JP4013312B2 - モノクローナル抗体およびハイブリッド細胞 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、モノクローナル抗体、ハイブリッド細胞及びその製造方法に関する。特にメチルグリオキサールとアミノ酸、ペプチドあるいは蛋白質のアルギニン残基との反応物に対する高い特異性を有するモノクローナル抗体、ハイブリッド細胞及びその製造方法に関する。さらに詳しくは、アルグピリミジン構造を特異的に認識するモノクローナル抗体とその抗体を産生するハイブリッド細胞およびモノクローナル抗体の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
アミノ酸、ペプチドあるいは蛋白質のアミノ基は、還元糖のアルデヒド基と非酵素的に縮合し、非酵素的に糖化され、糖化アミノ酸、糖化ペプチドあるいは糖化蛋白質(以下、「糖化蛋白質等」と略すこともある。)となることが知られている。該糖化反応は、メイラード反応と呼ばれ、この反応が生体内でも進行し、老化や糖尿病合併症の進展に関与していることが知られている(Bio Industry vol.13,No.7,p14,1996年)。
メイラード反応は前期段階および後期段階の反応に分けることができる。前期段階の反応は、蛋白質の側鎖アミノ基やN末端アミノ基と糖のカルボニル基が反応し、シッフ塩基を形成した後、アマドリ転位化合物が形成される。生体内に存在する該前期段階反応生成物としては、例えば、ヘモグロビンA1Cや糖化アルブミン等が知られており、さまざまな病態、特に糖尿病に関与していることが知られている。
後期段階の反応は、上記前期段階反応の後、さらに酸化・脱水・縮合・環状化等の複雑な反応を経由し、▲1▼蛍光性、▲2▼褐色化、▲3▼分子内・分子間架橋および▲4▼生物学的認識のうち少なくともどれか一つの特性を有する後期反応生成物(Advanced Glycation End Products.以下「AGE」と略す。)を生じる。
該AGE構造体としては、カルボキシメチルリジン、ピラリン、ペントシジン、クロスリン、或いはX1等が提唱されている。
ところで、糖化蛋白質等に特異的に反応する抗体であって、特異的認識部位が分子構造レベルで特定された抗体は、該抗体を抗原物質の検出に使用した場合に正確、且つ精密に検出することができるので、臨床診断、分析等において有用なものである。抗原物質の検出方法としては、免疫化学的な検出方法ならばいずれの方法でも使用することが可能であるが、具体的には免疫組織学的方法、酵素免疫学的測定法等が挙げられる。従って、このような特定分子構造を特異的に認識する抗体の出現が強く要望されている。
【0003】
前記のような背景から、上記AGE構造体に対する抗体が調製され、その免疫学的研究によれば、老化・糖尿病、糖尿病性腎症或いは哺乳動物の眼球のレンズクリスタリン等で陽性であることが知られている(J.Clin.Invest.,85.380−384,1990年,J.Biol.Chem.,263,3758−3764,1989年,J.Clin.Invest.,89.1102−1112,1992年)。また、特開平9−178740号公報によれば、カルボキシメチルリジンに対する抗体が糖尿病又は糖尿病合併症用マーカーとして利用できることが記載されている。
【0004】
一方、メチルグリオキサール(以下、「MG」と略すこともある。)は、トリオースリン酸、ジヒドロキシアセトンリン酸、あるいはグリセルアルデヒド−3−リン酸の非酵素的あるいは酵素的異化により生体内、特に血中に比較的多量に存在することが知られており、糖尿病患者での血清レベルが高値であること、あるいはストレプトゾトシンにより糖尿病を誘発したラットの眼球レンズに多量に存在することが報告されている(Biochem.Pharmacol.vol46,p805−811,1993年、Clin.Sci.,vol87,p21−29,1994年)。
またさらに、MGは、生体内濃度レベルで蛋白質と反応して蛍光性の産物を生成し、AGEを生成する直接的なメディエーターとして機能することができるばかりでなく、糖尿病や老化との関連性も報告されている(Biochim.Biophys.Acta.,vol1270,p36−43,1995年、J.Biol.Chem.,vol269,p32299−32305,1994年、J.Biol.Chem.,vol267,p4364−4369,1992年)。
従って、MGと蛋白質の反応により生じたAGE構造体を有する物質あるいは部位を特異的に検出することにより糖化蛋白質等を検出することは臨床学上、あるいは分析方法上非常に有用である。
【0005】
このような状況下、MGで修飾されたアミノ酸に対するポリクローナル抗体を使用した免疫組織学的研究では、ヒト動脈硬化病巣には該ポリクローナル抗体により強く染色される部位が存在することが報告されている(FEBSLetters,vol410,p313−318,1997年)。しかしながら、上記抗体はポリクローナル抗体であり、抗体を得る場合、1.多量の抗原が必要である、2.抗体の力価が製造毎に異なる、3.経済的効率が低い等の問題があり、さらには抗体の特異的認識部位が分子構造レベルで特定されていないため測定対象が明確でない等の問題が生じており、このようなデメリットのない、特定分子構造を特異的に認識するモノクローナル抗体が必要とされている。ところで、MGと蛋白質との反応は既に知られており、特にアミノ酸のアルギニン(Arg)、リジン(Lys)とMGの反応がかなり詳細に論じられている{J.Biol.Chem.,vol.269,p32299−32305(1994年)、J.Prot.Chem.vol.14(5),p359−372(1995年)}。MGは蛋白質やペプチドのアルギニン残基あるいはアミノ酸のアルギニンと反応して次式の[1]
【化2】
Figure 0004013312
(式中、R1、R2は蛋白質残基、ペプチド残基あるいはR1=R2=Hであり、R1=R2=Hがアルギニンを示す。)で表されるアルグピリミジン構造を有する化合物を生成することが報告されている。従ってアルグピリミジン構造を有する物質あるいは部位を検出することにより糖化蛋白質等を検出することは、臨床学上あるいは分析方法上非常に有用である。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の第1の目的は、糖化蛋白質等に特異的に反応する抗体であって、特異的認識部位が分子構造レベルで特定されており、臨床診断、分析等において有用なモノクローナル抗体を提供することにある。
本発明の第2の目的は、前記のモノクローナル抗体を産生するハイブリッド細胞を提供することにある。
本発明の第3の目的は、前記のモノクローナル抗体の製造方法を提供することである。
【0007】
【発明を解決するための手段】
本発明者らは、上記問題点に鑑み、鋭意検討した結果、メチルグリオキサールと共にインキュベートしたカギアナカサガイのヘモシアニン(以下、「KLH」と略すこともある。)を調製し、これを抗原として免疫されたマウスから得られる抗体産生細胞とマウスミエローマ細胞とのハイブリッド細胞(寄託番号 FERM P−16666)が、アルグピリミジン構造を認識するモノクローナル抗体を産生することを見いだし、本発明を完成するに至った。
【0008】
すなわち、発明の第1はMGと共にインキュベートしたカギアナカサガイのヘモシアニンを調製し、これを抗原として免疫されたマウスから得られる抗体産生細胞とマウスミエローマ細胞とのハイブリッド細胞(寄託番号 FERM P−16666)が産生する、アルグピリミジン構造を認識するモノクローナル抗体であって、1,3−di−N−α−acethyllysino−4−methylimidazole、N−δ−(Carboxyethyl)−N−α−acethyllysine、N−δ−(5−Hydro−5−methyl−4−imidazolon−2−yl)ornithine、N−δ−(5−Hydroxy−4,6−dimethylpyrimidine−2−el)ornithineおよびMA1からなるMG−アミノ酸誘導体を競合物質とするモノクローナル抗体の反応特異性評価法において、N−δ−(5−Hydroxy−4,6−dimethylpyrimidine−2−el)ornithineの他のMG−アミノ酸誘導体を認識しないモノクローナル抗体であることを特徴とする。
【0009】
また、発明の第2はMGと共にインキュベートしたカギアナカサガイのヘモシアニンを調製し、これを抗原として免疫されたマウスから得られる抗体産生細胞とマウスミエローマ細胞とのハイブリッド細胞(寄託番号 FERM P−16666)である。
【0011】
なお、本発明の前記モノクローナル抗体及びその製造方法においては、MGと共にインキュベートされるべき蛋白質がKLHであることが望ましい。
【0012】
【発明の実施の形態】
本発明のアルグピリミジン構造を認識するモノクローナル抗体は、MGと共にインキュベートした蛋白質を調製し、これを抗原として免疫された哺乳類動物から得られる抗体産生細胞と、得られた抗体産生細胞を継代培養可能なマウスミエローマ細胞とのハイブリッド細胞を創出し、このハイブリッド細胞の中から目的のモノクローナル抗体のみを産生するハイブリッド細胞(寄託番号 FERM P−16666)をスクリーニングし、このハイブリッド細胞が抗体を産生する環境下で大量培養することにより抗体は製造される。
【0013】
本発明のモノクローナル抗体の製造に用いることができる抗原は、蛋白質とMGの反応物であれば良い。蛋白質としてはカギアナカサガイのヘモシアニン(以下、「KLH」と略すこともある。)が使用できる。
【0014】
MGと蛋白質の反応を行うための具体的な方法としては、例えば、前記蛋白質とMGを緩衝液中で混合(撹拌)して得ることが可能である。用いる緩衝液としては、リン酸塩、炭酸塩などの緩衝液が挙げられ、好ましくはリン酸緩衝液が用いられる。緩衝液のpHは該反応が進行するpHであれば特に限定されないが、pH6〜11、好ましくはpH7〜9である。緩衝液の濃度は、該反応が進行する濃度であれば特に限定されないが、1mM〜0.5M、好ましくは10〜100mMの緩衝液である。この反応過程は、蛋白質中のアミノ酸の減少率で検出することが可能である。アミノ酸の減少率は、例えば、反応前後の試料のMGと反応していないアミノ酸をアミノ酸自動分析装置で測定することにより求めることができる。アミノ酸減少率としては、使用する蛋白質により異なるが、アルギニン減少率が10%以上、好ましくは20%以上減少することが望ましい。
【0015】
このようなアミノ酸減少率となる反応条件は、例えば、25〜45℃で1時間〜1カ月間が好ましく、さらに好ましくは30〜40℃で1日〜7日である。
【0016】
本発明で免疫される動物は恒温動物が使用できる。該免疫動物としては、例えばマウス、ハムスター、ラット、モルモット、ウサギ、イヌ等であれば特に制限されないが、抗体産生細胞を融合するミエローマ細胞がマウス由来のものであるため、好ましくはマウスが使用される。
【0017】
免疫する方法は、通常の公知の免疫方法を用いることができる。例えば、7ないし30日、特に12ないし16日間隔で2または3回の投与が好ましい。1回の投与量は、免疫される動物により異なるが、例えば、約0.05〜2mg程度を目安とする。投与経路は皮下注射、皮内注射、腹膜腔内注射、静脈内注射、筋肉内注射等を選択することができるが、好ましくは腹膜腔、皮下もしくは筋肉内に注射して行う投与形態である。さらに好ましくは、前記投与経路を2ないし3組み合わせた投与経路、例えば、腹膜腔注射、皮下注射および筋肉内注射全ての投与経路を組み合わせるのが好ましい。なお、この場合、抗原は適当な緩衝液、例えばフロイントの完全アジュバント、フロイントの不完全アジュバント、水酸化アルミニウム等の通常用いられるアジュバントの1種を含有するナトリウムリン酸緩衝液、生理食塩水等に溶解して用いることができるが、上記のようなアジュバントを使用しなくとも良い。ここで、アジュバントとは抗原と共に投与したとき、非特異的にその抗原に対する免疫反応を増強する物質を意味する。
【0018】
そして、上記の抗原を免疫した恒温動物を7〜30日間処置せずに放置した後、該恒温動物の血清を少量採取し、抗体価をウエスタンブロット法、凝集法、酵素免疫測定法、一元放射状免疫拡散法等により測定することができる。より簡便には酵素免疫測定法により測定することができる。抗体価が上昇してきたら、状況に応じて抗原の追加投与を適当回数行うことができる。例えば、0.01〜1mg、特に、0.05〜0.5mgの投与量で1もしくは2回の追加投与が行われる。最後の投与の1ないし30日後、特に好ましくは1〜7日後に免疫した恒温動物から抗体を産生するリンパ球を含む組織を摘出する。摘出する組織は、抗体を産生するリンパ球を含む抹消リンパ系組織ならどこでも良いが、好ましくは脾臓である。得られた組織は、例えば、「単クローン抗体実験操作入門」(講談社サイエンティフィック 安藤民衛ら 1991)等に記載されている方法により、継体培養可能な細胞とするために、例えば、仙台ウイルスやポリエチレングリコール存在下、ある種のガン細胞と細胞融合させて、ハイブリッド細胞を得ることができる。ここで用いられるガン細胞は、同じ恒温動物でも同種の恒温動物のガン細胞を用いることが望ましく、例えばマウスを免疫動物として得られた脾臓細胞と融合させる場合、マウスミエローマ細胞を用いることが好ましい。実際に用いられる細胞融合の方法としては、公知の技術(J.Immunol.Method、第39巻:285−308頁,1980年)を用いることができる。例えば、免疫されたマウスから得られた脾臓とマウスミエローマ細胞をポリエチレングリコール存在下で融合を行い、ハイブリッド細胞のみが生育可能であるHAT培地(ヒポキサンチン、アミノプテリン、チミジン添加培地)により選択的にハイブリッド細胞を増殖させ、ハイブリッド細胞がコロニーを形成させた後、培養上清中の抗体をスクリーニングすることで目的の抗体を産生するハイブリッド細胞(寄託番号 FERM P−16666)を得ることができる。
【0019】
スクリーニングする方法としては、例えば、ウエスタンブロット法あるいは酵素免疫化学的測定法等が挙げられる。また、目的の抗体を産生するハイブリッド細胞は、限界希釈法を繰り返すことにより最終的に単一のハイブリッド細胞を得ることができる。さらには、これら目的の抗体を産生するハイブリッド細胞は抗体を産生する環境下で大量培養することにより抗体を製造することができる。さらに、これらの目的とする抗体を産生するハイブリッド細胞(寄託番号 FERM P−16666)が産生した抗体は、例えば遠心分離、硫酸アンモニウムまたはポリエチレングリコールを用いる蛋白質分画、水性二層分配法、ゲル濾過クロマトグラフィー、イオン交換クロマトグラフィー、アフィニティークロマトグラフィー、電気泳動等の蛋白質の一般的な生化学的分離方法を、単独もしくはいくつかの方法を組み合わせて使用することにより精製することができる。
【0020】
【発明の効果】
以上の説明から明らかなように、本発明によればハイブリッド細胞(寄託番号 FERM P−16666)が産生する、メチルグリオキサールと蛋白質の反応生成物が結合したときに生じるアルグピリミジン構造を認識するモノクローナル抗体であって、1,3−di−N−α−acethyllysino−4−methylimidazole、N−δ−(Carboxyethyl)−N−α−acethyllysine、N−δ−(5−Hydro−5−methyl−4−imidazolon−2−yl)ornithine、N−δ−(5−Hydroxy−4,6−dimethylpyrimidine−2−el)ornithineおよびMA1からなるMG−アミノ酸誘導体を競合物質とするモノクローナル抗体の反応特異性評価法において、N−δ−(5−Hydroxy−4,6−dimethylpyrimidine−2−el)ornithineの他のMG−アミノ酸誘導体を認識しないモノクローナル抗体を提供することができる。下記実施例から明らかなように、本発明のモノクローナル抗体は、認識部位が分子構造レベルで限定されているので、臨床診断、分析等において有用性が有り、糖化蛋白質等の疾患・病態との関連性の解明のための一助となることが期待される。
【0021】
【実施例】
以下、本発明を実施例により具体的に説明する。なお、本発明は本実施例に限定されるものではない。
〔実施例1〕
1.抗原の調製100mMのメチルグリオキサール(略語:MG)に1mgのカギアナカサガイのヘモシアニン(略語:KLH)を50mMリン酸緩衝液(pH7.2)で溶解した溶液(濃度:1mg/ml)を即座に加え、37℃で3日間反応させてMGとKLHのコンジュゲート(略語:MG−KLH)を得て、これを抗原とした。自動アミノ酸分析装置〔JEOLJLC−500、日本分光(株)製〕でMG−KLH中の減少したアミノ酸を調べたところ、リジン(以下、「Lys」と略すこともある。)およびアルギニン(以下、「Arg」と略すこともある。)はそれぞれ57%および65%減少していた。
【0022】
2.免疫方法
MG−KLH(1mg/ml)は等量のフロイントの完全アジュバントとよく混合してエマルジョンとし、これをマウス(BALB/c、オス、6〜8週齢)の腹腔内に100μl免疫した。初回免疫から10〜14日後、抗原とフロイントの不完全アジュバントをよく混合してエマルジョンとして、追加免疫を行った。追加免疫から3週間後、抗原とリン酸緩衝生理食塩水(以下、「PBS」と略す。)を混合して最終免疫を行った。なお、抗体価は、追加免疫の1週間後、マウス眼孔静脈から血液を採取し、得られた血清を用いて酵素免疫化学的方法で抗原に対する抗体が産生していることを確認した。酵素免疫化学的方法では、免疫したマウスから得られた血清と比較対照となる免疫前のマウスから得られた血清の間に比較的大きな抗体価の差異が見られ、抗体価の上昇が確認された。
【0023】
3.抗体価の確認方法
抗体価はMGとウシ血清アルブミンを固相とした酵素免疫測定法により確認した。すなわち、抗原の調製に記載した方法と同様にウシ血清アルブミン(以下、「BSA」と略すこともある。)とMGを反応させて、MGとBSAのコンジュゲート(以下、「MG−BSA」と略すこともある。)を得た。これを96穴イムノプレートに物理吸着させ、0.05%Tween20−トリス緩衝液(pH7.4)(以下、「TTBS」と略す)で3回洗浄した後、1%BSAを含むトリス緩衝液(pH7.4)(以下、「ブロッキング液」と略すこともある。)でブロッキングを行った。このプレートのウエルにマウスから得られた血清(100μl/ウエル)を入れて、37℃で1時間反応させた。ウエルを洗浄後、西洋ワサビペルオキシダーゼで標識されているマウス抗体に対するウサギ抗体をTTBSで5000倍希釈した液(100μl/ウエル)(以下、「酵素標識抗体溶液」と略す。)を入れて、37℃で1時間反応させた。ウエルを洗浄後、O−フェニレンジアミン(0.4mg/ml)および過酸化水素(0.003%)を含む0.1Mクエン酸−リン酸緩衝液(pH5)(100μl/ウエル)(以下、「発色液」と略す。)を入れて室温で15−20分間反応させた。発色反応は1Mの硫酸(50μl/ウエル)(以下、「反応停止液」と略す。)を入れることで停止し、マイクロプレートリーダーで492nmの吸光度を測定して抗体価の確認を行った。なお、ブランクとしては、MG−BSAのかわりにBSAを用いたプレートを準備して用いた。
【0024】
4.細胞融合
免疫したマウスからマウス脾臓を摘出し、よくほぐして脾細胞を得た。得られた脾細胞はRPMI−1640培地で洗浄した。この洗浄した脾細胞と同様にRPMI−1640培地でよく洗浄したミエローマ細胞であるマウス653細胞(P3X63−Ag8,653:CRL・1580)を細胞数が7:1の割合になるように混和し、培地に対して50w/v%のポリエチレングリコール1540溶液を徐々に加えて5分間混和した。これにRPMI−1640培地を加えて反応を停止させた後、5分間遠心分離して上清を廃棄した。これにRPMI−1640培地を加えた後、5分間遠心分離を行い上清を廃棄した。この操作を2回繰り返して細胞を洗浄し、細胞を得た。
【0025】
5.クローニング
前述の得られた細胞に30mlのHAT培地を加えて細胞を懸濁し、96穴マイクロプレートの各ウエルに100μlづつ分注し、HAT培地により選択的にハイブリッド細胞を増殖させた。融合から10日後、HT培地(HAT培地からアミノプテリンを除いたもの)でウエル中の1/2量の培養上清を置換した。この操作を2〜3回繰り返した。培養上清については酵素免疫化学的方法により抗体価を確認し、スクリーニングを行った。なお、抗体価の確認方法は、前述の抗体価の確認方法と同様であるが、試験に用いる試料を血清の代わりに得られた培養上清を用いた。スクリーニングにより抗体活性の確認されたウエルの細胞は限界希釈を行い培養し、最終的にはスクリーニングと限界希釈を繰り返すことによりMG修飾蛋白質に対して高い抗体活性を有し、且つ単一の細胞からなるクローン4株を得た。得られたクローンの産生するモノクローナル抗体はクローンをBALB/Cマウスの腹腔内で増殖させ、その腹水中からプロテイン−A−セファロース4FFカラム(ファルマシア社製)を用いてそれぞれ精製した。
【0026】
〔実施例2〕
得られた4株クローンから得られたMG修飾蛋白質を認識するモノクローナル抗体の内、3C株のモノクローナル抗体の反応特異性について確認を行った。
なお、3C株は通商産業省工業技術院生命工業技術研究所に平成10年2月25日に寄託番号(FERM P−16666)として寄託されている。
1.モノクローナル抗体の反応特異性の評価法−1
本発明のモノクローナル抗体の反応特異性を酵素免疫測定法にて評価した。すなわち、96穴イムノプレートにウエル当たり100μlの糖あるいは、アルデヒド等と共にインキュベートしたBSA(4μg/ml)または、銅酸化した低比重リポ蛋白質(4μg/ml)を加え、4℃で一昼夜静置してプレートに物理吸着させ、ウエル当たり300μlのTTBSで3回洗浄した後、1%BSA含有TTBSもしくは蒸留水で4倍希釈したブロックエース(雪印(株)社製、ブロッキング剤)をウエル当たり300μl加えてブロッキングした。このプレートを上記と同様にTTBSで3回洗浄した後、ウエル当たり100μlのTTBSで希釈した本モノクローナル抗体溶液(1μg/ml)を加えて、37℃で3時間インキュベートした。このプレートをTTBSで3回洗浄した後、西洋ワサビペルオキシダーゼで標識されているマウス抗体に対するウサギ抗体をTTBSで5000倍希釈した液(100μl/ウエル)を入れて、37℃で1時間反応させた。ウエル当たり100μlの発色液を加えて室温で15〜20分間インキュベートした。ウエル当たり50μlの反応停止液を加えた後、マイクロプレートリーダーで492nmの吸光度を測定し、本発明のモノクローナル抗体の反応特異性を評価した。
【0027】
2.モノクローナル抗体の反応特異性評価法−2
本発明のモノクローナル抗体の反応特異性を酵素免疫測定法にて評価した。すなわち、96穴イムノプレートにMGと共にインキュベートしたBSAを加えてプレートに物理吸着させたプレートのウエルに、本発明によるモノクローナル抗体(1μg/ml)に終濃度1mMとなるように各種のMG処理アミノ酸(以下、「MG−アミノ酸」と略すこともある。)を加えたものを試料とする以外は前項に記載の方法と同様にして吸光度を測定し、本発明のモノクローナル抗体の反応特異性を評価した。
【0028】
3.MG処理アミノ酸の調製方法
MG−アミノ酸は、実施例1の「抗原の調製」に記載した方法に準じて調製を行った。すなわち、アミノ酸として、N−α−acetyl−L−lysine(略語:Nacetyl−Lys)または、N−α−acetyl−L−arginine(略語:Nacetyl−Arg)をMGと供にインキュベートしてMG−アミノ酸誘導体を調製した。調製したMG−アミノ酸誘導体は、それぞれ、溶媒系として10%メタノール含有50mM酢酸を流速1.0ml/minとするDevelosil ODS−HG−5(8×250mm;Nomura Chemicals)に供した。溶出プロフィルは、215nmの吸光度によりモニターし、ピークを分取した。得られたピークをマススペクトロメーター(JOEL JMS−DX 705 mass spectrometer)および1H−NMR(Bruker ARX−400 spectrometer)で解析した結果、MG−(Nacetyl−Lys)誘導体として、1,3−di−N−α−acethyllysino−4−methylimidazole(IL)およびN−δ−(Carboxyethyl)−N−α−acethyllysine(CEL)、MG−(Nacetyl−Arg)誘導体として、N−δ−(5−Hydro−5−methyl−4−imidazolon−2−yl)ornithine(5HMI)、N−δ−(5−Hydroxy−4,6−dimethylpyrimidine−2−el)ornithine(慣用名;アルグピリミジン=APと略す。)およびMA1を得た。これらの化合物の構造を次に示した。
【0029】
【化3】
Figure 0004013312
【化4】
Figure 0004013312
【化5】
Figure 0004013312
【化6】
Figure 0004013312
【化7】
Figure 0004013312
【0030】
4.モノクローナル抗体の反応特異性−1
実施例1のモノクローナル抗体に関して蛋白質に対する反応特異性を評価した。すなわち、MG、キシロース、フルクトース、グルコース、アラビノース、ヘキサナール、ペンタナール、プロペナール、ノネナール、オクテナール、ヘキセナール、クロトナール、アクロレイン、マロンジアルデヒド(MDA)、4−ヒドロキシノネナール(HNE)、カルボキシメチルリジン(CML)、銅酸化低比重LDL蛋白質(Cu2+LDL)、フルクトース−6−リン酸(F6P)、グルコース−6−リン酸(G6P)、未処理BSA(Native)などの図1に記載される各種物質と共にインキュベートしたBSAを用い、前記のモノクローナル抗体の反応特異性評価法−1により測定した。その結果を縦軸は物質、横軸は吸光度(O.D.)を示したグラフとして図1に示した。MGとインキュベートしたBSAは認識されるものの、他の物質でインキュベートしたBSAは全く認識されなかった。
【0031】
5.モノクローナル抗体の反応性−2
実施例1のモノクローナル抗体に関してMG−アミノ酸誘導体に対する反応特異性を評価した。すなわち、MG−(Nacetyl−Lys)誘導体として、1,3−di−N−α−acethyllysino−4−methylimidazole(IL)およびN−δ−(Carboxyethyl)−N−α−acethyllysine(CEL)、MG−(Nacetyl−Arg)誘導体として、N−δ−(5−Hydro−5−methyl−4−imidazolon−2−yl)ornithine(5HMI)、N−δ−(5−Hydroxy−4,6−dimethylpyrimidine−2−el)ornithineおよびMA1を競合物質として前記のモノクローナル抗体の反応特異性評価法−2により測定した。その結果を縦軸は競合物質、横軸は吸光度(O.D.)を示したグラフとして図2に示した。その結果、APを競合物質として添加したもののみ吸光度が減少した。従って本抗体はAPを特異的に認識するものの、他のMG−アミノ酸誘導体は全く特異的に認識しないことが明らかとなった。なお、化合物の略号は前記に示したものと同じである。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1は、種々の物質をBSAと共にインキュベートしたBSA修飾体に対する本発明のモノクローナル抗体の反応性について、酵素免疫学的測定法により測定した結果を示すグラフである。
【図2】図2は本発明のモノクローナル抗体の認識構造について、酵素免疫学的測定法により測定した結果を示すグラフである。

Claims (3)

  1. ハイブリッド細胞(寄託番号 FERM P−16666)が産生する、アルグピリミジン構造を認識することを特徴とするモノクローナル抗体であって、1,3−di−N−α−acethyllysino−4−methylimidazole、N−δ−(Carboxyethyl)−N−α−acethyllysine、N−δ−(5−Hydro−5−methyl−4−imidazolon−2−yl)ornithine、N−δ−(5−Hydroxy−4,6−dimethylpyrimidine−2−el)ornithineおよび下記式化に示された化合物からなるMG−アミノ酸誘導体を競合物質とするモノクローナル抗体の反応特異性評価法において、N−δ−(5−Hydroxy−4,6−dimethylpyrimidine−2−el)ornithineの他のMG−アミノ酸誘導体を認識しないモノクローナル抗体。
    Figure 0004013312
  2. メチルグリオキサールで修飾したカギアナカサガイのヘモシアニンを調製し、これを抗原として免疫されたマウスから得られる抗体産生細胞とマウスミエローマ細胞とのハイブリッド細胞(寄託番号 FERM P−16666)が産生する請求項1記載のモノクローナル抗体。
  3. 前記請求項1または記載のモノクローナル抗体を産生することができるハイブリッド細胞(寄託番号 FERM P−16666)。
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