JP5247246B2 - ボルト、ナットの脱落防止具 - Google Patents
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Description
それにも拘わらず、これまでボルトやナットの落下を防止する対策は講じられていなかった。
このような不具合は送電線用の鉄塔に限らず、建築工事等の各種工事現場、工場等においてボルト、ナットの着脱を行う際に頻繁に発生する。
しかし、この従来例は、ボルト、ナットを手作業により着脱する際の落下を防止することを目的とした技術ではない。
本発明は上記に鑑みてなされたものであり、手作業によってボルト、ナットを用いた締結作業を行ったり、締結されたボルト等を緩めて取り外す作業を行う場合においても、確実にボルト、ナットを保持して落下を防止することができるボルト、ナットの脱落防止具を提供することを目的としている。
弾性を有した線材をコイル状に構成したコイルスプリングは、ボルトやナットを内部に弾性的に保持するのに好適な手段となる。ボルト等はコイルスプリング端部開口から内部に嵌合させることにより脱落しにくい状態で保持されるため、脱落防止具として有効である。小型、軽量であるため、持ち運び、取扱上でも便利である。
請求項2の発明に係るボルト、ナットの脱落防止具は、請求項1において、前記コイルスプリングの他端部を保持するグリップ部を備えたことを特徴とする。
コイルスプリング自体を手で把持して操作する場合よりも、グリップ部を介してコイルスプリングを把持し、ボルト等の着脱操作に適用した方が作業性が向上する。
グリップに対してコイルスプリングを着脱交換自在に構成することにより、最適なコイルスプリングを選択的にしようすることができる。特に、ボルト等のサイズに適合したコイルスプリングを選択して使用することができる。
請求項4の発明に係るボルト、ナットの脱落防止具は、請求項1乃至3の何れか一項において、前記コイルスプリングの一端開口と、他端側開口の径を異ならせたことを特徴とする。
一つのコイルスプリングによって異なったサイズのボルト等を保持することが可能となる。
請求項5の発明に係るボルト、ナットの脱落防止具は、請求項1乃至4の何れか一項において、前記コイルスプリングは多角柱状であることを特徴とする。
多角形状であるボルト頭部やナットをコイルスプリング内に装着し易くなると共に、保持した後は脱落し難くなる。
また、グリップにコイルスプリングを固定することにより、作業性を更に大幅に向上することができる。
図1(a)(b)及び(c)は本発明の脱落防止具を用いてボルトを保持する手順を示す図であり、図2は本発明の脱落防止具を用いてボルト(締結対象物)に螺着されていたナットを保持する手順を説明する図である。
脱落防止具1は、図1に示すように締結対象物10に設けた取付け穴11内に螺着されたボルト20を離脱させる際、或いは図2に示すようにボルト(締結対象物)20に螺着されたナット25をスパナ等の工具を用いた手作業により離脱させる際に、ボルト20、或いはナット25が作業者の手から滑って脱落することを防止するための手段である。
脱落防止具1は、ボルト20の頭部21、或いはナット25の外面を一端開口2aから内部に嵌合させてその内周面で保持したり、一端開口2aからの取り外しが可能なコイルスプリング2を含んでいる。
コイルスプリング2の一端開口2aを構成する線材端部を他の線材と非固定な自由状態とすれば、ボルト頭部等を一端開口内に差し込む際に一端開口を構成する線材が弾性的に拡径した状態となってスムーズにボルト頭部を受け入れると共に、受入れ後は縮径して一端開口からの脱落を防止できる。
なお、本例では、ボルト20、ナット25として六角ボルト、六角ナット(M16)を使用し、このボルト、ナットに適用するコイルスプリングとして、径26mm、長さ約50mm、ピッチ5mm、材質ステンレスを使用した。
コイルスプリング2の他端部は例えば環状に成形した取付け部2bとし、この取付け部2bに落下防止コード30の先端に取り付けた連結金具(カラビナ)31を取り付けることによりコイルスプリングの落下防止対策とする。この落下防止コード30の他端部を作業員の安全帯等に固定しておけば、コイルスプリングが手から滑り落ちてもボルト等が落下することを防止できる。
次いで、人手によりコイルスプリング外面を把持して締結解除方向へ回転させることによりボルト20を取付け穴11から取り外すことができる。取り外したボルトはそのままコイルスプリング2内部に保持され続け、所定以上の力で引き抜かない限り(或いは、押し出さない限り)保持された状態が維持される。
コイルスプリング2の長手方向寸法、外径寸法は、ボルトやナットよりも大きく、しかも人手によって把持し易く滑り難い形状であるため、ボルト等よりも手から滑り落ちる確率は低い。しかも、落下防止コード30を取り付けることにより、万が一コイルスプリングが手から滑り落ちてもボルトを含めたコイルスプリングが落下する虞は皆無となる。
なお、途中まで緩めたボルト(或いはナット)を工具を使用せずに手の力だけで解除方向へ回転させることが難しい場合には、図3に示した如く工具35を用いてコイルスプリングを介してボルト頭部21をニップして弛み方向へ回転させればよく、ボルトが取付け穴から離脱した時点でボルトはコイルスプリングにより保持されているのでコイルスプリングを手で保持していればボルトが落下する虞はない。
また、このコイルスプリング2は、ボルト等を取り外す場合のみならず、ボルト等を締結対象物に対して取り付ける場合にも利用することができる。この場合には、予めボルト20をコイルスプリングの一端開口2a内に嵌合させておき、コイルスプリングを把持しつつ頭部21を保持されたボルト先端を締結対象物10の取付け穴11内に差し込んで回転させ、所定深さまで螺着させてから工具を用いて最終的な締結作業を実施すればよい。この場合もボルトを直接手で保持しないので、滑ることによる落下を防止できる。
グリップ部3は人手により把持して回転させ易い形状、寸法を備えており、その端部に設けた装着開口(スプリング装着部)3a内にコイルスプリングの端部2bを差し込んで取り付ける。グリップ部3の装着開口側の端部には軸方向へ延びる切り込み(或いは、スリット)3bが複数本形成され、各切り込み3b間には内外径方向へ弾性的に変形可能な可動片3cが形成されており、コイルスプリング端部を装着開口3a内に差し込んだ状態で可動片3cを含むグリップ外面を手により把持しつつ加圧することにより個々の可動片3cによってコイルスプリング外面が内径方向へ加圧されて離脱不能な状態となる。このように可動片3cを一定以上の力で加圧しながらグリップ部を把持して回転させることにより、ボルト、或いはナットを緩めて取り外すことができる。
コイルスプリング2をグリップ部3から取り外す際には、可動片3cに対する加圧を解除してコイルスプリングを装着開口3aから取り出せばよい。
なお、コイルスプリングをグリップ3内に固定する手段として格別の固定具を用いても良い。
図4(a)のように可動片3cを設けた場合に装着開口内にコア部材を配置したコイルスプリングの内径部を支持するように構成しても良い。
グリップ部3からコイルスプリング2を取り外す際には、一定以上の力で引き抜けば良い。
グリップ部3にコイルスプリング2を取り付けるメリットは、グリップ部はコイルスプリングよりも人手によって把持し易くより強い力で回転させることができるので、さび付き等によって回転しにくいボルト、ナットを比較的容易に人手によって離脱させることが可能となる点である。
この脱落防止具1は、一つのグリップ部3の両端部に夫々異なった径を有したコイルスプリング2を取り付けできるスプリング装着部5を備えている。この例では、略筒状のグリップの軸方向両端部に設けたスプリング装着部5の開口径を異ならせることにより異なった径のコイルスプリングを装着できるように構成している。
この構成によれば、コイルスプリングを着脱交換して使用することにより一つのグリップ部を用いて異なった径寸法を有したボルト、ナットを保持することが可能となる。
なお、上記実施形態では、円筒状のコイルスプリング2を例示したが、図6に示すようにコイルスプリング2は多角形柱状であってもよい。多角形状の一端開口2aを有した構成とした場合には、コイルスプリングの内部に保持したボルト20等が抜け落ちし難くなるメリットがある。また、ボルト頭部21やナットの外面形状と整合する多角形状とした場合には一端開口2aからボルト等を嵌合させ易くなる。
また、図7(a)に示すように一端開口2aと他端開口2bの径を異ならせた構成とすれば、一つのコイルスプリングによって異なったサイズのボルト、ナットを保持することが可能となる。
更に、図7(b)に示すようにボルト頭部、ナットを差し込むための一端開口2aを最大内径とし、奥に向かう程内径がテーパー状に漸減するように構成することにより、ボルト頭部等を一端開口2a内に差込み易くする一方で、一旦内部に嵌合したボルト頭部を十分な弾性力により保持し続けることが可能となる。
また、コイルスプリング自体を手で把持して操作する場合よりも、グリップ部を介してコイルスプリングを把持し、ボルト等の着脱操作に適用した方が作業性が向上する。
また、グリップに対してコイルスプリングを着脱交換自在に構成することにより、最適なコイルスプリングを選択的にしようすることができる。特に、ボルト等のサイズに適合したコイルスプリングを選択して使用することができる。
また、コイルスプリングの一端開口と、他端側開口の径を異ならせることにより、一つのコイルスプリングによって異なったサイズのボルト等を保持することが可能となる。
また、コイルスプリングを多角柱状としたことにより、多角形状であるボルト頭部やナットをコイルスプリング内に装着し易くなると共に、保持した後は脱落し難くなる。
Claims (5)
- 締結対象物に対してボルト、或いはナットを着脱する作業中に、前記ボルト、或いはナットが脱落することを防止する脱落防止具であって、
前記脱落防止具は、前記ボルトの頭部、或いは前記ナットの外面を一端開口から内部に嵌合させて保持するコイルスプリングを含み、
前記コイルスプリングを構成する線材のピッチは、前記ボルトの頭部又は前記ナットの外周面の一部が前記線材のピッチ間に入り込むように設定されていることを特徴とするボルト、ナットの脱落防止具。 - 前記コイルスプリングの他端部を保持するグリップ部を備えたことを特徴とする請求項1に記載のボルト、ナットの脱落防止具。
- 前記コイルスプリングは前記グリップ部に対して着脱自在であることを特徴とする請求項2に記載のボルト、ナットの脱落防止具。
- 前記コイルスプリングの一端開口と、他端開口の径を異ならせたことを特徴とする請求項1乃至3の何れか一項に記載のボルト、ナットの脱落防止具。
- 前記コイルスプリングは多角柱状であることを特徴とする請求項1乃至4の何れか一項に記載のボルト、ナットの脱落防止具。
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