以下、図面を参照して、本発明に係る移動領域予測装置の実施の形態を説明する。
本実施の形態では、本発明に係る移動領域予測装置を、車両に搭載される動き予測装置に適用する。本実施の形態に係る動き予測装置は、複数の動き予測モデルを利用して自車両周辺の対象(移動体)の動きを予測し、その予測結果を各種運転支援装置(衝突防止装置など)あるいは自動運転装置などに提供する。本実施の形態には、3つの形態があり、第1の実施の形態が周辺対象の正常度に応じて動き予測モデルを選択する形態であり、第2の実施の形態が周辺対象の交通ルールの遵守状況に応じて動き予測モデルを選択する形態であり、第3の実施の形態が複数の動き予測モデルで並行して予測する形態である。
図1〜図3を参照して、第1の実施の形態に係る動き予測装置1について説明する。図1は、第1の実施の形態に係る動き予測装置の構成図である。図2は、従来の動き予測装置での前方の他車両に対する動き予測結果の一例であり、(a)が全ての車両を異常な車両と想定した場合であり、(b)が全ての車両が正常な車両と想定した場合である。図3は、図1の動き予測装置での前方の他車両に対する動き予測結果の一例である。
動き予測装置1は、自車両周辺の対象毎に複数の動き予測モデルの中から周辺対象に適した動き予測モデルを選択し、その選択した動き予測モデルに基づいて周辺対象の動きを予測する。特に、動き予測装置1では、周辺対象毎に、移動状況における正常度を推定し、正常度に応じた動き予測モデルを選択する。そのために、動き予測装置1は、走行情報取得手段10、対象検出手段11、正常度推定手段12、動き予測モデル選択手段13、動き予測手段14を備えている。対象検出手段11、正常度推定手段12、動き予測モデル選択手段13、動き予測手段14は、CPU[Central Processing Unit]、ROM[Read Only Memory]、RAM[Random AccessMemory]などからなるECU[Electronic Control Unit]内に構成される。
走行情報取得手段10は、自車両の走行状態、自車両周辺のセンシング情報、事前知識などを走行情報として取得する手段である。
自車両の走行状態としては、速度、加速度、操舵角、現在位置などがある。これらの情報の検出手段としては、速度、加速度、操舵角などの各種センサ、GPS受信装置、カーナビゲーション装置などである。
自車両周辺のセンシング手段としては、ミリ波レーダなどの各種レーダ、ステレオカメラなどのカメラ(画像センサ)、レーザレンジファインダなどがある。そのセンシング情報としては、レーダでの検出点毎のデータ(発光時刻、受光時刻、走査方向、反射強度など)、カメラの撮像画像、レーザレンジファインダでの検出データなどである。
事前知識は、事前に取得可能な車両走行に必要な各種情報であり、道路地図、道路上の位置に対応付けた各種交通ルール(例えば、一方通行、制限速度、一旦停止、区画線(黄線、白線)、優先道路と非優先道路)や信号機などがある。事前知識は動き予測装置1に構成されるデータベースに予め格納され、自車両の現在位置に応じてデータベースからその周辺の情報が取り出される。
対象検出手段11は、走行情報取得手段10での自車両周辺のセンシング情報に基づいて自車両周辺の対象を検出する手段である。具体的には、対象検出手段11では、レーザでの検出点毎のデータに対する処理や撮像画像に対する画像処理などを行い、周辺対象を検出し、周辺対象を検出できた場合には周辺対象毎の情報を算出する。周辺対象としては、車両、自動二輪車、自転車、歩行者などの移動体である。周辺対象の情報としては、自車両に対する相対的な位置(x,y)、自車両に対する相対的な速度あるいは絶対的な速度、自車両に対する相対的な向きあるいは絶対的な向き、車両の場合には車体に対するタイヤ向きなどがある。
正常度推定手段12は、対象検出手段11で検出した周辺対象毎に、周辺対象の過去の動きを利用して、周辺対象の行動(移動状況)の正常度を推定する手段である。過去の動きとしては、時系列の位置の軌跡、速度の時間変化(加減速度)、向きの時間変化などがある。正常度の推定方法としては、その周辺対象のふらつき度、交通ルールの遵守度、加減速度(許容される加減速度有り)、他の対象との衝突に対してその周辺対象が受け入れているリスク(衝突確率)などから推定する。ふらつき度は、周辺対象の時系列の位置の軌跡などから推定される。交通ルールの遵守度は、現在位置周辺の各種交通ルール、信号機の状態などと周辺対象の時系列の位置の軌跡、速度などとを比較して推定される。衝突確率は、周辺対象と他の周辺対象及び自車両との時系列の位置の軌跡、速度の時間変化、向きの時間変化などから推定される。
正常度は、周辺対象の移動状況が正常な度合いであり、正常なほど高く、異常なほど低い。例えば、ふらつきが大きいほど正常度が低く、交通ルールの遵守度が低いほど正常度が低く、受け入れている衝突確率が高いほど正常度が低く、加減速度が大きいほど正常度が低い。正常度としては複数のパラメータを持っていてもよく、パラメータ毎に正常な度合いが設定される。例えば、ふらつき度などに基づいて左右方向の正常度があり、ふらつき度が大きいほど左右方向の正常度が低くなる。また、加減速度などに基づいて進行方向の正常度があり、加減速度が大きいほど進行方向の正常度が低くなる。
動き予測モデル選択手段13は、対象検出手段11で検出した周辺対象毎に、正常度推定手段12で推定した正常度に応じた最適な動き予測モデルを選択する。複数の動き予測モデルは、動き予測装置1に構成されるデータベースに予め格納されている。動き予測モデル選択手段13では、正常度をキーとしてデータベースを検索し、データベースから正常度に応じた動き予測モデルを抽出する。
動き予測モデルは、正常度に応じてそれぞれ用意される。動き予測モデルは、周辺対象の情報(位置、速度、向きなど)を入力すると、その周辺対象の動きとして所定時間後(例えば、5秒後)の存在範囲を出力する。この存在範囲は、範囲のみでもよいし、その各範囲内での存在確率を持っているものでもよい。この各動き予測モデルは、正常度に応じて所定時間後の存在範囲(必要に応じて存在確率も)を予測する(図3参照)。この予測される存在範囲や存在確率は、正常度に応じて各範囲の大きさや形状、各範囲での確率値などが異なる。例えば、左右方向の正常度が低いほど、存在範囲が左右方向に広くなり、存在確率が低くなるような動き予測モデルである。また、進行方向の正常度が低いほど、進行方向に長くなり、存在確率が低くるような動き予測モデルである。
動き予測手段14は、対象検出手段11で検出した周辺対象毎に、動き予測モデル選択手段13で選択した動き予測モデルによって周辺対象の動きを予測する手段である。具体的には、動き予測手段14では、周辺対象毎に、選択された動き予測モデルにその周辺対象の情報を入力し、動き予測モデルによって所定時間後の存在範囲(必要に応じて存在確率も)を出力する。
図2には、片側三車線の道路において、自車両MVが左車線を走行し、自車両MVの前方において左車線に他車両PV1が走行し、更に前方において中央車線に他車両PV2が走行している場合を示している。ここでは、他車両PV1が正常な走行をしており、他車両PV2がふらつきが大きく異常な走行をしている。
図2(a)は、全ての他車両を異常な車両と想定して動き予測した場合であり、他車両PV1,PV2の所定時間後の存在範囲AA1,AA2として広い範囲が予測され、その範囲AA1,AA2が他車両PV1,PV2の走行車線から大きくはみ出している。そのため、自車両MVの目標進路を生成した場合、他車両PV1,PV2との関係で安全性を確保するために、他車両PV1の後方で少しずつ進むような目標進路TC1が生成される。この目標軌跡TC1に従って自車両MVが走行した場合、目的地に向かって進む効率が著しく低下する。
図2(b)は、全ての他車両を正常な車両と想定して動き予測した場合であり、他車両PV1,PV2の所定時間後の存在範囲NA1,NA2として狭い範囲が予測され、その範囲NA1,NA2が他車両PV1,PV2の走行車線内に十分に入っている。そのため、自車両MVの目標進路を生成した場合、他車両PV,PV2の側方車線を進むような進路を生成でき、車線変更して他車両PV2の右側方を進むような目標進路TC2が生成される。しかし、この目標軌跡TC2に従って自車両MVが走行した場合、ふらつきの大きい他車両PV2との衝突確率が高くなり、安全性が低下する。
図3は、図2に示す状況において、動き予測装置1を適用して他車両PV1,PV2の動きを予測した場合である。この場合、正常な走行している他車両PV1に対しては正常度の高い動き予測モデルが選択され、この動き予測モデルによって他車両PV1の所定時間後の存在範囲A1として狭い範囲が予測される。一方、異常な走行している他車両PV2に対しては正常度の低い動き予測モデルが選択され、この動き予測モデルによって他車両PV2の所定時間後の存在確率毎の範囲A2として広い範囲が予測される。そのため、自車両MVの目標進路を生成した場合、他車両PV1,PV2との関係で安全性を確保すると、他車両PV1の右側方(中央車線)に車線変更するとともに他車両PV2の後方で進むような目標進路TCが生成される。この目標軌跡TCに従って自車両MVが走行した場合、安全性を確保した上で目的地に向かって進む効率も向上する。
図1を参照して、動き予測装置1の動作を図4のフローチャートに沿って説明する。図4は、図1の動き予測装置での動作の流れを示すフローチャートである。
動き予測装置1では、自車両の走行状態を検出する(S10)。また、動き予測装置1では、自車両周辺の対象をセンシングする(S11)。そして、動き予測装置1では、そのセンシング情報に基づいて、周辺対象毎の情報を検出する(S12)。
周辺対象毎に、動き予測装置1では、周辺対象の過去の動きに基づいて行動の正常度を推定する(S13)。そして、動き予測装置1では、正常度に応じて最適な動き予測モデルを選択する(S14)。さらに、動き予測装置1では、その選択した動き予測モデルを利用し、周辺対象の動きを予測する(S15)。
そして、動き予測装置1では、周辺対象毎の動きの予測結果を各種運転支援装置あるいは自動運転装置に出力する。
この動き予測装置1によれば、周辺対象(移動体)の行動の正常度に応じた動き予測モデルで動きを予測することにより、正常な移動体と異常な移動体が混在するような環境においても移動体毎に適切な移動領域を予測できる。この各移動体の予測結果を利用して自車両を走行支援や自動運転することにより、正常な移動体と異常な移動体が混在するような環境においても、移動体との関係での安全と自車両が目的地に向かって進む効率とを両立することができる。
図5〜図8を参照して、第2の実施の形態に係る動き予測装置2について説明する。図5は、第2の実施の形態に係る動き予測装置の構成図である。図6は、カーブ路における車両の動きの一例である。図7は、前方に車両が停止している場合の後方の車両の動きの一例である。図8は、動き予測モデルによる動き予測結果の一例であり、(a)が対向車両が逆走していない場合の対向車線の逆走を想定した動き予測モデルによる動き予測結果であり、(b)が対向車両が逆走している場合の対向車線の逆走を想定した動き予測モデルによる動き予測結果であり、(c)が対向車両が逆走していない場合の車線維持を想定した動き予測モデルによる動き予測結果である。
動き予測装置2は、自車両周辺の対象毎に複数の動き予測モデルの中から周辺対象に適した動き予測モデルを選択し、その選択した動き予測モデルに基づいて周辺対象の動きを予測する。特に、動き予測装置2では、周辺対象毎に、複数の交通ルールの遵守度をそれぞれ判定し、遵守度の低い交通ルールの中で重要度の最も高い交通ルールに応じた動き予測モデルを選択する。そのために、動き予測装置2は、走行情報取得手段20、対象検出手段21、交通ルール判定手段22、動き予測モデル選択手段23、動き予測手段24を備えている。対象検出手段21、交通ルール判定手段22、動き予測モデル選択手段23、動き予測手段24は、CPU、ROM、RAMなどからなるECU内に構成される。なお、走行情報取得手段20、対象検出手段21、動き予測手段24は、第1の実施の形態に係る走行情報取得手段10、対象検出手段11、動き予測手段14と同様の手段なので、その説明を省略する。
交通ルール判定手段22は、対象検出手段21で検出した周辺対象毎に、過去の動きや現在の走行状態に基づいて、複数の交通ルールについての遵守度を判定する手段である。本願発明での交通ルールは、交通の各種法規の他に交通のマナーも包括する概念である。したがって、車両走行においてスピンしないように走行(摩擦円に収まる走行)することや道路内を走行することなど、車両走行において最低限の守るべきことも交通ルールに含めることとする。
具体的には、交通ルール判定手段22では、周辺対象の過去の動きや現在の走行状態及び現在位置周辺における周辺対象の向きに応じた複数の交通ルールに基づいて、複数の交通ルールの遵守度をそれぞれ判定する。遵守度としては、遵守と違反の二値でもよいし、あるいは、三段階以上の遵守度(違反度)としてもよい。交通ルールは、周辺対象の現在位置や周辺対象の向きをキーとして、データベースから抽出されるもの(制限速度など)、周辺対象の現在位置や周辺対象の向きに関係なく常に周辺対象に適用されるもの(スピンしない走行など)がある。また、周辺対象に適用される交通ルールを、車車間通信や路車間通信を利用して取得してもよい。
周辺対象(特に、車両)が単に交通ルールを遵守しているかあるいは違反しているかを二者択一(全ての交通ルールを守っているかあるいは違反しているか)で判定した場合、その周辺対象の運転者の交通ルールに対しての行動を正確に判別できない。例えば、制限速度を10km/h程度オーバして走行している車両に対して、一律に交通ルールを違反する車両とするのは正確性に欠く。そこで、複数の交通ルールについて個別に判定し、周辺対象の交通ルールに対する行動を正確に判別する。
ここでは、複数の交通ルールとして、図13に示すように、「摩擦円に収まる」、「路外逸脱しない」、「逆走しない」、「遷移ルールを守る」、「後突しない」、「優先を守る」を例に挙げて説明する。「摩擦円に収まる」は車両の横力と前後力との合力がタイヤの摩擦力の限界を超えない範囲で走行することであり、摩擦円を超えると車両をコントロールできなくなる。「路外逸脱しない」は、車両が走行する際に道路内を走行することである。「逆走しない」は、車両が道路上を走行する際に対向車線を走行しないということである。「遷移ルールを守る」は、黄線を超えない走行や赤信号では停止線手前で停止などの遷移ルールを守ることである。「後突しない」は、前方車両に後方から衝突しないことである。「優先を守る」は、非優先道路を走行中の車両が優先道路を走行中の車両の走行を優先させることである。これらの6つの交通ルールについての遵守度を判定することにより、運転者の交通ルールに対する行動を正確に判別することができる。
動き予測モデル選択手段23は、対象検出手段21で検出した周辺対象毎に、交通ルール判定手段22で判定した複数の交通ルールに対する遵守度に応じた最適な動き予測モデルを選択する手段である。複数の動き予測モデルは、動き予測装置2に構成されるデータベースに予め格納されている。
具体的には、動き予測モデル選択手段23では、周辺対象に対する複数の交通ルールの遵守度を交通ルールの重要度に従ってソートする(複数の交通ルールに優先順位付けを行う)。これによって、複数の交通ルールにおいてどのレベルの交通ルールまでは遵守し(遵守度が高く)、どのレベルの交通ルールから違反する(遵守度が低い)かを判別できる。そして、動き予測モデル選択手段23では、遵守度が低かった(違反している)交通ルールの中で重要度の最も高い交通ルールをキーとしてデータベースを検索し、データベースからその交通ルールまで違反することを想定した場合に対応した動き予測モデルを抽出する。
安全上絶対に遵守しなければならない交通ルールなど、複数の交通ルールにはそれぞれ重要度があり、周辺対象の運転者も重要度に応じて交通ルールを遵守する傾向がある。例えば、対向車線を逆走や赤信号を無視するような運転者が非優先道路を走行中に優先道路の車両を優先させるような走行することは考えられない。逆に、優先道路と非優先道路の関係を守るような運転者が対向車線を逆走や赤信号を無視するような走行することは考えられない。したがって、複数の交通ルールに対して重要度に従って優先順位付けを行い、複数の交通ルールにおいてどのレベルの交通ルールまでは遵守し、どのレベルの交通ルールから違反するかを判定することにより、その運転者の交通ルールに対しての行動をより正確に判別できる。このような交通ルールを守っているレベルに応じて、その周辺対象の動きの範囲も予測することができる。
上記した6つの交通ルールについての重要度(優先順位)について考える。摩擦円を超えると車両のコントロールができなくなり、他の交通ルールを遵守できなくなる可能性があるので、「摩擦円に収まる」が重要度が最も高い。次に、道路内を走行することは必須要件となるので、「路外逸脱しない」がその次に重要度が高い。次に、対向車線の逆走禁止は安全上絶対に守らなければならないなので、「逆走しない」がその次に重要度が高い。図6に示す例の場合、カーブ路を自車両MVが走行中に対向車線において他車両PVが前方から走行してきているときに、他車両PVが走行車線をキープできないような状況になると、通常、他車両PVの運転者は道路外に出るよりは対向車線を一時的に逆走することを選択すると予測される。
次に、交通秩序として信号機や黄線などを守って走行しなければならないので、「遷移ルールを守る」がその次に重要度が高い。さらに、「後突しない」がその次に重要度が高い。図7に示す例の場合、自車両MVが停止線で停止中に後方から他車両PVが後方から高車速で走行してきているときに、他車両PVが自車両MVの後方で停止できないような状況になると、通常、他車両PVの運転者は対向車線を逆走するよりは自車両MVに後方から衝突することを選択すると予測される。
動き予測モデルは、優先順位付けされて複数の交通ルールに応じてそれぞれ用意される。この各動き予測モデルは、優先順位付けされた複数の交通ルールの中で任意の交通ルールまで違反すると想定した場合(なお、任意の交通ルールを違反する場合にはその交通ルールとそれより重要度が低い全ての交通ルールも違反していると想定する)に応じた所定時間後の存在範囲(必要に応じて存在確率も)を予測する。この予測される存在範囲や存在確率は、各交通ルールまで違反すると想定した場合に応じて各範囲の大きさや形状、各範囲での確率値などが異なる。例えば、重要度の高い交通ルールまで違反する場合、範囲が広くなり、存在確率が低くなるような動き予測モデルである。また、全ての交通ルールを遵守する場合、範囲全体が非常に狭くなり、中心の存在確率が高くなるような動き予測モデルである。
上記した6つの交通ルールの例の場合、全ての交通ルールを違反する場合に応じた動き予測モデル、路外逸脱しないまでの交通ルールを違反する場合に応じた動き予測モデル、逆走しないまでの交通ルールを違反する場合に応じた動き予測モデル、遷移ルールを守るまでの交通ルールを違反する場合に応じた動き予測モデル、後突しないまでの交通ルールを違反する場合に応じた動き予測モデル、優先を守るまでの交通ルールを違反する場合に応じた動き予測モデル、全ての交通ルールを守る場合に応じた動き予測モデルが用意される。
図8には、自車両MVが走行中に対向車線において他車両PVが前方から走行してきているときに、他車両PVが走行車線を走行している場合と対向車線(自車両MVの走行車線)を逆走している場合を示している。図8(a)に示す例では、他車両PVが走行車線を走行している場合、この他車両PVに対して対向車線を逆走する場合に応じた動き予測モデルが適用され、所定時間後の存在範囲A1が対向車線まで広がっている。この場合、自車両MVの目標進路を生成した場合、他車両PVとの関係で安全性を確保するために、少しずつ進むような目標進路が生成されるかあるいは停止する目標進路が生成される。この目標進路に従って自車両MVが走行した場合、他車両PVが車線維持して走行しているにもかかわらず、目的地に向かって進む効率が著しく低下する。また、図8(b)に示す例では、他車両PVが対向車線を走行している場合、この他車両PVに対して対向車線を逆走する場合に応じた動き予測モデルが適用され、所定時間後の存在範囲A2が対向車線まで広がっている。この場合も、自車両MVの目標進路を生成すると上記と同様の目標進路が生成される。しかし、この場合は実際に他車両PVが対向車線を逆走しているので、このような目標進路が生成されてもよい。
他車両PVが走行車線を維持して走行している場合、対向車線の逆走まで想定して動きを予測する必要はなく、車線維持を想定して動きを予測するのが妥当である。したがって、図8(c)に示すように、他車両PVが走行車線を維持して走行している場合(逆走しない交通ルールを遵守している場合)、この他車両PVに対して車線維持する場合に応じた動き予測モデルが適用され、所定時間後の存在範囲A3が走行車線内に限定されるべきである。この場合、自車両MVの目標進路を生成した場合、他車両PVとの関係で安全性を確保する上で、目的地に向かって大きく進むような目標進路が生成される。
図5を参照して、動き予測装置2の動作を図9のフローチャートに沿って説明する。図9は、図5の動き予測装置での動作の流れを示すフローチャートである。
動き予測装置2では、第1の実施の形態に係る動き予測装置1と同様の動作により、自車両の走行状態を検出するとともに周辺対象をセンシングし(S20,S21)、そのセンシング情報により周辺対象毎の情報を検出する(S22)。
周辺対象毎に、動き予測装置2では、周辺対象の動きに基づいて複数の交通ルールの遵守度を判定する(S23)。そして、動き予測装置2では、複数の交通ルールの遵守判定結果を交通ルールの重要度に従ってソートする(S24)。さらに、動き予測装置2では、その優先順位付けされた複数の交通ルールの遵守判定結果から遵守度の低い中で最も重要度の高い交通ルールに応じて最適な動き予測モデルを選択する(S25)。そして、動き予測装置2では、その選択した動き予測モデルを利用し、周辺対象の動きを予測する(S26)。
そして、動き予測装置2では、周辺対象毎の動きの予測結果を各種運転支援装置あるいは自動運転装置に出力する。
この動き予測装置2によれば、周辺対象(移動体)の複数の交通ルールに対する遵守判定結果に応じた最適な動き予測モデルで動きを予測することにより、正常な移動体と異常な移動体が混在するような環境においても移動体毎に適切な移動領域を予測できる。特に、動き予測装置2によれば、複数の交通ルールの遵守判定結果を重要度に従って優先順位付けし、シーケンシャルに動き予測モデルを選択することにより、効率的に最適な動き予測モデルを選択することができる。
図10〜図11を参照して、第3の実施の形態に係る動き予測装置3について説明する。図10は、第3の実施の形態に係る動き予測装置の構成図である。図11は、各種動き予測モデルによる動き予測結果の一例であり、(a)が予測時間が1秒間で操作確率が一様分布の動き予測モデルによる動き予測結果であり、(b)が予測時間が1秒間で車線維持を想定した動き予測モデルによる動き予測結果である。(c)が予測時間が5秒間で操作確率が一様分布の動き予測モデルによる動き予測結果であり、(d)が予測時間が5秒間で車線維持を想定した動き予測モデルによる動き予測結果である。
動き予測装置3は、自車両周辺の対象毎に複数の動き予測モデルに基づいて周辺対象の動きをそれぞれ予測する。特に、動き予測装置3では、予測時間が異なりかつ各予測時間に応じた予測を行う複数の動き予測モデルで並行して予測する。そのために、動き予測装置3は、走行情報取得手段30、第1対象検出手段311,・・・,第n対象検出手段31n、第1動き予測手段341,・・・,第n動き予測手段34nを備えている。第1対象検出手段311,・・・,第n対象検出手段31n、第1動き予測手段341,・・・,第n動き予測手段34nは、CPU、ROM、RAMなどからなるECU内に構成される。なお、走行情報取得手段30は、第1の実施の形態に係る走行情報取得手段10と同様の手段なので、その説明を省略する。
なお、第3の実施の形態では、走行情報取得手段30及び第1対象検出手段311,・・・,第n対象検出手段31nが特許請求の範囲に記載する移動体検知手段に相当し、第1動き予測手段341,・・・,第n動き予測手段34nが特許請求の範囲に記載する予測手段に相当し、第1動き予測手段341,・・・,第n動き予測手段34nでそれぞれ予め用意される動き予測モデルが特許請求の範囲に記載する移動予測モデルに相当する。
第1対象検出手段311,・・・,第n対象検出手段31nは、第1の実施の形態に係る対象検出手段11と同様に、走行情報取得手段30での自車両周辺の対象に対するセンシング情報に基づいて自車両周辺の対象を検出する手段である。特に、第1対象検出手段311,・・・,第n対象検出手段31nは、同じ周辺対象を検出するが、第1〜第nの動き予測手段341〜34nでそれぞれ用意される第1〜第nの動き予測モデルでそれぞれ必要とされる周辺対象の情報を算出する。なお、対象検出手段31を1つだけ構成し、この1つの対象検出手段31で第1〜第nの動き予測手段341〜34nでそれぞれ用意される第1〜第nの動き予測モデルで必要とされる周辺対象の全ての情報を算出するようにしてもよい。
第1動き予測手段341,・・・,第n動き予測手段34nは、対象検出手段31で検出した周辺対象毎に、各手段341〜34nでそれぞれ用意されている動き予測モデルによって周辺対象の動きをそれぞれ予測する手段である。つまり、第1動き予測手段341,・・・,第n動き予測手段34nでは、周辺対象毎に、異なる動き予測モデルを利用して、並行して予測することになる。具体的には、例えば、第1動き予測手段341では、周辺対象毎に、第1対象検出手段311で算出された周辺対象の情報を入力し、第1動き予測モデルによって最も短い予測時間後の存在範囲(必要に応じて存在確率も)を出力する。また、第n動き予測手段34nでは、周辺対象毎に、第n対象検出手段31nで算出された周辺対象の情報を入力し、第n動き予測モデルによって最も長い予測時間後の存在範囲(必要に応じて存在確率も)を出力する。
動き予測モデルとしては、予測時間が異なる複数のモデルが用意される。動き予測モデルは、予測時間が短いほど、信頼性が高く、予測した存在範囲も狭くなる。したがって、周辺対象と自車両との関係で安全性を高めるためには、短い予測時間(近い未来)の存在範囲ほど確実に回避する必要がある。
そこで、遠い未来に予測される周辺対象の動きと比較して、予測結果に含まれる不確定性が少ない近い未来に予測される周辺対象の動きを確実に回避するためには、予測時間が異なる複数の予測結果に対して予測時間の短い予測結果から優先的に安全性を評価する必要がある。
例えば、自車両の最適な進路を選択する場合、周辺対象についての最も短い予測時間の予測結果に対する複数の自車両の進路候補についての安全性をそれぞれ評価し、安全を確保できる進路候補のみを最適な進路候補として選択する。この選択された最適な進路候補が複数ある場合、周辺対象についての次に短い予測時間の予測結果に対する選択された最適な進路候補についての安全性をそれぞれ評価し、安全を確保できる最適な進路候補を更に絞り込む。このような評価及び絞り込みを、最適な進路候補の数が十分に少なくなるかあるいは最も長い予測時間に対する安全性の評価が終了するまで繰り返し行う。以上により、遠い未来に予測される周辺対象の動きと比較して、近い未来に予測される周辺対象の動きを優先的に回避することが可能となる。
なお、遠い未来に予測される周辺対象の動きと比較して、近い未来に予測される周辺対象の動きの優先的に回避する手段は、予測時間の短い予測結果から優先的に安全性を評価する方法に限らない。例えば、予測時間が短い予測結果ほど高い重みをつけ、全ての予測時間の予測結果に対する安全性を同時に評価してもよい。
また、全ての予測時間に対して必ずしも同一の予測モデルを適用する必要はなく、各予測時間に対して適切な予測方法の予測モデルを複数用意してもよい。例えば、交通ルールを守っている一般的な運転者(正常度が高い運転者)の場合、瞬間的に過剰な操作を行う可能性はあるが(例えば、障害物回避時、オーディオ操作時など)、その過剰な操作を長時間継続することは非常に稀である。よって、近い未来は過剰な操作を想定した動き予測モデルを利用し、遠い未来は限定された動き予測モデルを利用することにより、安全と走行の効率を両立する面から好適である。なお、限定された動き予測モデルは、周辺対象が交通ルールを守る前提を入れることなどで実現できる。
つまり、移動状況が正常な周辺対象に対して正常な動き予測モデルで予測する場合、予測時間が長くなっても存在範囲がある程度限定されるので、長い予測時間においても予測結果に信頼性があり、その移動体と自車両との安全性を確保できる。一方、移動状況が異常な周辺対象に対して正常な動き予測モデルで予測する場合、予測時間が長くなるにつれて存在範囲が広い範囲に拡散していくので、長い予測時間においては予測結果の信頼性がなく、その移動体と自車両との安全性を確保できない。しかしながら、異常な動き予測モデルで予測する場合でも、短い予測時間であれば、存在範囲が限定されるため、予測結果に信頼性があり、その周辺対象と自車両との安全性を確保できる。
したがって、移動状況が正常な周辺対象の予測をする場合であっても、予測時間の短い予測をする場合、移動状況が異常な動きモデルを用いて予測することにより、予測結果の信頼性を失うことなく、その周辺対象が急に異常な操作などを行った場合にも対応できるため、安全性を更に高めることができる。また、予測時間の長い予測をする場合、移動状況が正常な動きモデルを用いて予測することにより、必要な予測をすることができる。したがって、移動状況が正常な周辺対象の予測を複数の動き予測モデルで並行して予測する場合、短い予測時間については移動状況が異常な動きモデルで予測し、長い予測時間については移動状況が正常な動きモデルで予測するにより、安全と走行の効率を両立することができる。
図11には、自車両MVが走行中に、他車両PVが対向車線を前方から走行してきた場合を示している。図11(a)に示す例では、操作確率が一様分布(つまり、運転者が何をやるかわからない場合)の動き予測モデルによって他車両PVに対して1秒後の存在範囲A1を予測している。この動き予測モデルを用いた場合、車両が物理的に1秒間で動ける範囲となるので、1秒後でも他車両PVの走行車線一杯に広がる範囲A1を予測する。図11(b)に示す例では、車線維持を想定した動き予測モデルによって他車両PVに対して1秒後の存在範囲A2を予測している。この動き予測モデルを用いた場合、車両が車線逸脱しないので、他車両PVの走行車線内に限定される範囲A2を予測する。図11(c)に示す例では、操作確率が一様分布の動き予測モデルによって他車両PVに対して5秒後の存在範囲A3を予測している。この動き予測モデルを用いた場合、車両が物理的に5秒間で動ける範囲となるので、他車両PVの対向車線(自車両MVの走行車線)まで広がる範囲A3を予測する。図11(d)に示す例では、車線維持を想定した動き予測モデルによって他車両PVに対しての5秒後の存在範囲A4を予測している。この動き予測モデルを用いた場合、車両が車線逸脱しないので、5秒後でも他車両PVの走行車線内に限定される範囲A4を予測する。この例の場合、安全と走行の効率を両立するためには、操作確率が一様分布な動き予測モデルによる1秒間の予測結果(図11(a))と車線維持を想定した動き予測モデルによる5秒間の予測結果(図11(d))を利用する。
特に、予測時間が短い予測結果ほど、その予測結果の信頼性が高い。また、予測時間の短い予測結果ほど(つまり、近い未来の他車両の動きほど)、その動きとの安全性を確実に確保しなければならない。したがって、予測時間がそれぞれ異なる複数の予測結果を評価する場合、予測時間の短い予測結果から順に評価するとよい。
図10を参照して、動き予測装置3の動作を図12のフローチャートに沿って説明する。図12は、図10の動き予測装置での動作の流れを示すフローチャートである。
動き予測装置3では、第1の実施の形態に係る動き予測装置1と同様の動作により、自車両の走行状態を検出するとともに周辺対象をセンシングする(S30,S31)。そして、動き予測装置3では、そのセンシング情報に基づいて、周辺対象毎に、第1〜第nの動き予測モデルにそれぞれ対応した情報を検出する(S321〜S32n)。
周辺対象毎に、動き予測装置3では、予測時間の異なる第1〜第nの動き予測モデルをそれぞれ利用し、周辺対象の動きをそれぞれ予測する(S331〜S33n)。
そして、動き予測装置3では、周辺対象毎の複数の動きの予測結果を各種運転支援装置あるいは自動運転装置に出力する。この複数の動き予測結果を入力する装置側では、所定周期毎に、周辺対象毎に予測時間の異なる複数の予測結果が入力される。そして、装置側では、予測時間の短い予測結果から順次評価し、自車両の目標軌跡生成などを行う。
この動き予測装置3によれば、予測時間の異なる複数の動き予測モデルで並行して予測することにより、様々な移動体の移動状況に対応して適切な予測時間での予測が可能であり、正常な移動体と異常な移動体が混在するような環境においても移動体毎に適切な移動領域を予測できる。
図13を参照して、第2の実施の形態における優先順位付けされた交通ルールの遵守判定結果に応じた動き予測モデルの切り替え(シーケンシャル処理)と第3の実施の形態における予測時間の異なる動き予測モデルによる並行予測を組み合わせた動き予測について説明する。図13は、シーケンシャル処理と並行予測を組み合わせた場合の動き予測モデルの選択方法の一例を示す表である。
この例では、予測時間は、1秒、5秒、10秒である。この各予測時間に対して複数の動き予測モデルがそれぞれ用意される。なお、この例では、複数の交通ルールを第2の実施の形態で例示した6つの交通ルールとする。
予測時間が1秒の動き予測モデルとしては、この例では2つ用意されている。この2つの動き予測モデルは、摩擦円に収まらない場合に応じた動き予測モデルと摩擦円に収まる場合に応じた動き予測モデルである。この2つの動き予測モデルは、例えば、操作確率を一様分布にすることによって構成される。
予測時間が5秒の動き予測モデルとしては、この例では第2の実施の形態で説明した6つが用意される。路外逸脱しないまでの交通ルールを違反する場合に応じた動き予測モデルは、例えば、操作確率を一様分布にすることによって構成される。それ以外の5つの動き予測モデルは、操作確率を任意の分布にすることによって構成される。任意の分布としては、一様分布、正規分布、混合正規分布、ノンパラメトリック分布などがある。
予測時間が10秒の動き予測モデルとしては、この例では3つ用意される。この3つの動き予測モデルは、後突しないまでの交通ルールを違反する場合に応じた動き予測モデル、優先を守るまでの交通ルールを違反する場合に応じた動き予測モデル、全ての交通ルールを守る場合に応じた動き予測モデルが用意される。この3つの動き予測モデルは、例えば、車両の行動要素である直進、右左折、車線変更などの組み合わせによって構成される。
周辺対象毎に、各予測時間について複数の動き予測モデルの中から交通ルールの遵守判定結果に応じて1つの動き予測モデルがそれぞれ選択され、各予測時間の動き予測モデルで並行してそれぞれ予測を行う。このように、各予測時間についての優先順位付けした複数の交通ルールに対する遵守判定結果に応じた最適な動き予測モデルで並行して予測を行うことにより、上記した第2の実施の形態における効果と第3の実施の形態における効果を得ることができる。
以上、本発明に係る実施の形態について説明したが、本発明は上記実施の形態に限定されることなく様々な形態で実施される。
例えば、本実施の形態では動き予測装置に適用したが、移動体の動きの予測結果を必要とする各種運転支援装置(衝突防止装置など)あるいは自動運転装置などの他の装置に適用してもよい。
また、本実施の形態では自車両に搭載したセンサで周辺対象をセンシングする構成としたが、車車間通信や路車間通信などで周辺対象の情報を取得する構成としてもよい。この場合、周辺対象あるいはインフラに取り付けたセンサで周辺対象の運転者の状態を検出し、その検出した運転者の状態あるいはその運転者の状態から求められた運転者の正常度を車車間通信や路車間通信で自車両に配信する構成としてもよい。正常度として、他車両の運転者の状態(覚醒状態、飲酒状態、精神状態など)を取得してもよい。
また、第1の実施の形態では正常度毎に用意した複数の動き予測モデルを切り替える構成としたが、正常度をパラメータとして持つ一つの動き予測モデルが用意され、推定された正常度をパラメータ値とする動き予測モデルを設定する構成としてもよい。例えば、走行上許容される加減速度をパラメータとして持つ動き予測モデルの場合、周辺の移動体の加減速度を推定し、その加減速度の推定値をパラメータ値とする動き予測モデルを設定する。また、予測パラメータを持つ一つの動き予測モデルが用意され、推定された正常度に基づいてその予測パラメータのパラメータ値を決定し、そのパラメータ値の動き予測モデルを設定する構成としてもよい。例えば、走行上許容される加減速度を予測パラメータとして持つ動き予測モデルの場合、周辺の移動体の正常度に基づいてその移動体の加減速度の値を決定し、その結滞した加減速度をパラメータ値とする動き予測モデルを設定する。
また、第2の実施の形態では交通ルールの遵守状況として優先順位付けした複数の交通ルールの遵守判定結果をシーケンシャル的に評価する構成としたが、交通ルールの遵守状況については他のものでよく、例えば、複数の交通ルールの遵守/違反の結果に基づいて遵守度を複数の段階で設定する。また、重要度が高い順に交通ルールの遵守度を判定し、遵守度が低い交通ルールを判別できた時点でその交通ルールに応じて動き予測モデルを選択してもよい。
また、第3の実施の形態では複数の動き予測モデルでそれぞれ予測した複数の予測結果を下段側の装置に出力する構成としたが、複数の予測結果を時間のパラメータを加味した1つの結果に統合したものとしてもよい。
また、第3の実施の形態では予測時間の異なる複数の動き予測モデルで並行して予測し、その予測結果を評価する構成としたが、予測時間に可変に設定できる動き予測モデルを用いて、その動き予測モデルでの予測時間を変えて予測し、その予測結果を評価してもよい。この場合、正常度に基づいて予測時間を決定し、その動き予測モデルでの予測時間を決定した予測時間に変えて予測を行ってもよい。
また、交通ルールによらない正常度の推定方法として、ふらつき度の他に、線形予測の残差を利用して推定してもよい。残差は、例えば、式(1)のように求められる。式(1)におけるkは、予測のために予め定められた次数である。
また、残差の大きさによる方法もある。この場合、残差が大きい場合、すなわち予測誤差が大きい場合には、正常度が低いとすればよい。また、この残差自体を予測モデルの広がり方のパラメータとして用いることも可能である。なお、正常度の推定方法は、予測の困難さを評価できるものであればよく、上記の方法に限定されるものではない。