量部未満では、耐摩耗性が低下する傾向がある。また、カーボンブラックの含有量は200質量部以下が好ましく、150質量部以下がより好ましい。カーボンブラックの含有量が200質量部をこえると、加工性が低下する傾向がある。
<その他の配合剤>
本発明のタイヤ用ゴム組成物には、ジエン系ゴム、変性重合体および補強用充填剤の他に、ゴム工業で通常使用されている各種薬品、たとえば硫黄などの加硫剤、各種加硫促進剤、各種軟化剤、各種老化防止剤、ステアリン酸、酸化防止剤、オゾン劣化防止剤などの添加剤を配合することができる。
<タイヤの製造>
本発明のタイヤ用ゴム組成物は、グリップ性能および耐摩耗性を高次元にバランスさせることができることから、タイヤ部材のなかでもとくに、トレッドとして好適に使用されるものである。本発明のタイヤは、前記タイヤ用ゴム組成物を用いて、通常の方法によって製造される。すなわち、必要に応じて前記各種薬品を配合して得られた未加硫のタイヤ用ゴム組成物をトレッドの形状に合わせて押し出し加工する。その後、タイヤ成型機で、他のタイヤ部材と貼り合わせて未加硫タイヤを成型する。この未加硫タイヤを加硫機で所定圧力、所定温度で加硫して本発明のタイヤを製造する。
実施例に基づいて、本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらのみに限定されるものではない。
<配合薬品>
実施例および比較例で用いた表1、表2の各種薬品は以下のとおりである。
スチレン−ブタジエンゴム(SBR):日本ゼオン(株)製のニッポールNS116。
天然ゴム(NR):テックビーハング社製のRSS♯3。
カーボンブラック:キャボットジャパン(株)製のショウブラックN220(NSA:125m/g)。
老化防止剤:大内新興化学工業(株)製のノクラック6C(N−1,3−ジメチルブチル−N’−フェニル−p−フェニレンジアミン)。
ステアリン酸:日本油脂(株)製。
酸化亜鉛:三井金属鉱業(株)製の亜鉛華1号。
硫黄:鶴見化学工業(株)製の粉末硫黄。
加硫促進剤:大内新興化学工業(株)のノクセラーNS(N−t−ブチル−2−ベンゾチアゾリルスルフェンアミド)。
<共役ジエン重合体(1)〜(12)の合成>
1.共役ジエン重合体(1)の合成
充分に窒素置換した100ml容器に、シクロヘキサン50ml、テトラヒドロフラン1ml、1,3−ブタジエン8mlおよび1.6mol/lのn−ブチルリチウムヘキサン溶液0.62mlを混入し、50℃で1時間撹拌した後、イソプロパノール2mlを添加することで反応を停止させ、共役ジエン重合体(1)を合成した。
2.共役ジエン重合体(2)の合成
イソプロパノール2mlのかわりにスチレンオキシド0.11mlを添加したこと以外は、共役ジエン重合体(1)と同様に共役ジエン重合体(2)を合成した。
3.共役ジエン重合体(3)の合成
イソプロパノール2mlを添加する前に炭酸ガスを30分間バブリングしたこと以外は、共役ジエン重合体(1)と同様に共役ジエン重合体(3)を合成した。
4.共役ジエン重合体(4)の合成
イソプロパノール2mlのかわりにプロピレンスルフィド0.1mlを添加したこと以外は、共役ジエン重合体(1)と同様に共役ジエン重合体(4)を合成した。
5.共役ジエン重合体(5)の合成
1.6mol/Lのn−ブチルリチウムヘキサン溶液0.31mlを混入したこと以外は、共役ジエン重合体(4)と同様に共役ジエン重合体(5)を合成した。
6.共役ジエン重合体(6)の合成
1,3−ブタジエン8mlの代わりにイソプレンを7.3mlを混入したこと以外は、共役ジエン重合体(4)と同様に共役ジエン重合体(6)を合成した。
7.共役ジエン重合体(7)の合成
イソプロパノール2mlのかわりに二硫化炭素0.1mlを添加したこと以外は、共役ジエン重合体(1)と同様に共役ジエン重合体(7)を合成した。
8.共役ジエン重合体(8)の合成
イソプロパノール2mlのかわりに1,3−プロパンスルトン0.1mlを添加したこと以外は、共役ジエン重合体(1)と同様に共役ジエン重合体(8)を合成した。
9.共役ジエン重合体(9)の合成
窒素で十分に置換した200ml容器に、シクロヘキサン50ml、蒸留水50ml、共役ジエン重合体(3)5.0gおよび水酸化マグネシウム0.05gを添加し、室温で1時間撹拌し、共役ジエン重合体(9)を合成した。
10.共役ジエン重合体(10)の合成
水酸化マグネシウム0.05gの代わりに水酸化アルミニウム0.03gを添加したこと以外は、共役ジエン重合体(9)と同様に共役ジエン重合体(10)を合成した。
11.共役ジエン重合体(11)の合成
共役ジエン重合体(3)5gの代わりに共役ジエン重合体(8)5gを添加したこと以外は、共役ジエン重合体(9)と同様に共役ジエン重合体(11)を合成した。
12.共役ジエン重合体(12)の合成
イソプロパノール2mlのかわりに酢酸エチル0.2mlを添加したこと以外は、共役ジエン重合体(1)と同様に共役ジエン重合体(12)を合成した。
<共役ジエン−芳香族ビニル共重合体(1)〜(13)の合成>
1.共役ジエン−芳香族ビニル共重合体(1)の合成
充分に窒素置換した100ml容器に、シクロヘキサン50ml、テトラヒドロフラン1ml、1,3−ブタジエン7.3ml、スチレン1.6mlおよび1.6mol/lのn−ブチルリチウムヘキサン溶液0.75mlを混入し、50℃で1時間撹拌した後、イソプロパノール2mlを添加することで反応を停止させ、共役ジエン−芳香族ビニル共重合体(1)を合成した。
2.共役ジエン−芳香族ビニル共重合体(2)の合成
イソプロパノール2mlのかわりにスチレンオキシド0.15mlを添加したこと以外は、共役ジエン−芳香族ビニル共重合体(2)と同様に共役ジエン重合体(2)を合成した。
3.共役ジエン−芳香族ビニル共重合体(3)の合成
1.6mol/lのn−ブチルリチウムヘキサン水溶液0.38mlを混入したこと以外は、後述の共役ジエン−芳香族ビニル重合体(6)と同様に共役ジエン−芳香族ビニル重合体(3)を合成した。
4.共役ジエン−芳香族ビニル共重合体(4)の合成
スチレン1.6mlの代わりに1−ビニルナフタレンを1.4mlを混入したこと以外は、後述の共役ジエン−芳香族ビニル重合体(6)と同様に共役ジエン−芳香族ビニル重合体(4)を合成した。
5.共役ジエン−芳香族ビニル共重合体(5)の合成
1,3−ブタジエン8mlの代わりにイソプレンを6.6mlを混入したこと以外は、後述の共役ジエン−芳香族ビニル重合体(6)と同様に共役ジエン−芳香族ビニル重合体(5)を合成した。
6.共役ジエン−芳香族ビニル共重合体(6)の合成
イソプロパノール2mlのかわりにプロピレンスルフィド0.1mlを添加したこと以外は、共役ジエン−芳香族ビニル重合体(1)と同様に共役ジエン重合体(6)を合成した。
7.共役ジエン−芳香族ビニル共重合体(7)の合成
イソプロパノール2mlを添加する前に炭酸ガスを30分間バブリングしたこと以外は、共役ジエン−芳香族ビニル重合体(1)と同様に共役ジエン重合体(7)を合成した。
8.共役ジエン−芳香族ビニル共重合体(8)の合成
イソプロパノール2mlのかわりに二硫化炭素0.1mlを添加したこと以外は、共役ジエン重合体(1)と同様に共役ジエン−芳香族ビニル重合体(8)を合成した。
9.共役ジエン−芳香族ビニル共重合体(9)の合成
イソプロパノール2mlのかわりに1,3−プロパンスルトン0.13mlを添加したこと以外は、共役ジエン−芳香族ビニル重合体(1)と同様に共役ジエン重合体(9)を合成した。
10.共役ジエン−芳香族ビニル共重合体(10)の合成
充分に窒素置換した200ml容器に、シクロヘキサン50ml、蒸留水50ml、共役ジエン−芳香族ビニル重合体(7)6.0gおよび水酸化マグネシウム0.05gを添加し、室温で1時間撹拌し、共役ジエン重合体(10)を合成した。
11.共役ジエン−芳香族ビニル共重合体(11)の合成
水酸化マグネシウム0.05gの代わりに水酸化アルミニウム0.04gを添加したほかは、共役ジエン−芳香族ビニル重合体(10)と同様に共役ジエン重合体(11)を合成した。
12.共役ジエン−芳香族ビニル共重合体(12)の合成
共役ジエン−芳香族ビニル重合体(7)5gの代わりに共役ジエン−芳香族ビニル重合体(9)5gを添加したこと以外は、共役ジエン−芳香族ビニル重合体(9)と同様に共役ジエン−芳香族ビニル重合体(12)を合成した。
13.共役ジエン−芳香族ビニル共重合体(13)の合成
イソプロパノール2mlのかわりに酢酸エチル0.2mlを添加したこと以外は、共役ジエン−芳香族ビニル重合体(1)と同様に共役ジエン−芳香族ビニル重合体(13)を合成した。
<重合体の特性の測定>
前記共役ジエン重合体(1)〜(12)および共役ジエン−芳香族ビニル重合体(1)〜(13)のモノマー成分、末端構造および重量平均分子量(Mw)について、以下に示す。なお末端構造は日本電子(株)製のフーリエ変換赤外分光光度計(FT−IR)を用い、吸収スペクトルを確認し、Mwは、東ソー(株)製のGPC−8000シリーズの装置を用い、検知器として示差屈折計を用いて測定し、分子量は標準ポリスチレンにより校正することにより測定した。
<共役ジエン重合体>
1.共役ジエン重合体(1)
モノマー成分:1,3−ブタジエン、末端構造:変性なし、Mw:4800
2.共役ジエン重合体(2)
モノマー成分:1,3−ブタジエン、末端構造:−OH、Mw:5000
3.共役ジエン重合体(3)
モノマー成分:1,3−ブタジエン、末端構造:−COOH、Mw:6000
4.共役ジエン重合体(4)
モノマー成分:1,3−ブタジエン、末端構造:−SH、Mw:5100
5.共役ジエン重合体(5)
モノマー成分:1,3−ブタジエン、末端構造:−SH、Mw:10200
6.共役ジエン重合体(6)
モノマー成分:イソプレン、末端構造:−SH、Mw:4600
7.共役ジエン重合体(7)
モノマー成分:1,3−ブタジエン、末端構造:−CSSH、Mw:5300
8.共役ジエン重合体(8)
モノマー成分:1,3−ブタジエン、末端構造:−SOH、Mw:5500
9.共役ジエン重合体(9)
モノマー成分:1,3−ブタジエン、末端構造:−(COO)Mg、Mw:6200
10.共役ジエン重合体(10)
モノマー成分:1,3−ブタジエン、末端構造:−(COO)Al、Mw:6300
11.共役ジエン重合体(11)
モノマー成分:1,3−ブタジエン、末端構造:−(SO)Mg、Mw:5700
12.共役ジエン重合体(12)
モノマー成分:1,3−ブタジエン、末端構造:−CO−CH、Mw:5300
<共役ジエン−芳香族ビニル重合体>
1.共役ジエン−芳香族ビニル重合体(1)
モノマー成分:1,3−ブタジエン、スチレン、末端構造:変性なし、Mw:54002.共役ジエン−芳香族ビニル重合体(2)
モノマー成分:1,3−ブタジエン、スチレン、末端構造:−OH、Mw:6000
3.共役ジエン−芳香族ビニル重合体(3)
モノマー成分:1,3−ブタジエン、スチレン、末端構造:−SH、Mw:103004.共役ジエン−芳香族ビニル重合体(4)
モノマー成分:1,3−ブタジエン、1−ビニルナフタレン、末端構造:−SH、
Mw:50000
5.共役ジエン−芳香族ビニル重合体(5)
モノマー成分:イソプレン、スチレン、末端構造:−SH、Mw:5900
6.共役ジエン−芳香族ビニル重合体(6)
モノマー成分:1,3−ブタジエン、スチレン、末端構造:−SH、Mw:5900
7.共役ジエン−芳香族ビニル重合体(7)
モノマー成分:1,3−ブタジエン、スチレン、末端構造:−COOH、Mw:6300
8.共役ジエン−芳香族ビニル重合体(8)
モノマー成分:1,3−ブタジエン、スチレン、末端構造:−CSSH、Mw:6500
9.共役ジエン−芳香族ビニル重合体(9)
モノマー成分:1,3−ブタジエン、スチレン、末端構造:−SOH、Mw:5900
10.共役ジエン−芳香族ビニル重合体(10)
モノマー成分:1,3−ブタジエン、スチレン、末端構造:−(COO)Mg、Mw
:7200
11.共役ジエン−芳香族ビニル重合体(11)
モノマー成分:1,3−ブタジエン、スチレン、末端構造:−(COO)Al、Mw
:7100
12.共役ジエン−芳香族ビニル重合体(12)
モノマー成分:1,3−ブタジエン、スチレン、末端構造:−(SO)Mg、Mw
:6500
13.共役ジエン−芳香族ビニル重合体(13)
モノマー成分:1,3−ブタジエン、スチレン、末端構造:−CO−CH3、Mw:5
900
参考例1−1〜参考例1-8、実施例1−9、参考例1-10および比較例1−1〜比較例1-3は、表1に示す配合処方にしたがった。また参考例2−1〜参考例2−9、実施例2-10および比較例2−1〜比較例2-3は、表2に示す配合処方にしたがった。
前記配合処方に従い、バンバリーミキサーを用いて、硫黄および加硫促進剤以外の薬品を150℃の条件下で5分間混練りし混練り物を得た。次に、得られた混練り物に硫黄および加硫促進剤を添加し、オープンロールを用いて、50℃の条件下で5分間練り込み、未加硫ゴム組成物を得た。さらに、得られた未加硫ゴム組成物を170℃の条件下で20分間加硫することにより、実施例および比較例の加硫ゴム組成物を作製した。なお、以下の各評価試験において、表1の参考例1−1〜参考例1−8、実施例1-9、参考例1-10および比較例1−1〜比較例1−3では比較例1−1を基準配合とした。また、表2の参考例2−1〜参考例2−9、実施例2-10および比較例2−1〜比較例2−3では比較例2−1を基準配合とした。
Figure 0005263647
Figure 0005263647
<耐摩耗性>
前記各配合のゴム組成物に関して、ランボーン型摩耗試験機を用いて、室温、負荷荷重1.0kgf、スリップ率30%の条件下で3分間摩耗させて摩耗重量を測定し、その摩耗重量を比重より摩耗体積(以下、「摩耗量」という)に換算した。そして、基準配合の耐摩耗性指数を100とし、下記計算式により、各配合の摩耗量を指数表示した。なお、耐摩耗性指数が大きいほど摩耗量が少なく、耐摩耗性に優れることを示す。
(耐摩耗性指数)=(基準配合の摩耗量)/(各配合の摩耗量)×100
<グリップ性能>
前記未加硫ゴム組成物を、通常用いられる方法でカレンダーロールによってトレッド形状に押し出すことにより、トレッドを形成し、他のタイヤ部材と貼り合わせ、170℃の条件下で20分間加硫することにより、215/45R17サイズのタイヤを製造した。
車輌に前記タイヤを装着し、アスファルト路面のテストコースを10周走行して、テストドライバーが、グリップ性能を評価した。この際、基準配合のタイヤのグリップ性能を3点とし、下記のように、5点満点で評価した。なお、1周目は初期グリップ性能、2〜10周目はグリップ性能として評価した。数値が大きいほどグリップ性能が高く、優れていることを示す。評価は次の基準を採用した。評価結果を表1、表2に示す。
5:良い
4:やや良い
3:普通
2:やや悪い
1:悪い
<特性の評価結果>
本発明の実施例は、特定の官能基で末端を変性した共役ジエン重合体または共役ジエン−芳香族ビニル共重合体を所定量配合しているため、特定の官能基で末端を変性していない共役ジエン重合体に比べ、いずれもグリップ性能および耐摩耗性が向上していることが認められる。
本発明は、タイヤ用ゴム組成物に関し、特にタイヤトレッド部に採用することで耐摩耗性及びグリップ性が改善され、乗用車用タイヤ、トラック・バス用タイヤ、軽トラック用タイヤなど広く適用できる。

Claims (5)

  1. 分子鎖末端が、−CO−R(Rはアルキル基である)の群から選ばれる少なくとも1つの官能基で変性されており、重量平均分子量Mwが300〜50000の共役ジエン重合体または共役ジエン−芳香族ビニル共重合体の少なくともいずれかを、ジエン系ゴム100質量部に対して、3〜200質量部配合したタイヤ用ゴム組成物。
  2. 共役ジエン重合体および共役ジエン−芳香族ビニル共重合体の共役ジエンのモノマー成分が、1,3−ブタジエンまたはイソプレンである請求項1記載のタイヤ用ゴム組成物。
  3. 共役ジエン−芳香族ビニル共重合体の芳香族ビニルのモノマー成分が、スチレンまたはビニルナフタレンのいずれかである請求項1または2記載のタイヤ用ゴム組成物。
  4. ジエン系ゴム成分中におけるスチレン−ブタジエンゴムの含有率が30質量%以上である請求項1〜3のいずれかに記載のタイヤ用ゴム組成物。
  5. 請求項1〜4記載のいずれかのタイヤ用ゴム組成物を用いたタイヤ。
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