このように、前記特許文献1には、バーの太さにのみ着目し、前記黒太線、黒細線、白太線、白細線が適切な太さで印刷されることを目的とした技術が開示されている。
しかしながら、バーコードの印刷精度を決定するパラメータは、バーの太さだけではなく、バーの濃度、白線部分が確実に白色であるか否か、バーの一部分に欠落が生じていないか否かなどもある。特許第3370711号公報においては、このようなバーの太さ以外のパラメータについては考慮されておらず、バーコードの印刷精度を向上する余地があった。
また、バーコード以外の印刷も行う汎用の画像形成装置では、バーコードの画像品質を向上させるために線幅を細くするような画像処理を行うと、バーコード以外の通常の画像の品質が劣化してしまうおそれがある。
本発明の目的は、バーコード以外の通常画像の品質劣化を低減しつつ、バーコードの画像品質を向上することが可能な画像形成装置を提供することである。
本発明に係る画像形成装置は、画像を表す静電潜像をトナーで現像して得られるトナー像を転写することで画像を形成する電子写真プロセスを用いて、所定の搬送方向に搬送されるシート状の形状を有するシート体に対して画像を形成する画像形成部と、画像データを取得する画像データ取得部と、前記電子写真プロセスの条件として、第1の画像形成条件と、前記第1の画像形成条件とは異なり、バーコードの画像形成に適した第2の画像形成条件とを予め記憶する画像形成条件記憶部と、前記画像データ取得部により取得された画像データの中にバーコードを示すデータが含まれていないとき、該画像データに基づく画像形成動作の画像形成条件として前記第1の画像形成条件を設定し、前記画像データ取得部により取得された画像データの中にバーコードを示す画像データが含まれているとき、該画像データに基づく画像形成動作の画像形成条件として前記第2の画像形成条件を設定する画像形成条件設定処理を行う画像形成条件設定部と、前記シート体が排出される排出部と、前記画像形成条件設定部により設定された画像形成条件にしたがって、前記画像データ取得部により取得された画像データに基づく画像形成動作を前記画像形成部に実行させることにより前記シート体に画像を形成させて前記画像の形成された前記シート体を前記排出部へ排出させる画像形成処理を実行する画像形成制御部と、原稿の画像を読み取る読取動作を実行する原稿読取部と、前記画像データ取得部により取得された画像データの中にバーコードを示す画像データが含まれているとき、前記排出部に排出されたシート体を、前記原稿読取部の読取動作に供するようにユーザに案内する案内処理を実行する案内部と、前記案内部による案内後の前記原稿読取部による読取動作で得られたバーコードの画像データについて画質を評価する評価処理を実行する評価部とを備え、前記画像形成条件設定部は、前記評価部により一定の評価が得られなかったときに前記第2の画像形成条件を前記評価部による評価を高めるように変更する変更処理を実行する。
この構成によれば、画像データ取得部により取得された画像データの中にバーコードを示すデータが含まれていないとき、すなわちバーコードが含まれない通常の画像を画像形成しようとするときは、画像形成制御部が、画像データに基づく画像形成動作の画像形成条件として、通常の画像の画像形成に適した電子写真プロセスの第1の画像形成条件を設定する。これにより、画像形成部は、通常の画像の画像形成に適した画像形成条件にしたがって、画像データ取得部により取得された画像データに基づく画像形成を行うことが可能となるので、バーコード以外の通常画像の品質劣化を低減することが可能となる。
一方、画像データ取得部により取得された画像データの中にバーコードを示す画像データが含まれているとき、すなわちバーコードを画像形成しようとするときは、画像形成制御部が、画像データに基づく画像形成動作の画像形成条件として、第1の画像形成条件とは異なり、バーコードの画像形成に適した電子写真プロセスの第2の画像形成条件を設定する。これにより、画像形成部は、バーコードの画像形成に適した画像形成条件にしたがって、画像データ取得部により取得された画像データに基づく画像形成を行うことで、バーコードの画像品質を向上することが可能となる。この場合、電子写真プロセスの条件をバーコードの画像形成に適したものにすることが可能となるので、バーの太さ以外の要素についてもバーコードの画像品質を向上することが可能となる。その結果、バーコード以外の通常画像の品質劣化を低減しつつ、バーコードの画像品質を向上することが可能となる。
この構成によれば、前記評価部により一定の評価が得られなかったとき、前記第2の画像形成条件を前記評価部による評価を高めるように変更されるので、当該画像形成装置が保持している複数の画像形成条件の中で、バーコードの画像を形成するのに最も適した画像形成条件が設定される。
また、前記画像データ取得部により取得された画像データの中にバーコードを示す画像データが含まれているとき、前記評価部により前記一定の評価が得られるまで、前記画像形成制御部による前記画像形成処理、前記案内部による前記案内処理、前記原稿読取部による前記読取動作、前記評価部による前記評価処理、及び前記画像形成条件設定部による前記変更処理を繰り返し実行させる制御部をさらに備えることが好ましい。
また、前記画像形成条件設定部は、前記画像データ取得部により取得された画像データの中にバーコードを示す画像データが含まれているとき、前記搬送方向に前記被記録面をバーコードが存在する第1の範囲とそれ以外の第2の範囲とに分割し、前記第1の範囲に画像形成する対象の第1の画像データに基づく画像形成動作の画像形成条件として前記第2の画像形成条件を設定し、前記第2の範囲に画像形成する対象の第2の画像データに基づく画像形成動作の画像形成条件として前記第1の画像形成条件を設定することが好ましい。
バーコードのバーの太さやバーの濃度を適切にしたり、白線部分を確実に白くしたり、バーの一部に欠落が生じないようにしたりする、等のバーコードの画像品質を向上するような画像形成条件を用いて画像形成を行うと、画像データの中にバーコードの画像データとバーコード以外の画像データとが混在している場合、バーコード以外の部分における画像形成条件が、バーコードの画像形成に適した条件にはミスマッチとなり、バーコード以外の部分の画像品質が低下するおそれがある。
そこで、この構成によれば、前記画像データ取得部により取得された画像データの中にバーコードを示す画像データが含まれているとき、前記搬送方向に前記被記録面をバーコードが存在する第1の範囲とそれ以外の第2の範囲とに分割し、前記第1の範囲に画像形成する対象の第1の画像データに基づく画像形成動作の画像形成条件として、前記画像データ取得部により取得された画像データの中にバーコードを示す画像データが含まれていないときの画像形成条件(前記第1の画像形成条件)とは異なる画像形成条件(前記第2の画像形成条件)を設定するようにしたので、バーコードの画像形成に好適な画像形成条件でバーコードを含む部分の画像を形成し、通常画像の画像形成に適した画像形成条件でバーコードを含まない部分の画像を形成することができる。
また、前記画像データ取得部により取得された画像データの中にバーコードを示す画像データが含まれているとき、前記第2の範囲に画像形成する対象の第2の画像データに基づく画像形成動作の画像形成条件として前記第1の画像形成条件を設定するようにしたので、例えば被記録媒体が用紙である場合において、1枚の原稿の画像の中にバーコード以外の画像に適した画像形成条件で画像形成動作を行うことができる。
これらの結果、バーコードとそれ以外の画像とが混在する場合に、バーコードの画像の高い画質を確保しつつ、バーコード以外の画像の画質低下を低減することが可能となる。
また、前記画像形成部は、表面に静電潜像が形成された感光体ドラムの該静電潜像を顕像化するべく、交流電圧の供給を受けてトナーを前記感光体ドラムに供給する現像ローラを備え、前記画像データ取得部により取得された画像データに基づく画像形成動作の画像形成条件を決定するためのパラメータとして前記現像ローラに印加する交流電圧の周波数が用いられ、前記第2の画像形成条件を、前記現像ローラに印加する交流電圧の周波数が前記第1の画像形成条件と異なる値に設定されたものとするとよい。
また、前記評価処理は、トナーのチリの状態を評価する処理を含み、前記変更処理は、トナーのチリが予め定められた状態より多く存在することにより、前記評価部により一定の評価が得られなかったとき、前記第2の画像形成条件を、前記交流電圧の周波数が増大するように変更する処理を含むことが好ましい。
トナーを現像ローラから感光体ドラムに移動させる交流電圧の周波数を増大すると、トナーのチリが減少するので、トナーのチリが予め定められた状態より多く存在する場合、トナーを現像ローラから感光体ドラムに移動させる交流電圧の周波数を増大することで、トナーのチリを減少させて、評価部による評価を高めることができる。
また、前記評価処理は、隣接する異なる色の2つのバーの境界部分における画像データの変化の大きさを示すコントラストを評価する処理を含み、前記変更処理は、前記コントラストが予め定められた状態より小さいことにより前記一定の評価が得られなかったとき、前記第2の画像形成条件における前記交流電圧の周波数を変更する処理を含むことが好ましい。
トナーを顕像化するべく感光体ドラムへ移動させる交流電圧の周波数と画像のコントラストとの間には相関関係があるので、コントラストが予め定められた状態より低い場合、コントラストを高めるように交流電圧の周波数を変更することで、評価部による評価を高めることができる。
また、前記画像形成部は、表面に静電潜像が形成される感光体ドラムを備え、前記画像形成条件を決定するための他のパラメータとして、該感光体ドラムの表面電位が用いられ、前記第2の画像形成条件を、前記感光体ドラムの表面電位が前記第1の画像形成条件と異なる値に設定されたものとするとよい。
また、前記評価処理は、バーの欠落状態を評価する処理を含み、前記変更処理は、前記バーの欠落状態が予め定められた状態より著しいことにより前記一定の評価が得られなかったとき、前記感光体ドラムの表面電位が減少するように前記第2の画像形成条件を変更する処理を含むことが好ましい。
感光体ドラムの表面電位を減少させると、静電潜像が現像される際のトナー量が増大するので、濃度が濃い方のバー(例えば黒バー)の欠落状態が予め定められた状態より著しい場合に感光体ドラムの表面電位を減少させることで、トナー濃度を濃くしてバーの欠落を減少させて、評価部による評価を高めることができる。
また、前記評価処理は、前記バーコードを構成するバーによる光反射率を評価する処理を含み、前記変更処理は、前記光反射率が予め定められた状態より低いことにより前記一定の評価が得られなかったとき、前記感光体ドラムの表面電位が増大するように前記第2の画像形成条件を変更する処理を含むことが好ましい。
感光体ドラムの表面電位を増大させると、静電潜像が顕像化される際のトナー量が減少するので、濃度が薄い方のバー(例えば白バー)の光反射率が予め定められた状態より低い(濃度が濃い)場合に感光体ドラムの表面電位を増大させることで、トナー濃度を薄くしてバーの光反射率を高めることで、評価部による評価を高めることができる。
また、前記評価処理は、隣接する異なる色の2つのバーの境界部分における画像データの変化の大きさを示すコントラストを評価する処理を含み、前記変更処理は、前記コントラストが予め定められた状態より小さいことにより前記一定の評価が得られなかったとき、前記感光体ドラムの表面電位を変更する処理を含むことが好ましい。
感光体ドラムの表面電位と画像のコントラストとの間には相関関係があるので、コントラストが予め定められた状態より小さい(低い)場合、コントラストを高めるように感光体ドラムの表面電位を変更することで、評価部による評価を高めることができる。
また、前記画像形成部は、表面に静電潜像が形成された感光体ドラムの該静電潜像を顕像化するべく、直流電力の供給を受けてトナーを前記感光体ドラムに供給する現像ローラが備え、前記画像形成条件を決定するための他のパラメータとして、該現像ローラに印加する直流電圧が用いられ、前記第2の画像形成条件を、前記現像ローラに印加される直流電圧が前記第1の画像形成条件と異なる値に設定されたものとするとよい。
また、前記評価処理は、バーの欠落状態を評価する処理を含み、前記変更処理は、前記バーの欠落状態が予め定められた状態より著しいことにより前記一定の評価が得られなかったとき、前記直流電圧が増大するように前記第2の画像形成条件を変更する処理を含むことが好ましい。
現像ローラへ供給される直流電圧が増大すると、静電潜像が顕像化される際のトナー量が増大するので、濃度が濃い方のバー(例えば黒バー)の欠落状態が予め定められた状態より著しい場合に現像ローラへ供給される直流電圧を増大させることで、トナー濃度を濃くしてバーの欠落を減少させ、評価部による評価を高めることができる。
また、前記評価処理は、前記バーコードを構成するバーによる光反射率を評価する処理を含み、前記変更処理は、前記光反射率が予め定められた状態より低いことにより前記一定の評価が得られなかったとき、前記直流電圧が減少するように前記第2の画像形成条件を変更する処理を含むことが好ましい。
現像ローラへ供給される直流電圧が減少すると、静電潜像が顕像化される際のトナー量が減少するので、濃度が薄い方のバー(例えば白バー)の光反射率が予め定められた状態より低い(濃度が濃い)場合に当該直流電圧を減少させることで、トナー濃度を薄くしてバーの光反射率を高めることで、評価部による評価を高めることができる。
また、前記評価処理は、隣接する異なる色の2つのバーの境界部分における画像データの変化の大きさを示すコントラストを評価する処理を含み、前記変更処理は、前記コントラストが予め定められた状態より小さいことにより前記一定の評価が得られなかったとき、前記第2の画像形成条件における前記直流電圧を変更する処理を含むことが好ましい。
現像ローラへ供給される直流電圧と画像のコントラストとの間には相関関係があるので、コントラストが予め定められた状態より小さい(低い)場合、コントラストを高めるように現像ローラへ供給される直流電圧を変更することで、評価部による評価を高めることができる。
また、前記画像形成部は、表面に形成された静電潜像がトナーにより顕像化される感光体ドラムと、前記感光体ドラムとで前記シート体を挟持したときに、前記感光体ドラムの表面に形成された顕像を構成するトナーの極性と逆の極性を前記シート体に付与することにより、該トナーを前記シート体に転写させる転写ローラとを備え、前記第2の画像形成条件は、前記転写ローラに供給する転写電流が前記第1の画像形成条件と異なる値に設定されたものとするとよい。
また、前記評価処理は、トナーのチリの状態を評価する処理を含み、前記変更処理は、トナーのチリが予め定められた状態より多く存在することにより前記一定の評価が得られなかったとき、前記第2の画像形成条件における前記転写電流を増大させるように変更する処理を含むことが好ましい。
転写電流が増大すると、トナーのチリが減少するので、トナーのチリが予め定められた状態より多く存在する場合、転写電流を増大することで、トナーのチリを減少させて、評価部による評価を高めることができる。
また、前記評価処理は、隣接する異なる色の2つのバーの境界部分における画像データの変化の大きさを示すコントラストを評価する処理を含み、前記変更処理は、前記コントラストが予め定められた状態より小さいことにより前記一定の評価が得られなかったとき、前記転写電流が増大するように前記第2の画像形成条件を変更する処理を含むことが好ましい。
転写電流が増大すると、画像のコントラストが増大する(高くなる)ので、コントラストが予め定められた状態より小さい場合、転写電流を増大することで、コントラストを増大(高く)させて、評価部による評価を高めることができる。
また、前記画像データ取得部は、複数ページ分の画像データを取得し、前記画像形成条件設定部は、前記画像データにおける1ページ毎に、前記画像形成条件設定処理を行うことが好ましい。
この構成によれば、バーコードを含まないページは通常の画像形成に適した第1の画像形成条件を用いて画像形成され、バーコードを含むページはバーコードの画像形成に適した第2の画像形成条件を用いて画像形成されるので、バーコードを含まないページの画像品質の低下を防止しつつ、バーコードの画像品質を向上させることができる。
また、前記画像形成条件設定処理の実行指示を受け付ける指示受付部をさらに備え、前記画像形成条件設定部は、前記指示受付部によって前記実行指示が受け付けられた場合、前記画像形成条件設定処理を実行し、前記指示受付部によって前記実行指示が受け付けられていない場合、前記画像データ取得部により取得された画像データの中にバーコードを示すデータが含まれているか否かにかかわらず、該画像データに基づく画像形成動作の画像形成条件として前記第1の画像形成条件を設定することが好ましい。
この構成によれば、ユーザは、バーコードの画像品質を向上したいときは、指示受付部を用いて画像形成条件設定処理の実行指示を行うことで、バーコードに適した第2の画像形成条件を用いて画像形成されるので、被記録媒体に形成されるバーコードの画像品質を向上させることが可能となる。一方、ユーザは、バーコードよりも通常画像の画像品質を優先させたいときは、指示受付部による画像形成条件設定処理の実行指示を行わなければ、画像データの中にバーコードが含まれているか否かにかかわらず、通常の画像形成に適した第1の画像形成条件を用いて画像形成されるので、被記録媒体に形成される通常画像の品質の低下が防止される。
本発明によれば、バーコード以外の通常画像の品質劣化を低減しつつ、バーコードの画像品質を向上することが可能となる。
以下、本発明に係る画像形成装置の実施形態を説明する。なお、各図において同一の符号を付した構成は、同一の構成であることを示し、その説明を省略する。図1は、本発明に係る画像形成装置の第1の実施形態の構成を示す図である。
図1に示すように、画像形成装置1は、当該装置の上部に配設された原稿読取部802と、原稿読取部802の上方に配設された原稿給送部803とを備える。
原稿読取部802は、CCD(Charge Coupled Device)センサ及び露光ランプ等からなるスキャナ部811と、ガラス等の透明部材により構成された原稿台812及び原稿読取スリット813とを備える。
スキャナ部811は、図略の駆動部により原稿面に沿って図1の左右方向に移動可能に構成されており、前記CCDセンサは、この移動方向に直交する方向(図1における紙面に直交する方向)に前記画素列が並ぶように設置されている。
スキャナ部811は、原稿台812に載置された原稿を読み取るときは、原稿台812に対向する位置で原稿面に沿って図1の左右方向に移動され、原稿画像を走査しつつ取得した画像データを制御部100(図3)へ出力する。また、原稿給送部803により給送された原稿を読み取るときは、原稿読取スリット813と対向する位置に移動され、原稿読取スリット813を介して原稿給送部803による原稿の搬送動作と同期して原稿の画像を取得し、その画像データを制御部100へ出力する。
原稿給送部803は、原稿を載置するための原稿載置部814と、画像読み取り済みの原稿を排出するための原稿排出部815と、原稿載置部814に載置された原稿を1枚ずつ繰り出して原稿読取スリット813に対向する位置へ搬送し、原稿排出部815へ排出するための給紙ローラや搬送ローラ(図示せず)等からなる原稿搬送機構816とを備える。原稿搬送機構816は、さらに原稿を表裏反転させて原稿読取スリット813と対向する位置へ再搬送する用紙反転機構(図示せず)を備え、原稿の両面の画像を、原稿読取スリット813を介してスキャナ部811から読取可能にしている。
また、原稿給送部803は、その前面側が上方に移動可能となるように装置本体に対して回動自在に設けられている。原稿給送部803の前面側を上方に移動させて原稿台812の上面を開放することにより、原稿台812の上面に読み取り原稿、例えば見開き状態にされた書籍等を操作者が載置できるようになっている。
画像形成装置1のフロント部には、操作部804が設けられている。この操作部804には、バーコードモードの設定を指示するバーコードキー801(指示受付部)と、ユーザが印刷実行指示を入力するためのスタートキー805と、印刷部数等を入力するためのテンキー806と、各種複写動作の操作ガイド情報等を表示し、これら各種設定入力用にタッチパネル機能を有する液晶ディスプレイ等からなる表示部807と、表示部807で設定された設定内容等をリセットするリセットキー808と、実行中の印刷(画像形成)動作を停止させるためのストップキー809と、当該画像形成装置1に備えられる各種の機能を切り換えるための機能切換キー810が備えられている。
画像形成装置1は、印刷処理に供する用紙P(被記録媒体)を貯留する用紙貯留部12と、この用紙貯留部12に貯留された用紙束P1から繰り出された1枚ずつの用紙Pに対して画像の転写処理を施す画像形成部13と、この画像形成部13で転写処理の施された用紙Pに対して定着処理を施す定着装置14と、定着装置14で定着処理の施された用紙Pが排紙される排紙部15とを有する。
用紙貯留部12には、所定数(本実施形態では1つ)の用紙カセット121が装置本体11に対して挿脱自在に設けられている。用紙カセット121の上流端(図1の右方)には、用紙束P1から1枚ずつの用紙Pを繰り出させるピックアップローラ122が設けられている。このピックアップローラ122の駆動によって用紙カセット121から繰り出された用紙Pは、給紙搬送路123およびこの給紙搬送路123の下流端に設けられたレジストローラ対124を介して画像形成部13に給紙されるようになっている。
画像形成部13は、コンピュータ等から、後述する伝送路110を介して外部通信I/F部111へ送信された画像情報に基づき用紙Pにトナー画像の転写処理を施すものであり、前後方向(図1の紙面と直交する方向)に延びるドラム軸回りに回転可能に設けられた感光体ドラム20の周面に沿うように、当該感光体ドラム20の直上位置から時計方向に向けて帯電ローラ30(帯電部)、露光装置40、現像装置50(現像部)、転写ローラ60(転写部)およびクリーニング装置70が配設されることによって形成されている。
感光体ドラム20は、周面に静電潜像を形成させた後にこの静電潜像に沿ったトナー像を形成させるためのものであり、周面にアモルファスシリコン層が積層され、これによってこれらの像を形成させるのに適したものになっている。かかる感光体ドラム20は、装置本体11の略中央部で前後方向(図1の紙面に直交する方向)に延びるドラム軸に同心で一体的に軸支され、図略の駆動手段の駆動によるドラム軸の時計方向に向かう駆動回転によって当該ドラム軸と一体回転し得るようになっている。
帯電ローラ30は、ドラム芯回り時計方向に回転している感光体ドラム20の周面に一様な電荷を形成させるものであり、周面が感光体ドラム20の周面と当接しながら従動回転しつつ当該感光体ドラム20へ電荷を付与するようになっている。なお、帯電ローラ30に代えてワイヤからのコロナ放電により感光体ドラム20の周面に電荷を付与するコロナ放電方式のものを採用してもよい。
露光装置40は、コンピュータ等の外部の機器から電送されてきた画像データに基づき強弱の付与されたレーザー光を回転している感光体ドラム20の周面に照射し、これによるレーザー光が照射された部分で電荷を消去させることによって当該周面に静電潜像を形成させるものである。
現像装置50は、感光体ドラム20の周面に現像剤であるトナーを供給することによって周面の静電潜像が形成された部分にトナーを付着させ、これによって感光体ドラム20の周面にトナー像を形成させるものである。本実施形態においては、現像剤としてトナーのみからなる、いわゆる1成分系のものが採用されている。なお、本発明に係る画像形成装置は、現像剤がトナーのみからなる1成分系のものであることに限定されるものではなく、現像剤がトナーとキャリアとからなる、いわゆる2成分系のものであってもよい。
転写ローラ60は、感光体ドラム20の直下位置に送り込まれた用紙Pに対して当該感光体ドラム20の周面に形成されているプラスに帯電したトナー像を用紙Pに転写させるものであり、トナー像の電荷と逆極性であるマイナスの電荷を用紙Pに付与するようになっている。
従って、感光体ドラム20の直下位置を越えた用紙Pは、転写ローラ60と感光体ドラム20とによって押圧挟持されつつ、プラスに帯電した感光体ドラム20周面のトナー像がマイナスに帯電した用紙Pの表面に向けて引き剥がされ、これによって用紙Pに対し転写処理が施されることになる。
クリーニング装置70は、転写処理後の感光体ドラム20の周面に残留しているトナーを取り除いて清浄化するためのものである。このクリーニング装置70によって清浄化された感光体ドラム20の周面は、次の画像形成処理のために再び帯電ローラ30へ向かうことになる。
定着装置14は、画像形成部13によって転写処理の施された用紙Pのトナー像に加熱による定着処理を施すものであり、内部にハロゲンランプ等の通電発熱体が装着されたヒートローラ141と、このヒートローラ141の下部で周面が対向配置された加圧ローラ142とを備えて構成されている。そして、転写処理後の用紙Pは、ローラ芯回りに時計方向に向けて駆動回転しているヒートローラ141と、ローラ芯回りに反時計方向に向けて従動回転している加圧ローラ142との間のニップ部を通過することによって、ヒートローラ141からの熱を得て定着処理が施されるようになっている。定着処理の施された用紙Pは、排紙搬送路143を通って排紙部15へ排出されることになる。
排紙部15は、装置本体11の頂部が凹没されることによって形成され、この凹没した凹部の底部に排紙された用紙Pを受ける排紙トレイ151が形成されている。
図2は、図1に示す画像形成部13の構成の一例を詳細に示す説明図である。なお、図2では、感光体ドラム20の構成要素および用紙Pの厚み寸法を誇張して示している。図2に示すように、感光体ドラム20は、例えば、ドラム軸21と、このドラム軸21回りに同心で回転可能に装着されたアルミニウム合金製のアルミ素管22と、このアルミ素管22の周面に蒸着処理等により均一に積層されて形成されたアモルファスシリコン層23とを備えている。かかる感光体ドラム20は、図略のドラムモータの駆動で時計方向に向けて回転するようになっている。
アモルファスシリコン層23は、シリコン(Si)や、シリコンの化合物(SiC、SiO、SiON等)が固溶体状で固化したものであり、通常、スパッタリング処理等の物理的な蒸着処理によって形成される。かかるアモルファスシリコン層23(特にSiC製のもの)は、高抵抗であることによる優れた帯電能力を備えていると共に、耐摩耗性や耐環境性にも優れ、静電潜像やトナー像を形成させる材料として好適である。
帯電ローラ30には、帯電ローラ用電源33が接続されている。帯電ローラ用電源33は、制御部100からの制御信号に応じて電圧値が設定された直流の帯電電圧Vdc3を帯電ローラ30へ印加する。
帯電ローラ30は、周面が感光体ドラム20の周面(すなわちアモルファスシリコン層23)に当接された状態で、帯電ローラ用電源33からの帯電電圧Vdc3をアモルファスシリコン層23へ印加するものであり、金属製の帯電ローラ軸31と、この帯電ローラ軸31に同心で一体的に外嵌されたエラストマー等の誘電材料製の帯電ローラ本体32とからなっている。
かかる帯電ローラ30は、帯電ローラ用電源33からのプラスの電圧が帯電ローラ軸31に印加されることにより帯電ローラ本体32の周面にプラスの電荷が形成された状態で、感光体ドラム20のドラム軸21回りの時計方向へ向かう回転に従動しながら軸心回りに反時計方向に回転し、感光体ドラム20の表面電位を例えば400Vに帯電させ、アモルファスシリコン層23に一様なプラスの電荷を形成させるようにされている。
露光装置40は、帯電ローラ30によってアモルファスシリコン層23に形成された一様な電荷面に対して電送されてきた画像情報に基づく強弱を備えたレーザー光線を照射し、これによってドラム軸21回りに回転している感光体ドラム20の周面(アモルファスシリコン層23)にプラスの電荷が消失するか或いは極めて少なくなった静電潜像を形成させるようになっている。因みに、図2では、露光装置40によって照射された感光体ドラム20の周面は、プラスの電荷を示す「+」記号を消去している。
現像装置50は、露光装置40によって形成された感光体ドラム20のアモルファスシリコン層23に対しトナーTを供給して静電潜像に沿ったトナー像Sを形成させるものであり、内部にトナーが装填された箱形の現像装置本体51内に周面の一部を露出させた状態で現像ローラ52が装着されて構成されている。そして、現像装置50は、現像装置本体51内に装填されたトナーT(図2において円内に「+」記号を付してトナーTを表現している)を感光体ドラム20のドラム軸21と平行な軸心回りに回転している現像ローラ52の周面からドラム軸21回りに回転しているアモルファスシリコン層23に供給することによりアモルファスシリコン層23の表面にトナー像Sを形成させる。
現像装置本体51における感光体ドラム20の周面と対向した壁面には、現像装置本体51内のトナーTを感光体ドラム20の周面に受け渡すためのトナー供給開口511が設けられ、現像装置本体51内のトナーTは、このトナー供給開口511を介し現像ローラ52の回転に応じて感光体ドラム20の周面に供給される。
現像ローラ52は、ドラム軸21と平行に配された非回転の現像ローラ軸521と、この現像ローラ軸521に同心で一体的に外嵌された固定マグネット523と、この固定マグネット523に外嵌されて現像ローラ軸521回りに駆動回転する現像スリーブ522とを備えて構成されている。現像スリーブ522はSUSやアルミなどの金属、導電性樹脂等によって形成されている。
かかる現像ローラ52には、現像用交流電源531と現像用直流電源532とが直列に接続されている。現像用交流電源531及び現像用直流電源532は、制御部100からの制御信号に応じて電圧値が設定された交流電圧Vac1及び直流電圧Vdc1をそれぞれ出力する。そして、現像用直流電源532から出力される直流電圧Vdc1と現像用交流電源531から出力される交流電圧Vac1とが重畳されて得られた現像電圧V1が、現像ローラ52に印加される。例えば、交流電圧Vac1はAC1.5kV、3.5kHzに設定され、直流電圧Vdc1はDC300Vに設定される。
さらに、現像ローラ52に直流電圧Vdc1と交流電圧Vac1とが重畳された現像電圧V1が印加されることにより、現像スリーブ522の周面がプラスに帯電され、図略の現像ローラ用モータの駆動により現像スリーブ522が現像ローラ軸521回りに反時計方向に向けて回転し、これによって現像装置本体51内のトナーTをプラスに帯電させつつ感光体ドラム20のアモルファスシリコン層23に供給するようになっている。
現像装置本体51のトナー供給開口511の上縁部には、回転に応じて現像スリーブ522の周面から感光体ドラム20へ供給されるトナーTの厚み寸法を均一な所定のレベルに揃えるためのトナー層規制ブレード54が設けられ、トナーTは、このトナー層規制ブレード54を潜ることによって感光体ドラム20に対する過供給が防止されるようになっている。因みに本実施形態においては、このトナー層規制ブレード54と現像スリーブ522との隙間寸法(ギャップ)は、100μmに設定されている。
転写ローラ60は、感光体ドラム20の周面に形成されているトナー像Sの電荷の極性と反対の極性(本実施形態ではマイナスの極性)を付与することによってアモルファスシリコン層23からトナー像Sを剥がし取り、この剥がされたトナー像Sを転写ローラ60の周面とアモルファスシリコン層23との間を搬送されつつある用紙P上に転写させるものである。
かかる転写ローラ60には、転写用直流電源632が接続されている。転写用直流電源632は、制御部100からの制御信号に応じて電圧値が設定された直流電圧Vdc2を出力する。そして、転写用直流電源632から出力される直流電圧Vdc2、すなわち転写電圧V2が、転写ローラ60に印加される。例えば、直流電圧Vdc2はDC−3kVに設定されており、転写電圧V2は、マイナスの極性になるようにされている。
そして、転写ローラ60は、感光体ドラム20のドラム軸21と平行な転写ローラ軸61と、この転写ローラ軸61に同心で一体回転可能に外嵌された転写ローラ本体62とを備えて構成され、転写用直流電源632からのマイナスの転写電圧V2が印加されるようになっている。従って、用紙Pが転写ローラ本体62の周面と密着状態で当該転写ローラ本体62と感光体ドラム20のアモルファスシリコン層23との間を搬送されることにより、プラスに帯電したトナーTからなるトナー像Sが、マイナスに帯電した用紙Pの表面側に静電気的に吸着され、これによって感光体ドラム20の周面に形成されたトナー像Sの、用紙Pへの転写が行われる。
クリーニング装置70は、感光体ドラム20のアモルファスシリコン層23表面のトナー像Sが用紙Pに転写された後にアモルファスシリコン層23に残留している残留トナーT1を除去するためのものである。かかるクリーニング装置70は、箱形のクリーニング装置本体71内の下部に装着された周面が感光体ドラム20の周面(アモルファスシリコン層23)と当接するクリーニングローラ72と、先端が感光体ドラム20の周面に当接するようにクリーニング装置本体71内の上部に装着されたクリーニングブレード73と備えて構成されている。
クリーニングローラ72は、ドラム軸21と平行なローラ軸721周りに同心で一体的に形成されている。かかるクリーニングローラ72は、弾性変形し得るとともに、優れた強靱性を有する合成樹脂材料によって形成されている。
このようなクリーニングローラ72がローラ軸回りに感光体ドラム20の周速度より速い周速度で感光体ドラム20と反対方向(図2に示す例では反時計方向)に向けて回転することにより、アモルファスシリコン層23表面を摺擦しコロナ生成物などの付着物を除去して清浄化する。
クリーニングブレード73は、感光体ドラム20の周面に対する仕上げの清浄化部材であり、ゴムなどの弾性材料によって板状に形成されている。かかるクリーニングブレード73は、感光体ドラム20の周面のアモルファスシリコン層23に向けて先下がりに傾斜してクリーニング装置本体71内の上部位置に装着され、若干弾性変形した状態で先端のブレード刃731がアモルファスシリコン層23に当接されている。従って、クリーニングローラ72を介してブレード刃731に到達したアモルファスシリコン層23から、クリーニングローラ72で除去し得なかった残留トナーT1が感光体ドラム20の時計方向へ向かう回転に応じて掻き落とされることになる。
そして、クリーニングローラ72およびクリーニングブレード73によって除去されたアモルファスシリコン層23の残留トナーT1は、クリーニング装置本体71内に導入されて一時貯留された後に所定の搬送手段の駆動により装置本体11(図1)内に設けられた図略の回収ボトルへ回収される。
また、感光体ドラム20、露光装置40、現像装置50、クリーニング装置70は、それぞれ例えば着脱可能なユニットとして一体的にカートリッジ化されたプロセスカートリッジとして構成されている。
図3は、図1に示す画像形成装置1の電気的構成の一例を示すブロック図である。感光体ドラム20、露光装置40、現像装置50、クリーニング装置70を構成する各プロセスカートリッジには、EEPROM(Electrically Erasable and Programmable Read Only Memory)81,82,83,84が、それぞれ設けられている。EEPROM81,82,83,84は、例えばI2C(Inter Integrated Circuit)方式のシリアル通信インターフェイスを備えたEEPROMであり、それぞれ各プロセスカートリッジの製造シリアル番号、当該プロセスカートリッジの種類、あるいは当該プロセスカートリッジを用いて画像形成が行われた回数等、各プロセスカートリッジに関する種々の情報が記憶されている。
外部通信I/F部111は、例えばLAN(Local Area Network)やUSB(Universal Serial Bus)等の伝送路110を介してパーソナルコンピュータ等の外部機器に接続され、外部機器との間で通信信号を送受信するためのインターフェイス回路である。外部通信I/F部111は、制御部100からのデータを外部機器で受信可能な通信信号に変換すると共に外部機器からの通信信号、例えば画像データを制御部100が処理可能な形式のデータに変換する。用紙搬送部120は、ピックアップローラ122、給紙搬送路123、レジストローラ対124、及び排紙搬送路143等からなる用紙搬送機構である。
制御部100は、伝送路110を介して接続されたパーソナルコンピュータ等の外部機器から、外部通信I/F部111へ送信された画像データに基づいて、用紙搬送部120、帯電ローラ30、帯電ローラ用電源33、露光装置40、現像装置50、現像用交流電源531、現像用直流電源532、転写ローラ60、転写用直流電源632、クリーニング装置70、及び定着装置14の動作を制御することにより、画像形成を行わせる制御回路である。
制御部100は、例えば所定の演算処理を実行するCPU(Central Processing Unit)と、所定の制御プログラムが記憶された不揮発性のROM(Read Only Memory)と、データを一時的に記憶するRAM(Random Access Memory)と、その周辺回路等とを備えて構成されている。そして、制御部100は、例えばROMに記憶された制御プログラムを実行することにより、用紙搬送部120、帯電ローラ30、帯電ローラ用電源33、露光装置40、現像装置50、現像用交流電源531、現像用直流電源532、転写ローラ60、転写用直流電源632、クリーニング装置70、及び定着装置14の動作を制御する。
以上の構成に加えて、制御部100は、例えばROMに記憶された制御プログラムを実行することにより、画像データ取得部101と、バーコード検出部102と、画像形成条件設定部103と、テーブル記憶部104と、画像形成制御部105と、案内部106と、評価部107として機能する。
画像データ取得部101は、原稿読取部802の読取動作により得られた画像データ及び外部通信I/F部111により受信した外部機器からの画像データを取得するものである。
バーコード検出部102は、画像データ取得部101により取得された画像データの中に、バーコードを示す画像データが含まれているか否かを検出するものである。バーコードを示す画像データが含まれているか否かの検出は、該画像データの中におけるバーコードの存在を示すコマンドの有無により行われる。なお、本実施形態では、白バーと黒バーとにより構成されるバーコードを想定しているが、本件は、これに限らず、異なる複数色のバーにより構成されるバーコードに適用できる。
画像形成条件設定部103は、画像データ取得部101により取得された画像データに基づく画像形成動作を用紙に対して実行するときの画像形成条件を設定するものである。
ここで、注目すべきは、バーコードの画像形成精度を向上するべく、バーコードの画像データに基づく画像形成動作を用紙に対して実行するときの画像形成条件が、バーコード以外の画像データに基づく画像形成動作(通常の画像形成動作)を用紙に対して実行するときの画像形成条件とは別に予め設定されている点である。
本実施形態では、前記画像形成条件を決定するためのパラメータとして、例えばANSIによる評価を向上させるためには、前記画像形成条件(画像品質を決定するパラメータ)として、前記現像用直流電源532から出力される直流電圧Vdc1(以下、現像バイアスという)、前記現像用交流電源531から出力される交流電圧Vac1の周波数(以下、現像周波数という)、及び前記転写用直流電源632から出力される直流電圧Vdc2に応じて転写ローラ60から流出する電流(以下、転写電流)が設定されている。
これらのパラメータは、例えばANSI(American national Standards Institute)で規定されたバーコードの印刷規格に基づいて設定されている。すなわち、このANSIによる評価項目として、例えばトナーのチリ(トナーをのせるべきでない部分(白部分)にもトナーがのる状態)、バーの白抜け(欠落)、バーの光反射率(トナー濃度に反比例するパラメータ)等がある。そして、トナーのチリの態様は、現像周波数や転写電流の値に応じて変化し、現像周波数を大きくしたり転写電流を大きくしたりすることで、トナーのチリ発生を抑制することができる。また、バーの白抜けは、トナー量が少ないことにより生じるため、現像バイアス(直流電圧)を大きくしたり感光体ドラム20の表面電位を小さくしたりすることで、バーの白抜け発生を抑制することができる。また、白バーの光反射率が低く(トナー濃度が濃く)、かぶり(白紙部に対応する部位にもトナーがのる現象)が発生している場合には、現像バイアスを小さくしたり感光体ドラム20の表面電位を大きくしたりしてトナー量を少なくすることで光反射率を高く(トナー濃度を薄く)することができ、逆に、黒バーの光反射率が高い(トナー濃度が薄い)場合には、現像バイアスを大きくしたり感光体ドラム20の表面電位を小さくしたりすることでトナー量を多くすることで、光反射率を低く(トナー濃度を濃く)することができる。
また、これらの評価項目の他に、例えばコントラスト(黒バーと白バーの境界部分(後述する図7(b)に示す矢印D,E)における画像データの変化の大きさ)がある。転写電流を大きくしたり現像周波数を大きくしたり、或いは、現像バイアス及び感光体ドラム20の表面電位の組み合わせを最適化したりすることで、コントラストを向上することができる。
テーブル記憶部104(画像形成条件記憶部)は、前記画像形成条件をテーブル形式で予め記憶するものである。図4は、テーブル記憶部104に記憶されている画像形成条件テーブルの一例を示す図である。なお、図4は、前記画像形成条件に係る前記各パラメータのうち、現像周波数と感光体ドラム20の表面電位とをパラメータとして設定された画像形成条件テーブルを示している。
図4に示すテーブルにおいては、現像周波数がα(kHz)、感光体ドラム20の表面電位がβ(V)である画像形成条件(以下、画像形成条件1という)と、現像周波数が(α−3)kHz、感光体ドラム20の表面電位が(β+10)Vである画像形成条件(以下、画像形成条件2という)と、現像周波数が(α−6)kHz、感光体ドラム20の表面電位が(β+20)Vである画像形成条件との3種類の画像形成条件(以下、画像形成条件3という)が設定されている。なお、画像形成条件は、前記画像形成条件1〜3に限られるものではない。なお、ここでは、バーコード以外の通常の画像データに基づいて行う画像形成動作については、画像形成条件1が好適であるとする。
画像形成条件設定部103は、バーコードキー801が押下されることによって、画像形成条件設定処理の実行指示が受け付けられると、バーコードモードに移行して、後述する画像形成条件設定処理の実行を開始する。
一方、画像形成条件設定部103は、バーコードキー801が押下されることがなく、すなわち画像形成条件設定処理の実行指示が受け付けられない場合には、通常モードにおいて、通常の画像に適した画像形成条件1を、画像形成条件として設定する。
画像形成条件設定部103は、バーコードモードにおいて、画像形成条件設定処理として、画像データ取得部101により取得された画像データ中にバーコードを示す画像データが含まれておらず、前記画像データがバーコード以外の画像データ(例えばテキストの画像データや写真の画像データ)であるとバーコード検出部102により判断されたときには、テーブル記憶部104に格納されている画像形成条件テーブルの例えば画像形成条件1を読出し、該画像データに基づく画像形成動作における画像形成条件として前記画像形成条件1を設定する。
一方、画像形成条件設定部103は、画像データ取得部101により取得された画像データの中にバーコードを示す画像データが含まれているとバーコード検出部102により判断されたときには、前記搬送方向に前記用紙の被記録面をバーコードが存在する第1の範囲とそれ以外の第2の範囲とに分割した場合に、前記第1の範囲に画像形成を行う対象の第1の画像データに基づく画像形成動作の画像形成条件として前記画像形成条件2又は3を設定し、前記第2の範囲に画像形成を行う対象の第2の画像データに基づく画像形成動作の画像形成条件として前記画像形成条件1を設定する。
すなわち、図5に示すように、矢印Xの方向に被記録媒体としての用紙が搬送されており、該用紙に、位置L1の端部から位置L4の端部に向けて画像が形成されるものとする。この場合において、画像形成条件設定部103は、該用紙のうち位置L1から位置L2までの領域(矢印Aで示す領域;前記第2の範囲に相当)に画像形成を行う画像データについて前記画像形成条件1を設定し、位置L2から位置L3までの領域(矢印Cで示す領域;前記第1の範囲に相当)に画像形成を行う画像データについて前記画像形成条件2又は3を設定し、位置L3から位置L4までの領域(矢印Bで示す領域;前記第2の範囲に相当)に画像形成を行う画像データについて前記画像形成条件1を設定する。
画像形成制御部105は、画像形成条件設定部103によって設定された画像形成条件による画像形成動作を画像形成部13に実行させるものである。すなわち、画像形成制御部105は、画像データ取得部101により取得された画像データ中にバーコードを示す画像データが含まれていないときには、画像形成部13に前記画像形成条件1に従う画像形成動作を行わせる。
また、画像形成制御部105は、画像データ取得部101により取得された画像データの中にバーコードを示す画像データが含まれているときには、図5に示すような画像形成動作を前記画像形成部13に行わせる。
具体的には、画像形成制御部105は、図5に示すように、矢印Xの方向に搬送される用紙の位置L1から位置L2までの領域(矢印Aで示す領域)に対し、前記画像形成条件1に従う画像形成動作を前記画像形成部13に行わせた後、前記画像形成部13に行わせる画像形成動作の画像形成条件を前記画像形成条件1から画像形成条件2又は3に切り替えた上で、位置L2から位置L3までの領域(矢印Cで示す領域)に対し、前記画像形成条件2又は3に従う画像形成動作を前記画像形成部13に行わせ、その後、前記画像形成部13に行わせる画像形成動作の画像形成条件を、再度、前記画像形成条件2又は3から画像形成条件1に切り替えた上で、位置L3から位置L4までの領域(矢印Bで示す領域)に対し、前記画像形成条件1に従う画像形成動作を前記画像形成部13に行わせる。
案内部106は、画像データ取得部101により取得された画像データの中にバーコードを示す画像データが含まれている場合に、画像形成制御部105の指示に基づく画像形成動作が用紙に行われると、図6に示すように、該用紙の画像を原稿読取部802に読み取らせるようにユーザに案内する案内画面の表示を行う。
評価部107は、前記案内画面の表示後に原稿読取部802により行われた読取動作によって得られたバーコードの画像データについて画質の評価を行うものである。図7(a)は、前記案内画面の表示後に原稿読取部802により行われた読取動作によって得られたバーコードのうち一部のバーの拡大図である。
前記案内画面の表示後に原稿読取部802により読取動作が行われると、例えば図7(a)に示すようなバーコードに対し例えば図7(b)のような画像データのグラフが得られる。評価部107は、図7(b)に示すようなグラフに基づいて、図7(a)に示すバーコードの画像データに対する画質の評価(例えば点数化)を行う。
評価部107は、このようなバーコードの画像データに対し、前記トナーのチリ、バーの白抜き、黒バー(黒帯部分)の光反射率、及び黒バーと白バー(白帯部分)とのコントラストについての評価を行う。評価部107は、前記各パラメータ(トナーのチリ、黒バーの白抜き、光反射率及びコントラスト)をそれぞれ表す評価値が予め定められた閾値より大きいとき、すなわち、トナーのチリが一定量より少ない状態、黒バーの白抜きが一定の状態より少ない状態、黒バーの光反射率が適正範囲内である状態、及び黒バーと白バーの境界部分における画像データの変化が一定値より大きい状態のときには、一定の画質を有するバーコードの画像を形成できていると評価する一方、そうでないときには、一定の画質を有するバーコードの画像を形成できていないと評価する。
具体的には、評価部107は、例えば、バーコードの画像における白帯部分に含まれる黒いドット状の画像パターンの数をトナーのチリの数として計数し、この計数値が大きいほど評価値が小さくなるように、トナーのチリを示す評価値を設定する。また、評価部107は、例えば、バーコードの画像における黒バーに含まれる白いドット状の画像パターンの数を黒バーの白抜き(欠落)の数として計数し、この計数値が大きいほど評価値が小さくなるように、バーの白抜きを示す評価値を設定する。
また、評価部107は、例えば、バーコードの画像における黒バーの光反射率や、黒バーと白バーとの境界部分における画像データの濃度値の差(変化の大きさ)を示すコントラストの値が、予め設定された適正範囲の中央値に近いほど評価値の値が大きくなり、当該適正範囲の中央値から離れるほど評価値の値が小さくなるように、光反射率やコントラストの評価値を設定する。
そして、評価部107は、これらの評価値が、予め設定された閾値を超えているか否かに応じて、上述の一定の画質を有するバーコードの画像が形成できているか否かを判定する。
前記画像形成条件設定部103は、評価部107により、一定の画質を有するバーコードの画像を形成できていないと評価されると、バーコードの領域の画像データに基づく画像形成動作の画像形成条件を変更する。画像形成制御部105は、前記画像形成条件設定部103により画像形成条件が変更されると、この変更後の画像形成条件による画像形成動作を画像形成部13に実行させ、案内部106は、この画像形成動作で得られた用紙の画像を原稿読取部802に読み取らせるようにユーザに案内する案内画面の表示を行い、評価部107は、前記案内画面の表示後に原稿読取部802により行われた読取動作によって得られたバーコードの画像データについて再度画質の評価を行う。
画像形成条件設定部103、画像形成制御部105、案内部106及び評価部107は、評価部107により、一定の画質を有するバーコードを形成できていると評価されるまで、この処理を繰り返し実行する。これにより、テーブル記憶部104に格納されている複数の画像形成条件の中から、バーコードの画像形成に最も適した画像形成条件が設定される。
図8は、図1に示す画像形成装置1の動作の一例を示すフローチャートである。また、図9は、制御部100によるバーコードの画像形成条件設定処理を示すフローチャートである。なお、画像形成条件は、初期設定として前記画像形成条件1に予め設定されているものとする。
まず、画像形成条件設定部103は、バーコードキー801が押下され(ステップ#101でYES)、すなわちバーコードキー801によって画像形成条件設定処理の実行指示が受け付けられ、さらにスタートキー805が押下されると(ステップ#102でYES)、バーコードモードに移行して、原稿読取部802によって原稿画像の読み取りを開始させ(ステップ#103)、画像形成条件設定処理の実行を開始するべくステップ#1へ移行する。
一方、画像形成条件設定部103は、バーコードキー801が押下されることなく(ステップ#101でNO)、すなわちバーコードキー801によって画像形成条件設定処理の実行指示が受け付けられることなくスタートキー805が押下されると(ステップ#104でYES)、通常モードとして原稿読取部802によって原稿画像の読み取りを開始させ(ステップ#105)、通常の画像に適した画像形成条件1での画像形成を実行するべくステップ#3へ移行する。
次に、図9に示す画像形成条件設定処理では、原稿読取部802によって読み取られた画像データが、制御部100(画像データ取得部101)によって取得されると(ステップ♯1でYES)、バーコード検出部102が、その画像データの中にバーコードを示す画像データが含まれているか否かを判断し(ステップ♯2)、含まれていない場合には(ステップ♯2でNO)、画像形成条件設定部103が、画像形成条件1を設定し、画像形成制御部105が、当該画像形成条件1で画像形成動作を画像形成部13に実行させる(ステップ♯3)。
一方、ステップ♯2において、画像データ取得部101が取得した画像データの中にバーコードを示す画像データ含まれていると(ステップ♯2でYES)、図5で説明したように、画像形成条件設定部103が、前記搬送方向に前記用紙の被記録面をバーコードが存在する第1の範囲(図5の矢印Cに示す領域に相当)とそれ以外の第2の範囲(図5の矢印A,Bに示す領域に相当)とに分割した場合に、前記第1の範囲に画像形成する対象の第1の画像データに基づく画像形成動作の画像形成条件として例えば前記画像形成条件2を設定するとともに、前記第2の範囲に画像形成する対象の第2の画像データに基づく画像形成動作の画像形成条件として前記画像形成条件1を設定する(ステップ♯4)。そして、画像形成制御部105が、ステップ♯4で設定された画像形成条件にしたがって画像形成動作を前記画像形成部13に実行させる(ステップ♯5)。
次に、制御部100(案内部106)は、ステップ♯5の画像形成動作により画像が形成された用紙の画像を原稿読取部802に読み取らせるように例えば図6に示す案内画面でユーザに案内する(ステップ♯6)。その後、制御部100(案内部106)は、例えばユーザがスタートキー805を押下するなどして複写指示が入力されたか否かを判断し(ステップ♯7)、複写指示がユーザにより入力されていないと判断した場合には(ステップ♯7でNO)、案内開始から所定時間が経過したか否かを判断する(ステップ♯8)。
制御部100(案内部106)は、案内開始から所定時間が経過したものと判断した場合には(ステップ♯8でYES)、一連の処理を終了する一方、案内開始から所定時間が経過していないと判断した場合には(ステップ♯8でNO)、ステップ♯6の処理に戻る。
制御部100(画像形成制御部105)は、前記所定時間が経過する前に複写指示がユーザにより入力されたと判断すると(ステップ♯7でYES)、最近設定された画像形成条件にしたがって複写動作を原稿読取部802及び画像形成部13に実行させる(ステップ♯9)。
そして、制御部100(評価部107)は、ステップ♯9の複写動作で得られた画像データについて画質の評価を実行し、その評価値が前記閾値より大きいか否かを判断する(ステップ♯10)。制御部100(評価部107)は、前記評価値が前記閾値以下であると判断すると(ステップ♯10でNO)、バーコードの領域に対する画像形成条件を変更した上で(ステップ♯11)、ステップ♯6の処理に戻り、再度ステップ♯6〜♯10を実行する。制御部100(評価部107)は、前記評価値が前記閾値より大きいと判断すると(ステップ♯10でYES)、一連の処理を終了する。
評価部107は、ステップ#10において、例えば、トナーのチリ、バーの白抜き、光反射率、及びコントラストを示す各評価値を、それぞれの評価項目毎に設けられた閾値と比較し、すべての評価値が各閾値より大きい場合に(ステップ♯10でYES)一連の処理を終了するようにしてもよく、あるいは、各評価値の合計が、予め設定された閾値より大きい場合に(ステップ♯10でYES)一連の処理を終了するようにしてもよい。
以上のように、バーコードの画像データに基づく画像形成動作を行うための画像形成条件を、バーコード以外の画像データに基づく画像形成動作(通常の画像形成動作)を用紙に対して実行するときの画像形成条件とは別に設定し、取得した画像データの中にバーコードを示す画像データが含まれているとき、前記搬送方向に前記用紙の被記録面をバーコードが存在する第1の範囲とそれ以外の第2の範囲とに分割した場合に、前記第1の範囲に画像形成する対象の第1の画像データに基づく画像形成動作の画像形成条件として例えば前記画像形成条件2を設定するとともに、前記第2の範囲に画像形成する対象の第2の画像データに基づく画像形成動作の画像形成条件として前記画像形成条件1を設定するようにしたので、バーコードの画像形成に適した画像形成動作を行うことができるとともに、バーコード以外の画像データに基づく画像形成動作においても、バーコードの画像データに基づく画像形成動作における画像形成条件を採用する場合に比して、バーコード以外の領域の画像形成に適した画像形成動作を実行することができる。その結果、バーコードの画像及びバーコード以外の画像にそれぞれ適した画像形成条件で画像形成動作を行うことができるため、綺麗な画像を形成することができる。
本件は、前記実施形態に代えて、或いは前記実施形態に加えて次のような変形形態も採用可能である。
[1]図6に示すフローチャートのステップ♯6〜♯11の処理は必ずしも実行する必要はなく、本件は、バーコードの画像形成に適する画像形成条件及びバーコード以外の画像の画像形成に適する画像形成条件を設定する画像形成条件設定処理を1度だけ実行する形態も含まれ、この場合も、バーコードやバーコード以外の画像の画像形成精度を向上することができるという効果は得られる。ただし、前記ステップ♯6〜♯11の処理を行うことで、前記画像形成条件設定処理を1度だけ実行する形態に比して、更に、バーコード等の画像形成精度を向上することができる。
[2]前記実施形態では、被記録媒体の一例として用紙を採用したが、被記録媒体は用紙に限らず、例えば基板などの電子部品の表面、布、缶なども含む。
[3]画像形成条件設定部は、必ずしも1ページを第1の範囲とそれ以外の第2の範囲とに分割する必要はなく、画像データにおける1ページ毎にバーコードが含まれるか否かを判定し、バーコードが含まれないページについては画像形成条件として第1の画像形成条件を設定し、バーコードが含まれるページについては画像形成条件として第2の画像形成条件を設定するようにしてもよい。