JP5255930B2 - 位相検出器 - Google Patents
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Description
すなわち、商用電源と連系しながら負荷へ電力を供給するため、商用電源の位相と同期させながら、交流出力の力率を1となるように制御することが要求されている。
商用電源が停電となった際、系列連系インバータが商用電源から解列しない(切り離さない)状態で単独運転を継続すると、安全面及び供給信頼度の確保面などに色々な問題を生ずるため、速やかに単独運転を検出する必要があり、交流電圧の位相跳躍検出により、単独運転の検出を行うことができる。
したがって、商用電源の周波数変化に速やかに追従させるため、商用電源の電圧位相変化をリアルタイムに検出、すなわち商用電源の交流電圧波形の位相検出を行う必要があり、この位相検出器には、各種の位相検出の方法が用いられている。
交流電圧の交流波形のゼロクロスポイントを使用し、方形波信号に変換する際、ゼロクロスポイントから次のゼロクロスポイントまでの周期を、交流電圧の交流波形の周期として、この交流波形の周期の変化を検出することにより位相検出を行っている。
また、非特許文献1に示す位相検出方法にあっては、高速な位相の検出が可能であるが、ノイズの影響を排除するため、複数のサンプリング周波数にて並列演算が必要であり、高速に並列演算を行うため、FPGAなどを用いたハードウェアによる並列演算が可能なコントローラが必要となり、高価なものとなる問題がある。
また、本発明の位相検出器によれば、交流電圧の測定信号の差分が使用されていないため、ノイズの影響を受けにくく、従来のように複数のサンプリング周期の結果に対して、サンプリング周波数毎に位相検出を行うための演算を行う必要がないため、従来に比較して簡易な回路で位相検出が行え、低価格にて実現することができる。
以下、本発明の第1の実施形態による位相検出器を図面を参照して説明する。図1は同実施形態による位相検出器の構成例を示すブロック図である。
図1において、本実施形態の位相検出器は、コンデンサC、電圧測定部1、電流測定部2、増幅部3、演算部4、PLL回路5、ローパスフィルタ6、比較器7及び交流電流センサ8を有している。
交流電流センサ8は、コンデンサCに流れる電流を測定し、この測定した交流電流に対応した交流電圧を、測定電圧Vcとして出力する。すなわち、コンデンサCに流れる交流電流の交流波形は、実質的に、電圧測定部1の出力する交流電圧の交流波形に対し、位相が90°ずれた交流電圧の交流波形に変換して用いられる。
ここで、交流電圧の交流波形は、図2(a)に示すように、以下の(1)式にて表され、
Vr=Vsin(ωt) …(1)
であるため、測定される交流電圧値VrはVsin(ωt)である。ここで、Vは交流電圧のピーク値であり、ωは角周波数である。
Ic=c・(dVr/dt)=V・c・ω・cos(ωt) …(2)
で示される。ここで、cはコンデンサCの容量値である。
測定電圧信号Vcの測定ゲインを「1」とする場合、
Vc=1×Ic=V・c・ω・cos(ωt) …(3)
である。
k=1/(ω・c)=1/(2π・f・c)
である。ここで、ω=2π・fとし、fは交流電圧の周波数である。
また、増幅率kとして、交流電圧Vrの実効値を測定電圧Vcの実効値により除算した除算結果の数値を用いても良い。増幅部3は、例えば、この交流電圧Vrと測定信号Vcの実効値とが内部にて演算され、すなわち、交流周期毎に交流電圧Vrの実効値と測定信号Vcの実効値とに応じて、交流周波数毎に増幅率kの計算を行う。
この増幅により、交流電圧Vrに対して、図2(b)に示すように、測定電圧Vcの交流波形のピーク値を同様、すなわち測定電圧Vcのピーク値と交流電圧Vrのピーク値とを一致させる。増幅後の測定電圧Vcは、下記の(4)式で示される。
Vc=Vcos(ωt) …(4)
θrc=tan−1(Vc/Vr) …(5)
この逆正接演算は、4象限逆正接によって演算される。
ローパスフィルタ6は、PLL回路5に現在入力されている位相角θrcと、前回のサンプリング周期から推定された位相角予測値θfoとの差分Δθが入力され、信号データのノイズを除去して出力を絶対値部9へ出力する。
絶対値部9は、ローパスフィルタ6から入力されたデータを絶対値に変換し、変換結果を比較器7へ出力する。
減算部51は、演算部4から入力される位相角θrcと、加算部57から入力される位相角予測値θfoとの差分Δθを求め、ローパスフィルタ6及びPI制御部52に対して出力する。
PI制御部52は、内部に設定されたPI(Proportional−Integral)制御の式により、入力される差分Δθに対応する位相調整量Δθcを出力する。
加算部53は、交流負荷に与える交流電圧の交流基準周波数facをサンプリング周波数fsで除算し、除算結果の数値に2πを乗算して求めた位相変化量(2π・fac/fs)を、上記位相調整量Δθcに加算し、加算結果を位相角変化量Δwtとして出力する。
演算部55は、加算部54の出力する位相角θをサンプリング周期毎に記憶し、次のサンプリング周期において、加算部54及び加算部57へ出力する。ここで、演算部55は、前回のサンプリング周期(1回前の直前のサンプリング周期)における位相角θを出力した後、新たに生成された位相角θを記憶する際、前回のサンプリング周期にて記憶した位相角θのデータに上書きする。
加算部57は、前回の位相角θと、演算部56から入力される前回の位相角変化量Δwtとを加算して、加算結果を上記位相角予測値θfoとして出力する。
また、本実施形態における位相検出器は、従来のように、複数のサンプリング周波数にて並列に位相跳躍の検出を行う必要がなく、回路構成が簡易となり、FPGAなどを用いたハードウェア並列処理を行うコントローラを用いる必要がなく、価格の上昇を抑制することができる。
次に、本発明の第2の実施形態による位相検出器を図面を参照して説明する。図3は同実施形態による位相検出器の構成例を示すブロック図である。
図1において、本実施形態の位相検出器は、コンデンサC、抵抗R、電圧測定部1、電流測定部2、増幅部3、演算部4、PLL回路5、ローパスフィルタ6及び比較器7を有している。第2の実施形態による位相検出器は、第1の実施形態と異なる点として、コンデンサCと抵抗Rとが直列に商用の交流電源Bの両端に接続され、交流電流センサ8が設けられていない点である。第2の実施形態における位相検出器の構成において、第1の実施形態と同様な構成については同一の符号を付し、その説明を省略する。以下、第1の実施形態と異なる点のみを説明する。
電流測定部2は、コンデンサCに流れる電流により、抵抗Rの両端に生成される電位差をサンプリング周期毎に測定し、この測定した交流電流に対応した交流電圧を、測定電圧Vcとして出力する。
Vc=r・V・c・ω・cos(wt) …(6)
で表すことができる。ここで、Vは交流電圧のピーク値であり、ωは交流角周波数、cはコンデンサCの容量値、rは抵抗Rの抵抗値である。
この測定電圧Vcを出力する以降の構成及び処理は、第1の実施形態における位相検出器と同様のため、説明を省略する。
また、増幅率kとして、第1の実施形態と同様に、交流電圧Vrの実効値を測定電圧Vcの実効値により除算した除算結果の数値を用いても良い。
この第2の実施形態においても、第1の実施形態と同様な効果を得ることができる。
2…電流測定部
3…増幅部
4,55,56…演算部
5…PLL回路
6…ローパスフィルタ
7…比較器
8…交流電流センサ
9…絶対値部
51…減算部
52…PI制御部
53,54,57,57’,58…加算部
55、56…演算部
59…変化量算出部
C…コンデンサ
R…抵抗
Claims (7)
- 交流電源間の交流電圧の交流電圧値を測定する交流電圧測定部と、
交流電源間に設けられた交流電圧に対応する交流電流を測定し、測定電圧として出力する交流電流測定部と、
前記測定電圧を予め設定した増幅率により増幅する増幅部と、
前記交流電圧値と、増幅された前記測定電圧との逆正接演算を行い、前記交流電圧の交流波形の位相角を算出する演算部と
を有し、
前記増幅率が、
前記交流電圧の実効値を前記測定電圧の実効値により除算した除算結果の数値である
ことを特徴とする位相検出器。 - 前記交流電流測定部が、コンデンサと抵抗とが電源間に直列に接続された検出部を有し、
前記コンデンサに流れる前記交流電流を前記抵抗により、前記測定電圧に変換することを特徴とする請求項1に記載の位相検出器。 - 前記交流電流測定部が、
電源間に設けられたコンデンサと、
該コンデンサに流れる交流電流を測定する交流電流センサと
を有し、
前記交流電流センサの出力する電圧を前記測定電圧として出力することを特徴とする請求項1に記載の位相検出器。 - 交流電源間の交流電圧の交流電圧値を測定する交流電圧測定部と、
交流電源間に設けられた交流電圧に対応する交流電流を測定し、測定電圧として出力する交流電流測定部と、
前記測定電圧を予め設定した増幅率により増幅する増幅部と、
前記交流電圧値と、増幅された前記測定電圧との逆正接演算を行い、前記交流電圧の交流波形の位相角を算出する演算部と
を有し、
前記交流電流測定部が、コンデンサと抵抗とが電源間に直列に接続された検出部を有し、
前記コンデンサに流れる前記交流電流を前記抵抗により、前記測定電圧に変換し、
前記増幅率が1/(2π・f・r・c)である
ことを特徴とする位相検出器。
ここで、fは前記交流電圧の周波数であり、rは前記抵抗の抵抗値であり、cは前記コンデンサの容量値を示す。 - 交流電源間の交流電圧の交流電圧値を測定する交流電圧測定部と、
交流電源間に設けられた交流電圧に対応する交流電流を測定し、測定電圧として出力する交流電流測定部と、
前記測定電圧を予め設定した増幅率により増幅する増幅部と、
前記交流電圧値と、増幅された前記測定電圧との逆正接演算を行い、前記交流電圧の交流波形の位相角を算出する演算部と
を有し、
前記交流電流測定部が、電源間に設けられたコンデンサと、該コンデンサに流れる交流電流を測定する交流電流センサとを有し、
前記交流電流センサの出力する電圧を前記測定電圧として出力し、
前記増幅率が1/(2π・f・c)である
ことを特徴とする位相検出器。
ここで、fは前記交流電圧の周波数であり、cは前記コンデンサの容量値を示す。 - 前記位相角と、自身の出力する位相角予測値とによりPI演算を行い、当該位相角に対応した前記位相角予測値と、PLL位相角とを出力するPLL制御部をさらに有することを特徴とする請求項1から請求項5のいずれか一項に記載の位相検出器。
- 前記位相角と、前記位相角予測値との位相角差を検出し、該位相角差が予め設定した位相跳躍基準値を超えた場合、位相跳躍を検出したことを示す通知を出力する比較部をさらに有することを特徴とする請求項6記載の位相検出器。
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