JP5252481B2 - 発光素子 - Google Patents
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Description
また、正孔注入層、電子注入層、電子ブロック層、正孔ブロック層などが積層された多層構造や三重項発光材料を用いた燐光有機EL素子などが提示されている(非特許文献1及び2参照)。
(1) 陽極と陰極の間に1層または複数層で形成される有機薄膜を有する素子であって、前記有機薄膜の少なくとも一層が下記式(1)に示す化合物を含有する、発光素子。
(2) 上記式(1)においてX1及びX2が硫黄原子である、(1)に記載の発光素子。
(3) 陽極と陰極の間にある前記有機薄膜が複数層で形成される、(1)又は(2)に記載の発光素子。
(4) 前記有機薄膜を形成する複数層が積層構造を有する、(1)から(3)のいずれか一つに記載の発光素子。
(5) 前記有機薄膜を形成する複数層の少なくとも一層が正孔輸送層である、(1)から(4)のいずれか一つに記載の発光素子。
(6) 上記一般式(1)に示す化合物を正孔輸送材料として正孔輸送層に含有する、(1)から(5)のいずれか一つに記載の発光素子。
(7) 下記式(2)で示される化合物。
本発明の発光素子は陽極と陰極との電極間に、1層または複数層の有機薄膜が形成された、電気エネルギーにより発光する素子であり、一般に有機ELデバイス等とも呼ばれる。
本発明において使用されうる陽極は、正孔を、正孔注入層、正孔輸送層、発光層に注入する機能を有する電極である。一般的に仕事関数が4.5eV以上の金属酸化物や金属、合金、導電性材料などが適している。具体的には、特に限定されるものでないが、酸化錫(NESA)、酸化インジウム、酸化錫インジウム(ITO)、酸化亜鉛インジウム(IZO)などの導電性金属酸化物、金、銀、白金、クロム、アルミニウム、鉄、コバルト、ニッケル、タングステンなどの金属、ヨウ化銅、硫化銅などの無機導電性物質、ポリチオフェン、ポリピロール、ポリアニリンなどの導電性ポリマーや炭素が挙げられる。それらの中でも、ITOやNESAを用いることが好ましい。
陽極は、必要であれば、複数の材料を用いても、また2層以上で構成されていてもよい。陽極の抵抗は素子の発光に十分な電流が供給できるものであれば限定されないが、素子の消費電力の観点からは低抵抗であることが好ましい。例えばシート抵抗値が300Ω/□以下のITO基板であれば素子電極として機能するが、数Ω/□程度の基板の供給も可能になっていることから、低抵抗品を使用することが望ましい。ITOの厚みは抵抗値に合わせて任意に選ぶ事ができるが、通常5〜500nm、好ましくは10〜300nmの間で用いられる。ITOなどの膜形成方法としては、蒸着法、電子線ビーム法、スパッタリング法、化学反応法、塗布法などが挙げられる。
更に封止、保護のために、酸化チタン、窒化ケイ素、酸化珪素、窒化酸化ケイ素、酸化ゲルマニウムなどの酸化物、窒化物、又はそれらの混合物、ポリビニルアルコール、塩化ビニル、炭化水素系高分子、フッ素系高分子などで陰極を保護し、酸化バリウム、五酸化リン、酸化カルシウム等の脱水剤と共に封止することができる。
また発光を取り出すために、一般的には素子の発光波長領域で十分に透明性を有する基板上に電極を作成することが好ましい。透明の基板としてはガラス基板やポリマー基板が挙げられる。ガラス基板はソーダライムガラス、無アルカリガラス、石英などが用いられ、機械的・熱的強度を保つのに十分な厚みがあればよく、0.5mm以上の厚みが好ましい。ガラスの材質については、ガラスからの溶出イオンが少ない方がよく、無アルカリガラスの方が好ましい。このようなものとして、SiO2などのバリアコートを施したソーダライムガラスが市販されているのでこれを使用することもできる。またガラス以外のポリマーでできた基板としては、ポリカーボネート、ポリプロピレン、ポリエーテルサルホン、ポリエチレンテレフタレート、アクリル基板などが挙げられる。
本発明における有機薄膜を形成する層の構成としては、以下の構成例1)から9)が挙げられ、いずれの構成であってもよい。
1)正孔輸送層/電子輸送性発光層。
2)正孔輸送層/発光層/電子輸送層。
3)正孔輸送性発光層/電子輸送層。
4)正孔輸送層/発光層/正孔阻止層。
5)正孔輸送層/発光層/正孔阻止層/電子輸送層。
6)正孔輸送性発光層/正孔阻止層/電子輸送層。
7)前記1)から6)の組み合わせのそれぞれにおいて、正孔輸送層もしくは正孔輸送性発光層の前に正孔注入層を更にもう一層付与した構成。
8)前記1)から7)の組み合わせのそれぞれにおいて、電子輸送層もしくは電子輸送性発光層の前に電子注入層を更にもう一層付与した構成。
9)前記1)から8)の組み合わせにおいて使用する材料をそれぞれ混合し、この混合した材料を含有する一層のみを有する構成。
一般的に多層構造とすることで、効率良く電荷、すなわち正孔及び/又は電子を輸送し、これらの電荷を再結合させることができる。また電荷のクエンチングなどが抑えられることにより、素子の安定性の低下を防ぎ、発光の効率を向上させることができる。
本発明における上記式(2)において、A1〜A4は水素原子又は置換基を有してもよい芳香族残基を表す。ただしA1〜A4の全てが水素原子である場合は除かれる。尚、A1とA2、及び(又は)A3とA4は、互いに結合してそれぞれ独立に窒素原子と共に環を形成してもよい。
上記式(1)及び(2)のA1とA3、及びA2とA4はそれぞれ同一とすることができ、A1、A2、A3及びA4の全てを同一とすることもできる。
芳香族残基の置換基としては特に制限はないが、置換基を有してもよい脂肪族炭化水素残基、置換基を有してもよい芳香族残基、シアノ基、イソシアノ基、チオシアナト基、イソチオシアナト基、ニトロ基、アシル基、ハロゲン原子、ヒドロキシル基、置換もしくは非置換アミノ基、アルコキシル基、アルコキシアルキル基、置換基を有してもよい芳香族オキシ基、カルボキシル基、カルバモイル基、アルデヒド基、アルコキシカルボニル基が挙げられる。このなかでも置換基を有してもよい脂肪族炭化水素残基、置換基を有してもよい芳香族残基、シアノ基、ニトロ基、アシル基、ハロゲン原子、ヒドロキシル基、置換もしくは非置換アミノ基、アルコキシル基、置換基を有してもよい芳香族オキシ基が好ましい。さらに好ましくは置換基を有してもよい脂肪族炭化水素残基、置換基を有してもよい芳香族残基、ニトロ基、ハロゲン原子、置換もしくは非置換アミノ基、アルコキシル基である。最も好ましくは置換基を有してもよい脂肪族炭化水素残基又は置換基を有してもよい芳香族残基である。
置換基を有してもよい芳香族残基としては、ベンゼン、ナフタレン、アントラセン、フェナントレン、ピレン、ベンゾピレンなどの芳香族炭化水素残基やピリジン、ピラジン、ピリミジン、キノリン、イソキノリン、ピロール、インドール、イミダゾール、カルバゾール、チオフェン、フランなどの芳香族複素環残基、またこれらに置換基を有するベンゾキノン、アントラキノン、ピラン、ピリドンが挙げられる。好ましくはベンゼン、ナフタレン、ピリジン、チオフェンの残基が挙げられる。特にベンゼン残基、ナフタレン残基が好ましい。
アルコキシアルキル基としては、炭素数1から10のアルコキシ基や炭素数1から10のアルキル基が挙げられる。
芳香族オキシ基としては、炭素数6から20のフェノキシ基、ナフチルオキシ基等の芳香族炭化水素オキシ基やピリジルオキシ基、キノリルオキシ基、チオフェンオキシ等の複素環オキシ基が挙げられる。
アルコキシカルボニル基としては、炭素数1から10のアルコキシカルボニル基が挙げられる。
上記式(1)の化合物は、非特許文献1、2などに記されている方法に準じてアミノ誘導体(A)及びハロゲノ誘導体(B)を作成し、各々の誘導体を経由して容易に製造できる。つまりアミノ誘導体(A)とハロゲノ芳香族化合物とのウルマン反応あるいはパラジウム触媒を用いたカップリング反応を経ることにより、又は、ハロゲノ誘導体(B)と芳香族アミン誘導体との反応により、上記式(1)の化合物が得られる。
(表1におけるNo.5の化合物)
ジアミノ体(上記反応中の化合物(A)におけるX1及びX2が硫黄原子である化合物)(2.70 g、10 mmol)とフェニルヨーダイド(40.8 g、0.20 mol)のトルエン(20 ml)溶液に炭酸カリウム(82.9 g、6.0 mol)とヨウ化銅(0.19g、1.0mmol)を加え、トルエンを留去しながら、内温を165-170℃に20時間保った。メタノール200mlを加え、ろ別し、メタノール100ml、水300ml、アセトン100mlで洗浄し、目的のNo.5の化合物(5.75 g、収率100%)を得た。更に真空昇華精製を行なうことで、純度を上げた。サーモクエスト社SSQ−7000による測定では、MS(EI) m/z=574(M+)であった。吸収極大及び融点は以下のとおりであった。
吸収極大(薄膜):531nm
融点:320℃(TG−DTA使用)
(No.52の化合物の合成)
ジヨード体(上記反応中の化合物(B)における、Haloがヨウ素であり、X1及びX2が硫黄原子である化合物)(4.92 g, 10 mmol)とカルバゾール(26.8 g, 0.16 mol)のトルエン(40ml)溶液に炭酸カリウム(82.9 g, 6.0 mol) とヨウ化銅(0.19g,1.0mmol)を加え、トルエンを留去しながら、内温を165-170℃に20時間保った。メタノール200mlを加え、ろ別し、メタノール100ml、水300ml、アセトン100mlで洗浄し、目的のNo.52の化合物(5.10 g, 収率89.4%)を得た。更に真空昇華精製を行なうことで、純度を上げた。サーモクエスト社SSQ−7000による測定では、MS(EI) m/z=570(M+)であった。吸収極大、発光極大及び融点は以下のとおりであった。
吸収極大(薄膜):354nm
発光極大(薄膜):417nm
融点:368℃(TG−DTA使用)
ITO透明導電膜を150nm堆積させたガラス基板(東京三容真空(株)製、14Ω/□以下)を25×25mmに切断、エッチングを行った。得られた基板を中性洗剤で10分間超音波洗浄、イオン交換水で5分×2回超音波洗浄、アセトンで5分×2回超音波洗浄、続いてイソプロピルアルコールで5分間×2回超音波洗浄し、この基板を素子作製の直前に10分間UV−オゾン洗浄し、真空蒸着装置内に設置して、装置内の真空度が3.0×10-3Pa以下になるまで排気した。抵抗加熱蒸着法によって、まず正孔輸送材料として合成例1のNo.5の化合物を50nmの厚さに蒸着し、正孔輸送層を形成した。次に発光層兼電子輸送層としてトリス(8−キノリノラト)アルミニウム(AlQ3)を50nmの厚さに蒸着した。さらにフッ化リチウムを0.8nmの厚さに、アルミニウムを100nmの厚さに蒸着して陰極を形成し、2×2mm角の発光素子作製した。この発光素子の構成は図1に示される。
本発光素子は、最大輝度23628cd/m2(9.5V)、発光輝度が100cd/m以上になる閾値電圧3.5V、最大電流効率1.073cd/A(6.5V)を示した。
実施例1と同様に処理した基板にPEDOT:PSS 20nmをスピンコートし、正孔注入層を設けた基板を真空蒸着装置に設置して同様に発光素子を作成した。この発光素子の構成は図2に示される。本発光素子は、最大輝度8005cd/m2(9.0V)、発光輝度が100cd/m以上になる閾値電圧4.0V、最大電流効率1.673cd/A(4.5V)を示した。
合成例1のNo.5の化合物の代わりに合成例3のNo.35の化合物を用いた以外は実施例1と同様に発光素子を作製した。この発光素子は、最大輝度26246cd/m2(9.0V)、閾値電圧3.5V、最大電流効率1.108cd/A(6.0V)を示した。
合成例1のNo.5の化合物の代わりに合成例3のNo.35の化合物を用いた以外は実施例2と同様に発光素子を作製した。この発光素子は、最大輝度12002cd/m2(9.0V)、閾値動電圧4.0V、最大電流効率1.973cd/A(5.0V)を示した。
合成例1のNo.5の化合物の代わりに合成例2のNo.52の化合物を用いた以外は実施例1と同様に発光素子を作製した。この発光素子は、最大輝度5255cd/m2(7.0V)、閾値電圧5.0V、最大電流効率1.046cd/A(6.0V)を示した。
合成例1のNo.5の化合物の代わりに合成例2のNo.52の化合物を用いた以外は実施例2と同様に発光素子を作製した。この発光素子は、最大輝度15366cd/m2(8.5V)、閾値電圧5.0V、最大電流効率2.630cd/A(6.0V)を示した。
合成例1のNo.5の化合物の代わりに合成例3のNo.40の化合物を用いた以外は実施例1と同様に発光素子を作製した。この発光素子は、最大輝度28886cd/m2(10.0V)、閾値電圧3.5V、最大電流効率1.376cd/A(3.5V)を示した。
合成例1のNo.5の化合物の代わりに合成例3のNo.40の化合物を用いた以外は実施例2と同様に発光素子を作製した。この発光素子は、最大輝度14254cd/m2(10.0V)、閾値電圧5.0V、最大電流効率2.410cd/A(4.5V)を示した。
ガラス基板上にITO透明導電膜を110nm堆積させた基板(20Ω/□以下)を洗浄し、真空蒸着装置内に設置して、装置内の真空度が3.0×10-4Pa以下になるまで排気した。抵抗加熱蒸着法によって、まず正孔輸送材料としてN,N'−ジナフチル−N,N'−ジフェニル−4,4'−ジフェニル−1,1'−ジアミン(αーNPD)を50nmの厚さに蒸着し、正孔輸送層を形成した。次に、発光層のホスト材料として合成例2の化合物No.52と、ゲスト材料として2%のIr(btp)2acacを30nmになるように共蒸着し、さらに電子輸送層としてBAlq2を30nmの厚さに蒸着した。さらにマグネシウム:銀=9:1の合金を100nmの厚さに、そして銀を10nmの厚さに蒸着して陰極を形成して、発光素子を作製した。
この発光素子は100mA/cm2の電流密度のときに駆動電圧が10.7Vであり、外部量子効率は2.15を示し、赤色の燐光素子として利用出来ることがわかった。
α−NPD、Ir(bpt)2acac及びBAlq2の化学式を以下に示す。
Claims (7)
- 上記式(1)においてX1及びX2が硫黄原子である、請求項1に記載の発光素子。
- 陽極と陰極の間にある前記有機薄膜が複数層で形成される、請求項1又は2に記載の発光素子。
- 前記有機薄膜を形成する複数層が積層構造を有する、請求項1から3のいずれか一項に記載の発光素子。
- 前記有機薄膜を形成する複数層の少なくとも一層が正孔輸送層である、請求項1から4のいずれか一項に記載の発光素子。
- 上記一般式(1)に示す化合物を正孔輸送材料として正孔輸送層に含有する、請求項1から5のいずれか一項に記載の発光素子。
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