JPH10218920A - 共役ジエン系重合体及びそのゴム組成物 - Google Patents

共役ジエン系重合体及びそのゴム組成物

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JPH10218920A
JPH10218920A JP2288197A JP2288197A JPH10218920A JP H10218920 A JPH10218920 A JP H10218920A JP 2288197 A JP2288197 A JP 2288197A JP 2288197 A JP2288197 A JP 2288197A JP H10218920 A JPH10218920 A JP H10218920A
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JP
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conjugated diene
polymer
group
butadiene
cyclic amine
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JP2288197A
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English (en)
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Kuniko Kamaike
久仁子 蒲池
Koichi Morita
浩一 森田
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Bridgestone Corp
Original Assignee
Bridgestone Corp
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 加工性、破壊特性、耐摩耗性を維持しなが
ら、低ヒステリシスロス性に優れた共役ジエン系重合体
及びそのゴム組成物を提供する。 【解決手段】 共役ジエンモノマー又は共役ジエンモノ
マー/ビニル芳香族炭化水素モノマーを、A;有機リチ
ウム化合物とB;下記一般式(I)で表される環状アミ
ン化合物又は下記一般式(II)で表される不飽和環状ア
ミン化合物とからなる重合開始剤に接触させて重合した
後、下記一般式(III)で表される変性剤を用いて変性し
て得られる、変性剤による変性効率が30重量%以上で
ある官能性変性重合体であり、その含有する二重結合の
20〜80%を水素添加して得られる。 一般式(I) 【化1】 一般式(II) 【化2】 一般式(III) Xn MR3 4-n 又は(R4 O)n MR3 4-n

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は共役ジエン系重合体
及びそのゴム組成物に関し、さらに詳しくは加工性、破
壊特性、耐摩耗性を高レベルに維持しながら、低ヒステ
リシスロス性に優れたタイヤトレッド用共役ジエン系重
合体及びそのゴム組成物に関する。
【0002】
【従来の技術】近年自動車に対する低燃費化等の要求に
伴って、タイヤトレッド用ゴム材料として、未加硫配合
物の加工性(以下、単に加工性と言う)、破壊特性、耐
摩耗性、低ヒステリシスロス性、特に低ヒステリシスロ
ス性に優れた共役シエン系重合体及びそのゴム組成物が
求められている。
【0003】このような共役ジエン系重合体として、多
くの重合体が知られており、以下に例示する。スズ変性
した溶液重合ブタジエン/スチレン共重合体(以下、S
BRと言う)が知られており、この重合体は加工性、破
壊特性、耐摩耗性、低ヒステリシスロス性のバランスが
よく、タイヤトレッド用材料として優れたゴムであるが
低ヒステリシスロス性の点で十分とはいえない。また窒
素を含む官能基を有する、スズ変性SBRが特開平6−
199922号、同6−211915号等で提案されて
おり、この重合体は破壊特性、耐摩耗性に優れているが
加工性に劣り、低ヒステリシスロス性も満足するレベル
にはない。さらに、特開平7−76635号、同7−7
8150号等にスズ変性した水添SBRが開示されてい
るが特開平7−76635号の重合体は、加工性は良好
であるが破壊特性や低ヒステリシスロス性とウエットス
キッド性のバランスが良好とはいえず、特開平7−78
150号の重合体は耐候性に優れているがムーニー粘度
が高く、加工性の点で十分とは言えず、低ヒステリシス
ロス性も不十分である。また加工性の点でも十分とはい
えない。また、各種官能基を有する水添SBRが特公平
7−55992号に知られているがこの重合体は耐候性
に優れているものの、低ヒステリシスロス性の点で不十
分である。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】本発明は上記事実に鑑
みてなされたものであり、本発明の目的は加工性、破壊
特性、耐摩耗性、及び低ヒステリシスロス性を高水準で
同時に満足する優れた共役ジエン系重合体及びそのゴム
組成物を提供することにある。
【0005】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、上記目的
を達成するため、特に重合体の分子構造に着目し、鋭意
検討した結果、下記の手段により、課題が解決できるこ
とを見出し、本発明を完成するに至った。
【0006】すなわち(1)本発明の共役ジエン系重合
体は、共役ジエンモノマー又は共役ジエンモノマー/ビ
ニル芳香族炭化水素モノマーを、A;有機リチウム化合
物と、B;下記一般式(I)で表される環状アミン化合
物又は下記一般式(II)で表される不飽和環状アミン化
合物と、からなる重合開始剤に接触させて重合した後、
下記一般式(III)で表される変性剤を用いて変性して得
られる、変性剤による変性効率が30重量%以上である
官能性変性重合体であり、その含有する二重結合の20
〜80%を水素添加して得られることを特徴とする。
【0007】一般式(I)
【0008】
【化3】
【0009】一般式(II)
【0010】
【化4】
【0011】(式中、R1 及びR2 はそれぞれ独立に、
3〜13個のメチレン基を有するアルキレン基、オキシ
アルキレン基、アミノアルキレン基及びこれらのアルキ
ル基置換基からなる群より選ばれる基を表す。) 一般式(III) Xn MR3 4-n 又は(R4 O)n MR3 4-n (式中、Xはハロゲン原子を表し、Mはスズ、ケイ素、
ゲルマニウム、炭素又はチタンのいずれかを表し、R3
及びR4 はアルキル基、アルケニル基、シクロアルキル
基、アラルキル基及びアリール基からなる群より選ばれ
る基を表し、nは1〜4の整数を表す。) (2)本発明の共役ジエン系重合体は、前(1)項にお
いて、前記共役ジエンモノマーがブタジエンであること
を特徴とする。
【0012】(3)本発明の共役ジエン系重合体は、前
(1)項において、前記共役ジエンモノマー/ビニル芳
香族炭化水素モノマーがブタジエン/スチレンであるこ
とを特徴とする。
【0013】(4)本発明の共役ジエン系重合体は、前
(1)項において、前(1)項記載の環状アミン化合物
がピロリジン、ヘキサメチレンイミン及びドデカメチレ
ンイミンからなる群より選ばれる少なくとも一つの化合
物であることを特徴とする。
【0014】(5)本発明の共役ジエン系重合体は、前
(1)項において、前(1)項記載の不飽和環状アミン
化合物が1,2,3,6−テトラヒドロピリジン又は4
−メチル−1,2,3,6−テトラヒドロピリジンであ
ることを特徴とする。
【0015】(6)本発明の共役ジエン系重合体は、前
(1)項において、前記重合開始剤が少なくとも一つの
前記モノマーの存在下で、A;有機リチウム化合物、
B;請求項1記載の環状アミン化合物又は不飽和環状ア
ミン化合物を、A、Bの順で添加して、調製されること
を特徴とする。
【0016】(7)本発明の共役ジエン系重合体は、前
(1)項において、前(1)項記載の変性剤がハロゲン
化スズ化合物であることを特徴とする。
【0017】(8)本発明の共役ジエン系重合体は、前
(1)項において、前記重合体は水添前のビニル結合含
有量が10〜70%のポリブタジエンであることを特徴
とする。
【0018】(9)本発明の共役ジエン系重合体は、前
(1)項において、前記重合体は結合スチレン含有量が
1〜45重量%であり、水添前のブタジエン部のビニル
結合含有量が10〜70%であることからなるブタジエ
ン/スチレン共重合体であることを特徴とする。
【0019】(10)本発明のゴム組成物は、前(1)
項記載の共役ジエン系重合体がゴム原料100重量部中
に、20重量部以上を含有することを特徴とする。
【0020】(11)本発明のゴム組成物は、前(1
0)項において、前記重合体は水添前のビニル結合含有
量が10〜70%のポリブタジエンであることを特徴と
する。
【0021】(12)本発明のゴム組成物は、前(1
0)項において、前記重合体は結合スチレン含有量が1
〜45重量%であり、水添前のブタジエン部のビニル結
合含有量が10〜70%であることからなるブタジエン
/スチレン共重合体であることを特徴とする。
【0022】本発明の共役ジエン系重合体の分子構造は
前記特定のアミノ基を末端に有する例えばポリブタジエ
ン又はSBRを、例えばスズカップリングして得られる
アミノ基官能性、C−Sn結合を有するポリブタジエン
又はSBRについて、さらにブタジエン部の一部の二重
結合を水素添加して形成される構造を有する。すなわ
ち、本発明の重合体は、アミノ基末端官能性とC−Sn
結合、C−Si結合、C−Ge結合、C−C結合又はC
−Ti結合と水素添加部を有する共役ジエン系重合体と
言うことができる。
【0023】以下に本発明を詳細に説明する。前記一般
式(I)で表される環状アミン化合物において、R1
3〜13個のメチレン基を有するアルキレン基、オキシ
アルキレン基、アミノアルキレン基及びこれらのアルキ
ル基置換基からなる群より選ばれる基を表す。この環状
アミン化合物としては、例えばトリメチレンイミン、ピ
ロリジン、ピペリジン、2−メチルピペリジン、3−メ
チルピペリジン、4−メチルピペリジン、3,5−ジメ
チルピペリジン、2−エチルピペリジン、ヘキサメチレ
ンイミン、ヘプタメチレンイミン、ドデカメチレンイミ
ン、モルホリン、N−メチルピペラジン、N−エチルピ
ペラジン、N−メチルイミダゾリジン、N−エチルイミ
ダゾリジン等を挙げることができる。中でもピロリジ
ン、ヘキサメチレンイミン、ドデカメチレンイミンが効
果の点から好ましい。
【0024】前記一般式(II)で表される不飽和環状ア
ミン化合物において、R2 は前記R1 と同義である。こ
の不飽和環状アミン化合物としては、例えば1,2,
3,6−テトラヒドロピリジン、2−メチル−1,2,
3,6−テトラヒドロピリジン、3−メチル−1,2,
3,6−テトラヒドロピリジン、4−メチル−1,2,
3,6−テトラヒドロピリジン、2−ピロリン、3−ピ
ロリン、1,2,3,6−テトラヒドロ−3,4−ルチ
ジン、オキサジン、アゼピン等を挙げることができる。
中でも効果の点からは1,2,3,6−テトラヒドロピ
リジン、4−メチル−1,2,3,6−テトラヒドロピ
リジンであることが好ましい。
【0025】本発明に用いられる環状2級アミン化合物
の量は有機リチウム1モル当量に対し、0.1〜2.0
モル当量が好ましく、さらには0.5〜1.0モル当量
であることが好ましい。
【0026】本発明に用いられる共役ジエンモノマーと
しては1,3−ブタジエン、イソプレン、1,3−ペン
タジエン、2,3−ジメチルブタジエン等が挙げられ
る。効果の点から好ましいのは1,3−ブタジエンであ
る。またビニル芳香族炭化水素モノマーとしては、スチ
レン、α−メチルスチレン、3−ビニルトルエン、ジビ
ニルベンゼン、2,4,6−トリメチルスチレン等が挙
げられる。好ましいのはスチレンである。
【0027】本発明において共役ジエンモノマーとビニ
ル芳香族炭化水素モノマーの共重合の場合、ビニル芳香
族炭化水素の含量は好ましくは1〜45重量%、さらに
好ましくは10〜40重量%である。また、溶液重合す
る場合、溶媒中のモノマー濃度は通常5〜50重量%、
好ましくは10〜35重量%である。
【0028】有機リチウム化合物としては、メチルリチ
ウム、エチルリチウム、プロピルリチウム、n−ブチル
リチウム、sec−ブチルリチウム、tert−ブチル
リチウム、ヘキシルリチウム、オクチルリチウム等に代
表されるアルキルリチウム、フェニルリチウム、トリル
リチウム等に代表されるアリールリチウム、ビニルリチ
ウム、プロペニルリチウム等に代表されるアルケニルリ
チウム、シクロヘキシルリチウム等に代表されるシクロ
アルキルリチウム、テトラメチレンジリチウム、ヘキサ
メチレンジリチウム等に代表されるアルキレンジリチウ
ム等を挙げることができる。中でも効果の点から、n−
ブチルリチウム、sec−ブチルリチウムが好ましい。
【0029】本発明に用いられる有機リチウム化合物の
量は重合体の所望の分子量に依存して決められるが、一
般にはモノマー100gに対し、0.05〜30mmo
l、好ましくは0.1〜20mmolが使用される。
【0030】本発明で用いられる重合開始剤はA;有機
リチウム化合物と、B;前記一般式(I)で表される環
状アミン化合物又は前記一般式(II)で表される不飽和
環状アミン化合物とを接触する方法であれば、特に制限
されない。例えば炭化水素溶媒中で、AとBを接触させ
て、重合開始剤を調製(事前調製法)し、これを用いて
モノマーの重合を行なう方法ならびに少なくとも一つの
前記モノマーの存在下で、先ずAを加え、次にBを加え
て重合開始剤を調製(in situ法)し、これをモ
ノマーの重合に用いる方法などがあるが後者のin s
itu法が効果の点から好ましい。
【0031】重合に用いることができる炭化水素溶媒
は、脂肪族炭化水素、脂環式炭化水素、芳香族炭化水素
から選ばれる。好ましくは、プロパン、n−ブタン、l
−ブタン、n−ペンタン、l−ペンタン、シス−2−ブ
テン、トランス−2−ブテン、l−ブテン、n−ヘキサ
ン、n−ヘプタン、n−オクタン、l−オクタン、メチ
ルシクロペンタン、シクロペンタン、シクロヘキサン、
1−ヘキセン、2−ヘキセン、1−ペンテン、2−ペン
テン、ベンゼン、トルエン、キシレン、エチルベンゼン
などから1種あるいは2種選んで使用される。
【0032】また、前記したように、共役ジエンモノマ
ー、又は共役ジエンモノマーとビニル芳香族炭化水素モ
ノマーとの混合物を重合すると重合体末端に活性リチウ
ムが存在するため重合終了後、得られた重合体に前記一
般式(III)で表される変性剤を添加して、重合体の変性
を行う。式中、Xはハロゲン原子、好ましくは塩素又は
臭素であり、Mはスズ、ケイ素、ゲルマニウム、炭素又
はチタンのいずれかであり、R3 及びR4 はアルキル
基、アルケニル基、シクロアルキル基、アラルキル基及
びアリール基からなる群より選ばれる基を表し、nは1
〜4の整数を表す。変性剤としては具体的には四塩化ス
ズ、ジブチルジクロロスズ、トリブチルクロロスズ等の
ハロゲン化スズ化合物、テトラアリルスズ、ジエチルジ
アリルスズ等のアリルスズ化合物、テトラフェニルスズ
等のアリールスズ化合物、四塩化ケイ素、四臭化ケイ
素、ジメチルジクロロケイ素等のハロゲン化ケイ素化合
物、テトラフェノキシケイ素等のアルコキシケイ素化合
物、3−グリドキシプロピルトリメトキシシラン化合物
のようなエポキシ基を有するアルコキシケイ素化合物等
を挙げることができる。中ても効果の点からハロゲン化
スズ化合物が好ましい。
【0033】本発明に用いられる変性剤の量は、例えば
ハロゲン化スズ化合物の場合、重合体末端の活性リチウ
ム原子1モル当量に対し、ハロゲン原子として0.1〜
2モル当量である。
【0034】本発明で用いることができる、例えばブタ
ジエン/スチレン共重合体において、ブタジエンユニッ
トとスチレンユニットの組成分布はブロック構造共重合
体、ランダム構造共重合体、この中間構造共重合体(例
えばスチレンユニットが4〜20個連なったショートブ
ロックがランダムに分布するような共重合体)のいずれ
でもよいが、効果の点から、ランダム共重合体又は中間
構造共重合体が好ましい。
【0035】所望の分子構造の重合体を得たい場合はラ
ンダマイザーが好ましく用いられる。ランダマイザーと
は共役ジエン系重合体のミクロ構造のコントロール、共
役ジエンモノマー、ビニル芳香族炭化水素モノマー、例
えばブタジエンとスチレンの組成分布のランダム化等の
作用を有する化合物である。具体的には(1)1,2−
ジメトキシエタン、テトラヒドロフラン、2−メトキシ
メチルテトラヒドロフラン、ジエチルエーテル等のエー
テル類、(2)ベラトロール、イソホモベラトロール等
のオルトジメトキシベンゼン類、(3)アセトン、メチ
ルエチルケトン、ジイソプロピルケトンのようなケトン
類及びトリエチルホスファイト、トリオクチルホスファ
イトのような亜リン酸トリエステル類とリチウム、ナト
リウム、カリウム、ルビジウム又はセシウムとのコンプ
レックスに代表される、アルカリ金属とケトン類又は亜
リン酸トリエステル類とのコンプレックス(4)メチル
アルコール、エチルアルコール、t−アミルアルコー
ル、フェノール、カテコール、レゾルシノール等のリチ
ウム、ナトリウム、カリウム、ルビジウム、セシウム、
カルシウム又はバリウムの塩に代表される、アルコー
ル、フェノールのアルカリ金属塩又はアルカリ土類金属
塩(5)イソ吉草酸、ラウリル酸、ステアリン酸、酸性
炭酸n−ドデシル、酸性炭酸フェニル等のリチウム、ナ
トリウム、カリウム、ルビジウム又はセシウムの塩等に
代表される、アルカリ金属のカルボン酸塩又は酸性炭酸
エステル塩(6)ドデシルベンゼンスルホン酸、ジイソ
プロピルナフタリンスルホン酸、カプロイルエチレング
リコール硫酸エステル等のリチウム、ナトリウム、カリ
ウム、ルビジウム又はセシウム塩に代表される、アルカ
リ金属のスルホン酸塩又は硫酸エステル塩(7)トリエ
チルアミン、テトラメチルエチレンジアミンに代表され
る第3級アミンが挙げられる。中でもテトラヒドロフラ
ン又はカリウム−t−アミレート等が好ましい。ランダ
マイザーの使用量は有機リチウム化合物1モル当量当た
り0.01〜1000モル当量の範囲である。
【0036】重合は約−20℃〜150℃の範囲内で任
意の温度で行うことができるが20℃〜120℃の温度
が好ましい。
【0037】得られた重合体の変性前の数平均分子量
は、8×103 〜1×106 であることが好ましく、5
×104 〜8×105 であることが更に好ましい。
【0038】本発明では前記アミノ基及び変性剤残基を
有する、後記水添前の官能性変性重合体における重合体
部はビニル結合含有量が10〜70%のポリブタジエ
ン、ならびに結合スチレン含有量が1〜45重量%であ
り、かつブタジエン部のビニル結合含有量が10〜70
%であるブタジエン/スチレン共重合体であることが好
ましい。ビニル結合含有量が10%未満の重合体は合成
が難しく、70%を越えると、破壊特性、耐摩耗性が劣
り、Tgが高くなるため、低ヒステリシスロス性も悪化
する。また、結合スチレン含有量が45重量%を越えた
場合も、やはりTgが高くなるため、低ヒステリシスロ
ス性が悪化する。また、この官能性変性重合体におい
て、次式Eで表される変性効率、すなわち、全重合体に
対し変性剤残基(例えば重合体Li+変性剤SnCl4
→(重合体)4 Snにおける−Sn)を有する重合体の
割合は30重量%以上、好ましくは50重量%以上であ
り、この変性効率が30重量%未満では低ヒステリシス
ロス性が悪化するので好ましくない。
【0039】
【数1】
【0040】本発明では前記官能性変性重合体の、特に
共役ジエンによる、炭素−炭素二重結合部分を部分的に
水素添加することが必要である。部分的に水素添加する
とは、この二重結合部分100に対して、水素添加率
(以下、単に水添率と言う)が20〜80%であること
を意味する。(なお、水添率の定義及び測定法は実施例
で詳述する)。水添率が20%未満では加工性、低ヒス
テリシスロス性の改良効果が不十分であり、80%を越
えるとエラストマーの性質が損なわれ、加工性が不良と
なる。
【0041】水添重合体は上記の官能性変性重合体の有
機溶媒中溶液を水素加圧下で触媒の存在下に水添反応を
行わせて得られる。
【0042】反応温度は通常20〜150℃、圧力は特
に規定しないが、水素圧を高くした方が反応が速くて好
ましい。水添反応の時間は任意に選ぶことができる。水
添反応用触媒としては、パラジウム−カーボン、還元ニ
ッケル、ロジウム系等不均一系触媒:または、ナフテン
酸ニッケル、オクタン酸ニッケル等の有機ニッケル化合
物あるいはナフテン酸コバルト、オクタン酸コバルト等
の有機コバルト化合物とトリエチルアルミニウム、トリ
イソブチルアルミニウムなどの有機アルミニウム化合物
もしくはn−ブチルリチウム、sec−ブチルリチウム
のような有機リチウム化合物を組合せた均一触媒が使用
できる。共触媒として、テトラハイドロフラン、エチレ
グリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジ
メチルエーテル等のエーテル化合物を用いてもよい。
【0043】この官能性変性重合体の他の水素添加法と
しては、例えば上記水添前の各重合体を、ジシクロペン
タジエニルチタンハライド、有機カルボン酸ニッケル、
有機カルボン酸ニッケルと周期律表第I〜III 族の有機
金属化合物からなる水素化触媒、カーボン、シリカ、ケ
イソウ土などで担持されたニッケル、白金、バラジウ
ム、ルテニウム、レニウム、ロジウム金属触媒やコバル
ト、ニッケル、ロジウム、ルテニウム錯体などを触媒と
して、1〜100気圧に加圧された水素下、あるいはリ
チウムアルミニウムハイドライド、p−トルエンスルホ
ニルヒドラジドの存在下、もしくはZr−Ti−Fe−
V−Cr合金、Zr−Ti−Nb−Fe−V−Cr合
金、LaNi5 合金などの水素貯蔵合金の存在下、ある
いは1〜100気圧に加圧された水素下で、水素化する
方法、また、ジ−p−トリル−ビス(1−シクロペンタ
ジエニル)チタニウム/シクロヘキサン溶液とn−ブチ
ルリチウム/n−ヘキサン溶液を水素下で混合して得ら
れる水素化触媒を用いて、1〜100気圧に加圧された
水素下で、水素化する方法等を挙げることができる。
【0044】これらの重合体は、ヘキサン、ヘプタン、
シクロヘキサン、ベンゼン、トルエン、エチルベンゼン
などの炭化水素溶媒、またはメチルエチルケトン、酢酸
エチル、エチルエーテル、テトラヒドロフランなどの極
性溶媒中で前記した水素化触媒あるいは水素化化合物に
より水素化される。
【0045】このようにして得られた水添官能性変性重
合体の溶液は、スチームストリッピングにより脱溶媒ま
たはアルコールにより凝固したのち、乾燥することによ
り固体状の重合体として得られる。
【0046】本発明のゴム組成物において、本発明の共
役ジエン系重合体、すなわち前記水添官能性変性重合体
はゴム原料100重量部中に、20重量部以上が含有さ
れる。20重量部未満では、低ヒステリシスロス性など
の本発明の共役ジエン系重合体の特徴を生かしきれない
ので、好ましくない。
【0047】本発明のゴム組成物において、本発明の共
役ジエン系重合体以外のゴム原料としては、天然ゴムや
合成ゴムが用いられ、合成ゴムには例えばスチレン−ブ
タジエン共重合体、スチレン−イソプレン共重合体、ポ
リブタジエン、ポリイソプレン、アクリロニトリル−ブ
タジエン共重合体、ブチルゴム、エチレン−プロピレン
−ジエン3元共重合体、ハロゲン化ブチルゴム等を含む
ことができる。
【0048】本発明のゴム組成物には、ゴム工業で通常
使用される配合剤、例えばカーボンブラック、シリカ、
他の補強性充填剤、加硫剤、ステアリン酸、酸化亜鉛、
加硫促進剤、老化防止剤、軟化剤等を適宜配合すること
ができる。
【0049】
【実施例】以下に実施例を挙げて本発明をより具体的に
説明するが、本発明の主旨を越えない限り、本実施例に
限定されるものではない。
【0050】各種の測定は下記の方法によった。変性効
率はGPCのクロマトグラムにおける高分子量成分と低
分子量成分の面積比により求めた。
【0051】スチレン−ブタジエン共重合体中の結合ス
チレン含有量及びブタジエン部分のビニル結合含有量
は、1 H−NMR(400MHZ )により求めた。
【0052】水添率は水添前の重合体、水添後の重
合体をそれぞれ重クロロホルムに溶解し、1H-NMRスペク
トルを測定し、各々積分強度を求めた。
【0053】 次式に従って、水添率を計算した。
【0054】
【数2】
【0055】式中、〔Vi〕:水添前の官能性変性重合
体のビニル量(%) 〔H1 〕:2E/(2E+3C) 〔H2 〕:〔(2B−A)−(2D−C)〕/(2B−
A) 引張強度はJIS K6301に準拠して、室温にて測
定した。
【0056】また、耐摩耗性は、ブリティッシュスタン
ダード型ランボーン型摩耗試験機を用い、室温における
スリップ率60%の摩耗量を測定し、その逆数を用い
て、比較例8の値を、100とした指数で表示した。従
って、数値が大きいほど、耐摩耗性が良好であることを
表す。
【0057】ヒステリシスロスの指標としてtanδを
用い、tanδが小さい程、低ヒステリシスロスである
と評価する。tanδの測定は粘弾性測定装置(RV
E:レオメトリックス社製)を使用し、温度50℃、歪
3%、周波数15Hzで行った。
【0058】作業性の指標となるムーニー粘度は、ムー
ニー粘度計(東洋精機製)を使用し、予熱1分、測定4
分、温度128℃で測定した。
【0059】・ポリマーA〜Uの調製 ポリマーA:内容積5リットルの攪拌機付き、加熱/冷
却ジャケット付きのオートクレーブに、シクロヘキサン
2100g、表1の重合処方に従って、1,3−ブタジ
エン、スチレンを導入した後に、1.6Nのn−ブチル
リチウム(BuLi)/n−ヘキサン溶液を3.2mm
ol添加し、次にヘキサメチレンイミン(HMI)2.
9mmolを加え、ランダマイザーとしてテトラヒドロ
フラン(THF)を添加し、50℃にて2時間重合を行
った。得られた重合体の結合スチレン含有量及びブタジ
エン部のビニル結合含有量を測定し、結果を表1に示
す。重合後、表1の変性処方に従って四塩化スズを添加
し、30分間反応し、得られた変性SBRについて、変
性効率を測定し、結果を表1に示す。このSBR溶液
に、老化防止剤として、2,6−ジ−t−ブチルカテコ
ールを0.4g加えた後、常法に従い溶媒の除去を行い
水添前ポリマーを得た。
【0060】上記で得られた水添前ポリマー260gを
5リットルオートクレーブに仕込み10重量%シクロヘ
キサン溶液とした。系内を窒素で置換した後、あらかじ
め、別容器で調整したナフテン酸ニッケル:n−ブチル
リチウム:THF=1:8:20(モル比)の触媒液を
ニッケルとポリマーのブタジエン単位とのモル比が1:
1000となるようにに投入した後、水素を系内に10
kg/cm2 の圧力にて導入した。反応により水素が消
費され、水素圧力が低下した後、10kg/cm2 の圧
力となるように、さらに水素を導入した。この作業を繰
り返し、水素導入に伴う圧力ゲージ表示値の上昇分の合
計(=H−total)が44kgf/cm2 になった
ところで、系内の残留水素を窒素で置換し、2,6−ジ
−t−ブチル−p−クレゾール/イソプロパノールで反
応を停止した。その後、常法に従い脱溶媒することによ
り水添ポリマーAを得た。
【0061】ポリマーB:ランダマイザー量を表1の重
合処方のように変えた以外、ポリマーAと同様にして、
ポリマーBを得た。ポリマー構造を表1に示す。
【0062】ポリマーC:ブタジエン量、スチレン量、
水素量及びランダマイザーとしてカリウム−t−アミレ
ートを表1の重合処方に従って用いた以外、ポリマーA
と同様にして、ポリマーCを得た。ポリマー構造を表1
に示す。
【0063】ポリマーD:ブタジエン量、スチレン量及
び水素量を表1の重合処方に従って用いた以外、ポリマ
ーCを同様にして、ポリマーDを得た。ポリマー構造を
表1に示す。
【0064】ポリマーE,F、及びG:スチレンを用い
ないで、ブタジエン量、THF量及び水素量を表1の重
合処方に従って用いた以外、ポリマーAと同様にして、
THF量の違いに応じて、それぞれポリマーE,F、及
びGを得た。ポリマー構造を表1に示す。
【0065】ポリマーH,I,J、及びK:水素量を表
1の水添処方に従って用いた以外、ポリマーAと同様に
して、水素量の違いに応じて、それぞれポリマーH,
I,J、及びKを得た。ポリマー構造を表1に示す。
【0066】ポリマーL,M,及びN:四塩化スズ量を
表1の変性処方に従って用いた以外、ポリマーAと同様
にして、四塩化スズ量の違いに応じて、それぞれポリマ
ーL,M,及びNを得た。ポリマー構造を表1に示す。
【0067】ポリマーO,P,Q,及びR:アミンとし
て、ピロリジン(PY)、ドデカメチレンイミン(DD
MI)、1,2,3,6−テトラヒドロピリジン(TH
P)、ジブチルアミン(DBA)を表1の重合処方に従
って用いた以外、ポリマーAと同様にして、アミン種の
違いに応じて、それぞれポリマーO,P,Q,及びRを
得た。ポリマー構造を表1に示す。
【0068】ポリマーS:環状アミンのHMIを用いな
い以外、ポリマーAと同様にして、ポリマーSを得た。
ポリマー構造を表1に示す。
【0069】ポリマーT:水素を用いない以外、ポリマ
ーAと同様にして、ポリマーTを得た。ポリマー構造を
表1に示す。
【0070】ポリマーU:環状アミンのHMI及び水素
を用いない以外、ポリマーAと同様にして、ポリマーU
を得た。ポリマー構造を表1に示す。
【0071】
【表1】
【0072】
【表2】
【0073】
【表3】
【0074】
【表4】
【0075】(実施例1〜16)(比較例1〜13) 前記各種ポリマーは表5〜11に示す配合処方に従っ
て、90ccプラストミル、3インチロールで混練り、
配合した後、未加硫物のムーニー粘度及び145℃、3
0分間加硫を行った加硫物の引張強度、耐摩耗性、ta
nδを測定し、その結果を表6〜11に示す。
【0076】
【表5】
【0077】
【表6】
【0078】
【表7】
【0079】
【表8】
【0080】
【表9】
【0081】
【表10】
【0082】
【表11】
【0083】表6〜11に示されるように、本発明のタ
イヤトレッド用共役ジエン系重合体及びそのゴム組成物
は、加工性、破壊特性、耐摩耗性を高レベルに維持しな
がら、低ヒステリシスロス性が顕著に改良されることが
わかる。
【0084】ブタジエン/スチレンの割合、ランダマイ
ザー種、量を変えた場合(実施例1〜7)、水添率(水
素量)が特許請求範囲内である場合(実施例8〜9)、
変性効率(変性剤量)が30%以上である場合(実施例
10ほか)、環状アミン化合物が特許請求の範囲内であ
る場合(実施例11〜13)、本発明の共役ジエン系重
合体のゴム原料中の割合が20〜100重量部である場
合(実施例14〜16)、いずれも、顕著な効果を示し
ている。
【0085】一方、水添率が20〜80%外である場合
(比較例1〜2)変性効率(変性剤量)が低い場合(比
較例3〜4)、アミン化合物が環状アミンでなく通常の
2級アミン化合物である場合(比較例5)、水添未官能
性変性重合体の場合(比較例6、11)、非水添官能性
変性重合体の場合(比較例7,12)、非水添未官能性
変性重合体の場合(比較例8,13)、本発明の共役ジ
エン系重合体のゴム原料中の割合が20重量部未満であ
る場合(比較例9)、いずれも共通して低ヒステリシス
ロス性が劣り、他の物性のバランスも良くないことがわ
かる。
【0086】
【発明の効果】本発明の共役ジエン系重合体及びそのゴ
ム組成物は上記構成としたので、加工性、破壊特性、耐
摩耗性、低ヒステリシスロス性を高水準で同時に満足す
るという優れた効果を奏する。

Claims (12)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 共役ジエンモノマー又は共役ジエンモノ
    マー/ビニル芳香族炭化水素モノマーを、 A;有機リチウム化合物と、 B;下記一般式(I)で表される環状アミン化合物又は
    下記一般式(II)で表される不飽和環状アミン化合物
    と、からなる重合開始剤に接触させて重合した後、下記
    一般式(III)で表される変性剤を用いて変性して得られ
    る、変性剤による変性効率が30重量%以上である官能
    性変性重合体であり、その含有する二重結合の20〜8
    0%を水素添加して得られることを特徴とする共役ジエ
    ン系重合体。 一般式(I) 【化1】 一般式(II) 【化2】 (式中、R1 及びR2 はそれぞれ独立に、3〜13個の
    メチレン基を有するアルキレン基、オキシアルキレン
    基、アミノアルキレン基及びこれらのアルキル基置換基
    からなる群より選ばれる基を表す。) 一般式(III)Xn MR3 4-n 又は(R4 O)n MR3
    4-n (式中、Xはハロゲン原子を表し、Mはスズ、ケイ素、
    ゲルマニウム、炭素又はチタンのいずれかを表し、R3
    及びR4 はアルキル基、アルケニル基、シクロアルキル
    基、アラルキル基及びアリール基からなる群より選ばれ
    る基を表し、nは1〜4の整数を表す。)
  2. 【請求項2】 前記共役ジエンモノマーがブタジエンで
    あることを特徴とする請求項1記載の共役ジエン系重合
    体。
  3. 【請求項3】 前記共役ジエンモノマー/ビニル芳香族
    炭化水素モノマーがブタジエン/スチレンであることを
    特徴とする請求項1記載の共役ジエン系重合体。
  4. 【請求項4】 請求項1記載の環状アミン化合物がピロ
    リジン、ヘキサメチレンイミン及びドデカメチレンイミ
    ンからなる群より選ばれる少なくとも一つの化合物であ
    ることを特徴とする請求項1記載の共役ジエン系重合
    体。
  5. 【請求項5】 請求項1記載の不飽和環状アミン化合物
    が1,2,3,6−テトラヒドロピリジン又は4−メチ
    ル−1,2,3,6−テトラヒドロピリジンであること
    を特徴とする請求項1記載の共役ジエン系重合体。
  6. 【請求項6】 前記重合開始剤が少なくとも一つの前記
    モノマーの存在下で、A;有機リチウム化合物、B;請
    求項1記載の環状アミン化合物又は不飽和環状アミン化
    合物を、A、Bの順で添加して、調製されることを特徴
    とする請求項1記載の共役ジエン系重合体。
  7. 【請求項7】 請求項1記載の変性剤がハロゲン化スズ
    化合物であることを特徴とする請求項1記載の共役ジエ
    ン系重合体。
  8. 【請求項8】 前記重合体は水添前のビニル結合含有量
    が10〜70%のポリブタジエンであることを特徴とす
    る請求項1記載の共役ジエン系重合体。
  9. 【請求項9】 前記重合体は結合スチレン含有量が1〜
    45重量%であり、水添前のブタジエン部のビニル結合
    含有量が10〜70%であることからなるブタジエン/
    スチレン共重合体であることを特徴とする請求項1記載
    の共役ジエン系重合体。
  10. 【請求項10】 請求項1記載の共役ジエン系重合体が
    ゴム原料100重量部中に、20重量部以上を含有する
    ことを特徴とするゴム組成物。
  11. 【請求項11】 前記重合体は水添前のビニル結合含有
    量が10〜70%のポリブタジエンであることを特徴と
    する請求項10記載のゴム組成物。
  12. 【請求項12】 前記重合体は結合スチレン含有量が1
    〜45重量%であり、水添前のブタジエン部のビニル結
    合含有量が10〜70%であることからなるブタジエン
    /スチレン共重合体であることを特徴とする請求項10
    記載のゴム組成物。
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