JP5258661B2 - エンジン・トランスミッション搬送用パレット - Google Patents

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Description

本発明は、エンジンとトランスミッションとを結合させて、一体として搬送するためのエンジン・トランスミッション搬送用パレットに関する。
車両の製造ラインの種類として、1つの製造ラインで多数の車種を製造する多種混流ラインが存在する。車種が異なれば、エンジン又はトランスミッション(変速機)の種類は異なることが多く、さらに、同じ車種でもグレードに応じて、エンジン又はトランスミッションの種類が異なることも考えられる。いずれの場合においても、前記多種混流ラインにおける作業効率を考慮し、予めエンジンとトランスミッションとを別の場所で結合させて、一体として(以下、説明の便宜上、エンジンとトランスミッションとを一体とした場合は、エンジン・トランスミッションと称することもある。)前記多種混流ラインまで搬送することが求められる。また、エンジン・トランスミッションを搬送する場合は、前記多種混流ラインでの作業効率を考慮し、車両へ備え付ける向きで搬送することが望ましいが、該向きは、汎用のパレットを用いて平面上に載置する場合には、エンジン・トランスミッションの形状から不安定であることも多く、そのため専用のパレットを用いて搬送することが多い。
しかしながら、エンジンは、例えば、直列、V型、及び該エンジンのシリンダ数といった型式、排気量等によって分類され、数多くの種類が存在する。
同様に、トランスミッションの種類は、駆動方式及びギア数、ギア方式の組み合わせによって分類されることから、例えば、駆動方式では2WD(2 Wheel Drive)、4WD等が存在し、ギア数及びギア方式では4速AT(オートマチック)、5速AT、5速MT(マニュアル)、6速MT、CVT(Continuously Variable Transmission)等、数多く存在する。エンジン、トランスミッション共に、数多くの種類があるため、該エンジンと該トランスミッションとの組み合わせの数は、さらに多くなる。
また、エンジン及びトランスミッションは、種類ごとに形状や大きさが異なることが多く、専用パレットを用いてエンジン・トランスミッションを搬送する場合は、これらエンジンとトランスミッションとの組み合わせの数に応じて多数の専用パレットを用意する必要が生じるが、該組み合わせの数だけ専用パレットを用意した場合、コストがかさむ上に、広大な保管場所が必要となり、さらに、多くの種類を保有することで管理にも手間がかかるため、パレットの専用部分を減少させ、パレットの共用化を図り、汎用性を高めることで、必要なパレットの数を減らす試みがなされてきた。例えば、特許文献1では、共用化を図り、汎用性を高める試みとして、円弧スライド機構、位置換え手段等が提案され、前記機構及び手段を用いて、形状や大きさが異なるエンジン・トランスミッションに対応している。
特許第3206456号明細書
しかしながら、前記特許文献1で示された技術においては、機構及び手段が複雑であるため、製作費の高騰、大型化、及びパレット重量増加の懸念がある。該大型化及び該パレット重量増加は、エンジン・トランスミッションの搬送に多く用いられるトラック輸送の場合、トラック1台あたりに積載可能なエンジン・トランスミッション数の減少となり、結果として輸送コストの高騰につながる不都合がある。また、前記大型化によって、広い保管場所が必要になるという課題がある。さらに、機構及び手段が複雑であるため、メンテナンスに手間がかかると共に、別のエンジン・トランスミッションを搭載する場合の段取り工数の増加に伴い、作業効率が低下する不都合も考えられる。
本発明はこのような課題を考慮してなされたものであり、小型軽量で、共有化を図ることで汎用性が高く、形状や大きさが異なるエンジン・トランスミッションを扱うことが可能でありながら廉価で、さらに、機構が簡便なエンジン・トランスミッション搬送用パレットを提供することを目的とする。
本発明に係るエンジン・トランスミッション搬送用パレットは、エンジンとトランスミッションとを結合させて一体で搬送するためのエンジン・トランスミッション搬送用パレットであって、前記エンジンを保持するエンジン保持部と、前記トランスミッションを保持するトランスミッション保持部とを有し、前記トランスミッション保持部はベルト機構を含み、前記ベルト機構は帯状体であるベルトと、前記ベルトに対して張力を付与する張力付与部とを有し、前記ベルトに対して付与された前記張力で前記トランスミッションを保持することを特徴とする。
これによって、トランスミッションが帯状体であるベルトによって保持されることで、該トランスミッションの形状や大きさと関係なく保持することができる。さらに、該ベルトは小型軽量であり、廉価でもある。
また、前記エンジン保持部は、着脱自在な少なくとも1つのエンジン支持部を有してもよい。
これによって、エンジン支持部の着脱という簡便な操作で、エンジンの機種に対応した専用部材である該エンジン支持部の変更が可能となることによって、該専用部材の使用に伴う段取り工数の増加を可及的に抑えることができる。また、機構が簡便であるために、メンテナンスも容易となる。さらに、エンジン・トランスミッション搬送用パレットの大きさと比し、エンジン支持部は小型軽量で、保管場所の増大及び重量の増加も可及的に抑えることができる。
さらに、前記エンジン支持部の上端部に緩衝部材を有してもよい。
これによって、エンジン支持部が、エンジンを保持するときに、該エンジンを損傷することがない。
また、前記エンジン支持部は、前記エンジンの形状に合わせて成型した樹脂部材であってもよい。
これによって、エンジン支持部を廉価で製作でき、さらに軽量化することができる。
本発明に係るエンジン・トランスミッション搬送用パレットによれば、トランスミッションが帯状体であるベルトによって保持されることで、該トランスミッションの形状や大きさと関係なく保持できるという効果を達成することができる。さらに、該ベルトは小型軽量であり、廉価でもある。また、エンジンを保持するエンジン支持部の着脱という簡便な操作で、エンジンの機種に対応した専用部材である該エンジン支持部の変更が可能となり、該専用部材の使用に伴う段取り工数の増加を可及的に抑えることができるという効果も達成することができる。さらに、機構が簡便であるために、メンテナンスも容易となる。さらにまた、エンジン・トランスミッション搬送用パレットの大きさと比し、エンジン支持部は小型軽量で、保管場所の増大及び重量の増加も可及的に抑えることができるという効果も達成することができる。
本実施の形態に係るエンジン・トランスミッション搬送用パレット及びエンジン・トランスミッションを示す全体斜視図である。 エンジン・トランスミッション保持部の全体平面図である。 エンジン・トランスミッション搬送用パレットにおけるエンジン保持部のエンジン支持部の分解斜視図である。 ベルト機構にトランスミッションを載置した状態を仮想線で示す前方からの側面図である。 トランスミッション保持部における右柱部の前方からの側面図である。 エンジン・トランスミッションをエンジン・トランスミッション搬送用パレットに載置した状態を示す全体斜視図である。 本実施の形態に係るエンジン・トランスミッション搬送用パレットに、エンジン・トランスミッションを載置する作業のフローチャートである。 エンジン支持部の変形例を示したエンジン・トランスミッション搬送用パレットを示す全体斜視図である。 エンジン支持部の別の変形例を示したエンジン・トランスミッション搬送用パレットを示す全体斜視図である。
以下、本発明に係るエンジン・トランスミッション搬送用パレットについて実施の形態を挙げ、添付の図1〜図9を参照しながら説明する。
先ず、本実施の形態に係るエンジン・トランスミッション搬送用パレット50が適用されるエンジン・トランスミッション10の概略構成について説明する。
図1に示すように、エンジン・トランスミッション10は、図示しない車両の走行駆動源であるエンジン12と、該エンジン12の動力を効率よく該車両の駆動機構へ伝達するための動力伝達機構であるトランスミッション14とを備え、前記エンジン12とトランスミッション14とは一体に組み立てられている。エンジン12及びトランスミッション14には、数多くの種類が存在し、車種の仕様等に応じて、その都度、該仕様に合わせてエンジン12とトランスミッション14とを組み合わせている。
エンジン12は、ベースとなる部分が下側からオイルパン22、シリンダブロック24、シリンダヘッド26及びヘッドカバー28の順に積み重ねられて構成されている。また、前記オイルパン22の端部近傍には、エアコン(図示せず)のコンプレッサ30が設けられている。
トランスミッション14は、トランスミッションケース40によって覆われている。トランスミッション14は、エンジン12の動力を効率よく、図示しない車両へ伝達する機能を有する。
次に、本実施の形態に係るエンジン・トランスミッション搬送用パレット50について説明する。説明の便宜上、図1に示すように、エンジン・トランスミッション10側を上方向、エンジン・トランスミッション搬送用パレット50側を下方向とする。また、トランスミッション14側を前方向、エンジン12側を後方向とする。さらに、前方向を指向して右側を右方向、左側を左方向とする。
図1に示すように、エンジン・トランスミッション搬送用パレット50は、土台となるベース52と、該ベース52上に載置され、エンジン・トランスミッション10を保持するエンジン・トランスミッション保持部54とを有している。
図1に示すように、ベース52は、直方体形状を有し、軽量化を図るため、合成樹脂等の軽量部材を使用し、さらに、図示しない多数の肉抜き孔を有することで、さらなる軽量化を図っている。また、該ベース52の前後左右方向の面には、図示しない運搬機械であるフォークリフトのフォークが挿入できる程度の大きさに開口した複数のフォーク挿入孔56が設けられている。さらに、ベース52の上面には、後述するエンジン保持部60の複数の車輪70と嵌合する位置に凹部58が、該車輪70と同数設けられている。
図1及び図2に示すように、エンジン・トランスミッション保持部54は、エンジン12を保持するエンジン保持部60と、該エンジン保持部60の前方端部近傍に一体化して設けられ、トランスミッション14を保持するトランスミッション保持部62とを有している。
図2に示すように、エンジン保持部60は、フレーム64と、フレーム梁66と、前記フレーム64の下側に設けられた車軸68と、該車軸68の両端に設けられた車輪70と、上方向に開口した支柱支持部72と、該支柱支持部72に嵌合するエンジン支持部74と、支持部補強部76とを有する。
フレーム64は、平面視長方形の枠形状の金属製部材である。該枠形状の部材という簡略化した機構であることによって、軽量となる。なお、説明の便宜上、図2に示すように、該フレーム64前方の辺を前フレーム64a、後方の辺を後フレーム64b、左側の辺を左フレーム64c、及び右側のフレームを右フレーム64dとする。
図2に示すように、金属製部材である複数のフレーム梁66が、左フレーム64cと右フレーム64dとの間に設けられ、該左フレーム64cと右フレーム64dに溶接等でそれぞれ固定されている。前記フレーム梁66は、フレーム64の強度を補強する機能を有する。なお、ここでフレーム梁66は、3本設けられているが、本数はこれに限定されない。
前フレーム64a及び後フレーム64b近傍の下側に、車軸68が左右方向に延在している。該車軸68は、金属製部材であり、左フレーム64c及び右フレーム64dに対して溶接等で固定されている。なお、図2で示すように、ここでは前記車軸68を、前記前フレーム64a及び後フレーム64b近傍にそれぞれ1本ずつの計2本としたが、本数及び位置はこれらに限定されない。
前記車軸68の両端には、車輪70が回転自在に設けられている。該車輪70を有することで、エンジン・トランスミッション保持部54を容易に移動させることができる。
支柱支持部72は、金属製部材であり、フレーム64の周縁近傍に突設し、上方向に開口している。図2に示すように、支柱支持部72は、左フレーム64c、右フレーム64d、及びフレーム梁66に対して複数設けられ、該左フレーム64c、右フレーム64d、及びフレーム梁66に溶接等でそれぞれ固定されているが、どの支柱支持部72が使用されるかは、エンジン12の機種ごとに変更される。なお、図1及び図2で示すように、支柱支持部72は、左フレーム64c及び右フレーム64dに4個ずつ、フレーム梁66に2個設けられているが、個数及び位置はこれらに限定されず、例えば、前フレーム64a、後フレーム64b、及び車軸68等に設けられてもよい。
図1及び図2で示すように、支持部補強部76が、支柱支持部72間を接続し、さらに、フレーム64及びフレーム梁66に固定されている。前記支持部補強部76は、金属製部材であり、支柱支持部72、フレーム64及びフレーム梁66に溶接等で固定されている。支持部補強部76は、支柱支持部72に付与される力に対する強度補強の機能を有する。
図3に示すように、支柱支持部72に着脱自在に嵌合するエンジン支持部74は、金属製部材の柱である支柱78と、該支柱78上端部に設けられ、前後左右方向に所定の面積を有したエンジン受け80と、緩衝部材82とを有する。
エンジン支持部74は、支柱支持部72に着脱自在に嵌合するが、該エンジン支持部74は、前後左右方向に所定の面積を有したエンジン受け80が支柱支持部72によって係止されることで、上端の位置決めがなされる。該上端の位置決めに、既存部材であるエンジン受け80を用いることで、部品点数を増やすことなく、位置決めすることができる。また、部品点数が増えないことで、構造や管理が簡便となり、さらに、軽量化も可能となる。なお、前記上端の位置決めは、例えば、支柱78が支柱支持部72の底部、すなわち、フレーム64又はフレーム梁66によって保持されることでなされてもよい。この場合も、前記上端の位置決めに、既存部材を用いているため、前述したのと同様の効果が得られる。
また、エンジン支持部74の上端の位置は、エンジン12の機種ごとに変更されるため、該エンジン支持部74はエンジン12の機種ごとの専用部材となるが、エンジン支持部74は、エンジン・トランスミッション搬送用パレット50の大きさと比し、小型軽量で、保管場所の増大及び重量の増加も可及的に抑えることができる。なお、前述したように、支柱78が、フレーム64又はフレーム梁66によって保持されることで、エンジン支持部74の上端の位置決めがなされる場合、エンジン12の機種ごとに支柱78の長さを変更することで、該上端の位置決めがなされている。この場合も、エンジン支持部74は、エンジン・トランスミッション搬送用パレット50の大きさと比し、小型軽量で、保管場所の増大及び重量の増加も可及的に抑えることができる。
エンジン受け80は、前後左右方向に所定の面積を有し、支柱78の上端部に設けられる。該エンジン受け80の形状及び大きさは、エンジン12の種類ごとに変更される。エンジン受け80が、前後左右方向に所定の面積を有することで、エンジン12を安定的に保持することができる。また、1本の支柱78に対して、1つのエンジン受け80を有するのではなく、図3に示すように、複数の支柱78に対して、1つのエンジン受け80を有してもよい。さらに、エンジン受け80は、図示しないボルト等の着脱可能な固定部材を用いて支柱78に対して固定される。該着脱可能な固定部材を用いることで、エンジン支持部74の変更が必要となった場合の作業が容易となる。なお、該エンジン受け80は、支柱78と一体化して形成されてもよい。
エンジン受け80の上面には、図示しないボルト等の着脱可能な固定部材を用いて緩衝部材82が設けられる。該着脱可能な固定部材を用いることで、該緩衝部材82が損耗した場合でも、容易に交換することができる。また、該緩衝部材82は、例えば、ウレタン樹脂であってもよいが、これに限定されない。該緩衝部材82を有することによって、エンジン支持部74が、エンジン12を保持するときに、該エンジン12を損傷することがない。
図2及び図3に示すように、トランスミッション保持部62は、土台となる底部84と、一対の柱からなる柱部86と、ベルト機構88とを有している。
図2に示すように、底部84は、平面視略長方形の枠形状の金属製部材であるが、後ろ側の辺が左右に分断されている。説明の便宜上、該底部84前方の辺を前方底部84a、左後方の辺を左後方底部84b、右後方の辺を右後方底部84c、左側の辺を左底部84d、及び右側のフレームを右底部84eとする。前方底部84aは、エンジン保持部60の前フレーム64aより長く設けられ、該前フレーム64aと溶接等で固定されている。
図2に示すように、左後方底部84bと右後方底部84cとの間には、エンジン保持部60のフレーム64が嵌めこまれている。該左後方底部84bは左フレーム64cと、該右後方底部84cは右フレーム64dと、それぞれ溶接等で固定されている。
図3に示すように、柱部86は、左底部84dに固定された左柱部86aと、右底部84eに固定された右柱部86bとを有している。左柱部86a及び右柱部86bは共に、上下方向に延在している。該左柱部86a及び右柱部86bの上端部は、後述するベルト機構88のベルト90と接触するが、該ベルト90の摩耗を防止するために、前記左柱部86a及び右柱部86bの上端部は、材質又は形状が該上端部と該ベルト90との摩擦を低減させると好適であり、例えば、円弧形状を有してもよく、また、ローラの如き回転体を設けてもよい。
ベルト機構88は、ベルト90と、ベルトアンカ92と、ベルト巻取器94(張力付与部)と、クランプ機構96とを有している(図4参照)。
ベルト90は、ポリエステル樹脂等を素材とした帯状体で、左柱部86aと右柱部86bとの間を掛架し、トランスミッション14を保持する機能を有する。該ベルト90が帯状体であることによって、図4の仮想線において例を示すように、該トランスミッション14の形状や大きさと関係なく保持するができる。さらに、該ベルト90は、小型軽量であり、廉価でもある。なお、図4に示す仮想線14bはトランスミッションであり、仮想線90bは仮想線14bに対応したベルトの状態である。同様に、仮想線14cはトランスミッションであり、仮想線90cは仮想線14cに対応したベルトの状態である。
図4に示すように、ベルトアンカ92は、左柱部86aと左後方底部84bとの接合箇所近傍に設けられ、ベルト90の一方の端部を固定している。
ベルト巻取器94は、右柱部86bと右後方底部84cとの接合箇所近傍に設けられ、ベルト90の他方の端部側を、常時該ベルト巻取器94で巻き取ることによって、該ベルト90に一定の張力を付与している。
クランプ機構96は、右柱部86bに設けられ、ベルト90の位置を固定するための機構である。該クランプ機構96は、クランプ軸保持部98と、クランプ軸100と、クランプレバー102と、クランプ駒104と、角部材106とを有している。
図5に示すように、クランプ軸保持部98は、右柱部86bから右方向に突設し、左右方向に延在するクランプ軸100を保持する機能を有する。クランプ軸100は、右端でクランプレバー102と接続し、さらに、左端でクランプ駒104と接続している。該クランプレバー102を動作させることで、クランプ軸100を介してクランプ駒104が左右方向に移動することで、ベルト90の位置を固定する。
角部材106は、少なくともクランプ駒104の上下側に、該クランプ駒104を挟むように設けられ、該角部材106の右側にベルト90が配設されている。
本実施の形態に係るエンジン・トランスミッション搬送用パレット50は、基本的には以上のように構成されるものであり、次にエンジン・トランスミッション搬送用パレット50にエンジン・トランスミッション10を載置する作用並びに効果について、図7を用いて説明する。
先ず、ステップS1において、ベース52及びエンジン・トランスミッション保持部54からなるエンジン・トランスミッション搬送用パレット50と、エンジン・トランスミッション10とを用意し、該ベース52の凹部58とエンジン・トランスミッション保持部54のエンジン保持部60の車輪70とを嵌合させる。該凹部58を有することで、ベース52上に載置されたエンジン・トランスミッション保持部54の位置を、該ベース52に対して固定することができると共に、該ベース52上に載置する位置の目安となる。
次に、ステップS2において、エンジン・トランスミッション10におけるエンジン12の機種に対応する専用部材のエンジン支持部74を選択する。
ステップS3において、選択されたエンジン支持部74を、エンジン12の機種に対応する支柱支持部72に嵌合する(図3参照)。前記エンジン支持部74を、前記支柱支持部72に嵌合するという簡便な操作で、専用部材であるエンジン支持部74の変更が可能となることによって、該専用部材の使用に伴う段取り工数の増加を可及的に抑えることができる。また、機構が簡便であるために、メンテナンスも容易となる。なお、エンジン・トランスミッション10は、その形状の特性から、その重心がエンジン12とトランスミッション14との結合面近傍となるため、該結合面を含む平面A(図1の仮想線A参照)と交わる位置にエンジン支持部74を設けると好適である。該平面Aと交わる位置に、エンジン支持部74を設けることによって、エンジン・トランスミッション10を安定して保持することができる。
ステップS4において、図示しない運搬手段によって、エンジン・トランスミッション10を、エンジン・トランスミッション保持部54に載置する(図6参照)。この際、エンジン・トランスミッション10は、車両へ備え付ける向きに載置すると、製造ラインでの作業効率が向上して好適となる。また、この場合、エンジン支持部74は、エンジン12のオイルパン22及びコンプレッサ30を保持し、トランスミッション保持部62のベルト90は、トランスミッション14のトランスミッションケース40を保持する。
ステップS5において、トランスミッション保持部62のクランプレバー102を動作させ、クランプ駒104を、トランスミッション保持部62の右柱部86bに対して当接させることで(図5の実線参照)、該ベルト90の位置を固定する。この場合、角部材106を有することによって、前記ベルト90は、少なくとも角部材106の右側で右柱部86bから離間するが、クランプ駒104でベルト90の位置を固定する際に、該ベルト90は該角部材106近傍で屈曲する(図5参照)。該ベルト90が屈曲することで、該ベルト90と該角部材106との間で接触抵抗が発生し、該ベルト90を一層固定し易くなる。
また、搬送時の加減速に伴い、エンジン・トランスミッション10の重心が移動することによって、新たな負荷がエンジン・トランスミッション保持部54に対して生じることとなるが、該ベルト90は、トランスミッション保持部62のクランプ機構96によって、一定の張力が付与されたまま位置が固定されているため、新たに生じた負荷に抗して、前記エンジン・トランスミッション10を保持することができる。
上述したように、本実施の形態に係るエンジン・トランスミッション搬送用パレット50によれば、トランスミッション14が帯状体であるベルト90によって保持されることで、該トランスミッション14の形状や大きさと関係なく保持することができる。さらに、該ベルト90は小型軽量であり、廉価でもある。また、エンジン12を保持するエンジン支持部74の着脱という簡便な操作で、エンジン12の機種に対応した専用部材である該エンジン支持部74の変更が可能となり、該専用部材の使用に伴う段取り工数の増加を可及的に抑えることができる。さらに、機構が簡便であるために、メンテナンスも容易となる。さらにまた、エンジン・トランスミッション搬送用パレット50の大きさと比し、エンジン支持部74は小型軽量で、保管場所の増大及び重量の増加も可及的に抑えることができる。
エンジン支持部74の変形例としては、図8に示すように、エンジン12の下部を構成するオイルパン22の形状に合わせて成型した合成樹脂部材、例えば、発泡樹脂を用いたエンジン支持部108であってもよい。前記合成樹脂部材を使用することによって、エンジン支持部108を廉価で製作でき、さらに軽量化することができる。また、エンジン支持部108の下側には、支柱支持部72と嵌合する凹部110を設けてもよい。該凹部110を設けることによって、エンジン支持部108の位置決め及びエンジン保持部60に対する固定が、簡便な操作で可能となる。
エンジン支持部74の別の変形例としては、図9に示すように、エンジン12の下部を構成するオイルパン22の形状に合わせて成型した枠形状の合成樹脂部材、例えば、ポリエチレンを用いたエンジン支持部112であってもよい。前記合成樹脂部材を使用することによって、エンジン支持部112を廉価で製作でき、さらに軽量化することができる。また、エンジン支持部112の下側には、支柱支持部72と嵌合する凹部114を設けてもよい。該凹部114を設けることによって、エンジン支持部112の位置決め及びエンジン保持部60に対する固定が、簡便な操作で可能となる。
なお、上述の実施の形態では、右柱部86b側にクランプ機構96を、左柱部86a側にベルトアンカ92を設けたが、逆であってもよい。
また、エンジン保持部60のフレーム64やフレーム梁66及びトランスミッション保持部62の底部84等を金属製部材としたが、部材は金属製に限定されず、エンジン・トランスミッション10の重量に対する耐性を有すれば、例えば、強化プラスチック等でもよい。
本発明に係るエンジン・トランスミッション搬送用パレットは、上述の実施の形態に限らず、本発明の要旨を逸脱することなく、種々の構成を採り得ることはもちろんである。
10…エンジン・トランスミッション
12…エンジン 14…トランスミッション
50…エンジン・トランスミッション搬送用パレット
52…ベース 54…エンジン・トランスミッション保持部
56…フォーク挿入孔 58、110、114…凹部
60…エンジン保持部 62…トランスミッション保持部
64…フレーム 64a…前フレーム
64b…後フレーム 64c…左フレーム
64d…右フレーム 66…フレーム梁
68…車軸 70…車輪
72…支柱支持部 74、108、112…エンジン支持部
76…支持部補強部 78…支柱
80…エンジン受け 82…緩衝部材
84…底部 84a…前方底部
84b…左後方底部 84c…右後方底部
84d…左底部 84e…右底部
86…柱部 86a…左柱部
86b…右柱部 88…ベルト機構
90…ベルト 92…ベルトアンカ
94…ベルト巻取器 96…クランプ機構
98…クランプ軸保持部 100…クランプ軸
102…クランプレバー 104…クランプ駒
106…角部材

Claims (4)

  1. エンジンとトランスミッションとを結合させて一体で搬送するためのエンジン・トランスミッション搬送用パレットであって、
    前記エンジンを保持するエンジン保持部と、
    前記トランスミッションを保持するトランスミッション保持部とを有し、
    前記トランスミッション保持部はベルト機構を含み、
    前記ベルト機構は帯状体であるベルトと、
    前記ベルトに対して張力を付与する張力付与部とを有し、
    前記ベルトに対して付与された前記張力で前記トランスミッションを保持する
    ことを特徴とするエンジン・トランスミッション搬送用パレット。
  2. 請求項1記載のエンジン・トランスミッション搬送用パレットにおいて、
    前記エンジン保持部は、着脱自在な少なくとも1つのエンジン支持部を有している
    ことを特徴とするエンジン・トランスミッション搬送用パレット。
  3. 請求項2記載のエンジン・トランスミッション搬送用パレットにおいて、
    前記エンジン支持部の上端部に緩衝部材を有する
    ことを特徴とするエンジン・トランスミッション搬送用パレット。
  4. 請求項2又は3記載のエンジン・トランスミッション搬送用パレットにおいて、
    前記エンジン支持部は、前記エンジンの形状に合わせて成型した樹脂部材である
    ことを特徴とするエンジン・トランスミッション搬送用パレット。
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