JP5253382B2 - 加工品の表面点に接触するための方法および装置 - Google Patents
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Description
触針が、画定された接触力で表面点に触れるまでプローブヘッドを加工品に対して移動させる工程とを含む。
代表的な座標測定機は、加工品に対して移動することができる測定ヘッドを有する。測定ヘッドは、加工品の表面点に対して画定された位置に測定ヘッドを導くことができるセンサを備えている。多くの場合、表面点は、触針により接触されるか、または触れられる。したがって、上記の座標測定機の測定ヘッドは、通常、接触プローブヘッドと呼ばれている。接触される表面点の空間座標は、接触の後、測定容積内のプローブヘッドの位置から、可能な場合は触針の変位と変形から測定することができる。加工品の複数の表面点に接触することにより、幾何学的寸法と形状輪郭とを記録することができる。
高い測定精度を必要とする用途では、接触工程中の、触針の弾性変形、さらには座標測定機の弾性変形を考慮に入れることも必要である。この目的のために、接触力、すなわち触針が表面点上を圧する力は、既知であるか、または測定される必要がある。一方では、触針、座標測定機および同様に加工品の弾性変形を小さく保つことができるような小さな接触力が望ましい。他方では、確実に触針を選択された表面点に「正しく」接触させるために、ある程度の接触力が必要である。接触動作に応じて曲がる極めて柔軟な加工品を測定または接触するために、正確に画定された接触力も同様に望ましい。
ヒステリシス作用の影響を最小限にするために、様々な提案がなされてきた。冒頭で述べた下記特許文献1は、交互に異なる接触力を利用して、連続して数回にわたり、加工品の表面点に接触することを提案している。この文献では接触力の設定が、あるヒステリシスを同様に受けやすいことを明らかにしている。しかし、提案された方法によって、取得された測定値を平均することにより測定精度を向上させることが可能である。しかし、この方法では、表面点が接触力を変えて数回にわたって接触されなければならず、それは、一方では測定時間を増加させ、他方では極めて柔軟な加工品の場合に扱いづらいため、不利である。
また、下記特許文献7は、少なくとも2つの異なる操作モードで使用することができる座標測定機を操作するための方法を提案している。第1の操作モードでは、プローブヘッドは、CNC制御により、すなわち自動的に移動する。第2の操作モードでは、プローブヘッドは、制御コンソール等を操作する作業者により、手動で移動する。表面点との接触は、異なるヒステリシス効果に起因する異なる測定結果を回避するために、両方の操作モードで同じ方向性で実行されるべきであると提案されている。
本発明の別の態様によると、この目的は、静止位置に対する触針のヒステリシス作用を表す補正データ記録が提供されるメモリと、この補正データ記録を用いることにより接触力を定めるように設計された計算ユニットとをさらに含む、本発明の装置により達成される。
新たな方法と新たな装置は、ヒステリシス効果の補正がプローブヘッドの設計または触針の特殊な実装と原理上無関係であるという利点をさらに有する。したがって、新たな方法と新たな装置は、能動プローブヘッドと受動プローブヘッドの両方に使用することができ、個々の補正データ記録は、使用されるプローブヘッドに応じて取り替えるだけでよい。しかし、基本的な手順は、両方のプローブヘッドにおいて同じであってもよい。
本発明の別の構成では、所望の接触力は、補正データ記録を用いることにより定められ、触針は、画定された接触力を生成するために、その画定された静止位置から移動する。
この構成は、画定された接触力を設定するために既存の制御機構を変えることなく利用することができるので、既知の座標測定機のコントローラ内に容易に、経済的に組み込まれてもよい。設定点の仕様は、単に新たな補正データ記録を用いることにより定められる。本発明のこの構成は、能動的な測定力の印加をともなうプローブヘッドに、特に、接触力がプローブヘッド基部に対する触針の画定された変位により設定される受動プローブヘッドに適している。
上記アクチュエータは、特に、プローブヘッド基部と触針との間に配置されるプランジャーコイルであってもよく、それにより、プローブヘッド基部に対する触針の変位は、コイルを通る制御電流により設定することができる。この構成は、画定された接触力を極めて正確に、かつ触針の変位に独立して設定することができるので有利である。大きな接触力は、小さな変位でも設定することができ、ヒステリシス効果を最小限にするのに有利である。
この構成は、特に、上記の種類のアクチュエータを有していない受動プローブヘッドに適している。しかし、原理上、能動プローブヘッドに対してこの構成を利用してもよい。この構成では、新たな方法を受動プローブヘッドと併用して容易に、そして安価に利用することができる。
この構成は、実際に加えられる接触力のさらに正確な表示を可能にするので有利である。したがって、新たな装置のユーザーは、より積極的な制御の機会を得る。
別の構成では、補正データ記録が、プローブヘッド基部に対する触針の変位に応じて画定されたヒステリシス力を表し、接触力は、画定されたヒステリシス力に応じて測定される。
この構成では、補正値は、触針が第1の空間方向に移動した後に、補正データ記録から選択される。選択された補正値は、触針が反対の第2の空間方向に移動するまで保たれている。このように、触針が、第1の空間方向に移動した後に、「単に」その静止位置に戻る限り、選択された補正値は保たれている。この構成は、新たな方法と新たな装置の容易で効率的な実施を可能にし、一方では、触針のヒステリシス作用は、高精度で補正される。新たな補正値は、触針が一方の空間方向に移動した後にその静止位置を越えて反対の空間方向に移動するまで選択されない。
この構成では、選択された補正値は、ヒステリシス効果が補償されたか、または反対の変位のために反転されたとみなされるまで保たれている。したがって、補正値は、しきい値方法またはしきい値の決定で選択される。これは、ほんのわずかの補正値しか必要とせず、新たな装置のメモリの必要性を軽減する容易な実施を可能にする。
代わりの構成では、触針が第2の空間方向に移動するとすぐに選択された個々の補正値が、削減される。
この構成では、触針の変位が方向の変化を受けるとすぐに触針が反対の第2の空間方向に移動する距離にかかわりなく、新規のまたは適応した補正値が使用される。この構成を用いて、触針の方向の変化により生じる変更されたヒステリシス作用に、より迅速に、より正確に反応することができる。
別の構成では、表面点に接触する際の触針の変形が接触力に応じて測定される。好ましくは、プローブヘッドおよび/またはツール用のサポートフレームの変形も接触力に応じて測定される。
上記そして以下に説明される特徴は、本発明の範囲から逸脱することなく各々示される組合せのみでなく、他の組合せまたは単独で利用されてもよい。
x方向に移動することができる担架16は、構台14の上部ブリッジ上に配置されている。担架16は、z方向に移動することができるラム18を有している。ラム18の下部自由端には、触針22を含むプローブヘッド20が設けられている。その自由端に、触針22は、加工品26上の表面点24に接触するために使用されるプローブボール23を有している(図2参照)。
触針22は、移動部50上に配置され、その移動部50は、2つの板ばね52、54を通じてプローブヘッド基部56に接続されている。板ばね52、54により、触針22を含む移動部50は、プローブヘッド基部56に対して移動することができる。2つの相互に反対の運動方向は、矢印58、60で示されている。
参照番号62は、アクチュエータを示し、そのアクチュエータ62により部分50は、プローブヘッド基部56に対して移動することができる。本実施形態では、アクチュエータ62は、2つの肢部64、66の間に配置されるプランジャーコイルである。一方の肢部64は、移動部50に接続されており、他方の肢部66は、プローブヘッド基部56に接続されている。アクチュエータ62は、別々に肢部64、66を押圧するか、または、それらの肢部を共に引くことができ、そのために触針22は部分50とともに空間方向58または、空間方向60に移動する。
図3では、制御装置34のメモリ48内に保存される補正データ記録の全体が参照番号74により示されている。補正データ記録74は、ここではヒステリシス曲線の形で表されている。運動方向58、60での触針22の変位が、基底座標系の横座標76上で示されている。触針22が対応する変位の後に加工品26の表面点24上に加えるヒステリシス力が、縦座標78に示されている。表示される例示的な実施形態では、触針2の変位は、横座標76上ではmmで示されている。縦座標78上のヒステリシス力は、mNで示されている。
触針22が加工品26上の表面点24に接触する接触力は、補正データ記録74により以下の通りに補正される。座標測定機10の最初の設定の後、または任意の新規設定の後は、触針がヒステリシスのない状態であると仮定される。触針22が、初めて座標原点90に対応するその静止位置から、0.5mm(またはそれ以上)移動するまで補正は初期には行われない。触針22が正のx方向に1mmだけ移動すると仮定する。上記の変位に対して、補正データ記録74から、約3mNのヒステリシス力を読み出すことができる。触針22が正のx方向に1mmを超えて移動するまで、または、触針22が負のx方向に0.2mmだけ移動するまで(参照番号92)、すべての後続の接触力はこの補正値(参照番号82)で補正される。前者の場合、補正値は、曲線74上で補正値84の方向に「移動する」。後者の場合、触針が曲線74上で点92に達するまで、補正値82は保たれる。
補正データ記録74の曲線形状から分かるように、最大の補正は、ここでは約4.5mN(補正値84)である。たとえ触針22が2.5mm以上移動するとしても、より強い接触力の補正は、ここでは起こらない。
測定値実行の開始においては、工程98にしたがって、ヒステリシス力HF(Xmax)をメモリ48から読み出す。言い換えると、適切な補正値が、先に検出された触針22の変位に応じて補正データ記録74から取り出される。座標測定機10を設定した後に、補正値HF=0が最初に利用される。
工程106にしたがって、触針22の変位Xが測定される。変位Xは、表面点24のX空間座標を測定するために、ならびに、接触力の本発明による補正のために必要である。
工程108にしたがって、能動プローブヘッドの場合、アクチュエータ62により生成される接触力が、さらに測定される。プランジャーコイルがアクチュエータとして使用される場合、例えばプランジャーコイルを流れる電流が測定されてもよい。
工程112にしたがって、実際の接触力が、ディスプレイ44上に表示されてもよい。工程114にしたがって、触針22の変形が、実際の接触力を用いてさらに測定される。その後、工程116にしたがって、走査された表面点24の空間座標が測定され、触針22の変形は、好ましくは、実際の接触力に基づいて考慮されている。見出される空間座標は、ディスプレイ44に出力されてもよい。
工程126にしたがって、触針22は、最初にヒステリシスがないと仮定される開始状態に設定される。その後、工程128にしたがって、力センサ(図示せず)上の表面点に接触する。力センサは、較正部品の働きをする。工程130にしたがって、力センサを用いて第1の接触力TF1が測定される。接触力TF1を参照値としてヒステリシスのない(少なくとも、そのように仮定される)変位のために利用する。
工程138にしたがって、接触力の間の差TF2(x)−TF1はヒステリシス力HF(x)として、すなわち補正データ記録74の補正値として保存される(工程140)。その後、ループ142にしたがって、補正データ記録74の次の補正値が測定される。
Claims (12)
- 加工品(26)上の表面点(24)に接触し、前記表面点の空間座標を測定するための方法であって、
プローブヘッド基部(56)と、前記プローブヘッド基部(56)に対して画定された静止位置を有し、かつ移動可能である触針(22)とを有するプローブヘッド(20)を供給する工程と、
前記触針(22)が画定された接触力で前記表面点(24)に触れるまで、前記プローブヘッド(22)を前記加工品(26)に対して移動させる工程と
を含み、
前記静止位置に対する前記触針(22)のヒステリシス作用を表す補正データ記録(48;74)が準備されて、前記接触力が前記補正データ記録(48;74)を用いて測定されることを特徴とする方法。 - 所望の接触力(100)が、前記補正データ記録(48;74)を用いることにより定められ、前記触針(22)が、前記所望の接触力に応じて、その画定された静止位置から移動し(102、104)、前記画定された接触力を生成することを特徴とする、請求項1に記載の方法。
- 前記所望の接触力に応じて駆動されるアクチュエータ(62)を用いて、力が前記触針(22)に加えられることを特徴とする、請求項1または2に記載の方法。
- 前記プローブヘッド(20)が、所望の接触力に応じて前記加工品(26)に対して移動することを特徴とする、請求項2または3に記載の方法。
- 実際の接触力が、前記補正データ記録(48;74)を用いることにより定められ(110)、前記実際の接触力が、出力のためにディスプレイ(44)上に与えられることを特徴とする、請求項1〜4のいずれか1項に記載の方法。
- 前記補正データ記録(74)が、前記プローブヘッド基部(56)に対する前記触針(22)の展開(76)に応じて画定されたヒステリシス力(78)を表し、前記接触力が、前記画定されたヒステリシス力に応じて測定されることを特徴とする、請求項1〜5のいずれか1項に記載の方法。
- 前記触針(22)が、その静止位置から少なくとも第1の空間方向および反対の第2の空間方向(58、60)に移動し、前記補正データ記録(74)が、複数の補正値(80、82、84、86、88)を含んでおり、それらの補正値を用いて前記接触力が定められ、個々の補正値(82)が、前記第1の空間方向(58)での触針(22)の最大の展開に応じて選択され、前記触針が前記第2の空間方向(60)に移動するまで前記選択された個々の補正値(82)が保たれていることを特徴とする、請求項1〜6のいずれか1項に記載の方法。
- 前記触針(22)が前記第2の空間方向に画定された最大変位(92)だけ移動するまで、前記選択された個々の補正値(82)が、保たれていることを特徴とする、請求項7に記載の方法。
- 前記触針(22)が前記第2の空間方向に移動するとすぐに前記選択された個々の補正値(82)が、削減されることを特徴とする、請求項7に記載の方法。
- 前記触針(22)が、少なくとも第1の軸方向、および前記第1の軸方向に対して横方向に延びている第2の軸方向(x、y、z)に移動することができ、第1の補正データ記録(48a)が前記第1の軸方向に与えられ、第2の補正データ記録(48b)が前記第2の軸方向に与えられ、前記接触力が、前記関連する補正データ記録を用いることにより個々の軸方向について測定されることを特徴とする、請求項1〜9のいずれか1項に記載の方法。
- 前記表面点に接触する際の前記触針の変形が、前記接触力に応じて測定される(114)ことを特徴とする、請求項1〜10のいずれか1項に記載の方法。
- 加工品(26)上の表面点(24)に接触し、特に前記表面点の空間座標を測定するための装置であって、
プローブヘッド基部(56)と、前記プローブヘッド基部(56)に対して画定された静止位置を有し、かつ移動可能である触針(22)とを有しているプローブヘッド(20)と、
前記表面点(24)を前記触針(22)と前記画定された接触力で接触させるために、前記加工品(26)に対して前記プローブヘッド(20)を移動させるための少なくとも1つのドライブ(15)と
を含み、
前記静止位置に対する前記触針(22)のヒステリシス作用を表す補正データ記録(74)が提供されるメモリ(48)と、前記補正データ記録(74)を用いて前記接触力を定めるように設計されている計算ユニット(46)とで特徴付けられる装置。
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