JP5253794B2 - 鉛フリー接合用材料およびその製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、鉛フリー接合用材料およびその製造方法に関するものである。
従来、代表的な接合用はんだ材料であるSn−Pb系はんだ合金を使用したはんだ付け方法として、半導体装置内部はPb−5Snはんだ(融点:310〜314℃)で、はんだ付けした後、半導体装置自身を基板に接続するリフローはんだ付けには半導体装置内部のはんだ付け部を溶かさないために融点の低いSn−37Pb共晶はんだ(融点:183℃)で接続する温度階層接続が適用されている。
一方、環境の問題からRoHS指令を始めとしたPbフリー化への対応が求められており、リフロー用はんだとしては、Sn−Ag−Cu系共晶系合金が実用化されている。他方、高温はんだについては、Au−20Sn(融点:280℃)が知られているが、Pb−Sn系はんだに対してコストや機械的特性の点で劣っているため殆ど使用されておらず、他の成分系についても実用化には至っていないため、EUが電子機器などに含まれるPbなどの特定有害物質を規制するRoHS指令においてもPb高温はんだについては除外項目となっている。
また、高温はんだ合金の開発に関しては、例えば特開2003−260587号公報(特許文献1)には、Sn−Cu系はんだが記載されている。この方法によると、Sn粉末とCu粉末とを混合した材料をはんだペーストとして用い、高温はんだ付け時には、Sn粉末が溶けてはんだ付けに寄与すると同時に、Cu粉末と反応して高融点のSn−Cu金属間化合物相が生成する。この化合物相はリフロー時には溶けずにはんだ付け部の強度を保つ働きをするものである。
特開2003−260587号公報
しかしながら、上述した特許文献1の発明によると、実用的に使用される粉末は10μm程度の大きさであるため、Sn粉末とCu粉末との界面に生成する金属間化合物相の組織はCu粉末の表面に形成されるため粗く、強度にばらつきが生じると共に、強度重視のためにはCu粉末を多く使用しなければならないため、Sn粉末に起因するはんだ付け特性が低下するなどの問題がある。さらに金属間化合物の生成は融液状態のSnと固体状態のCuとの拡散反応によるため強度維持に寄与するCu6 Sn5 金属間化合物相の生成速度が遅く反応させるのに時間がかかるなどの問題もある。
上述のような問題を解決するために、発明者らは鋭意開発を進めた結果、2種類の元素A及びBからなる合金で、元素Aが元素Bより融点が高く、元素Bからなる常温安定相と元素A及びBからなる常温安定相Am n (m,nは合金系による固有の数値)を有する合金において元素Aを元素Bからなる常温安定相中に過飽和固溶させることによって作製した接合材料を用い、過飽和固溶体が分解して常温安定相Am n が析出する温度に保持して溶解接合させることによってリフロー時の接合強度を維持することができることを見出した。
なお、「m,nは合金系による固有の数値」とは、状態図で融点や融点近傍から常温まで元素Aと元素Bが一定の比率のままの状態を維持するような配合比を構成する数値であり、一例として前述したCu6 Sn5 金属間化合物相の場合であれば、元素AがCu、元素BがSnであり、mが6、nが5である。この「合金系による固有の数値」のmとnの値自体は、状態図を見ることでどのような組み合わせがあるのかが分かる。
本発明の一例であるSn−Cu系はんだ合金を基にして手段の詳細及び目的を説明する。Sn−Cu系合金を急冷してCuを強制固溶させたSn相を主成分とした合金を作製する。このSn固溶相は230℃付近で溶解してはんだ付けされた後の凝固時に安定相であるSn−Cu相とSn相とに2相分離し、リフローはんだ付け時には高融点のSn−Cu相が強度を保つ役目をする等、はんだ付け部の強度にばらつきがなく、しかも強度とはんだ付け特性とのバランスに優れた高温鉛フリーはんだ合金およびその製造方法を提供することにある。
その発明の要旨とするところは、
(1)Pb以外の元素から選択した2種類の元素A及びBからなる合金で、元素Aが元素Bより融点が高く、元素Bからなる常温安定相と元素A及びBからなる常温安定相Amn (m,nは常温での安定相を構成する合金による固有の数値、AはCu,Mn,Niの1種、BはSn,In,Biの1種)を有する合金であって、Cu 6 Sn 5 、MnSn 2 、In 27 Ni 10 、InMn 3 およびBi 3 Niから構成され、それぞれが、Cu 6 Sn 5 のCu:14〜45%、MnSn 2 のMn:15〜35%、In 27 Ni 10 のNi:5〜29%、InMn 3 のMn:8〜50%、およびBi 3 NiのNi:5〜25%からなり、かつ元素Bからなる常温安定相中に元素Aを過飽和固溶させることを特徴とする鉛フリー接合用材料。
(2)常温安定相Amn (m,nは常温での安定相を構成する合金による固有の数値、AはCu,Mn,Niの1種、BはSn,In,Biの1種)の融点が元素Bからなる常温安定相の融点より高いことを特徴とする前記(1)記載の鉛フリー接合用材料。
(3)前記(1)に記載の組成からなる溶湯を急冷凝固して、元素Bからなる常温安定相中に元素Aを過飽和固溶させることを特徴とする鉛フリー接合用材料の製造方法にある。
以上述べたように、本発明による合金と急冷を利用することにより、従来のPb−5Snなどの高温はんだが用いられていた高温はんだ付けに対応でき、高温はんだ付け後のリフロー温度でのはんだ付けでは、はんだ付け部の強度が保たれるPbフリーはんだであり、かつ、はんだ付け部の強度にばらつきがなく、しかも強度とはんだ付け特性とのバランスに優れた経済性や高温はんだとしての基本特性に優れた鉛フリーはんだを製造することが出来る極めて優れた効果を奏するものである。また、本発明の範囲で元素を組合わせるによって、従来のはんだ付け温度より高い温度でのろう付けや、従来のはんだ付け温度よりさらに低い温度で接合した後、同様の温度に再過熱した際に接合強度を保ちたい用途にも対応できる接合材料を得ることが可能になる。
以下、本発明の一例であるSn−Cu系はんだ合金を基にして詳細に説明する。
発明者らは平衡状態図的には存在し得ないSn固溶体が急冷プロセスによって製造できることに着目して鋭意検討を重ねた結果、具体的には平衡状態図において、Snと隣り合う位置にリフロー温度以上の融点の金属間化合物Cu6 Sn5 を示す金属Cuを用いてSn−Cu合金を製造する。しかも急冷プロセスではない方法を用いた場合、この合金はCu含有量に応じて平衡状態図通りの割合でSnとCu6 Sn5 金属間化合物の二相組織になる。
しかし、アトマイズ法やメルトスパン法などの急冷プロセスによって合金を作製することにより、本来Cu6 Sn5 金属間化合物を生成するはずのCuがSn中に強制固溶され、結果的にSn固溶体としてSnと同様の相を構成し、急冷された合金中では高融点相であるCu6 Sn5 金属間化合物の量は合金中のSnとCuの比率から計算される理論量よりも大幅に少なくなる。また、逆に、はんだ付けに寄与するSn相はSn固溶体相として存在するため理論量より大幅に増える。
そこで、はんだ用材料としては、上記急冷プロセスによって製造された合金は大半がSn固溶体相であり、この状態で提供し、はんだ付けし普通に冷却すれば、急冷プロセスではない方法を用いた合金である固体状態になる。これが本発明の基本的な考え方である。これにより低温(約250℃)ではんだ付けができ、その上、そのはんだは高温(約400℃以上)でもCu6 Sn5 相によって固体を保持することができる。
上述のように、これら合金を用いてはんだ付けすると、はんだ付け時には多量に存在するSn固溶体相が230℃付近で溶融して通常のPbはんだを用いた場合と同様に良好なはんだ付けが可能である。そして、はんだ付けされた後の冷却は急冷でないため、溶融後や冷却時には合金中のSnとCuの比率から計算される理論量通りの高融点相(Cu6 Sn5 金属間化合物)が形成される。また、本発明によると高融点相は粉末の内部からも析出するためSn粉末とCu粉末とを混合して反応させる従来発明で記載されていた粒度である10μmよりも粗い粒度、例えば標準的なはんだ粉末の粒度である40μm以下の粒度であっても良好なはんだ付けが可能となる。
このCu6 Sn5 金属間化合物は250℃以下であるリフロー温度では溶融しないため、リフローはんだ付け時には当初のはんだ付け部は充分な強度が保たれる。また、この化合物相は急冷されたほぼ均一な組織が完全に溶融した後、平衡状態図に従って凝固した極めて微細均一な組織となり、従来発明のように液相と固相との拡散に頼った組織ではないために化合物生成速度も速く、しかも残留Cuのないため強度のばらつきもない。
さらに、Sn−Cu系合金中のCu含有量は14〜45%が最適である。その理由は、はんだ付けに寄与するSn固溶体量とはんだ付け後の強度維持に寄与するCu6 Sn5 金属間化合物量とのバランスで決定される。発明者らはCu含有量の範囲について詳細に検討した結果、Cu量が45原子%を超えると急冷法であっても、Cu6 Sn5 金属間化合物生成量が大幅に多くなり、はんだ付けに寄与するSn固溶体量が減少し、良好なはんだ付けが困難となるため、その上限を45原子%とした。また、Cu量が14原子%未満では、はんだ付け後の強度維持に寄与するCu6 Sn5 金属間化合物量が十分に確保できない。以上より、Cu量の範囲を14〜45原子%とした。好ましくは25〜45原子%とする。
この特性は元素BをSnのままで、元素AをMnとした場合も同様である。Sn−Mn系はんだ合金では高融点の金属間化合物としてMnSn2 を生成するが、Mnの範囲を15〜35原子%とした合金成分にて、急冷プロセスによりMnをSn中に過飽和固溶させることにより、良好なはんだ付け性を確保すると共に、はんだ付け後の強度維持に寄与するMnSn2 相の析出バランスが良好になり、同様の温度に再加熱した際に接合強度を保つことができる。
同様の知見をSnの融点である232℃より融点が高いBiや融点が低いInを元素Bとし、各元素において本発明を適用させることができる元素Aとの組合わせによって、前述したとおり通常のはんだ付け温度より高い温度でのろう付けや通常のはんだ付け温度より低い温度で接合した後、同様の温度に再加熱した際に接合強度を保ちたい用途にも対応できる接合材料を得ることが可能になる。
例えば融点が271℃であるBiを元素Bとした場合は元素Aとして、Niなどがあり、156℃であるInを元素Bとした場合は元素Aとして、Ni,Mnなどがある。なお、ロウ材の融点が接合の容易性を左右するため、これを考慮すると元素Bの融点は810℃以下とすることが好ましい。
なお、[0016]に示した考え方と同様、In−Ni系合金ではIn27Ni10金属間化合物を利用するためにNi含有量を5〜29原子%とすることが望ましく、In−Mn系合金ではInMn3金属間化合物を利用するためにMn含有量を8〜50原子%とすることが望ましい。また、Bi−Ni系合金ではBi3Ni金属間化合物を利用するためNi含有量を5〜25原子%とすることが望ましい。
本発明の一例であるSn−Cu系はんだ合金を基にして最良の形態について詳細に説明する。Sn−Cu系においては、Sn−(14〜45%)Cu合金をアトマイズ法やメルトスパン法および水中紡糸法などの急冷法によって作製する。そのときの形状については特に限定するものではなく、粉末、線、棒、薄帯、板等でもよい。本発明の組成範囲のSn−(14〜45%)Cu合金中では、急冷しなければSn相とCu6 Sn5 金属間化合物が平衡状態図に従った割合で存在する。しかし、急冷することによって相当のCuがSn相に強制固溶されたSn固溶体は、本来のSn相とほぼ同等の230℃近傍で溶融し、良好なはんだ付けに寄与する。
急冷する方法は上述したように、アトマイズ法やメルトスパン法などがあるが、特に、ヘリウムガスアトマイズ法やメルトスパン法が急冷手段としては有効である。しかし、ディスクアトマイズやアルゴンアトマイズ、窒素ガスアトマイズは、はんだ粉末を量産的に製造する手段としては非常に有効であり、その冷却速度はアトマイズされた後の粉末粒径に依存するため、手段であっても細粒については、本発明の範疇に帰属するものである。また、例えば水中紡糸法によれば線材が得られる。また、中紡糸法と矯正または引抜き加工をすれば棒線が得られる。
図1は、本発明に係るSn−Cu組成例のはんだ付け前(急冷状態)とはんだ付け後のX線回折パターンについて示す図である。この図に示すように、はんだ付け前はSn固溶体相のピークがCu6 Sn5 金属間化合物相ピークよりも高いが、はんだ付け後のピーク高さは逆転しており、Sn相に固溶されていたCuが、はんだ付け溶融時に吐き出されてSnと反応し、金属間化合物相に変化したことを示している。
図2は、本発明に係るSn−Cu組成例のはんだ付け前後のDSC曲線との比較を示す図である。この図に示すように、はんだ付け前の急冷状態の合金では、230℃付近にSn(Sn固溶体)の明瞭な吸熱反応(溶解)ピークが認められるのに対し、はんだ付け後の合金を再度DSCにかけると強度減少の原因となるSnの溶解ピークは非常に小さくなっていることがわかる。
図3は、本発明に係るSn−Cu組成例の合金のはんだ付け前後の組織を示す顕微鏡写真である。この図に示すように、はんだ付け前の急冷状態では、Sn(Sn固溶体)とCu6 Sn5 金属間化合物の二相組織が明瞭に区分できないが、はんだ付け後は明瞭に二相組織が認められ、多くのCu6 Sn5 金属間化合物が形成されていることが分かる。
図4は、Sn−Mn合金組成例のはんだ付け前(急冷状態)とはんだ付け後のX線回折パターンについて示す図である。この図に示すように、はんだ付け前はSn固溶体相のピークがMnSn2 金属間化合物相ピークよりも高いが、はんだ付け後のピーク高さは、Sn−Cu合金と同様に逆転していることが分かる。
図5、図6、図7はIn−Ni合金、In−Mn合金およびBi−Ni合金の組成例でのはんだ付け前(急冷状態)とはんだ付け後のX線回折パターンについてそれぞれ示す図である。はんだ付け前は、元素BをInとした合金では、In固溶体相のピークが元素AをNiとした時のIn27Ni10、および元素AをMnとしたときのInMn3金属間化合物相よりも高いが、はんだ付け後は逆転していることが分かる。同様に元素BをBiとしたBi−Ni合金では、Bi固溶相のピークがBi3Ni金属間化合物相よりも高いが、はんだ付け後は逆転している。このようにSn−Cu合金以外も本発明の知見を適用することで、過飽和金属相より、はんだ付け温度によって高融点金属間化合物を形成し、本発明の意図する特性発揮が可能である。
以下、本発明について実施例によって具体的に説明する。
(実施例1)
表1は、Cu−Sn系合金について、はんだ付け時の濡れ性とはんだ付け後の250℃再加熱時のはんだ付け部強度を記した組成の比較表である。表中、はんだ付け時の濡れ性の評価については、Cu板上にはんだを塗布した状態で加熱後のはんだ塗布部の変化を確認し、◎:濡れ性が優れている(はんだが十分に広がる)、○:濡れ性が良い(はんだが広がる)、×:濡れ性が悪い(はんだが塗布状態から広がらない)とした。また、250℃再加熱時の強度についての評価については、◎:強度が優れている、○:強度が良い、△:強度がやや劣る、×:強度が劣る。
Figure 0005253794
表1に示すように、No.1〜4が本発明例であり、No.5〜8が比較例である。
比較例No.5はCu含有量が低いために、250℃再加熱時の強度が劣る。比較例No.6はNo.5と同様に、Cu含有量が低いために、250℃再加熱時の強度が劣る。比較例No.7はCu含有量が高いために、はんだ付け時の濡れ性が悪い。比較例No.8はさらにCu含有量が高いために、はんだ付け時の濡れ性が悪い。
これに対し、本発明例はいずれも本発明の条件を満たしていることから、はんだ付け時の濡れ性とはんだ付け後の250℃再加熱時のはんだ付け部強度が優れていることが分かる。ただ、本発明例No.1は成分バランス的に急冷組織においても強度維持に寄与するCu6 Sn5 金属間化合物相の固溶した割合が少ないことにより、250℃再加熱時の強度がやや落ちた。また、本発明例No.4は成分バランス的に急冷組織においても良好なはんだ付けに寄与するSn固溶体相割合が少ないために、はんだ付け時の溶融量が若干少なく、結果的に濡れ性とはんだ付け後の250℃再加熱時のはんだ付け部強度がやや落ちたことを示している。
(実施例2)
表2は、Sn−Mn系合金について、はんだ付け時の濡れ性とはんだ付け後の250℃再加熱時のはんだ付け部強度を記した組成の比較表である。表中、はんだ付け時の濡れ性の評価については、実施例1と同じ評価で行った。
Figure 0005253794
表2に示すように、No.1〜2が本発明例であり、No.3〜5が比較例である。
比較例No.3はMn含有量が低いために、250℃再加熱時の強度が劣る。比較例No.4はMn含有量が高いために、はんだ付け時の濡れ性ならびに250℃再加熱時の強度共に劣る。No.5は、成分バランス的に急冷組織においても良好なはんだ付けに寄与するSn固溶体相の割合が少なくはんだ付け時の濡れ性が悪い。これに対し、本発明例はいずれも本発明の条件を満たしていることから、はんだ付け時の濡れ性とはんだ付け後の250℃再加熱時の強度が優れていることが分かる。
(実施例3)
表3は、In−Ni合金について、はんだ付け時の濡れ性とはんだ付け後の250℃再加熱時のはんだ付け部強度を記した組成の比較表である。表中、はんだ付け時の濡れ性の評価については、実施例1と同じ評価で行った。
Figure 0005253794
表3に示すようにNo.1〜No.2が本発明例であり、No.3〜No.4が比較例である。
比較例No.3はInによりはんだ付け時の濡れ性は良好なものの、Ni含有量が低いために、はんだ付け後の250℃再加熱時のはんだ付け部強度が低い。比較例No.4はNi含有量が高いためにはんだ付け時の濡れ性が悪い。これに対し、本発明例はいずれの組成も本発明の条件を満たしていることから、はんだ付け時の濡れ性とはんだ付け後の250℃再加熱時の強度が優れている事が分かる。
(実施例4)
表4は、In−Mn合金について、はんだ付け時の濡れ性とはんだ付け後の250℃再加熱時のはんだ付け部強度を記した組成の比較表である。表中、はんだ付け時の濡れ性の評価については、実施例1と同じ評価で行った。
Figure 0005253794
表4に示すように、No.1〜No.3が本発明例であり、No.4〜No.5が比較例である。
比較例No.4はMn含有量が低いために、はんだ付け時の濡れ性は良好なものの、250℃再加熱時の強度が劣る。比較例No.5はMn含有量が高いために、はんだ付け時の濡れ性が悪い。これに対し、本発明例はいずれの組成も本発明の条件を満たしていることから、はんだ付け時の濡れ性とはんだ付け後の250℃再加熱時の強度が優れている事が分かる。
(実施例5)
表5は、Bi−Ni系合金について、はんだ付け時の濡れ性とはんだ付け後の300℃再加熱時のはんだ付け部強度を記した組成の比較表である。なお、Biは融点が高いためはんだ付け温度、再加熱の温度も300℃としている。表中、はんだ付け時の濡れ性の評価については、実施例1と同じ評価で行った。
Figure 0005253794
表5に示すように、No.1〜2が本発明例であり、No.3〜4が比較例である。
比較例No.3はNi含有量が低いために、300℃再加熱時の強度が劣る。比較例No.4はNi含有量が高いために、はんだ付け時の濡れ性が悪い。これに対し、本発明例はいずれの組成も本発明の条件を満たしていることから、はんだ付け時の濡れ性とはんだ付け後の300℃再加熱時の強度が優れている事が分かる。
本発明に係るSn−Cu合金組成例のはんだ付け前(急冷状態)とはんだ付け後のX線回折パターンについて示す図である。 本発明に係るSn−Cu合金組成例のはんだ付け前後のDSC曲線との比較を示す図である。 本発明に係るSn−Cu合金組成例の合金のはんだ付け前後の組織を示す顕微鏡写真である。 本発明に係るSn−Mn合金組成例のはんだ付け前(急冷状態)とはんだ付け後のX線回折パターンを示す図である。 本発明に係るIn−Ni合金組成例のはんだ付け前(急冷状態)とはんだ付け後のX線回折パターンを示す図である。 本発明に係るIn−Mn合金組成例のはんだ付け前(急冷状態)とはんだ付け後のX線回折パターンを示す図である。 本発明に係るBi−Ni合金組成例のはんだ付け前(急冷状態)とはんだ付け後のX線回折パターンを示す図である。

Claims (3)

  1. Pb以外の元素から選択した2種類の元素A及びBからなる合金で、元素Aが元素Bより融点が高く、元素Bからなる常温安定相と元素A及びBからなる常温安定相Amn (m,nは常温での安定相を構成する合金による固有の数値、AはCu,Mn,Niの1種、BはSn,In,Biの1種)を有する合金であって、Cu 6 Sn 5 、MnSn 2 、In 27 Ni 10 、InMn 3 およびBi 3 Niから構成され、それぞれが、Cu 6 Sn 5 のCu:14〜45%、MnSn 2 のMn:15〜35%、In 27 Ni 10 のNi:5〜29%、InMn 3 のMn:8〜50%、およびBi 3 NiのNi:5〜25%からなり、かつ元素Bからなる常温安定相中に元素Aを過飽和固溶させることを特徴とする鉛フリー接合用材料。
  2. 常温安定相Amn (m,nは常温での安定相を構成する合金による固有の数値、AはCu,Mn,Niの1種、BはSn,In,Biの1種)の融点が元素Bからなる常温安定相の融点より高いことを特徴とする請求項1記載の鉛フリー接合用材料。
  3. 請求項1に記載の組成からなる溶湯を急冷凝固して、元素Bからなる常温安定相中に元素Aを過飽和固溶させることを特徴とする鉛フリー接合用材料の製造方法。
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