JP5261708B2 - 抗8−チオアルコキシグアノシン−3’,5’−サイクリック1リン酸抗体 - Google Patents
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好ましくは、本発明の抗体は、ポリクローナル抗体又はモノクローナル抗体である。
好ましくは、本発明の抗体は、8−ニトログアノシン−3’,5’サイクリック1リン酸(8-ニトロ−cGMP)を、還元剤にて変性させたウシ血清アルブミンのSH基に反応させることによって得られる分子内に8-チオアルコキシグアノシン-3',5'-サイクリック1リン酸構造を有するアルブミンを免疫原として免疫動物に接種することにより得られる抗体である。
本発明の抗体は、8-チオアルコキシグアノシン-3',5'-サイクリック1リン酸を特異的に認識する抗体である。本発明の抗体は、例えば、8−ニトログアノシン−3’,5’サイクリック1リン酸(8-ニトロ−cGMP)を、還元剤にて変性させたウシ血清アルブミンのSH基に反応させることによって得られる分子内に8-チオアルコキシグアノシン-3',5'-サイクリック1リン酸構造を有するアルブミンを免疫原として免疫動物に接種することにより得ることができる。
ウシ血清アルブミン(BSA、10 mg)を4 mlの0.2 M Tris-HCl緩衝液(pH 8.6、1 mMエチレンジアミン4酢酸、10 M尿素を含む)に溶解し、その溶液へ1 Mのジチオスレイトールを0.1 ml添加して室温で15時間反応させた。反応後直ちに、あらかじめ0.1 M Tris-HCl緩衝液(pH8.0)で平衡化しておいたG-25カラム(5 ml, Amersham Biosciences社製)を用いて、過剰な尿素およびジチオスレイトールを除去した。得られたBSA溶液(蛋白質濃度7.1 mg/ml、2 ml)に、8-ニトロ-cGMP(2 mM水溶液、2 ml)を加え、37℃で50時間反応させた。反応溶液中に生成した亜硝酸イオンをグリース法にて定量し、BSAのSH基に導入されたcGMP含量を求めた。cGMPの導入率は、BSA1分子あたり平均10.6であった。反応は、PBSにて4℃で一晩透析を行った。得られた8-S-cGMP-BSAを抗原とした。
8-S-cGMP-BSAを蛋白質濃度として1 mg/mlとなるようにPBSに溶解した。この溶液1 mlを注射器に取り、フロイント完全アジュバント1 mlを更に取り、別の注射器と連結させ、これを交互に動かすことによりエマルジョンを作製した。抗体作製用の動物として日本白色種ウサギ2羽を採用し、当該ウサギの背部皮下に数カ所、このエマルジョンを注射した(初回免疫)。2週間後、同じく8-S-cGMP-BSAを1 mg/mlとなるようにPBSに溶解させたもの1 mlとフロイント不完全アジュバント1 mlとを用い、前記のように注射器を交互に動かすことによりエマルジョンを作製し、これを注射し、追加免疫とした。この追加免疫を2週間ごとに繰り返した。2回免疫および3回免疫の各1週間後に少量採血し、抗体の産生を8-S-cGMP-BSAに対して抗体が反応するかをELISA法によって確認した。初回免疫から追加免疫までの間隔、追加免疫との間隔は、この実施例においては2週間としたが、このような間隔で追加免疫を行うことに限定されるものではない。ただし、初回免疫は、抗体を産生させるためのものであり、通常、最初に抗原を注射してから4から5日で抗体が血中に現れ、次第に量が増大して10日前後にピークとなることから、初回免疫から最初の追加免疫までは2週間以上おくことが好ましい。また、追加免疫は、前記抗体をたくさん作らせるために行うものであるが、追加免疫後、すぐには抗体は増加しないので、追加免疫後1週間おいてから採血し、採血後1週間おいてから次回の追加免疫を行うこととした。
8-チオアルコキシ-cGMP構造を認識する抗体(以下、「抗8-チオアルコキシ-cGMP抗体」と呼ぶことがある。)が生成していることの証明として、8-S-cGMP-蛋白質を抗原とし、各種ヌクレオチド誘導体を用いた競合ELISAを行った。すなわち、α1-プロテアーゼインヒビター(α1-PI)を用い、そのSH基にcGMPを導入した誘導体(8-S-cGMP-α1-PI)を、前記8-S-cGMP-BSAと同様の方法にて作製し、そのPBS溶液を96ウェルプレートに0.1μg/ウェルとなるように加え、4℃で一晩、固相化した。その後、上清を除き、0.05 % Tween20を含むPBS(PBS-T)で3回、ウェルを洗浄して固相されなかった余分な8-S-cGMP-α1-PIを除去した。各ウェルにブロッキングバッファー(5 mg/mlゼラチンを含むPBS-T)を0.2 ml加えて、室温で2時間ブロッキングを行った。PBS-Tで3回、各ウェルを洗浄した後、希釈バッファー(1 mg/mlゼラチンを含むPBS-T)で8000倍に希釈した抗8-チオアルコキシ-cGMP抗体を含む前例で精製した血清を0.1 ml/ウェルで添加した。このとき、希釈血清に対して、反応性を調べたい競合剤(例えば8-グルタチオニル-cGMPなど)を各種濃度であらかじめ反応させておく。室温で1時間、静置した後、PBS-Tで3回ウェルを洗浄した。2次抗体としてHRP標識抗ウサギIgGヤギ抗体(Santa Cruz Biotechnology社製)と室温で1時間反応した後、PBS-Tで4回洗浄した。基質バッファー(0.1 Mクエン酸、0.1 Mリン酸2ナトリウム、pH 5.0)にo-フェニレンジアミン二塩酸塩5 mgと過酸化水素水6μlを加えた溶液を、0.1 ml/ウェルで添加し2〜10分発色させた。0.05 mlの2 M硫酸で反応を停止し、各ウェルの490 nmの吸光度をマイクロプレートリーダーで測定した。結果を図1に示す。精製した抗体は、8-チオアルコキシ-cGMP構造を有する8-グルタチオニル-cGMPをもっとも強力に認識することが分かった。次いで10倍程度弱くcGMPと反応し、それ以外のグアニン、グアノシン、グアノシン1リン酸やアデノシンサイクリック1リン酸(cAMP)とは全く反応しない、特異性の高い抗体であることが確認できた。
本発明により得られた抗体が、8-チオアルコキシ-cGMP蛋白質の免疫ブロット法による検出・定量に適応できることを確認した。蛋白質としてBSAおよびヒトα1-PI(いずれも分子内に遊離のSH基を1つもつ状態に還元剤を用いて調製したもの)を0.2 Mリン酸緩衝液(pH 7.4)に0.1 mMになるように溶解した。その溶液へ8-ニトロcGMPを1 mMとなるように添加して、37℃で反応させた。経時的に反応溶液を採取し、-80℃にて保存した。反応後、蛋白質量として1レーンあたり100 ngを加えて、SDS-7.5 %ポリアクリルアミドゲル電気泳動を行った。ポリビニリデンジフルオリド膜(Millipore社製)へ転写後、5 %スキムミルク(Becton Dickinson社)、0.1 % Tween20、0.9 % NaCl、10 mM Tris-HCl (pH 7.5)(ブロッキングバッファー)を用いて室温で1時間ブロッキングを行った。続いて、ブロッキングバッファーで1000倍希釈した抗8-チオアルコキシ-cGMP抗血清と4℃で一晩反応した。反応後、ブロッキングバッファーで3回洗浄し、同バッファーで1000倍希釈したHRP標識抗ウサギIgGヤギ抗体(Santa Cruz Biotechnology社製)と室温で1時間反応した後、膜をブロッキングバッファーで2回、さらに0.1 % Tween20、0.9 % NaCl、100 mM Tris-HCl (pH 7.5)で3回洗浄した。検出はECL plus Western Blotting Detection System (Amersham Biosciences社製)を用いた化学発光法により行った。検出には、Fuji Film社製のLAS1000UVminiを用いた。結果を図2に示す。8-ニトロcGMPとの反応前の蛋白質ではまったくバンドは検出されないが、反応時間の経過に伴って明らかに抗体反応性のバンドが検出できた。これにより、本発明にて得られた抗体が、免疫ブロット法に適応可能であることが確認された。
上記例で得た抗原(8-S-cGMP-BSA)を1 mg/mlとなるようにPBSに溶解させた。この溶液0.15 mlと生理食塩水0.35 mlを注射器に取り、フロイント完全アジュバント0.5 mlを更に取り、別の注射器と連結させ、これを交互に動かすことによりエマルジョンを作製した。抗体作製用の動物として雌5週齢BALB/cマウス3匹を採用し、当該マウスの背部皮内に数カ所、このエマルジョンを注射した(初回免疫)。3週間後、同抗原を1 mg/ml、0.09 ml、生理食塩水0.41 mlとフロイント不完全アジュバント0.5 mlとを用い、前記のように注射器を交互に動かすことによってエマルジョンを作製し、これを注射し、追加免疫とした。この追加免疫を1週間ごとに繰り返した。初回免疫から7週間後にマウス尾部より少量採血し、抗体の産生を8-S-cGMP-BSAに対するELISA法によって確認した。初回免疫から追加免疫までの間隔、追加免疫と追加免疫との間隔は、この実施例においては、2週間、1週間としたが、このような間隔で追加免疫を行うことに限定されるものではない。
ポリクローナル抗体と同様に、本モノクローナル抗体の反応特異性についても、競合ELISA法によって確認した。図3に示すように、本モノクローナル抗体は、8-チオアルコキシ-cGMP構造を強く認識することが確認された。
Claims (5)
- 8−チオアルコキシグアノシン−3’,5’−サイクリック1リン酸を特異的に認識する抗体であって、グアノシン−3’,5’−サイクリック1リン酸よりも8−チオアルコキシグアノシン−3’,5’−サイクリック1リン酸を強く認識し、グアニン、グアノシン、グアノシン1リン酸及びアデノシンサイクリック1リン酸(cAMP)を認識しない上記の抗体。
- ポリクローナル抗体又はモノクローナル抗体である、請求項1に記載の抗体。
- 8−ニトログアノシン−3’,5’サイクリック1リン酸(8-ニトロ−cGMP)を、還元剤にて変性させたウシ血清アルブミンのSH基に反応させることによって得られる分子内に8-チオアルコキシグアノシン-3’,5’-サイクリック1リン酸構造を有するアルブミンを免疫原として免疫動物に接種することにより得られる、請求項1又は2に記載の抗体。
- 請求項1から3の何れかに記載の抗体を含む、8-チオアルコキシグアノシン-3’,5’-サイクリック1リン酸構造を検出するための試薬。
- 請求項1から3の何れかに記載の抗体を、8-チオアルコキシグアノシン-3’,5’-サイクリック1リン酸構造を有する物質を含む試料と反応させることを含む、8-チオアルコキシグアノシン-3’,5’-サイクリック1リン酸構造を検出する方法。
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