JPH0755992B2 - 水添ジエン系重合体ゴム組成物 - Google Patents

水添ジエン系重合体ゴム組成物

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JPH0755992B2
JPH0755992B2 JP61185024A JP18502486A JPH0755992B2 JP H0755992 B2 JPH0755992 B2 JP H0755992B2 JP 61185024 A JP61185024 A JP 61185024A JP 18502486 A JP18502486 A JP 18502486A JP H0755992 B2 JPH0755992 B2 JP H0755992B2
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Description

【発明の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本発明は、耐摩耗性、耐候性、低発熱性、破壊強度、加
工性に優れた、ペイン効果の小さい、タイヤ、ベルトな
どに適した水添ジエン系重合体組成物に関し、さらに詳
細には分子鎖中に3分岐以上の分岐構造を有する分岐状
水添ジエン系重合体と、分子鎖中に特定の官能基で変性
された直鎖状の水添ジエン系重合体とを含有する水添ジ
エン系重合体ゴム組成物に関する。
〔従来の技術〕
近年、ゴム部材として、耐久性、高寿命性がますます求
められるようになり、耐摩耗性、耐候性、低発熱性、加
工性などのゴムの特性を向上させることが重要になって
きた。
従来、耐摩耗性の優れたゴム状重合体として、ポリブタ
ジエンが知られているが、不飽和二重結合を重合体中に
多く含むため、耐候性、特に耐オゾン劣化の点で劣るも
のであった。
一方、耐候性の優れたゴム状重合体として、エチレン−
プロピレン−非共役ジエン共重合体、イソブチレン−イ
ソプレン共重合体などが知られているが、耐摩耗性、発
熱性などの点で劣るものであった。
他方、耐候性の優れたゴム状の水素化された共役ジエン
系共重合体としては、例えば特開昭56−30401号公報、
特開昭56−30404号公報、特開昭56−30447号公報、特開
昭56−30455号公報特開昭57−2344号公報、特開昭60−7
9005号公報などに開示されているが、いずれもカーボン
分散性やカーボン補強性の点で不充分であり、加工性、
耐摩耗性、低発熱性、破壊強度の点で劣るものである。
さらに、特公昭48−30151号公報、特開昭52−96695号公
報、特開昭60−252643号公報には、多分岐状の水素化さ
れた共役ジエン共重合体が開示されている。しかしなが
ら、共重合体を多分岐にするための四塩化珪素やジビニ
ルベンゼンなどの化合物がカーボンなどの配合剤との親
和性が低く、カーボン分散やカーボン補強性の点で未だ
不充分であり、加工性、耐摩耗性、低発熱性、破壊強度
の点で充分に改良されていない。
〔発明が解決しようとする問題点〕
本発明は、前記した従来の技術的課題を背景になされた
もので、低発熱性、破壊強度、耐摩耗性、耐候性および
加工性に優れたペイン効果の小さいゴム組成物を提供す
ることを目的とする。
ここで、ペイン効果が小さいとは、ヒステリシスロスの
歪み依存性が小さいことを示し、従って実用変形領域で
は、さらに発熱が小さく、製品の劣化防止、寿命の向上
に大きく貢献することを意味する。
〔問題点を解決するための手段〕 本発明者らは、分岐構造を有する水添ジエン系重合体に
ついて鋭意検討を進めた結果、分子鎖中に3分岐以上の
分岐構造を有する分岐状水添ジエン系重合体と、分子鎖
中に特定の官能基を有する直鎖状水添ジエン系重合体と
を含有させることにより、加工性が良好で、発熱性をコ
ントロールでき、耐久性、破壊特性に優れ、しかもペイ
ン効果が小さい重合体ゴム組成物が得られることを見出
し、本発明に到達したものである。
すなわち、本発明は、ゴム成分として、分岐状水添ジエ
ン系重合体(A)を少なくとも15重量%と、分子鎖中に
下記(イ)〜(リ)の群から選ばれた少なくとも1種の
官能基を有し、かつ水添前のビニル結合含量が20重量%
以上である直鎖状水添ジエン系重合体(B)を少なくと
も15重量%とを含有し、しかも分岐状水添ジエン系重合
体(A)および直鎖状水添ジエン系重合体(B)の水添
率がそれぞれ30%以上であることを特徴とする水添ジエ
ン系重合体ゴム組成物を提供するものである。
(イ)R1 3M基(ここで、R1はアルキル基、アリール基、
アリル基、アラルキル基、アルケニル基またはエステル
基であり、Mは珪素原子、ゲルマニウム原子または錫原
子である。) (ロ)(チオ)カルボニル基 (ハ)R2 2P−基(ここで、R2はアルキル基、アリール
基、アラルキル基、アルコキシ基またはエステル基であ
る。) (ニ) (ここで、Yは酸素原子または硫黄原子、R2は前記に同
じ。) (ホ)アミド基 (ヘ)イミノ基 (ト)トリアジン基 (チ)(チオ)カルボキシル基 (リ)アミノ基 まず、本発明の分岐状水添ジエン系重合体(A)は、分
子鎖中に3分岐以上の分岐構造を有するものであり、こ
れによってはじめて得られる組成物の低温流れ特性が良
好となり、かつ加工性も良好となるばかりでなく、破壊
強力も優れる。
特に、得られるゴム組成物のころがり摩擦抵抗を改良す
るためには、本発明の分岐状水添ジエン系重合体中の30
〜80重量%、好ましくは40〜70重量%は、スズ−炭素結
合またはポリイソシアナートのカップリングにより構成
されたものが好ましい。
また、本発明の水添ジエン系重合体ゴム組成物に含まれ
る分岐状水添ジエン系重合体(A)の割合は、15重量%
以上、好ましくは30〜80重量%であり、15重量%未満で
は引張特性の点で劣り好ましくない。
さらに、分岐状水添ジエン系重合体(A)は、得られる
ゴム組成物の耐候性、耐熱性を改良するために、その水
添率は少なくとも30%、好ましくは50〜90%であり、30
%未満では前記した改良効果が不充分であり、できるだ
け水添率を上げることが望ましいが、用途によっては加
硫のために未水添部分を少なくとも10%残すことが好ま
しい。
なお、本発明で使用される前記分岐状水添ジエン系重合
体(A)は、ポリモーダルな分子量分布を有するもので
ある。ここで、ポリモーダルとは、ゲルパーミエーショ
ンクロマトグラフィー(GPC)による分子量分布が2箇
所以上に山が観察されるパターンを与えることを意味
し、通常、2〜3山である。高分子量域が、特に少なく
とも3官能性の分岐状重合体である場合、分子量分布が
広がり、加工性の面で好ましいものとなる。
次に、本発明の直鎖状水添ジエン系重合体(B)は、そ
の分子中に前記(イ)〜(リ)から選ばれた少なくとも
1種の官能基を有するものである。
このような(イ)〜(リ)の官能基を形成する化合物と
しては、次のような化合物を挙げることができる。これ
らの化合物は、1種単独であるいは2種以上混合して用
いることができる。
すなわち、(イ)R1 3M−基を形成する化合物としては、
一般式R1 3MX(ここで、R1は炭素数1〜18のアルキル
基、炭素数6〜18のアリール基、アリル基、炭素数7〜
18のアラルキル基、炭素数2〜18のアルケニル基または
炭素数1〜18の脂肪族エステル基もしくは炭素数6〜18
の芳香族エステル基であり、Mは珪素原子、ゲルマニウ
ム原子または錫原子、Xはハロゲン原子またはエステル
基である。)で示される化合物であり、具体的にはモノ
クロロトリメチルスズ、モノブロムトリメチルスズ、ト
リフェニルスズモノクロライド、トリブチルスズクロラ
イド、トリメチルシリルクロライド、トリフェニルシリ
ルクロライド、トリフェニルゲルミルクロライド、トリ
ブチルスズステアレート、トリフェニルスズラウレート
などである。
(ロ)(チオ)カルボニル基を形成する化合物として
は、一般式 (ただし、R1は前記に同じ、Yは酸素原子または硫黄原
子、X′はハロゲン原子である。)で示される化合物で
あり、具体的にはアセチルクロライド、ベンゾイルクロ
ライド、p−ジメチルアミノベンゾイルクロライド、p
−ジメチルアミノチオベンゾイルクロライドなどであ
る。
(ハ)R2 2P−基(ここで、R2は炭素数1〜18のアルキル
基、炭素数6〜18のアリール基、炭素数7〜18のアラル
キル基、炭素数1〜18アルコキシ基または炭素数6〜18
の脂肪族エステル基もしくは炭素数7〜18の芳香族エス
テル基である。)を形成する化合物としては、例えば一
般式R2 2PX(R2、Xは前記に同じ。)で示される化合物
であり、具体的にはジフェニルホスフィンクロライド、
ジオクチルホスフィンクロライドなどである。
(ニ) (ここで、Yは酸素原子、または硫黄原子、R2は前記に
同じ。)を形成する化合物としては、例えば一般式 (ここで、R2、YおよびXは前記に同じ。)で示される
化合物であり、具体的にはジフェニルクロロホスフェー
ト(ジフェニルホスフィンオキサイド)などである。
(ホ)アミド基を形成する化合物としては、例えば一般
式R3NCO(ここでR3は炭素数1〜8のアルキル基、炭素
数6〜14の芳香族基を示す。)で表される化合物であ
り、具体的にはメチルイソシアネート、オクチルイソシ
アネート、フェニルイソシアネート、フェニルイソチオ
シアネートなどである。
(ヘ)イミノ基を形成する化合物としては、例えば一般
式R1−C=N(ここで、R1は前記に同じ。)で示される
化合物であり、具体的にはアセトニトリル、ベンゾニト
リル、N−フェニルマレイミドなどである。
(ト)トリアジン基を形成する化合物としては、 一般式 (ここで、R1は前記に同じ、R4はハロゲン原子、アセチ
ル基である。)で示される化合物であり、具体的には4
−クロロ−1,3,5−トリアジン、4−アセチル−1,3,5−
トリアジンなどである。
(チ)(チオ)カルボキシル基を形成する化合物として
は、具体的には二酸化炭素、二硫化炭素、無水マレイン
酸、無水フマル酸、無水イタコン酸などである。
(リ)アミノ基を形成する化合物としては、具体的には
N,N−ジメチルアミノベンズアルデヒド、ビニルピリジ
ンなどである。
本発明の水添ジエン系重合体ゴム組成物に含まれる直鎖
状水添ジエン系重合体(B)の割合は、15重量%以上、
好ましくは30〜80重量%であり、15重量%未満では未官
能基を付与したことによるペイン効果低下効果が少な
い。
また、直鎖状水添ジエン系重合体(B)の水添率は、共
役ジエン部分の二重結合に対して少なくとも30%、好ま
しくは50%以上であり、水添率が30%未満では耐候性、
耐摩耗性の点で劣るものとなる。一方、硫黄加硫する場
合には水添率が98%以下であることが望ましく、特にそ
の上限には限定がない。
なお、前記分岐状水添ジエン系重合体(A)の水添前の
ブタジエン部分のビニル結合含量は、特に限定されない
が、好ましくは15〜60重量%、特に好ましくは15〜50重
量%であり、15重量%未満では水添により結晶が生成
し、極めて硬くなることがあり、一方60重量%を超える
と得られるゴム組成物の破壊強度において劣るものとな
る。
また、直鎖状水添ジエン系重量体(B)の水添前のビニ
ル結合含量は、20重量%以上、好ましくは20〜70重量
%、特に好ましくは30〜60重量%であり、20重量%未満
では水添後のムーニー粘度が高くなり、加工性が悪化
し、一方70重量%を超えると得られるゴム組成物の発熱
性、破壊強度が劣るものとなる。
また、本発明の分岐状水添ジエン系重合体(A)あるい
は直鎖状水添ジエン系重合体ゴム(B)のムーニー粘度
(ML1+4、100℃)は、好ましくは10〜150であり、10未
満では得られる組成物の引張特性が低下し、一方150を
超えると加工性が劣り、いずれも好ましくない。
本発明の分岐状水添ジエン系重合体(A)および直鎖状
水添ジエン系重合体(B)は、ジエン系単量体に、必要
に応じてビニル化合物単量体とともに有機溶媒中で、有
機リチウム化合物を開始剤として溶液重合し、次いでカ
ップリングあるいは官能基を導入して水添前の分岐状ジ
エン系重合体(以下「未水添分岐状ジエン系重合体
(A)」という)および水添前の直鎖状ジエン系重合体
(以下「未水添直鎖状ジエン系重合体(B)」という)
を得た後、さらにこれらの重合体に水素添加を行って得
られる。
ここで、ジエン系単量体としては、1,3−ブタジエン、
2−メチル−1,3−ブタジエン、2,3−ジメチル−1,3−
ブタジエン、イソプレン、クロロプレン、1,3−ペンタ
ジエンなどが挙げられ、このうち1,3−ブタジエンが好
ましい。
芳香族ビニル化合物としては、スチレン、p−メチルス
チレン、ビニルトルエン、α−メチルスチレン、p−t
−ブチルスチレンなどが用いられる。このうち、スチレ
ンが好ましい。
なお、ビニル化合物単量体の使用量は、前記ジエン系単
量体に対して、0〜60重量%、好ましくは3〜45重量%
であり、60重量%を超えて使用すると発熱特性において
劣るものとなる。
有機溶媒としては、ペンタン、ヘキサン、ヘプタン、オ
クタン、メチルシクロペンタン、シクロヘキサン、ベン
ゼン、キシレンなどの炭化水素溶媒が用いられる。
重合開始剤である有機リチウム化合物としては、例えば
n−ブチルリチウム、sec−ブチルリチウム、t−ブチ
ルリチウム、1,4−ジリチオブタンなどのアルキルリチ
ウム、アルキレンジリチウムなどが単量体100重量部当
たり0.02〜0.2重量部の量で用いられる。
また、この際、ミクロ構造、すなわちジエン部分のビニ
ル結合含量の調節剤としてルイス塩基、例えばエーテ
ル、アミンなど、具体的にはジエチルエーテル、テトラ
ヒドロフラン、プロピルエーテル、ブチルエーテル、高
級エーテル、またエチレングリコールジブチルエーテ
ル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレ
ングリコールジブチルエーテル、トリエチレングリコー
ルジメチルエーテルなどのポリエチレングリコールのエ
ーテル誘導体、アミンとしてはテトラメチルエチレンジ
アミン、ピリジン、トリブチルアミンなどの第3級アミ
ンなどが挙げられ、溶媒とともに用いられる。
さらに、重合反応は、通常、−30℃〜±150℃で実施さ
れる。特に、後記するカップリング反応を考慮すれば、
110℃以下が好ましい。
また、重合は、一定温度にコントロールして実施して
も、また熱除去をしないで上昇温度下にて実施してもよ
い。
本発明に使用される未水添のジエン系重合体の一般的な
製造方法は以上の通りであるが、未水添分岐状ジエン系
重合体(A)および未水添直鎖状ジエン系重合体(B)
を製造するには、以下の特定の処方が必要である。
まず、未水添分岐状ジエン系重合体(A)を製造するに
は、前記のごとく炭化水素溶媒中で有機リチウム化合物
を開始剤として用い、例えば特公昭36−15386号公報な
どに示される方法により所望の分子量の直鎖状ジエン系
重合体をつくり、次いで所定の比率の3官能以上の多官
能性のカップリング剤を加えることにより得られる。
カップリング剤は、アニオン重合により生成した末端リ
ビングポリマーと反応する。従って、反応が定量的に進
むカップリング剤の添加量は、n個のカップリング可能
な基を有するカップリング剤の場合、末端リビングポリ
マー1モルに対して1/nモル量を加えることによりほぼ1
00%カップリングが行われる。全カップリング剤中の3
官能以上の多官能以上のカップリング剤を、本発明で限
定された重合体となるようなモル比で用いればよい。従
って、本発明で使用される未水添分岐状ジエン系重合体
(A)を得るためには、例えばカップリング剤としてポ
リハライド化合物の例として四塩化スズや四塩化珪素を
用いた場合、いずれも4個のカップリング可能な基を有
するので、開始剤として有効に用いられる有機リチウム
化合物1モルに対して、四塩化スズおよび四塩化珪素の
いずれかまたは合計量として0.0375モル以上の量を用
い、同時にあるいは別々に加えてカップリング反応を行
えばよい。
なお、未水添分岐状ジエン系重合体(A)を作製するに
際し、リビングポリマーとカップリング化合物とのカッ
プリング結合を、例えばカップリング化合物を構成する
金属とブタジエンとの結合、すなわち金属−ブタジエニ
ル結合にするには、三官能以上のカップリング剤を用
い、カップリング反応を起こさせる直前に少量のジエン
系単量体(有機リチウム化合物のリチウム1g原子当量当
たり0.5〜100モル)を加えることにより得られる。
なお、3官能以上の多官能性のカップリング剤として
は、ポリハライド化合物、例えばテトラクロロスズ、ト
リクロロメチルスズ、テトラブロムスズ、ビストリクロ
ロスタニルエタンなどのハロゲン化スズ化合物;珪素、
ゲルマニウム、鉛、硼素などのポリハロゲン化物;ヘキ
サクロロフォスファゼン、五塩化燐、三塩化燐、ポリエ
ポキシド、例えばエポキシ化大豆油、トリグリシジルア
ミノフェノール、テトラグリシジルアミノジフェニルメ
タン;ポリイソシアネート、例えばトルエンジイソシア
ネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、メチレンジ
フェニルジイソシアネート、イソホロンジイソシアネー
ト、クルードメチレンフェニルイソシアネート、芳香族
トリイソシアネート、芳香族テトライソシアネート、芳
香族オリゴイソシアネート;ポリハロゲン化炭素、例え
ば四塩化炭素、テトラクロロエタンなどの四ハロゲン化
炭素、クロロホルム、トリクレンなどのトリハロゲン化
炭素;ポリエステル、例えばアジピン酸ジエステル、テ
レフタル酸ジエステル、ジブチルスズジラウレート、ジ
ブチルスズジアセテートなどが用いられる。これらのカ
ップリング剤のうち、得られるゴム組成物のころがり摩
擦抵抗性を改善するためには、特にスズ化合物あるいは
ポリイソシアネートが好ましい。
次に、未水添直鎖状ジエン系重合体(B)を製造するに
は、前記のごとく炭化水素溶媒中で有機リチウム化合物
を開始剤として用い、例えば前記と同様に特公昭36−15
386号公報などに示される方法により所望の分子量の直
鎖状ジエン系重合体をつくり、次いで所定の比率の前記
(イ)〜(リ)の官能基を有する化合物(以下、単に
「官能基剤」ということがある)を加えることにより得
られる。
官能基剤は、アニオン重合により生成した末端リビング
ポリマーと反応する。従って、反応が定量的に進む官能
基剤の添加量は、n個(1〜2個)の官能基を有する官
能基剤の場合、末端リビングポリマー1モルに対して1/
nモル量を加えることにより官能基がほぼ100%該リビン
グポリマーに導入される。
全官能基剤中の本発明の官能基剤を、本発明で限定され
た重合体となるようなモル比で用いればよい。従って、
本発明で使用される未水添直鎖状ジエン系重合体(B)
を得るためには、例えば官能基剤としてモノクロロトリ
メチル錫やモノクロロトリメチル珪素を用いた場合、い
ずれも1個のカップリング可能な官能基を有するので、
開始剤として有効に用いられる有機リチウム化合物1モ
ルに対して、モノクロロトリメチル錫およびモノクロロ
トリメチル珪素のいずれかまたは合計量として0.15モル
以上の量を用い、同時にあるいは別々に加えてカップリ
ング反応を行えばよい。
なお、未水添直鎖状ジエン系重合体(B)を作製するに
際し、リビングポリマーと官能基剤との結合を、例えば
官能基剤を構成する金属とブタジエンとの結合、すなわ
ち金属−ブタジエニル結合にするには、官能基剤を用
い、反応を起こさせる直前に少量の1,3−ブタジエン
(有機リチウム化合物のリチウム1g原子当量当たり0.5
〜100モル)を加えることにより得られる。金属以外の
官能基を選択的に1官能で反応させる場合には、スチリ
ルアニオンの形にして反応することもできる。
なお、本発明で使用される未水添分岐状ジエン系重合体
(A)と未水添直鎖状ジエン系重合体(B)とを含有す
る組成物を作製するには、両者を別々に作製したものを
混合してもよいし、またジエン系単量体の重合反応が完
了した後、まず前記カップリング剤を重合反応系に添加
してカップリング反応させ、引き続き該反応系内に前記
官能基剤を添加することにより、未水添分岐状ジエン系
重合体(A)と未水添直鎖状ジエン系重合体(B)との
混合物を調製してもよい。
次いで、本発明の分岐状水添ジエン系重合体(A)およ
び直鎖状水添ジエン系重合体(B)は、このようにして
得られる未水添の各重合体を、通常、ジシクロペンタジ
エニルチタンハライド、有機カルボン酸ニッケル、有機
カルボン酸ニッケルと周期律表第I〜III族の有機金属
化合物からなる水素化触媒、カーボン、シリカ、ケイソ
ウ土などで担持されたニッケル、白金、パラジウム、ル
テニウム、レニウム、ロジウム金属触媒やコバルト、ニ
ッケル、ロジウム、ルテニウム錯体などを触媒として、
1〜100気圧に加圧された水素下、あるいはリチウムア
ルミニウムハイドライド、p−トルエンスルホニルヒド
ラジドの存在下、もしくはZr−Ti−Fe−V−Cr合金、Zr
−Ti−Nb−Fe−V−Cr合金、LaNi5合金などの水素貯蔵
合金の存在下、あるいは1〜100気圧に加圧された水素
下で、水素化することによって得られる。
これらの重合体は、ヘキサン、ヘプタン、シクロヘキサ
ン、ベンゼン、トルエン、エチルベンゼンなどの炭化水
素溶媒、またはメチルエチルケトン、酢酸エチル、エチ
ルエーテル、テトラヒドロフランなどの極性溶媒中で前
記した水素化触媒あるいは水素化化合物により水素化さ
れる。
このようにして得られた分岐状水添ジエン系重合体
(A)および直鎖状水添ジエン系重合体(B)の溶液
は、スチームストリッピングにより脱溶媒またはアルコ
ールにより凝固したのち、乾燥することにより固体状の
重合体(組成物)が得られる。
本発明の水添ジエン系重合体ゴム組成物には、他のジエ
ン系ゴム、例えば天然ゴム、ポリイソプレンゴム、ポリ
ブタジエンゴム、乳化重合スチレン−ブタジエンゴムな
どをブレンドしてゴム組成物として使用することができ
る。この場合、本発明の水添ジエン系重合体(A)、
(B)の含有量は、各々15重量%以上とすることが、前
記のごとく本発明の効果を奏する上から必要である。
さらに、必要ならば油展し、通常の加硫ゴム用配合剤を
加え、加硫を行いタイヤをはじめ、防振ゴム、ベルト、
ホース、その他工業用品の用途に用いられる。
〔実施例〕
以下、実施例を挙げ、本発明をさらに詳細に説明する
が、本発明の主旨を超えない限り、本発明は、かかる実
施例により限定されるものではない。
なお、実施例中において、部および%は、特に断らない
限り重量基準である。また、実施例中の各種測定は、下
記の方法に拠った。
すなわち、官能期剤の含量は、フーリエ トランスフォ
ーム エヌエムアール スペクトロメータ〔Fourier T
ransform NMR Spectrometer(FT−NMR)〕を用いて所
定時間積算する方法、もしくは原子吸光分析によって求
めた。
分岐状重合体の分岐数は、ゲルパーミエーションクロマ
トグラフィー(GPC)の各々のピークトップの分子量よ
り計算した。
ビニル結合含量は、赤外法(モレロ法)によって求め
た。また、結合スチレン含量は、699cm-1のフェニル基
の吸収に基づいた赤外法による検量線から求めた。
ムーニー粘度(ML1+4、100℃)は、JIS K6300に準じて
測定した。
水添率は、四塩化エチレンを溶媒として用い、15%濃度
で測定した100MHzの1H−NMRスペクトルの不飽和結合部
のスペクトル減少から算出した。
加工性については、混煉り後のダンプゴムのまとまりお
よび光沢の外観目視検査により評価し、◎はダンプゴム
の纏まり、光沢が極めて優れているもの(優)、○はダ
ンプゴムの纏まり、光沢が良好なもの(良)、△はダン
プゴムの纏まり、光沢がやや劣るもの(可)である。
引張強度(引張特性)は、JIS K6301に従って求めた。
ペイン効果については、RMS製、メカニカルスペクトロ
メーターで測定した50℃でのtanδの歪み分散曲線のtan
δの極大値と最小値との差(Δtanδ)を求めた。ま
た、15Hz、1%歪みでのtanδの温度分散曲線より、tan
δ(0℃)およびtanδ(30℃)を求めた。
耐摩耗試験であるランボーン摩耗指数は、ランボーン摩
耗法により測定した。測定条件は、負荷荷重が4.5kg、
砥石の表面速度が100m/秒、試験片速度が130m/秒、スリ
ップ率が30%、落砂量が20g/分、また測定温度は室温と
した。
このランボーン摩耗指数は、ビニル結合含量が25%、ス
チレン含量が25%の未水添スチレン−ブタジエン共重合
体を100として示した。
数値の大きいほど、耐摩耗性が良好である。
耐候性は、耐オゾン性で表現した。すなわち、耐オゾン
性の測定条件は、オゾン濃度が50pphm、伸長が20%、測
定温度が50℃で測定し、その判定基準は、下記の通りで
ある。
実施例1〜7および比較例1〜4 内容積5の反応器に、第1表に示す処方に従ってシク
ロヘキサン、単量体、テトラヒドロフランを仕込んだ
後、第1表に示す重合開始剤を用いて20〜90℃で1.5時
間重合を行った。
次いで、第1表に示す種類および量のカップリング剤あ
るいは官能基剤を添加して、カップリング反応あるいは
官能基導入反応を60℃、30分間行った。重合体溶液に2,
6−ジ−t−ブチル−p−クレゾール3.5gを添加後、ス
チームストリッピングにより脱溶媒を実施し、さらに11
0℃で熱ロールで乾燥して重合体を得た。
得られた重合体の性質を、併せ第1表に示す。
次いで、上記で得られた結合スチレン含量、ブタジエン
部のビニル結合含量、カップリング剤もしくは官能基剤
の異なる各種の重合体を内容積5のオートクレープに
仕込み、10%トルエン溶液とした。系内を窒素置換した
のち、p−トルエンスルホニルヒドラジドを重合体1モ
ルに対して2モルとなるように仕込んだ。その後、反応
系内に水素を導入し、110℃で反応させた。所望量の水
添後、重合体溶液を抜き取り、5mlのアルコールに溶か
した2,6−tert−ブチル−p−クレゾールを添加し、反
応を止め、常法により脱溶媒後、110℃のロールで乾燥
して水添ジエン系重合体を得た。
次いで、この重合体を用いて下記に示す配合処方に従っ
て、230ccブラベンダーおよび6インチロールで混煉り
配合した後、160℃で所定時間加硫を行った加硫物を用
いて各種測定を行った。
その結果を第2表に示す。配合処方 (部) ポリマー 100 カーボンブラック(HAF) 50 亜鉛華 3 ステアリン酸 1 老化防止剤(810NA) 1 加硫促進剤(DPG)*2 0.8 加硫促進剤(DM)*3 0.6 硫黄 1.5 *1)N−フェニル−N′−イソプロピル−p−フェニ
レンジアミン *2)ジフェニルグアニジン *3)ベンゾチアジルジスルフィド 第1〜2表から、水添率が低いと耐オゾン性が劣ること
が、また比較例2〜3より未水添直鎖状ジエン系重合体
(B)のビニル結合含量が低いと、得られる直鎖状水添
ジエン系重合体(B)を分岐状水添ジエン系重合体
(A)にブレンドすると加工性が悪くなり、さらに比較
例4より未水添直鎖状ジエン系重合体(B)に特定の官
能基剤が付加していないと、水添後の重合体である直鎖
状水添ジエン系重合体(B)を分岐状水添ジエン系重合
体(A)にブレントするとペイン効果が大きくなり好ま
しくないことが、それぞれ分かる。
〔発明の効果〕 本発明は、破壊強度の優れた分岐状の水添ジエン系重合
体と、カーボン分散性を向上させる特定の官能基を有す
る直鎖状の水添ジエン系重合体とからなり、低発熱性、
耐候性、破壊強度、耐摩耗性、加工性、ペイン効果に優
れた水添ジエン系重合体組成物を提供することができ
る。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 堤 文雄 東京都中央区築地2丁目11番24号 日本合 成ゴム株式会社内 (72)発明者 小松 秀樹 東京都小平市小川東町3−5−5 (72)発明者 藤巻 達雄 東京都東村山市富士見町3−2−3

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】ゴム成分として、分岐状水添ジエン系重合
    体(A)を少なくとも15重量%と、分子鎖中に下記
    (イ)〜(リ)の群から選ばれた少なくとも1種の官能
    基を有し、かつ水添前のビニル結合含量が20重量%以上
    である直鎖状水添ジエン系重合体(B)を少なくとも15
    重量%とを含有し、しかも分岐状水添ジエン系重合体
    (A)および直鎖状水添ジエン系重合体(B)の水添率
    がそれぞれ30%以上であることを特徴とする水添ジエン
    系重合体ゴム組成物。 (イ)R1 3M基(ここで、R1はアルキル基、アリール基、
    アリル基、アラルキル基、アルケニル基またはエステル
    基であり、Mは珪素原子、ゲルマニウム原子または錫原
    子である。) (ロ)(チオ)カルボニル基 (ハ)R2 2P−基(ここで、R2はアルキル基、アリール
    基、アラルキル基、アルコキシ基またはエステル基であ
    る。) (ニ) (ここで、Yは酸素原子または硫黄原子、R2は前記に同
    じ。) (ホ)アミド基 (ヘ)イミノ基 (ト)トリアジン基 (チ)(チオ)カルボキシル基 (リ)アミノ基
  2. 【請求項2】分岐状水添ジエン系重合体(A)および直
    鎖状水添ジエン系重合体(B)が有機リチウム化合物を
    開始剤として重合されてなる特許請求の範囲第1項記載
    の水添ジエン系重合体ゴム組成物。
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