JP2022122538A - 重合体組成物及びゴム成型品 - Google Patents

重合体組成物及びゴム成型品 Download PDF

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Takato Fukumoto
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Toshimitsu Kikuchi
寛文 千賀
Hirofumi Senga
裕人 坂上
Yuto Sakagami
俊之 早川
Toshiyuki Hayakawa
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Abstract

【課題】振動を遮断する性能に優れ、高硬度な成形品を提供する。【解決手段】(A)芳香族ビニルに由来する構造を5~50質量%有し、ビニル基に由来する構造をジエン系モノマーに由来する構造中の20~70モル%含有する高飽和なジエン系重合体と、(B)ジエン系ゴムとを、前記(A)重合体を5~60質量%、前記(B)ジエン系ゴム40~95質量%の比率で含有する重合体組成物、及び、前記組成物を架橋して得られた架橋ゴムからなるゴム成型体により解決するものである。【選択図】なし

Description

本開示は、重合体組成物及びゴム成型品に関するものである。
自動車等の車両の振動を吸収し騒音を防止するため、エンジンマウント等のマウント材、ブッシュ材、ダンパー材などには防振ゴムが用いられる。
自動車用防振ゴムはエンジンから発生する振動や騒音、及びタイヤを通じ道路から入ってくる騒音や振動を遮断するために用いられる。この際、低周波で発生する共振振動(シェイク)については、ゴムのロス(tanδ)が大きい方が振動の伝達率が低く、高周波の微振動(騒音)については動バネを静バネで割った数字(動倍率)が小さい方が振動の伝達率が低い。つまり、防振ゴムとしてはロスが大きく動倍率が小さい方が好ましいが、従来の技術で検討するとロスを大きくすると動倍率も大きくなるという関係があり、高ロス低倍率の配合を得ることができなかった。
天然ゴム自体はロスが小さいので高ロス配合を設計する場合、通常よりカーボンブラックを多めに入れ、ゴムの弾性率はオイルの量で調整する。カーボンブラックの添加量と動倍率の間には密接な関係があり、この方法ではカーボンブラックの添加量に比例して、動倍率も必ず大きくなってしまう。ポリマー自体がロスの大きいスチレン含有量の高いSBR等を選択して配合すると、カーボンブラックの添加量が少なくても高ロスが得られるため、天然ゴムよりも高ロスで低倍率の配合を得ることができるが、防振ゴムとして使用できる温度範囲が限られてしまう。そこで、特許文献1では、スチレンブタジエンゴムに液状水添ポリイソプレンを配合する方法が開示されている。
特開平9-176387号公報
防振ゴムで高減衰性を高めようとすると、動倍率も大きくなり、逆に、動倍率を小さくすると減衰性も小さくなる。そのため、防振ゴムでの高減衰性と低動倍率の両立は、従来においては困難であった。また、車の装備の増加等で重量が重くなってきており、防振ゴムの強度も特に要求されるようになった。
本発明は、このような事情に鑑みなされたもので、減衰特性に優れるだけでなく、高強度で、耐久性(耐屈曲性)、耐候性も良好な、ゴム組成物および防振ゴムの提供をその目的とする。
本開示によれば、以下の重合体組成物及びゴム成型品が提供される。
[1](A)下記式(1)で表される構造単位、下記式(2)で表される構造単位、下記式(3)で表される構造単位、及び下記式(4)で表される構造単位の、重合体中の構成比(モル比)をそれぞれp、q、r、sとしたとき、下記数式(i)で表される値αが0.60~0.97であり、下記数式(ii)で表される値βが0.20~0.70であり、ゲルパーミエーションクロマトグラフィーで測定したポリスチレン換算の重量平均分子量(Mw)が1.0×10~2.0×10であり、芳香族ビニルに由来する構造を重合体全体の5~50質量%有し、下記式(1)~(4)で表される構造単位と芳香族ビニルに由来する構造単位がランダムに存在する重合体と、
(B)ジエン系ゴム(但し、前記(A)に該当するものを除く。)と、
を含有し、
前記(A)重合体と前記(B)ジエン系ゴムの合計を100質量%としたときに、前記(A)重合体を5~60質量%、前記(B)ジエン系ゴム40~95質量%の比率で含有する重合体組成物。
α=(p+(0.5×r))/(p+q+(0.5×r)+s) …(i)
β=(p+q)/(p+q+(0.5×r)+s) …(ii)
Figure 2022122538000001
[2]上記[1]に記載の重合体組成物を架橋してえられた架橋ゴムからなるゴム成型品。
上記ゴム組成物によれば、共役ジエン系重合体として水添物を少なくとも含むゴム組成物において、ゴム組成物中の共役ジエン系重合体の一部を水添率が低い重合体とした場合にも引張強さ及び破断伸びに優れた高強度な架橋ゴムを得ることができる。したがって、高強度なゴム製品を低価格で製造することができる。
本開示の架橋ゴムは、以下の(A)及び(B)を含有する架橋ゴムである。
(A)下記式(1)で表される構造単位、下記式(2)で表される構造単位、下記式(3)で表される構造単位、及び下記式(4)で表される構造単位の、重合体中の構成比(モル比)をそれぞれp、q、r、sとしたとき、下記数式(i)で表される値αが0.60~0.97であり、下記数式(ii)で表される値βが0.20~0.70であり、ゲルパーミエーションクロマトグラフィーで測定したポリスチレン換算の重量平均分子量(Mw)が1.0×10~2.0×10であり、芳香族ビニルに由来する構造を重合体全体の5~50質量%有し、下記式(1)~(4)で表される構造単位と芳香族ビニルに由来する構造単位がランダムに存在する重合体
α=(p+(0.5×r))/(p+q+(0.5×r)+s) …(i)
β=(p+q)/(p+q+(0.5×r)+s) …(ii)
Figure 2022122538000002
(B)共役ジエン系重合体(ただし、(A)成分に該当するものを除く。)
以下、本開示の架橋ゴムの製造に用いるゴム組成物に含まれる各成分について詳述する。
<(A)成分>
(A)成分の共役ジエン系重合体(以下、「重合体(A)」ともいう。)は、例えば、スチレンブタジエンゴムを水素添加することで得ることができる、具体的には、以下の重合工程及び水添工程を含む方法により製造することができる。
(重合工程)
本工程は、共役ジエン化合物と芳香族ビニルを含むモノマーを重合して、活性末端を有する共役ジエン系重合体を得る工程である。重合に使用する共役ジエン化合物は、1,3-ブタジエン単独でもよいし、1,3-ブタジエン以外の共役ジエン化合物(以下、「その他の共役ジエン化合物」ともいう。)を併用してもよい。その他の共役ジエン化合物としては、例えばイソプレン、2,3-ジメチル-1,3-ブタジエン、1,3-ペンタジエン、1,3-ヘキサジエン、1,3-ヘプタジエン、2-フェニル-1,3-ブタジエン、3-メチル-1,3-ペンタジエン、2-クロロ-1,3-ブタジエン等が挙げられる。これらの中でも、イソプレン及び2,3-ジメチル-1,3-ブタジエンが好ましい。
上記重合に使用する芳香族ビニル化合物としては、例えば、スチレン、2-メチルスチレン、3-メチルスチレン、4-メチルスチレン、α-メチルスチレン、2,4-ジメチルスチレン、2,4-ジイソプロピルスチレン、4-t-ブチルスチレン、5-t-ブチル-2-メチルスチレン、ビニルエチルベンゼン、ジビニルベンゼン、トリビニルベンゼン、ジビニルナフタレン、t-ブトキシスチレン、ビニルベンジルジメチルアミン、(4-ビニルベンジル)ジメチルアミノエチルエーテル、N,N-ジメチルアミノエチルスチレン、N,N-ジメチルアミノメチルスチレン、2-エチルスチレン、3-エチルスチレン、4-エチルスチレン、2-t-ブチルスチレン、3-t-ブチルスチレン、4-t-ブチルスチレン、ビニルキシレン、ビニルナフタレン、ビニルピリジン、ジフェニルエチレン、3級アミノ基含有ジフェニルエチレン(例えば、1-(4-N,N-ジメチルアミノフェニル)-1-フェニルエチレンなど)等が挙げられる。芳香族ビニル化合物としては、これらの中でもスチレン、α-メチルスチレンが好ましい。
本開示における上記共重合体は、共役ジエン化合物と芳香族ビニル化合物との分布が不規則なランダム共重合部分を有する。上記共重合体は、本開示の効果を損なわない限り、重合体全体の10質量%以下、好ましくは5質量%以下で、共役ジエン化合物又は芳香族ビニル化合物からなるブロック部分をさらに有していてもよい。
共役ジエン系重合体が含有する芳香族ビニル化合物の使用割合は、得られる架橋ゴムの低温での柔軟性と強度とのバランスを良好にする観点から、重合に使用する共役ジエン化合物及び芳香族ビニル化合物の合計量に対して、3~55質量%とすることが好ましく、5~50質量%とすることがより好ましい。なお、重合体中における、芳香族ビニル化合物に由来する構造単位の含有割合はH-NMRによって測定した値である。共役ジエン化合物、芳香族ビニル化合物は、それぞれ1種を単独で使用してもよく、2種以上を組み合わせて使用してもよい。
上記重合に際しては、モノマーとして、共役ジエン化合物及び芳香族ビニル化合物以外の化合物(以下、「他のモノマー」ともいう。)を使用してもよい。他のモノマーとしては、例えばアクリロニトリル、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル等が挙げられる。他のモノマーの使用割合は、重合に使用するモノマーの全体量に対して、10質量%以下とすることが好ましく、5質量%以下とすることがより好ましい。
使用する重合法としては、溶液重合法、気相重合法、バルク重合法のいずれを用いてもよいが、溶液重合法が特に好ましい。また、重合形式としては、回分式及び連続式のいずれを用いてもよい。溶液重合法を用いる場合、具体的な重合方法の一例としては、有機溶媒中において、共役ジエン化合物を含むモノマーを、重合開始剤及び必要に応じて用いられるランダマイザーの存在下で重合する方法が挙げられる。
重合開始剤としては、アルカリ金属化合物及びアルカリ土類金属化合物の少なくともいずれかを用いることができる。これらの具体例としては、例えばメチルリチウム、エチルリチウム、n-プロピルリチウム、n-ブチルリチウム、sec-ブチルリチウム、t-ブチルリチウムなどのアルキルリチウム、1,4-ジリチオブタン、フェニルリチウム、スチルベンリチウム、ナフチルリチウム、1,3-ビス(1-リチオ-1,3-ジメチルペンチル)ベンゼン、1,3-フェニレンビス(3-メチル-1-フェニルペンチリデン)ジリチウム、ナフチルナトリウム、ナフチルカリウム、ジ-n-ブチルマグネシウム、ジ-n-ヘキシルマグネシウム、エトキシカリウム、ステアリン酸カルシウム等が挙げられる。これらの中でもリチウム化合物が好ましい。重合開始剤の合計の使用量は、重合に使用するモノマー100gに対して、0.2~20mmolとすることが好ましい。
重合反応は、重合開始剤として、アルカリ金属化合物及びアルカリ土類金属化合物の少なくともいずれかと、シリカと相互作用する官能基を有する化合物との混合物を用いて行ってもよい。当該混合物の存在下で重合を行うことにより、共役ジエン系重合体の重合開始末端を、シリカと相互作用する官能基で変性することができる。なお、本明細書において「シリカと相互作用する官能基」とは、窒素、硫黄、リン、酸素などのシリカと相互作用する元素を有する基を意味する。「相互作用」とは、分子間で共有結合を形成するか、又は共有結合よりも弱い分子間力(例えば、イオン-双極子相互作用、双極子-双極子相互作用、水素結合、ファンデルワールス力等といった分子間に働く電磁気学的な力)を形成することを意味する。
重合開始末端の変性に用いる、シリカと相互作用する官能基を有する化合物としては、中でも、第2級アミン化合物などの窒素含有化合物が好ましい。当該窒素含有化合物の具体例としては、例えばジメチルアミン、ジエチルアミン、ジプロピルアミン、ジブチルアミン、ドデカメチレンイミン、N,N’-ジメチル-N’-トリメチルシリル-1,6-ジアミノヘキサン、ピペリジン、ピロリジン、ヘキサメチレンイミン、ヘプタメチレンイミン、ジシクロヘキシルアミン、N-メチルベンジルアミン、ジ-(2-エチルヘキシル)アミン、ジアリルアミン、モルホリン、N-(トリメチルシリル)ピペラジン、N-(tert-ブチルジメチルシリル)ピペラジン、1,3-ジトリメチルシリル-1,3,5-トリアジナン等が挙げられる。
なお、上記重合に際しては、アルカリ金属化合物及びアルカリ土類金属化合物の少なくともいずれかと、シリカと相互作用する官能基を有する化合物とを予め混合しておき、その混合物を重合系中に添加して重合を行ってもよい。あるいは、重合系中に、アルカリ金属化合物及びアルカリ土類金属化合物の少なくともいずれかと、シリカと相互作用する官能基を有する化合物とを添加し、重合系中で両者を混合して重合を行ってもよい。
ランダマイザーは、重合体中におけるビニル結合の含有率を表すビニル結合含量の調整等を目的として用いることができる。ランダマイザーの例としては、ジメトキシベンゼン、テトラヒドロフラン、ジメトキシエタン、ジエチレングリコールジブチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、2,2-ジ(テトラヒドロフリル)プロパン、2-(2-エトキシエトキシ)-2-メチルプロパン、トリエチルアミン、ピリジン、N-メチルモルホリン、テトラメチルエチレンジアミン等が挙げられる。これらは、1種を単独で又は2種以上を組み合わせて使用できる。
重合に使用する有機溶媒としては、反応に不活性な有機溶剤であればよく、例えば脂肪族炭化水素、脂環式炭化水素、芳香族炭化水素等を用いることができる。中でも、炭素数3~8の炭化水素が好ましく、その具体例としては、例えばプロパン、n-ブタン、イソブタン、n-ペンタン、イソペンタン、n-へキサン、シクロへキサン、プロペン、1-ブテン、イソブテン、トランス-2-ブテン、シス-2-ブテン、1-ペンチン、2-ペンチン、1-ヘキセン、2-ヘキセン、ベンゼン、トルエン、キシレン、エチルベンゼン、ヘプタン、シクロペンタン、メチルシクロペンタン、メチルシクロヘキサン、1-ペンテン、2-ペンテン、シクロヘキセン等が挙げられる。なお、有機溶媒としては、1種を単独で又は2種以上を組み合わせて使用することができる。
溶液重合とする場合、反応溶媒中のモノマー濃度は、生産性と重合コントロールの容易性のバランスを維持する観点から、5~50質量%であることが好ましく、10~30質量%であることがより好ましい。重合反応の温度は、-20℃~150℃であることが好ましく、0~120℃であることがより好ましい。また、重合反応は、単量体を実質的に液相に保つのに十分な圧力の下で行うことが好ましい。このような圧力は、重合反応に対して不活性なガスによって、反応器内を加圧する等の方法によって得ることができる。
こうした重合反応により、活性末端を有する共役ジエン系重合体を得ることができる。得られる共役ジエン系重合体につき、ブタジエン単位におけるビニル結合含量は、20~70質量%であることが好ましく、23~68質量%であることがより好ましく、25~65質量%であることがさらに好ましい。ビニル結合含量が20質量%未満であると、グリップ特性が低くなる傾向があり、70質量%を超えると、得られる加硫ゴムの耐摩耗性が低下する傾向にある。なお、本明細書において「ビニル結合含量」は、共役ジエン系重合体中において、ブタジエンの全構造単位に対する、1,2-結合を有する構造単位の含有割合を示す値であり、H-NMRによって測定した値である。
(水添工程)
本工程では、上記重合工程により得られた共役ジエン系重合体を水素添加(水添)する。水添の方法及び条件は、所望の水添率の重合体が得られるのであれば特に限定されない。水添方法の例としては、チタンの有機金属化合物を主成分とする触媒を水添触媒として使用する方法、鉄、ニッケル、コバルトの有機化合物とアルキルアルミニウム等の有機金属化合物からなる触媒を使用する方法、ルテニウム、ロジウム等の有機金属化合物の有機錯体を使用する方法、パラジウム、白金、ルテニウム、コバルト、ニッケル等の金属を、カーボン、シリカ、アルミナ等の担体に担持した触媒を使用する方法等がある。各種の方法の中では、チタンの有機金属化合物単独、又はそれとリチウム、マグネシウム、アルミニウムの有機金属化合物とから成る均一触媒(特公昭63-4841号公報、特公平1-37970号公報)を用い、低圧、低温の穏和な条件で水添する方法は工業的に好ましく、またブタジエンに由来する二重結合への水添選択性も高く、本開示の目的に適している。
水素添加は、触媒に不活性で、かつ共役ジエン系重合体が可溶な溶剤中で実施される。好ましい溶媒としては、n-ペンタン、n-ヘキサン、n-オクタンのような脂肪族炭化水素、シクロヘキサン、シクロヘプタンのような脂環族炭化水素、ベンゼン、トルエンのような芳香族炭化水素、ジエチルエーテル、テトラヒドロフランのようなエーテル類の単独又はそれらを主成分とする混合物である。
水添反応は、一般には重合体を水素又は不活性雰囲気下、所定の温度に保持し、攪拌下又は不攪拌下にて水添触媒を添加し、次いで水素ガスを導入して所定圧に加圧することによって実施される。不活性雰囲気とは、水添反応のいかなる関与体とも反応しない雰囲気を意味し、例えばヘリウム、ネオン、アルゴン等により形成する。水添共役ジエン系重合体を得る水添反応プロセスは、バッチプロセス、連続プロセス、及びそれらの組合せのいずれを用いてもよい。水添触媒の添加量は、水添前の共役ジエン系重合体100g当たり0.02~20ミリモルとすることが好ましい。
重合体(A)は、重合体(A)が有するブタジエン由来の構造単位の水添率が60~97%の範囲である。重合体(A)の水添率が60%以上であることにより、機械的強度(引張強さ)及び破断伸びが十分に高い架橋ゴムを得ることができる。水添率の下限値は、得られる架橋ゴムの引張強さを十分に高くできる点で、好ましくは63%以上であり、より好ましくは65%以上であり、さらに好ましくは68%以上である。また、水添率の上限値は、製造効率の低下を抑える点、及び架橋ゴムの引張強さを十分に確保しつつ低価格化を実現する点から、97%以下であり、95%以下とすることが好ましく、90%以下とすることがさらに好ましい。なお、水添率はH-NMRで測定した値である。水添率は、水添触媒の量、水添反応時の水素圧力及び反応時間を変えることにより任意に選定することができる。
本開示の水添共役ジエン系重合体は、上記で得られた溶液から溶媒を除去し、重合体を単離して得られる。重合体を単離するには、例えばスチームストリッピング等の公知の脱溶媒方法及び熱処理等の乾燥の操作によって行うことができる。
重合体(A)は、未変性の共役ジエン系重合体であってもよいが、シリカの分散性を高め、低ヒステリシスロス特性を向上できる点から、アミノ基、炭素-窒素二重結合を有する基、窒素含有複素環基、ホスフィノ基、チオール基及びヒドロカルビルオキシシリル基からなる群より選ばれる一種以上の官能基(以下、「特定官能基」ともいう。)を有する変性重合体であることが好ましい。変性方法は特に限定されないが、例えば、[1]重合開始剤として、アルカリ金属化合物及びアルカリ土類金属化合物の少なくともいずれかと、特定官能基を有する化合物との混合物を用いる方法、[2]上記重合工程により得られる、活性末端を有する共役ジエン系重合体と、特定官能基を有する化合物とを反応させる方法、等が挙げられる。中でも、方法[2]を単独で用いるか、又は方法[1]と方法[2]とを併用することが好ましい。この場合、重合体(A)は、好ましくは、共役ジエン系重合体の活性末端と、特定官能基を有しかつ共役ジエン系重合体の活性末端と反応し得る化合物との反応生成物を水添した水添共役ジエン系重合体である。
(末端変性工程)
上記方法[2]において、活性末端を有する重合体と反応させる化合物としては、特定官能基を有し、かつ共役ジエン系重合体の活性末端と反応し得る化合物(以下、「化合物(C)」ともいう。)であれば特に限定されない。化合物(C)の具体例としては、例えば下記(I)~(III)などが挙げられる。
(I)下記式(5)で表される化合物(C-1);
Figure 2022122538000003
(式(5)中、Aは、窒素原子、リン原子及び硫黄原子からなる群より選択される少なくとも一種の原子を有し、活性水素を有さず、かつRに対して窒素原子、リン原子又は硫黄原子で結合する1価の官能基である。R及びRはヒドロカルビル基であり、Rはヒドロカルビレン基であり、nは0~2の整数である。但し、R及びRが複数存在する場合、複数のR及びRは、それぞれ同じでも異なっていてもよい。)
(II)分子中に、環状エーテル基、(チオ)カルボニル基及びイソ(チオ)シアナート基からなる群より選択される少なくとも1種である官能基Gと、窒素原子、リン原子、酸素原子及び硫黄原子からなる群より選択される少なくとも一種の原子(但し、窒素原子、リン原子及び硫黄原子は、少なくともいずれかが3置換のヒドロカルビルシリル基で保護されていてもよい。)を有し、かつ活性水素を有していない、上記官能基Gとは異なる基Gと、を各々1つ以上有する化合物(C-2);
(III)分子中に、イソ(チオ)シアナート基を2つ以上有する化合物(C-3);
なお、本明細書において、(チオ)カルボニル基は、カルボニル基及びチオカルボニル基を示し、イソ(チオ)シアナート基は、イソシアナート基及びイソチオシアナート基を示す。化合物(C)としては、上記の1種を単独で又は2種以上を組み合わせて使用することができる。
上記式(5)において、R及びRのヒドロカルビル基は、炭素数1~20の直鎖状若しくは分岐状のアルキル基、炭素数3~20のシクロアルキル基又は炭素数6~20のアリール基であることが好ましい。
は、炭素数1~20の直鎖状若しくは分岐状のアルカンジイル基、炭素数3~20のシクロアルキレン基又は炭素数6~20のアリーレン基であることが好ましい。
nは、共役ジエン系重合体との反応性を高める観点から、0又は1が好ましい。
は、窒素原子、リン原子及び硫黄原子からなる群より選択される少なくとも一種の原子を有し、窒素原子、リン原子又は硫黄原子でRに結合する。A中の窒素原子、リン原子及び硫黄原子は活性水素に結合しておらず、また保護基で保護されていてもよい。
なお、本明細書において「活性水素」とは、炭素原子以外の原子に結合した水素原子をいい、好ましくはポリメチレンの炭素-水素結合よりも結合エネルギーが低いものを指す。「保護基」とは、Aを重合活性末端に対して不活性な官能基に変換しておく官能基であり、例えば3置換のヒドロカルビルシリル基等が挙げられる。
化合物(C)としては、シリカとの親和性が強い点において、化合物(C-1)を用いることが好ましい。なお、化合物(C-1)を用いる場合、変性共役ジエン系重合体のムーニー粘度を調整する目的で、化合物(C-1)と共に、四塩化ケイ素、エポキシ含有化合物(例えば、テトラグリシジル-1,3-ビスアミノメチルシクロヘキサンなど)等のカップリング剤を併用してもよい。化合物(C)としては、これらの1種を単独で又は2種以上を組み合わせて使用することができる。
活性末端を有する重合体と化合物(C)との反応は、例えば溶液反応として行うことができる。この溶液反応は、重合反応の終了後の未反応モノマーを含む溶液を用いて行ってもよく、当該溶液に含まれる共役ジエン系重合体を単離し、シクロヘキサン等の適当な溶媒に溶解した上で行ってもよい。また、上記反応は、回分式及び連続式のいずれを用いて行ってもよい。このとき、化合物(C)の添加方法は特に制限されず、一括して添加する方法、分割して添加する方法、連続的に添加する方法等が挙げられる。末端変性反応は水添工程の前に行うことが好ましい。
上記反応に際し、化合物(C)の使用割合は、化合物(C)の種類に応じて適宜設定すればよいが、重合開始剤が有する重合反応に関与する金属原子に対し、好ましくは0.1モル当量以上、より好ましくは0.3モル当量以上である。0.1モル当量以上とすることにより、反応を十分に進行させることができ、シリカの分散性を好適に改良することができる。また、変性反応後における溶液中の未反応物を少なくする点で、重合開始剤が有する重合反応に関与する金属原子に対して、化合物(C)の使用割合を、1.2モル当量未満とすることが好ましく、1.0モル当量未満とすることがより好ましい。上記反応の温度は、通常、重合反応の温度と同じであり、-20℃~150℃とすることが好ましく、0~120℃とすることがより好ましく、20~100℃とすることが特に好ましい。反応温度が低いと、変性後の共役ジエン系重合体の粘度が上昇する傾向がある。一方、反応温度が高いと、重合活性末端が失活しやすくなる。反応時間は、好ましくは1分~5時間であり、より好ましくは2分~1時間である。
所望の分子量の重合体(A)を得るために、上記重合工程で得られる、活性末端を有する重合体に対してカップリング剤を反応させてもよい。カップリング剤としては、特に限定されないが、例えば、コハク酸アミド、フタル酸アミド、ジベンゾイルピリジン、ジブチルジクロロケイ素、メチルトリクロロケイ素、メチルジクロロケイ素、テトラクロロケイ素(四塩化ケイ素)、四臭化ケイ素、四ヨウ化ケイ素、トリクロロメトキシシラン、トリブロモメトキシシラン、トリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、テトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン、アジピン酸ジメチル、テレフタル酸ジメチル、テトラクロロスズ、テトラブロムスズ、トリクロロブチルスズ、トリクロロメチルスズ、トリクロロエチルスズ、トリクロロフェニルスズ、トリクロロオクチルスズ、ブチルスズトリスオクタノエート、ジブチルスズビスラウレート、エチレングリコールジグリシジルエーテル、トリクロルフォスフィン、無水ピロメリット酸、ジビニルベンゼン、トリクロロプロパン等が挙げられる。なお、カップリング剤は、これらの1種を単独で又は2種以上を組み合わせて使用することができる。
重合活性末端と、カップリング剤との反応は、例えば溶液反応として行うことができる。反応に際し、使用するカップリング剤の量は、反応を十分に進行させる観点から、重合開始剤が有する重合反応に関与する金属原子に対し、好ましくは0.1モル当量以上、より好ましくは0.3モル当量以上である。また、カップリング剤の使用割合は、重合開始剤が有する重合反応に関与する金属原子に対し、1.2モル当量未満とすることが好ましく、1.0モル当量未満とすることがより好ましい。
重合体(A)のゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)によるポリスチレン換算の重量平均分子量(Mw)は、得られる架橋ゴムの引張強度、疲労性や屈曲性等の耐久性、耐摩耗性、並びにゴム組成物の加工性の点から、1.0×10~2.0×10である。Mwが1.0×10よりも小さいと、得られる架橋ゴムの引張強度、疲労性や屈曲性等の耐久性、耐摩耗性が劣り、2.0×10よりも大きいと、ゴム組成物の加工性が劣る。より好ましくは、1.3×10~1.5×10であり、さらに好ましくは、1.5×10~1.0×10である。重量平均分子量が上記範囲内の値である重合体(A)を得る方法としては、例えば、モノマーの使用量に対する重合開始剤の量を適宜変更したり、カップリング剤を使用したりする方法が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
上記のようにして得られる重合体(A)は、共役ジエン化合物に由来する構造単位を有する水添共役ジエン系重合体であり、上記式(1)で表される構造単位、上記式(2)で表される構造単位、上記式(3)で表される構造単位、及び上記式(4)で表される構造単位の構成比をそれぞれp、q、r、sとしたとき、下記の数式(i)及び数式(ii)の値が、それぞれ、α=0.60~0.97、β=0.20~0.70である。
α=(p+(0.5×r))/(p+q+(0.5×r)+s) …(i)
β=(p+q)/(p+q+(0.5×r)+s) …(ii)
なお、上記数式(i)のαは、「ブタジエンに由来する構造単位の水添率が60%以上97%以下である」ことを表し、上記数式(ii)のβは、水素添加前の重合体の1,2-ビニル基の含有量が20~70モル%であることを表す。
<(B)成分>
(B)成分としての共役ジエン系重合体(以下、「重合体(B)」ともいう。)は、共役ジエン化合物に相当する構造単位を有し、かつ、(A)成分とは異なるゴム成分である。具体的には、重合体(B)は、ポリブタジエン(BR)、ポリイソプレン(IR)、スチレンブタジエン共重合体(SBR)、アクリロニトリルブタジエン共重合体(NBR)、並びにこれらの水添物、天然ゴム(NR)、スチレンブタジエンイソプレンランダム共重合体、イソプレンイソブチレン共重合体(IIR)、及びブタジエンイソプレンランダム共重合体の他、水添ジエン系ブロック共重合体、水添率と芳香族ビニル量の少なくとも一方が(A)成分の条件から外れる水添スチレンブタジエン共重合体、等が挙げられる。(B)成分は、これらの1種又は2種以上の併用で使用することができる。
重合体(B)は変性及び非変性のいずれであってもよく、カーボンブラックやシリカ等のフィラーの分散性をさらに向上できる点で、重合体の片末端又は両末端に、アミノ基、炭素-窒素二重結合を有する基、窒素含有複素環基、ホスフィノ基、チオール基及びヒドロカルビルオキシシリル基からなる群より選ばれる一種以上の官能基(特定官能基)を有することができる。重合体(B)を得るための重合工程及び末端変性工程における反応条件や、使用する化合物の種類及び量、好ましい例などの詳細については、公知の方法を利用することができる。
(B)成分として使用される水添ジエン系ブロック共重合体の具体例として、結晶性オレフィン-エチレン・ブチレン-結晶性オレフィンブロック共重合体(CEBC)、スチレン-エチレン・ブチレン-結晶性オレフィン共重合体(SEBC)、スチレン-エチレン・ブチレン-スチレン共重合体(SEBS)、スチレン-エチレン・プロピレン-スチレン共重合体(SEPS)等が挙げられる。これらの中でも、ビニル結合含量が20モル%以下のポリブタジエンブロックを水添して得られる結晶性オレフィンブロックを有する、CEBC、SEBCを好ましく使用することができる。
重合体(A)と重合体(B)との配合割合(質量比)は、高い引張強度と低コスト化とをバランス良く発現できる点から、重合体(A)と重合体(B)との合計量を100質量%としたとき、重合体(A)の割合は、5質量%以上、好ましくは10質量%以上、より好ましくは20質量%以上である。また重合体(A)の割合は、60質量%以下、好ましくは55質量%以下、より好ましくは50質量%以下である。
<(C)成分>
上記ゴム組成物にはフィラーを配合することもできる。フィラーとしては、カーボンブラック、シリカ、クレー、炭酸カルシウム等が挙げられる。シリカとしては、例えば湿式シリカ(含水ケイ酸)、乾式シリカ(無水ケイ酸)、コロイダルシリカ、沈降シリカ、ケイ酸カルシウム、ケイ酸アルミニウム等が挙げられる。これらのうち、耐破壊特性の改良効果や、ウェットグリップ性と低転がり抵抗性との両立効果の観点から、湿式シリカが特に好ましい。また、高分散型(High Dispersible Type)のシリカを使用することも、重合体組成物中における分散性を良好にできるとともに物性及び加工性を向上できる観点から好ましい。カーボンブラックとしては、SAF級、ISAF級、HAF級、FEF級、GPG級、SRF級等、公知のものを使用することができる。これらの中でも、HAF級、FEF級、FPF級のグレードのカーボンブラックを好ましく使用することができる。
上記ゴム組成物中におけるフィラーの配合量は、重合体成分の合計量100質量部に対して、好ましくは1~100質量部である。1質量部未満とすると、フィラーによる耐破壊特性の改良効果が得にくく、100質量部よりも多くすると、加工性及び破断伸びが低下しやすい傾向にある。フィラーの配向割合は、より好ましくは5~95質量部、さらに好ましくは10~90質量部である。
本開示のゴム組成物に配合される補強性充填剤は、好ましくは、カーボンブラック単独か、シリカ単独か、又はカーボンブラックとシリカとの併用である。
<(D)成分>
上記ゴム組成物には架橋剤を配合してもよい。架橋剤としては、硫黄、ハロゲン化硫黄、有機過酸化物、キノンジオキシム類、有機多価アミン化合物、メチロール基を有するアルキルフェノール樹脂等が挙げられ、通常、硫黄が使用される。硫黄の配合割合は、弾性や引張強度等の各種特性が良好な架橋ゴムを得る点から、ゴム組成物に含まれる重合体成分の合計量100質量部に対して、好ましくは0.1~5質量部、より好ましくは0.3~3質量部である。
<その他の成分>
本開示のゴム組成物には、重合体(A)、重合体(B)、任意成分のフィラー(C)及び架橋剤(D)以外のその他の成分が含有されていてもよい。また、上記で得られた重合体(A)及び重合体(B)に加えて、他のゴム成分が配合されていてもよい。かかるゴム成分の種類は特に限定されないが、例えば、エチレンプロピレンゴム(EPM、EPDM)、アクリルゴム(ACR)等が挙げられる。他のゴム成分の配合割合は、ゴム組成物中に含まれる重合体成分の合計100質量部に対して、好ましくは30質量部以下、より好ましくは10質量部以下である。
また、上記ゴム組成物には、油展のためのオイルとして、エラストマーを油展するために一般的に用いられるプロセスオイルが配合されていてもよい。プロセスオイルは、例えば、ゴム配合中にオイルを直接添加することによってゴム組成物に配合される。好ましいプロセスオイルとしては、当業界で公知の様々なオイルが挙げられ、例えば、芳香族系オイル、パラフィン系オイル、ナフテン系オイル、植物油、並びに、多環式芳香族化合物の含量の低いオイル(低PCAオイル)、例えば軽度抽出溶媒和物(MES:mild extraction solvate)、留出油からの芳香族系抽出物を処理した油(TDAE:treated distillate aromatic extract)、残油からの芳香族系特殊抽出物(SRAE:special residual aromatic extract)、及び重ナフテン系オイルなどが挙げられる。市販のMES、TDAE及びSRAEの例としては、MESとしてShell製のCatenex SNR(留出油を溶媒で脱ワックスした重質パラフィン)、TDAEとしてH&R Wasag AG製のVivatec 500、及びSRAEとしてJapan Energy Corp.製のNC140などが挙げられる。プロセスオイルの配合量は、ゴム組成物に含まれる重合体成分の合計量100質量部に対して、好ましくは10~100質量部である。
ゴム組成物には、上記した成分の他に、例えば老化防止剤、亜鉛華、ステアリン酸、軟化剤、加硫促進剤、シランカップリング剤、相溶化剤、加硫助剤、加工助剤、伸展油、スコーチ防止剤など、ゴム組成物において一般に使用される各種添加剤を配合することができる。これらの配合割合は、本開示の効果を損なわない範囲で、各種成分に応じて適宜選択することができる。


上述した共加硫特性を有するゴム組成物を得るための方法は特に限定されないが、例えば、ゴム組成物を調製する際に重合体(A)と重合体(B)との配合割合を適宜変更したり、ゴム組成物の架橋時の温度条件を変更したり、重合体(A)及び必要に応じ重合体(B)の水添率を変更したりする方法や、これらの2種以上を組み合わせる方法等が挙げられる。なお、共加硫パラメータが0.85以上であることによって重合体(A)と重合体(B)との間の架橋が十分に進み、また、重合体(A)の重量平均分子量が1.0×10~2.0×10と十分に高く、かつ水添率が60%以上と十分に高いことにより、当該ゴム組成物を用いて得られる架橋ゴムにおいて良好な引張強さ及び良好な破断伸びをバランス良く発現できたことが推測される。
<架橋ゴム及び成型体>
本開示の架橋ゴムは、上記ゴム組成物を混練し、架橋することによって製造することができる。すなわち、上記ゴム組成物は、重合体(A)、重合体(B)、及び架橋剤の他、必要に応じて配合される成分を、開放式混練機(例えば、ロール)、密閉式混練機(例えば、バンバリーミキサー)等の混練機を用いて混練され、成形加工後に例えば120~180℃の温度で架橋(加硫)することによって、架橋ゴムとして各種ゴム製品に適用可能である。具体的には、本開示の架橋ゴムは、例えば自動車用、産業機械用、設備用などの防振ゴム類;タイヤトレッド、アンダートレッド、カーカス、サイドウォール、ビード部等のタイヤ用途;パッキン、ガスケット、ウェザーストリップ、O-リング等のシール材;自動車、船舶、航空機、鉄道等の各種車両用の内外装表皮材;建築材料;ダイヤフラム、ロール、ラジエータホース、エアーホース等の各種ホース及びホースカバー類;動力伝達用ベルトなどのベルト類、重機、農機具などのクローラーベルト類;ライニング;ダストブーツ;医療用機器材料;防舷材;電線用絶縁材料;その他の工業品等の用途に適用できる。特に、上記ゴム組成物を用いて得られる架橋ゴムは、引張強度、耐久性、耐候性及び耐摩耗性に優れており、防振ゴム用の材料として好適に用いることができる。
防振ゴムの製造は、常法に従い行うことができる。例えば、ゴム組成物を混練機で混合し、所定の形状に加工して加硫成形することにより防振ゴムが得られる。
以下、本発明を実施例に基づいて具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。なお、実施例、比較例中の「部」及び「%」は、特に断らない限り質量基準である。また、各種物性値の測定方法を以下に示す。
[結合スチレン含量(%)]:500MHzのH-NMR測定によって求めた。
[変性後の重量平均分子量]:ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)(HLC-8120GPC(商品名(東ソー社製)))を使用して得られたGPC曲線の最大ピークの頂点に相当する保持時間からポリスチレン換算で求めた。
(GPCの条件)
カラム;商品名「GMHXL」(東ソー社製)2本
カラム温度;40℃
移動相;テトラヒドロフラン
流速;1.0ml/分
サンプル濃度;10mg/20ml
[水添率(%)]:ブタジエン単位の水添率を500MHzのH-NMRにより求めた。
<重合体の合成>
[合成例1]
窒素置換された内容積50リットルのオートクレーブ反応器に、シクロヘキサン25800g、テトラヒドロフラン65g、スチレン430g、1,3-ブタジエン3741gを仕込んだ。反応器内容物の温度を40℃に調整した後、n-ブチルリチウム55mmolを含むシクロヘキサン溶液を添加して重合を開始した。重合は断熱条件で実施した。
反応器内容物の温度が65℃に達した時点で、ブタジエン129gを15分かけて追加し、さらに3分間重合させた後、四塩化ケイ素3.0mmolを加えた。5分後、[N,N-ビス(トリメチルシリル)アミノプロピル]メチルジエトキシシラン30mmolを加え15分間反応を行った。
反応液を80℃以上にして系内に水素を導入し、その後、[ビス(η5-シクロペンタジエニル)チタニウム(フルフリルオキシ)クロライド]を12mmol、ジエチルアルミニウムクロライド34mmol、及びn-ブチルリチウム27mmolを加え、水添率88%になるまで水素圧0.7MPa以上を保つようにして反応させた。所定の水素換算量流量に到達後、反応液を常温、常圧に戻して反応容器より抜き出し、重合体溶液を得た。重合体の重量平均分子量をGPCにより測定した結果、20万であった。
次いで、脱溶媒槽の液相の温度95℃で、2時間スチームストリッピング(スチーム温度:190℃)により脱溶媒を行い、110℃に調温された熱ロールにより乾燥を行うことで水添率88%の共役ジエン系重合体P1を得た。共役ジエン系重合体P1の重合処方、及び得られた水添共役ジエン系重合体P1の性質を下記表1に示す。
[合成例2~7]
下記表1に記載の通り変更した点以外は、上記合成例1と同様の方法で水添された共役ジエン系重合体P2~P7を得た。得られた共役ジエン系重合体P2~P7の性質を下記表1に併せて示す。
[合成例8]
合成例1と同様の操作により、スチレン及び1,3-ブタジエンの重合、及び[N,N-ビス(トリメチルシリル)アミノプロピル]メチルジエトキシシランによる末端変性を行った。
次いで、脱溶媒槽の液相の温度95℃で、2時間スチームストリッピング(スチーム温度:190℃)により脱溶媒を行い、110℃に調温された熱ロールにより乾燥を行うことで共役ジエン系重合体P8を得た。重合体の重量平均分子量をGPCにより測定した結果、20万であった。共役ジエン系重合体P8の重合処方、及び得られた共役ジエン系重合体P8の性質を下記表1に示す。
Figure 2022122538000004
表1中、末端変性剤及び水添に用いた触媒の略称は以下のとおりである。「-」は、該当する欄の化合物を使用しなかったことを表す。
化合物A:[N,N-ビス(トリメチルシリル)アミノプロピル]メチルジエトキシシラン
化合物B:四塩化ケイ素
Ti化合物:[ビス(η5-シクロペンタジエニル)チタニウム(フルフリルオキシ)クロライド]
Al化合物:ジエチルアルミニウムクロライド
Li化合物:n-ブチルリチウム
[実施例1]
(1)ゴム組成物及び架橋ゴムの製造
下記表2に示す配合処方により各成分を配合し、これを混練りすることによってゴム組成物を製造した。混練りは以下の方法で行った。温度制御装置を付属したプラストミル(内容量:250ml)を使用し、一段目の混練り(A練)として、充填率72%、回転数60rpmの条件で、重合体(P1)、ジエン系ゴム、カーボンブラック、伸展油、ステアリン酸、酸化亜鉛及び老化防止剤を配合して混練りした。次いで、二段目の混練り(B練)として、上記で得た配合物を室温まで冷却後、加硫促進剤及び硫黄を配合し、混練りした。これを成型し、150℃(架橋温度)で所定時間、加硫プレスにて加硫成型を行い、架橋ゴムを得た。
(2)引張強度の評価
得られた架橋ゴムを測定用試料とし、JIS K6251:2010に従って破断時の引張強さ(TB[MPa])と破断伸び(EB[%])を測定した。測定結果は、TBの数値が大きいほど破断しにくく機械的強度が高く、また、EBの数値が大きいほど伸び(粘弾性)が大きく良好であることを示す。結果を表3に示す。
(3)耐屈曲性の評価
JIS K6260:2017に準拠し、溝のある試験片を用いあらかじめ切込みを入れ、デマチャ式屈曲試験機により、試験片に繰り返し屈曲を与えたときの亀裂成長に対する抵抗性を評価した。測定温度は23℃とし、試験開始前の切込み寸法から+6mmに亀裂長さが成長した回数を記録した。なお、屈曲回数10000回までは100回毎に、10000回を超えてからは500回毎に試験機を止めて亀裂長を測定した。測定結果を表3に示す。
(4)耐オゾン性の評価
(別バージョン 耐オゾン性の評価)得られた加硫ゴム試験片からJIS K6251に準拠したJIS1号ダンベル型試験片を切り出した。この試験片を20%伸長、オゾン濃度50pphm、40℃、48時間という条件で、JIS K6259-1:2015に準拠してオゾン劣化させた。その後、試験片表面の亀裂(オゾンクラック)の有無を目視で観察し、亀裂の状態を以下の判定基準に基づき5段階で評価した。結果を表3に示す。
5:肉眼および10倍の拡大鏡で亀裂が確認されない。
4:肉眼では見えないが10倍の拡大鏡で亀裂があると認められる。
3:亀裂が肉眼で観察され、深くて比較的大きい(長さ1mm未満)。
2:深くて大きい亀裂(長さ1~3mm未満)が確認された。
1:長さ3mm以上の亀裂が確認されるか、または試験片が切断された。
(5)動倍率の評価
得られた架橋ゴムの動ばね定数(Kd100)および静ばね定数(Ks)を、それぞれJIS K 6394に準じて測定した。その値を元に、動倍率(Kd100/Ks)を算出した。
測定結果は、比較例1における動倍率(Kd100/Ks)の測定値を100としたときの、各実施例における動倍率の測定値を指数換算した。結果を表3に示す。
[実施例2~8、比較例1~4]
配合処方を下記表2に記載の通り変更した点以外は、上記実施例1と同様にしてゴム組成物を製造し、架橋処理を行って架橋ゴムを製造した。また、得られたゴム組成物及び架橋ゴムを用いて、上記実施例1と同様にして物性評価を行った。それらの結果を下記表3及び表4に示す。
Figure 2022122538000005
Figure 2022122538000006

Figure 2022122538000007
表2中、各成分について、使用した商品名は以下の通りである。「-」は、該当する欄の化合物を使用しなかったことを意味する。
*1:JSR社製 EP57C
*2:RSS#3
*3:JSR社製 BR01
*4:東海カーボン社製 シーストSO
*5:東ソーシリカ社製 ニプシールAQ
*6:エボニック社製 Si75
*7:出光興産社製 ダイアナプロセスオイルNS
*8:正同化学工業社製 酸化亜鉛2種
*9:花王ケミカル社製 ルナックS-98
*10:精工化学社製 オゾノン6C
*11:大内新興化学工業社製 ノクセラーCZ
*12:大内新興化学工業社製 ノクセラーTET
*13:鶴見化学工業社製 沈降硫黄
表3の結果から、実施例1~8によれば、比較例1~4に比べて良好な引張強さ(TB)と破断伸び(EB)、耐屈曲性、耐オゾン性とをバランス良く示し、高強度、耐久性、耐候性に優れる架橋ゴムを得ることが可能である。

Claims (6)

  1. (A)下記式(1)で表される構造単位、下記式(2)で表される構造単位、下記式(3)で表される構造単位、及び下記式(4)で表される構造単位の、重合体中の構成比(モル比)をそれぞれp、q、r、sとしたとき、下記数式(i)で表される値αが0.60~0.97であり、下記数式(ii)で表される値βが0.20~0.70であり、ゲルパーミエーションクロマトグラフィーで測定したポリスチレン換算の重量平均分子量(Mw)が1.0×10~2.0×10であり、芳香族ビニルに由来する構造を重合体全体の5~50質量%有する重合体と、
    (B)ジエン系ゴム(但し、前記(A)に該当するものを除く。)と、
    を含有し、
    前記(A)重合体と前記(B)ジエン系ゴムの合計を100質量%としたときに、前記(A)重合体を5~60質量%、前記(B)ジエン系ゴム40~95質量%の比率で含有する重合体組成物。
    α=(p+(0.5×r))/(p+q+(0.5×r)+s) …(i)
    β=(p+q)/(p+q+(0.5×r)+s) …(ii)
    Figure 2022122538000008
  2. 前記(A)重合体が、カルボキシ基、ヒドロカルビルオキシシリル基、エポキシ基、アミノ基、水酸基、スルホ基、イソ(チオ)シアナート基、チオール基、及びハロゲンからなる群より選択される少なくとも一種の官能基を有する、請求項1に記載の重合体組成物。
  3. さらにフィラーを含有する請求項1または2に記載の重合体組成物。
  4. 前記フィラーが、カーボンブラック及びシリカの、一方または両方を含有する請求項3に記載の重合体組成物。
  5. 前記(B)ジエン系ゴムが、天然ゴム、ブタジエンゴム、スチレン-ブタジエンゴム、スチレン-ブタジエン-イソプレンランダム共重合体、およびブタジエン-イソプレンランダム共重合体のうちの1種または2種以上である請求項1~4のいずれか一項に記載の重合体組成物。
  6. 請求項1~5のいずれか一項に記載の重合体組成物を架橋して得られた架橋ゴムからなるゴム成形品。
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