JP3882693B2 - 燃料電池システム - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、燃料電池本体に水素及び空気を供給して発電させる燃料電池システムに関し、特に、燃料電池本体で未使用の水素を燃料電池本体の入口側へと循環させる水素循環形式の燃料電池システムに関する。
【0002】
【従来の技術】
燃料電池システムは、燃料電池本体の水素極に水素ガス、空気極に空気をそれぞれ供給して、燃料電池本体において水素と酸素とを電気化学的に反応させて発電電力を得るものである。このような燃料電池システムは、例えば自動車の動力源等としての実用化に大きな期待が寄せられており、現在、実用化に向けての研究開発が盛んに行われている。
【0003】
燃料電池システムに用いられる燃料電池本体としては、特に自動車に搭載する上で好適なものとして、固体高分子タイプの燃料電池本体が知られている。この固体高分子タイプの燃料電池本体は、水素極と空気極との間に膜状の固体高分子が設けられたものであり、この固体高分子膜が水素イオン伝導体として機能するようになっている。この固体高分子タイプの燃料電池本体では、水素極で水素ガスが水素イオンと電子とに分離される反応が起き、空気極で酸素ガスと水素イオンと電子とから水を生成する反応が行われる。このとき、固体高分子膜がイオン伝導体として機能し、水素イオンは固体高分子膜を空気極に向かって移動することになる。
【0004】
ところで、固体高分子膜をイオン伝導体として機能させるためには、この固体高分子膜にある程度の水分を含ませておく必要がある。このため、このような固体高分子タイプの燃料電池本体を用いた燃料電池システムでは、水素ガスを加湿装置により加湿した状態で燃料電池本体に供給することで、燃料電池本体の固体高分子膜を加湿することが一般に行われている。
【0005】
また、固体高分子膜を加湿する上で有効な方法として、燃料電池本体で未使用の水素ガスを再度燃料電池本体へと循環させて再利用する水素循環形式の燃料電池システムが知られている。この水素循環形式の燃料電池システムでは、燃料電池本体外部に接続した負荷で消費する電力に要する水素量より幾分多めの水素ガスを燃料電池の水素極へと供給し、未使用の水素ガスを水素極出口から排出させて、この排水素(以下、循環水素という。)を再度、燃料電池本体の水素極入口へ戻して再利用するようにしている。水素極出口から排出される循環水素は水蒸気を多く含んでいるため、この水蒸気を多く含んだ循環水素が水素タンクからの乾燥している水素に混合されて燃料電池本体の水素極へ供給されることによって、燃料電池本体の固体高分子膜が加湿されることになる。
【0006】
以上のような水素循環型の燃料電池システムにおいて、循環水素の流量が多い場合は水素利用率が低いと言われ、循環水素流量が少ない場合は水素利用率が高いと言われる。この水素利用率には燃料電池本体での発電量に対応した適当な値があることが知られており、燃料電池本体での発電量に応じて循環水素流量を変更し、水素利用率を変えることが一般に行われている。なお、燃料電池本体内部に滞留した過剰水分を外部に放出する水分パージを行う際にも、循環水素流量の変更が要求されることになる。
【0007】
以上のように循環水素流量を変更する例としては、例えば、特開平9−213353号公報にて開示される技術や、特開平10−223244号公報にて開示される技術が提案されている。これらの例では、燃料電池本体での発電量が変わった場合に、水素利用率が適正値になるように循環水素流量を制御するようしている。水素利用率が適正値にある場合は、水素ガスが燃料電池本体に積層されたセルにむらなく伝わり発電が効率的になる。また水素極加湿の面でも効果的である。
【0008】
燃料電池本体での発電が活発な高負荷時には、水素イオンが固体高分子膜を活発に移動する。このとき、固体高分子膜に含まれる水分も移動するため、高負荷時には、水素ガスの加湿を多めにする必要がある。この場合、循環水素量を増やしてやれば(水素利用率を下げる)よい。一方、低負荷時には、水素イオンが固体高分子膜を移動する量が減り、固体高分子膜の水分移動も減少するため、高負荷の時と同じ加湿を行っていると、加湿過剰になり、水素極に水滴を生じ、水滴が水素極の水素ガス経路を塞いでしまう。こうなると、発電効率の悪化を招き、著しい場合にはセル電圧が下限以下に低下し、発電を継続できなくなる。したがって、低負荷時には、循環水素量を減らす(水素利用率を高くする)ようにする。
【0009】
以上のように、負荷に応じて水素利用率を適正値に維持する必要がある。循環流量を変更するためには、循環経路の水素流量を変更させるポンプ、或いはエゼクタを使う例、ポンプと循環流量制御弁を組み合わせて使用する例が示されている。また、特開平6−231786号公報や、特開平7−240220号公報には、水素循環経路に循環水素ポンプを設けると共にこの循環水素ポンプ入口に流量制御弁を設けて、循環水素ポンプまたは流量制御弁を制御する例が開示されている。これらの例では、循環水素ポンプが可変でないため、流量制御弁開度を調整するようにしている。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、上述した従来例では、循環水素流量を増加する場合、増加分の水素は水素タンクから供給されるようになっている。この場合、循環水素流量増加のために必要な分だけ水素タンクから供給される水素量が増加する(水素タンクから供給する水素流量制御バルブ開度を変更する)ことになる。この水素増加分は燃料電池本体の水素極に到達した後、水素極出口から排出されて、循環経路を通って水素極入口側へ戻る。そして、水素タンクから供給される水素と合流して燃料電池水素極へと再び供給されることになる。
【0011】
ここで、循環水素増加のために水素タンクから供給する水素を増加した後、水素増加分が循環経路を通過(一巡)して水素タンクから供給される水素と合流するまでに、時間的な遅れが生じることになる。そして、この増加分の水素が遅れをもって水素タンクから供給される水素と合流したとき、これらの合流が燃料電池本体の水素極入口圧力、水素極入口流量に影響を及ぼし、これが引き金となって、水素極入口流量と水素極入口圧力とが互いに干渉してふらつきを生じさせ、燃料電池本体に水素を安定して供給できない状況が生じる。また、これに同期して、循環水素流量にもふらつきが生じることになる。そして、この循環水素流量のふらつきが引き金となって、再度、水素極入口流量と水素極入口圧力との干渉を生じさせ、このサイクルが延々と続くことになる。このため、水素極入口流量と水素極入口圧力とにふらつきが生じる期間が長く続き、燃料電池本体に水素を安定して供給できない状況が長くなるといった問題が生じていた。
【0012】
本発明は、以上のような従来の実情に鑑みて創案されたものであって、循環水素流量を変更したことが引き金となって生じる水素極入口流量と水素極入口圧力のふらつきを抑制し、燃料電池本体に水素を安定的に供給できるようにした燃料電池システムを提供することを目的としている。
【0013】
【課題を解決するための手段】
本発明に係る燃料電池システムは、燃料電池本体と、水素供給装置と、空気供給装置と、循環水素ポンプと、原料水素流量検出手段と、循環水素流量検出手段と、水素消費量算出手段と、水素極圧力変化予測手段とを備えている。なお、ここで言う循環水素ポンプとは、前述と同様、循環経路の水素流量を変更させる通常の圧送型ポンプやエゼクタポンプ、あるいはそれらを併用したものの類を指す。
【0014】
そして、燃料電池本体に対して水素供給装置から水素が供給され、空気供給装置から空気が供給されて燃料電池本体が発電し、外部負荷に負荷電流が供給されるようになっている。また、この燃料電池システムにおいて、燃料電池本体から排出される排水素は、循環水素ポンプによって燃料電池本体の入口側へと循環され、水素供給装置から供給される水素と合流して再度燃料電池本体へと供給されるようになっている。
【0015】
また、この燃料電池システムにおいて、水素供給装置から前記燃料電池に供給される水素流量は原料水素流量検出手段によって検出され、循環水素ポンプにより燃料電池本体の入口側へと循環される水素流量は循環水素流量検出手段によって検出される。また、燃料電池本体から外部負荷へと供給される負荷電流は負荷電流検出手段によって検出され、この負荷電流検出手段からの出力に基づいて、燃料電池本体で消費した水素量が水素消費量算出手段によって算出される。そして、これら原料水素流量検出手段からの出力と循環水素量検出手段からの出力と水素消費量算出手段からの出力とに基づいて、前記燃料電池本体の水素極入口における未来の圧力変化が水素極圧力変化予測手段によって予測され、この水素極圧力変化予測手段からの出力と所定の目標圧力との偏差を低減させるように、燃料電池本体に対して外部負荷が要求する要求負荷電流値、循環水素ポンプにより燃料電池本体の入口側へと循環される水素流量、水素供給装置から燃料電池本体に供給される水素流量の少なくとも何れかが操作されるようになっている。
【0016】
【発明の効果】
本発明に係る燃料電池システムによれば、水素供給装置からの原料水素流量と、循環ポンプによって循環される循環水素流量と、負荷電流から算出される消費水素量とに基づいて燃料電池本体の水素極入口における未来の圧力変化が予測され、この予測された水素極入口における未来の圧力変化と目標圧力との偏差を低減させるように、燃料電池本体に対して要求される要求負荷電流、循環水素ポンプにより循環される循環水素流量、水素供給装置から供給される原料水素流量の少なくとも何れかを操作することで、燃料電池本体の水素極入口圧力変化をキャンセルするようにしているので、循環水素流量増加のために水素供給装置から供給される原料水素が増加した後、水素増加分が排水素(循環水素)として燃料電池本体から排出され、循環ポンプによって循環されて水素供給装置から供給される原料水素と合流したときに、これが引き金となって生じる水素極入口圧力、水素極入口流量への影響を防止することができ、水素極入口流量と水素極入口圧力とが互いに干渉してふらつきを生じさせて燃料電池本体に水素を安定して供給できない状況が長くなるといった不具合を有効に防止することができる。
【0017】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施形態について、図面を参照して詳細に説明する。
【0018】
(第1の実施形態)
まず、本発明の第1の実施形態について図1を参照して説明する。この第1の実施形態の燃料電池システム1は、電解質として固体高分子膜を有する固体高分子タイプの燃料電池本体2を備えている。この燃料電池本体2は、空気極に供給される空気中の酸素と水素極に供給される水素とを電気化学的に反応させて発電するものである。
【0019】
燃料電池本体2の空気極入口には、空気供給用配管部材3を介してコンプレッサ等の空気供給装置4が接続されている。そして、空気供給装置4により流量及び圧力が調整された空気が、空気供給用配管部材3を通って燃料電池本体2の空気極入口に供給されるようになっている。また、燃料電池本体2の空気極入口前段には空気極入口圧力センサ(空気極入口圧力検出手段)5が配設されており、燃料電池本体2の空気極入口圧力が、この空気極入口圧力センサ5によって検出されるようになっている。
【0020】
燃料電池本体2の水素極入口には、水素用配管部材6を介して水素供給装置7が接続されている。この水素供給装置7は、例えば水素タンクや流量制御弁、この流量制御弁の開度を制御する流量制御装置等を有しており、目標流量の水素ガス(以下、原料水素という。)を燃料電池本体2の水素極入口側に供給できるようになっている。この水素供給装置7の出口側には、原料水素流量センサ(原料水素流量検出手段)8が配設されており、この原料水素流量センサ8によって水素供給装置7から燃料電池本体2の水素極入口側へと供給される原料水素の流量が検出されるようになっている。また、燃料電池本体2の水素極入口前段には、水素極入口圧力センサ9が配設されており、燃料電池本体2の水素極入口圧力が、この水素極入口圧力センサ9によって検出されるようになっている。
【0021】
また、この燃料電池システム1は水素循環型として構成されており、燃料電池本体2での発電に使用されずに燃料電池本体2から排出された排水素(循環水素)の経路となる循環水素用配管10が設けられている。そして、この循環水素用配管10の中途部に循環水素ポンプ11が配設されており、燃料電池本体2から排出された水蒸気を多く含む循環水素が、循環水素ポンプ11の駆動によって、循環水素用配管10を通って燃料電池本体2の水素極入口側へと循環され、水素供給装置7から供給される原料水素と合流するようになっている。したがって、この燃料電池システム1では、水素供給装置7から供給される原料水素と水蒸気を多く含む循環水素との混合水素が、燃料電池本体2の水素極入口に供給されることになる。また、循環水素ポンプ11の後段には、循環水素流量センサ(循環水素流量検出手段)12が配設されており、この循環水素流量センサ12によって、循環水素ポンプ11の駆動により燃料電池本体2の水素極入口側へと循環される循環水素の流量が検出されるようになっている。
【0022】
燃料電池システム1では、以上のように、水蒸気を多く含む循環水素を原料水素と混合して燃料電池本体2の水素極に供給することによって、燃料電池本体2の固体高分子膜を加湿するようにしている。また、この燃料電池システム1では、加湿効果を更に良好なものとするために、水素供給装置7の後段に加湿器13を別途設置するようにしている。したがって、燃料電池本体2の水素極入口には、加湿器13を通過することで加湿された原料水素と循環水素との混合水素が供給され、燃料電池本体2の固体高分子膜が十分に加湿されることになる。
【0023】
また、燃料電池本体2には、当該燃料電池本体2で発電した電力を消費する外部負荷14が接続されている。具体的には、外部負荷14として例えばインバータが燃料電池本体2に接続され、燃料電池本体2で発電した電力がこのインバータでエネルギ変換されて駆動モータ等へ供給されるようになっている。この駆動モータは、燃料電池システム1を車両に適用した場合には車両走行の動力として使用されることになる。また、燃料電池本体2と外部負荷14との間には、負荷電流センサ(負荷電流検出手段)15が配設されており、この負荷電流センサ15によって燃料電池本体2から外部負荷14へと供給される負荷電流が検出されるようになっている。なお、燃料電池本体2の発電量は、外部負荷14で要求される要求負荷電流に応じて決定され、この要求負荷電流に相当する電力が燃料電池本体2から負荷電流として取り出されることになる。
【0024】
また、燃料電池システム1は、本発明の要部となるコントローラ16を備えている。このコントローラ16は、CPUやROM、RAM、CPU周辺回路等を備え、これらがバスを介して接続されたマイクロプロセッサ構成を有している。そして、このコントローラ16では、CPUがRAMをワークエリアとして利用してROMに格納された制御プログラムを実行することによって、水素消費量算出手段17としての機能と、水素極圧力変化予測手段18としての機能と、水素極入口圧力調整手段19としての機能とが実現されるようになっている。
【0025】
水素消費量算出手段17は、負荷電流センサ15により検出された負荷電流、すなわち燃料電池本体2から外部負荷14へと供給される負荷電流の電流値に基づいて、燃料電池本体2で消費した水素量を算出するものである。
【0026】
また、水素極圧力変化予測手段18は、原料水素流量センサ8からの出力、すなわち水素供給装置7から供給される原料水素の流量と、循環水素流量センサ12からの出力、すなわち循環ポンプ11の駆動により循環される循環水素の流量と、水素消費量算出手段17からの出力、すなわち燃料電池本体2で消費した水素量とに基づいて、燃料電池本体2の水素極入口の圧力変化を予測するものである。
【0027】
また、水素極入口圧力調整手段19は、水素極圧力変化予測手段18からの出力、すなわち燃料電池本体2に供給される原料水素の流量及び循環水素の流量と燃料電池本体2で消費される水素量とから予測される燃料電池本体2の水素極入口圧力と、所定の目標圧力(以下、水素極目標圧力という。)との偏差を低減させるように、燃料電池本体2に対して外部負荷14が要求する要求負荷電流値、或いは循環水素ポンプ11の駆動により燃料電池本体2の水素極入口側へと循環される循環水素の流量、或いは水素供給装置7から燃料電池本体2に供給される原料水素の流量の少なくとも何れかを操作するものである。
【0028】
具体的には、この水素極入口圧力調整手段19は、水素極圧力変化予測手段18によって予測された燃料電池本体2の水素極入口圧力を予め設定された水素極目標圧力と比較して、予測された圧力が水素極目標圧力に満たない場合には、その差分をキャンセルするように、要求負荷電流値を減らすための操作量を算出し、或いは循環水素の流量を増加させるための操作量を算出し、或いは原料水素の流量を増加させるための操作量を算出する。一方、予測された圧力が水素極目標圧力を超える場合には、その差分をキャンセルするように、要求負荷電流値を増加させるための操作量を算出し、或いは循環水素の流量を減らすための操作量を算出し、或いは原料水素の流量を減らすための操作量を算出する。そして、この水素極入口圧力調整手段19によって算出された操作量に応じて、外部負荷14が燃料電池本体2に対して要求する要求負荷電流値が操作され、或いは循環水素ポンプ11が操作され、或いは水素供給装置7が操作されることで、燃料電池本体2の水素極入口圧力と、水素極目標圧力との偏差が低減されるようになっている。
【0029】
以上のような水素極入口圧力調整手段19による操作量の算出方法としては様々な手法が考えられ、例えば図2に示すような方式が採用可能である。この図2に示す方式は制御理論でよく知られた形態であり、内部モデル予測制御とも呼ばれるものである。この図2に示される内部モデルに、水素極圧力変化予測手段18によって予測された燃料電池本体2の水素極入口圧力を当てはめれば、上述した要求負荷電流値の操作量、或いは循環水素流量の操作量、或いは原料水素流量の操作量が算出されることになる。なお、水素極入口圧力調整手段19は、要求負荷電流値と循環水素流量と原料水素流量のうちの何れか2つ、或いは全てを操作することで、予測された燃料電池本体2の水素極入口圧力と水素極目標圧力との偏差を低減させるようにしてもよい。
【0030】
以上説明したように、本発明を適用した燃料電池システム1によれば、コントローラ16に水素消費量算出手段17としての機能と、水素極圧力変化予測手段18としての機能と、水素極入口圧力調整手段19としての機能が実現され、水素極圧力変化予測手段18によって燃料電池本体2の水素極入口圧力変化が予測され、水素極入口圧力調整手段19によって燃料電池本体2に対して要求される要求負荷電流値、循環水素ポンプ11により循環される循環水素流量、水素供給装置7から供給される原料水素流量の少なくとも何れかが操作されて、燃料電池本体2の水素極入口圧力変化がキャンセルされるようになっているので、循環ポンプ11によって循環された循環水素が水素供給装置7から供給される原料水素と合流したときに、これが引き金となって生じる水素極入口圧力、水素極入口流量への影響を防止することができる。したがって、この燃料電池システム1では、水素極入口流量と水素極入口圧力とが互いに干渉してふらつきが生じ、燃料電池本体2に水素を安定して供給できない状況が長くなるといった不具合を有効に防止することができる。
【0031】
(第2の実施形態)
次に、本発明の第2の実施形態について図3及び図4を参照して説明する。この第2の実施形態の燃料電池システムは、基本構成を上述した第1の実施形態の燃料電池システム1と同様とし、コントローラでの処理内容が、上述した燃料電池システム1と異なるものである。以下、この第2の実施形態の燃料電池システムの特徴点であるコントローラの処理について、上述した燃料電池システム1と同様の構成については同一の符号を付して説明する。
【0032】
第2の実施形態の燃料電池システムが備えるコントローラ20は、上述した燃料電池システム1が備えるコントローラ16と同様のマイクロプロセッサ構成を有している。そして、このコントローラ20では、CPUがRAMをワークエリアとして利用してROMに格納された制御プログラムを実行することによって、図3に示すように、水素消費量算出手段21としての機能と、第1の水素極圧力変化予測手段22としての機能と、要求負荷電流値操作量算出手段23としての機能と、要求負荷電流値操作量制限手段24としての機能と、消費水素量予測手段25としての機能と、第2の水素極圧力変化予測手段26としての機能と、循環水素流量操作量算出手段27としての機能とが実現されるようになっている。
【0033】
水素消費量算出手段21は、上述した燃料電池システム1のコントローラ16で実現される水素消費量算出手段17と同様に、負荷電流センサ15により検出された負荷電流、すなわち燃料電池本体2から外部負荷14へと供給される負荷電流の電流値に基づいて、燃料電池本体2で消費した水素量を算出するものである。
【0034】
また、第1の水素極圧力変化予測手段22は、上述した燃料電池システム1のコントローラ16で実現される水素極圧力変化予測手段18と同様に、原料水素流量センサ8からの出力、すなわち水素供給装置7から供給される原料水素の流量と、循環水素流量センサ12からの出力、すなわち循環ポンプ11の駆動により循環される循環水素の流量と、水素消費量算出手段21からの出力、すなわち燃料電池本体2で消費した水素量とに基づいて、燃料電池本体2の水素極入口の圧力変化を予測するものである。
【0035】
要求負荷電流値操作量算出手段23は、第1の水素極圧力変化予測手段22からの出力、すなわち予測される燃料電池本体2の水素極入口圧力を、予め設定された水素極目標圧力と比較して、予測された圧力が水素極目標圧力に満たない場合には、その差分をキャンセルするように、要求負荷電流値を減らすための操作量を算出し、予測された圧力が水素極目標圧力を超える場合には、その差分をキャンセルするように、要求負荷電流値を増加させるための操作量を算出するものである。
【0036】
要求負荷電流値操作量制限手段24は、要求負荷電流値操作量算出手段23によって算出された操作量で要求負荷電流値を操作した場合に、この操作後の要求負荷電流値が所定の上限値或いは下限値を超えるかどうかを判断し、操作後の要求負荷電流値が所定の上限値或いは下限値を超える場合には、要求負荷電流値の操作量を制限するものである。この要求負荷電流値の上限値及び下限値は、燃料電池本体2の性能や外部負荷14の性能、2次バッテリを備える場合にはその性能等によって求められる値であり、予め設定されて記憶されている。
【0037】
消費水素量予測手段25は、要求負荷電流値操作量制限手段24によって要求負荷電流値の操作量が制限された場合に、この制限された操作量で操作した後の要求負荷電流値に基づいて、燃料電池本体2で消費する水素量を予測するものである。
【0038】
第2の水素極圧力変化予測手段26は、消費水素量予測手段25からの出力、すなわち制限された操作量で操作した後の要求負荷電流値から予測される燃料電池本体2での水素消費量と、原料水素流量センサ8からの出力、すなわち水素供給装置7から供給される原料水素の流量と、循環水素流量センサ12からの出力、すなわち循環ポンプ11の駆動により循環される循環水素の流量とに基づいて、燃料電池本体2の水素極入口の圧力変化を予測するものである。要求負荷電流値操作量制限手段24によって要求負荷電流値の操作量が制限された場合には、この制限された要求負荷電流の操作のみでは、水素極入口圧力を上述した水素極目標圧力にできないことになる。この圧力偏差がどのくらい残るかが、第2の水素極圧力予測手段26で予測されることになる。
【0039】
循環水素流量操作量算出手段27は、第2の水素極圧力変化予測手段26からの出力、すなわち要求負荷電流値を操作した後の予測される燃料電池本体2の水素極入口圧力と、上述した水素極目標圧力との差分を算出して、その差分をキャンセルするように、循環水素ポンプ11の駆動により循環される循環水素の流量を増減するための操作量を算出するものである。すなわち、要求負荷電流値操作量制限手段24によって要求負荷電流値の操作量が制限された場合には、上述したように、要求負荷電流値の操作のみでは水素極入口圧力を上述した水素極目標圧力にできないことになる。循環水素流量操作量算出手段27は、この圧力偏差分を循環水素流量の操作でキャンセルするように、循環水素ポンプ11の駆動により循環される循環水素の流量を増減するための操作量を算出する。
【0040】
以上のようなコントローラ20を有する燃料電池システムでは、このコントローラ20による処理により、要求負荷電流値操作量算出手段23によって算出された操作量に応じて要求負荷電流値が操作され、この要求負荷電流値の操作量が燃料電池本体2の性能や外部負荷14の性能等により制限される場合には、循環水素流量操作量算出手段27によって算出された操作量に応じて循環水素ポンプ11が操作されて循環水素流量が増減されることで、要求負荷電流値の操作量の不足分が補われて、燃料電池本体2の水素極入口圧力と、水素極目標圧力との偏差が大幅に低減されるようになっている。
【0041】
ここで、以上のようなコントローラ20による処理の一例について、図4のフローチャートを参照して具体的に説明する。
【0042】
コントローラ20は、まず、ステップS1−1において、循環水素流量増加要求があるかどうかを判定する。ここで、循環水素流量増加要求は図示しない他の制御手段で設定される。具体的には、例えば、目標値設定手段を設けて、燃料電池本体2の水素極圧力、負荷電流、電圧、2次バッテリをもつシステムに応用した場合にはバッテリ電圧、冷却システムをもつようにした場合は水素極入口温度と出口温度、更にはナビゲーションシステムの情報による登り、下り、路面情報などに基づいて、循環水素流量増加要求を決定すようにしてもよい。
【0043】
ステップS1−1において循環水素流量増加要求がある場合には、コントローラ20は、次に、ステップS1−2において、循環水素流量増加分を加算した量の原料水素が水素供給装置7から供給されるように、水素供給装置7に対して増加要求を出力する。また、同時に、循環水素ポンプ11に対しても、回転数を増加させる旨の指令を出力する。
【0044】
次に、コントローラ20は、ステップS1−3において、水素消費量算出手段21として機能して、負荷電流センサ15からの出力(燃料電池本体2から取り出された負荷電流値)に基づいて、燃料電池本体2で消費している水素量を算出する。ここで、燃料電池本体2で消費している消費水素量QLは、下記式(1)で示される関係式により算出される。なお、下記式(1)において、係数は燃料電池本体2の構成によって決める任意の定数であり、本例では7.0に設定される。また、本例ではセル数は420である。また、取り出し負荷電流値は負荷電流センサ15の出力値である。
【0045】
【数1】
消費水素量QL[NL/min]=係数×燃料電池本体のセル数×取り出し負荷電流値[A] ・・・(1)
次に、コントローラ20は、ステップS1−4において、第1の水素極圧力変化予測手段22として機能して、原料水素流量センサ8からの出力(原料水素の流量)と、循環水素流量センサ12からの出力(循環水素の流量)と、ステップS1−3で算出した消費水素量QLとに基づいて、燃料電池本体2の水素極入口の圧力変化を予測する。ここで、圧力予測値Ppredは、下記式(2)で示される関係式により求められる。なお、下記式(2)において、Q22は循環水素流量センサ8の出力値であり、G22は遅れ特性と係数(本例では簡単に1次遅れとしている)である。sはラプラス演算子を示す。
【0046】
【数2】
圧力予測値Ppred(s)={原料水素流量センサ指示値(s)+循環水素流量センサ指示値(s)−消費水素量QL(s)−Q22(s)×G22(s)}/ s ・・・(2)
次に、コントローラ20は、ステップS1−5において、要求負荷電流値操作量算出手段23として機能して、ステップS1−4で予測した圧力予測値Ppredと水素極目標圧力との差分を計算して、この差分をキャンセルするように要求負荷電流値の操作量を算出する。例えば、水素極目標圧力−圧力予測値Ppred>0の場合には、要求負荷電流値を減らすようにその操作量を算出し、逆に、水素極目標圧力−圧力予測値Ppred<0の場合は、要求負荷電流値を増加させるようにその操作量を算出する。
【0047】
次に、コントローラ20は、ステップS1−6において、要求負荷電流値操作量制限手段24として機能して、ステップS1−5で算出した要求負荷電流値の操作量に上限下限制限を加えるかどうかを判定する。ここで、判定の基準となる上限値及び下限値は、燃料電池本体2の性能や外部負荷14の性能、2次バッテリを備える場合にはその性能等によって求められるものである。
【0048】
そして、ステップS1−5で算出した要求負荷電流値の操作量に上限下限制限を加えない場合には、ステップS1−7において、算出された操作量に応じて要求負荷電流値が操作されて、燃料電池本体2の水素極入口圧力と水素極目標圧力との偏差が低減されることになる。一方、ステップS1−5で算出した要求負荷電流値の操作量に上限下限制限を加える場合には、ステップS1−8において、制限された操作量に応じて要求負荷電流値が操作されることになる。
【0049】
制限された操作量に応じて要求負荷電流値が操作された場合には、コントローラ20は、次に、ステップS1−9において、消費水素量予測手段25として機能して、ステップS1−8で操作された後の要求負荷電流値(制限された操作量で操作された要求負荷電流値)に基づいて、燃料電池本体2で消費する水素量QLを算出する。この燃料電池本体2で消費する消費水素量QLは、上記式(1)で示される関係式により算出される。なお、ここでは、式(1)における取り出し負荷電流値は、ステップS1−8で操作された後の要求負荷電流値(制限された操作量で操作された要求負荷電流値)である。
【0050】
次に、コントローラ20は、ステップS1−10において、第2の水素極圧力変化予測手段26として機能して、ステップS1−9で算出された消費水素量(要求負荷電流値操作後の消費水素量)QLと、原料水素流量センサ8からの出力(原料水素の流量)と、循環水素流量センサ12からの出力(循環水素の流量)とに基づいて、燃料電池本体2の水素極入口の圧力変化を予測する。ここで、圧力予測値Ppredは、上記式(2)で示される関係式により算出される。なお、ここでは、式(2)における消費水素量QLは、ステップS1−9で算出された要求負荷電流値操作後の消費水素量である。
【0051】
次に、コントローラ20は、ステップS1−11において、循環水素流量操作量算出手段27として機能して、ステップS1−10で予測した圧力予測値Ppredと水素極目標圧力との差分を計算して、この差分をキャンセルするように循環水素流量の操作量を算出する。例えば、水素極目標圧力−圧力予測値Ppred>0の場合には、循環水素流量を減らすように循環水素ポンプ11の操作量を算出し、逆に、水素極目標圧力−圧力予測値Ppred<0の場合は、循環水素流量を増加させるように循環水素ポンプ11の操作量を算出する。
【0052】
そして、ステップS1−12において、ステップS1−11で算出された操作量に応じて循環水素ポンプ11が操作されて循環水素流量が増減され、これにより要求負荷電流値の操作量の不足分が補われて、燃料電池本体2の水素極入口圧力と水素極目標圧力との偏差が大幅に低減されることになる。コントローラ20は、以上の一連の処理を循環水素流量の増加要求がある度に繰り返し行って、燃料電池本体2の水素極入口圧力を水素極目標圧力に常時近づけるようにしている。
【0053】
以上説明したように、第2の実施形態の燃料電池システムによれば、コントローラ20に水素消費量算出手段21、第1の水素極圧力変化予測手段22、要求負荷電流値操作量算出手段23、要求負荷電流値操作量制限手段24、消費水素量予測手段25、第2の水素極圧力変化予測手段26、循環水素流量操作量算出手段27としての各機能が実現されて、燃料電池本体2の水素極入口圧力変化をキャンセルするための要求負荷電流値操作量が算出され、この要求負荷電流値の操作量が燃料電池本体2の性能や外部負荷14の性能、2次バッテリの性能等によって制限される場合には、その不足分を補うための循環水素流量操作量が算出されて、要求負荷電流値の操作と循環水素ポンプ11の操作とによって、燃料電池本体2の水素極入口圧力と水素極目標圧力との偏差が大幅に低減されるようになっているので、燃料電池本体2の性能や外部負荷14の性能、2次バッテリの性能等に拘わらず、循環ポンプ11によって循環された循環水素が水素供給装置7から供給される原料水素と合流したときの水素極入口圧力、水素極入口流量への影響を効果的に防止することができる。したがって、この第2の実施形態の燃料電池システムでは、水素極入口流量と水素極入口圧力とが互いに干渉してふらつきが生じ、燃料電池本体2に水素を安定して供給できない状況が長くなるといった不具合を有効に防止することができる。
【0054】
(第3の実施形態)
次に、本発明の第3の実施形態について図5及び図6を参照して説明する。この第3の実施形態の燃料電池システムは、基本構成を上述した第1の実施形態の燃料電池システム1と同様とし、コントローラでの処理内容が、上述した燃料電池システム1と異なるものである。そして、上述した第2の実施形態の燃料電池システムでは、燃料電池本体2の水素極入口圧力変化をキャンセルするために算出した要求負荷電流値操作量が制限されたときに、その不足分を循環水素流量の操作(循環水素ポンプ11の操作)によって補うようにしているのに対し、この第3の実施形態の燃料電池システムでは、燃料電池本体2の水素極入口圧力変化をキャンセルするために算出した要求負荷電流値操作量が制限されたときに、その不足分を原料水素流量の操作(水素供給装置7の操作)によって補うようにした点を特徴としている。以下、この第3の実施形態の燃料電池システムの特徴点であるコントローラの処理について、上述した第1の実施形態の燃料電池システム1及び第2の実施形態の燃料電池システムと同様の構成については同一の符号を付して説明する。
【0055】
第3の実施形態の燃料電池システムが備えるコントローラ30は、上述した第1の実施形態の燃料電池システム1が備えるコントローラ16、第2の実施形態の燃料電池システムが備えるコントローラ20と同様のマイクロプロセッサ構成を有している。そして、このコントローラ30では、CPUがRAMをワークエリアとして利用してROMに格納された制御プログラムを実行することによって、図5に示すように、水素消費量算出手段21としての機能と、第1の水素極圧力変化予測手段22としての機能と、要求負荷電流値操作量算出手段23としての機能と、要求負荷電流値操作量制限手段24としての機能と、消費水素量予測手段25としての機能と、第2の水素極圧力変化予測手段26としての機能と、原料水素流量操作量算出手段31としての機能とが実現されるようになっている。
【0056】
すなわち、この第3の実施形態の燃料電池システムが備えるコントローラ30は、第2の実施形態の燃料電池システムが備えるコントローラ20で実現される循環水素流量操作量算出手段27に代えて、原料水素流量操作量算出手段31が実現されることを特徴としている。以下、第2の実施形態の燃料電池システムが備えるコントローラ20で実現される機能と同様の機能については、重複した説明を省略する。
【0057】
原料水素流量操作量算出手段31は、第2の水素極圧力変化予測手段26からの出力、すなわち要求負荷電流値を操作した後の予測される燃料電池本体2の水素極入口圧力と、上述した水素極目標圧力との差分を算出して、その差分をキャンセルするように、水素供給装置7から供給される原料水素の流量を増減するための操作量を算出するものである。すなわち、要求負荷電流値操作量制限手段24によって要求負荷電流値の操作量が制限された場合には、上述したように、要求負荷電流の操作のみでは水素極入口圧力を上述した水素極目標圧力にできないことになる。原料水素流量操作量算出手段31は、この圧力偏差分を原料水素流量の操作でキャンセルするように、水素供給装置7から供給される原料水素の流量を増減するための操作量を算出する。
【0058】
以上のようなコントローラ30を有する燃料電池システムでは、このコントローラ30による処理により、要求負荷電流値操作量算出手段23によって算出された操作量に応じて要求負荷電流値が操作され、この要求負荷電流値の操作量が燃料電池本体2の性能や外部負荷14の性能等により制限される場合には、原料水素流量操作量算出手段31によって算出された操作量に応じて水素供給装置7が操作されて原料水素流量が増減されることで、要求負荷電流値の操作量の不足分が補われて、燃料電池本体2の水素極入口圧力と、水素極目標圧力との偏差が大幅に低減されるようになっている。
【0059】
ここで、以上のようなコントローラ30による処理の一例について、図6のフローチャートを参照して具体的に説明する。なお、図6中のステップS2−1からステップS2−10までの処理は、図4で示したコントローラ20によるステップS1−1からS1−10までの処理と同様であるので、重複した説明を省略する。
【0060】
コントローラ30は、ステップS2−10で要求負荷電流値操作後における燃料電池本体2の水素極入口の圧力変化を予測すると、次に、ステップS2−11において、原料水素流量操作量算出手段31として機能して、ステップS2−10で予測した圧力予測値Ppredと水素極目標圧力との差分を計算して、この差分をキャンセルするように、水素供給装置7から供給される原料水素流量の操作量を算出する。例えば、水素極目標圧力−圧力予測値Ppred>0の場合には、原料水素流量を減らすように水素供給装置7の操作量を算出し、逆に、水素極目標圧力−圧力予測値Ppred<0の場合は、原料水素流量を増加させるように水素供給装置7の操作量を算出する。
【0061】
そして、ステップS2−12において、ステップS2−11で算出された操作量に応じて水素供給装置7が操作されて原料水素流量が増減され、これにより要求負荷電流値の操作量の不足分が補われて、燃料電池本体2の水素極入口圧力と水素極目標圧力との偏差が大幅に低減されることになる。コントローラ30は、以上の一連の処理を循環水素流量の増加要求がある度に繰り返し行って、燃料電池本体2の水素極入口圧力を水素極目標圧力に常時近づけるようにしている。
【0062】
以上説明したように、第3の実施形態の燃料電池システムによれば、コントローラ30に水素消費量算出手段21、第1の水素極圧力変化予測手段22、要求負荷電流値操作量算出手段23、要求負荷電流値操作量制限手段24、消費水素量予測手段25、第2の水素極圧力変化予測手段26、原料水素流量操作量算出手段31としての各機能が実現されて、燃料電池本体2の水素極入口圧力変化をキャンセルするための要求負荷電流値操作量が算出され、この要求負荷電流値操作量が燃料電池本体2の性能や外部負荷14の性能、2次バッテリの性能等によって制限される場合には、その不足分を補うための原料水素流量操作量が算出されて、要求負荷電流値の操作と水素供給装置7の操作とによって、燃料電池本体2の水素極入口圧力と水素極目標圧力との偏差が大幅に低減されるようになっているので、燃料電池本体2の性能や外部負荷14の性能、2次バッテリの性能等に拘わらず、循環ポンプ11によって循環された循環水素が水素供給装置7から供給される原料水素と合流したときの水素極入口圧力、水素極入口流量への影響を効果的に防止することができる。したがって、この第3の実施形態の燃料電池システムでは、水素極入口流量と水素極入口圧力とが互いに干渉してふらつきが生じ、燃料電池本体2に水素を安定して供給できない状況が長くなるといった不具合を有効に防止することができる。
【0063】
(第4の実施形態)
次に、本発明の第4の実施形態について図7及び図8を参照して説明する。この第4の実施形態の燃料電池システムは、基本構成を上述した第1の実施形態の燃料電池システム1と同様とし、コントローラでの処理内容が、上述した燃料電池システム1と異なるものである。そして、この第4の実施形態の燃料電池システムは、上述した第2の実施形態の燃料電池システムと同様に、要求負荷電流値操作量が制限された場合にその不足分を補うために循環水素流量を操作(循環水素ポンプ11の操作)するようになっており、特に、この循環水素流量の操作量が更に制限された場合には、その不足分を原料水素流量の操作(水素供給装置7の操作)によって補うようにした点を特徴としている。以下、この第4の実施形態の燃料電池システムの特徴点であるコントローラの処理について、上述した第1の実施形態の燃料電池システム1及び第2の実施形態の燃料電池システムと同様の構成については同一の符号を付して説明する。
【0064】
第4の実施形態の燃料電池システムが備えるコントローラ40は、上述した第1の実施形態の燃料電池システム1が備えるコントローラ16、第2の実施形態の燃料電池システムが備えるコントローラ20、第3の実施形態の燃料電池システムが備えるコントローラ30と同様のマイクロプロセッサ構成を有している。そして、このコントローラ40では、CPUがRAMをワークエリアとして利用してROMに格納された制御プログラムを実行することによって、図7に示すように、水素消費量算出手段21としての機能と、第1の水素極圧力変化予測手段22としての機能と、要求負荷電流値操作量算出手段23としての機能と、要求負荷電流値操作量制限手段24としての機能と、消費水素量予測手段25としての機能と、第2の水素極圧力変化予測手段26としての機能と、循環水素流量操作量算出手段27としての機能と、循環水素流量操作量制限手段41としての機能と、循環水素流量予測手段42としての機能と、第3の水素極圧力変化予測手段43としての機能と、原料水素流量操作量算出手段44としての機能とが実現されるようになっている。
【0065】
すなわち、この第4の実施形態の燃料電池システムが備えるコントローラ40は、第2の実施形態の燃料電池システムが備えるコントローラ20で実現される各機能に加えて、循環水素流量操作量制限手段41、循環水素流量予測手段42、第3の水素極圧力変化予測手段43、原料水素流量操作量算出手段44の各機能とが実現されることを特徴としている。以下、第2の実施形態の燃料電池システムが備えるコントローラ20で実現される機能と同様の機能については、重複した説明を省略する。
【0066】
循環水素流量操作量制限手段41は、循環水素流量操作量算出手段27によって算出された循環水素流量の操作量が所定の上限値或いは下限値を超えるかどうかを判断し、循環水素流量の操作量が所定の上限値或いは下限値を超える場合には、循環水素流量の操作量を制限するものである。この循環水素流量の操作量の上限値及び下限値は、循環水素ポンプ11の性能によって求められる値である。すなわち、循環水素ポンプ11による循環水素流量の可変範囲は、循環水素ポンプ11の性能に応じて制約されており、流量可変範囲の狭い小型の循環水素ポンプ11を用いた場合には、循環水素流量操作量算出手段27によって算出された循環水素流量の操作量が循環水素ポンプ11の流量可変範囲を超える場合がある。そこで、このような場合には、循環水素流量操作量制限手段41が、循環水素流量の操作量を循環水素ポンプ11の流量可変範囲内に制限するようにしている。
【0067】
循環水素流量予測手段42は、循環水素流量操作量制限手段41によって循環水素流量の操作量が制限された場合に、この制限された操作量で操作した後の循環水素流量を予測するものである。この循環水素流量の予測値は、例えば、循環水素ポンプ11の性能特性表をマップ化した関数を使って算出できる。
【0068】
第3の水素極圧力変化予測手段43は、消費水素量予測手段25からの出力、すなわち制限された操作量で操作した後の要求負荷電流値から予測される燃料電池本体2での水素消費量と、循環水素流量予測手段42からの出力、すなわち制限された操作量で操作した後の循環水素流量と、原料水素流量センサ8からの出力、すなわち水素供給装置7から供給される原料水素の流量とに基づいて、燃料電池本体2の水素極入口の圧力変化を予測するものである。要求負荷電流値操作量制限手段24によって要求負荷電流値の操作量が制限され、更に、循環水素流量操作量制限手段41によって循環水素流量の操作量が制限された場合には、この制限された要求負荷電流及び循環水素流量の操作のみでは、水素極入口圧力を上述した水素極目標圧力にできないことになる。この圧力偏差がどのくらい残るかが、第3の水素極圧力予測手段43で予測されることになる。
【0069】
原料水素流量操作量算出手段44は、第3の水素極圧力変化予測手段43からの出力、すなわち要求負荷電流値及び循環水素流量を操作した後の予測される燃料電池本体2の水素極入口圧力と、上述した水素極目標圧力との差分を算出して、その差分をキャンセルするように、水素供給装置7から供給される原料水素の流量を増減するための操作量を算出するものである。すなわち、要求負荷電流値操作量制限手段24によって要求負荷電流値の操作量が制限され、更に、循環水素流量操作量制限手段41によって循環水素流量の操作量が制限された場合には、上述したように、要求負荷電流値及び循環水素流量の操作のみでは水素極入口圧力を上述した水素極目標圧力にできないことになる。原料水素流量操作量算出手段44は、この圧力偏差分を原料水素流量の操作でキャンセルするように、水素供給装置7から供給される原料水素の流量を増減するための操作量を算出する。
【0070】
以上のようなコントローラ40を有する燃料電池システムでは、このコントローラ40による処理により、要求負荷電流値操作量算出手段23によって算出された操作量に応じて要求負荷電流値が操作され、この要求負荷電流値の操作量が燃料電池本体2の性能や外部負荷14の性能等により制限される場合には、循環水素流量操作量算出手段27によって算出された操作量に応じて循環水素流量が操作され、更にこの循環水素流量の操作量が循環水素ポンプ11の性能により制限される場合には、原料水素流量操作量算出手段44によって算出された操作量に応じて水素供給装置7が操作されて原料水素流量が増減されることで、要求負荷電流値及び循環水素流量の操作量の不足分が補われて、燃料電池本体2の水素極入口圧力と、水素極目標圧力との偏差が大幅に低減されるようになっている。
【0071】
ここで、以上のようなコントローラ40による処理の一例について、図8のフローチャートを参照して具体的に説明する。なお、このコントローラ40において、循環水素流量の操作量を算出するまでの処理は、図4で示したコントローラ20によるステップS1−1からS1−11までの処理と同様であるので、ここではそれ以降の処理についてのみ説明する。すなわち、図8中のステップS3−1以降の処理は、図4中のステップS1−11の処理に続いて行われるものである。
【0072】
図4中のステップS1−11で循環水素流量の操作量が算出されると、コントローラ40は、次に、ステップS3−1において、循環水素流量操作量制限手段41として機能して、ステップS1−11で算出した循環水素流量の操作量に上限下限制限を加えるかどうかを判定する。ここで、判定の基準となる上限値及び下限値は、循環水素ポンプ11の性能によって求められるものである。
【0073】
そして、ステップS1−11で算出した要求負荷電流値の操作量に上限下限制限を加えない場合には、ステップS3−2において、算出された操作量に応じて循環水素ポンプ11が操作されて循環水素流量が増減され、燃料電池本体2の水素極入口圧力と水素極目標圧力との偏差が低減されることになる。一方、ステップS1−11で算出した循環水素流量の操作量に上限下限制限を加える場合には、ステップS3−3において、制限された操作量に応じて循環水素ポンプ11が操作されて循環水素流量が増減されることになる。
【0074】
制限された操作量に応じて循環水素ポンプ11が操作された場合には、コントローラ40は、次に、ステップS3−4において、循環水素流量予測手段42として機能して、ステップS3−3で循環水素ポンプ11が操作された後の循環水素流量を予測する。この循環水素流量の予測値は、例えば、循環水素ポンプ11の性能特性表をマップ化した関数を使って算出される。
【0075】
次に、コントローラ40は、ステップS3−5において、第3の水素極圧力変化予測手段43として機能して、図4中のステップS1−9で算出された消費水素量(要求負荷電流値操作後の消費水素量)QLと、ステップS3−4で算出された循環水素流量(循環水素ポンプ11操作後の循環水素流量)と、原料水素流量センサ8からの出力(原料水素の流量)とに基づいて、燃料電池本体2の水素極入口の圧力変化を予測する。ここで、圧力予測値Ppredは、下記式(3)で示される関係式により求められる。なお、下記式(3)において、循環水素流量予測値は、ステップS3−4で算出された循環水素ポンプ11操作後の循環水素流量予測値であり、消費水素量QLは、ステップS1−9で算出された要求負荷電流値操作後の消費水素量である。また、Q22は循環水素流量センサ8の出力値であり、G22は遅れ特性と係数(本例では簡単に1次遅れとしている)である。sはラプラス演算子を示す。
【0076】
【数3】
圧力予測値Ppred(s)={原料水素流量センサ指示値(s)+循環水素流量予測値(s)−消費水素量QL(s)−Q22(s)×G22(s)}/ s ・・・(3)
次に、コントローラ40は、ステップS3−6において、原料水素流量操作量算出手段44として機能して、ステップS3−5で予測した圧力予測値Ppredと水素極目標圧力との差分を計算し、この差分をキャンセルするように、水素供給装置7から供給される原料水素流量の操作量を算出する。例えば、水素極目標圧力−圧力予測値Ppred>0の場合には、原料水素流量を減らすように水素供給装置7の操作量を算出し、逆に、水素極目標圧力−圧力予測値Ppred<0の場合は、原料水素流量を増加させるように水素供給装置7の操作量を算出する。
【0077】
そして、ステップS3−7において、ステップS3−6で算出された操作量に応じて水素供給装置7が操作されて原料水素流量が増減され、これにより要求負荷電流値及び循環水素流量の操作量の不足分が補われて、燃料電池本体2の水素極入口圧力と水素極目標圧力との偏差が大幅に低減されることになる。コントローラ40は、以上の一連の処理を循環水素流量の増加要求がある度に繰り返し行って、燃料電池本体2の水素極入口圧力を水素極目標圧力に常時近づけるようにしている。
【0078】
以上説明したように、第4の実施形態の燃料電池システムによれば、コントローラ40に水素消費量算出手段21、第1の水素極圧力変化予測手段22、要求負荷電流値操作量算出手段23、要求負荷電流値操作量制限手段24、消費水素量予測手段25、第2の水素極圧力変化予測手段26、循環水素流量操作量算出手段27、循環水素流量操作量制限手段41、循環水素流量予測手段42、第3の水素極圧力変化予測手段43、原料水素流量操作量算出手段44としての各機能が実現されて、燃料電池本体2の水素極入口圧力変化をキャンセルするための要求負荷電流値操作量が制限される場合には、その不足分を補うための循環水素流量操作量が算出され、更にこの循環水素流量操作量が制限される場合には、その不足分を補うための原料水素流量操作量が算出されて、要求負荷電流値の操作と循環水素ポンプ11の操作と水素供給装置7の操作とによって、燃料電池本体2の水素極入口圧力と水素極目標圧力との偏差が大幅に低減されるようになっているので、燃料電池本体2の性能や外部負荷14の性能、2次バッテリの性能、更には循環水素ポンプ11の性能等に拘わらず、循環ポンプ11によって循環された循環水素が水素供給装置7から供給される原料水素と合流したときの水素極入口圧力、水素極入口流量への影響を効果的に防止することができる。したがって、この第4の実施形態の燃料電池システムでは、水素極入口流量と水素極入口圧力とが互いに干渉してふらつきが生じ、燃料電池本体2に水素を安定して供給できない状況が長くなるといった不具合を有効に防止することができる。
【0079】
なお、以上は、燃料電池本体2の水素極入口圧力変化をキャンセルするための要求負荷電流値操作量が制限される場合に、循環水素ポンプ11の操作でその不足分を補うようにし、更にこの操作量が制限される場合には、水素供給装置7の操作でその不足分を補うようにした例について説明したが、要求負荷電流値操作量が制限される場合に、水素供給装置7の操作でその不足分を補うようにし、更にこの操作量が制限される場合に、循環水素ポンプ11の操作でその不足分を補うようにしても、上述した例と同様の効果を得ることができる。
【0080】
(第5の実施形態)
次に、本発明の第5の実施形態について図9を参照して説明する。この第5の実施形態の燃料電池システムは、基本構成を上述した第1の実施形態の燃料電池システム1と同様とし、コントローラでの処理内容が、上述した燃料電池システム1と異なるものである。すなわち、この第5の実施形態の燃料電池システムでは、予測される燃料電池本体2の水素極入口圧力と、空気極入口圧力センサ5(図1参照)によって検出される空気極入口圧力との差圧を監視して、これらの差圧が所定の上限値或いは下限値を超えた場合には水素極目標圧力を変更し、これに応じて、要求負荷電流値の操作量、或いは循環水素流量の操作量、或いは原料水素流量の操作量を変更するようにした点を特徴としている。以下、この第5の実施形態の燃料電池システムの特徴点であるコントローラの処理について、上述した第1の実施形態の燃料電池システム1と同様の構成については同一の符号を付して説明する。
【0081】
第5の実施形態の燃料電池システムが備えるコントローラ50は、上述した第1の実施形態の燃料電池システム1が備えるコントローラ16と同様のマイクロプロセッサ構成を有している。そして、このコントローラ50では、CPUがRAMをワークエリアとして利用してROMに格納された制御プログラムを実行することによって、図9に示すように、水素消費量算出手段17としての機能と、水素極圧力変化予測手段18としての機能と、水素極入口圧力調整手段19としての機能と、差圧検出手段51として機能と、目標圧力変更手段52としての機能とが実現されるようになっている。すなわち、この第5の実施形態の燃料電池システムが備えるコントローラ40は、第1の実施形態の燃料電池システム1が備えるコントローラ16で実現される各機能に加えて、差圧検出手段51としての機能と、目標圧力変更手段52としての機能とが実現されることを特徴としている。以下、第1の実施形態の燃料電池システムが備えるコントローラ16で実現される機能と同様の機能については、重複した説明を省略する。
【0082】
差圧検出手段51は、水素極圧力変化予測手段18からの出力、すなわち燃料電池本体2に供給される原料水素の流量及び循環水素の流量と燃料電池本体2で消費される水素量とから予測される燃料電池本体2の水素極入口圧力と、空気極入口圧力センサ5によって検出された燃料電池本体2の空気極入口圧力との差圧を算出すると共に、算出した差圧が所定の上限値或いは下限値を超えるかどうかを判定するものである。ここで、水素極入口圧力と空気極入口圧力との差圧として許容される上限値及び下限値は、燃料電池本体2が備える固体高分子膜の特性によって求められる値である。
【0083】
目標圧力変更手段52は、燃料電池本体2の水素極入口圧力と空気極入口圧力との差圧が所定の上限値或いは下限値を超えていると差圧検出手段51によって判定されたときに、これらの差圧を許容範囲内にまで小さくするように、水素極目標圧力を変更するものである。
【0084】
この目標圧力変更手段52によって水素極目標圧力が変更されると、水素極入口圧力調整手段19は、この変更された水素極目標圧力と水素極圧力変化予測手段18からの出力との偏差を低減させるように、要求負荷電流値の操作量、或いは循環水素流量の操作量、或いは原料水素流量の操作量を算出する。すなわち、燃料電池本体2の水素極入口圧力と空気極入口圧力との差圧が所定の上限値或いは下限値を超えている場合には、その差圧が許容範囲内となるように、要求負荷電流値の操作量、或いは循環水素流量の操作量、或いは原料水素流量の操作量が変更されることになる。そして、この変更された操作量に応じて、要求負荷電流値が操作され、或いは循環水素ポンプ11が操作され、或いは水素供給装置7が操作されることで、燃料電池本体2の水素極入口圧力と空気極入口圧力との差圧を許容範囲内としながら、燃料電池本体2の水素極入口圧力変化がキャンセルされるようになっている。
【0085】
以上説明したように、第5の実施形態の燃料電池システムによれば、コントローラ50に水素消費量算出手段17、水素極圧力変化予測手段18、水素極入口圧力調整手段19としての機能に加え、差圧検出手段51としての機能と、目標圧力変更手段52としての機能が実現され、燃料電池本体2の水素極入口圧力と空気極入口圧力との差圧を許容範囲内としながら、燃料電池本体2の水素極入口圧力変化がキャンセルされるようになっているので、循環ポンプ11によって循環された循環水素が水素供給装置7から供給される原料水素と合流したときに、これが引き金となって生じる水素極入口圧力、水素極入口流量への影響を防止して、燃料電池本体2に水素を安定して供給できない状況が長くなるといった不具合を有効に防止することができると共に、燃料電池本体2の水素極入口圧力と空気極入口圧力との差圧が拡大して、燃料電池本体2に設けられた固体高分子膜が損傷するといった不都合を有効に抑制することができる。
【0086】
なお、以上説明した燃料電池本体2の水素極入口圧力と空気極入口圧力との差圧のコントロールは、上述した第2の実施形態乃至第4の実施形態の燃料電池システムの何れにおいても実現可能なものである。
【0087】
すなわち、上述した第2の実施形態の燃料電池システム及び第3の実施形態の燃料電池システムにおいては、コントローラ20,30において実現される第2の水素極圧力変化予測手段26からの出力と、空気極入口圧力センサ5からの出力とに基づいて、燃料電池本体2の水素極入口圧力と空気極入口圧力との差圧を検出し、この差圧が所定の上限値或いは下限値を超える場合に、水素極目標圧力を変更することで、燃料電池本体2の水素極入口圧力と空気極入口圧力との差圧を許容範囲内としながら、燃料電池本体2の水素極入口圧力変化をキャンセルすることが可能となる。
【0088】
また、上述した第4の実施形態の燃料電池システムにおいては、コントローラ40において実現される第3の水素極圧力変化予測手段43からの出力と、空気極入口圧力センサ5からの出力とに基づいて、燃料電池本体2の水素極入口圧力と空気極入口圧力との差圧を検出し、この差圧が所定の上限値或いは下限値を超える場合に、水素極目標圧力を変更することで、燃料電池本体2の水素極入口圧力と空気極入口圧力との差圧を許容範囲内としながら、燃料電池本体2の水素極入口圧力変化をキャンセルすることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明を適用した第1の実施形態の燃料電池システムを示すシステム構成図である。
【図2】内部モデル予測制御を説明する図である。
【図3】本発明を適用した第2の実施形態の燃料電池システムが備えるコントローラの機能ブロック図である。
【図4】前記第2の実施形態の燃料電池システムが備えるコントローラによる処理の一例を示すフローチャートである。
【図5】本発明を適用した第3の実施形態の燃料電池システムが備えるコントローラの機能ブロック図である。
【図6】前記第3の実施形態の燃料電池システムが備えるコントローラによる処理の一例を示すフローチャートである。
【図7】本発明を適用した第4の実施形態の燃料電池システムが備えるコントローラの機能ブロック図である。
【図8】前記第4の実施形態の燃料電池システムが備えるコントローラによる処理の一例を示すフローチャートである。
【図9】本発明を適用した第5の実施形態の燃料電池システムが備えるコントローラの機能ブロック図である。
【符号の説明】
1 燃料電池システム
2 燃料電池本体
4 空気供給装置
5 空気極入口圧力センサ
7 水素供給装置
8 原料水素流量センサ
11 循環水素ポンプ
12 循環水素流量センサ
14 外部負荷
15 負荷電流センサ
16 コントローラ
17 水素消費量算出手段
18 水素極圧力変化予測手段
19 水素極入口圧力調整手段
20 コントローラ
21 水素消費量算出手段
22 第1の水素極圧力変化予測手段
23 要求負荷電流値操作量算出手段
24 要求負荷電流値操作量制限手段
25 消費水素量予測手段
26 第2の水素極圧力変化予測手段
27 循環水素流量操作量算出手段
30 コントローラ
31 原料水素流量操作量算出手段
40 コントローラ
41 循環水素流量操作量算出手段
42 循環水素流量予測手段
43 第3の水素極圧力変化予測手段
44 原料水素流量操作量算出手段
50 コントローラ
51 差分検出手段
52 目標圧力変更手段

Claims (5)

  1. 燃料電池本体と、
    前記燃料電池本体に水素を供給する水素供給装置と、
    前記燃料電池本体に空気を供給する空気供給装置と、
    前記燃料電池本体から排出される排水素を前記燃料電池本体の入口側へと循環させる循環水素ポンプと、
    前記水素供給装置から前記燃料電池に供給される水素流量を検出する原料水素流量検出手段と、
    前記循環水素ポンプにより前記燃料電池本体の入口側へと循環される水素流量を検出する循環水素流量検出手段と、
    前記燃料電池本体から外部負荷へと供給される負荷電流を検出する負荷電流検出手段と、
    前記負荷電流検出手段からの出力に基づいて前記燃料電池本体で消費した水素量を算出する水素消費量算出手段と、
    前記原料水素流量検出手段からの出力と、前記循環水素量検出手段からの出力と、前記水素消費量算出手段からの出力とに基づいて、前記燃料電池本体の水素極入口における未来の圧力変化を予測する水素極圧力変化予測手段とを備え、
    前記水素極圧力変化予測手段からの出力と所定の目標圧力との偏差を低減させるように、前記燃料電池本体に対して前記外部負荷が要求する要求負荷電流値、前記循環水素ポンプにより前記燃料電池本体の入口側へと循環される水素流量、前記水素供給装置から前記燃料電池本体に供給される水素流量の少なくとも何れかを操作することを特徴とする燃料電池システム。
  2. 前記水素極圧力変化予測手段からの出力と所定の目標圧力との偏差を低減させるように、前記燃料電池本体に対して前記外部負荷が要求する要求負荷電流値を操作する要求負荷電流値操作手段と、
    前記要求負荷電流値操作手段による操作が制限された場合に、この制限された要求負荷電流値に基づいて、前記燃料電池本体で消費する未来の水素量を予測する消費水素量予測手段と、
    前記消費水素量予測手段からの出力と、前記原料水素流量検出手段からの出力と、前記循環水素量検出手段からの出力とに基づいて、前記燃料電池本体の水素極入口における未来の圧力変化を予測する第2の水素極圧力変化予測手段と、
    前記第2の水素極圧力変化予測手段からの出力と所定の目標圧力との差分をキャンセルするように、前記循環水素ポンプを操作してこの循環水素ポンプにより前記燃料電池本体の入口側へと循環される水素流量を調整する循環水素流量調整手段とを更に備えること
    を特徴とする請求項1に記載の燃料電池システム。
  3. 前記循環水素流量調整手段による循環水素ポンプの操作が制限された場合に、この制限された操作量に基づいて、前記循環水素ポンプにより前記燃料電池本体の入口側へと循環される未来の水素流量を予測する循環水素流量予測手段と、
    前記消費水素量予測手段からの出力と、前記原料水素流量検出手段からの出力と、前記循環水素量予測手段からの出力とに基づいて、前記燃料電池本体の水素極入口における未来の圧力変化を予測する第3の水素極圧力変化予測手段と、
    前記第3の水素極圧力変化予測手段からの出力と所定の目標圧力との差分をキャンセルするように、前記水素供給装置を操作してこの水素供給装置から前記燃料電池本体に供給される水素流量を調整する原料水素流量調整手段とを更に備えること
    を特徴とする請求項2に記載の燃料電池システム。
  4. 前記水素極圧力変化予測手段からの出力と所定の目標圧力との偏差を低減させるように、前記燃料電池本体に対して前記外部負荷が要求する要求負荷電流値を操作する要求負荷電流値操作手段と、
    前記要求負荷電流値操作手段による操作が制限された場合に、この制限された要求負荷電流値に基づいて、前記燃料電池本体で消費する未来の水素量を予測する消費水素量予測手段と、
    前記消費水素量予測手段からの出力と、前記原料水素流量検出手段からの出力と、前記循環水素量検出手段からの出力とに基づいて、前記燃料電池本体の水素極入口における未来の圧力変化を予測する第2の水素極圧力変化予測手段と、
    前記第2の水素極圧力変化予測手段からの出力と所定の目標圧力との差分をキャンセルするように、前記水素供給装置を操作してこの水素供給装置から前記燃料電池本体に供給される水素流量を調整する原料水素流量調整手段とを更に備えること
    を特徴とする請求項1に記載の燃料電池システム。
  5. 前記燃料電池本体の空気極入口の圧力を検出する空気極圧力検出手段を更に備え、
    前記水素極圧力変化予測手段からの出力、又は前記第2の水素極圧力変化予測手段からの出力、又は前記第3の水素極圧力変化予測手段からの出力と前記空気極圧力検出手段からの出力との差が所定の範囲を超えた場合には、この差が所定の範囲内になるように、前記燃料電池本体に対して前記外部負荷が要求する要求負荷電流値、又は前記循環水素ポンプにより前記燃料電池本体の入口側へと循環される水素流量、又は前記水素供給装置から前記燃料電池本体に供給される水素流量の操作量を変更すること
    を特徴とする請求項1乃至4の何れかに記載の燃料電池システム。
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