JP5247638B2 - ハチミツに由来する褐変化が抑制されたハチミツ含有組成物及びその調製方法 - Google Patents

ハチミツに由来する褐変化が抑制されたハチミツ含有組成物及びその調製方法 Download PDF

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本発明はハチミツの褐変化が抑制されたハチミツ含有組成物およびその調製方法に関する。
ハチミツは、蜜蜂が巣に集めた甘味物であり、ブドウ糖,果糖,蔗糖及び少量の麦芽糖を主成分とし、オリゴ糖,ビタミン,ミネラル等の特殊な栄養成分を含有する甘味料として広く用いられている。
しかし、ハチミツは、長期保存したり加熱することにより褐変化することが知られている(特許文献1)。かかる褐変化は、ヒドロキシメチルフルフラール(HMF)含有量とともに、ハチミツの新鮮度を評価する指標となるため、ある意味有用ではあるものの、ハチミツを、食品素材の一つとして使用して加工食品を調製する場合、当該加工食品の色調や色彩にハチミツの褐色化が影響し、加工食品全体の見た目が悪くなるという問題がある。 そこで、ハチミツの褐変現象を抑制する方法を開発することが求められている。上記特許文献1では、HMFを上昇させずに殺菌する方法が提案されているが、長期保存によって生じる褐変現象を抑制するために有効な方法は未だないのが現状である。
特開2005−519586号公報
本発明は、ハチミツの褐変現象が抑制されてなるハチミツ含有組成物およびその調製方法を提供すること、特に甘味料等として使用されるハチミツの味や芳香に悪影響を与えることなく、ハチミツの褐変現象が抑制されてなるハチミツ含有組成物およびその調製方法を提供することを目的とする。
本発明者らは、上記課題に鑑み検討を重ねていたところ、ハチミツにパラチノースまたは還元パラチノース(以下、両者を総称して「パラチノース類」と称する)のいずれか少なくとも一方を併用し、ハチミツとパラチノース類との混合組成物とすることで、ハチミツについて長期保存または加熱によって生じる褐変化が有意に抑制できることを見出した。特に、ハチミツと組み合わせて使用するパラチノースは、ハチミツに本来含まれている糖質である。このため、本発明者らは、併用するパラチノース類がハチミツの甘味や芳香に悪影響を及ぼすことなく、本発明の方法で得られるハチミツ含有組成物は、ハチミツと同様に甘味料などの食品として、広く用いることができることを確認した。
本発明はかかる知見に基づいて完成したものであり、下記の実施態様を包含する。
I.ハチミツに由来する褐変化が抑制されたハチミツ含有組成物
(I-1)ハチミツとパラチノースおよび還元パラチノースからなる群から選択される少なくとも1種のパラチノース類を含有する組成物であって、ハチミツとパラチノース類との総量100質量%中のハチミツの割合が、非乾燥組成物の場合は3〜80質量%、乾燥組成物の場合は2〜77質量%であることを特徴とする、ハチミツ含有組成物。
(I-2)ハチミツとパラチノース類としてパラチノースを含有する組成物であって、ハチミツとパラチノースとの総量100質量%中のハチミツの割合が、非乾燥組成物の場合は3〜80質量%、乾燥組成物の場合は2〜77質量%であることを特徴とする、(I-1)に記載するハチミツ含有組成物。
(I-3)ハチミツとパラチノース類として還元パラチノースを含有する組成物であって、ハチミツと還元パラチノースとの総量100質量%中のハチミツの割合が、非乾燥組成物の場合は20〜80質量%、乾燥組成物の場合は15〜77質量%であることを特徴とする、(I-1)に記載するハチミツ含有組成物。
(I-4)粘稠液状、粉末または顆粒状を有する、(I-1)乃至(I-3)のいずれかに記載するハチミツ含有組成物。
II.ハチミツに由来する褐変化が抑制されたハチミツ含有組成物の調製方法
(II-1)ハチミツとパラチノースおよび還元パラチノースからなる群から選択される少なくとも1種のパラチノース類とを、両者の総量100質量%中のハチミツの割合が、非乾燥組成物に調製する場合は3〜80質量%、乾燥組成物に調製する場合は2〜77質量%となるように、混合することを特徴とする、ハチミツに由来する褐変化が抑制されたハチミツ含有組成物の調製方法。
(II-2)ハチミツとパラチノースとを、両者の総量100質量%中のハチミツの割合が、非乾燥組成物に調製する場合は3〜80質量%、乾燥組成物に調製する場合は2〜77質量%となるように、混合することを特徴とする、ハチミツに由来する褐変化が抑制されたハチミツ含有組成物の調製方法。
(II-3)ハチミツと還元パラチノースとを、両者の総量100質量%中のハチミツの割合が、非乾燥組成物に調製する場合は20〜80質量%、乾燥組成物に調製する場合は15〜77質量%となるように、混合することを特徴とする、ハチミツに由来する褐変化が抑制されたハチミツ含有組成物の調製方法。
本発明によれば、ハチミツについて長期保存または加熱によって生じる褐変化を抑制することができる。特に本発明で使用するパラチノースは、ハチミツに本来含まれている糖類であるため、ハチミツの甘味や芳香に悪影響を与えることなく、上記褐変化を抑制することができるため、本発明の技術は、ハチミツを素材として含む、甘味料を始めとする加工食品に広く応用することができる。
さらに本発明の方法によって得られるハチミツ含有組成物は、前述するようにハチミツ特有の良好な甘味や芳香を損なうことなく、ハチミツが有する優れた食品特性を有しているとともに、パラチノースの有する各種の生理学的機能(例えば、血糖値上昇抑制機能、脂肪蓄積抑制機能、脳機能向上機能など)を備えているため、機能性食品または機能性の食品添加物としても有効に使用することができる。
(1)ハチミツの褐変化を抑制する方法
本発明の方法は、ハチミツにパラチノースまたは還元パラチノースのいずれか一方または両方を併用することによって実施することができる。すなわち、本発明の方法は、ハチミツにパラチノースまたは還元パラチノースのいずれか一方または両方を併用し、ハチミツとこれらパラチノース類の少なくとも一方との混合物とすることによって実施することができる。
ハチミツは、蜜蜂が、花から集めた蜜を主原料として作りだし巣の中に貯蔵している天然の甘味物である。花の種類によってハチミツも、レンゲハチミツ、クローバーハチミツ、およびアカシアハチミツなどに分類されるが、本発明においてはその種類を特に制限されることなく、いずれのハチミツをも使用することができる。また2種以上のハチミツを混合して用いることもできる。
パラチノース(イソマルツロース)は、ブドウ糖と果糖がα-1,6結合により結合した二糖類である。本発明において使用するパラチノースの形状は、特に制限されず、例えば商業的に入手することができる結晶状、粉末状、顆粒状およびシロップ状のいずれの形状のものであってもよい。
還元パラチノース(パラチニット)は、上記のパラチノースを水素添加によって還元して調製される糖アルコールである。本発明において使用する還元パラチノースの形状も、特に制限されず、例えば商業的に入手することができる結晶状、粉末状、顆粒状およびシロップ状のいずれの形状のものであってもよい。
本発明において、パラチノースと還元パラチノースは、それぞれ単独でハチミツと組み合わせて使用することができるが、パラチノースと還元パラチノースの両者を併用してハチミツと組み合わせて使用することもできる。
ハチミツとパラチノース類を併用する場合の、両者の割合としては、特に制限されないが、ハチミツの甘味や芳香性が著しく損なわれない範囲で、その褐変化を抑制する範囲として、併用するハチミツとパラチノース類の合計100質量%に対してハチミツの割合が3〜80質量%となるような割合(配合時の割合)を挙げることができる。好ましくは3〜30質量%である。
より具体的には、パラチノース類としてパラチノースを使用する場合の上記割合としては、併用するハチミツとパラチノースの合計100質量%に対してハチミツの割合が3〜80質量%、好ましくは3〜20質量%となるような割合(配合時の割合)を挙げることができる。また、パラチノース類として還元パラチノースを使用する場合の上記割合としては、併用するハチミツと還元パラチノースの合計100質量%に対してハチミツの割合が20〜80質量%、好ましくは20〜30質量%となるような割合(配合時の割合)を挙げることができる。
斯くしてハチミツとパラチノース類を併用することによって、後述する実験例で示すように、ハチミツの甘味や芳香に悪影響を与えることなく、ハチミツについて生じる褐変化、特にハチミツを長期保存することによって生じる褐変化が有意に抑制されてなる、ハチミツ含有組成物を得ることができる。
(2)ハチミツの褐変化が抑制されたハチミツ含有組成物、およびその調製方法
本発明が対象とするハチミツ含有組成物は、前述するように、ハチミツと、パラチノースおよび還元パラチノースからなる群から選択される少なくとも1種のパラチノース類とを含有することにより、ハチミツの褐変化が抑制されてなることを特徴とする。
ここで、ハチミツと併用するパラチノースと還元パラチノースは、それぞれ単独でハチミツと組み合わせて使用することができるが、パラチノースと還元パラチノースの両者を併用してハチミツと組み合わせて使用することもできる。
ハチミツ含有組成物中に含まれるハチミツとパラチノース類の割合は、ハチミツの甘味や芳香性が著しく損なわれない範囲で、その褐変化を抑制する割合であれば特に制限されない。具体的には、後述するハチミツ含有組成物の処理方法および最終形態に応じて、適宜調整することができる。
例えば、ハチミツ含有組成物が乾燥処理しないで調製した、いわゆる非乾燥組成物である場合、ハチミツとパラチノース類の総量100質量%中のハチミツの割合としては3〜80質量%、好ましくは3〜30質量%を挙げることができる。またハチミツ含有組成物が乾燥処理して調製した、いわゆる乾燥組成物である場合、ハチミツとパラチノース類の総量100質量%中のハチミツの割合としては2〜77質量%、好ましくは2〜26質量%を挙げることができる。
より具体的には、パラチノース類としてパラチノースを使用する場合の上記ハチミツの割合としては、ハチミツ含有組成物が非乾燥組成物である場合は、3〜80質量%、好ましくは3〜30質量%であり、ハチミツ含有組成物が乾燥組成物である場合は、2〜77質量%、好ましくは2〜26質量%を挙げることができる。またパラチノース類として還元パラチノースを使用する場合の上記ハチミツの割合としては、ハチミツ含有組成物が非乾燥組成物である場合は、20〜80質量%、好ましくは20〜30質量%であり、ハチミツ含有組成物が乾燥組成物である場合は、15〜77質量%、好ましくは15〜26質量%を挙げることができる。
本発明のハチミツ含有組成物には、本発明の効果を妨げない範囲で、上記成分(ハチミツおよびパラチノース類)以外の甘味料、例えばステビア、甘草エキス、アスパルテーム、フルクトース、トレハロース、アセスルファムカリウム、エリスリトール、羅漢果抽出物、果糖、ショ糖、グルコース、還元麦芽糖、麦芽糖、ラクチュロース、オリゴ糖、またはフルクトオリゴ糖などを配合することもできる。また甘味料以外の成分として、食品または経口用医薬品において通常使用される賦形剤を配合することもできる。
本発明のハチミツ含有組成物は、その形状を特に問うものではなく、固形状(塊状)、粉末状、顆粒状、およびシロップ状(粘稠液状)のいずれの形状をも採ることができる。
ハチミツ含有組成物を、固形状(塊状)、粉末状または顆粒状などの固体状の形状に調製する方法としては、特に制限されないが、ハチミツにパラチノース類を上記割合になるように添加、溶解して非固体状の混合物を調製し、次いでこれから水分を蒸発させて乾燥する方法を挙げることができる。なお、この場合、原料のハチミツはそのまま用いても良いが、操作を容易にするために、水で希釈してその粘度を低下させた状態で使用することもできる。乾燥方法としては、凍結乾燥法、噴霧乾燥法、および混合撹拌法などの従来公知の方法を利用することができる。粉末を調製する方法として、好ましくは凍結乾燥法および噴霧乾燥法であり、より好ましくは凍結乾燥法である。顆粒状のハチミツ含有組成物は、かかる方法で調製した粉末を、定法の湿式造粒法または乾式造粒法で造粒することによって調製することができる。
また、ハチミツ含有組成物を、シロップ状(粘稠液状)に調製する方法としては、制限されないが、ハチミツにシロップ状のパラチノース類を混合する方法などを挙げることができる。
本発明のハチミツ含有組成物は、ハチミツ特有の良好な甘味と芳香を保有しているので、そのままシロップ状、粉末状または顆粒状の甘味料として使用することができる。また本発明のハチミツ含有組成物は、飲料;錠菓、チョコレートやクッキーなどの菓子類;デザート;ケーキミックス;食パンや菓子パンなどのパン類;各種の健康食品、更には機能性食品等、その種類や形態を選ばず、広く用いることができる。また、パラチノースには、血糖値上昇抑制機能、脂肪蓄積抑制機能、および脳機能向上機能等の優れた生理学的機能があることが知られていることから、本発明のハチミツ含有組成物には、ハチミツの優れた食品特性に加えて、これらの生理学的機能を期待することができる。ゆえに本発明のハチミツ含有組成物は、機能性食品または機能性の食品添加物(例えば甘味料)として利用することも可能である。
以下、実施例をあげて本発明を具体的に説明するが、これによって限定されるものではない。
実験例1 褐変化抑制試験
ハチミツとパラチノースを含有する組成物(実施例1〜3)、ハチミツと還元パラチノースを含有する組成物(実施例4〜6)のそれぞれについて、60℃で10日間保存したときの褐変化の程度を調べた。
なお、ハチミツとして固形分重量80%のアカシアハチミツ(粘稠液状)を、パラチノースとして粉末状のパラチノースICP(三井製糖(株)社製)、また還元パラチノースとして粉末状の還元パラチノースPNP(三井製糖(株)社製)を使用した。
(1)被験試料の調製
下記の方法で、ハチミツとパラチノースを含有する組成物(実施例1〜3)、ハチミツと還元パラチノースを含有する組成物(実施例4〜6)を調製した。
(a)ハチミツ(3質量%)とパラチノース(97質量%)を含有する組成物(実施例1)
ハチミツ3gとパラチノース97gを混合して、粉末状の組成物100gを調製した。
(b)ハチミツを(50質量%)とパラチノース(50質量%)を含有する組成物(実施例2)
ハチミツ3gとパラチノース3gを混合して、粘土状の組成物6gを調製した。
(c)ハチミツを(80質量%)とパラチノース(20質量%)を含有する組成物(実施例3)
ハチミツ3gとパラチノース0.75gを混合して、粘稠液状の組成物3.75gを調製した。
(d)ハチミツを(20質量%)と還元パラチノース(80質量%)を含有する組成物(実施例4)
ハチミツ3gと還元パラチノース12gを混合して、顆粒状の組成物15gを調製した。
(e)ハチミツを(50質量%)と還元パラチノース(50質量%)を含有する組成物(実施例5)
ハチミツ3gと還元パラチノース3gを混合して、粘土状の組成物6gを調製した。
(f)ハチミツを(80質量%)と還元パラチノース(20質量%)を含有する組成物(実施例6)
ハチミツ3gと還元パラチノース0.75gを混合して、粘稠液状の組成物3.75gを調製した。
(2)褐変抑制効果の評価
上記で調製した、ハチミツとパラチノースを含有する組成物(実施例1〜3)、ハチミツと還元パラチノースを含有する組成物(実施例4〜6)、ならびに対照として原料として使用したハチミツ(6検体用意:対照例1〜6)を、それぞれプラスチックの容器に入れ、ふたを開けた状態で、60℃で10日間加熱処理した。各組成物(実施例1〜6)について、加温処理前と加温処理後に色調を測定し、処理前後の色調変化(色差)から、後述する「数2」に記載する式に従って「褐色抑制率(%)」を算出した。
色調測定は、各試料(実施例1〜6、対照例1〜6)1gを精製水2mlに溶解して調製した水溶液について、以下の装置、測定条件および方法を用いて行った。
(1-1)測定装置
紫外可視吸光度計:日本分光 V−660
積分球ユニット:日本分光 PSC-718
使用ソフト:日本分光 色彩計算プログラム。
(1-2)測定条件
光源:重水素ランプ、ハロゲンランプ
測定波長:800-200 nm
データ間隔:1 nm。
(1-3)色調変化(色差)の測定方法
(a)実施例1〜6の組成物に関する「色差A」の測定
加温処理前と加温処理後の各試料(実施例1〜6の組成物)について、紫外可視吸光光度計(日本分光V-660+積分球ユニットPSC-718)にて紫外・可視スペクトル(180〜800nm)を測定し、付属のソフトウェア(色彩計算プログラム)にてL*a*b*表色系に変換した(計算式の出典JIS Z8729−2004参照)。
斯くして加温処理前と加温処理後の各試料(実施例1〜6の組成物)について得られる明度(L*)、赤色(a*)および黄色(b*)から、明度の変化量(△L*)、赤色の変化量(△a*)、および黄色の変化量(△b*)を算出し、これらの3要素について、下式に従って色調変化(色差)を求めた。
Figure 0005247638
(b)対照例1〜6(ハチミツ)に関する「色差B」の測定
60℃で10日間加温処理した後に、対照例1〜6のハチミツに、それぞれ実施例1〜6に記載する方法に従って、各組成物と同じ組成になるようにパラチノースまたは還元パラチノースを配合して、ハチミツとパラチノースを含有する組成物(対照例1’〜3’)、ハチミツと還元パラチノースを含有する組成物(対照例4’〜6’)を調製した。これらの組成物について、上記(a)にする方法に従って、紫外・可視スペクトル(180〜800nm)を測定してL*a*b*表色系に変換した。得られた各混合物(対照例1’〜6’)の明度(L*)、赤色(a*)および黄色(b*)と、実施例1〜6に関する加温処理前の明度(L*)、赤色(a*)および黄色(b*)との差から、赤色の変化量(△a*)、および黄色の変化量(△b*)を算出し、これらの3要素について、上記「数1」記載の式に従って色調変化(色差B)を求めた。
(c)褐変抑制率の算出
ハチミツとパラチノースまたは還元パラチノースとの併用による褐変抑制効果の判定は、上記で求めた色調変化(色差A、色差B)に基づいて、下式に従って褐変抑制率(%)を算出することにより行った。
Figure 0005247638
すなわち、この式によると、色差Aが0である場合(すなわち、実施例1〜6について加温処理前後で色差がない場合)、褐変抑制率は100%となる。一方、色差Aと色差Bが同じ場合、(すなわち、実施例1〜6の加温処理後の色調が、ハチミツ加温後にパラチノースを同量配合した組成物の色調と同じ場合)、褐変抑制率は0%となり、ハチミツの褐変化は抑制されていないことになる。結果を表1に示す。
Figure 0005247638
この結果からわかるように、ハチミツにパラチノースまたは還元パラチノースを併用することで、ハチミツについて生じる褐変化が抑制されていることが確認された。また実施例1〜6の組成物は、ハチミツと同様の甘味や芳香を有しており、ハチミツにパラチノース類を配合することによる味や芳香に対する悪影響は認められなかった。しかし、ハチミツの含量を1質量%まで低減すると、ハチミツの味や芳香性が消失し、好ましくなかった。
実験例2 品質安定性試験
ハチミツとパラチノースまたは還元パラチノースを併用することによる、ハチミツの品質への影響を、組成物中のヒドロキシメチルフルフラール(以下「HMF」と記載)量の増加を指標にして調べた。HMFはハチミツの鮮度指標となる物質で、ハチミツを高温で長時間保存することによりその量が増加することが知られている。測定は、AOAC OFFICIAL METHODS OF ANALYSIS (1995) SUGARS AND SUGER PRODUCTS Chapter 44,p.26 44..4.15 AOAC Official Method 980.23 Hydroxymethylfurfuralin HONEYに準じて行った。
具体的には、まず精製水で適宜希釈したハチミツまたはハチミツ含有組成物に、フェロシアン化カリウム溶液および酢酸亜鉛溶液を加え、調製した溶液をろ紙にてろ過する。次いで、得られたろ液を精製水にて適宜希釈して、分光光度計にて284nmおよび336nmの吸光度を測定する。対照として、上記で得られたろ液に亜硫酸水素ナトリウム溶液を加えたものについても、同様に分光光度計にて284nmおよび336nmの吸光度を測定する。
以上の方法で得られた結果を、HMFの分子量、284nmにおけるHMFの分子吸光度係数を用いて試料中のHMF量を求めた。
(1)被験試料の調製
下記方法に従って、ハチミツとパラチノースまたは還元パラチノースを含有する組成物を調製した。なお、ハチミツとして固形分重量80%の百花ハチミツ(粘稠液状)または固形分重量80%のれんげハチミツを、パラチノースとして粉末状のパラチノースICP(三井製糖(株)社製)、また還元パラチノースとして粉末状の還元パラチノースPNP(三井製糖(株)社製)を使用した。
(a)ハチミツ(3g)とパラチノース(12g)を含有する組成物(実施例7)
れんげハチミツ3gとパラチノース12gを混合して、顆粒状の組成物15gを得た。
(b)ハチミツを(3g)と還元パラチノース(12g)を含有する組成物(実施例8)
百花ハチミツ3gと還元パラチノース12gを混合して、顆粒状の組成物15gを得た。
(2)安定性評価
具体的には、上記で調製したハチミツ含有組成物(実施例7〜8)、および原料として使用したハチミツ(対照例1〜2)を、プラスチック容器にふたを開けた状態で、60℃で12日間保存し、保存後に、上記方法に従って、各被験試料中のHMF量を測定した。
(3)結果
実施例7〜8と対照例1〜2の結果を表2に示す。
Figure 0005247638
上記結果から分かるように、ハチミツにパラチノースまたは還元パラチノースを併用することで原料のハチミツの品質に影響を与えるどころか、ハチミツに比べてHMFの増加量が有意に抑制されていた。このことから、ハチミツの種類に関わらず、ハチミツにパラチノースまたは還元パラチノースを併用することで、ハチミツの褐変化が抑制されるだけでなく、ハチミツの品質低下も抑制でき、熱安定性および長期保存安定性に優れた組成物が調製できることが確認された。

Claims (2)

  1. ハチミツと還元パラチノースを含有する甘味料組成物であって、ハチミツと還元パラチノースとの総量100質量%中のハチミツの割合が、非乾燥組成物の場合は20〜80質量%、乾燥組成物の場合は15〜77質量%であることを特徴とする、ハチミツ含有甘味料組成物。
  2. ハチミツと還元パラチノースとを、両者の総量100質量%中のハチミツの割合が、非乾燥組成物に調製する場合は20〜80質量%、乾燥組成物に調製する場合は15〜77質量%となるように、混合することを特徴とする、ハチミツに由来する褐変化が抑制されたハチミツ含有甘味料組成物の調製方法。
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