JP5255030B2 - 縮小されたゲノムを有する細菌 - Google Patents
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Description
本出願は、2002年1月23日に出願した米国特許出願第10/057,582号および2002年9月6日に出願した米国特許仮出願第60/409,080号の1部継続出願であり、両出願は、その全体を参考として本明細書に引用する。
[連邦政府による委託研究または開発に関する声明]
本発明は、下記の機関によって与えられた米国政府支援によってなされた:NIH GM35682。
米国は、本発明においてある種の権利を有する。
本発明は、生物体のゲノムを好ましくはゲノム中に瘢痕を残すことなく縮小する方法を提供する。
1つの実施態様においては、本発明は、遺伝子操作されて天然親株のゲノムよりも少なくとも2%〜20%小さいゲノムを有する細菌を提供する。好ましくは、上記ゲノムは、天然親のゲノムよりも少なくとも7%小さい。より好ましくは、上記ゲノムは、天然親株のゲノムよりも8%から14%ないし20%小さい。生成物を産生させるのに使用するとき、小さめのゲノムを有する細菌は、以下の利点の1つ以上を有し得る。1つは、生産方法が、資源消費量の点または生産速度、最終的な収率割合の点のいずれかにおいて、あるいは3点すべてにおいてより効率的であり得る。2つ目は、生成物の精製工程を簡素化することができ、あるいはより純粋な生成物を製造することができる。3つ目は、天然たんぱく質の干渉のために以前には生産できなかった生成物を生産することができる。4つ目は、所望生成物の細胞当りの収率を増大させることができる。
また、本発明は、本発明の方法を実施するのに使用するDNA類およびベクター類、該DNA類の製造方法、および本発明の1種以上のDNA類またはベクター類と任意成分としての適切な緩衝液、プライマー、エンドヌクレアーゼ、ヌクレオチドおよびポリメラーゼ類とを含有するバイアルを含むキットにも関する。
本発明の他の目的、特徴および利点は、以下の詳細な説明を考察することによって明らかになるであろう。
本発明のもう1つの局面は、そのたんぱく質コード遺伝子の約5%〜約10%を欠失した縮小されたゲノム細菌を含む。好ましくは、約10%〜20%の上記たんぱく質コード遺伝子を欠失させる。本発明のもう1つの実施態様においては、約30%〜約40%ないし約60%の上記たんぱく質コード遺伝子を欠失させる。
次第に外側に向う次のリングは、関連株O157:H7においては消失しているかあるいは高度に変化しており、従って、K-12ゲノムにおいて潜在的に検出可能であるK-12ゲノムの領域を示している。外側の次のリングは、天然ゲノム中の完全または部分的双方のIS因子の位置を示している。外側に向う次のリングは、ここでとりわけ欠失のターゲットとするRHS因子A〜E並びに鞭毛および制限領域の位置を示している。最外リングは、下記の表1および2にも列挙しているような、ゲノムに対して実際に構築した欠失の位置を示している。
これらの欠失は、元のK-12 MG1655ゲノム中の塩基対の約14%を構成する。本発明の方法を使用すれば、18%〜20%ないし約40%のゲノムが、本明細書で説明する設計パラダイムを使用して欠失されるであろう。
欠失させ得るもう1つのタイプのE. coli DNA因子はRhs因子である。全てのRhs因子が3.7KbのRhsコアを共有し、このコアは、相同的組換えによるゲノム再配列のための手段を提供する大きな相同性の繰返し領域である(E. coli K12中に5つのコピーが存在する)。Rhs因子は、ある種の他のバックグラウンドにおいて大いに進化し種としてのE. coliの分岐後の水平交換によりE. coliに拡散した付属因子である。E. coliゲノムマップ上のRhs因子の位置は、図1および表1に示している。
欠失させ得る他の遺伝子としては、例えば、溶菌ファージT1に対するレセプターをコード化するton A (FhuA)および/またはその完全オペロンfhu ABCのようなバクテリオファージレセプターをコード化する遺伝子がある。
本明細書において説明する理由により、細菌のペリプラズム(周辺細胞質)空間中に分泌する組換えたんぱく質の産生が当該技術において求められており、本発明の方法は、ペリプラズム発現を最適にする細菌操作法を提供する。
E. coliのようなグラム陰性菌は、2つの細胞膜、即ち、内部細胞膜と外部細胞膜を有する。2つの膜は、ペリプラズム空間(PS)によって分離されている。適切なシグナル配列を有する細菌たんぱく質は、少なくとも2つの異なる系、即ち、Sec-系およびTat-系によって内部細胞膜を経てPS中に分泌する。(Danese et al., Annu. Rev. Genet. (1998) 32:59-94;Fekes et al., Microbiol. Nol. Biol. Rev., (1999) 63:161-193;およびPugsley, Microbiol. Rev. (1993) 57:50-105 [sic];Hynds et al., (1998) J. Biol. Chem. 273:34868-34874;Santini et al. (1998) EMBO J. 17:101-112;Sargent et al., EMBO J. 17:101-112 [TAT]、これらは、全て参考として本明細書に引用する)。
上記シグナルペプチドは、特異的なシグナルペプチダーゼによって極めて正確に開裂する。第2世代の組換えヒト成長ホルモンは、この方法により、Genentech社(Nutropin、Full Prescriber Information)およびPharmacia社によって製造されている。全てのたんぱく質がこの経路によって成功裏に産生され得るものではなく、分泌および分泌後処理システムは限られた能力しか有さないことの証拠が存在する。また、対処すべきたんぱく質汚染物も依然として存在する。注目すべきは、1つのそのような承認された製品について、その製品が痕跡量のE. coliペリプラズムたんぱく質を含有し、ある種の患者に抗体産生を引起すという警告がなされている(Gonotropin:Full Prescriber Information)。このことは臨床における問題ではないことが要求されているが、望ましくないものとみなすべきである。本発明の材料および方法は、この問題の軽減または削減を可能にするであろう。
本発明の縮小されたゲノム細菌におけるペリプラズム発現において有用な組換えDNA構築物は、たんぱく質のペリプラズム空間への輸送を介在し得るシグナルペプチドをコードし、少なくとも所望不均質たんぱく質をコードする第2のDNA配列に操作的に結合させた第1のDNA配列を含む。上記シグナル配列は、発現させるたんぱく質に対して生来のものであり得る。好ましくは、ペリプラズム空間中に輸送されるたんぱく質は、生物学的に活性である。上記組換えDNA構築物の発現は、誘発性プロモーターまたは宿主細菌中で構成的に発現されるプロモーターの制御下にあり得る。誘発性プロモーターの使用は、飽和性であることが知られているSec-系を使用する場合にとりわけ有利である。例えば、非代謝性ガラクトース誘導体であるIPTGによって誘発性のlac系プロモーター/レプレッサーを使用し得る。そのようなプロモーターは、Sec系による発現および分泌の微調整を可能にし、それによってペリプラズム発現を最適にする。
各々のシグナルペプチド配列によって同定した既知または推定膜たんぱく質をコードするおよそ85種の遺伝子を欠失させている。これらのうち、33種は鞭毛構造または生合成に関与しており;9種は線毛構造または生合成に関与しており;13種は一般的な分泌経路に関与している。残りは、細胞膜内で種々の既知または推定機能を有する。これらたんぱく質の多くはペリプラズム空間内で処理されたものと信じている。また、これらは、MDS40の構築においても、該生物体の最少培地での増殖能力に有意の影響を与えることなく欠失させている。
ゲノムからの1種または数種の遺伝子または他のDNA配列の欠失の結果も試験し得る。例えば、ゲノムの1種または数種の遺伝子または他のDNA配列を欠失させた後、得られた細菌の生存および増殖率を測定できる。上記で同定した遺伝子または他のDNA配列の殆どは所望の生成物を産生させる目的に対して有害な作用なしで欠失させ得るものの、特定の遺伝子または他のDNA配列の欠失が細胞死のような許容し得ない結果または増殖率における許容し得ない低下レベルを有し得る可能性がある。この可能性は、遺伝子機能の重複性および生物学的経路の相互作用のために存在する。株中でさらなる欠失なしで生存し得るある種の欠失は、他の欠失と組合せてのみ有害であろう。上記の可能性は、欠失候補を同定するのに使用したある種の方法故にも存在する。例えば、欠失候補を同定するのに使用する1つの方法は、2つのE. coli株を比較し株の双方に存在しない遺伝子または他のDNA配列を選定することである。これらの遺伝子または他のDNA配列の大多数は機能的に本質的でないようであるけれども、これらの幾つかは特異な株においては重要であり得る。欠失候補を同定するのに使用するもう1つの方法は、非転写領域を同定することであり、ある種の非転写領域はゲノム安定性にとって重要であり得る可能性がある。
遺伝子または他のDNA配列の欠失結果を試験することは、その遺伝子またはDNA配列について殆ど知られていないときに重要である。難儀ではあるが、この試験は、縮小されたゲノムを有する細菌の構築における欠失候補を同定するもう1つの発展性のある方法である。この方法は、他の方法で同定した候補を欠失させ、さらなる候補を探しているときにとりわけ有用である。
P1形質導入の使用に伴なうもう1つの欠点は、上記ファージが2つの挿入配列を担持していることにある。挿入配列においては、IS1がP1ゲノムのssbおよびprt座間に見出されている。さらに、IS5はres遺伝子中にある。結果として、P1を形質導入において使用する場合、挿入配列の1つ以上が生物体のゲノム座中にジャンプする結果となり得る可能性がある。従って、本発明の欠失方法を使用してP1ゲノムを操作してIS配列を欠失させ、それによってP1を形質導入体として使用した場合のゲノム汚染を阻止することが有利であろう。
本発明の実施態様のうちには、縮小されたゲノムを有するフレクスナー菌(Shigella flexneri)がある。最近、フレクスナー菌2a株2457Tの完全ゲノム配列が決定された。(このシークエンシング株は、American Type Culture Collectionに受入れ番号ATCC 700930として再寄託された)。フレクスナー菌のゲノムは、50.9%のG+C含有量を有する4,599,354個の塩基対(bp)の単一環状染色体からなる。この染色体の塩基対1は、上記細菌が広範囲の相同性を有することから、E. coli K-12の塩基対1に相応するものと指定された。上記ゲノムは、873個の塩基対の平均サイズを有する約4,082種の予測遺伝子であることが明らかになった。フレクスナー菌ゲノムは、はるかに少ない水平転移DNAを有するにもかかわらずE. coli病原体の主鎖と島モザイク構造を示し、E. coli中に存在する357の遺伝子を欠落する。(Perna et al., (2001) Nature, 409:529-533を参照されたい)。該生物体は、その挿入配列の大きい補体、数個のゲノム再配列、12個の陰性プロファージ、372個の偽遺伝子および195個のシゲラ特異性遺伝子に特徴を有する。フレクスナー菌の完全注釈付き配列は、ジーンバンク受付け番号 AE014073として寄託されており、参考として本明細書に引用する。(公表のため提出された“Complete Genome Sequence and Comparative Genomics of Shigella flexneri Serotype 2A strain 2457T”, Wei et al., も参照されたい)。そのDNA配列に基づき、シゲラは、E. coliと系統発生的には区別し得ないことは特筆すべきことである。
また、本発明は、縮小されたゲノム、例えば、E. coli、またはワクチンを接種した宿主内で免疫応答を誘発させ得る抗原をコード化する遺伝子を導入した縮小されたゲノム、例えば、E. coliを含む生ワクチンにも関する。縮小されたゲノムワクチンは、宿主内で所望の生理学的応答(即ち、免疫応答)を誘発させる得ることが知られているDNAを含むDNA系ワクチンであり得る。
本発明に従う縮小されたゲノム生物体の1つの主要な利点は、DNA類を導入して所望の分子の発現を可能にするクリーンで最小の遺伝子的バックグラウンドを提供することのみならず、さらなるDNA類をこのクリーンなバックグランドに導入する機会を与えて所望の生成物の発現を最適にし得る分子源を提供することである。
線状ターゲットDNAの構築
線状ターゲットDNAの構築の例は、以下のとおりである:プライマーa+b (図1)を調製するために、20ピコモルのプライマーaを20ピコモルのプライマーbを混合し、PCRを総容量50μlで実施した。サイクルパラメーターは、15×(94℃40秒/57℃以下[プライマーaとbの重複度合による]40秒/72℃15秒)であった。次に、このPCT生成物の1μlを各々20ピコモルのプライマーaおよびc(図1)、50 ngのpSG76-CSテンプレートと混合し、2回目のPCTを2×50μlの容量で実施した。サイクルパラメーターは、28×(94℃40秒/57℃40秒/72℃80秒)であった。得られたPCR調製線状DNA-フラグメントをPromega Wizard PCT精製キットで精製し、20μlの水中に懸濁させた。テンプレートプラスミドの削除(例えば、DpnI消化による)は必要でない。pSG76-CSは、PCTにより線状ターゲットフラグメントを調製するためのテンプレートプラスミドとして作用する。pSG76-CSは、クロラムフェニコール耐性(CmR)遺伝子と2つのI-SceI部位を含有し、第2のI-SceI部位のPCT介在挿入によって得られ、第2のI-SceI認識部位のpSG76-C中へのNotI部位下流でのPCT介在挿入によって得られた。
2つのI-SceI部位は反対配向にある。
本発明の新規なDNA系無瘢痕欠失方法は、以下の説明を図2と照らして読んだときに最良に理解することができる。一般に、この方法は、欠失するためにマークしたゲノムセグメントを人工DNA配列で置換えることを含む。この人工配列は、E. coli K-12ゲノム中には本来どこにも生じない配列を切断する、I-SceIのような配列特異性ヌクレアーゼに対する1つ以上の認識部位を含有する。線状DNA分子の上記ゲノム中への正確な挿入は、相同的組換えの頻度を増大させ得る系によって助長された相同的組換えによって達成される。
上記配列特異性ヌクレアーゼを上記細菌中に導入したとき、上記配列特異性ヌクレアーゼは、特異的認識部位(1つ以上)でゲノムDNAを開裂させ、相同的組換え現象が生じた細菌のみが生存する。
この線状DNA分子は、以下の特徴を有する人工線状DNA配列を含有する:該線状DNA配列の1端は、欠失すべきゲノム領域の左側上のゲノム配列と同一の配列、およびそれに続く欠失すべきゲノム領域の右側上のゲノム配列と同一の配列であり;該線状DNA分子の他端は、欠失すべきゲノム領域内のゲノム配列と同一の配列であり;該線状DNAの2つの末端の間には、上記細菌株のゲノム中には存在しない認識部位と抗生物質選択遺伝子とが存在する。上記人工DNA配列は、ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)または直接DNA合成を使用して調製し得る。この目的のためのPCRテンプレートは特異的認識部位を含有し、上記人工線状DNA配列の両端上のゲノムDNA配列はPCR反応において使用する各プライマーの1部である。PCRテンプレートは、プラスミドによって調製し得る。テンプレートとして使用し得るプラスミドの例は、pSG76-C(GenBank Accession No. Y09893)であり、Posfai, G. et al., J. Bacteriol. 179:4426-4428 (1997)に記載されている。pSG76-Cに由来するpSG76-CS(GenBank Accession No. AF402780)も使用し得る。pSG76-CSは、クロラムフェニコール耐性(CmR)遺伝子と2つのI-SceI部位を含有し、第2のI-SceI認識部位のpSG76-C中へのNotI部位下流でのPCR介在挿入によって得られた。2つのI-SceI部位は反対配向にある。
この新規な線状DNA系方法においては、1つが欠失すべき細菌ゲノム領域の1端に隣接する配列と同一であり他の1つが細菌ゲノム領域の他端に隣接する配列と同一であり、同様に配向させた2つのDNA配列をプラスミドベクター中に操作する。ベクターとは、ここでは、ターゲットベクターを称する。上記2つのDNA配列は、ターゲットベクター上で互いに隣接して位置させる。上記細菌ゲノムではなく上記ターゲットベクターのみを切断する酵素に対する少なくとも1つの認識部位も、上記2つのDNA配列の外側の位置でターゲットベクター中に操作する。該認識部位は、I-SceIのような配列特異性ヌクレアーゼに対する部位であり得る。また、該認識部位は、未メチル化配列のみを切断するメチル化感受性制限酵素に対する部位でもあり得る。上記細菌ゲノム上の該認識部位は、いずれであっても、メチル化されるので、上記制限酵素は、ターゲットベクターのみを切断し得る。上記ターゲットベクターは細菌中に形質転換させ、線状DNA分子は、上記ターゲットベクター上の認識部位を認識し切断する酵素を細菌内で発現させることによって細菌内部に生成させる。次に、相同的組換えを増大させる系を細菌内で活性化させて上記線状DNAの相同性配列と欠失すべき領域に隣接する細菌ゲノム間の相同的組換えを誘発させる。欠失させたターゲットゲノム領域を有する細菌は、上記の相同的組換えの結果として得ることができる。
他の局面は、すべて細菌ゲノムの領域を欠失させることについて上述したのと同じである。
上記方法を細菌ゲノム内のターゲット領域を欠失させるかまたは置換えるかのいずれに使用するかどうかにかかわらず、上記ターゲットベクター上に担持させたDNAの細菌ゲノム中への導入を選択するためのマーカー遺伝子は、高導入効率故に必要ではない。PCRによる30〜100個のコロニーの単純なスクリーニングによって、細菌ゲノム内での所望の修正を有するクローンの同定が可能である。
ここで説明する自殺プラスミド系方法は、無瘢痕遺伝子欠失および遺伝子置換の双方において使用し得る。この方法の基本的要素は、抗生物質耐性遺伝子と複製起源をプロモーターの制御下に含有するインターロック(Interlock)プラスミドと称するプラスミドベクターに関連する。インターロックプラスミドは、DNA挿入物を挿入させ得る1つ以上の部位も含有する。この方法を無瘢痕欠失に使用する場合、互いに正しく次に位置し、同様に配向した2つのDNA配列を含み、その1つの配列欠失すべき細菌ゲノム領域の1末端に隣接する配列と同一であり、他の1つの配列は、細菌ゲノム領域の他端に隣接する配列と同一である。この方法を遺伝子置換において使用する場合は、上記DNA挿入物は細菌ゲノムのセグメントと置換わる配列を含む。複製起源を制御するプロモーターを供給停止した場合、上記プラスミドの複製は停止し、抗生物質負荷を使用してフランキング領域の上記部位での染色体組込みについて選択し得る。フランキング領域の上記部位での染色体組込みの後、上記プラスミドからの複製起源を制御するプロモーターを供給開始し得ると、生存し得る細菌は、組換え現象が生じて上記複製起源、そのプロモーターまたはその双方を排除した細菌のみである。上記DNA挿入物を無瘢痕欠失を構築するのに使用する場合、組込み挿入物と上記ゲノム内の相応する領域間の組換えは、所望の無欠失または組込み前の同じゲノムのいずれかを有する細菌内で生ずる。上記DNA挿入物を遺伝子置換において使用する場合、組換えは、所望の置換体または組込み前の同じゲノムのいずれかを有する細菌内で生ずる。その後、スクリーニング工程を実施してゲノム内に所望の修飾を有する細菌を同定することができる。
上記方法の変法は、上記と同じインターロックプラスミドを含むが、該プラスミドは、上記細菌ゲノム中に存在しない配列特異性ヌクレアーゼ認識部位も含有する。染色体組込み後、複製起源制御プロモーターを活性化させて組換え現象について選択する代りに、細菌を操作して上記配列特異性ヌクレアーゼを発現させ上記細菌ゲノムを切断し組換え現象について選択する。
図6は、上記自殺プラスミド系方法において使用し得るプラスミド実施態様を示している。pIL1はインターロックプラスミドであり、pBAD-Sce-Iは配列特異性ヌクレアーゼI-Sce-Iの発現用プラスミドである。pIL4は双方の組合せである。pIL1およびpIL4において使用するtetプロモーターは、しっかり調節されて、より漏出性である温度感受性因子のような他の制御メカニズムを凌ぐ利点を有する。遺伝子置換においてpIL4を使用する例を図5A〜Cに示しており、本発明の自殺プラスミド系方法を例示している。図5Aは、DNA挿入物のpIL4中への挿入およびpIL4の細菌ゲノム中への組込みを示している。加熱活性化クロロテトラサイクリン(CTC)により、tetレプレッサーは不活性であり、OおよびPプロモーターは官能性であり、上記プラスミドは複製する。CTCの除去後、tetレプレッサーはOおよびPプロモーターに対するプロモーターに結合し、複製は遮断される。クロラムフェニコール耐性を使用して組込み物について選択し得る。図5Bは、相同的組換えおよび相同的組換えの2つの可能性ある結果について選択するための異所性起源の誘発の使用を示す。
図5Cは、相同的組換えおよび該組換えの2つの可能性ある結果について選択する別の方法を示す。この別法は、I-SceI発現を誘発させて二重ストランド破壊を発生させることを含む。
1.所望のゲノム修飾を線状DNAフラグメントとして生成させる。アンバー変異体を構築する場合には、上記修飾はメガプライマーPCRによって行い得る。ゲノム内に欠失を構築する場合は、欠失の所望末端点の融合を使用すべきである。DNAフラグメントの両端をリン酸化してクローン化すべきである。
2.ベクターpIL4(図5Aおよび6)を制限酵素Srf1により消化させることによって平滑なクローン化部位を生成させる。ベクターを脱リン酸化する。
3.所望修飾とpIL4ベクターとの平滑連結反応を実施する。
4.(注:この工程は、高処理実施においては潜在的に無用であり得る)。上記連結反応物をE. coliのクローン性株(JS5のような)中に形質転換させる。形質転換物をLB + 1μg/ml cTc中で1時間自然増殖(outgrow)させる (cTc:LB培地中で新たにオートクレーブ処理したクロロテトラサイクリン。100μg/mlの貯蔵品を20分間オートクレーブ処理し、次いで4℃で暗中に保存する。これは、5日間まで使用できる。別法として、2 ng/mlのアンヒドロテトラサイクリン溶液に置換え得る)。その後、LB + クロラムフェニコール(Cam 25μg/ml) + cTc (1μg/ml)上に塗布し、37℃で1夜増殖させる。コロニーを等価の培地中で増殖させ、プラスミドミニプレップDNAを調製する。ゲル電気泳動により分析し、挿入物を有するクローンを選択する。
5.上記評価したプラスミドをE. coliのrecA陽性株(MG1655のような)中に形質転換させる。LB + 1μg/ml cTc中で1時間自然増殖させる。自然増殖物の1部をCamおよび1μg/ml cTcを含有するプレート上に塗布する。1夜37℃で増殖させる。
6.コロニーを1 ml LB中に採取し、10μlをCamプレート上に塗布する。1夜37℃で増殖させる。
7.コロニーをCamプレート上に塗布し、存在する各細胞が組込みプラスミドを含有するのを確実にする。1夜37℃で増殖させる。
8.コロニーを1 ml LB中に採取し、100μlの1:100希釈物を、5μg/mlのcTcを含有するプレート上に塗布する。1夜37℃で増殖させる。
9.(変異体のスクリーニング) 対抗選択したコロニーのフラクションのみが所望の修飾を含有し、他はwtに復帰する。変異体対復帰体の割合は、クローン化フラグメント中の修飾の位置に依存する。ある種のスクリーニングを実施して所望の変異体を同定しなければならない。アンバー変異体の産生においては、当該遺伝子をPCRにより増幅させ、BfaI制限酵素により消化する(BfaIは、C'が先行するアンバーコドンを切断する)。
1〜4.プロトコール1に同じ。
5.挿入物担持インターロックプラスミドとpBAD-SceIをE. coliのrecA陽性株(MG1655のような)中に同時形質転換させる。LB + 1μg/ml cTc中で1時間自然増殖させる。(別法として、挿入物担持インターロックプラスミドそれ自体を、既にpBAD-SceIを担持している応答性細胞中に形質転換させる)。
6.クロラムフェニコールを25μg/mlで、カナマイシンを50μg/mlで添加する。37℃で振盪させながら1〜2時間増殖させる。
7.細胞を微細遠心分離機中で30秒間ペレット化する。培地上清を除去する。
8.(組込み工程) 細胞を、1 mlのLB + クロラムフェニコール(25μg/ml) + カナマイシン(50μg/ml) + グルコース(0.2%)中に再懸濁させ、振盪しながら37℃で1夜増殖させる。
9.1夜培養物を同じ培地中に1:10,000で希釈し、さらに16〜24時間37℃で増殖させる。
10.(対抗選択工程) 10μlの培養物を1 mlの1×M9の最少塩中に希釈する(増殖率を最少にする)。これを各々0.5 mlの2本のチューブに分割する。一方にアラビノースを0.2%で添加し、他方にグルコースを0.2%で添加する(陰性対照として機能させるために)。37℃で振盪しながら1〜2時間増殖させる。
11.10μlのアラビノースチューブをLB + カナマイシン(50μg/ml) + アラビノース(0.2%)上に塗布し、10μlのグルコースチューブをLB + クロラムフェニコール(25μg/ml) + カナマイシン(50μg/ml) + グルコース(0.2%)に塗布する。37℃で1夜増殖させる。
12.(変異体についてのスクリーニング) 第1プロトコールの工程9を実施する。
人工挿入DNA配列のPCR構築において使用するプラスミドは、pSG76-CS (GenBank Accession No. AF402780)と標示し、pSG76-C (Posfai, G. et al., J. Bacteriol. 179: 4426-4428 (1997))から第2のI-SceI部位を挿入することによって誘導した。この第2のI-SceI部位は、第2のI-SceI認識部位をpSG76-C中にNotI部位の下流でPCR介在によって挿入することによって得た。2つのI-SceI部位は、反対方向にある。
pBADαβγプラスミドは、線状DNAフラグメントのゲノム中への組換えを増強させるのに使用した。このプラスミドは、Muyrers, J.P.P. et al., Nucl. Acids Res. 27:1555-1557 (1999)に記載されている。
I-SceI発現のためのPKSUC1プラスミド(GenBank Accession No. AF402779)は、pSG76-K (Posfai, G. et al., J. Bacteriol. 179: 4426-4428 (1997))およびpUC19RP12 (Posfai, G. et al., Nucl. Acids Res. 27:4409-4415 (1999))から誘導した。pSG76-KのXbaI-NotIフラグメント(Kan遺伝子を担持する;NotI末端をクレノウ(Klenow)ポリメラーゼにより平滑化した)をpUC19RP12のXbaI-DraIフラグメント(I-SceI遺伝子とpUC oriを担持する)に連結結合させた。
線状DNAフラグメントの上記ゲノム中への組換えを増強するためのPKD46プラスミドは、Datsenko, K.A. et al., Proc. Natl. Acad. Sci. 97:6640-6649 (2000)に記載されテいる。
プラスミドpSTKST (GenBank Accession No. AF406953)は、pFT-K (Posfai, G. et al., J. Bacteriol. 179: 4426-4428 (1997))およびpUC19RP12 (Posfai, G. et al., Nucl. Acids Res. 27:4409-4415 (1999))から誘導した、I-SceIのクロロテトラサイクリン調節発現用の低コピー数KanRプラスミドである。I-SceI遺伝子を担持するpUC19RP12からのXbaI-PstIフラグメントをpFT-Kの大XbaI-PstIフラグメントに連結結合させた。このプラスミドは、クロロテトラサイクリンにより誘発させたとき、I-SceIを発現する。このプラスミドの複製は温度感受性である(Posfai, G. et al., J. Bacteriol. 179: 4426-4428 (1997))。
E. coli K-12のゲノムからの欠失を繰返し構築するのに使用する方法を説明する。この手順は、無瘢痕欠失方法である。手順は、PCRにより線状ターゲットフラグメントを構築することによって開始する。この構築は、20ピコモルのプライマーAを20ピコモルのプライマーBと混合し、PCRを総容量50μlで実施することによって行った。使用したサイクルパラメーターは、15×(94℃40秒/57℃以下(プライマーAとBの重複度合による)40秒/72℃15秒)であった。上記PCR混合物の1μlを採取し、各々20ピコモルのプライマーAおよびCに添加し、50 ngのpSG76-CSを添加し、PCRを2×50μlの容量で実施した(50μlチューブを使用し、2本のチューブを混合してより多くのDNAを含むようにした)。使用したサイクルパラメーターは、28×(94℃40秒/57℃40秒/72℃80秒)であった。PCR混合物を上記工程から精製するために、Promega Wizard PCR精製キットを使用した。得られたDNAフラグメントを20μlの水中に懸濁させた。
選択したコロニーは、新しいターゲットフラグメントを使用し上記の各工程を繰返すことによって次回の欠失に使用し得る。さらなる欠失が必要でない場合、細胞を非選択性条件(Ampを添加しない)下で増殖させると細胞の大フラクションからpBADαβγの自然発生的喪失が生ずる。
この手順は手順1と同様であるが、pKSUC1をpSTKSTで置換える。このプラスミドは、pBADαβγと適合性(和合性)であり、温度感受性レプリコンを有し、I-SceIの発現はクロロテトラサイクリン(CTC)による誘発を必要とする。利点は、pSTKSTの細胞からの排除が培養物を42℃で増殖させることによって容易に達成されることである。
PCRによる線状ターゲットフラグメントの構築およびゲノム領域の該フラグメント挿入による置換えは、プロトコール1において説明したようにして実施する。
挿入配列を欠失させるには、応答性細胞を正確な挿入物を有する選択コロニーに由来する培養物から調製する。細胞をpSTKSTにより形質転換させ、Kan + Camプレート上に塗布し、30℃でインキュベートする。このプレートからのコロニーを加熱処理誘発剤CTC(25μg/mlの最終濃度)を加えた10 mlのLB + Kan中に接種し、30℃で24時間増殖させる。この工程は、I-SceIの発現を誘発するよう作用する。その後、培養物希釈物をLB + Kanプレート上に拡散させ、30℃で1夜インキュベートする。6〜12個のコロニーを、プライマーDおよびEを使用するPCRによって、正確な欠失についてチェックした。正確な欠失を担持するコロニーを選択した。
上記ヘルパープラスミドを細胞から除去するためには、上記培養物をLB(抗生物質を添加しない)中で42℃で増殖させる。
pBADαβγとpSTKSTは適合性(和合性)のあるレプリコンを有するので、連続する欠失を同じ宿主で構築する場合、これらプラスミドの繰返しの形質転換は必要でない。これら2つのプラスミドは、抗生物質選択(Kan + Amp)により、連続欠失構築全体に亘って宿主細胞中に維持される。レコンビナーゼおよび特異的ヌクレアーゼ官能性は、必要なときのみ誘発される。pSTKSTの複製は温度感受性であるので、細胞は30℃で増殖させなければならない。
この手順は、pBADαβγとpSTKSTを細胞中に1回のみしか形質転換させない以外は、プロトコール2と同一であり、細胞中での両プラスミドの維持が望まれる間は、培養物を30℃で増殖させ、Amp + Kanを培地中に含ませる。注:時には、本発明者等は、2種(Amp + Kan)または3種(Amp + Kan + Cam)の抗生物質の存在下に30℃で細胞を増殖させるのに困難性を経験した。
この手順は、数個の連続する欠失を同じ細胞中に構築すべき場合に好ましい手順である。挿入(pBADαβγを担持する宿主細胞のゲノム中への線状フラグメントの組換え)を並行して行い、各々が1個の挿入物を担持する1連の組換え細胞を生成させる。その後、これらの挿入物を、pSTKSTを担持しすべて以前の欠失を有する細胞中に、P1形質導入により1つ1つ転移させる。全ての外来配列の除去をこの最終宿主においてpSTKSTを誘発させることによって行う。以前の方法と比較し、主な相違は、挿入工程と挿入配列の除去を個別の細胞で行うことである。挿入が並行してなされるので、連続する欠失の構築は速い。もう1つの利点は、細胞を最初の欠失構築の開始時点でのみプラスミドによって形質転換させることである。
技術的には、この手順は、個々の挿入物を既にpSTKSTを有する欠失株にP1形質導入により転移させる以外は、手順2と同一である。各P1形質導入工程後、I-SceI発現を誘発させて挿入配列を除去する。
12の連続するゲノム欠失をE. coli株K-12 MG1655から構築した。12の欠失領域は、1部では、E. coli株O157:H7 EDL933および株K-12 MG1655のゲノムDNA配列比較の結果として、欠失について選択した。これらの欠失は、下記の表1に列挙している。配列の番号付けは、公表されたK-12配列から採用した。
1番目の欠失MD1は、Posfai, G. et al., Nucl. Acids Res. 27:4409-4415 (1999)に記載された方法を使用して構築した。この方法をMD1欠失の構築に使用し、FRT部位を含む114-bpのpSG-CSベクター配列を染色体中に欠失部位において残した。MD2〜MD6欠失は、上述の手順1を使用して構築した。欠失MD7〜MD12は、手順4と手順1または2の組合せを使用して構築した。各新しい欠失の系統表示およびゲノム配位は、以下のとおりである:MD1 263080〜324632;MD2 1398351〜1480278;MD3 2556711〜2563500;MD4 2754180〜278970;MD5 2064327〜2078613;MD6 3451565〜3467490;MD7 2464565〜2474198;MD8 1625542〜1650862;MD9 4494243〜4547279;MD10 3108697〜3134392;MD11 1196360〜1222299;MD12 564278〜585331。
下記の表2は、さらなる欠失の候補として同定したE. coliゲノムの他のセグメント、遺伝子および領域を示している。これらのセグメントも細菌ゲノムから成功裏に除去された。この場合も、これらの欠失は、実験および工業用途における上記細菌の有用性に対する何ら明らかな有害作用なしに構築された。この場合も、配列表示は、公表されたK-12配列から採用している。2セットの欠失は、総計で元の細菌ゲノムの約14%であった。フランキングDNAが宿主の増殖および生存に不可欠な遺伝子を破壊しない限り、フランキングDNAと一緒に遺伝子自体も欠失させ得ることに注目されたい。
表8および表9は、目標から欠失させたあるいは欠失させる予定の遺伝子の欠失末端点のより正確な説明を示している。E. coli株MDS12 MDS40およびMDS73 (表8および9)は、目標株を構築するのに使用した中間株における欠失の末端点である。“b”ナンバーで特定された表9に挙げた遺伝子は、前出のBlattner et al., ScienceおよびGenBank Accession No. 400096において記載された表示に基づいている。表8の番号付けも前出のBlattner et al.に基づいている。
形質転換頻度
外来DNAをE. coli欠失株のゲノム中に宿主細菌細胞が分裂し増殖するときに組込みDNAを維持するような形で導入することは望ましいことである。外来DNAの細菌宿主ゲノムへの導入方法は形質転換と称され、外来DNAを有する生物体は形質転換生物体と称される。
当該技術においては、高形質転換効率を有するE. coli株が求められている。
E. coli株MDS39を、親E. coli株MG1655中に39の欠失(ゲノムの約14.1%)を構築することによって構築し、エレクトロポレーションにより効率的に形質転換されていることを見出した。この高効率の形質転換は大サイズのBAC (細菌人工染色体)DNAの取込みにまで及び、株MDS39を広範囲の用途においてとりわけ価値あるものにしている。
非メチル化BAC DNAによって形質転換させたときには、株MDS39における形質転換効率は、株DH10Bにおける形質転換効率よりも高く(表3)、一方、株MDS31における形質転換効率は、株MDS39およびDH10Bの双方における形質転換効率よりも低かった。株MDS31における形質転換の低効率は、非メチル化DNAが株中における制限に対する対象であるという事実による。何故ならば、MDS31がr+m+株であるのに対し、DH10BおよびMDS39の両株はr-m-株であるからである。
エレクトロポレーション応答性細胞をInvitrogen Electroporator II 取扱書に記載さているようにして調製した。要するに、200-ml培養物をOD550 = 0.5まで増殖させ、次いで、繰り返しの遠心処理および懸濁により、細胞を遠心処理により収集し、氷冷水中で2回、氷冷10%グリセリン中で1回洗浄した。最終段階において、細胞ペレットを0.4 mlの10%グリセリン中に懸濁させ、40μg部に小分けし、−80℃で保存した。
幾つかの試験を実施したが、結果は大きく変動し得る。2回の典型的な個別試験(2並列試験の各々)の平均を表5に示す。
また、化学形質転換方法を使用したMG1655、MDS40およびDH10Bにおける形質転換効率も使用した。応答性細胞は簡単な方法で調製した。50-ml培養物を冷却し、OD550 = 0.4で遠心処理により収集し、次いで、繰り返しの遠心処理および懸濁により、1/20容量の氷冷CaCl2溶液(10 mMトリス pH 7.5、15%グリセリン、60 mM CaCl2)で2回洗浄した。次いで、細胞を氷上で1時間インキュベートし、200-μl部に小分けし、−80℃で保存した。
上述したように、本発明の方法により製造した欠失株は、ある種の培養条件下で増殖する強い能力を有することが望ましい。増殖試験を以下のようにして実施した。
37℃におけるE. coli株細胞の分による倍増時間の比較を96ウェルプレートリーダー(SpectraMax plus、Molecular Devices社)により振盪しながら測定した。増殖曲線の対数直線部分を使用して、上記プレート上の6回の繰返しから平均倍増時間と標準偏差を算出した。この装置は、比較測定を行う便利な方法を提供するものの、細胞をあまり良好に通気(areate)しないため、増殖速度は振盪フラスコにより得られる場合よりも約2倍程度遅くなる。
欠失株が、同じ最終密度までではないが、最少培地中で元のMG1655と同じ増殖速度で増殖することは明らかである。欠失は、富化限定培地(rich defined medium)ではあまり速くは増殖しないが同じ最終密度である。これらの小さな差異の理由を検証することは興味のあることであろうが、最少培地中で強い増殖能力を実質的に保ちながらゲノムを縮小させるという目的は、明らかに達成されている。
Claims (12)
- 遺伝子操作されて天然親E. coli菌株の染色体よりも5%〜40%小さい染色体を有するE. coli細菌であって、ここで、該E. coli細菌の染色体は、染色体から挿入配列(IS)である全てのDNAセグメントを欠失し、かつ、該E. coli細菌の染色体は、欠失過程において細菌ゲノムへ導入された外来DNA配列として定義され欠失過程が2度以上使用された場合に潜在的な望ましくない相同的組換え問題を生じさせる瘢痕を含まない、E. coli細菌。
- 該染色体が天然親株の染色体よりも少なくとも7%小さい、請求項1記載の細菌。
- 該染色体が天然親株の染色体よりも少なくとも8%小さい、請求項1記載の細菌。
- 該染色体が天然親株の染色体よりも少なくとも14%小さい、請求項1記載の細菌。
- 該染色体が天然親株の染色体よりも少なくとも20%小さい、請求項1記載の細菌。
- 4.27 Mbよりも小さい染色体を有する、請求項1記載の細菌。
- 4.00 Mbよりも小さい染色体を有する、請求項1記載の細菌。
- 天然親株と比較したとき、そのたんぱく質コード遺伝子の少なくとも9%が欠落している、請求項1記載の細菌。
- 天然親株と比較したとき、そのたんぱく質コード遺伝子の約15.6%が欠落している、請求項1記載の細菌。
- 天然親株と比較したとき、そのたんぱく質コード遺伝子の約21.5%が欠落している、請求項1記載の細菌。
- ペリプラズムへ分泌されるまたはペリプラズム中で加工されるたんぱく質をコード化する1種以上の遺伝子を欠失させた、請求項1記載の細菌。
- 前記1種以上の遺伝子が、fliY、yedO、nfnB、tauA、mppA、tynA、chiA、fimC、fecB、ygiH、yagP、またはyhcAから選択される、請求項11記載の細菌。
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