JP5256630B2 - 燃料電池の運転方法 - Google Patents

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Description

本発明は、燃料電池の運転方法、特に固体高分子電解質型燃料電池の運転方法に関するものである。
燃料電池は、外部から燃料と酸化剤を連続的に供給しながら電気化学反応により電気を得るもので、化学エネルギーを直接、電気エネルギーに変換する。使用する電解質の違いにより、リン酸型燃料電池、固体酸化物型燃料電池、溶融炭酸塩型燃料電池、固体高分子型燃料電池などがある。このうち、固体高分子型燃料電池は、パーフルオロスルホン酸樹脂膜などの固体高分子電解質膜を、電解質に用いる燃料電池であり、出力密度が高い、電池寿命が長いなどの特長を有する。
固体高分子型燃料電池の燃料電池スタック(以下、燃料電池スタック)は、複数の単セルを積層して構成される。単セルは、通常、固体高分子電解質膜の両主面に電極を形成した膜電極接合体とガス拡散層とを、一対の燃料ガス用セパレータと酸化剤ガス用セパレータの間に挟持して構成されている。電極は白金担持カ−ボン触媒などの触媒を用いて作製される。ガス拡散層としてカ−ボンペーパーなどが用いられる。ガス拡散層は、電極に燃料ガスおよび酸化剤ガスを拡散して供給するとともに、発電した電気を集電する機能を有する。燃料ガス用セパレータには燃料ガスを流通させる燃料ガス流通溝が、酸化剤ガス用セパレータには酸化剤ガスを流通させる酸化剤ガス流通溝が、それぞれ形成されている。
燃料電池スタックに、燃料ガスとして水素や炭化水素などを、酸化剤ガスとして酸素や空気などを供給することにより、電池反応を生じさせ、電気出力を得ることができる。燃料ガスとして、天然ガスなどの炭化水素原料を改質器で改質して得られる水素を含む改質ガスを用いることもできる。燃料ガスとして水素を、酸化剤ガスとして空気をそれぞれ用いたときに、燃料電池の負極(または、水素極、燃料極、以下、燃料極とする。)で生じる反応は、
→2H+2e (1) であり、
正極(または、酸素極、空気極、以下、空気極とする。)では、
1/2O+2H+2e →HO (2)の反応により、HO(水)が生成
する。
固体高分子型燃料電池は、家庭用定置型燃料電池、自動車用燃料電池などへの実用化が期待されているが、その長時間運転での電池性能の維持確保が、重要な開発課題になっている。長時間運転での電池性能の低下の原因の一つとして、電池反応で生成した過酸化水素(H)に基づくものがある。
過酸化水素は、上述した空気極での反応(2)の中間反応として、生成する。また、空気極の酸素が固体高分子電解質膜内を移動し、燃料極側に達したときも、同様な反応により生成する。生成した過酸化水素は分解してラジカルを生じ、そのラジカルが単セルの構成材料である電極、固体高分子電解質膜、セパレータなどに作用して、その特性を劣化させるため、燃料電池の性能が低下する。
過酸化水素の生成による電池性能低下を防止する技術として、特許文献1に述べられている技術はつぎのようなものである。
過酸化水素の生成を抑制するには、燃料極に供給する燃料ガスの圧力を低くすること、あるいは電流密度を高くして高負荷運転することなどが有効である。燃料ガスの圧力の低下により、燃料極から固体高分子電解質膜内を移動し、空気極に達する水素イオン(H
)の量が減少し、その結果、過酸化水素の生成が減少するためであり、また、高電流密度の運転では、生成水の量が多くなり、多量の水により、電極や固体高分子電解質膜が洗浄され、生成した過酸化水素が除去されるためであるとする。そして、過酸化水素の生成による電池性能の低下を防止する技術として、生成する過酸化水素の濃度を測定し、その測定値が、あらかじめ設定した上限値を超えたときは、供給する燃料ガスの圧力を低下するなど、運転条件を変更する処置をとるとする。これにより、過酸化水素の過度の生成を抑制できるとして、かかる運転条件を変更する燃料電池の運転方法および運転システムを開示している。
特開2004−273209号公報
しかし、特許文献1の技術は、生成した過酸化水素濃度の測定値が、設定した上限値(
たとえば、0.2wt%)を超えたときに、燃料ガスの圧力を低下するなどの運転条件を変更するものであり、その濃度が設定した上限値に達するまで、過酸化水素が生成して生成水などに含まれ、存在していることを前提とする。したがって、特許文献1の技術によって、当該上限値を超える過酸化水素の過度の生成は抑制されるとしても、当該上限値に達しない低濃度の過酸化水素は生成水などに含まれるため、長時間の運転では、固体高分子電解質膜などが影響を受け、その特性が低下するおそれがある。
ここで、当該上限値は、より低濃度に設定することができるが、その値は過酸化水素濃度測定器の検出限界以上であることを要するため、当該測定器によって検出されない検出限界以下の過酸化水素は存在することとなり、それが低濃度であっても、やはり長時間の運転では、固体高分子電解質膜などが影響を受けるものとなる。このため、長時間運転における燃料電池性能の維持には、過酸化水素が生成する前にその生成を抑止して、長時間
、低濃度の過酸化水素が存在することによる固体高分子電解質膜などの特性低下を未然に防止することが望ましい。
また、特許文献1の技術は、過酸化水素の生成を抑止するには、電流密度を高くして高負荷運転することが有効な対策になるとする。しかし、実際の運転では、負荷が変動し、低電流密度での低負荷運転となることがあり、常に高電流密度で運転することは困難な場合がある。かかる低電流密度での運転では、過酸化水素が生成しやすいため、燃料ガスの流量を変更するなどの運転条件の変更により、過酸化水素の生成を抑止する方策が求められる。
そこで、本発明は、燃料電池の運転、特に低電流密度での運転における過酸化水素の生成を未然に防止して、長時間、安定した電池性能を維持する手段を提供することを課題とする。
上記課題は、後述する燃料電池の運転実験の記述で述べるように、燃料電池の運転、特に低電流密度での運転において、燃料利用率を増大して運転すること、あるいは燃料利用率を変えることなく、燃料ガスの水素濃度を減少して運転することにより解決できる。
ここで、どれほどの低電流密度のとき、燃料電池の特性が低下し、過酸化水素の生成を抑止する対策を要するかが問題となる。運転実験の結果では、燃料ガスとして水素(濃度100%)を、燃料利用率70%で供給したとき、出力電流密度0.2A/cmの運転では特性低下はなかったが、0.1A/cmの運転では特性低下がみられた。しかし、0.1A/cmの運転において、燃料利用率を85%に増したときには特性低下はなく
、また燃料利用率70%はそのままで、水素濃度を70%に減少したときにも特性低下はみられなかった。また、出力電流密度0.05A/cmの運転でも、0.1A/cm
の運転と同様に特性低下がみられたが、燃料利用率を増大して運転したとき、または燃料利用率を変えることなく、水素濃度を減少して運転したときは、特性の低下はみられなかった。
よって、出力電流密度が0.1A/cmに等しいとき、または0.1A/cmより小であるときは、特性低下が生じるが、燃料利用率を増大して運転すること、あるいは燃料利用率を変えることなく、水素濃度を減少して運転することにより、特性低下は生じない。本発明は、かかる実験結果をもとに発明されたものであり、請求項1ないし請求項に記載の発明により、上記課題を解決することができる。
請求項1に記載の発明は、燃料電池の運転において、出力電流密度が0.1A/cmより大である運転中に、前記出力電流密度が0.1A/cmに等しくなったとき、または0.1A/cmより小となったときは、燃料利用率を増大して運転し、前記出力電流密度が再び0.1A/cmより大となったときは、前記増大前の燃料利用率で運転することを特徴とする燃料電池の運転方法に係るものである。
出力電流密度が0.1A/cmより大である運転中に、低電流密度運転となったとき、すなわち、出力電流密度が0.1A/cmに等しくなったとき、または0.1A/c
より小となったときは、過酸化水素が生成しやすい運転条件となる。このとき、本発明は原燃料ガスの流量、圧力のいずれか一方、または両方を減少することで燃料利用率を増大して運転し、過酸化水素の生成を抑止して、燃料電池の特性低下を防止するものである。そして、出力電流密度が再び0.1A/cmより大となったときは、増大前の燃料利用率で運転するものである。
燃料利用率は、〔燃料(質量)の消費速度〕÷〔燃料(質量)の供給速度〕で与えられる。例えば、1A(アンペア)の電流による水素(0℃、0.1MPa)の消費速度は、1(A)×60(sec/min)×22.4×10(mL/mol)/2/96485(C/mo
l)=7mL/minであるところ、10mL/minの水素ガスを供給するときは、燃料利用率は70%となる。
燃料利用率70%で運転しているとき、燃料ガスの供給速度を減少すれば、燃料利用率は増大する。燃料ガスの供給速度は、燃料ガスの流量、圧力のいずれか一方、または両方を減少することにより減少する。このため、本発明は、燃料ガスの流量、圧力のいずれか一方、または両方を減少して、燃料ガスの供給速度を減少し、燃料利用率を増大して運転することにより、過酸化水素の生成を抑止して、燃料電池の特性低下を防止するものである。
請求項に記載の発明は、燃料電池の運転において、出力電流密度が0.1A/cmより大である運転中に、前記出力電流密度が0.1A/cmに等しくなったとき、または0.1A/cmより小となったときは、前記燃料利用率を変えることなく、水素濃度を減少して運転し、前記出力電流密度が再び0.1A/cmより大となったときは、前記減少前の水素濃度で運転することを特徴とする燃料電池の運転方法に係るものである。
出力電流密度が0.1A/cmより大である運転中に、前記出力電流密度が0.1A/cmに等しくなったとき、または0.1A/cmより小となったときは、過酸化水素が生成しやすい運転条件となる。このため、本発明は、前記燃料利用率を変えることなく、水素濃度を減少して運転し、過酸化水素の生成を抑止して、燃料電池の特性低下を防止するものである。
請求項に記載の発明は、前記水素濃度を減少する運転が、燃料ガスに不活性ガスを混合して運転することに基づくことを特徴とする請求項に記載の燃料電池の運転方法に係るものである。
水素濃度は、燃料ガスに不活性ガスを混合すること、または混合する不活性ガスの混合量を増大することにより減少する。ここで、不活性ガスとしてアルゴン(Ar)などの希ガスや窒素(N)など、電池反応に関与しないガスを用いることができる。本発明は、燃料ガスに不活性ガスを混合すること、または燃料ガスに混合する不活性ガスの混合量を増大することにより、水素濃度を減少して運転し、過酸化水素の生成を抑止して、燃料電池の特性低下を防止するものである。
請求項に記載の発明は、前記水素濃度を減少する運転が、前記燃料電池の燃料極から排出されたオフガスを燃料ガスに混合して運転することに基づくことを特徴とする請求項に記載の燃料電池の運転方法に係るものである。
水素濃度は、燃料電池の燃料極から排出されたオフガスを燃料ガスに混合すること、または混合するオフガスの混合量を増大することにより減少する。このため、本発明は、オフガスを燃料ガスに混合すること、または燃料ガスに混合するオフガスの混合量を増大することにより、水素濃度を減少して運転し、過酸化水素の生成を抑止して、燃料電池の特性低下を防止するものである。
以上の請求項1に係る燃料電池の運転方法は、出力電流密度が0.1A/cmより大である運転中に、前記出力電流密度が0.1A/cmに等しくなったとき、または0.1A/cmより小となったときは、原燃料ガスの流量、圧力のいずれか一方、または両方を減少することで燃料利用率を増大して運転し、前記出力電流密度が再び0.1A/cmより大となったときは、前記増大前の燃料利用率で運転することを特徴とするもので、電池反応における過酸化水素の生成を抑止して、長時間運転における安定した電池性能の維持を可能とする。過酸化水素が生成しやすい運転条件での運転、特に出力電流密度が低電流密度となる運転において、燃料利用率を増大することにより、過酸化水素の生成を抑止するものである。
このため、特許文献1の技術では、設定した上限値に達しない低濃度の過酸化水素が生成水などに含まれるため、長時間の運転では、固体高分子電解質膜などが影響を受け、その特性が低下するおそれがあるが、本発明の技術では、過酸化水素が生成する前に、燃料ガスの流量、圧力を調整して、過酸化水素の生成を抑止し、未然に過酸化水素の生成による燃料電池の特性低下を防止することができる。
請求項2、3またはに係る燃料電池の運転方法は、出力電流密度が0.1A/cmより大である運転中に、前記出力電流密度が0.1A/cmに等しくなったとき、または0.1A/cmより小となったときは、前記燃料利用率を変えることなく、水素濃度を減少して運転し、前記出力電流密度が再び0.1A/cmより大となったときは、前記減少前の水素濃度で運転することを特徴とするもので、電池反応における過酸化水素の生成を抑止して、長時間運転における安定した電池性能の維持を可能とする。過酸化水素が生成しやすい運転条件での運転、特に出力電流密度が低電流密度となる運転において、燃料利用率を変えることなく、水素濃度を減少して運転することにより、過酸化水素の生成を抑止するものである。
このため、特許文献1の技術では、設定した上限値に達しない低濃度の過酸化水素が生成水などに含まれるため、長時間の運転では、固体高分子電解質膜などが影響を受け、その特性が低下するおそれがあるが、本発明の技術では、過酸化水素が生成する前に、燃料ガスに不活性ガスまたはオフガスを混合することにより、水素濃度を減少し、過酸化水素の生成を抑止して、未然に過酸化水素の生成による燃料電池の特性低下を防止することができる。
請求項1に記載の発明は、出力電流密度が0.1A/cmより大である運転中に、前記出力電流密度が0.1A/cmに等しくなったとき、または0.1A/cmより小となったときは、原燃料ガスの流量、圧力のいずれか一方、または両方を減少することで燃料利用率を増大して運転し、前記出力電流密度が再び0.1A/cmより大となったときは、前記増大前の燃料利用率で運転することにより、実施することができる。この燃料利用率を増大して運転する実験について、以下の実験3にて述べる。
請求項2、3またはに記載の発明は、出力電流密度が0.1A/cmより大である運転中に、前記出力電流密度が0.1A/cmに等しくなったとき、または0.1A/cmより小となったときは、前記燃料利用率を変えることなく、水素濃度を減少して運転し、前記出力電流密度が再び0.1A/cmより大となったときは、前記減少前の水素濃度で運転することにより、実施することができる。この燃料利用率を変えることなく、水素濃度を減少して運転する実験について、以下の実験3、実験4にて述べる。
なお、実験3、実験4の前に、実験1、実験2を行った。これらの実験は、本発明を実施しない場合の実験であり、本発明を実施した場合と、しない場合の結果を比較するために行ったものである。
実験1ないし実験4において使用した燃料電池のガス制御装置と燃料電池スタックは、次のようなものである。
図1は、燃料電池の運転実験に使用した燃料電池のガス制御装置1を、燃料電池スタック2に組み合わせた構成の概要を示した図である。燃料電池スタック2には、燃料ガスおよび酸化剤ガスを供給し、排出するガスラインが接続されている。すなわち、燃料電池スタック2の燃料極3の入口には、燃料ガスの供給ガスライン11aが、その出口には、燃料ガスの排出ガスライン11bが接続され、また、空気極4の入口には、酸化剤ガスの供給ガスライン12aが、その出口には、酸化剤ガスの排出ガスライン12bがそれぞれ接続されている。
燃料電池のガス制御装置1は、特性測定装置5、燃料ガス制御装置6および不活性ガス制御装置7から構成されている。特性測定装置5は、燃料電池スタック2の出力電圧、出力電流および出力電流密度を測定するものであり、その測定結果を信号線15により、燃料ガス制御装置6および不活性ガス制御装置7に送信する。特性測定装置5は、燃料電池スタック2の出力電圧、出力電流および出力電流密度のほか、燃料電池スタック2を構成する複数の単セルのすべて、または任意に選んだ単セルについて、その出力電圧を測定することができる。
燃料ガス制御装置6は、燃料極3に供給される燃料ガスの流量および圧力を制御するものであり、燃料極3の入口側に配設された燃料ガスの供給ガスライン11aに接続されている。特性測定装置5から送信された燃料電池スタック2の出力電圧、出力電流などの測定値をもとに、燃料ガスの流量および圧力を制御する。すなわち、ガス流量調整弁および圧力調整弁を内蔵し、ガス流量調整弁により、燃料ガスの流量の制御を、圧力調整弁により、燃料ガスの圧力の制御をそれぞれ行う。
不活性ガス制御装置7は、燃料極3に供給される不活性ガスの流量および圧力を制御するものであり、不活性ガスを燃料極3に供給する不活性ガスの供給ガスライン13に接続されている。不活性ガスの供給ガスライン13は、燃料極3の入口側において、燃料ガスの供給ガスライン11aに合流している。
不活性ガスとして、窒素(N)、アルゴン(Ar)など、電池反応に関与しないガスを用いることができる。不活性ガス制御装置7は、特性測定装置5から送信された燃料電池スタック2の出力電圧、出力電流などをもとに、不活性ガスの流量および圧力を制御する。すなわち、ガス流量調整弁および圧力調整弁を内蔵し、ガス流量調整弁により、不活性ガスの流量の制御を、圧力調整弁により、不活性ガスの圧力の制御をそれぞれ行う。
図2は、図1とは別の燃料電池のガス制御装置1を、燃料電池スタック2に組み合わせた構成の概要を示した図である。燃料電池スタック2の燃料極3の入口には、燃料ガスの供給ガスライン11aが、その出口には、燃料ガスの排出ガスライン11bが接続され、また、空気極4の入口には、酸化剤ガスの供給ガスライン12aが、その出口には、酸化剤ガスの排出ガスライン12bがそれぞれ接続されている。
燃料電池のガス制御装置1は、特性測定装置5、燃料ガス制御装置6およびオフガス制御装置8から構成される。特性測定装置5は、燃料電池スタック2の特性を測定する装置であり、また、燃料ガス制御装置6は、燃料ガスの流量および圧力を制御する装置であって、いずれも、その構造、機能は、図1の燃料電池のガス制御装置1のものと同様のものである。
オフガス制御装置8は、燃料電池スタック2の燃料極3に供給されるオフガスの流量および圧力を制御するものであり、オフガスを燃料極3に供給するオフガスの供給ガスライン14に接続されている。オフガスは、燃料電池スタック2の燃料極3から排出されたガスであり、電池反応で消費されなかった燃料ガスが含まれているため、再び、燃料極3に供給して使用することができる。燃料ガスとして、濃度100%の水素を使用し、その利用率を70%としたとき、供給された水素の30%をオフガスとして使用することができる。オフガスの供給ガスライン14は、燃料極3の出口側に配設された燃料ガスの排出ガスライン11bから分岐し、燃料極3の入口側において、燃料ガスの供給ガスライン11aに合流している。
オフガス制御装置8は、特性測定装置5から送信された燃料電池スタック2の出力電圧、出力電流などをもとに、オフガスの流量および圧力を制御する。ガス流量調整弁、圧力調整弁およびコンプレッサーを内蔵して、ガス流量調整弁により、オフガスの流量の制御を行い、また、オフガスをコンプレッサーで加圧したのち、圧力調整弁により、その圧力を制御するものである。
以上の図2に示された燃料電池のガス制御装置1に、図1に示された不活性ガス制御装置7を組み合わせて使用することもできる。すなわち、特性測定装置5、燃料ガス制御装置6、不活性ガス制御装置7およびオフガス制御装置8からなる燃料電池のガス制御装置1を用いて、特性測定装置5による測定値をもとに、燃料ガス、不活性ガスおよびオフガスの流量、圧力を制御するものである。
また、図1および図2の燃料電池のガス制御装置1は、酸化剤ガスの流量および圧力を制御する酸化剤ガス制御装置を設けたものではないが、図1または図2の燃料電池のガス制御装置1に、酸化剤ガス制御装置を付加し、それを酸化剤ガス供給ガスライン12aに接続して、使用することもできる。燃料ガス等の流量、圧力の制御に伴い、酸化剤ガスの流量、圧力を制御することが望ましい、あるいは、必要となる場合があるからである。
以上の図1または図2に示されたガス制御装置1を使用し、燃料電池スタック2による連続運転実験を行った。実験に使用した燃料電池スタック2は、次のように製作した。
固体高分子電解質膜として、ナフィオンN−112(ナフィオンはデュポン社の登録商標)を用い、その片面に、燃料極用として、白金・ルテニウム担持カーボン触媒を用いた燃料極用電極を、他の片面に、白金担持カーボン触媒を用いた空気極用電極を、それぞれ形成して、膜電極接合体(MEA)を製作した。電極の有効面積は、10cm×10cmの100cmとした。さらに、製作した膜電極接合体に、カーボンペーパーからなるガス拡散層を組み合わせ、一対の燃料ガス用セパレータと酸化剤ガス用セパレータで、挟持して、単セルを製作した。電極面積100cmの単セルを30個製作し、積層して、燃料電池スタックaを製作した。さらに、同じ単セルを30個ずつ積層したものを2セット製作して、燃料電池スタックaと同様の燃料電池スタックbと燃料電池スタックcを製作した。
製作した燃料電池スタックaを用いて、実験1を行った。次に燃料電池スタックbを用いて実験2を、燃料電池スタックcを用いて実験3、実験4を行った。
(実験1)実験1として、出力電流の異なる実験1aと実験1bを行った。
(実験1a)
製作した燃料電池スタックaを図1のガス制御装置1に接続し運転実験を行った。燃料ガスとして水素を燃料極3に、酸化剤ガスとして空気を空気極4にそれぞれ供給し、運転実験を開始した。供給圧力は、ともに0.12MPaとした。燃料電池スタックaに、70℃の冷却水を供給し、実験中の燃料電池スタックaの温度を70℃に保持した。
出力電流の条件を、40Aと20Aの2条件とし、一定時間おきに、条件を変更して、繰り返した。すなわち、条件Aとして、出力電流40Aを、条件Bとして、出力電流20Aをそれぞれ設定し、条件Aで2時間運転したのち、条件Bに変更して2時間運転し、さらに再び条件Aで2時間運転するパターンを繰り返した。出力電流密度は、電極面積が100cmであるので、条件Aでは、0.4A/cm、条件Bでは、0.2A/cm
となる。条件Aを一回2時間、条件Bを一回2時間の計4時間を、1セットとし、1セットを100回繰り返して、計400時間の連続運転を行った。
条件Aの運転において、燃料利用率が70%となるように、燃料ガス制御装置6により
、水素の流量を調整した。条件Aにて運転開始後、1時間経過時に測定した結果では、燃料電池スタックaの出力電圧は21.9V、30個の単セルの出力電圧は、その最高が0
.75V、最低は0.70Vであり、30個の平均出力電圧は、0.73Vであった。
さらに、1時間経過後、条件Bに変更して、運転を継続した。条件Bの運転においても
、燃料利用率が70%となるように、燃料ガス制御装置6により、水素の流量を調整した
。条件Bにて運転開始後、1時間経過時に測定した結果では、燃料電池スタックaの出力電圧は22.8V、30個の単セルの出力電圧は、その最高が0.78V、最低は0.73Vであり、30個の平均出力電圧は、0.76Vであった。400時間の連続運転において、出力電圧に低下がみられず、安定していた。
最終回の条件Aの運転では、燃料電池スタックaの出力電圧は21.9V、単セル30個の平均出力電圧は、0.73Vであった。
(実験1b)
実験1aに引き続いて、燃料電池スタックaを用い、出力電流の条件を、条件Aは40
A、条件Bは10Aの2条件とし、条件Bのみ、実験1aの20Aから10Aに変更して
、実験1aと同様に、条件A、Bを交互に繰り返す運転実験を行った。出力電流密度は、
電極面積100cmより、条件Aでは、0.4A/cm、条件Bでは、0.1A/cmとなる。条件A、Bともに、燃料利用率が70%となるように、水素の流量を調整した。条件Aにて運転開始後、1時間経過時に測定した結果では、燃料電池スタックaの出力電圧は21.7V、30個の単セルの平均出力電圧は、0.72Vであった。
さらに、1時間経過後、条件Bに変更して、運転を継続した。条件Bにて運転開始後、1時間経過時に測定した結果では、燃料電池スタックaの出力電圧は24.1V、30個の単セルの平均出力電圧は、0.80Vであった。400時間の連続運転により、出力電圧の低下がみられた。
最終回の条件Aの運転では、燃料電池スタックaの出力電圧は20.4V、単セル30個の平均出力電圧は、0.68Vであり、連続運転開始当初より、燃料電池スタックaの出力電圧について、1.3V、単セル30個の平均出力電圧について、0.04Vの低下であった。
以上の実験1aおよび1bの結果は、次のようにまとめることができる。出力電流40Aと20A、すなわち、出力電流密度0.4A/cmと0.2A/cmの条件を組み合わせた実験1aでは、400時間の連続運転後において、出力電圧の低下はみられなかった。しかし、出力電流40Aと10A、すなわち、出力電流密度0.4A/cmと0
.1A/cmの条件を組み合わせた実験1bでは、400時間の連続運転後において、出力電圧の低下がみられた。実験1aと1bは、条件Bにおける出力電流密度が異なり、0.1A/cmの低出力電流密度の運転を繰り返した実験1bでは、出力電圧が低下する結果となった。
(実験2)実験2として、出力電流の異なる実験2aと実験2bを行った。
(実験2a)
実験1a、1bに使用した図1のガス制御装置1から、燃料電池スタックaを取り外し
、かわりに、燃料電池スタックbを接続して、実験1aと同様の条件で、連続運転実験を行った。すなわち、燃料ガスとして水素を燃料極3に、酸化剤ガスとして空気を空気極4にそれぞれ供給し、運転実験を開始した。供給圧力は、ともに0.12MPaとした。実験中の燃料電池スタックbの温度を70℃に保持した。出力電流を、条件Aでは40A、条件Bでは20Aとし、条件Aを1回2時間、条件Bを1回2時間の計4時間を、1セットとし、100回繰り返して、計400時間の連続運転を行った。
条件Aの運転において、燃料利用率が70%となるように、燃料ガス制御装置6により
、水素の流量を調整した。条件Aにて運転開始後、1時間経過時に測定した結果では、燃料電池スタックbの出力電圧は22.2V、30個の単セルの平均出力電圧は、0.74Vであった。
さらに、1時間経過後、条件Bに変更して、運転を継続した。条件Bにおいても、燃料利用率が70%となるように、水素の流量を調整した。条件Bにて運転開始後、1時間経過時に測定した結果では、燃料電池スタックbの出力電圧は22.9V、30個の単セルの平均出力電圧は、0.76Vであった。400時間の連続運転において、出力電圧の低下はなく安定していた。最終回の条件Aの運転では、燃料電池スタックbの出力電圧は22.1V、単セル30個の平均出力電圧は0.74Vであった。
(実験2b)
実験2aに引き続いて、燃料電池スタックbを用い、出力電流の条件を、条件Aは40A、条件Bは5Aの2条件とし、条件Bのみ、実験1aの20Aから5Aに変更して、実験1aと同様に、条件A、Bを交互に繰り返す運転実験を行った。出力電流密度は、電極
面積100cmより、条件Aでは、0.4A/cm、条件Bでは、0.05A/cm
となる。条件A、Bともに、燃料利用率が70%となるように、水素の流量を調整した
。条件Aにて運転開始後、1時間経過時に測定した結果では、燃料電池スタックbの出力電圧は22.1V、30個の単セルの平均出力電圧は、0.74Vであった。
さらに、1時間経過後、条件Bに変更して、運転を継続した。条件Bにて運転開始後、1時間経過時に測定した結果では、燃料電池スタックbの出力電圧は25.2V、30個の単セルの平均出力電圧は、0.84Vであった。400時間の連続運転において、出力電圧の低下がみられた。
最終回の条件Aの運転では、燃料電池スタックbの出力電圧は20.4V、単セル30個の平均出力電圧は、0.68Vであり、連続運転開始当初より、燃料電池スタックbの出力電圧について、1.7V、単セル30個の平均出力電圧について、0.06Vの低下であった。
以上の実験2aおよび2bの結果は、次のようにまとめることができる。出力電流40Aと20A、すなわち、出力電流密度0.4A/cmと0.2A/cmの条件を組み合わせた実験2aでは、400時間の連続運転後において、出力電圧の低下はみられなかった。しかし、出力電流40Aと5A、すなわち、出力電流密度0.4A/cmと0.05A/cmの条件を組み合わせた実験1bでは、400時間の連続運転により、出力電圧の低下がみられた。実験2aと2bは、条件Bにおける出力電流密度が異なり、0.05A/cmの低出力電流密度の運転を繰り返した実験2bでは、出力電圧が低下する結果となった。
(実験3)実験3として、実験3a、3b、3c、3d、3eの5実験を行った。
(実験3a)
実験2a、2bに使用した図1のガス制御装置1から、燃料電池スタックbを取り外し
、かわりに燃料電池スタックcを接続して、実験1a、2aと同様の条件で、連続運転実験を行った。すなわち、燃料ガスとして水素を燃料極3に、酸化剤ガスとして空気を空気極4にそれぞれ供給し、運転実験を開始した。供給圧力は、ともに0.12MPaとした
。実験中の燃料電池スタックcの温度を70℃に保持した。出力電流を、条件Aでは40A、条件Bでは20Aとし、条件Aを1回2時間、条件Bを1回2時間の計4時間を、1セットとし、100回繰り返して、計400時間の連続運転を行った。
条件Aの運転において、燃料利用率が70%となるように、燃料ガス制御装置6により
、水素の流量を調整した。条件Aにて運転開始後、1時間経過時に測定した結果では、燃料電池スタックcの出力電圧は22.2V、30個の単セルの平均出力電圧は、0.74Vであった。
さらに、1時間経過後、条件Bに変更して、運転を継続した。条件Bおいても、燃料利用率が70%となるように、水素の流量を調整した。条件Bにて運転開始後、1時間経過時に測定した結果では、燃料電池スタックcの出力電圧は22.9V、30個の単セルの平均出力電圧は、0.76Vであった。400時間の連続運転において、出力電圧の低下はなく安定していた。最終回の条件Aの運転では、燃料電池スタックcの出力電圧は22
.1V、単セル30個の平均出力電圧は、0.74Vであった。
(実験3b)
実験3aに引き続き、燃料電池スタックcを用い、出力電流の条件を、実験1bと同様に、条件Aは40A、条件Bは10Aの2条件とし、条件AとBを交互に繰り返す運転実験を行った。条件Bにおいて、実験1bでは、燃料利用率が70%となるよう、水素の流量を調整したが、実験3bでは、燃料利用率が85%となるように水素の流量を調整し、実験1bより、水素の流量を減少した。この条件Bの燃料利用率、水素の流量が異なる以外は、すべて実験1bと同じとした。
条件Aにて運転開始後、1時間経過時に測定した結果では、燃料電池スタックcの出力電圧は22.1V、30個の単セルの平均出力電圧は、0.74Vであった。さらに、1時間経過後、条件Bに変更して、運転を継続した。条件Bにて運転開始後、1時間経過時に測定した結果では、燃料電池スタックcの出力電圧は24.2V、30個の単セルの平均出力電圧は、0.81Vであった。400時間の連続運転により、出力電圧の低下はみられなかった。最終回の条件Aの運転では、燃料電池スタックcの出力電圧は22.0V
、単セル30個の平均出力電圧は、0.73Vであった。
(実験3c)
実験3bに引き続き、燃料電池スタックcを用い、出力電流の条件を、実験2bと同様に、条件Aは40A、条件Bは5Aの2条件とし、条件AとBを交互に繰り返す運転実験を行った。条件Bについて、実験3bでは、燃料利用率が85%となるよう、水素の流量を減少したが、実験3cでは、水素の流量は変えることなく、燃料利用率が85%となるように、燃料ガス制御装置6により水素の供給圧力を減少した。
条件Aにて運転開始後、1時間経過時に測定した結果では、燃料電池スタックcの出力電圧は22.1V、30個の単セルの平均出力電圧は、0.74Vであった。さらに、1時間経過後、条件Bに変更して、運転を継続した。条件Bにて運転開始後、1時間経過時に測定した結果では、燃料電池スタックcの出力電圧は25.6V、30個の単セルの平均出力電圧は0.85Vであった。400時間の連続運転により、出力電圧の低下はみられなかった。最終回の条件Aの運転では、燃料電池スタックcの出力電圧は22.0V、単セル30個の平均出力電圧は、0.73Vであった。
(実験3d)
実験3cに引き続き、燃料電池スタックcを用い、出力電流の条件を、実験1bと同様に、条件Aは40A、条件Bは10Aの2条件とし、条件AとBを交互に繰り返す運転実験を行った。条件Bについて、燃料利用率は実験1bと同様に70%としたが、水素濃度を減少して運転した。すなわち、水素の流量は実験1bと同じであるが、実験1bと異なり、不活性ガス制御装置7により水素に不活性ガスの窒素(N)を混合し、水素と窒素の混合ガスにおいて水素が70%となるよう、窒素の流量を調整した。条件Bについて、水素に窒素を混合して供給したこと以外の条件は、すべて実験1bと同じとした。
条件Aにて運転開始後、1時間経過時に測定した結果では、燃料電池スタックcの出力電圧は22.1V、30個の単セルの平均出力電圧は0.74Vであった。さらに、1時間経過後、条件Bに変更して運転を継続した。条件Bにて運転開始後、1時間経過時に測定した結果では、燃料電池スタックcの出力電圧は24.2V、30個の単セルの平均出力電圧は0.81Vであった。400時間の連続運転により、出力電圧の低下はみられなかった。最終回の条件Aの運転では、燃料電池スタックcの出力電圧は22.0V、単セル30個の平均出力電圧は、0.73Vであった。
(実験3e)
実験3dの終了後、条件Aについては、実験3dと同様であるが、条件Bについては、出力電流を5Aとする実験3eを行った。条件Bについて、燃料利用率70%とし、水素に窒素を混合して水素濃度70%として供給したことは、実験3dと同様である。
条件Aにて運転開始後、1時間経過時に測定した結果では、燃料電池スタックcの出力電圧は22.3V、30個の単セルの平均出力電圧は0.74Vであった。400時間の連続運転により、出力電圧の低下はみられなかった。最終回の条件Aの運転では、燃料電池スタックcの出力電圧は22.1V、単セル30個の平均出力電圧は、0.74Vであった。
以上の燃料電池スタックcによる実験3a〜3eの結果は、以下のようにまとめることができる。実験3aは、燃料電池スタックaによる実験1aと同じ実験条件であり、その結果も、実験1aと同様な結果であった。すなわち、出力電流密度0.4A/cmの条件Aと、0.2A/cmの条件Bを、交互に繰り返す400時間の連続運転において、出力電圧の低下はなく、安定していた。
実験3bは、出力電流密度を、実験1bと同様、条件Aの0.4A/cmと条件Bの0.1A/cmの2条件とし、条件Bにおける出力電流密度を低電流密度とした実験であるが、その結果は、連続運転により出力電圧の低下がみられた実験1bと異なり、出力電圧の低下はみられなかった。実験3bと1bの条件Bは、燃料利用率について異なり、実験3bは85%、実験1bは70%であって、実験3bの方が、水素流量を減少し、より高い燃料利用率である。
実験3dも、実験1b、3bと同様、条件Bは0.1A/cmの低電流密度条件であるが、連続運転後に、出力電圧の低下はみられなかった。条件Bについて、燃料利用率は70%で実験1bと同様であるが、水素に窒素を混合して水素濃度を減少したことが、実験1bと異なる。
実験3c、実験3eはともに、条件Bの出力電流密度が0.05A/cmの低電流密度であるが、連続運転後に、出力電圧の低下はみられなかった。条件Bについて、実験3cは、水素圧力を減少して燃料利用率85%としたこと、実験3eは、燃料利用率70%で、水素に窒素を混合して水素濃度を減少したことが、実験1bと異なる。
以上より、0.1A/cm、または0.05A/cmの低電流密度の運転を繰り返した実験では、出力電圧が低下したが(実験1b、2b)、燃料利用率を70%から85
%に増大して運転したとき、または水素に窒素を混合し、水素濃度を減少して運転したときは、出力電圧の低下はみられなかった(実験3b、3c、3d、3e)。よって、低電流密度の運転において、燃料利用率を増大して運転すること、または水素濃度を減少して運転することにより、出力電圧の低下は生じない結果であった。
(実験4)実験4として、実験4a、4b、4cを行った。
(実験4a)
実験3eの終了後、燃料電池スタックcを、実験3eに使用したガス制御装置1から取り外し、図2に示されたガス制御装置1に接続して、連続運転実験を行った。出力電流の条件を、条件Aは40A、条件Bは20Aの2条件とし、条件AとBを交互に繰り返す運転実験を行った。燃料ガスとして、水素濃度75%の改質ガスを用い、燃料利用率は70
%とした。燃料ガスとして改質ガスを用いたこと以外の条件は、すべて実験1a、2a、3aと同様とした。
条件Aにて運転開始後、1時間経過時に測定した結果では、燃料電池スタックcの出力電圧は22.1V、30個の平均出力電圧は、0.74Vであった。さらに、一時間経過後、条件Bに変更して、運転を継続した。条件Bにて運転開始後、1時間経過時に測定した結果では、燃料電池スタックcの出力電圧は22.8V、30個の平均出力電圧は、0
.76Vであった。400時間の連続運転により、出力電圧の低下はみられなかった。最終回の条件Aの運転では、燃料電池スタックcの出力電圧は22.0V、単セル30個の平均出力電圧は、0.73Vであった。
(実験4b)
実験4aに引き続いて、燃料電池スタックcを用い、出力電流の条件を、条件Aは40A、条件Bは10Aの2条件とし、条件AとBを交互に繰り返す運転実験を行った。
燃料ガスとして、水素濃度75%の改質ガスを用い、燃料利用率は70%とした。条件Aでは、改質ガスをそのまま用いたが、条件Bについては、燃料ガスの排ガスであるオフガスを回収し、それを燃料ガスに混合して、水素濃度を減少した燃料ガスを供給した。すなわち、燃料極3から排出されたオフガスを、燃料極3に供給する改質ガスに混合し、その水素濃度が70%で、燃料利用率が70%となるように、オフガス制御装置8により、改質ガスおよびオフガスの流量を調整した。この条件Bについて、改質ガスに、そのオフガスを混合して供給したこと以外の条件は、すべて実験1bと同じとした。
条件Aにて運転開始後、1時間経過時に測定した結果では、燃料電池スタックcの出力電圧は22.1V、30個の単セルの平均出力電圧は0.74Vであった。さらに、1時間経過後、条件Bに変更して運転を継続した。条件Bにて運転開始後、1時間経過時に測定した結果では、燃料電池スタックcの出力電圧は24.2V、30個の単セルの平均出力電圧は0.81Vであった。400時間の連続運転により、出力電圧の低下はみられなかった。最終回の条件Aの運転では、燃料電池スタックcの出力電圧は22.0V、単セル30個の平均出力電圧は、0.73Vであった。
(実験4c)
実験4bに引き続いて、燃料電池スタックcを用い、出力電流の条件を、条件Aは40A、条件Bは10Aの2条件とし、条件A、Bを交互に繰り返す運転実験を行った。条件A、Bともに、水素濃度75%の改質ガスを燃料利用率70%にて供給した。条件Aにて運転開始後、1時間経過時に測定した結果では、燃料電池スタックcの出力電圧は21.7V、30個の単セルの平均出力電圧は、0.72Vであった。
さらに、1時間経過後、条件Bに変更して、運転を継続した。条件Bにて運転開始後、1時間経過時に測定した結果では、燃料電池スタックcの出力電圧は24.1V、30個の単セルの平均出力電圧は、0.80Vであった。400時間の連続運転により、出力電圧の低下がみられた。
最終回の条件Aの運転では、燃料電池スタックcの出力電圧は20.4V、単セル30個の平均出力電圧は、0.68Vであり、連続運転開始当初より、燃料電池スタックcの出力電圧について、1.3V、単セル30個の平均出力電圧について、0.04Vの低下であった。
以上の燃料ガスとして、改質ガス(水素濃度75%)を用いた実験4a〜4cの結果は
、次のようにまとめることができる。条件Bの出力電流密度が0.2A/cmであるときは、出力電圧の低下はみられないが(実験4a)、0.1A/cmの低電流密度運転では、出力電圧の低下がみられた(実験4c)。しかし、0.1A/cmの低電流密度において、改質ガスにオフガスを混合し、水素濃度を減少した運転では、低下は生じなかった(実験4b)。よって、改質ガスを燃料とする低電流密度の運転において、水素濃度を減少して運転することにより、出力電圧の低下は生じない結果であった。
以上の実験1〜4の結果の概要は、次の表のようにまとめることができる。
条件Bについて、出力電流密度を0.1A/cmまたは0.05A/cmの低電流密度とし、燃料利用率70%の連続運転実験では、出力電圧の低下がみられた(実験1b
、2b、4c)。しかし、低電流密度運転であっても、水素流量または圧力を減少して、燃料利用率を増大した実験(実験3b、3c)、燃料利用率は70%であるが、燃料ガスに窒素またはオフガスを混合して、水素濃度を減少した実験(実験3d、3e、4b)では、出力電圧の低下はみられなかった。この結果は、低出力電流密度の0.1A/cm
、0.05A/cmの運転において、燃料利用率を増大することなどの運転条件を変更することにより、連続運転での出力電圧の低下が抑止されることを示す。
なお、以上の実験では、条件Bとして、出力電流密度0.1A/cmまたは0.05A/cmの運転を2時間に設定したが、実際の運転では、負荷変動は随時に生じる場合があり、出力電流密度が低電流密度となる運転時間は定まったものではない。このため、燃料電池スタックの運転中に、特性測定装置5が測定した出力電流密度が、0.1A/cmに等しくなったとき、または0.1A/cmより小となったときは、ガス制御装置1は、燃料ガスの流量、圧力を変更して、燃料利用率を増大する、または不活性ガス等を混合して水素濃度を減少することを行うことができる。
かかる出力電流密度の変動による燃料ガスの流量、圧力の変更または不活性ガス等の混合は、ガス制御装置1が自動的に行うものであり、出力電流密度が低電流密度となる運転では、燃料ガスの流量、圧力の変更または不活性ガス等の混合が自動的に行われ、過酸化水素の生成が抑止される。
本発明を実施した実験に用いた燃料電池のガス制御装置の構成内容を示す図 本発明を実施した実験に用いた別のガス制御装置の構成内容を示す図
1 燃料電池のガス制御装置
2 燃料電池スタック
3 燃料極
4 空気極
5 特性測定装置
6 燃料ガス制御装置
7 不活性ガス制御装置
8 オフガス制御装置
11a 燃料ガスの供給ガスライン
11b 燃料ガスの排出ガスライン
12a 酸化剤ガスの供給ガスライン
12b 酸化剤ガスの排出ガスライン
13 不活性ガスの供給ガスライン
14 オフガスの供給ガスライン
15 信号線

Claims (4)

  1. 固体高分子電解質型燃料電池の運転において、出力電流密度が0.1A/cmより大である運転中に、前記出力電流密度が0.1A/cmに等しくなったとき、または0.1A/cmより小となったときは、原燃料ガスの流量、圧力のいずれか一方、または両方を減少することで燃料利用率を増大して運転し、前記出力電流密度が再び0.1A/cmより大となったときは、前記増大前の燃料利用率で運転することを特徴とする燃料電池の運転方法。
  2. 固体高分子電解質型燃料電池の運転において、出力電流密度が0.1A/cmより大である運転中に、前記出力電流密度が0.1A/cmに等しくなったとき、または0.1A/cmより小となったときは、前記燃料利用率を変えることなく、水素濃度を減少して運転し、前記出力電流密度が再び0.1A/cmより大となったときは、前記減少前の水素濃度で運転することを特徴とする燃料電池の運転方法。
  3. 前記水素濃度を減少する運転が、燃料ガスに不活性ガスを混合して運転することに基づくことを特徴とする請求項に記載の燃料電池の運転方法。
  4. 前記水素濃度を減少する運転が、前記燃料電池の燃料極から排出されたオフガスを燃料ガスに混合して運転することに基づくことを特徴とする請求項に記載の燃料電池の運転方法。
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