JP5438732B2 - コンクリート部材の接合方法 - Google Patents

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Description

本発明は、コンクリート部材の接合方法に関する。
コンクリート部材同士を接合する方法として、機械式継手(例えば、特許文献1,2参照)を利用する方法が知られている。この接合方法は、一方のコンクリート部材のコンクリート面から主筋を突出させておくとともに、他方のコンクリート部材の端部に筒状のスリーブを埋設しておき、一方のコンクリート部材の主筋を他方のコンクリート部材のスリーブに挿入しつつ両コンクリート部材のコンクリート面同士を突き合せ、その後、スリーブの内部および両コンクリート面の間(目地)に充填材を充填する、というものである。
また、コンクリート部材同士の他の接合方法として、重ね継手を利用する方法が知られている(特許文献3参照)。この接合方法は、一方のコンクリート部材のコンクリート面から主筋を突出させておくとともに、他方のコンクリート部材に主筋とシース管とを並設しておき、一方のコンクリート部材の主筋を他方のコンクリート部材のシース管に挿入しつつ両コンクリート部材のコンクリート面同士を突き合せ、その後、シース管の内部および両コンクリート面の間に充填材を充填する、というものである。
特開2007−23629号公報 特開平7−279316号公報 特開2007−146439号公報
一方のコンクリート部材の鉄筋を他方のコンクリート部材の鉄筋挿入孔(スリーブやシース管の内部空間)に挿入するタイプの接合方法では、鉄筋挿入孔に連通する注入用チューブ(目地に臨むコンクリート面以外のコンクリート面から鉄筋挿入孔に至る孔)を他方のコンクリート部材に仕込んでおく必要があるところ、この種のプレキャスト製品を製造するためには、コンクリートの打設・締固め作業に耐え得るような手段で注入用チューブを鉄筋や型枠等に固定するとともに、注入用チューブ内にコンクリートが流入しないような対策を型枠等に施す必要がある。このような作業は、手間と時間を要するので、コスト削減を妨げる要因となる。
また、上記接合方法では、両コンクリート部材を突き合わせた後に充填材の注入作業を手作業で行う必要があるところ、かかる注入作業には時間を要するので、作業員が長時間に亘って立ち入れないような環境下(例えば、高温多湿の環境下や放射線量が高い環境下など)では、上記接合方法を実施できない虞がある。
このような観点から、本発明は、コンクリート部材の継手部の簡略化を図ることができ、かつ、現場作業を簡略化することが可能なコンクリート部材の接合方法を提供することを課題とする。
上記課題を解決する本発明に係るコンクリート部材の接合方法は、コンクリート部の上端面から突出する鉄筋を具備した第一コンクリート部材を用意するとともに、コンクリート部の下端のみに開口する鉄筋挿入孔を具備した第二コンクリート部材を用意する準備工程と、前記鉄筋挿入孔にチクソトロピー性を有するセメント系の充填材を注入する注入工程と、前記第一コンクリート部材と前記第二コンクリート部材とを突き合わせる配置工程とを備え、前記配置工程では、前記第一コンクリート部材の前記上端面と前記第二コンクリート部材の前記下端面とを近づけつつ前記鉄筋を未硬化の前記充填材に挿入することで、前記鉄筋挿入孔の孔壁と前記鉄筋との間を前記充填材で満たすことを特徴とする。
要するに本発明は、第一コンクリート部材と第二コンクリート部材とを突き合わせる前に、第二コンクリート部材の鉄筋挿入孔に充填材を注入しておき、鉄筋挿入孔内の充填材が固まらないうちに、両コンクリート部材のコンクリート面同士を近づけ、第一コンクリート部材の鉄筋を充填材に挿入することで、鉄筋挿入孔の孔壁と鉄筋との間を充填材で満たす、というものである。なお、本発明は、各種構造要素(例えば、柱、梁、壁、スラブなど)に適用することができる。
本発明によれば、鉄筋挿入孔内への充填材の注入作業を事前に行っているので、両コンクリート部材を突き合わせた後に接合部周辺で行う現場作業を簡略化することができる。
また、本発明によれば、両コンクリート部材同士を突き合わせた時点で鉄筋挿入孔の孔壁と鉄筋との間が充填材で満たされるので、鉄筋挿入孔に連通する注入孔(注入用チューブ)も不要となり、したがって、コンクリート部材の継手部の簡略化を図ることが可能となる。
なお、前記充填材として、チクソトロピー性を有するセメント系充填材を使用すると、第二コンクリート部材の下端面に鉄筋挿入孔が開口している場合であっても、鉄筋挿入孔内への事前注入が可能となり、注入した後においては、大きな振動が作用しない限り、充填材の流出を防ぐことができる。なお、チクソトロピー性を有するセメント系充填材に鉄筋を挿入し、充填材の粘度が低下すると、凹凸のある鉄筋の外周面や鉄筋挿入孔の孔壁となじみながら流動し、充填材の内部にひび割れを殆ど生じない状態で、鉄筋挿入孔から溢れ出るようになる。
前記注入工程では、前記鉄筋挿入孔の内部空間の体積から前記鉄筋の挿入部分の体積を差し引いた量よりも多い量の前記充填材を前記鉄筋挿入孔に注入することが好ましい。このようにすると、鉄筋挿入孔に鉄筋を挿入した際、充填材の余剰分が鉄筋挿入孔から溢れ出るようになるので、鉄筋挿入孔の孔壁と鉄筋との間が充填材で満たされたことを容易に確認することができる。
前記第一コンクリート部材の前記上端面に複数の凹部を形成しておき、一つの前記鉄筋挿入孔から溢れ出た前記充填材を一つの前記凹部に収容するとよい。このようにすると、コンクリート面同士の間に介在する余剰充填材の量を少なくすることができるので、突き付け目地あるいは糸目地を容易に形成することができる。
本発明によれば、コンクリート部材の継手部の簡略化を図ることができ、かつ、接合部周辺での現場作業を簡略化することが可能となる。
本発明の第一実施形態に係るコンクリート部材の接合方法に使用する第一コンクリート部材および第二コンクリート部材を示す断面図である。 (a)は第一実施形態における配置工程を示す断面図、(b)は目地形成工程を示す断面図である。 本発明の第二実施形態に係るコンクリート部材の接合方法に使用する第一コンクリート部材および第二コンクリート部材を示す断面図である。 (a)および(b)は第二実施形態における配置工程を示す断面図である。
(第一実施形態)
本発明の第一実施形態に係るコンクリート部材の接合方法は、図1に示す第一コンクリート部材1および第二コンクリート部材2を準備する準備工程と、第二コンクリート部材2の鉄筋挿入孔2aに充填材3を注入する注入工程と、第一コンクリート部材1と第二コンクリート部材2とを突き合わせる配置工程(図2の(a)参照)とを備えている。
本実施形態では、第一コンクリート部材1および第二コンクリート部材2がいずれも柱を構成する部材である場合を例示する。まず、第一コンクリート部材1、第二コンクリート部材2および充填材3の構成を説明する。
第一コンクリート部材1および第二コンクリート部材2は、いずれも鉄筋コンクリート製のプレキャストコンクリート部材(PCa部材)である。
第一コンクリート部材1は、コンクリートの硬化体であるコンクリート部11と、コンクリート部11に配筋された鉄筋(柱主筋)12,12,…とを備えている。鉄筋12の上端部は、コンクリート部11の上端面(第二コンクリート部材2のコンクリート面に対向するコンクリート面)から突出している。
第二コンクリート部材2は、コンクリートの硬化体であるコンクリート部21と、コンクリート部21に配筋された鉄筋(柱主筋)22,22,…と、機械式継手用のスリーブ23,23,…とを備えている。鉄筋22の下端部は、スリーブ23に接続されている。スリーブ23は、円筒状の鋼製部材であり、コンクリート部21の端部に埋設されている。スリーブ23の内周面には、充填材3の定着性を高めるための凸部が形成されている。スリーブ23の内部空間である鉄筋挿入孔2aは、コンクリート部21の下端面(コンクリート部11に対向するコンクリート面)に開口している。鉄筋挿入孔2aは、コンクリート部21の下端面のみに開口しており、この種のPCa部材では必須であった注入孔や空気抜き孔(コンクリート部21の側面から鉄筋挿入孔2aに至るチューブ)は存在していない。なお、図示は省略するが、運搬時の振動によって充填材3が脱落しないよう、鉄筋挿入孔2aの開口にキャップを配置してもよい。
充填材3は、チクソトロピー性(thixotropy:静置時には粘度が高くゲル状を呈し、外力を与えると粘度が低下して液状となる性質)を有するモルタル(セメント系充填材)からなる。
チクソトロピー性を有するモルタルは、例えば、ポルトランドセメントを主体とした粉体(ポルトランドセメント、高炉スラグ微粉末、ベントナイト、シリカフューム、膨張材、珪砂、石灰石微粉末などを含む粉体)に、水粉体比が0.35以下となるように水を加え、必要に応じて、化学混和剤(例えば、高性能減水剤、収縮低減剤、空気非連行型の凝結遅延剤など)や合成繊維(ビニロン繊維、ナイロン繊維、ポリプロピレン繊維)などを添加することで得ることができる。練り上がり後のフレッシュモルタルの性状は、「JIS R−5201 セメントの物理試験方法」に規定されるテーブルフロー試験において、加振前のフローが105mm以上130mm以下の範囲にあり、かつ、15打後のフローが120mm以上180mm以下(より望ましくは120mm以上150mm以下)の範囲にあることが望ましい。なお、加振前のフローが105mmを下回るモルタル、あるいは、15打後のフローが120mmを下回るモルタルでは、鉄筋挿入孔2aへの充填性が損なわれる虞がある。また、加振前のフローが130mmを上回るモルタル、あるいは、15打後のフローが180mmを上回るモルタルでは、鉄筋挿入孔2aを下に向けた際に流下し、鉄筋12を鉄筋挿入孔2aに挿入する前に鉄筋挿入孔2aからモルタルが垂れ落ちる虞がある。
なお、チクソトロピー性を有するモルタルとして、断面補修用のポリマーセメントモルタルやノンポリマー無収縮モルタルなどを使用してもよい。また、チクソトロピー性を有するモルタルに代えて、チクソトロピー性を有するグラウトを使用してもよい。さらに、コンクリート凝結遅延剤を添加して可使時間を長くしてもよい。
本実施形態に係るコンクリート部材の接合方法は、準備工程、注入工程および配置工程に加えて、目地形成工程を備えている。
準備工程は、第一コンクリート部材1を用意するとともに、第二コンクリート部材2を用意する工程である。第一コンクリート部材1を用意したら、図示せぬ揚重装置を使用して柱の構築予定位置に据え付ける。
注入工程は、鉄筋挿入孔2aに充填材3を注入する工程である。充填材3の注入量は、鉄筋挿入孔2aの内部空間の体積から鉄筋12の挿入部分の体積(鉄筋12のうち、鉄筋挿入孔2aに挿入される部分の体積)を差し引いた量よりも多い量としている。なお、充填材3の混練や注入工程を行うタイミングが早すぎると、配置工程に移行する前にチクソトロピー性が損なわれる虞があるので、充填材3の混練や注入工程は、充填材3の凝結性状を十分に考慮する必要がある。なお、遅延効果の高いコンクリート凝結遅延剤を使用すれば、充填材3の混練や注入工程を配置工程の前日に行うことも可能である。
注入工程を行う際の第二コンクリート部材2の姿勢に制限はない。図示は省略するが、第二コンクリート部材2をストックヤード等に横置きし、充填材3を横向きに注入してもよいし、第二コンクリート部材2をストックヤード等に正立させ、あるいは、正立した状態の第二コンクリート部材2を揚重装置で吊り上げ、充填材3を上向きに注入してもよい。
また、充填材3の注入方法に制限はない。例えば、図示は省略するが、スクイズポンプ等の加圧手段に接続されたホースを鉄筋挿入孔2aに挿入し、ホースの先端から充填材3を吐出することで、鉄筋挿入孔2aに充填材3を注入してもよいし、シリンダ内に充填された充填材3をピストンで押し出すことで、鉄筋挿入孔2aに充填材3を注入してもよい。
注入工程が完了したら、配置工程に移行する。
配置工程は、第一コンクリート部材1と第二コンクリート部材2とを突き合わせる工程である。配置工程では、まず、図示せぬ揚重装置を利用してストックヤードに仮置きされた第二コンクリート部材2を吊り上げ、第一コンクリート部材1の直上に第二コンクリート部材2を位置させる。本実施形態では、チクソトロピー性を有する充填材3を使用しているので、鉄筋挿入孔2aの開口を下に向けても、鉄筋挿入孔2aから充填材3が垂れ落ちることはない。続いて、図2の(a)に示すように、第二コンクリート部材2を下降させ、両コンクリート部材1,2のコンクリート面同士を近づけつつ鉄筋12を未硬化の充填材3に挿入する。鉄筋12を充填材3に挿入すると、鉄筋12の周囲の充填材3にせん断力が作用し、充填材3の粘度が低下する。粘度が低下した充填材3は、鉄筋12を伝って下方向に流動するようになり、鉄筋12を鉄筋挿入孔2aの奥まで挿入すると、鉄筋挿入孔2aの孔壁と鉄筋12との間が充填材3で満たされるようになる。なお、粘度が低下した充填材3は、その内部にひび割れが形成されないような状態となり、凹凸のある鉄筋12の外周面や鉄筋挿入孔2aの孔壁となじみながら下方へ流動するようになる。
充填材3の余剰分は、鉄筋挿入孔2aから押し出され、両コンクリート部材1,2のコンクリート面同士の間(目地)において鉄筋12を中心にして平面視円形状に広がるので、充填材3の余剰分が鉄筋挿入孔2aから溢れ出た様子を目視するだけで、充填材3の充填状況を確認することができる。
第二コンクリート部材2は、第一コンクリート部材1の上面に設けた図示せぬスペーサに載置する。第二コンクリート部材2をスペーサ上に仮置きしたら、スペーサの高さを調整し、第二コンクリート部材2の鉛直度を調整する。なお、スペーサの代わりにエレクションピースを用いて仮固定してもよい。
図2の(a)の状態で第二コンクリート部材2を仮固定したら、目地形成工程に移行する。
目地形成工程は、図2の(b)に示すように、第一コンクリート部材1と第二コンクリート部材2との間(目地空間)に目地用の充填材4を充填する工程である。目地形成工程では、まず、目地空間を囲む図示せぬ型枠を設置し、その後、目地空間に充填材4を注入する。本実施形態の充填材4は、チクソトロピー性を有さない通常のセメント系無収縮充填材からなる。
充填材4が硬化したら、型枠を脱型する。型枠を脱型すると、図2の(b)に示す状態となる。
以上説明した第一実施形態に係るコンクリート部材の接合方法によれば、第一コンクリート部材1と第二コンクリート部材2とを突き合わせる前に充填材3を鉄筋挿入孔2aに注入するので、両コンクリート部材1,2を突き合わせた後に接合部周辺で行う現場作業を簡略化することができる。
また、両コンクリート部材1,2を突き合わせた時点で鉄筋挿入孔2aの孔壁と鉄筋12との間が充填材3で満たされるので、この種のPCa部材では必須であった注入孔や空気抜き孔(コンクリート部21の側面から鉄筋挿入孔2aに至るチューブ)が不要となり、したがって、第二コンクリート部材2の継手部の簡略化を図ることが可能となる。
(第二実施形態)
本発明の第二実施形態に係るコンクリート部材の接合方法は、第一コンクリート部材1と第二コンクリート部材2の目地を「突き付け目地」あるいは「糸目地」とする場合に適用される接合方法であり、図3に示す第一コンクリート部材1および第二コンクリート部材2を準備する準備工程と、第二コンクリート部材2の鉄筋挿入孔2aに充填材3を注入する注入工程と、第一コンクリート部材1と第二コンクリート部材2とを突き合わせる配置工程(図4の(a)参照)とを備えている。
なお、第一コンクリート部材1および第二コンクリート部材2の構成は、第一実施形態のものと同様であるが、コンクリート部11の上端面(コンクリート部21に対向するコンクリート面)には、複数の凹部1a,1a,…が形成されている。
凹部1aは、リング状を呈している。凹部1aの外周面は、円筒面状に成形されており、凹部1aの内周面は、テーパ状(円錐面状)に成形されている。凹部1aの中央部には、鉄筋カバー部1bが形成されている。鉄筋カバー部1bは、コンクリートを円錐台状に成形してなり、鉄筋12の周囲を囲んでいる。凹部1aの外径(開口径)は、鉄筋挿入孔2aの開口径よりも大きく、凹部1aの内径(すなわち、鉄筋カバー部1bの上端の直径)は、鉄筋挿入孔2aの開口径よりも小さい。鉄筋カバー部1bの上面は、コンクリート部11の上端面と面一である。
鉄筋12は、鉄筋カバー部1bの上面から突出している。なお、本実施形態では、一本の鉄筋12に対して一つの凹部1aを形成しているが(図2参照)、複数の鉄筋12に対して一つの凹部を形成してもよい。また、鉄筋カバー部1bを省略してもよい。この場合、鉄筋12は、凹部1aの底面の中央部から突出させる。
本実施形態に係るコンクリート部材の接合方法のうち、準備工程および注入工程の詳細は、第一実施形態のものと同様である。
配置工程は、第一コンクリート部材1と第二コンクリート部材2とを突き合わせる工程である。配置工程では、第一コンクリート部材1の直上に第二コンクリート部材2を位置させた後、図4の(a)に示すように、第二コンクリート部材2を下降させ、両コンクリート部材1,2のコンクリート面同士を近づけつつ鉄筋12を未硬化の充填材3に挿入する。鉄筋12を充填材3に挿入すると、充填材3の粘度が低下する。粘度が低下した充填材3は、鉄筋12を伝って下方向に流動するようになる。鉄筋挿入孔2aの孔壁と鉄筋12との間が充填材3で満たされると、充填材3の余剰分が鉄筋挿入孔2aから溢れ出るようになるので、両コンクリート部材1,2の離間距離が大きいうちは、鉄筋挿入孔2aから溢れ出た充填材3を手作業により掻き出す。なお、充填材3の必要量を正確に計量して鉄筋挿入孔2aに注入した場合には、手作業による掻き出し作業を省略することもできる。
両コンクリート部材1,2の離間距離が小さくなった後(溢れ出た充填材3を掻き出せなくなった後)も、引き続き第二コンクリート部材2を下降させ、両コンクリート部材1,2のコンクリート面同士を近づけつつ鉄筋12を未硬化の充填材3に挿入する。図4の(b)に示すように、鉄筋挿入孔2aから溢れ出た充填材3の余剰分は、鉄筋12を伝って下方向に流動し、凹部1aに収容される。
第二コンクリート部材2は、第一コンクリート部材1の上面に載置する。なお、第二コンクリート部材2の鉛直度を調整する場合には、目地に楔を打ち込む等して調整し、鉛直度の調整により目地に隙間が形成された場合には、グラウト等の充填材を注入する。
以上説明した第二実施形態に係るコンクリート部材の接合方法によれば、第一実施形態の場合と同様、両コンクリート部材1,2を突き合わせた後に接合部周辺で行う現場作業を簡略化することができる。また、両コンクリート部材1,2を突き合わせた時点で鉄筋挿入孔2aの孔壁と鉄筋12との間が充填材3で満たされるので、鉄筋挿入孔2aに連通する注入孔や空気抜き孔が不要となり、したがって、第二コンクリート部材2の継手部の簡略化を図ることが可能となる。
さらに、第二実施形態に係るコンクリート部材の接合方法によれば、充填材3の余剰分が凹部1aに収容されるので、充填材3の余剰分がコンクリート面同士の間に残留することはなく、したがって、突き付け目地あるいは糸目地を容易に形成することができる。
なお、鉄筋12がコンクリートから突出した部分の境界に防錆処理を施しておけば、凹部1aが充填材3で完全に覆われなかったとしても、鉄筋12に錆が発生することはない。
上記の各実施形態では、第一コンクリート部材1および第二コンクリート部材2がいずれもプレキャスト製品である場合を例示したが、第一コンクリート部材については、場所打ちコンクリートにて形成してもよい。例えば、図示は省略するが、コンクリート面から突出する鉄筋を具備した基礎スラブ(第一コンクリート部材)を場所打ちコンクリートにて形成し、この基礎スラブの上面にプレキャストコンクリート製の柱(第二コンクリート部材)を立設する場合にも、本発明を適用することができる。
上記の各実施形態では、機械式継手用のスリーブ23の内部空間を鉄筋挿入孔2aとした場合を例示したが、鉄筋挿入孔2aの形成方法を限定する趣旨ではない。例えば、図示は省略するが、重ね継手用のシース管(第二コンクリート部材2の主筋に沿って配置されたシース管)を鉄筋挿入孔としてもよい。また、上記の各実施形態では、第一コンクリート部材から突出する鉄筋12が主筋(柱主筋)である場合を例示したが、主筋以外の鉄筋(例えば、軸力支持用の間柱に使用されるズレ防止用のダボ筋など)を第二コンクリート部材に定着させる場合に本発明を適用してもよい。
1 第一コンクリート部材
1a 凹部
12 鉄筋
2 第二コンクリート部材
2a 鉄筋挿入孔
3 充填材

Claims (3)

  1. コンクリート部の上端面から突出する鉄筋を具備した第一コンクリート部材を用意するとともに、コンクリート部の下端のみに開口する鉄筋挿入孔を具備した第二コンクリート部材を用意する準備工程と、
    前記鉄筋挿入孔にチクソトロピー性を有するセメント系の充填材を注入する注入工程と、
    前記第一コンクリート部材と前記第二コンクリート部材とを突き合わせる配置工程とを備え、
    前記配置工程では、前記第一コンクリート部材の前記上端面と前記第二コンクリート部材の前記下端面とを近づけつつ前記鉄筋を未硬化の前記充填材に挿入することで、前記鉄筋挿入孔の孔壁と前記鉄筋との間を前記充填材で満たすことを特徴とするコンクリート部材の接合方法。
  2. 前記注入工程では、前記鉄筋挿入孔の内部空間の体積から前記鉄筋の挿入部分の体積を差し引いた量よりも多い量の前記充填材を前記鉄筋挿入孔に注入する、ことを特徴とする請求項1に記載のコンクリート部材の接合方法。
  3. 前記第一コンクリート部材の前記上端面に複数の凹部を形成しておき、一つの前記鉄筋挿入孔から溢れ出た前記充填材の余剰分を一つの前記凹部に収容することを特徴とする請求項に記載のコンクリート部材の接合方法。
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