JP5255440B2 - 育毛補助具 - Google Patents

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Description

本願発明は、禿げや薄毛に悩む人々の育毛を補助する育毛補助具に関し、そのような人々の頭部に装着して使用される育毛補助具に関するものである。
禿げや薄毛の原因は、完全に解明されてはいないのが現状である。一方、禿げや薄毛に悩む人々の頭頂部周辺の頭皮を観察するとその多くが突っ張った緊張状態にあることは疑うまでもない事実である。このことから、頭皮の緊張及びこれに伴う頭皮の血行不良が頭髪の成育を阻害する要因の一つとして考えられている。
このような状況下、頭皮の緊張を緩和するなどして、頭皮の血行を改善若しくは促進するための器具が提案されている。
例えば、下記特許文献1には、頭皮の緊張を弛緩させるための頭部締付けバンドが記載されている。この頭部締付けバンドは長手方向に円弧状に湾曲して形成されており頭部外周に鉢巻状に装着される。そして、このバンドを締付けることにより頭皮を上方(頭頂部側)に絞り上げるようにする。このようにしてバンドよりも頭頂部側にある頭皮を頭頂部に寄せ上げて頭皮の緊張を緩和するものである。
同様に、頭皮の緊張を弛緩させる器具として、下記特許文献2及び3には、それぞれ人体頭部に巻き付けた帯状の部材を紐状の弾性部材により締付ける脱毛防止具及び内部にゴムチューブが挿入された袋状のバンドを有する育毛促進用鉢巻が記載されている。
しかし、これらの特許文献1、2及び3に記載された器具の場合、頭皮を頭頂部に寄せ上げた状態で長時間、人体頭部に当該器具を装着していると、頭頂部が鬱血状態に陥り、却って頭頂部頭皮への血行が損なわれ、血液を介した毛根部への栄養補給を阻害する可能性も考えられた。
この頭頂部に鬱血状態が生ずる原因を、図19を参照しながら、説明する。図19は、特許文献1、2若しくは3に示された従来の器具を人体頭部に装着した部位における頭皮内の動脈血管を模式的に示した断面図である。同図では上方が頭頂部側で下方が下肢側となるように示している。特許文献1、2、3に記された従来の器具では、頭頂部に皺を寄せるためにバンド等の締付部材100を側頭部に装着して頭皮を締め上げる。この際、締付部材100は人体頭部を均一な接触圧分布101を以って圧迫する。この結果、器具が装着され圧迫を受ける部分の頭皮内の血管102は、図示したように、締付部材100と頭蓋骨103の間に挟まれて一様に押しつぶされてしまう。このため、下肢側から供給される動脈血の流れ(図中、白矢印で示す)105が血管の押し潰された下端部で堰き止められ、頭頂部頭皮に到達できないのである。また、静脈血管も動脈血管と同様に圧迫され、その血流が頭頂部側で堰き止められ、下肢側へ流出することができないのである。従って、長時間に亘り器具を装着し続けると、頭頂部では動脈血が供給されないうえ、新陳代謝により血液中の酸素濃度が低下し二酸化炭素濃度が上昇する結果、鬱血状態に陥ってしまうのである。このため、器具を装着している間は周期的(例えば30分毎)に器具を頭部から取り外すかバンド等の部材による締め付けを緩めるなどして頭頂部頭皮への血行を確保する必要があり、使用者に使用上の煩わしさを感じさせるものとなっていた。
このように、上述した器具は頭頂部の頭皮への血液の流入出を遮断してしまうので長時間の装着には適していなかった。
そして、このような問題を考慮した器具が下記特許文献4及び5に記載されている。特許文献4及び5に記載の器具は、人体頭部に装着されるバンド等の部材に複数の突起を互いに離間して設けることにより、側頭部に圧迫されない部分を作り出し、器具装着時における頭頂部頭皮への動脈血の供給及び頭頂部頭皮からの静脈血の流出を可能としている。
しかし、特許文献4及び5に記載の器具の場合、人体頭部の突起部が接触する部分に圧迫力が集中するため、長時間に亘り器具を頭部に装着していると突起部の接触する部位に圧迫による痛み等の不快感を生じてしまう問題があった。
一方、下記特許文献6及び7には、それぞれ空気圧を利用して頭皮を頭頂部へ寄せ上げる育毛器及び空気圧を利用して側頭部をマッサージする気体圧マッサージ器が示されている。これらの器具は、いずれも空気圧を自動的に上げたり下げたりできる構造となっているので、上述した鬱血の問題は生じないと考えられる。しかし、これらの機器では、空気圧を上下させるためにポンプやその動力源、制御弁等を必要とし、装置が大掛かりになるうえ構造が複雑化し製造コストが嵩むと共に、使用者の行動の自由を著しく束縛してしまうという問題があった。
また、下記特許文献8には、頭頂部から左右の側頭部に延びる静脈の血流をそれぞれ左右側頭部において堰き止めることにより頭頂部への血流を増加させようとする血行促進器が記載されている。しかし、この血行促進器の場合、左右の側頭部を部分的に圧迫するだけで、圧迫部で堰き止められた血液は迂回して圧迫を受けていない部分を通る血管を流れるに過ぎない。
他方、米国FDA(Food and Drug Administration)により公式に育毛若しくは発毛の効果を認められた薬剤としてミノキシジル(Minoxidil)が知られている。
ミノキシジルは当初、高血圧治療薬として開発されたが、治療中の患者に壮年性(男性型)脱毛症の改善が認められ、育毛若しくは発毛に効果のある医療用医薬品として承認されたものである。その主な作用は血管拡張作用であり、内服するか若しくは頭皮に外用することにより頭皮の毛細血管が拡張され、頭皮の血行が改善若しくは促進されるものと考えられている。
このミノキシジルの効果からも理解されるように、頭皮の血行を改善若しくは促進することにより、禿げや薄毛の問題を解決できる可能性が推測される。
しかし、本願発明者の知る限り、上述した従来の頭皮血行の改善を目的とした器具では育毛、発毛若しくは脱毛抑制の顕著な効果は報告されていない。これは、十分に頭皮の血行を改善若しくは促進することができていない為と推測される。
一方、ミノキシジルの育毛効果は、以下の(1)〜(3)に見られるように限定的なものと考えられている。
(1)効果が認められるのは頭頂後部に限られる。
(2)薄毛が始まってから約10年を経過している場合は、効果を期待
できない。
(3)禿げ若しくは薄毛領域の直径が約10cmを超えている場合は、
効果を期待できない。
本願発明者もミノキシジルを5%含有する外用育毛剤を個人輸入し、薄毛の気になっている頭皮に外用してみたが、この育毛剤だけの使用では増毛も脱毛数の減少も確認することはできなかった。本願発明者の場合、当該育毛剤の使用時には薄毛が気になり始めてから10年以上が経過しており、薄毛領域も直径10cmを超えていた。
日本国実用新案登録出願63−109949号 日本国実用新案登録出願54−181562号 日本国実用新案登録出願62−67062号 日本国特許出願公開 昭60−246755号 日本国特許出願公開 平9−220267号 日本国特許出願公開 平1−160556号 日本国特許出願公開 2004−305571号 日本国特許出願公開2001−46465号
上述した従来技術に鑑み、本願発明による育毛補助具においては、上述した特許文献4〜7が開示している手法と異なる手法(これまでに提案されていない原理)により頭頂部頭皮の鬱血を抑制しつつ頭頂部頭皮の緊張を緩和可能な育毛補助具を提供することを目的としている。
上述の目的を達成するため、本願発明による育毛補助具においては、人体頭部の外周に巻き付けられ人体頭部の外周を圧迫する圧迫部材の形状を側方に湾曲したベルト状のものとし、圧迫部材の湾曲の平均曲率半径を適切に調整することにより、圧迫部材を人体頭部の外周に巻き付け人体頭部の外周を締め付けた場合に人体頭部と圧迫部材との間に生ずる接触圧が圧迫部材の頭頂部側の端縁付近で最大となり人体下肢側の端縁に向かって小さくなるように傾斜するように構成されている。
上記のように構成されているので、本願発明による育毛補助具によれば、人体頭部の外周を圧迫する圧迫部材と人体頭部との接触面における接触圧分布が人体頭部の外周方向に対して直角な方向に沿って人体下肢側が小さくなるように傾斜する。この結果、後述する本願発明の原理に基づき、圧迫部材に囲まれた頭頂部頭皮への血流が確保され、頭頂部頭皮の鬱血を抑制しつつ頭頂部頭皮の緊張を緩和することができる。
さらに、身体を横たえるという条件を付加すれば、本願発明による育毛補助具の場合、育毛補助具を6時間以上に亘り頭部に装着していても頭頂部頭皮の鬱血による痛みを感じることがなく、長時間に亘り頭頂部頭皮の緊張を緩和することが可能となる。
そして、個人差はあると推測されるが、禿げや薄毛で問題となっている軟毛の脱毛数が減少し、場合によっては自然増毛も可能と考えられる。なお、本願明細書においては、軟毛とは毛周期中の成長期の初期段階にある先の尖った柔らかい毛を意味する。
図1は本願発明による育毛補助具が装着された人体頭部を模式的に示した部分断面図である。 図2は本願発明による育毛補助具を人体頭部に装着した場合における頭皮内の動脈血管を模式的に示した部分断面図である。 図3は本願発明による育毛補助具を人体頭部に装着した場合における頭皮内の動脈血管を模式的に示した部分断面図である。 図4は本願発明による育毛補助具を人体頭部に装着した場合における頭皮内の静脈血管を模式的に示した部分断面図である。 図5は本願発明による育毛補助具を示した正面図である。 図6は図5のA−A拡大断面図である。 図7は図6とは異なる図5のA−A拡大断面図である。 図8は本願発明による育毛補助具を人体頭部に装着した様子を示す斜視図である。 図9は図5及び図8に示した締具の断面図である。 図10は図9の破線円で囲まれた部分を拡大して示した部分拡大断面図である。 図11は増毛が確認される前の本願発明者の頭頂後部の状態を示す図面代用写真である。 図12は育毛剤の併用により増毛が確認された後の本願発明者の頭頂後部の状態を示す図面代用写真である。 図13は増毛が確認される前の本願発明者の頭頂前部の状態を示す図面代用写真である。 図14は育毛剤の併用により増毛が確認された後の本願発明者の頭頂前部の状態を示す図面代用写真である。 図15は実験により発色させた圧力測定フイルムのモノクロ画像を示す図面代用写真である。 図16は圧迫部材と人体頭部の間に生じる接触圧分布を示したグラフである。 図17は圧迫部材の素材に牛のヌメ革を使用した場合の曲率半径と締付力の上限値との関係を表したグラフである。 図18は圧迫部材の素材にアメゴムを使用した場合の曲率半径と締付力の上限値との関係を表したグラフである。 図19は特許文献1、2、3に示された従来の育毛を目的とした器具を人体頭部に装着した場合における頭皮内の動脈血管を模式的に示した部分断面図である。
符号の説明
1 頭部
2 圧迫部材
3 頭皮
4 動脈血管
5 静脈血管
6 頭蓋骨
7 接触圧分布
8 閉塞部
10 動脈血
11 静脈血
15 締具
16 クッション部材
18 保持金具
20 締具本体
21 押圧カム部材
22 軸
23 ストッパー
(本願発明の原理)
発明を実施するための最良の形態について説明する前に、本願発明者の考える本願発明の原理について、図1〜図4を参照しながら説明する。図1は本願発明による育毛補助具が装着された人体頭部を模式的に示した部分断面図、図2及び図3はそれぞれ本願発明による育毛補助具を人体頭部に装着した場合における頭皮内の動脈血管を模式的に示した部分断面図、図4はそのときの静脈血管を模式的に示した部分断面図である。これらの図では上方が人体の頭頂部側で下方が下肢側となるように示している。
本願発明による育毛補助具を人体側頭部に装着した場合、図1に示したように、人体の頭部1の外周を圧迫部材2が連続的に適度に圧迫する。この圧迫により頭皮3及び動脈血管4は頭蓋骨6と圧迫部材2との間で押し潰される。図示したように、圧迫部材2は人体頭部を均等な圧力で一様に圧迫するのではなく、人体頭部に対して下肢側が浮き上がるように傾斜した状態で人体頭部を圧迫する。従って、圧迫部材2と人体頭部1との接触面における接触圧分布7は図示したように人体頭部の外周方向に対して直角な方向に沿って人体下肢側で小さくなるように傾斜する。即ち、人体頭部1と圧迫部材2との間に生ずる接触圧は、人体頭部1の外周に巻き付けられた圧迫部材2の頭頂部側の端縁付近で最大となり、圧迫部材2の人体下肢側の端縁で最小となっている。
このように本願発明では接触圧分布7が傾斜しているため、圧迫部材2により圧迫された頭皮内の動脈血管4は、図2に示したように、接触圧分布7に応じて傾斜した状態で押し潰され、接触圧の最も大きい部分8で閉塞された状態となる。このため、圧迫部材2により圧迫されている部位の動脈血管内にも動脈血10が流れ込み得る状態となっている。図2では動脈血の流れ若しくはその圧力を白矢印で示している。
圧迫部材2に圧迫された部位の動脈血管内に動脈血10が流れ込み、心臓の収縮により動脈血10の圧力が上昇すると、その血圧(収縮期血圧)が傾斜して押し潰されている動脈血管壁に作用し圧迫部材2の圧力に打ち勝ち、圧迫部材2を僅かに浮き上がらせる。このとき、圧迫部材2はその弾性によって僅かに長手方向(人体頭部の外周方向)に伸張するか接触している皮膚の弾力性のお蔭で表皮に対してずれることなく頭頂部側に僅かに移動する。これに伴い、図3に示したように、血管の閉塞部8は僅かに開き、動脈血10が頭頂部側の血管に流入する。また、収縮期血圧により圧迫部材2が僅かに浮き上がると、図4に示したように、静脈血管5でも閉塞部8が僅かに開くので静脈血11が頭頂部側から下肢側に流出する。
このように、圧迫部材2によって囲まれた頭頂部側から下肢側へ向かう静脈血が圧迫部材によって適度に堰き止められる一方、圧迫部材2よりも下肢側から頭頂部側へ向かう動脈血の供給が維持されるので、圧迫部材2によって囲まれた頭頂部側頭皮の鬱血が抑制される。
上述の説明から理解されるように、人体頭部外周を傾斜した接触圧分布によって連続的に圧迫することにより、頭頂部頭皮の静脈血を堰き止めつつも収縮期血圧を活用し頭頂部頭皮の血流を確保し頭頂部頭皮の鬱血を抑制するというのが本願発明の原理である。
(発明者の推測)
また、上述のように静脈血が適度にせき止められるため、圧迫部材2によって囲まれた頭頂部側頭皮の毛細血管を含むすべての血管(動脈も静脈も含む。)内には常に高い血圧が作用することになる。このため、圧迫部材2よりも頭頂部側の血管は、育毛補助具を装着している間、強制的に拡張させられた状態になると推測され、頭皮の血行が改善し頭髪の成育に必要な栄養分が毛根に十分に供給されるようになると推測される。
しかも、圧迫部材2によって囲まれた頭頂部側頭皮の鬱血が抑制され、長時間に亘り育毛補助具を頭部に装着していることが可能であるので、血管には拡張癖がつくと推測され、育毛補助具を人体頭部から外した後も血液の循環が円滑となり、毛根に十分な栄養分が血液を通じて供給されるようになると推測される。
その結果、個人差はあると考えられるが、頭頂部の頭皮の緊張緩和の作用と相俟って、禿げや薄毛で問題となっている軟毛の脱毛数が減少し、場合によっては自然増毛も可能になると考えられる。なお、本願発明者は1988年頃(本願発明者が29歳の頃)に本願発明の基となる成功体験を得ている。そのときは、育毛剤を併用しなくても、増毛を確認することができた。
上述の接触圧分布の傾斜は、直線的に傾斜している必要はない。傾向として下肢側が小さくなるように傾斜していれば十分で、例えば、図16のグラフに示したように、途中で接触圧が高くなったり低くなったりしていてもよい。そのような場合でも上述した本願発明の原理に基づき頭頂部頭皮の鬱血を抑制することができる。
また、上述の接触圧分布は、接触部の人体下肢側端で人体頭部との接触圧がゼロとなっていることが好ましい。圧迫を受けて潰れている動脈に動脈血が流れ込み易いからである。
なお、本願育毛補助具の使用に際しては、身体を横たわらせた状態で使用することが好ましい。その方が地球の重力による圧力損失を受けずに心臓で生み出される収縮期血圧を有効に活用でき、より強い締付力で頭皮の緊張緩和を図ることができるからである。
(発明を実施するための最良の形態)
次に、本願発明を実施するための最良の形態について、図5〜図8を参照しつつ説明する。
図5は本願発明による育毛補助具の最良の形態を示した正面図、図6及び図7はそれぞれ図5のA−A拡大断面図、図8は本願発明による育毛補助具を人体頭部に装着した様子を示す斜視図である。図5に示したように、育毛補助具は少なくとも円弧状に湾曲したベルト状の圧迫部材2と締具15とから構成され、圧迫部材2の一端に締具15が取り付けられている。この締具15は、服飾用のベルトに用いられ、胴回りのサイズに合わせてベルトの締め付け加減を自由に無段階に変えられるタイプのバックルを流用しており、人体頭部への圧迫部材2の締め付け加減を使用者の頭の大きさに合わせて自由に無段階に調節できるようになっている。締具15の基本的構造は、例えば日本国実開昭59−196108号公報の第1図及び第2図にも記載されているように周知となっているので、その詳細な説明はここでは省略する。
締具15は金属等の硬質素材で構成されるので、人体頭部と直接接触すると接触部が局部的に強く圧迫され、使用者に痛みを感じさせてしまう虞がある。そこで、図8、図9及び図10に示したように、そのような部分には局部的な強い圧迫を抑制するためにシート状のクッション部材16を両面粘着テープや接着剤等により取りつけることが望ましい。クッション部材16は、発泡ウレタンや発泡ゴム、スポンジ等のクッション性の高い素材から形成されていることが望ましい。
圧迫部材2は、人体頭部に巻きつけることができる程度の柔軟性を有する材料から形成することができる。具体的には、シート状の天然ゴムや合成ゴム、ポリウレタン、塩化ビニール、動物皮革等の柔軟性を有する材料を用意し、円弧状に湾曲したベルト状に機械的に切り取って圧迫部材2を形成することができる。また、天然ゴムや合成ゴム、ポリウレタン、塩化ビニール等、成型加工が可能な素材を使用する場合は射出成型やプレス成型等の成型加工によって円弧状に湾曲したベルト状の圧迫部材2を得ることも可能である。
なお、図6若しくは図7に示したように、円弧状に湾曲した圧迫部材2の内周側面と圧迫部材2の裏面(頭皮に接する側の面)とが接する角部は面取り若しくは丸み付けされていることが望ましい。これは、育毛補助具を人体頭部に装着した際、角部が角張ったままだと角部が頭皮に食い込んでしまい、食い込んだ部分に痛みや不快感を生じさせるので、これを防止するためである。
育毛補助具の人体頭部への装着は、締具15に圧迫部材2の他端(自由端)を通して圧迫部材2を環状にし、図8に示したように、人体頭部1に装着する。上述したように、圧迫部材2は側方に円弧状に湾曲しているので、これを環状にすると円錐台の側面のように末広がりの形状となる。従って、図8に示したように人体の側頭部外周に鉢巻状に装着して適度に締め付けると、圧迫部材2が人体頭部を圧迫し、圧迫部材2と人体頭部1との接触面における接触圧分布が上述したように傾斜する(上述の本願発明の原理を参照)。この接触圧分布は、圧迫部材2の長手方向に対して直角な方向に沿って傾斜し、本願発明の原理でも説明したように、頭頂部側で接触圧が高く下肢側で接触圧が低くなる。
ここで、育毛補助具を人体頭部に装着する際の「適度な締付力」について説明する。育毛補助具の装着の際には、適度な締付力で締付けることが必要である。締付力が強すぎる場合は、圧迫部材2により圧迫されている部分で静脈血流及び動脈血流が完全に塞き止められる結果、圧迫部材2により囲まれた頭頂部側の頭皮が鬱血状態に陥ってしまい、長時間に亘り育毛補助具を人体頭部に装着し続けることができなくなってしまうからである。また、締付力が弱すぎる場合は、頭頂部頭皮の緊張を十分に緩和させることができないからである。
適度な締付力は、本願育毛補助具の使用に慣れれば自然と使用者が体得できるものであるが、その使用に慣れるまでに時間が掛かるのが難点である。そこで、以下に述べるように、締具15に締付力の調整機能を付加することが望ましい。
図9は、本実施形態で使用している締具15の断面図である。締具15は、ベルト状の圧迫部材2の一端を挟んで保持する保持金具18と、ベルト状の圧迫部材2の自由端が挿通される締具本体20と、ベルト状の圧迫部材2を締具本体20に対して押圧して締具本体20との間で挟み止める押圧カム部材21とから基本的に構成される。保持金具18と押圧カム部材21は締具本体20の裏側に設けられた軸22のまわりに回動自在に取り付けられている。押圧カム部材21の圧迫部材2と接触する面は、軸22からの距離が図面右側で大きくなるように形成されている。従って、締具本体20に挿通された圧迫部材2が緩む方向(図9の矢印D方向)に移動しようとするとその動きに釣られて押圧カム部材21も回転し、あたかも自動車のドラムブレーキのリーディングシューのように押圧カム部材21が圧迫部材2に食い込むようにして圧迫部材2を強く締具本体20の裏側に押し付け圧迫部材2の移動を制止する。
このような締具15に上述した締付力の調整機能を以下のようにして付加することができる。すなわち、図面上で押圧カム部材21の右回り(時計回り)の回転を規制するストッパー23を押圧カム部材21に近接して設けるのである。図10は図9の破線円で囲まれた部分を拡大して示している。この図10に示されるように、ストッパー23を締具本体20の裏側に固定的に設けることにより、押圧カム部材21の図面右回りの回転が規制され、圧迫部材2を締具本体20の裏側に押し付ける圧力も規制されることとなる。押圧カム部材21の図面右回りの回転が規制される結果、圧迫部材2を挟む押圧カム部材21と締具本体20の相互間には必ず隙間が生じることとなる。押圧カム部材21がストッパー23に当たり、その図面右回りの回転が阻止されている状態における押圧カム部材21と締具本体20との隙間を最小隙間Tと呼ぶこととする。最小隙間Tの大きさはストッパー23の設置位置に依存し、ストッパー23の設置位置を変更することにより最小隙間Tの大きさを変えることができる。
最小隙間Tが大きくなれば押圧カム部材21が圧迫部材2を締具本体20の裏側に押し付ける圧力が小さくなるので圧迫部材2は緩みやすくなり、逆に最小隙間Tが小さくなれば圧迫部材2は緩みにくくなる。
従って、適度な締付力が得られる程度の最小隙間Tとなる位置にストッパー23を設けておけば、育毛補助具の装着の際、使用者は圧迫部材2の自由端を締具15に通して育毛補助具を頭部外周に装着し、圧迫部材2の自由端を強く引っ張り、一旦「適度な締付力」よりも強い締付力で締付けた後、圧迫部材2の自由端を離せば自動的に育毛補助具の締付力は適度な締付力になるまで緩み、適度な締付力で保持される。
図9及び図10に示した押圧カム部材21の圧迫部材2と接する面には、ぎざぎざが形成されているが、滑らかな曲面とすることもできる。むしろ、上述した締付力の調整機能を締具15に持たせる場合は、滑らかな曲面となっていた方が押圧カム部材21と圧迫部材2の接触面ですべりが生じやすく好都合と考えられる。
次に、圧迫部材2の末広がりの度合いについて説明する。圧迫部材2は、人体頭部への装着の際、環状にすると末広がりの形状を呈すると既に説明したが、人体の側頭部も下肢側で外周が大きくなる末広がりの形状となっているので、図1〜図6に示したように接触圧分布が傾斜するには、圧迫部材2の末広がりの度合いは人体の側頭部の末広がりの度合いよりも大きいことが必要である。すなわち、図8に示したように、側頭部外周に接する円錐の頂角Bと圧迫部材2の内側面を延長して形成される円錐の頂角Cとでは、頂角Cの方が頂角Bよりも大きい(C>B)ことが必要なのである。ただし、頂角Cは180度以下である必要がある。180度を超えると接触圧分布の傾斜が上述した接触圧分布の傾斜とは逆の傾斜となってしまうからである。
上述のように、頂角Cが頂角Bよりも大きければ、圧迫部材2と人体頭部との接触面における接触圧分布を人体頭部の外周方向に対して直角な方向に沿って人体下肢側が小さくなるように傾斜させることが理論的には可能である。
しかしながら、実際問題として、頂角Cは大き過ぎると、圧迫部材2と人体頭部の接触面が小さくなり過ぎるので、接触圧分布の傾斜が急になり過ぎる結果、上述した「適度な締付力」で育毛補助具を人体頭部に締付けることが難しくなる。
従って、実際には頂角Cの好適範囲が存在することになる。そして、頂角Cが好適範囲内となるように考慮して、圧迫部材2は円弧状に湾曲した形状に形成されるのである。
ところで、頂角Cは円弧状に湾曲した圧迫部材2の内周側の曲率半径Rの大きさに依存する。すなわち、曲率半径Rが小さければ頂角Cは大きくなり、曲率半径Rが大きければ頂角Cは小さくなる。そこで、本願発明者は自らの頭部に様々な曲率半径の圧迫部材を試用し、自らの頭部に適する曲率半径Rの好適範囲を以下のようにして特定した。
この曲率半径Rの好適範囲の特定にあたり、本願発明者が着目したのは圧迫部材2の曲率半径Rの大きさによって異なる育毛補助具の使用感である。すなわち、曲率半径Rが好適範囲にある場合には、上述したように圧迫部材2によって囲まれた頭頂部側の頭皮への動脈血の供給が維持されつつも静脈血流が適度に堰き止められる結果、圧迫部材2によって囲まれた頭頂部側の頭皮部分で脈打ちを感じる。
脈打ちは曲率半径Rが好適範囲にない場合にも感じられるが、その場合は、育毛補助具を装着後約1時間以内に鬱血状態に陥り我慢できない程の鬱血による痛みを感じることになるので、明確に区別することが可能である。
従って、曲率半径Rの大きさが異なる圧迫部材2を有する育毛補助具を多数製作し、それらを実際に頭部に装着し、頭頂部頭皮が鬱血状態に陥ることなく上述した脈打ちを頭頂部頭皮に感じることができれば、その圧迫部材2の曲率半径Rは好適範囲内にあると考えられる。
なお、曲率半径Rの好適範囲は、圧迫部材2に用いられる素材の伸縮性にも依存する。ここで紹介する曲率半径Rの好適範囲は、圧迫部材2の幅寸法Wを24mm、厚さ寸法を2mmとし、素材はアメゴム及び皮革について特定したものである。
アメゴムは、株式会社東京機革から購入したもので(品番 TAAL5007)、その硬度はHs51 JIS Aのものを使用した。皮革は牛のヌメ革を使用した。以下、本明細書において、「アメゴム」及び「皮革」は、それぞれここで特定されたそれぞれの素材を意味する。
特定された曲率半径Rの好適範囲は、以下の通りである。アメゴムのように伸縮性に富む素材を使用すると、伸縮性に乏しい皮革の場合と比べ、曲率半径Rの好適範囲は小さくなる傾向があった。
素材がアメゴムの場合 90mm≦R≦300mm
素材が皮革の場合 100mm≦R≦550mm
ところで、曲率半径Rの好適範囲は、使用者の頭囲(眉間を通るようにメジャーを水平にまわして測った頭の周長)にも依存すると考えられる。本願発明者の頭囲のサイズは565mmであり、育毛補助具装着位置における頭の外周長は550mmであった。装着位置は本願発明者の場合、圧迫部材2の下端縁が耳の根元の上端から約25mmほど頭頂部側にずれた位置とした。そして、成人の頭囲を小さい人で500mm、大きい人で610mmと仮定し、更に人体頭部の水平断面形状を円形とみなせば、比例計算により曲率半径Rの好適範囲はそれぞれ以下のようになると推測される。
(頭囲が500mmの場合)
素材がアメゴムの場合 80mm≦R≦265mm
素材が皮革の場合 88mm≦R≦487mm
(頭囲が610mmの場合)
素材がアメゴムの場合 97mm≦R≦324mm
素材が皮革の場合 108mm≦R≦594mm
これらに共通する曲率半径Rの好適範囲は以下の通りとなる。
素材がアメゴムの場合 97mm≦R≦265mm
素材が皮革の場合 108mm≦R≦487mm
また、これらを全て包含する曲率半径Rの範囲は以下の通りとなる。
素材がアメゴムの場合 80mm≦R≦324mm
素材が皮革の場合 88mm≦R≦594mm
なお、一本の圧迫部材の曲率半径が一定でなく変動しても、その平均曲率半径が上述の好適範囲内にあれば、問題ないと推測される。曲率半径を変動させることは、シート状の材料から効率的に圧迫部材を切り出す場合に有意に働く可能性があると考えられる。
圧迫部材2の長さLについては、頭囲サイズの大きい人を基準として圧迫部材2を製作しておけば、頭囲サイズの小さい人はその頭囲サイズに合わせて圧迫部材2を切断し、その人の頭囲サイズに合った圧迫部材2の長さに調整することができる。従って、例えば、長さLを700mmとして圧迫部材2を作製しておけば、万人向けの育毛補助具とすることができる。
これまで説明した圧迫部材2は、側方に円弧状に湾曲したものであるが、複数の直線状の部分が所定の角度で連結された屈曲部を有するものであってもよい。円弧状の湾曲は屈曲部の数が無限大になったものとみなすことができるからである。
締具については、上述したバックルの流用に限らず、特許文献1に見られるように、面ファスナーを用いることも可能であるし、日本国特開2002−45212号公報に記載された雄型バックル半体と雌型バックル半体を互いに結合するタイプのバックルを使用することも可能である。
本願発明者は、以前から薄毛の進行に悩んでいたこともあり、本願育毛補助具を自ら製作し、自身の頭部を実験台としてその効果を実証した。まず、塩化ビニールを材料として使用した圧迫部材2を製作し、これを試した。製作した圧迫部材2の内周側の曲率半径Rは264mm、厚さは2mm、幅寸法Wは24mm、長さLは650mmであった。
本願発明者自らこの育毛補助具を頭部に装着したまま就寝してみたところ、一晩の使用で軟毛の脱毛数が後述のように減少した。脱毛の数は、毎日の入浴時に洗髪を行い、頭をタオルで拭った際にタオルに付着する軟毛の数で比較した。ここで、軟毛の脱毛数で比較することにしたのは、薄毛や禿げという現象は、いわゆる発毛サイクルの成長期初期の段階で産毛のような短い毛が十分に伸びきらないうちに頭皮から抜け落ちてしまう発毛サイクル障害によって惹き起こされていると考えられるからである。
効果については、個人差があると考えられるが、本願発明者の場合、実験前の軟毛の脱毛数は平均して約45本であったものが実験開始後は平均して約15本となった。増毛は認められなかったものの、少なくとも本願発明による育毛補助具には脱毛の抑制効果があることが確認された。
次に、本願発明者は、圧迫部材2の材料を皮革として実施例1と同様の実験を行った。この場合も、同様の効果が得られ、軟毛の脱毛数は平均して約15本であった。
更に、本願発明者は、圧迫部材2の材料をアメゴムとして実施例1と同様の実験を行った。この場合も、同様の効果が得られ、軟毛の脱毛数は平均して約15本であった。
そして、更に本願発明者は、ミノキシジルを5%含有する外用育毛剤の併用を試みた。育毛剤は、その説明書に従い1日2回頭皮に外用した。背景技術の欄でも説明したように、育毛剤のみの使用の際には軟毛の脱毛数の減少すら確認できなかったにも拘らず、本願育毛補助具と育毛剤を併用した結果、軟毛の脱毛数は更に減少し平均して約10本となった。
軟毛の脱毛数が平均10本程度まで減少すると、それまでは確認できなかった増毛を確認することができた。その増毛の様子を図11〜図14に示す。
図11は増毛が確認される前の本願発明者の頭頂後部の状態を撮影した図面代用写真であり、図12は育毛剤を併用した後の図面代用写真である。図13は増毛が確認される前の本願発明者の頭頂前部の状態を撮影した図面代用写真であり、図14は育毛剤を併用した後の図面代用写真である。写真中の日付は、撮影日を示している。育毛剤の併用を開始したのは2005年12月15日だったので、図12及び図14は育毛剤の併用開始後約9ヶ月半が経過した時の状態を示している。
本願発明者は、これらの写真をインターネット上のブログで公開中であり、今後も定期的に更新して今後の増毛の様子を公開していく予定である。そのブログのURLは以下の通りである。
http://regrowth-experiment.at.webry.info/
圧迫部材2と人体頭部との接触面における接触圧分布を以下の実験を行なって調べた。
接触圧分布の測定には、富士フイルム株式会社製の圧力測定フイルム(極超低圧用 LLLW ツーシートタイプ)を使用した。この圧力測定フイルムは、圧力を受けた部分が発色し、受けた圧力の大きさに応じて発色濃度が変化するようになっている。
この実験に使用した育毛補助具の圧迫部材2は、厚さ2mmのアメゴム板を図7に示した断面形状で次の寸法に切り取ったものであった。
内周側の曲率半径R 216mm
幅寸法W 24mm
長さL 650mm
上述の圧力測定フイルムを圧迫部材の湾曲した形状に合わせて円弧状の形状(内周側の曲率半径を216mm、幅を30mm、長さを約100mmとした)に切り取り、切り取った圧力測定フイルムを額部分にあてがい、圧力測定フイルムが人体頭部の額部分と圧迫部材に挟まれるようにして育毛補助具を装着し適度な締付力で締付けた。
このようにして圧力測定フイルムを発色させると、発色にむらが認められるものの、全体的な傾向としては頭頂部側で濃く発色し下肢側に向かって徐々に発色が薄くなっており、接触圧が人体下肢側で小さくなるように接触圧分布が傾斜していることを確認することができた。参考として、この実験に使用して発色させた圧力測定フイルムのモノクロの図面代用写真を図15に示す。
更に、この実験で発色させた圧力測定フイルムの数値解析を富山化学工業株式会社に依頼し、解析により得られたデータを基に、人体頭部の外周方向に対して直角な方向に沿った接触圧分布をグラフ化した。その圧力分布図を図16に示す。
この圧力分布図において、縦軸は圧力値(単位はMPa)を示し、横軸は圧迫部材の幅方向(長手方向と直角な方向)における頭頂部側端縁からの位置を示している。この図から読み取れるように、接触圧は圧迫部材の頭頂部側の上端縁から約2mm下肢側の位置で最大となっている。これは、圧迫部材の頭頂部側端縁が面取りされているので、面取りされた分だけ圧迫部材の頭頂部側端部から人体下肢側に移動した位置で接触圧が最大値となることを示している。そして、そこから下肢側に向かって接触圧は徐々に小さくなっており、数値解析の結果からも下肢側で接触圧が小さくなるように圧迫部材と人体頭部との接触面における接触圧分布が傾斜していることが確認された。
額の略中央部(圧迫部材の長手方向に約15mmの範囲)の解析結果を見ると、加圧面積が161mm、平均圧力が0.16メガパスカル(MPa)、最大圧力が0.44MPaであった。
なお、同図から理解されるように、接触圧分布の傾斜は、直線的な傾斜である必要はなく、途中で増減する部分があっても問題なく、頭頂部側の端縁付近で最大の接触圧が生じた後は、傾向として下肢側の端縁に向かって接触圧が小さくなっていれば良いと考えられる。
本願発明者は、上述した適度な締付力の上限値を特定するため、以下の実験を行なった。
様々な曲率半径Rの皮革製の圧迫部材2を作成し、頭部に装着する際の締付力をバネ秤によって計測し、各曲率半径R毎の適度な締付力の上限値を特定したのである。
その結果を表1及び図17に示す。図17は表1を図表化したものである。これらから理解されるように、圧迫部材の素材として皮革を用いた場合、曲率半径Rが360mmで適度な締付力の上限値は最大となり、曲率半径Rが大きくなっても小さくなっても徐々に適度な締付力の上限値は小さくなることが確かめられた。
この結果から、本願発明者の頭部については、皮革を圧迫部材の素材として用いた場合、曲率半径Rを360mm程度とすることが最も好ましいということができる。最大の締付力で頭頂部頭皮の緊張を強力に緩和できるからである。そして、この結果は本願発明者と同等の大きさの頭を有する人にも共通するものと推測される。
本願発明者は、圧迫部材の素材にアメゴムを用いた場合についても、実施例5と同様の実験を行なった。
その結果を表2及び図18に示す。図18は表2を図表化したものである。アメゴムの場合は、皮革の場合に比べ全体的に適度な締付力の上限値は低く、また、適度な締付力が最大となる曲率半径Rも130mm程度と小さいことが確認された。
ところで、圧迫部材2の素材としてアメゴムや皮革等の素材を例にこれまで説明したが、この明細書で言及していない素材であっても人体頭部に巻き付けることができる程度の柔軟性を有する素材であれば、代替が可能である。また、各素材について曲率半径Rの好適範囲や適度な締付力の上限値について示した数値も対応する各素材を用いた場合に限定されるものではなく、伸縮性等の物理的性質が近似する素材であれば、ほぼ同等の数値が導き出されるものと考えられる。
比較例1
ここで、特許文献1に記載された頭部締付けバンドについて考察したい。この頭部締付けバンドの場合、側方に湾曲したバンドで人体頭部を締付ける点で本願発明と共通する。しかし、この頭部締付けバンドの場合、伸縮自在な素材を用いてバンドと人体頭部との接触圧分布を均等にする点で、接触圧分布を積極的に傾斜させようとする本願発明と明らかに相違する。
更に、この相違をより明確にするべく、特許文献1に記載のように接触圧分布を均等にする場合、湾曲するバンドの内周側の曲率半径の大きさがどの程度のものとする必要があるのか考察する。
上述の実施例6で用いた伸縮自在なアメゴムを素材とした場合、曲率半径が288mmでは圧迫部材の下肢側端に頭皮と隙間が生じており、接触圧分布は明らかに傾斜している。本願発明者の推測になるが、接触圧分布が特許文献1記載のように全面において均等となるには、曲率半径が400mmを超える必要があるものと考えられ、曲率半径の大きさという観点において本願発明の上述した好適範囲(90mm≦R≦300mm)から懸け離れたものであり、本願発明とは明らかに相違する。
本願発明による育毛補助具は、生産、販売、使用されることにより、育毛若しくは発毛の業界において革命を起こし得るものであると共に、工業的に量産が可能であり、産業上の利用可能性を有するものである。

Claims (2)

  1. 側方に湾曲したベルト状の形状を有し、人体頭部の外周に巻き付けられ前記人体頭部の外周を連続的に圧迫する圧迫部材を備えた育毛補助具であって、
    前記圧迫部材を人体頭部外周に巻き付け人体頭部外周を締め付けた場合に、前記人体頭部と前記圧迫部材との間に生ずる接触圧が前記圧迫部材の頭頂部側の端縁近傍で最大となり人体下肢側の端縁でゼロとなるように傾斜して分布することとなる平均曲率半径で前記圧迫部材の内側端縁が湾曲していることを特徴とする育毛補助具。
  2. 請求項1に記載の育毛補助具であって、
    湾曲した前記圧迫部材の内側面と前記圧迫部材の人体頭部に接する裏面とが接する角部は面取り又は丸み付けされており、
    前記面取り若しくは丸み付けがされた分、前記圧迫部材の頭頂部側端部から人体下肢側に下がった位置で前記接触圧は最大値となることを特徴とする育毛補助具。
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