JP5255440B2 - 育毛補助具 - Google Patents
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Description
例えば、下記特許文献1には、頭皮の緊張を弛緩させるための頭部締付けバンドが記載されている。この頭部締付けバンドは長手方向に円弧状に湾曲して形成されており頭部外周に鉢巻状に装着される。そして、このバンドを締付けることにより頭皮を上方(頭頂部側)に絞り上げるようにする。このようにしてバンドよりも頭頂部側にある頭皮を頭頂部に寄せ上げて頭皮の緊張を緩和するものである。
しかし、これらの特許文献1、2及び3に記載された器具の場合、頭皮を頭頂部に寄せ上げた状態で長時間、人体頭部に当該器具を装着していると、頭頂部が鬱血状態に陥り、却って頭頂部頭皮への血行が損なわれ、血液を介した毛根部への栄養補給を阻害する可能性も考えられた。
そして、このような問題を考慮した器具が下記特許文献4及び5に記載されている。特許文献4及び5に記載の器具は、人体頭部に装着されるバンド等の部材に複数の突起を互いに離間して設けることにより、側頭部に圧迫されない部分を作り出し、器具装着時における頭頂部頭皮への動脈血の供給及び頭頂部頭皮からの静脈血の流出を可能としている。
一方、下記特許文献6及び7には、それぞれ空気圧を利用して頭皮を頭頂部へ寄せ上げる育毛器及び空気圧を利用して側頭部をマッサージする気体圧マッサージ器が示されている。これらの器具は、いずれも空気圧を自動的に上げたり下げたりできる構造となっているので、上述した鬱血の問題は生じないと考えられる。しかし、これらの機器では、空気圧を上下させるためにポンプやその動力源、制御弁等を必要とし、装置が大掛かりになるうえ構造が複雑化し製造コストが嵩むと共に、使用者の行動の自由を著しく束縛してしまうという問題があった。
ミノキシジルは当初、高血圧治療薬として開発されたが、治療中の患者に壮年性(男性型)脱毛症の改善が認められ、育毛若しくは発毛に効果のある医療用医薬品として承認されたものである。その主な作用は血管拡張作用であり、内服するか若しくは頭皮に外用することにより頭皮の毛細血管が拡張され、頭皮の血行が改善若しくは促進されるものと考えられている。
しかし、本願発明者の知る限り、上述した従来の頭皮血行の改善を目的とした器具では育毛、発毛若しくは脱毛抑制の顕著な効果は報告されていない。これは、十分に頭皮の血行を改善若しくは促進することができていない為と推測される。
(1)効果が認められるのは頭頂後部に限られる。
(2)薄毛が始まってから約10年を経過している場合は、効果を期待
できない。
(3)禿げ若しくは薄毛領域の直径が約10cmを超えている場合は、
効果を期待できない。
本願発明者もミノキシジルを5%含有する外用育毛剤を個人輸入し、薄毛の気になっている頭皮に外用してみたが、この育毛剤だけの使用では増毛も脱毛数の減少も確認することはできなかった。本願発明者の場合、当該育毛剤の使用時には薄毛が気になり始めてから10年以上が経過しており、薄毛領域も直径10cmを超えていた。
さらに、身体を横たえるという条件を付加すれば、本願発明による育毛補助具の場合、育毛補助具を6時間以上に亘り頭部に装着していても頭頂部頭皮の鬱血による痛みを感じることがなく、長時間に亘り頭頂部頭皮の緊張を緩和することが可能となる。
2 圧迫部材
3 頭皮
4 動脈血管
5 静脈血管
6 頭蓋骨
7 接触圧分布
8 閉塞部
10 動脈血
11 静脈血
15 締具
16 クッション部材
18 保持金具
20 締具本体
21 押圧カム部材
22 軸
23 ストッパー
発明を実施するための最良の形態について説明する前に、本願発明者の考える本願発明の原理について、図1〜図4を参照しながら説明する。図1は本願発明による育毛補助具が装着された人体頭部を模式的に示した部分断面図、図2及び図3はそれぞれ本願発明による育毛補助具を人体頭部に装着した場合における頭皮内の動脈血管を模式的に示した部分断面図、図4はそのときの静脈血管を模式的に示した部分断面図である。これらの図では上方が人体の頭頂部側で下方が下肢側となるように示している。
上述の説明から理解されるように、人体頭部外周を傾斜した接触圧分布によって連続的に圧迫することにより、頭頂部頭皮の静脈血を堰き止めつつも収縮期血圧を活用し頭頂部頭皮の血流を確保し頭頂部頭皮の鬱血を抑制するというのが本願発明の原理である。
また、上述のように静脈血が適度にせき止められるため、圧迫部材2によって囲まれた頭頂部側頭皮の毛細血管を含むすべての血管(動脈も静脈も含む。)内には常に高い血圧が作用することになる。このため、圧迫部材2よりも頭頂部側の血管は、育毛補助具を装着している間、強制的に拡張させられた状態になると推測され、頭皮の血行が改善し頭髪の成育に必要な栄養分が毛根に十分に供給されるようになると推測される。
なお、本願育毛補助具の使用に際しては、身体を横たわらせた状態で使用することが好ましい。その方が地球の重力による圧力損失を受けずに心臓で生み出される収縮期血圧を有効に活用でき、より強い締付力で頭皮の緊張緩和を図ることができるからである。
次に、本願発明を実施するための最良の形態について、図5〜図8を参照しつつ説明する。
従って、適度な締付力が得られる程度の最小隙間Tとなる位置にストッパー23を設けておけば、育毛補助具の装着の際、使用者は圧迫部材2の自由端を締具15に通して育毛補助具を頭部外周に装着し、圧迫部材2の自由端を強く引っ張り、一旦「適度な締付力」よりも強い締付力で締付けた後、圧迫部材2の自由端を離せば自動的に育毛補助具の締付力は適度な締付力になるまで緩み、適度な締付力で保持される。
上述のように、頂角Cが頂角Bよりも大きければ、圧迫部材2と人体頭部との接触面における接触圧分布を人体頭部の外周方向に対して直角な方向に沿って人体下肢側が小さくなるように傾斜させることが理論的には可能である。
従って、実際には頂角Cの好適範囲が存在することになる。そして、頂角Cが好適範囲内となるように考慮して、圧迫部材2は円弧状に湾曲した形状に形成されるのである。
ところで、頂角Cは円弧状に湾曲した圧迫部材2の内周側の曲率半径Rの大きさに依存する。すなわち、曲率半径Rが小さければ頂角Cは大きくなり、曲率半径Rが大きければ頂角Cは小さくなる。そこで、本願発明者は自らの頭部に様々な曲率半径の圧迫部材を試用し、自らの頭部に適する曲率半径Rの好適範囲を以下のようにして特定した。
脈打ちは曲率半径Rが好適範囲にない場合にも感じられるが、その場合は、育毛補助具を装着後約1時間以内に鬱血状態に陥り我慢できない程の鬱血による痛みを感じることになるので、明確に区別することが可能である。
なお、曲率半径Rの好適範囲は、圧迫部材2に用いられる素材の伸縮性にも依存する。ここで紹介する曲率半径Rの好適範囲は、圧迫部材2の幅寸法Wを24mm、厚さ寸法を2mmとし、素材はアメゴム及び皮革について特定したものである。
素材がアメゴムの場合 90mm≦R≦300mm
素材が皮革の場合 100mm≦R≦550mm
(頭囲が500mmの場合)
素材がアメゴムの場合 80mm≦R≦265mm
素材が皮革の場合 88mm≦R≦487mm
(頭囲が610mmの場合)
素材がアメゴムの場合 97mm≦R≦324mm
素材が皮革の場合 108mm≦R≦594mm
素材がアメゴムの場合 97mm≦R≦265mm
素材が皮革の場合 108mm≦R≦487mm
また、これらを全て包含する曲率半径Rの範囲は以下の通りとなる。
素材がアメゴムの場合 80mm≦R≦324mm
素材が皮革の場合 88mm≦R≦594mm
なお、一本の圧迫部材の曲率半径が一定でなく変動しても、その平均曲率半径が上述の好適範囲内にあれば、問題ないと推測される。曲率半径を変動させることは、シート状の材料から効率的に圧迫部材を切り出す場合に有意に働く可能性があると考えられる。
図11は増毛が確認される前の本願発明者の頭頂後部の状態を撮影した図面代用写真であり、図12は育毛剤を併用した後の図面代用写真である。図13は増毛が確認される前の本願発明者の頭頂前部の状態を撮影した図面代用写真であり、図14は育毛剤を併用した後の図面代用写真である。写真中の日付は、撮影日を示している。育毛剤の併用を開始したのは2005年12月15日だったので、図12及び図14は育毛剤の併用開始後約9ヶ月半が経過した時の状態を示している。
http://regrowth-experiment.at.webry.info/
接触圧分布の測定には、富士フイルム株式会社製の圧力測定フイルム(極超低圧用 LLLW ツーシートタイプ)を使用した。この圧力測定フイルムは、圧力を受けた部分が発色し、受けた圧力の大きさに応じて発色濃度が変化するようになっている。
この実験に使用した育毛補助具の圧迫部材2は、厚さ2mmのアメゴム板を図7に示した断面形状で次の寸法に切り取ったものであった。
内周側の曲率半径R 216mm
幅寸法W 24mm
長さL 650mm
上述の圧力測定フイルムを圧迫部材の湾曲した形状に合わせて円弧状の形状(内周側の曲率半径を216mm、幅を30mm、長さを約100mmとした)に切り取り、切り取った圧力測定フイルムを額部分にあてがい、圧力測定フイルムが人体頭部の額部分と圧迫部材に挟まれるようにして育毛補助具を装着し適度な締付力で締付けた。
このようにして圧力測定フイルムを発色させると、発色にむらが認められるものの、全体的な傾向としては頭頂部側で濃く発色し下肢側に向かって徐々に発色が薄くなっており、接触圧が人体下肢側で小さくなるように接触圧分布が傾斜していることを確認することができた。参考として、この実験に使用して発色させた圧力測定フイルムのモノクロの図面代用写真を図15に示す。
この圧力分布図において、縦軸は圧力値(単位はMPa)を示し、横軸は圧迫部材の幅方向(長手方向と直角な方向)における頭頂部側端縁からの位置を示している。この図から読み取れるように、接触圧は圧迫部材の頭頂部側の上端縁から約2mm下肢側の位置で最大となっている。これは、圧迫部材の頭頂部側端縁が面取りされているので、面取りされた分だけ圧迫部材の頭頂部側端部から人体下肢側に移動した位置で接触圧が最大値となることを示している。そして、そこから下肢側に向かって接触圧は徐々に小さくなっており、数値解析の結果からも下肢側で接触圧が小さくなるように圧迫部材と人体頭部との接触面における接触圧分布が傾斜していることが確認された。
なお、同図から理解されるように、接触圧分布の傾斜は、直線的な傾斜である必要はなく、途中で増減する部分があっても問題なく、頭頂部側の端縁付近で最大の接触圧が生じた後は、傾向として下肢側の端縁に向かって接触圧が小さくなっていれば良いと考えられる。
様々な曲率半径Rの皮革製の圧迫部材2を作成し、頭部に装着する際の締付力をバネ秤によって計測し、各曲率半径R毎の適度な締付力の上限値を特定したのである。
その結果を表1及び図17に示す。図17は表1を図表化したものである。これらから理解されるように、圧迫部材の素材として皮革を用いた場合、曲率半径Rが360mmで適度な締付力の上限値は最大となり、曲率半径Rが大きくなっても小さくなっても徐々に適度な締付力の上限値は小さくなることが確かめられた。
その結果を表2及び図18に示す。図18は表2を図表化したものである。アメゴムの場合は、皮革の場合に比べ全体的に適度な締付力の上限値は低く、また、適度な締付力が最大となる曲率半径Rも130mm程度と小さいことが確認された。
更に、この相違をより明確にするべく、特許文献1に記載のように接触圧分布を均等にする場合、湾曲するバンドの内周側の曲率半径の大きさがどの程度のものとする必要があるのか考察する。
Claims (2)
- 側方に湾曲したベルト状の形状を有し、人体頭部の外周に巻き付けられ前記人体頭部の外周を連続的に圧迫する圧迫部材を備えた育毛補助具であって、
前記圧迫部材を人体頭部外周に巻き付け人体頭部外周を締め付けた場合に、前記人体頭部と前記圧迫部材との間に生ずる接触圧が前記圧迫部材の頭頂部側の端縁近傍で最大となり人体下肢側の端縁でゼロとなるように傾斜して分布することとなる平均曲率半径で前記圧迫部材の内側端縁が湾曲していることを特徴とする育毛補助具。 - 請求項1に記載の育毛補助具であって、
湾曲した前記圧迫部材の内側面と前記圧迫部材の人体頭部に接する裏面とが接する角部は面取り又は丸み付けされており、
前記面取り若しくは丸み付けがされた分、前記圧迫部材の頭頂部側端部から人体下肢側に下がった位置で前記接触圧は最大値となることを特徴とする育毛補助具。
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