JP5261129B2 - 光学的立体造形物の処理方法 - Google Patents

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本発明は、光硬化性樹脂組成物を用いて製造される光学的立体造形物の処理方法およびそれにより得られる光学的立体造形物に関する。より詳細には、本発明は、光学的立体造形物の外観、透明性、寸法安定性、物性などを損なうことなく、良好に維持しながら、光学的立体造形物の表面のべたつきを、短時間で速やかに無くすことのできる処理方法、および当該処理より得られる光学的立体造形物に関する。
近年、三次元CADに入力されたデータに基づいて光硬化性樹脂組成物を光硬化させて立体造形物を製造する光造形方法および装置が実用化されている。この光造形技術は、設計の途中で外観デザインを検証するためのモデル、部品の機能性をチェックするためのモデル、鋳型を製作するための樹脂型、金型を製作するためのベースモデルなどのような複雑な三次元物体を容易に造形できるという長所を有する。
光造形技術によって立体造形物を製造するに当たっては、光硬化性樹脂組成物よりなる造形面に、コンピューターで制御された光を選択的に照射して所定の厚みに光硬化させて所定の形状パターンを有する硬化樹脂層を形成し、その硬化樹脂層の上に更に1層分の光硬化性樹脂組成物を施して造形面を形成させ、その造形面にコンピューターで制御された光を選択的に照射して所定の厚みに光硬化させて所定の形状パターンを有する硬化樹脂層を形成するという造形操作を、所定の寸法および形状の立体造形物が得られるまで多数回繰り返す造形方法が一般に広く採用されている。
上記した光造形技術により得られる造形直後の立体造形物では、表面に未硬化の光硬化性樹脂組成物(樹脂液)が付着しており、未硬化物を除去するために、エタノールなどのアルコールやケトンなどの有機溶媒による洗浄、水を主成分とする洗浄液による洗浄(特許文献1を参照)、エチレングリコールなどのアルキレングリコールやプロピレンカーボネートなどによる洗浄(特許文献2を参照)などが行われている。
これらの洗浄処理により得られる光学的立体造形物では、洗浄によって光学的立体造形物の表面に付着していた未硬化物は除去されるが、洗浄剤が光学的立体造形物の表面に長く残っていたり、光学的立体造形物自体の硬化が未だ完全に行われていないためか、光学的立体造形物の表面がべたついていることが多く、光学的立体造形物の洗浄後に1週間程度放置しておくことによって漸く表面のべたつきが無くなるというのが実状である。
光造形して得られる光学的立体造形物を速やかに使用する必要があるときに、立体造形物の表面がべたついていると、取り扱い性や触感に劣り、しかもべたついた表面に塵埃や汚れが付着し易いという問題がある。
かかる点から、光造形直後の光学的立体造形物自体またはそれを洗浄して表面に付着している未硬化物を除去してなる光学的立体造形物の表面を、長期間放置しなくても、光造形後に速やかにべたつきの無い状態にすることのできる技術の開発が従来から求められてきた。
特開平2−111529号公報 特開2001−354996号公報 特開2008−100351号公報
本発明の目的は、光造形して得られる光学的立体造形物を、長期間放置しなくても、光造形後にまたは光造形して洗浄した後に、光学的立体造形物の外観、透明性、寸法、形状などを良好に維持しながら、べたつきの無い状態に速やかに変えて、取り扱い性、触感、耐汚染性に優れる光学的立体造形物にすることのできる方法を提供することである。
上記の目的を達成すべく本発明者らは鋭意検討を重ねてきた。その結果、光造形によって得られる光学的立体造形物を、光造形後に、そのまま直接、セルロースエステルおよびセルロースエーテルから選ばれるセルロース系誘導体を溶解した溶液で処理すると、短時間のうちに光学的立体造形物の表面のべたつきが解消されて、取り扱い性、触感、耐汚染性などに優れたものになることを見出した。
また、本発明者らは、べたつきを速やかに解消するための前記処理方法は、表面に付着していた未硬化物を洗浄剤で洗浄・除去した後の光学的立体造形物に対して適用した場合にも有効であることを見出した。
さらに、本発明者らは、セルロースエステルおよびセルロースエーテルから選ばれるセルロース系誘導体を溶解した溶液による前記した処理は、光学的立体造形物の製造に用いた光硬化性樹脂組成物の種類や組成の如何に拘わらず、表面にべたつきのある光学的立体造形物のいずれに対しても有効であり、特に、カチオン重合性有機化合物、ラジカル重合性有機化合物、光感受性カチオン重合開始剤および光感受性ラジカル重合開始剤を含有する光硬化性樹脂組成物を用いて製造された光学的立体造形物に対して有効であることを見出した。
また、本発明者らは、(A)分岐していてもよい炭素数8以上の長鎖アルキル基および長鎖アルケニル基から選ばれる基を1個以上有する(メタ)アクリレート系化合物、(B)分岐していてもよい炭素数8以上の長鎖アルキル基および長鎖アルケニル基から選ばれる基を1個以上有するエポキシ化合物、(C)ヒンダードフェノール系化合物、(D)アルキル基の炭素数が8以上であるジアルキルフタレート系化合物、および(E)アルキル基の炭素数が8以上であるトリアルキルトリメリテート系化合物から選ばれる少なくとも1種の化合物を含有する光硬化性樹脂組成物を用いて光造形を行なうと、光学的立体造形物の造形端面における凹凸部の少なくとも一部に前記した化合物に由来する成分が偏積して凹凸の度合が低減して造形端面の滑らかさおよび透明性に優れる光学的立体造形物が得られることを見出して先に出願したが(特許文献3を参照)、これにより得られる光学的立体造形物に対して、セルロースエステルおよびセルロースエーテルから選ばれるセルロース系誘導体の少なくとも1種を溶解した溶液で処理する前記した方法を適用すると、べたつきがなくて、触感、透明性、造形端面の滑らかさなどに一層優れる、高品質の立体造形物が得られることを見出し、それらの種々の知見に基づいて本発明を完成した。
すなわち、本発明は、
(1) 光学的立体造形物の表面を、セルロースエステルおよびセルロースエーテルから選ばれるセルロース系誘導体の少なくとも1種を溶解した溶液で処理することを特徴とする光学的立体造形物の処理方法である。
そして、本発明は、
(2) セルロース系誘導体の少なくとも1種が、ニトロセルロース、アセチルセルロース、プロピオニルセルロース、ブチリルセルロース、アセチルプロピオニルセルロース、アセチルブチリルセルロースおよびエチルセルロースから選ばれる少なくとも1種である前記した(1)の光学的立体造形物の処理方法;および、
(3) 光学的立体造形物が、ラジカル重合性有機化合物、カチオン重合性有機化合物、光感受性ラジカル重合開始剤および光感受性カチオン重合開始剤を含有する光硬化性樹脂組成物を用いて製造された光学的立体造形物である前記(1)または(2)の光学的立体造形物の処理方法;
である。
さらに、本発明は、
(4) 光学的立体造形物が、(A)分岐していてもよい炭素数8以上の長鎖アルキル基および長鎖アルケニル基から選ばれる基を1個以上有する(メタ)アクリレート系化合物、(B)分岐していてもよい炭素数8以上の長鎖アルキル基および長鎖アルケニル基から選ばれる基を1個以上有するエポキシ化合物、(C)ヒンダードフェノール系化合物、(D)アルキル基の炭素数が8以上であるジアルキルフタレート系化合物および(E)アルキル基の炭素数が8以上であるトリアルキルトリメリテート系化合物から選ばれる少なくとも1種の化合物を含有する光硬化性樹脂組成物を用いて製造された光学的立体造形物である前記(1)〜(3)のいずれかの光学的立体造形物の処理方法;
(5) 光学的立体造形物が、オキセタン基を1個有するモノオキセタン化合物およびオキセタン基を2個以上有するポリオキセタン化合物から選ばれる少なくとも1種のオキセタン化合物を含有する光硬化性樹脂組成物を用いて製造された光学的立体造形物である前記(1)〜(4)のいずれかの光学的立体造形物の処理方法;
(6) 光学的立体造形物の表面のべたつきの解消を促進するための処理である、前記した(1)〜(5)のいずれかの光学的立体造形物の処理方法;および、
(7) 前記(1)〜(6)のいずれかの処理方法で得られる光学的立体造形物;
である。
本発明の処理方法によって光学的立体造形物を処理すると、光学的立体造形物の外観、透明性、力学的特性、その他の物性を良好に維持しながら、光学的立体造形物の表面のべたつきを短時間で速やかに解消して、取り扱い性、触感、耐汚染性などに優れる光学的立体造形物にすることができる。
本発明の処理方法は、光学的立体造形物の製造に用いた光硬化性樹脂組成物の種類や組成の如何に拘わらず、表面にべたつきのある光学的立体造形物のいずれに対しても有効に使用することができ、特に、カチオン重合性有機化合物、ラジカル重合性有機化合物、光感受性カチオン重合開始剤および光感受性ラジカル重合開始剤を含有する光硬化性樹脂組成物を用いて製造された光学的立体造形物の処理方法として有効である。
さらに、本発明の処理方法は、(A)分岐していてもよい炭素数8以上の長鎖アルキル基および長鎖アルケニル基から選ばれる基を1個以上有する(メタ)アクリレート系化合物、(B)分岐していてもよい炭素数8以上の長鎖アルキル基および長鎖アルケニル基から選ばれる基を1個以上有するエポキシ化合物、(C)ヒンダードフェノール系化合物、(D)アルキル基の炭素数が8以上であるジアルキルフタレート系化合物、および(E)アルキル基の炭素数が8以上であるトリアルキルトリメリテート系化合物から選ばれる少なくとも1種の化合物を含有する光硬化性樹脂組成物を用いて光造形して得られる光学的立体造形物の処理方法として適しており、当該光学的立体造形物の表面のべたつきを速やかに解消して、造形端面の滑らかさや透明性などに優れる光学的立体造形物を短時間で提供することができる。
以下に本発明について詳細に説明する。
本発明では、光学的立体造形物の表面を、セルロースエステルおよびセルロースエーテルから選ばれるセルロース系誘導体の少なくとも1種を溶解した溶液で処理する。
本発明でいう「セルロースエステル」とは、セルロースの水酸基の一部または全部が酸によってエステル化された化合物の総称である。本発明で用い得るセルロースエステルの具体例としては、ニトロセルロース(硝酸セルロース)、アセチルセルロース(酢酸セルロース)、プロピオニルセルロース(プロピオン酸セルロース)、ブチリルセルロース(酪酸セルロース)、アセチルプロピオニルセルロース(酢酸プロピオン酸セルロース)、アセチルブチリルセルロース(酢酸酪酸セルロース)、吉草酸セルロース、カプロン酸セルロースなどを挙げることができる。
また、本発明でいう「セルロースエーテル」とは、セルロースの水酸基の一部または全部がエーテル化されたセルロースの総称であり、本発明で用い得るセルロースエーテルの具体例としては、エチルセルロース、メチルセルロース、ベンジルセルロース、カルボキシメチルセルロースなどを挙げることができる。
そのうちでも、本発明では、セルロース系誘導体として、ニトロセルロース、アセチルセルロース、プロピオニルセルロース、ブチリルセルロース、アセチルプロピオニルセルロース、アセチルブチリルセルロースから選ばれるセルロースエステル、およびエチルセルロースが、取り扱い性、べたつき防止性、入手容易性、コストなどの点から好ましく用いられ、ニトロセルロース、アセチルセルロース、アセチルプロピオニルセルロースおよびアセチルブチリルセルロースがより好ましく用いられる。
本発明では、前記したセルロースエステルおよびセルロースエーテルから選ばれるセルロース系誘導体の1種または2種以上を用いることができる。
セルロースエステルおよびセルロースエーテルは、セルロースを構成するグルコース単位が有する3個の水酸基のエステル化度またはエーテル化度によって性質が異なるが、本発明では、べたつきの解消性能、取り扱い性、入手容易性、コストなどの点から、セルロースエステルおよびセルロースエーテルとして、セルロースを構成するグルコース単位の3個の水酸基のうちの1.7〜3個がエステル化またはエーテル化されている置換度1.7〜3のセルロースエステルおよび/またはセルロースエーテルが好ましく用いられ、3個の水酸基のうちの1.8〜2.9個がエステル化またはエーテル化されている置換度1.8〜2.9のセルロースエステルおよび/またはセルロースエーテルがより好ましく用いられ、3個の水酸基のうちの1.9〜2.8個がエステル化またはエーテル化されている置換度1.9〜2.8のセルロースエステルおよび/またはセルロースエーテが更に好ましく用いられる。
本発明では、セルロースエステルおよびセルロースエーテルから選ばれるセルロース系誘導体の少なくとも1種を溶媒に溶解した溶液を用いて光学的立体造形物の処理を行なうことが必要である。
セルロースエステルおよび/またはセルロースエーテルを用いる場合であっても、溶媒に溶解せずに、非溶媒に分散させて分散液にして光学的立体造形物の処理を行なった場合には、光学的立体造形物表面のべたつきを速やかに解消することは困難である。
セルロースエステルおよび/またはセルロースエーテルを溶解するための溶媒としては、セルロースエステルおよび/またはセルロースエーテルを溶解することができ、且つ光学的立体造形物に対して、例えば、外観の低下、透明性の低下、物性低下などの悪影響を及ぼさない溶媒であればいずれも使用することができる。
限定されるものではないが、ニトロセルロースを用いる場合の溶媒としては、例えば、酢酸エチル、酢酸ブチル、酢酸アミル、乳酸エチル、酢酸セロソルブなどのカルボン酸エステル類、アセトン、エチルメチルケトン、メチルイソブチルケトン、ジアセトンアルコール、シクロヘキサノンなどのケトン類、セロソルブ(エチルセロソルブ)、ブチルセロソルブなどのエーテル類(セロソルブ類)などを挙げることができ、これらの1種または2種以上を用いることができる。また、場合により前記した溶媒の1種または2種以上と共に、メチルアルコール、エチルアルコール、ブチルアルコールなどのアルコールの1種または2種以上を助溶媒として併用してもよい。
そのうちでも、ニトロセルロースを用いる場合は、溶媒として、アセトン、酢酸セロソルブが好ましく用いられる。
また、アセチルセルロース、プロピオニルセルロース、ブチリルセルロース、アセチルプロピオニルセルロース、アセチルブチリルセルロースなどのセルロースのカルボン酸エステルを用いる場合の溶媒としては、例えば、酢酸メチル、酢酸エチル、乳酸エチル、酢酸セロソルブなどのカルボン酸エステル類、エタノール、イソプロパノール、ブタノールなどのアルコール類、アセトン、エチルメチルケトン、ジアセトンアルコール、メチルイソブチルケトンなどのケトン類、メチルセロソルブアセテート、エチルセロソルブアセテートなどのエステル類、ニトロメタン、ニトロプロパンなどのニトロアルカン類、ニトロメタンやニトロプロパンなどのニトロアルカン類とメタノールやエタノールなどのアルコール類との混合溶媒、塩化メチレン、塩化エチレン、クロロホルムなどのハロゲン化アルカン類、塩化メチレンや塩化エチレンなどのハロゲン化アルカンとエタノールなどのアルコールとの混合溶媒などを挙げることができ、これらの1種または2種以上を用いることができる。
エチルセルロースなどのセルロースエーテルを用いる場合の溶媒としては、メタノール、エタノール、イソプロパノール、ブタノールなどのアルコール類、各種ケトン類、各種かカルボン酸エステル類、各種エーテル類などを挙げることができ、これらの1種または2種以上を用いることができる。
光学的立体造形物の処理に用いる、セルロースエステルおよびセルロースエーテルから選ばれるセルロース系誘導体の少なくとも1種を溶解した溶液(以下これを「セルロース系誘導体溶液」ということがある)における当該セルロース系誘導体の濃度は、セルロース系誘導体溶液の調製の容易性(溶媒へのセルロース系誘導体の溶解に要する時間の短縮化)、セルロース系誘導体溶液の取り扱い性、光学的立体造形物への施工性(塗布性など)、光学的立体造形物にセルロース系誘導体溶液を施した後の乾燥性、光学的立体造形物表面のべたつきの早期解消性、光学的立体造形物の外観や寸法の維持、物性の維持などの点から、0.1〜20質量%であることが好ましく、0.1〜5質量%であることがより好ましく、0.1〜3質量%であることが更に好ましい。
セルロース系誘導体溶液を用いて光学的立体造形物を処理するに当たっては、光学的立体造形物の表面にセルロース系誘導体溶液を噴霧、散布、ハケ塗り、流延などによって塗布してもよいし、光学的立体造形物をセルロース系誘導体溶液中に浸漬してもよいし、塗布と浸漬を併用してもよい。処理時のセルロース系誘導体溶液の温度としては、通常、室温が好ましく採用される。
セルロース系誘導体溶液による光学的立体造形物の処理は、光造形直後の洗浄処理前の光学的立体造形物(表面に付着している未硬化物を洗浄により除去する前の光学的立体造形物)に対して行なってもよいし、光造形後に洗浄して表面に付着している未硬化物を除去した後の光学的立体造形物に対して行なってもよいし、或いは光造形後に洗浄して表面に付着している未硬化物を除去した後に光や熱を用いて後硬化処理を行なって得られる光学的立体造形物に対して行なってもよい。そのうちでも、本発明の処理方法は、光造形後に洗浄してなる光学的立体造形物に対して行なうことが、取り扱い性、べたつきの低減などの点から好ましい。
セルロース系誘導体溶液で処理した光学的立体造形物は、そのまま室温下に放置してもよいし、積極的な乾燥処理を行なってもよい。乾燥処理方法としては、冷風、温風、熱風による風乾、加熱炉による乾燥、真空乾燥などを挙げることができる。
セルロース系誘導体溶液を用いる本発明の処理方法によって、光学的立体造形物の外観、透明性、寸法安定、物性などを損なうことなく良好に維持しながら、光学的立体造形物の表面のべたつきを短時間で解消することができる。一般的には、セルロース系誘導体溶液を用いて光学的立体造形物を処理し、処理後にそのまま室温下に放置した場合であっても、セルロース系誘導体溶液による処理後、60分以内、短い場合は30分以内、更に短い場合は15分以内に光学的立体造形物表面のべたつきを解消することができる。
しかも、本発明の処理方法を行なうことにより、光学的立体造形物の表面のべたつきの早期解消だけでなく、外観の向上をも達成することができる。
セルロース系誘導体溶液で処理することによって光学的立体造形物のべたつきが速やかに解消される理由は明確ではないが、セルロースエステルおよび/またはセルロースエーテルが、光学的立体造形物の表面に存在する未反応の活性基などに対して酸化作用など及ぼすことによるのではないかと推測される。
本発明の処理方法を施す光学的立体造形物としては、光硬化性樹脂組成物を使用し、当該光硬化性樹脂組成物よりなる造形面に、光を選択的に照射して所定の厚みに光硬化させて所定の形状パターンを有する硬化樹脂層を形成し、その硬化樹脂層の上に更に1層分の光硬化性樹脂組成物を施して造形面を形成させ、その造形面に光を選択的に照射して所定の厚みに光硬化させて所定の形状パターンを有する硬化樹脂層を形成するという造形操作を多数回繰り返すという光造形方法によって得られる光学的立体造形物であればいずれでもよい。特に、本発明の処理方法は、前記した光学的立体造形物であって、光造形直後や、光造形後に洗浄処理した時点や、光造形後に洗浄した後に硬化した時点などにおいて、表面がべたついている光学的立体造形物の処理方法として有効である。
セルロース系誘導体溶液による処理を施す光学的立体造形物は、(a)ラジカル重合性有機化合物および光感受性ラジカル重合開始剤を含有する光硬化性樹脂組成物、(b)カチオン重合性有機化合物および光感受性カチオン重合開始剤を含有する光硬化性樹脂組成物、または(c)ラジカル重合性有機化合物、カチオン重合性有機化合物、光感受性ラジカル重合開始剤および光感受性カチオン重合開始剤を含有する光硬化性樹脂組成物のいずれから製造されていてもよい。そのうちでも、光学的立体造形物は、前記(c)の光硬化性樹脂組成物、すなわちラジカル重合性有機化合物、カチオン重合性有機化合物、光感受性ラジカル重合開始剤および光感受性カチオン重合開始剤を含有する光硬化性樹脂組成物を用いて製造されていることが、光学的立体造形物を製造する際の造形速度が速く、しかも光学的立体造形物の力学的特性および造形精度などに優れることから好ましい。
前記(b)および(c)の光硬化性樹脂組成物、特に前記(c)の光硬化性樹脂組成物において、光硬化性樹脂組成物中に含まれるカチオン重合性有機化合物の一部として、オキセタン基を1個有するモノオキセタン化合物およびオキセタン基を2個以上有するポリオキセタン化合物から選ばれる少なくとも1種のオキセタン化合物を含有させると、光硬化性樹脂組成物の光硬化感度が向上すると共に、硬化時の体積収縮率の低減による寸法精度の向上、耐水性および耐湿性の改良による寸法安定性の向上などを図ることができる。
前記(a)および(c)の光硬化性樹脂組成物で用いるラジカル重合性有機化合物としては、光感受性ラジカル重合開始剤の存在下に光を照射したときに重合反応および/または架橋反応を生ずる化合物のいずれもが使用でき、代表例としては、(メタ)アクリレート系化合物、不飽和ポリエステル化合物、アリルウレタン系化合物、ポリチオール化合物などを挙げることができ、前記したラジカル重合性有機化合物の1種または2種以上を用いることができる。そのうちでも、1分子中に少なくとも1個の(メタ)アクリル基を有する化合物が好ましく用いられ、具体例としては、エポキシ化合物と(メタ)アクリル酸との反応生成物、アルコール類の(メタ)アクリル酸エステル、ウレタン(メタ)アクリレート、ポリエステル(メタ)アクリレート、ポリエーテル(メタ)アクリレートなどを挙げることができる。
上記したエポキシ化合物と(メタ)アクリル酸との反応生成物としては、芳香族エポキシ化合物、脂環族エポキシ化合物および/または脂肪族エポキシ化合物と、(メタ)アクリル酸との反応により得られる(メタ)アクリレート系反応生成物を挙げることができる。芳香族エポキシ化合物と(メタ)アクリル酸との反応により得られる(メタ)アクリレート系反応生成物の具体例としては、ビスフェノールAやビスフェノールFなどのビスフェノール化合物またはそのアルキレンオキサイド付加物とエピクロルヒドリンなどのエポキシ化剤との反応によって得られるグリシジルエーテルを、(メタ)アクリル酸と反応させて得られる(メタ)アクリレート、エポキシノボラック樹脂と(メタ)アクリル酸を反応させて得られる(メタ)アクリレート系反応生成物などを挙げることができる。
また、上記したアルコール類の(メタ)アクリル酸エステルとしては、分子中に少なくとも1個の水酸基をもつ芳香族アルコール、脂肪族アルコール、脂環族アルコールおよび/またはそれらのアルキレンオキサイド付加体と、(メタ)アクリル酸との反応により得られる(メタ)アクリレートを挙げることができる。
より具体的には、例えば、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート、イソオクチル(メタ)アクリレート、テトラヒドロフルフリル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、1,4−ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールポリ(メタ)アクリレート[ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレートなど]、エトキシ化ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、前記したジオール、トリオール、テトラオール、ヘキサオールなどの多価アルコールのアルキレンオキシド付加物の(メタ)アクリレートなどを挙げることができる。
そのうちでも、アルコール類の(メタ)アクリレートとしては、多価アルコールと(メタ)アクリル酸との反応により得られる1分子中に2個以上の(メタ)アクリル基を有する(メタ)アクリレートが好ましく用いられる。
また、前記した(メタ)アクリレート化合物のうちで、メタクリレート化合物よりも、アクリレート化合物が重合速度の点から好ましく用いられる。
また、上記したウレタン(メタ)アクリレートとしては、例えば、水酸基含有(メタ)アクリル酸エステルとイソシアネート化合物を反応させて得られる(メタ)アクリレートを挙げることができる。前記水酸基含有(メタ)アクリル酸エステルとしては、脂肪族2価アルコールと(メタ)アクリル酸とのエステル化反応によって得られる水酸基含有(メタ)アクリル酸エステルが好ましく、具体例としては、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレートなどを挙げることができる。また、前記イソシアネート化合物としては、トリレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネートなどのような1分子中に2個以上のイソシアネート基を有するポリイソシアネート化合物が好ましい。
さらに、上記したポリエステル(メタ)アクリレートとしては、水酸基含有ポリエステルと(メタ)アクリル酸との反応により得られるポリエステル(メタ)アクリレートを挙げることができる。
また、上記したポリエーテル(メタ)アクリレートとしては、水酸基含有ポリエーテルとアクリル酸との反応により得られるポリエーテルアクリレートを挙げることができる。
上記(b)および(c)の光硬化性樹脂組成物で用い得るカチオン重合性有機化合物としては、例えば、《1》脂環族エポキシ樹脂、脂肪族エポキシ樹脂、芳香族エポキシ樹脂などのエポキシ化合物;《2》環状エーテルまたは環状アセタール化合物(オキセタン化合物、テトラヒドロフラン、2,3−ジメチルテトラヒドロフランのようなオキソラン化合物、トリオキサン、1,3−ジオキソラン、1,3,6−トリオキサンシクロオクタンなど);《3》環状ラクトン化合物(β−プロピオラクトン、ε−カプロラクトンなど);《4》チイラン化合物(エチレンスルフィド、チオエピクロロヒドリンなど);《5》チエタン化合物(1,3−プロピンスルフィド、3,3−ジメチルチエタンなど);《6》ビニルエーテル化合物[エチレングリコールジビニルエーテル、アルキルビニルエーテル、3,4−ジヒドロピラン−2−メチル(3,4−ジヒドロピラン−2−カルボキシレート)、トリエチレングリコールジビニルエーテルなど];《7》エポキシ化合物とラクトンとの反応によって得られるスピロオルソエステル化合物;《8》ビニルシクロヘキサン、イソブチレン、ポリブタジエンのようなエチレン性不飽和化合物などを挙げることができる。
上記したうちでも、カチオン重合性有機化合物としては、エポキシ化合物[特に1分子中に2個以上のエポキシ基を有するポリエポキシ化合物(エポキシ樹脂)]が好ましく用いられ、当該エポキシ化合物とオキセタン化合物の併用がより好ましい。特に、1分子中に2個以上のエポキシ基を有する脂環式ポリエポキシ化合物(脂環族エポキシ樹脂)とオキセタン化合物を併用すると、光硬化性樹脂組成物の粘度が低くなって造形が円滑に行われ、しかもカチオン重合速度、厚膜硬化性、解像度、紫外線透過性などが良好になり、得られる光学的立体造形物の体積収縮率が小さくなる。
上記した脂環族エポキシ樹脂(脂環式ポリエポキシ化合物)としては、少なくとも1個の脂環族環を有する多価アルコールのポリグリシジルエーテル、或いはシクロヘキセンまたはシクロペンテン環含有化合物を過酸化水素、過酸等の適当な酸化剤でエポキシ化して得られるシクロヘキセンオキサイドまたはシクロペンテンオキサイド含有化合物などを挙げることができる。より具体的には、脂環族エポキシ樹脂(脂環式ポリエポキシ化合物)として、例えば、水素添加ビスフェノールAジグリシジルエーテル、3,4−エポキシシクロヘキシルメチル−3’,4’−エポキシシクロヘキサンカルボキシレート、2−(3,4−エポキシシクロヘキシル−5,5−スピロ−3,4−エポキシ)シクロヘキサン−メタ−ジオキサン、ビス(3,4−エポキシシクロヘキシルメチル)アジペート、ビニルシクロヘキセンジオキサイド、4−ビニルエポキシシクロヘキサン、ビス(3,4−エポキシ−6−メチルシクロヘキシルメチル)アジペート、3,4−エポキシ−6−メチルシクロヘキシル−3,4−エポキシ−6−メチルシクロヘキサンカルボキシレート、メチレンビス(3,4−エポキシシクロヘキサン)、ジシクロペンタジエンジエポキサイド、エチレングリコールのジ(3,4−エポキシシクロヘキシルメチル)エーテル、エチレンビス(3,4−エポキシシクロヘキサンカルボキシレート)などを挙げることができる。
また、上記した脂肪族エポキシ樹脂としては、例えば、脂肪族多価アルコールまたはそのアルキレンオキサイド付加物のポリグリシジルエーテル、脂肪族長鎖多塩基酸のポリグリシジルエステル、グリシジルアクリレートやグリシジルメタクリレートのホモポリマー、コポリマーなどを挙げることができる。より具体的には、例えば、1,4−ブタンジオールのジグリシジルエーテル、1,6−ヘキサンジオールのジグリシジルエーテル、グリセリンのトリグリシジルエーテル、トリメチロールプロパンのジグリシジルエーテル、トリメチロールプロパンのトリグリシジルエーテル、ソルビトールのテトラグリシジルエーテル、ジペンタエリスリトールのヘキサグリシジルエーテル、ポリエチレングリコールのジグリシジルエーテル、ポリプロピレングリコールのジグリシジルエーテル、エチレングリコール、プロピレングリコール、グリセリン等の脂肪族多価アルコールに1種または2種以上のアルキレンオキサイドを付加することにより得られるポリエーテルポリオールのポリグリシジルエーテル、脂肪族長鎖二塩基酸のジグリシジルエステルなどを挙げることができる。
また、上記した芳香族エポキシ樹脂としては、例えば少なくとも1個の芳香核を有する1価または多価フェノール或いはそのアルキレンオキサイド付加体のモノまたはポリグリシジルエーテルを挙げることができ、具体的には、例えばビスフェノールAやビスフェノールFまたはそのアルキレンオキサイド付加体とエピクロルヒドリンとの反応によって得られるグリシジルエーテル、エポキシノボラック樹脂、フェノール、クレゾール、ブチルフェノールまたはこれらにアルキレンオキサイドを付加することにより得られるポリエーテルアルコールのモノグリシジルエーテルなどを挙げることができる。
また、上記したオキセタン化合物としては、分子中にオキセタン基を1個有するモノオキセタン化合物(OXm)および分子中にオキセタン基を2個以上有するポリオキセタン化合物(OXp)の1種または2種以上を用いることができる。
モノオキセタン化合物(OXm)としては、1分子中にオキセタン基を1個有する化合物であればいずれも使用でき、例えば、トリメチレンオキシド、3,3−ジメチルオキセタン、3,3−ジクロロメチルオキセタン、3−メチル−3−フェノキシメチルオキセタン、分子中にオキセタン基1個とアルコール性水酸基1個を有するモノオキセタンモノアルコールなどを挙げることができ、そのうちでも、反応性、光硬化性樹脂組成物の粘度などの点からモノオキセンタンモノアルコール化合物が好ましく用いられる。
特に、モノオキセタンモノアルコール化合物のうちでも、下記の一般式(I−a)で表されるモノオキセタン化合物(I−a)および下記の一般式(I−b)で表されるモノオキセタン化合物(I−b)から選ばれる少なくとも1種のモノオキセタン化合物が、入手容易性、反応性などの点から好ましく用いられる。特に、モノオキセタン化合物(OXm)として、下記の一般式(I−b)で表されるモノオキセタン化合物(I−b)を用いると、光造形用樹脂組成物およびそれから得られる立体造形物の耐水性がより良好になる。
Figure 0005261129

(式中、R1およびR2は炭素数1〜5のアルキル基、R3はエーテル結合を有していてもよい炭素数2〜10のアルキレン基、qは1〜6の整数を示す。)
上記の一般式(I−a)において、R1の例としては、メチル、エチル、プロピル、ブチル、ペンチルを挙げることができる。また、上記の一般式(I−a)において、qは1〜6のうちのいずれでもよいが、1であることが、入手性、反応性の点から好ましい。
モノオキセタン化合物(I−a)の具体例としては、3−ヒドロキシメチル−3−メチルオキセタン、3−ヒドロキシメチル−3−エチルオキセタン、3−ヒドロキシメチル−3−プロピルオキセタン、3−ヒドロキシメチル−3−ノルマルブチルオキセタン、3−ヒドロキシメチル−3−プロピルオキセタンなどを挙げることができ、これらの1種または2種以上を用いることができる。そのうちでも、入手の容易性、反応性などの点から、3−ヒドロキシメチル−3−メチルオキセタン、3−ヒドロキシメチル−3−エチルオキセタンがより好ましく用いられる。
上記の一般式(I−b)において、R2の例としては、メチル、エチル、プロピル、ブチル、ペンチルを挙げることができる。
また、上記の一般式(I−b)において、R3は炭素数2〜10のアルキレン基であれば、鎖状のアルキレン基または分岐したアルキレン基のいずれであってもよく、或いはアルキレン基(アルキレン鎖)の途中にエーテル結合(エーテル系酸素原子)を有する炭素数2〜10の鎖状または分岐状のアルキレン基であってもよい。R3の具体例としては、エチレン基、トリメチレン基、テトラメチレン基、エトキシエチレン基、ペンタメチレン基、ヘキサメチレン基、ヘプタメチレン基、3−オキシペンチレン基などを挙げることができる。そのうちでも、R3はトリメチレン基、テトラメチレン基、ペンタメチレン基、ヘプタメチレン基またはエトキシエチレン基であることが、合成の容易性、化合物が常温で液体であり、取り扱い易いなどの点から好ましい。
ポリオキセタン化合物(OXp)としては、 ポリオキセタン化合物(OXp)としては、オキセタン基を2個以上有する化合物、例えばオキセタン基を2個、3個または4個以上有する化合物のうちのいずれもが使用でき、そのうちでもオキセタン基を2個有するジオキセタン化合物が好ましく用いられる。
特に、ジオキセタン化合物としては、下記の一般式(b);
Figure 0005261129

(式中、2個のR4は互いに同じかまたは異なる炭素数1〜5のアルキル基、R5は芳香環を有しているかまたは有していない2価の有機基、rは0または1を示す。)
で表されるジオキセタン化合物(II)が、入手の容易性、反応性、低吸湿性、得られる硬化物の力学的特性などの点から好ましく用いられる。
上記の一般式(b)において、R4の例としては、メチル、エチル、プロピル、ブチル、ペンチルを挙げることができる。また、R5の例としては、炭素数1〜12の直鎖状または分岐状のアルキレン基(例えばエチレン基、プロピレン基、ブチレン基、ネオペンチレン基、n−ペンタメチレン基、n−ヘキサメチレン基など)、式:−CH2−Ph−CH2−または−CH2−Ph−Ph−CH2−で表される2価の基、水素添加ビスフェノールA残基、水素添加ビスフェノールF残基、水素添加ビスフェノールZ残基、シクロヘキサンジメタノール残基、トリシクロデカンジメタノール残基などを挙げることができる。
上記の一般式(II)で表されるジオキセタン化合物(b)の具体例としては、下記の式(II−a)または式(II−b)で表されるジオキセタン化合物を挙げることができる。
Figure 0005261129

(式中、2個のR4は互いに同じか又は異なる炭素数1〜5のアルキル基、R5は芳香環を有しているかまたは有していない2価の有機基を示す。)
上記の式(II−a)で表されるジオキセタン化合物の具体例としては、ビス(3−メチル−3−オキセタニルメチル)エーテル、ビス(3−エチル−3−オキセタニルメチル)エーテル、ビス(3−プロピル−3−オキセタニルメチル)エーテル、ビス(3−ブチル−3−オキセタニルメチル)エーテルなどを挙げることができる。
また、上記の式(II−b)で表されるジオキセタン化合物の具体例としては、上記の式(II−b)において2個のR4が共にメチル、エチル、プロピル、ブチルまたはペンチル基で、R5がエチレン基、プロピレン基、ブチレン基、ネオペンチレン基、n−ペンタメチレン基、n−ヘキサメチレン基など)、式:−CH2−Ph−CH2−または−CH2−Ph−Ph−CH2−で表される2価の基、水素添加ビスフェノールA残基、水素添加ビスフェノールF残基、水素添加ビスフェノールZ残基、シクロヘキサンジメタノール残基、トリシクロデカンジメタノール残基であるジオキセタン化合物を挙げることができる。
光造形用樹脂組成物は、前記したジオキセタン化合物のうちの1種または2種以上を含有することができる。
そのうちでも、ポリオキセタン化合物(OXp)として、上記の式(II−a)において、2個のR5が共にメチル基またはエチル基であるビス(3−メチル−3−オキセタニルメチル)エーテルおよび/またはビス(3−エチル−3−オキセタニルメチル)エーテルが、入手の容易性、低吸湿性、硬化物の力学的特性などの点から好ましく用いられ、特にビス(3−エチル−3−オキセタニルメチル)エーテルがより好ましく用いられる。
上記(b)および(c)の光硬化性樹脂組成物では、光硬化性樹脂組成物中に含まれるカチオン重合性有機化合物の質量に基づいて、1分子中に2個以上のエポキシ基を有するポリエポキシ化合物(エポキシ樹脂)を30質量%以上、更には40質量%以上、特に50質量%以上の割合で含有することが好ましい。
また、上記(b)および(c)の光硬化性樹脂組成物が、カチオン重合性有機化合物の一部としてオキセタン化合物を含有する場合は、オキセタン化合物の含有量は、カチオン重合性有機化合物の質量に基づいて、1〜70質量%であることが好ましく、1〜60質量%であることがより好ましい。
また、上記(c)の光硬化性樹脂組成物では、ラジカル重合性有機化合物:カチオン重合性有機化合物の含有割合が、質量比で、9:1〜1:9であることが好ましく、8:2〜2:8であることがより好ましい。
上記(a)および(c)の光硬化性樹脂組成物が含有する光感受性ラジカル重合開始剤(以下「光ラジカル重合開始剤」という)としては、光を照射したときにラジカル重合性有機化合物のラジカル重合を開始させ得る重合開始剤のいずれもが使用でき、例えば、1−ヒドロキシ−シクロヘキシルフェニルケトンなどのフェニルケトン系化合物、ベンジルジメチルケタール、ベンジル−β−メトキシエチルアセタール、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトンなどベンジルまたはそのジアルキルアセタール系化合物、ジエトキシアセトフェノン、2−ヒドロキシメチル−1−フェニルプロパン−1−オン、4′−イソプロピル−2−ヒドロキシ−2−メチル−プロピオフェノン、2−ヒドロキシ−2−メチル−プロピオフェノン、p−ジメチルアミノアセトフェノン、p−tert−ブチルジクロロアセトフェノン、p−tert−ブチルトリクロロアセトフェノン、p−アジドベンザルアセトフェノンなどアセトフェノン系化合物、ベンゾイン、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテル、ベンゾインノルマルブチルエーテル、ベンゾインイソブチルエーテルなどのベンゾインまたはそのアルキルエーテル系化合物、ベンゾフェノン、o−ベンゾイル安息香酸メチル、ミヒラースケトン、4,4′−ビスジエチルアミノベンゾフェノン、4,4′−ジクロロベンゾフェノンなどベンゾフェノン系化合物、チオキサントン、2−メチルチオキサントン、2−エチルチオキサントン、2−クロロチオキサントン、2−イソプロピルチオキサントンなどチオキサントン系化合物などを挙げることができる。
上記(a)および(c)の光硬化性樹脂組成物は、光硬化性樹脂組成物の質量に基づいて、光ラジカル重合開始剤を0.5〜10質量%の割合で含有することが好ましく、1〜5質量%の割合で含有することがより好ましい。
上記(b)および(c)の光硬化性樹脂組成物が含有する光感受性カチオン重合開始剤(以下「光カチオン重合開始剤」という)としては、光を照射したときにカチオン重合性有機化合物のカチオン重合を開始させ得る重合開始剤のいずれもが使用でき、例えば、テトラフルオロホウ酸トリフェニルフェナシルホスホニウム、ヘキサフルオロアンチモン酸トリフェニルスルホニウム、ビス−[4−(ジフェニルスルフォニオ)フェニル]スルフィドビスジヘキサフルオロアンチモネート、ビス−[4−(ジ4’−ヒドロキシエトキシフェニルスルフォニォ)フェニル]スルフィドビスジヘキサフルオロアンチモネート、ビス−[4−(ジフェニルスルフォニォ)フェニル]スルフィドビスジヘキサフルオロフォスフェート、テトラフルオロホウ酸ジフェニルヨードニウムなどを挙げることができ、これらの1種または2種以上を用いることができる。
また、反応速度を向上させる目的で、必要に応じて、カチオン重合開始剤と共に光増感剤、例えばベンゾフェノン、ベンゾインアルキルエーテル、チオキサントンなどを用いてもよい。
上記(b)および(c)の光硬化性樹脂組成物は、光硬化性樹脂組成物の質量に基づいて、光カチオン重合開始剤を1〜10質量%の割合で含有することが好ましく、2〜6質量%の割合で含有することがより好ましい。
特許文献3に記載されているように、光硬化性樹脂組成物として、(A)分岐していてもよい炭素数8以上の長鎖アルキル基および長鎖アルケニル基から選ばれる基を1個以上有する(メタ)アクリレート系化合物、(B)分岐していてもよい炭素数8以上の長鎖アルキル基および長鎖アルケニル基から選ばれる基を1個以上有するエポキシ化合物、(C)ヒンダードフェノール系化合物、(D)アルキル基の炭素数が8以上であるジアルキルフタレート系化合物および(E)アルキル基の炭素数が8以上であるトリアルキルトリメリテート系化合物から選ばれる少なくとも1種の化合物を含有する光硬化性樹脂組成物を用いて光学的立体造形物を製造すると、これらの化合物が光学的立体造形物の造形端面の凹凸部の少なくとも一部に偏析して、造形端面の滑らかさおよび透明性に優れる光学的立体造形物が得られる。当該(A)〜(E)の化合物から選ばれる少なくとも1種を含有する光硬化性樹脂組成物から得られる光学的立体造形物は、造形端面の滑らかおよび透明性に優れている一方で、前記(A)〜(E)の化合物の少なくとも1種が造形端面に偏析しているためか、一般に、光学的立体造形物の表面、特に造形端面がべたつくことが多い。
セルロース系誘導体溶液を用いて光学的立体造形を処理する本発明の方法を、前記(A)〜(E)の化合物から選らばれる少なくとも1種の化合物を含有する光硬化性樹脂組成物を用いて製造した光学的立体造形物に適用した場合には、その優れた透明性、造形端面の滑らかを維持しながら、光学的立体造形物の表面のべたつき、特に造形端面のべたつきを早期に速やかに解消して、透明性、滑らか、外観、力学的特性、物性を良好に維持しながら、べたつきがなく、取り扱い性、触感、耐汚染性、外観などにも優れる光学的立体造形物を、光造形後に短時間で提供することができる。
かかる点から、本発明は、前記(A)〜(E)の化合物から選ばれる少なくとも1種の化合物を、ラジカル重合性有機化合物の一部としてまたはカチオン重合性有機化合物の一部として含有するか、或いはラジカル重合性有機化合物またはカチオン重合性有機化合物とは別の化合物として含有する光硬化性樹脂組成物、特に、前記(A)〜(E)の化合物から選ばれる少なくとも1種の化合物を含有する上記(a)〜(c)のいずれかの光硬化性樹脂組成物を用いて製造した光学的立体造形物の処理方法を包含する[以下、前記(A)〜(E)の化合物から選ばれる少なくとも1種の化合物を含有する光硬化性樹脂組成物を総称して、「光硬化性樹脂組成物(d)」という]。
前記(A)の化合物[以下「(メタ)アクリレート系化合物(A)」という]としては、分岐していてもよい炭素数8以上の長鎖アルキル基および長鎖アルケニル基から選ばれる基を1個または2個以上有する(メタ)アクリレート系化合物であればいずれでもよい。
ここで、(メタ)アクリレート系化合物(A)は、前記「分岐していてもよい炭素数8以上の長鎖アルキル基」および「分岐していてもよい炭素数8以上の長鎖アルケニル基」を、(メタ)アクリル酸の長鎖アルキルエステルまたは長鎖アルケニルエステルの形態で有していてもよいしまたはその他の形態(例えば炭素数9以上の飽和または不飽和脂肪酸に由来する炭素数8以上のアルキル基またはアルケニル基の形態など)で有していてもよい。そのうちでも、(メタ)アクリレート系化合物(A)が有する前記長鎖アルキル基および/または長鎖アルケニル基は、分岐していてもよい炭素数10以上の長鎖アルキル基および/または長鎖アルケニル基であることが、(メタ)アクリレート系化合物(A)に由来する物質の造形端面での偏析が良好に行われることから好ましく用いられる。
限定されるものではないが、(メタ)アクリレート系化合物(A)の具体例としては、ラウリル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート、イソステアリル(メタ)アクリレートなどの(メタ)アクリル酸の炭素数8以上、特に炭素数10以上の直鎖状または分岐状のアルキルエステル;オレイル(メタ)アクリレート、リノレイル(メタ)アクリレート、リノレニル(メタ)アクリレートなどの炭素数8以上、特に炭素数10以上の直鎖状または分岐状のアルケニルエステル;ジペンタエリストールトリ(メタ)アクリレートトリウンデシレートなどの多価アルコールと(メタ)アクリル酸および炭素数9以上の脂肪酸(飽和または不飽和脂肪酸)の反応生成物(多価エステル)などを挙げることができる。
そのうちでも、ラウリル(メタ)アクリレート、イソステアリル(メタ)アクリレートが、立体造形物の色相、平滑性の点から好ましく用いられる。
前記(B)の化合物[以下「エポキシ化合物(B)」という]としては、分岐していてもよい炭素数8以上の長鎖アルキル基および長鎖アルケニル基から選ばれる基を1個以上有するエポキシ化合物のいずれもが使用できる。限定されるものではないが、エポキシ化合物(B)の具体例としては、エポキシ化大豆油、エポキシ化アマニ油、炭素数8以上のアルキル基の末端(α位)にエポキシ基が結合したα−オレフィンエポキシド(長鎖アルキルグリシジル化合物)、炭素数8以上の脂肪族高級アルコールのモノグリシジルエーテル、炭素数9以上の高級脂肪酸のグリシジルエステル、エポキシヘキサヒドロフタル酸ジオクチル、エポキシヘキサヒドロフタル酸ジ−2−エチルヘキシルなどのエポキシヘキサヒドロフタル酸の炭素数8以上のアルキルエステル類などを挙げることができる。
前記(C)の化合物[以下「ヒンダードフェノール系化合物(C)」という]としては、従来からプラスチックなどの酸化防止剤として用いられているヒンダードフェノール系化合物のいずれもが使用できる。限定されるものではないが、ヒンダードフェノール系化合物(C)の具体例としては、1−ヒドロキシ−シクロヘキシルフェニルケトン、ペンタエリスリトールテトラキス[3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、チオジエチレンビス[3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、オクタデシル−3(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート、N,N’−ヘキサン−1,6−ジイルビス[3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニルプロピオンアミド]などを挙げることができる。
前記(D)の化合物[以下「ジアルキルフタレート系化合物(D)」という]としては、ベンゼン環に置換基を有していてもよいフタール酸の直鎖状または分岐状の炭素数8以上のジアルキルエステルのいずれもが使用できる。ジアルキルフタレート系化合物(D)における2個のアルキル基は互いに同じであっても又は異なっていてもよい。
限定されるものではないが、ジアルキルフタレート系化合物(D)の具体例としては、ジ2−エチルヘキシルフタレート、ジノルマルオクチルフタレート、ジイソノニルフタレート、ジノルマルデシルフタレート、ジトリデシルフタレートなどを挙げることができる。
前記(E)の化合物[以下「トリアルキルトリメリテート系化合物(E)」という]としては、ベンゼン環に置換基を有していてもよいトリメリト酸の直鎖状または分岐状の炭素数8以上のトリアルキルエステルのいずれもが使用できる。トリアルキルトリメリテート系化合物(E)における3個のアルキル基は互いに同じであっても又は異なっていてもよい。
限定されるものではないが、トリアルキルトリメリテート系化合物(E)の具体例としては、トリ2−エチルヘキシルトリメリテート、トリノルマルオクチルトリメリテート、トリイソノニルトリメリテート、トリノルマルデシルトリメリテート、トリイソデシルトリメリテートなどを挙げることができる。
光硬化性樹脂組成物(d)は、(メタ)アクリレート系化合物(A)、エポキシ化合物(B)、ヒンダードフェノール系化合物(C)、ジアルキルフタレート系化合物(D)およびトリアルキルトリメリテート系化合物(E)の1種または2種以上を含有することができる。
光硬化性樹脂組成物(d)における前記(A)〜(E)の化合物の含有割合は、光硬化性樹脂組成物(d)を構成する樹脂の種類、組成などに応じて調整できるが、一般的には、光硬化性樹脂組成物(d)の全質量に基づいて、1〜20質量%であることが好ましく、3〜10質量%であることがより好ましい。前記(A)〜(E)の化合物の含有割合が少なすぎると、光学的立体造形物の造形端面の凹凸部における前記(A)〜(E)の化合物および/またはそれに由来する物質の偏析量が少なくなって、凹凸度合の低減および造形端面の平滑化が達成できにくくなり、一方、前記(A)〜(E)の化合物の含有割合が多すぎると、活性エネルギー線を照射した際の硬化不良、造形精度の低下、偏析成分のブリードアウトによる立体造形物表面の汚染、洗浄性の悪化などを生ずることがある。
光学的立体造形物の製造に用いる光造形用樹脂組成物は、必要に応じて、顔料や染料等の着色剤、消泡剤、レベリング剤、増粘剤、難燃剤、酸化防止剤、充填剤(架橋ポリマー粒子、シリカ、ガラス粉、セラミックス粉、金属粉等)、改質用樹脂などの1種または2種以上を適量含有していることができる。
本発明の処理方法の対象である光学的立体造形物は、光造形用樹脂組成物を用いて従来既知の光学的立体造形方法および装置を使用して製造することができる。その際に好ましく採用される光学的立体造形法の代表例としては、液状をなす光硬化性樹脂組成物に所望のパターンを有する硬化層が得られるように活性エネルギー線を選択的に照射して硬化層を形成し、次いでこの硬化層に未硬化の液状の光硬化性樹脂組成物を供給し、同様に活性エネルギー光線を照射して前記の硬化層と連続した硬化層を新たに形成する積層操作を繰り返すことによって最終的に目的とする立体的造形物を得る方法を挙げることができる。
その際の活性エネルギー線としては、紫外線、電子線、X線、放射線、高周波などを挙げることができる。そのうちでも、300〜400nmの波長を有する紫外線が経済的な観点から好ましく用いられ、その際の光源としては、紫外線レーザー(例えば半導体励起固体レーザー、Arレーザー、He−Cdレーザーなど)、高圧水銀ランプ、超高圧水銀ランプ、低圧水銀ランプ、キセノンランプ、ハロゲンランプ、メタルハライドランプ、紫外線LED(発光ダイオード)、紫外線蛍光灯などを使用することができる。
光硬化性樹脂組成物よりなる造形面に活性エネルギー線を照射して所定の形状パターンを有する各硬化樹脂層を形成するに当たっては、レーザー光などのような点状に絞られた活性エネルギー線を使用して点描または線描方式で硬化樹脂層を形成してもよいし、または液晶シャッターまたはデジタルマイクロミラーシャッター(DMD)などのような微小光シャッターを複数配列して形成した面状描画マスクを通して造形面に活性エネルギー線を面状に照射して硬化樹脂層を形成させる造形方式を採用してもよい。
本発明の方法で処理して得られる光学的立体造形物は、種々の分野で幅広く用いることができ、何ら限定されるものではないが、代表的な応用分野としては、設計の途中で外観デザインを検証するための形状確認モデル、部品の機能性をチェックするための機能試験モデル、鋳型を制作するためのマスターモデル、金型を制作するためのマスターモデル、試作金型用の直接型などとして用いることができる。より具体的には、例えば、精密部品、電気・電子部品、家具、建築構造物、自動車用部品、各種容器類、鋳物などのモデル、母型、加工用などの用途に有効に用いることができる。
以下に本発明を実施例によって具体的に説明するが、本発明は実施例に何ら限定されるものではない。
以下の例において、光学的立体造形物の表面のべたつきの有無(べたつきの大小)の評価および光学的立体造形物の透明度の測定は以下のようにして行なった。
[光学的立体造形物の表面のべたつきの有無(大小)の評価]
以下の実施例および比較例においてそれぞれの処理を行なって得られた光学的立体造形物について、その表面[上下面および造形端面(側面)]を所定の時間毎に手で触れてみて、そのべたつき度合(べたつきの有無または大小)を、下記の表1に記載した評価基準に従って経時的に評価した。
Figure 0005261129
[光学的立体造形物の透明度の測定]
以下の実施例および比較例において光学的立体造形物に対してそれぞれの処理を行なって24時間経過した時点に、四角板状の光学的立体造形物の一方の面(四角板の長方形状の上面)に直角な横方向から可視光線[波長340〜780nm(光学的立体造形物が吸収しない波長)]を照射し、当該光学的立体造形物を透過して四角板状の光学的立体造形物のもう一方の面(四角板の長方形状の下面)から出射した可視光線の量(エネルギー強度)を分光光度計(日立ハイテクノロジー製「U−3900H」)を使用して測定して、該光線の透過率(%)を求めて透明度とした。
《実施例1》
(1)ニトロセルロース溶液の調製:
ニトロセルロース(TNC社製「TS−1/8」、置換度=25.5%)2質量部をアセトン100質量部に添加して25℃で撹拌し溶解して、ニトロセルロース溶液(ニトロセルロースのアセトン溶液)を調製した。
(2)光学的立体造形物の製造:
(i) 水素化ビスフェノールAジグリシジルエーテル60質量部、3−ヒドロキシメチル−3−エチルオキセタン20質量部、ビス−〔4−(ジフェニルスルホニオ)フェニル〕スルフィドビスジヘキサフルオロアンチモネート(カチオン重合開始剤)4質量部、ジペンタエリスリトールポリアクリレート(新中村化学工業株式会社製「NKエステルA−9530」)10質量部、ラウリルアクリレート6質量部および1−ヒドロキシ−シクロヘキシルフェニルケトン(ラジカル重合開始剤)3質量部をよく混合して光硬化性樹脂組成物を調製し、これを遮光したタンクに収容した。
(ii) 上記(i)で得られた光硬化性樹脂組成物を用いて、超高速光造形システム(ナブテスコ株式会社製「SOLIFORM500B」)を使用して、スペクトラフィジックス社製「半導体励起固体レーザーBL6型」(出力1000mW;波長355nm)を表面に対して垂直に照射して、照射エネルギー100mJ/cm2の条件下に、スライスピッチ(積層厚み)0.10mm、1層当たりの平均造形時間2分で光学的立体造形を行って、四角板状の光学的立体造形物(縦×横×厚さ=45mm×20mm×5mm)を製造した。これにより得られた、造形直後の光学的立体造形物(洗浄処理および後硬化処理を行なっていないもの)では、その全表面[上下面および側面(造形端面)]でべたつきが大きく、上記の表1の評価基準で「××」であった。
(3)光学的立体造形物のニトロセルロース溶液による処理:
上記(2)で得られた光学的立体造形物を、イソプロピルアルコールで洗浄処理した後、直ちに上記(1)で調製したニトロセルロース溶液(温度20℃)中に1分間浸漬し、次いでニトロセルロース溶液から取り出して、温度25℃、湿度40%の室内に静置して、ニトロセルロース溶液から取り出してから5分後、15分後、30分後、60分後、2時間後、24時間後および4日後に光学的立体造形物の表面を手で触れてみて、上記の表1に記載した評価基準に従って、光学的立体造形物の表面のべたつき度合を評価した。なお、表面のべたつきが無くなった時点で、べたつき度合の評価を終了した。その結果を下記の表2に示す。
また、ニトロセルロース溶液から取り出して24時間経過した時点で、光学的立体造形物の透明度を上記した方法で測定したところ、下記の表2に示すとおりであった。
《実施例2〜5》
(1)アセチルブチリルセルロース溶液の調製:
アセチルブチリルセルロース(イーストマンケミカル社製「CAB−553−0.4」)2質量部を、クロロホルム100質量部(実施例2)、ジクロロメタン100質量部(実施例3)、アセトン100質量部(実施例4)またはエタノール100質量部(実施例5)に添加して、25℃で撹拌し溶解して、アセチルブチリルセルロースのクロロホルム溶液(実施例2)、アセチルブチリルセルロースのジクロロメタン溶液(実施例3)、アセチルブチリルセルロースのアセトン溶液(実施例4)およびアセチルブチリルセルロースのエタノール溶液(実施例5)をそれぞれ調製した。
(2)光学的立体造形物のアセチルブチリルセルロース溶液による処理:
実施例1の(2)と同じ造形操作を行なって製造した光学的立体造形物を、イソプロピルアルコールで洗浄処理した後、直ちに上記(1)で調製したそれぞれのアセチルブチリルセルロース溶液(温度20℃)中に1分間浸漬し、次いでそれぞれのアセチルブチリルセルロース溶液から取り出して、温度25℃、湿度40%の室内に静置して、アセチルブチリルセルロース溶液から取り出して5分後、15分後、30分後、60分後、2時間後、24時間後および4日後に光学的立体造形物の表面を手で触れてみて、上記の表1に記載した評価基準に従って、光学的立体造形物の表面のべたつき度合を評価した。なお、表面のべたつきが無くなった時点で、べたつき度合の評価を終了した。その結果を下記の表2に示す。
また、アセチルブチリルセルロース溶液から取り出してから24時間経過した時点で、光学的立体造形物の透明度を上記した方法で測定したところ、下記の表2に示すとおりであった。
《実施例6》
(1)アセチルプロピオニルセルロース溶液の調製:
アセチルプロピオニルセルロース(イーストマンケミカル社製「CAP−504−0.2」)2質量部をアセトン100質量部に添加して、25℃で撹拌し溶解して、アセチルプロピオニルセルロース溶液(アセチルプロピオニルセルロースのアセトン溶液)を調製した。
(2)光学的立体造形物のアセチルプロピオニルセルロース溶液による処理:
実施例1の(2)と同じ造形操作を行なって製造した光学的立体造形物を、イソプロピルアルコールで洗浄処理した後、直ちに、上記(1)で調製したアセチルプロピオニルセルロース溶液(温度20℃)中に1分間浸漬し、次いでアセチルプロピオニルセルロース溶液から取り出して、温度25℃、湿度40%の室内に静置して、アセチルプロピオニルセルロース溶液から取り出して5分後、15分後、30分後、60分後、2時間後、24時間後および4日後に光学的立体造形物の表面を手で触れてみて、上記の表1に記載した評価基準に従って、光学的立体造形物の表面のべたつき度合を評価した。なお、表面のべたつきが無くなった時点で、べたつき度合の評価を終了した。その結果を下記の表2に示す。
また、アセチルプロピオニルセルロース溶液から取り出してから24時間経過した時点で、光学的立体造形物の透明度を上記した方法で測定したところ、下記の表2に示すとおりであった。
《実施例7》
(1)アセチルセルロース溶液の調製:
アセチルセルロース(ダイセル化学社製「L−20」、アセチル化度=55%)2質量部を酢酸メチル100質量部に添加して、25℃で撹拌し溶解して、アセチルセルロース溶液(アセチルセルロースの酢酸メチル溶液)を調製した。
(2)光学的立体造形物のアセチルセルロース溶液による処理:
実施例1の(2)と同じ造形操作を行なって製造した光学的立体造形物を、イソプロピルアルコールで洗浄処理した後、直ちに上記(1)で調製したアセチルセルロース溶液(温度20℃)中に1分間浸漬し、次いでアセチルセルロース溶液から取り出して、温度25℃、湿度40%の室内に静置して、アセチルセルロース溶液から取り出して5分後、15分後、30分後、60分後、2時間後、24時間後および4日後に光学的立体造形物の表面を手で触れてみて、上記の表1に記載した評価基準に従って、光学的立体造形物の表面のべたつき度合を評価した。なお、表面のべたつきが無くなった時点で、べたつき度合の評価を終了した。その結果を下記の表2に示す。
また、アセチルセルロース溶液から取り出してから24時間経過した時点で、光学的立体造形物の透明度を上記した方法で測定したところ、下記の表2に示すとおりであった。
《実施例8》
(1)エチルセルロース溶液の調製:
エチルセルロース(純性化学社製「エチルセルロース」、エトキシ基含有量=43〜50%)2質量部を酢酸エチル100質量部に添加して、25℃で撹拌し溶解して、エチルセルロース溶液(エチルセルロースの酢酸エチル溶液)を調製した。
(2)光学的立体造形物のエチルセルロース溶液による処理:
実施例1の(2)と同じ造形操作を行なって製造した光学的立体造形物を、イソプロピルアルコールで洗浄処理した後、直ちに上記(1)で調製したエチルセルロース溶液(温度20℃)中に1分間浸漬し、次いでエチルセルロース溶液から取り出して、温度25℃、湿度40%の室内に静置して、エチルセルロース溶液から取り出して5分後、15分後、30分後、60分後、2時間後、24時間後および4日後に光学的立体造形物の表面を手で触れてみて、上記の表1に記載した評価基準に従って、光学的立体造形物の表面のべたつき度合を評価した。なお、表面のべたつきが無くなった時点で、べたつき度合の評価を終了した。その結果を下記の表2に示す。
また、エチルセルロース溶液から取り出してから24時間経過した時点で、光学的立体造形物の透明度を上記した方法で測定したところ、下記の表2に示すとおりであった。
《比較例1》
実施例1の(2)と同じ造形操作を行なって製造した光学的立体造形物を、イソプロピルアルコールで洗浄処理した後、直ちに温度20℃のアセトン中にそのまま直接1分間浸漬し、次いでアセトンから取り出して、温度25℃、湿度40%の室内に静置して、アセトンから取り出して5分後、15分後、30分後、60分後、2時間後、24時間後、および4日後に光学的立体造形物の表面を手で触れてみて、上記の表1に記載した評価基準に従って、光学的立体造形物の表面のべたつき度合を評価したところ下記の表3に示すとおりであった。
また、アセトンから取り出してから24時間経過した時点で、光学的立体造形物の透明度を上記した方法で測定したところ、下記の表3に示すとおりであった。
《比較例2》
実施例1の(2)と同じ造形操作を行なって製造した光学的立体造形物を、イソプロピルアルコールで洗浄処理した後、直ちに温度20℃のイソプロピルアルコール中にそのまま直接1分間浸漬し、次いでイソプロピルアルコールから取り出して、温度25℃、湿度40%の室内に静置して、イソプロピルアルコールから取り出して5分後、15分後、30分後、60分後、2時間後、24時間後および4日後に光学的立体造形物の表面を手で触れてみて、上記の表1に記載した評価基準に従って、光学的立体造形物の表面のべたつき度合を評価したところ下記の表3に示すとおりであった。
また、イソプロピルアルコールから取り出してから24時間経過した時点で、光学的立体造形物の透明度を上記した方法で測定したところ、下記の表3に示すとおりであった。
《比較例3および4》
実施例1の(2)と同じ造形操作を行なって製造した光学的立体造形物を、イソプロピルアルコールで洗浄処理した後、直ちに、ポリカーボネート[テイジン化成社製「パーンライトAD−5503(粉末)」]2質量部をクロロホルム100質量部に溶解したポリカーボネート溶液中に1分間浸漬するか(比較例3)、またはポリスチレン(積水化成工業社製「PNビーズ」)2質量部をリモネン100質量部に溶解したポリスチレン溶液中に1分間浸漬し(比較例4)、次いでポリカーボネート溶液またはポリスチレン溶液から取り出して、温度25℃、湿度40%の室内に静置して、それらの溶液から取り出して5分後、15分後、30分後、60分後、2時間後、24時間後および4日後に光学的立体造形物の表面を手で触れてみて、上記の表1に記載した評価基準に従って、光学的立体造形物の表面のべたつき度合を評価したところ下記の表3に示すとおりであった。
また、ポリカーボネート溶液またはポリスチレン溶液から取り出してから24時間経過した時点で、光学的立体造形物の透明度を上記した方法で測定したところ、下記の表3に示すとおりであった。
《比較例5》
実施例1の(2)と同じ造形操作を行なって製造した光学的立体造形物を、イソプロピルアルコールで洗浄処理した後、直ちにナフテン酸コバルト(東京化成製、試薬)2質量部をヘキサン100質量部に溶解したナフテン酸コバルト溶液中に造形後に直ちに1分間浸漬し、次いでナフテン酸コバルト溶液から取り出して、温度25℃、湿度40%の室内に静置して、溶液から取り出して5分後、15分後、30分後、60分後、2時間後、24時間後および4日後に光学的立体造形物の表面を手で触れてみて、上記の表1に記載した評価基準に従って、光学的立体造形物の表面のべたつき度合を評価したところ、下記の表3に示すとおりであった。
また、ナフテン酸コバルト溶液から取り出してから24時間経過した時点で、光学的立体造形物の透明度を上記した方法で測定したところ、下記の表3に示すとおりであった。
《比較例6》
実施例1の(2)と同じ造形操作を行なって製造した光学的立体造形物を、イソプロピルアルコールで洗浄処理した後、直ちに3%過酸化水素水(大洋製薬製)中に1分間浸漬し、次いで過酸化水素水から取り出して、温度25℃、湿度40%の室内に静置して、取り出して5分後、15分後、30分後、60分後、2時間後、24時間後および4日後に光学的立体造形物の表面を手で触れてみて、上記の表1に記載した評価基準に従って、光学的立体造形物の表面のべたつき度合を評価したところ、下記の表3に示すとおりであった。
また、過酸化水素水から取り出してから24時間経過した時点で、光学的立体造形物の透明度を上記した方法で測定したところ、下記の表3に示すとおりであった。
《比較例7》
(1) 実施例1で使用したのと同じニトロセルロース2質量部をクロロホルム100質量部に添加して温度25℃で十分に撹拌したが、ニトロセルロースはクロロホルムに溶解せず、ニトロセルロース分散液となった。
(2) 実施例1の(2)と同じ造形操作を行なって製造した光学的立体造形物を、イソプロピルアルコールで洗浄処理した後、直ちに上記(1)で調製したニトロセルロース分散液(温度20℃)中に1分間浸漬し、次いでニトロセルロース分散溶液から取り出して、温度25℃、湿度40%の室内に静置して、エチルセルロース溶液から取り出して5分後、15分後、30分後、60分後、2時間後、24時間後および4日後に光学的立体造形物の表面を手で触れてみて、上記の表1に記載した評価基準に従って、光学的立体造形物の表面のべたつき度合を評価したところ、下記の表3に示すとおりであった。
また、ニトロセルロース分散液から取り出してから24時間経過した時点で、光学的立体造形物の透明度を上記した方法で測定したところ、下記の表3に示すとおりであった。
Figure 0005261129
Figure 0005261129
上記の表2および表3の結果にみるように、セルロースエステルまたはセルロースエーテルを溶媒に溶解した溶液を用いて光学的立体造形物を処理した実施例1〜8では、光学的立体造形物本来の高い透明性を維持しながら、光学的立体造形物の表面のべたつきを短時間のうちに解消することができる。
それに対して、セルロースエステルおよび/またはセルロースエーテルを溶解含有していない溶媒のみで光学的立体造形物を処理した比較例1および2、ポリカーボネートの溶液で処理した比較例3、ポリスチレンの溶液で処理した比較例4、ナフテン酸コバルトの溶液で処理した比較例5、過酸化水素水で処理した比較例6、並びにニトロセルロースを含有しているがニトロセルロースが溶媒中に溶解しておらず分散しているニトロセルロース分散液で処理した比較例7では、光学的立体造形物の表面のべたつきが短時間で解消しなかった。
《実施例9〜11》
(1)光学的立体造形物の製造:
(i) 1,4−シクロヘキサンジメタノールジグリシジルエーテル60質量部、3,4−エポキシシクロヘキシルメチル−3’,4’−エポキシシクロヘキサンカルボキシレート5質量部、ジペンタエリスリトールポリアクリレート(新中村化学工業株式会社製「NKエステルA−9530」)10質量部、(3−エチル−3−オキセタニル)メチルアクリレート20質量部、ビス−〔4−(ジフェニルスルホニオ)フェニル〕スルフィドビスジヘキサフルオロアンチモネート(カチオン重合開始剤)4質量部、1−ヒドロキシ−シクロヘキシルフェニルケトン(ラジカル重合開始剤)3質量部およびペンタエリスリトールテトラキス[3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート(チバ・スペシャリティ・ケミカルズ製)6質量部をよく混合して光硬化性樹脂組成物を調製し、これを遮光したタンクに収容した。
(ii) 上記(i)で得られた光硬化性樹脂組成物を用いて、実施例1の(2)と同様にして光造形を行なって、四角板状の光学的立体造形物(縦×横×厚さ=45mm×20mm×5mm)を製造した。これにより得られた、造形直後の光学的立体造形物(洗浄処理および後硬化処理を行なっていないもの)では、その全表面[上下面および側面(造形端面)]でべたつきが大きく、上記の表1の評価基準で「××」であった。
(2)光学的立体造形物のセルロースエステル溶液またはセルロースエーテル溶液による処理:
上記(1)で得られた光学的立体造形物を、イソプロピルアルコールで洗浄処理した後、直ちに、実施例1で使用したのと同じニトロセルロース2質量部をアセトン100質量部に溶解したニトロセルロース溶液(実施例9)、実施例2で使用したのと同じアセチルブチリルセルロース2質量部をクロロホルム100質量部に溶解したアセチルブチリルセルロース溶液(実施例10)または実施例8で用いたのと同じエチルセルロース2質量部を酢酸エチル100質量部に溶解したエチルセルロース溶液(実施例11)中に、温度20℃で1分間浸漬し、次いでそれぞれの溶液から取り出して、温度25℃、湿度40%の室内に静置して、各溶液から取り出してから5分後、15分後、30分後、60分後、2時間後、24時間後および4日後に光学的立体造形物の表面を手で触れてみて、上記の表1に記載した評価基準に従って、光学的立体造形物の表面のべたつき度合を評価したところ、下記の表4に示すとおりであった。なお、表面のべたつきが無くなった時点で、べたつき度合の評価を終了した。
《比較例8》
実施例9〜11の(1)と同じ造形操作を行なって製造した光学的立体造形物を、イソプロピルアルコールで洗浄処理した後、直ちに温度20℃のアセトン中に1分間浸漬し、次いでアセトンから取り出して、温度25℃、湿度40%の室内に静置して、アセトンから取り出して5分後、15分後、30分後、60分後、2時間後、24時間後、および4日後に光学的立体造形物の表面を手で触れてみて、上記の表1に記載した評価基準に従って、光学的立体造形物の表面のべたつき度合を評価したところ下記の表4に示すとおりであった。
《比較例9および10》
実施例9〜11の(1)と同じ造形操作を行なって製造した光学的立体造形物を、イソプロピルアルコールで洗浄処理した後、直ちに、ポリカーボネート(テイジン化成社製「パーンライトAD−5503」)2質量部をクロロホルム100質量部に溶解したポリカーボネート溶液中に1分間浸漬するか(比較例9)、またはポリスチレン(積水化成工業社製「PNビーズ」)2質量部をリモネン100質量部に溶解したポリスチレン溶液中に1分間浸漬し(比較例10)、次いでポリカーボネート溶液またはポリスチレン溶液から取り出して、温度25℃、湿度40%の室内に静置して、それらの溶液から取り出して5分後、15分後、30分後、60分後、2時間後、24時間後および4日後に光学的立体造形物の表面を手で触れてみて、上記の表1に記載した評価基準に従って、光学的立体造形物の表面のべたつき度合を評価したところ下記の表4に示すとおりであった。
Figure 0005261129
本発明の処理方法による場合は、光学的立体造形物の外観、透明性、寸法安定性、物性などを損なうことなく、良好に維持しながら、光学的立体造形物の表面のべたつきを、短時間で速やかに解消して、取り扱い性、触感、耐汚染性に優れる光学的立体造形物を得ることができ、本発明により得られる光学的立体造形物は、精密部品、電気・電子部品、家具、建築構造物、自動車用部品、各種容器類、鋳物、金型、母型などのためのモデルや加工用モデル、複雑な熱媒回路の設計用の部品、複雑な構造の熱媒挙動の解析企画用の部品などとして有効に使用することができる。

Claims (6)

  1. 光学的立体造形物の表面を、セルロースエステルおよびセルロースエーテルから選ばれるセルロース系誘導体の少なくとも1種を溶解した溶液で処理することを特徴とする光学的立体造形物の処理方法。
  2. セルロース系誘導体の少なくとも1種が、ニトロセルロース、アセチルセルロース、プロピオニルセルロース、ブチリルセルロース、アセチルプロピオニルセルロース、アセチルブチリルセルロースおよびエチルセルロースから選ばれる少なくとも1種である請求項1に記載の光学的立体造形物の処理方法。
  3. 光学的立体造形物が、ラジカル重合性有機化合物、カチオン重合性有機化合物、光感受性ラジカル重合開始剤および光感受性カチオン重合開始剤を含有する光硬化性樹脂組成物を用いて製造された光学的立体造形物である請求項1または2に記載の光学的立体造形物の処理方法。
  4. 光学的立体造形物が、(A)分岐していてもよい炭素数8以上の長鎖アルキル基および長鎖アルケニル基から選ばれる基を1個以上有する(メタ)アクリレート系化合物、(B)分岐していてもよい炭素数8以上の長鎖アルキル基および長鎖アルケニル基から選ばれる基を1個以上有するエポキシ化合物、(C)ヒンダードフェノール系化合物、(D)アルキル基の炭素数が8以上であるジアルキルフタレート系化合物および(E)アルキル基の炭素数が8以上であるトリアルキルトリメリテート系化合物から選ばれる少なくとも1種の化合物を含有する光硬化性樹脂組成物を用いて製造された光学的立体造形物である請求項1〜3のいずれか1項に記載の光学的立体造形物の処理方法。
  5. 光学的立体造形物が、オキセタン基を1個有するモノオキセタン化合物およびオキセタン基を2個以上有するポリオキセタン化合物から選ばれる少なくとも1種のオキセタン化合物を含有する光硬化性樹脂組成物を用いて製造された光学的立体造形物である請求項1〜4のいずれか1項に記載の光学的立体造形物の処理方法。
  6. 光学的立体造形物の表面のべたつきの解消を促進するための処理である、請求項1〜5のいずれか1項に記載の光学的立体造形物の処理方法。
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