JP5262460B2 - 組成物の流動性の評価方法 - Google Patents
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Description
積層ゴムの下部フランジプレートの下面と、基礎コンクリートの上面及び環状プレートの上面との間に充填され、前記積層ゴムを設置する際に前記下部フランジプレートの下面によって山形状から押し潰される充填材の選定方法であって、
下記の(1)及び(2)の試験をクリアした充填材を選定することを特徴とする充填材の選定方法。
試験(1)
JIS R 5201(セメントの物理試験方法)に規定されたフローコーンの下端の口部を平面部材の上面に載置して塞いだ状態で、前記フローコーンの上端の口部から前記充填材を投入して充満させ、
該充満した状態で前記フローコーンを前記上面から上方に取り去ることにより、前記フローコーン内の前記充填材を前記下端の口部経由で前記上面に残存させ、
残存した前記充填材の前記上面における広がり領域が所定の大きさ以下であることを試験する。
試験(2)
前記試験(1)において前記上面に残存する前記充填材を、錘の載った他の平面部材の平坦面で押し潰して前記上面に前記充填材の広がり領域を形成し、
前記広がり領域が他の所定の大きさ以上であることを試験する。
上記請求項2に示す発明によれば、前記板材は透明板であるので、前記組成物上に載置した前記板材を外さずとも、板材越しに組成物の広がり領域を視認可能である。
上記請求項3に示す発明によれば、一対の平面部材によってセメント系組成物を挟圧した際のセメント系組成物の流動性を評価可能となる。
本実施形態に係るセメント系組成物の流動性の評価方法の説明の前に、当該評価方法により選定されたセメント系組成物の使用例について説明する。このセメント系組成物は、免震装置10の設置工法において充填材31として使用される。
(1)環状プレート21の設置工程(図3A)
(2)基礎コンクリート3の構築工程(図3B)
(3)基礎コンクリート3の上面3sへの充填材31の塗布工程(図4A及び図4B)
(4)充填材31の塗布領域への積層ゴム10の載置工程(図5)
(5)充填材31のはみ出し確認工程(図6A)
(6)据え付けボルト12の締め付け工程(図6B)
以下、各工程について詳しく説明する。
先ず、図3Aに示すように、基礎コンクリート3用の鉄筋4を平面視略矩形状に配置し、鉄筋4の上方に環状プレート21を配置する。環状プレート21は、所定厚(例えば12mm厚)で外形形状が円形且つ内側に同芯の貫通孔21aが形成された鋼板である。そして、環状プレート21は、複数のレベル調整ボルト22によって下方から支持されており、レベル調整ボルト22の送りねじ機構により、環状プレート21の上面21sが水平になるように調整される。また、環状プレート21の上面21sには、周方向に沿って所定ピッチで積層ゴム10の据え付けボルト12用のボルト穴21hが貫通形成されているとともに、環状プレート21の下面には、前記ボルト穴21hに連通させて、最終的に積層ゴム10の据え付けボルト12が螺合すべき袋ナット23が固定されている。また、袋ナット23の下部には、基礎コンクリート3への定着用のアンカーボルト24が螺着されている。
次に、鉄筋4の周囲側方を不図示の型枠で囲い、型枠の内側にコンクリートを打設して、図3Bに示すように基礎コンクリート3を構築する。このとき、図7Aに示すように、環状プレート21の内周縁21eより内側に位置するコンクリートの上面3sの高さが、環状プレート21の上面21sの高さよりも1〜5mmだけ低くなるように、コンクリートの上面3sを鏝等によって水平に均す。これにより、環状プレート21の下部は基礎コンクリート3に埋まった状態で、環状プレート21の上部のみが1〜5mmの範囲で基礎コンクリート3の上面3sから突出した状態になる。そして、基礎コンクリート3が固化するまで待機する。
そうしたら、この後でなされる積層ゴム10の据え付けの事前準備として、図4Aに示すように、環状プレート21のボルト穴21hに呼び込みピン25を螺着しておく。また、この工程で塗布すべき充填材31の密着性を高め、ドライアウトを防止する目的で、図3Bに示す基礎コンクリート3の上面3sには散水養生を行い湿潤状態にしておく。
次に、積層ゴム10の下部フランジプレート11の下面に剥離剤を塗布したら、図5に示すように、当該下部フランジプレート11のボルト穴11hを環状プレート21の呼び込みピン25に位置合わせしつつ積層ゴム10を下方に下ろすことにより、図6Aに示すように、前記ボルト穴11hに前記呼び込みピン25を通しながら積層ゴム10を環状プレート21上に載置する。
そうしたら、基礎コンクリート3の上面3s及び環状プレート21の上面21sと、下部フランジプレート11の下面とが重なる範囲の全域に亘って、充填材31が、密実に充填されているかを確認する。この確認は、図6A及び図7Eに示すように、環状プレート21の全周に亘って環状プレート21の外周縁21f又は下部フランジプレート11の外周縁11fよりも外方に充填材31がはみ出しているか否かを目視判定することにより行われる。なお、ここで、「環状プレート21の外周縁21f又は下部フランジプレート11の外周縁11f」としているのは、図示例では環状プレート21と下部フランジプレート11とを同径で示しているところ、同径ではない場合があり、その場合には、これらのうちの小径な方の外周縁11f(又は21f)からはみ出していれば良いからである。
最後に、環状プレート21のボルト穴21h及び下部フランジプレート11のボルト穴11hから呼び込みピン25を取り外し、その代わりに、図6Bに示すように、これらボルト穴21h,11hに据え付けボルト12を通して環状プレート11の下面の袋ナット23に螺合させて締め付け、はみ出した充填材31を拭き取り清掃する。そして、これにより、基礎コンクリート3への積層ゴム10の設置が終了する。
上述の免震装置10の設置工法に好適な充填材31は、上述したように、チクソ性及び挟圧下での高い流動性を有するセメント系組成物である。そして、数あるセメント系組成物の候補材の中で、同工法に適用可能か否かの適否判定は、以下の流動性の評価方法によってなされる。この評価方法は、非加圧時の流動性試験と、挟圧時の流動性試験とを有している。そして、これら両試験をパスしたセメント系組成物が、上記工法の充填材31として使用される。
この非加圧時の流動性試験は、JIS R 5201のセメントの物理試験方法を利用している。すなわち、先ず、試験環境として室温を20℃にし、また、練り上がり温度が18〜25℃になるように試験対象の充填材31を練り混ぜる。
次に、図7Cに示すように、直ちにフローコーン41をテーブル上面51から正しく上の方に取り去ることにより、前記フローコーン41内の前記充填材31を前記下端の口部経由でテーブル上面51に残存させる。
よって、得られた評価値を、上記28cmという閾値と比較し、当該閾値以下の場合に、非加圧時の流動性試験をクリアしたと判断される。
挟圧時の流動性試験は、上述の非加圧時の流動性試験の直後に連続して行われる。すなわち、上述の非加圧時の流動性試験に供してテーブル上面51に残存した充填材31を対象に、以下の手順で行われる。
非加圧時の評価値が28cm以下で、挟圧時の評価値が50cm以上となる充填材31(無収縮セメント)の具体例としては、以下の2つが挙げられる。
(1)マスターフロー80(商品名:BASFポゾリス株式会社製)という結合材に対して、28〜30%の水結合材比(=水の重量/結合材の重量)で水を加えた後、10〜35℃の練り混ぜ温度の範囲で練り混ぜて生成される充填材。
(2)シーカグラウトHP(商品名:日本シーカ株式会社製)という結合材に対して、32%の水結合材比(=水の重量/結合材の重量)で水を加えた後、練り混ぜて生成される充填材。
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は、かかる実施形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で以下に示すような変形が可能である。
7 グラウト材、8 据え付けボルト、10 積層ゴム、10a 本体、
11 フランジプレート、11f 外周縁、11h ボルト穴、
12 据え付けボルト、21 環状プレート、21a 貫通孔、
21e 内周縁、21f 外周縁、21h ボルト穴、21s 上面、
22 レベル調整ボルト、23 袋ナット、24 アンカーボルト、
25 呼び込みピン、31 充填材(組成物、セメント系組成物)、31s 上面、
41 フローコーン、51 テーブル上面(平面部材、上面)、
61 板材(平面部材)、63 錘、G 地面
Claims (3)
- 積層ゴムの下部フランジプレートの下面と、基礎コンクリートの上面及び環状プレートの上面との間に充填され、前記積層ゴムを設置する際に前記下部フランジプレートの下面によって山形状から押し潰される充填材の選定方法であって、
下記の(1)及び(2)の試験をクリアした充填材を選定することを特徴とする充填材の選定方法。
試験(1)
JIS R 5201(セメントの物理試験方法)に規定されたフローコーンの下端の口部を平面部材の上面に載置して塞いだ状態で、前記フローコーンの上端の口部から前記充填材を投入して充満させ、
該充満した状態で前記フローコーンを前記上面から上方に取り去ることにより、前記フローコーン内の前記充填材を前記下端の口部経由で前記上面に残存させ、
残存した前記充填材の前記上面における広がり領域が所定の大きさ以下であることを試験する。
試験(2)
前記試験(1)において前記上面に残存する前記充填材を、錘の載った他の平面部材の平坦面で押し潰して前記上面に前記充填材の広がり領域を形成し、
前記広がり領域が他の所定の大きさ以上であることを試験する。 - 請求項1に記載の充填材の選定方法であって、
前記他の平面部材は、前記充填材の広がり領域の大きさを透視可能な透明板であることを特徴とする充填材の選定方法。 - 請求項1又は2に記載の充填材の選定方法であって、
前記充填材は、セメント系充填材であることを特徴とする充填材の選定方法。
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