JP4289694B2 - 新規のサキシトキシン誘導体およびその製造方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、麻痺性貝毒の一種であるゴニオトキシン類の11位にチオール基をもつ有機化合物をそのイオウ原子を介して置換導入することを特徴とするサキシトキシン誘導体の製造方法に関する。本発明はまた、このような方法で得ることができるサキシトキシン誘導体に関する。
【0002】
【従来の技術】
麻痺性貝中毒は神経麻痺を主徴とする症状を呈し、その原因毒はゴニオトキシン類およびサキシトキシン類であることが判明している[安元健、麻痺性貝毒、食品衛生検査指針(理化学編、厚生省生活衛生局監修)、第300−305頁、日本食品衛生協会、1991年]。これらの原因毒は麻痺性貝毒と総称され、現在、イガイ、ハマグリ等の貝類に見出される貝毒としてゴニオトキシン類、サキシトキシン類で20種以上が知られている。
【0003】
この貝毒はナトリウムチャンネルをブロックする性質を有し且つ麻痺性であり、渦鞭毛藻という植物プランクトンのうちの数種類がこの毒をもっており、これを餌として食べた貝が毒をため込み毒化する。この貝を食すると死亡率の高い食中毒を引き起こすため、水産および食品衛生上大きな社会問題になっている。因みに、麻痺性貝毒を0.5〜1.0μg経口摂取しただけで感覚麻痺、悪心、下痢などの症状がでる。ヒトにおける致死量は1〜3mgである。
【0004】
このため、麻痺性貝毒を定量する方法が開発されてきた。たとえば、公定法であるマウスを用いた致死活性測定法[安元健、前掲;J.F. Jellettら, Toxicon,30(10):1143-1156 (1992); W. Horwitz, Paralytic shellfish poison. In “Official Methods of Analysis of the Association of Official Analytical Chemists" (Assoc. Official Anal. Chem., Washington D.C.) pp. 881-882 (1990)]、高速液体クロマトグラフィー法[Y. Oshimaら, Mycotoxins and Phycotoxins '88(S. Natoriら編), pp. 319-326, Elsevier, Amsterdam (1989));特開平9−133669号公報]、神経芽細胞を用いる方法[K. Kogureら,Toxicin,26:191−197(1989)]、抗体を用いる方法[F.S. Chuら,J. Agri. Food Chem.,44:4043−4047(1996)]などが知られている。致死活性測定法は、マウスに試験原液を腹腔内に注射し、注射の終了した瞬間からマウスが典型的な麻痺性貝毒による症状を示して死亡する際の最後のあえぎまでの時間(致死時間)を秒単位で記録する方法である。高速液体クロマトグラフィー法は、麻痺性貝毒を含む試料を高速液体クロマトグラフィーにかけて麻痺性貝毒を分離し、溶出液に酸化剤を加えてアルカリ中で反応させた後、生じた蛍光性物質の蛍光を測定する方法である。神経芽細胞を用いる方法は、ウアバインまたはベラトリジンがマウス神経芽細胞系においてナトリウム流入を促進し、これによって細胞が膨潤し形態学的剛直性を失うという性質を利用するものであり、このアッセイ系に麻痺性貝毒を含む試料を添加したときには細胞の丸まりと細胞死が著しく抑制されることを利用した方法である。さらに、免疫学的方法は、麻痺性貝毒に対する抗体を用いて、たとえば酵素免疫測定法(たとえばELISA)等の方法で直接試料中の麻痺性貝毒を定量する方法である。
【0005】
特に、本発明との関連において、F.S. Chuら(前掲)は抗サキシトキシン抗体/サキシトキシン−西洋ワサビペルオキシダーゼ結合体または抗ネオサキシトキシン抗体/ネオサキシトキシン−西洋ワサビペルオキシダーゼ結合体を用いるELISAによって麻痺性貝毒の全量を測定するアッセイ方法を開示している。抗体の調製は、F.S. Chuら, J. Assoc. Off. Anal. Chem. 1985,68:13−16およびF.S. Chuら, J. AOAC Int. 1992,75:341−345に従って調製されているが、その手順は、Johnsonら(1964、Proc.Soc.Exp.Biol.Med.,117,425)の方法に準じ、BSA、polylisineもしくはKeyhole limpet(カサガイ)のヘモシアニンをホルムアルデヒドを含む弱酸性水溶液中でサキシトキシンまたはネオサキシトキシンと反応させて得た結合体を、ウサギに皮下注射してポリクローナル抗体を得ることによっている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、致死活性測定法および神経芽細胞法においては、動物や細胞の管理、検出感度、精度、特異性などの点で問題があるし、高速液体クロマトグラフィー法においては、操作は簡単で、精度も高いが、麻痺性貝毒の種類によって感度が異なること、精製された外部標準の供給がないことなどの欠点を有している。また、免疫学的方法においては、抗体の反応性がサキシトキシン誘導体の種類によって異なるなどの点で問題がある。したがって、麻痺性貝毒を簡便に精度高く、しかも貝毒の種類によらず感度一定に測定する方法の開発が望まれてきた。
【0007】
このような状況下にあって、本発明者らは、潜在的にこのような要求に応えることができるサキシトキシン誘導体を容易に製造しうる方法を今回見出した。本発明の誘導体を用いるならば、個々のサキシトキシン誘導体に対する特異抗体を調製することができるとともに、この抗体をカラム担体に結合するときには麻痺性貝毒を分離、除去することも可能になる。従来、麻痺性貝毒は複雑な構造をもつため、その構造に他の分子を化学的に共有結合させた例は知られていなかった。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、ゴニオトキシン類にチオール基をもつ有機化合物を作用させると、該化合物がそのイオウ原子を介してゴニオトキシン類の11位のOSO3 -基と置換反応することを見出した。
したがって、本発明は、式(I):
【0009】
【化4】
【0010】
(式中、R1はH、CONH2またはCONHSO3 −であり、R2はHまたはOHであり、R3はHまたはOSO3 −であり、およびR4はHまたはOSO3 −であり、但し、R3またはR4のいずれかがOSO3 −であり、且つR3およびR4の両方が同時にOSO3 −ではない。)の麻痺性貝毒ゴニオトキシン類を、少なくとも1個のチオール基をもつ有機化合物としてメルカプトエタノールまたはグルタチオンを用い加熱し反応させて、式(I)の11位のOSO3 −基を前記チオール基のイオウ原子を介して前記有機化合物で置換し、式(II):
【0011】
【化5】
【0012】
[式中、R1およびR2は前記定義のとおりであり、R3およびR4 のいずれかがHで他方がメルカプトエタノールまたはグルタチオンである]のサキシトキシン誘導体を得ることを含む、サキシトキシン誘導体の製造方法を提供する。
【0013】
本明細書中、「チオール基をもつ有機化合物」とは、上記定義のゴニオトキシン類の11位のOSO3 -基と置換反応しうるチオール基(または、もし同様の反応を起こしうるならばジスルフィド基であってもよい)をもつ任意の分子量の天然または非天然の有機化合物を意味する。したがって、「−S−(有機化合物)」は、前記有機化合物がゴニオトキシン類の11位のOSO3 -基と置換反応した後の残基を示す。
本発明はまた、式(II):
【0014】
【化6】
【0015】
[式中、R 1 はH、CONH 2 またはCONHSO 3 − であり、R 2 はHまたはOHであり、R1およびR2は前記定義のとおりであり、R3およびR4 のいずれかがHで他方がメルカプトエタノールまたはグルタチオンである]のサキシトキシン誘導体を得ることを含む、サキシトキシン誘導体を提供する。
【0016】
本発明の一実施態様により、式(II)中、R3が
であり、R4がHであるサキシトキシン誘導体を提供する。
本発明の別の実施態様により、式(II)中、R3が−S-CH2CH2OHであり、R4がHであるサキシトキシン誘導体を提供する。
【0017】
【発明の実施の形態】
本発明において、出発物質である式(I)のゴニオトキシン類としては、たとえばカルバメート毒群のゴニオトキシン−1(R1がCONH2であり、R2がOHであり、R3がHであり、R4がOSO3 -である)、ゴニオトキシン−2(R1がCONH2であり、R2がHであり、R3がHであり、R4がOSO3 -である)、ゴニオトキシン−3(R1がCONH2であり、R2がHであり、R3がOSO3 -であり、R4がHである)、およびゴニオトキシン−4(R1がCONH2であり、R2がOHであり、R3がOSO3 -であり、R4がHである);脱カルバモイル毒群のデカルバモイルゴニオトキシン−1(R1がHであり、R2がOHであり、R3がHであり、R4がOSO3 -である)、デカルバモイルゴニオトキシン−2(R1がHであり、R2がHであり、R3がHであり、R4がOSO3 -である)、デカルバモイルゴニオトキシン−3(R1がHであり、R2がHであり、R3がOSO3 -であり、R4がHである)、およびデカルバモイルゴニオトキシン−4(R1がHであり、R2がOHであり、R3がOSO3 -であり、R4がHである);N−スルフィカルバモイル毒群のC1エピゴニオトキシン−8(R1がCONHSO3 -であり、R2がHであり、R3がHであり、R4がOSO3 -である)、C2ゴニオトキシン−8(R1がCONHSO3 -であり、R2がHであり、R3がOSO3 -であり、R4がHである)、C3トキシン(R1がCONHSO3 -であり、R2がOHであり、R3がHであり、R4がOSO3 -である)、およびC4トキシン(R1がCONHSO3 -であり、R2がOHであり、R3がOSO3 -であり、R4がHである)、等を挙げることができる。これらはいずれも麻痺性貝毒として同定されたものである(安元健、前掲)が、天然においては実際9割以上がゴニオトキシン類として見出されており、サキシトキシン類は痕跡程度しか含まれていないようである。本発明においては、サキシトキシン類似体が得られるが、11位の構造を除いて基本的にはゴニオトキシン類と同等の構造を有する。
【0018】
本発明において用いられるチオール基をもつ有機化合物は、上記定義のとおり、ゴニオトキシン類の11位のOSO3 -基と置換反応しうるチオール基(またはジスルフィド基であってもよい)をもつ任意の分子量の任意の有機化合物であり、上記反応性を有する限り化合物の種類は問わない。一例を挙げれば、チオール基をもつ有機化合物はメルカプトエタノール、システアミン(cysteamine)、2−メルカプトプロピオン酸などの、分子骨格の末端または内部にチオール基を有する化合物である。このような化合物はまた、本発明の置換反応を妨げない限り分子中に他の反応性基(たとえば、水酸基、アミノ基、カルボキシル基など)を有することができる。このような反応性基はたとえばタンパク性ハプテン担体との結合に利用可能である。本化合物の他の例は、分子骨格の末端または内部にシステイン残基をもつペプチド(たとえば、グルタチオン)である。
【0019】
サキシトキシンのような低分子化合物はハプテンに属し、それ自体は抗原性をもたないが、抗原性をもつタンパク質を担体として、これと共有結合した複合体はハプテンに対する特異抗体を産生する抗原となる。ハプテン−タンパク質複合体を免疫注射するとハプテン部分は抗原決定基として認識され、抗ハプテン抗体が産生されると考えられている。このとき、余分な抗原決定基ができにくい選択的な結合方法でハプテン抗原を作製する必要がある。ハプテンの部分構造に対する認識は、ハプテンと担体であるタンパク質の結合部位付近では弱く、より離れた部分構造を認識しやすい。したがって、タンパク質と結合する際には、ハプテン中の適切な結合位置を選択することが大切である。
【0020】
ゴニオトキシン類またはサキシトキシン類はそれ自体抗原性を有していないハプテンであるうえに、タンパク質と容易に結合できる官能基をもっていないため、ハプテン−タンパク質複合体を形成することが困難であった。しかし、本発明に係る方法によってハプテンに官能基を導入することにより、免疫抗原として好ましい複合体の形成が可能となる。
【0021】
担体となるタンパク質としてはアルブミン、ヘモシアニンなどである。ゴニオトキシン類またはサキシトキシン類を結合するためには、先ずこれらの分子に後述する実施例2の手順でグルタチオンなどの上記定義の有機化合物を導入した後、該有機化合物部分のアミノ基、カルボキシル基などの反応性基を利用して、担体タンパク質とマレイミド法(T. Kitagawaら,J.Biochem.92:585-590,1982)やカルボジイミド法(D. Exleyら,FEBS Lett.,91:162−165,1978)などで結合させることができる。このように、本発明の方法を用いることにより、担体との結合位置を特定できるハプテン−タンパク質複合体を得ることができる。
【0022】
理論に拘束されるつもりはないが、本発明においては、チオール基をもつ有機化合物のSH基がその電子供与性のためにゴニオトキシン類の11位の炭素原子を求核的に攻撃し、その結果OSO3 -基が離脱し、該11位の炭素原子に−S-(有機化合物)が結合すると考えられる。
【0023】
本発明においては、反応は中性条件下で反応物質を加熱することによって起こる。一般にpH6.5〜7.5、好ましくはpH7.0〜7.5の適切な緩衝液、たとえば燐酸アンモニウム緩衝液、酢酸アンモニウム緩衝液等を用いて反応を行うことができる。もちろん、本発明の目的の反応が起こるならば、上記範囲外のpHも用いることができる。また、反応温度は、一般に室温〜約100℃、好ましくは50℃〜80℃、より好ましくは約 70 ℃である。反応条件は、一般にチオール基をもつ有機化合物の種類によって変わり得るが、もし温度を高めるなど条件をきつくする場合には生成物の一部はサキシトキシンに変化することもありうる。
【0024】
反応後、目的の生成物を、調製用高速液体クロマトグラフィー、ゲルろ過クロマトグラフィー、イオン交換クロマトグラフィー、吸着クロマトグラフィー、逆相分配クロマトグラフィー等の手段を単独でまたは組合わせて実施し、精製することができる。生成物の同定は、赤外分光法、質量分析法、NMR法、元素分析、アミノ酸分析などの通常の測定法によって行うことができる。
【0025】
本発明のサキシトキシン誘導体を、マウス、ラット、ウサギ、ヤギ、等の哺乳動物に免疫することによって該誘導体に対するポリクローナルまたはモノクローナル抗体を作製することができる。通常、免疫原溶液を等量のフロインド氏完全アジュバントまたは不完全アジュバントと乳化混合し、動物に皮下注射した後、2乃至4週間の間隔で同様の操作を行い数回免疫し、放血して抗血清を得るか、あるいは、免疫後に脾臓を無菌的に取り出し、脾臓細胞を調製した後、ミエローマ細胞と融合し、ハイブリドーマをHAT培地等の選別用培地で選別し、動物細胞培養用培地中で継代培養するか、またはマウスもしくはラットの腹腔内に移植培養し腹水からモノクローナル抗体を採取することができる。モノクローナル抗体の作製については、MilsteinとKholer,Nature256:495 (1976)、続生化学実験講座,免疫生化学研究法(日本生化学会編)等に記載される方法を使用できる。
【0026】
上記のようにして得られたポリクローナル抗体またはモノクローナル抗体は、麻痺性貝毒を含むと推定される食品等の検体中の貝毒を検出するために使用することができる。検出は慣用の抗原抗体反応を用いて行うことができ、固相法もしくは均質法、競合法もしくは非競合法、サンドイッチ法などの方法を使用できる。たとえば、サンドイッチ法を用いる場合には、過剰量の標識化第二抗体を用いるが、標識としてペルオキシダーゼ、アルカリフォスファターゼ等の酵素、125I、32P等の放射性同位体、FITC等の蛍光物質、アクリジニウム等の化学発光物質を用いることができる。標識の種類に依存して、ELISA等の酵素抗体法、ラジオイムノアッセイ、蛍光抗体法の使用が可能である。
【0027】
さらに、本発明のサキシトキシン誘導体に対する抗体は、臭化シアン等で活性化されたデキストラン樹脂(たとえばSephadexTM類)、アガロース樹脂(たとえばBio−GelTM類)、等の樹脂に結合するときには、問題の貝毒を分離除去するためのアフィニティーカラム担体とすることができる。
【0028】
【実施例】
以下の実施例によって本発明をさらに具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例によって制限されるものではない。
なお、以下の実施例においては、大船渡湾産ホタテガイの抽出物から活性炭、Bio−GelP−2およびBio−Rex 70各カラムクロマトグラフィーで精製した麻痺性貝毒[ゴニオトキシン−1およびゴニオトキシン−4の混合物(以下、GTX1,4と称する)]を出発物質として用いた。
【0029】
実施例1
メルカプトエタノール−ネオサキシトキシン複合体の調製
凍結乾燥したGTX1,4混合物(2mg)を10mMのメルカプトエタノールを含む50mM燐酸アンモニウム緩衝液50mL(pH7.4)に混合し、70℃、120分加熱還流した。氷冷後、希酢酸でpHを6.5に調製し、Bio-Gel P-2カラム(Bio-Rad Laboratories, Fine,5×10cm)に添加した。水1Lでカラムを洗浄し、燐酸および未反応のメルカプトエタノールを除去した後、0.1Mの酢酸で溶出する画分を集め凍結乾燥した。本画分は目的成分の他に反応中に生じたネオサキシトキシンおよび未反応のGTX1,4を含むため、これらの除去を目的としてHEMA IEC BIO 1000CMカラム(7.5×250mm, Alltech)および移動相として1%酢酸(流速1.0ml/分)を用いるHPLCで精製し、HPLC上およびTLC上単一な1.0mgの標題の複合体を得た。同定結果は以下のとおりである。
【0030】
1HNMR(DMSO):δ4.35(1H,s,H5),4.05(1H,brt,J=11.7Hz,H2'a),3.96(1H,dd,10.6, 3.9Hz,H13a),3.85(1H,t,J=9.8Hz,H13b),3.74(1H,brd,J=11.2Hz,H2'b),3.66(1H,brm,10b),3.54(1H,dd,J=9.28,4.16Hz,H6),3.36(1H,brm,10a),3.20(1H,t,J=9.28Hz,11),2.87(1H,brt,J=11.7Hz,H1'a),2.22(1H,brd,J=13.9Hz,1'a)
13CNMR(DMSO):δ159.34,156.88,156.21,95.57,84.53,64.54,60.22,58.66,54.24,46.25,35.86,23.27
質量分析(HRFABMS) m/z374.1290(M+H-H2O)+
(C12H2ON7SO5の計算値374.1247)
【0031】
実施例2
グルタチオン−ネオサキシトキシン複合体の調製
凍結乾燥したGTX1,4混合物(5mg,モル比GTX1:GTX4=3:1)を30mMの還元型グルタチオン(GluCysGly)(和光純薬工業)を含む100mM燐酸アンモニウム緩衝液50mL(pH7.4)に混合し、70℃で20分加熱還流した。氷冷後、希酢酸でpHを6.5に調整した。実施例1の場合と同様に精製し、2.9mgの標題の複合体を得た。同定結果は以下のとおりである。
【0032】
1HNMR(D2O):δ4.57(1H,s,H5),4.35(1H,dd,J=7.8,5.2Hz,Cysα),4.26(1H,brd, J=12.2Hz,H13a),4.19(1H,J=12.2Hz,H13b),4.13*(1H,d,J=11.2Hz),3.90(1H,brm),3.7-3.6(5H,m),2.96(1H,dd,J=13.9,5.2Hz,Cysβ),2.76(1H,dd,J=13.4,7.8Hz),2.4(2H,brm,Gluγ),2.05(2H,brm,Gluβ)
(*帰属は未定である。)
質量分析(ESIMS) m/z621 (M+H)+
【0033】
【発明の効果】
本発明によって、麻痺性貝毒であるゴニオトキシン類の11位にチオール基をもつ有機化合物をそのイオウ原子を介して置換導入することができ、これによって得られるサキシトキシン誘導体は該貝毒に特異的な抗体の作製に有用である。
Claims (10)
- 式(I):
- チオール基をもつ有機化合物が、システアミン、2−メルカプトプロピオン酸であることを特徴とする請求項1に記載の方法。
- 式(II)中、R3が
-S-CH2-CH-CONHCH2COOH
│
NHCOCH2CH2CH(NH2)COOH
であり、R4がHであることを特徴とする請求項1に記載の方法。 - 式(II)中、R3が-S-CH2CH2OHであり、R4がHであることを特徴とする請求項1に記載の方法。
- pH7.0〜7.5、50℃〜80℃で反応することを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の方法。
- チオール基をもつ有機化合物が、システアミン、2−メルカプトプロピオン酸であることを特徴とする請求項6に記載の誘導体。
- 請求項1〜5のいずれかに記載の方法によって得られることを特徴とする請求項6または7に記載の誘導体。
- R3が
-S-CH2-CH-CONHCH2COOH
│
NHCOCH2CH2CH(NH2)COOH
であり、R4がHであることを特徴とする請求項6または8のいずれかに記載の誘導体。 - R3が-S-CH2CH2OHであり、R4がHであることを特徴とする請求項6または8のいずれかに記載の誘導体。
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